JPH0648901A - 血清フリーの医療溶液のための方法および装置 - Google Patents

血清フリーの医療溶液のための方法および装置

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JPH0648901A
JPH0648901A JP3196887A JP19688791A JPH0648901A JP H0648901 A JPH0648901 A JP H0648901A JP 3196887 A JP3196887 A JP 3196887A JP 19688791 A JP19688791 A JP 19688791A JP H0648901 A JPH0648901 A JP H0648901A
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serum
insulin
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    • A01N1/021Preservation or perfusion media, liquids, solids or gases used in the preservation of cells, tissue, organs or bodily fluids
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Abstract

(57)【要約】 【目的】移植前の貯蔵に際し眼組織(特に角膜組織)を
向上させるための材料及び方法を提供する。 【構成】眼科学に使用するための血清フリーの医療溶液
は、ヒト角膜組織を含む眼組織を低温度(2 〜15℃)に
て維持すると共にその保持を向上させる1種もしくはそ
れ以上の成長因子を含有する。この溶液は、グリコサミ
ノグリカンと乾燥剤と緩衝剤系とエネルギー源と酸化防
止剤と膜安定化成分とが補充されると共に1種もしくは
それ以上の成長因子を含有する栄養源および電解質の水
溶液で構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、栄養性の医療水溶液に
おける眼組織の保持に関し、より詳細にはドナーからの
剔出と移植との間の時間として特定されるヒト角膜組織
の保持および向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】角膜移植術(すなわち角膜の移植)は、
角膜障害を有する多くの人に視力リハビリテーションを
施すのに有効である。この方法は広範に受入れられてい
るが、一般的にドナー組織が絶えず入手しえないため著
しく阻害されている。この問題は貯蔵溶液の開発を不可
欠にした。MK(登録商標)保持媒地およびそれに続く
硫酸コンドロイチン含有媒地の開発は、高品質ドナー組
織の入手性を積極的に促進した。この分野における多く
の研究はドナー貯蔵時間を延長するにも拘らず生存内皮
細胞を維持することを考慮して行なわれ、これは移植を
成功させるのに重要である。14日間までの角膜の貯蔵も
報告されているが、現在の技術は数日間を越える充分な
組織保持を可能にしない。96時間より長い貯蔵は表皮分
解を伴い、角膜基質の腫れ増大により示されるように角
膜透明度が喪失する。この基質浮腫は角膜内皮細胞(す
なわち角膜基質を被覆する特定細胞層)のバリヤポンプ
機能の維持が減少することに起因する。
【0003】角膜保持の後の内皮細胞および持続した角
膜の腫脹減退(deturgescence )の機能的状態は臨床上
極めて重要であり、主として手術結果の成功に関与す
る。比較的脱水した状態を維持する角膜の能力が、角膜
透明性の維持に必須である。角膜腫脹減退は、内皮細胞
により主として行なわれるエネルギー依存性の現象であ
る。角膜を生存状態に保持するには、種々の酵素反応は
高レベルのATPにより維持されたエネルギー依存性の
機能を果たさねばならない。
【0004】4℃の角膜貯蔵法における低温度は角膜の
代謝速度を低下させるが、貯蔵媒体はまだ角膜の基礎要
求を支持できねばならない。角膜貯蔵媒地は調和塩類と
アミノ酸とエネルギー源と酸化防止剤と緩衝剤と細胞膜
安定剤とグリコサミノグリカンと腫脹減退剤と抗生物質
との複雑な混合物である。温度低下は膜の脂質と蛋白と
水の構造を変化させ、そのそれぞれは受動的拡散の容易
さ、キャリア−基質の相互作用およびエネルギー結合の
関係を阻害することにより活発な輸送メカニズムを変化
させる。したがって、膜機能の障害、並びに形態学的お
よび生化学的変化は低代謝速度の直接的結果として一層
重大となりうる。長期間の4℃貯蔵のためのパラメータ
は、貯蔵の際に生ずる細胞損傷の可逆性に関し規定すべ
きである。
【0005】成人の角膜内皮細胞は限られた再生能力し
か持たない。有糸分裂の様子はインビボでは観察されて
いない。インビボにおけるヒト角膜内皮細胞は、一般に
細胞移動により傷ついた領域まで滑り込むことにより外
傷に反応する。インビボにて内皮細胞の有糸分裂がウサ
ギ、ネコおよび霊長動物にて示されている。組織培養に
おいて、有糸分裂がウサギおよびヒト角膜内皮細胞で観
察されている。インビトロにおける角膜の凍傷または機
械的外傷の後の放射能写真によるチミジン吸収試験は、
内皮単層における有糸分裂の存在を示している。外科的
外傷および病気は内皮細胞の損失を促進すると共に、角
膜を傷つけることがある。たとえば、角膜内皮細胞の長
期間にわたる保持および向上は、眼組織のアイバンク貯
蔵に関し極めて重要な局面である。
【0006】角膜組織の貯蔵および取扱いを取巻く問題
点の検討がコルニアル・サージェリー、第1 〜4 章、第
1 〜128 頁[S.フェデリック、M.D.ブライトビル
編、C.V.モスビー・カンパニー出版、セントルイ
ス、ミズウリ州(1986)]に見られる。各種の貯蔵媒地
および技術が提案されており、最近の研究はドナー組織
の品質を維持すると共に実際に向上させ、さらにドナー
からの剔出と移植との間の時間として規定される角膜組
織貯蔵の期間を増大させることに向けられ続けている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
移植前の貯蔵に際し眼組織(特に角膜組織)を向上させ
るための材料および方法に向けられる。本発明の1面
は、貯蔵後の内皮細胞有糸分裂を刺戟することによる角
膜組織の向上に関するものである。本発明の他の面は、
眼組織(特に角膜組織)が新鮮な組織の特性を維持しう
る時間の長さを増大させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、 a.水性の栄養源および電解質の水溶液と; b.グリコサミノグリカンと; c.腫脹減退剤(deturgescent agent)と; d.緩衝剤系と; e.エネルギー源と; f.酸化防止剤と; g.成長因子と からなることを特徴とする少なくとも1種もしくはそれ
以上の成長因子を含有する血清フリーの医療溶液が得ら
れる。
【0009】また、本発明によれば、ヒト角膜組織を含
む眼組織を低温度(2 〜15℃)にて生理学的pH(6.8
〜7.8 )で維持すると共にその保持を向上させる少なく
とも1種もしくはそれ以上の成長因子を含有し、 a.水性栄養源および電解質の水溶液と; b.グリコサミノグリカンと; c.腫脹減退剤と; d.緩衝剤系と; e.エネルギー源と; f.酸化防止剤と; g.膜安定化成分と; h.抗生物質および/または抗菌性物質と; i.成長因子と からなることを特徴とする血清フリーの医療溶液が得ら
れる。
【0010】さらに、本発明によれば、ヒト角膜組織を
含む眼組織を低温度(2 〜15℃)にて生理学的pHで維
持すると共にその保持を向上させる少なくとも1種もし
くはそれ以上の成長因子を含有し、 A.1.イーグル最小必須培地(MEM)、 2.TC199 培地、 3.イーグル最小必須培地(MEM)とTC199 との組
合せ よりなる群から選択される栄養源および電解質の水溶液
と; B.1.硫酸コンドロイチン、 2.硫酸ダーマリン、 3.硫酸ヘパリン、 4.硫酸ケラチン、 5.ヒアルウロン酸 よりなる群から選択される0.01〜100mg /mlの範囲のグ
リコサミノグリカンと; C.1.デキストラン、 2.硫酸デキストラン、 3.ポリビニルピロリドン、 4.ポリ酢酸ビニル、 5.ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 6.カルボキシプロピルメチルセルロース よりなる群から選択される0.01〜100mg /mlの範囲の腫
脹減退剤と; D.1.重炭酸緩衝剤、 2.HEPES緩衝剤 よりなる群から選択される0.1 〜100mM の範囲の緩衝剤
系と; G.1.グルコース、 2.ピルベート、 3.フラクトース、 4.デキストロース よりなる群から選択される0.05〜10mMの範囲のエネルギ
ー源と; F.1.アスコルビン酸、 2.2−メルカプトエタノール、 3.グルタチオン、 4.α−トコフェロール よりなる群から選択される0.001 〜10mMの範囲の酸化防
止剤と; G.1.ビタミンA、 2.ビタミンB、 3.レチノ−ル酸、 4.エタノールアミン、 5.ホスホエタノールアミン、 6.セレニウム、 7.トランスフェリン よりなる群から選択される0.01〜500mg /mlの範囲の膜
安定化成分と; H.1.ゲンタマイシン、 2.フンギゾン よりなる群から選択される0.1 μg /ml〜1mg /mlの範
囲の抗生物質および/または抗菌物質と; I.1.表皮成長因子(EGF)、 2.インシュリン様成長因子I(IGF−I)、 3.インシュリン様成長因子II(IGF−II)、 4.酸性もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FG
F)、 5.形質転換成長因子α(TGF−α)、 6.形質転換成長因子β(TGF−β)、 7.血小板由来の成長因子(PDGF)、 8.インシュリン よりなる群から選択される0.001ng /ml〜1mg /mlの範
囲の成長因子とからなることを特徴とする血清フリーの
溶液が得られる。
【0011】さらにまた、本発明によれば、角膜移植術
の前に眼組織の品質を向上させるに際し、約2 〜15℃に
て前記組織を1種もしくはそれ以上の成長因子を含有す
る血清フリーの溶液に貯蔵し、さらに前記組織を約34℃
まで加温することを特徴とする眼組織の品質を向上させ
る方法が得られる。
【0012】またさらに、本発明によれば、角膜移植術
の前に眼組織の品質を向上させるに際し、約2 〜15℃に
て前記組織を1種もしくはそれ以上の成長因子を含有す
る血清フリーの溶液に貯蔵し、さらに前記組織を約34℃
まで加温することを特徴とする眼組織の品質を向上させ
る方法が得られる。
【0013】さらにまた、本発明によれば、ドナー角膜
組織を剔出し、前記組織を貯蔵し、次いで前記組織をレ
シピエント患者に移植することからなる貫入角膜移植法
において、前記組織を約2 〜15℃にて1種もしくはそれ
以上の成長因子からなる血清フリーの溶液に貯蔵するこ
とを特徴とする貫入角膜移植法が得られる。
【0014】4℃における中間期間の角膜貯蔵は、内皮
細胞の機能的状態を維持しうる組織保持を与えねばなら
ない。実験的研究が示したところでは、ヒトおよび動物
の眼組織(特に角膜)は血清フリーの成長因子含有保持
溶液におけるアイバンク低温度貯蔵に際し劣化から保護
されると共に実際に向上される。血清含有溶液における
貯蔵の望ましくない性質が回避され、移植後に有糸分裂
する角膜内皮細胞の能力が著しく向上される。
【0015】本発明の組成物および方法に用いうる成長
因子(GF)はポリペプチドまたは角膜の外傷治癒を向
上させ、内皮細胞の通常の損失増大を減少させ或いは除
去し、さらに施した際にこれら眼組織の有糸分裂性を刺
戟する能力を持った他の物質を包含する。成長因子は、
反応性細胞型にて生じうる刺戟の程度に関し特異的かつ
選択的な組織とすることができる。たとえば表皮成長因
子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、血小板
由来の成長因子(PDGF)、形質転換成長因子α(T
GF−α)、形質転換成長因子β(TGF−β)、イン
シュリン様成長因子I(IGF−I)、インシュリン様
成長因子II(IGF−II)、およびインシュリンは
全て、或る種の細胞の分裂または熟成を刺戟する能力を
持った物質である。これら蛋白のそれぞれは、種々異な
る程度に、それらが誘導された細胞とは異なる細胞種類
にて活性を向上させる。
【0016】4℃にて代謝活性が減少すると、ヒト角膜
内皮細胞は角膜保持媒地における低温貯蔵に際し有糸分
裂を受けない。本発明により今回、たとえば表皮成長因
子(EGF)、インシュリン様成長因子I(IGF−
I)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、形質転換成長因
子α(TGF−α)、形質転換成長因子β(TGF−
β)、血小板由来の成長因子(PDGF)およびインシ
ュリンなどの1種もしくはそれ以上の成長因子を含有す
る角膜保持溶液は2 〜15℃の好適なアイバンク低貯蔵温
度にて角膜組織の優秀な保持を与えることが突き止めら
れた。この種の低温貯蔵に際し内皮細胞の有糸分裂は生
じない。しかしながら、成長因子が補充された保持溶液
にて角膜を4℃で貯蔵すると共に34〜37℃の体温まで加
温した場合、DNA合成(有糸分裂を示唆する)が刺戟
されて眼組織が向上される。成長因子は成長因子含有溶
液と接触した後の角膜表皮細胞、内皮細胞または他の組
織に対し結合することができる。さらに、角膜はスポン
ジのように作用して徐々に成長因子含有溶液を角膜基質
に放出する。移植後、角膜は予め加えられた溶液および
成長因子を徐々に基質および包囲組織から患者の眼の前
室まで放出する。成長因子は、ヒト眼組織を向上させる
(すなわち低温貯蔵後、特に術後に有糸分裂を刺戟す
る)のに充分な量で溶液中に存在する。しかしながら、
成長因子を含有する血清フリーの医療溶液の作用はヒト
眼細胞に限定されない。
【0017】多くの細胞は最終的に分化して有糸分裂を
受けることができない。しかしながら、一般に特定成長
因子の形態で適する有糸分裂信号を与えれば、細胞サイ
クルIIまで復帰する能力を保持した多くの分化細胞が
存在する。細胞成長は、充分な細胞が発生に際し生産さ
れると共に細胞が適する時点で細胞サイクルに再突入し
て新たな細胞と人体修復および他の機能とに関する要件
が満されるよう確保すべく慎重に調整される。
【0018】内皮細胞の外傷状態は、移植過程に伴う穿
孔および外傷の結果として内皮細胞を処置して、これを
成長因子の刺戟に対し反応させる。
【0019】成長因子は作用する時間を必要とする。こ
れらは数分間以内に或る種の遺伝子の転写を開始させう
るが、このような短時間の刺戟は一般はDNA合成を誘
発するには充分でない。成長因子は数時間にわたり作用
せねばならず、このことは恐らく延長された期間にわた
り信号経路を活性化することができねばならないことを
意味する。長時間刺戟に関するこの必要性は、恐らく各
種の成長因子間に存在する相乗的な相互作用の基礎とな
りうる。成長因子が細胞表面リセプタと結合すれば、こ
れらは細胞をDNA合成に徐々に突入させる一連の現象
を伴う。したがって、所定の日数にわたる角膜からの成
長因子の緩徐な放出は、これら内皮細胞が限られた細胞
分裂を受けるのに必要な連続刺戟を与えることができ
る。
【0020】新規な成長因子含有溶液は血清フリーであ
る。血清補充溶液はヒト角膜内皮細胞にて組織培養で限
られた有糸分裂を刺戟しうるが、ヒト移植のための組織
につき使用する物質に血清が存在すれば多くの欠点をも
たらす。血清は、たとえばウィルス病のような病気を伝
染する物質となりうる。非ヒト由来の血清は免疫反応を
示しうる多くの物質を含有し、血清は全てたとえば内生
毒素のような或る種の物質および細胞有糸分裂を実際に
阻止する成長因子を含有する。これら欠点は本発明の血
清フリーの溶液によって回避される。
【0021】今回、成長因子蛋白の生産に組換DNA技
術を適用して、組織向上および貯蔵性を比較評価するた
め化学的に明確な成長因子含有の角膜保持溶液を処方す
ることを可能にした。組換成長因子も好適であるが、天
然生物源から誘導された成長因子も本発明に有用であ
る。
【0022】表皮成長因子(EGF)、酸性および塩基
性繊維芽細胞成長因子(FGF)、形質転換成長因子α
(TGF−α)および形質転換成長因子β(TGF−
β)、血小板由来の成長因子(PDGF)、インシュリ
ン、並びにインシュリン様成長因子I(IGF−I)
は、その性質および生物学的活性が充分特性化されてい
る公知の蛋白である。これらペプチド成長因子はたとえ
ばクライシス等による最近の論文[バイオテクノロジ
ー、1985年2 月、第135 〜140 頁]および「ホルモン性
蛋白およびペプチド」[U.チョウ・ハオ編、第12巻、
「成長因子」、アカデッミックプレス社(1984)]に記
載されている。
【0023】EGFは、サベジおよびコーヘンの方法
[ジャーナル・バイオロジカル・ケミストリー(197
2)、第257 巻、第7609〜7611頁]にしたがってマウス
唾液腺から従来分離された低分子量蛋白(6040mw)で
ある。ヨーロッパ特許公開EP177,915 公報は、合成遺
伝子で形質転換された大腸菌による組換ヒトEGFの生
産を教示している。
【0024】FGFは天然源から分離されかつ精製され
ている[R.R.ロブ、J.W.ハーパー、J.W.フ
ァット、「ヘパリン結合性成長因子の精製」、アナリチ
カル・バイオケミストリー、第154 巻、第1 〜14頁(19
86)]。組換FGFの生産はヨーロッパ特許公開EP24
8,819 号公報に記載されている。
【0025】EP200,341 号は、ベクターでの真核細胞
の形質転換によるTGF−βの生産を記載している。
【0026】TGF−βを得るための方法はJ.E.デ
ラルコおよびG.E.トダロ、「ネズミ癌腫ウィルス形
質転換細胞からの成長因子」、プロシーディング・ナシ
ョナル・アカデミー・サイエンス、USA、第75巻、第
4001〜4005頁(1978)に記載されている。
【0027】EP219,814 号は、組換ヒトIGF−Iの
生産を教示している。E.リンデルクネヒトおよびR.
E.ハンベルは、天然源からのIGF−Iの生産を教示
している[「非抑制性のインシュリン様かつ細胞成長促
進性の活性を有するヒト血清におけるポリペプチド;分
離、化学特性化、並びに形態IおよびIIの或る種の生
物学的性質」、プロシーディング・ナショナル・アカデ
ミー・サイエンス、USA、第73巻、第2365〜2369頁
(1976)]。
【0028】ここで用いる場合、特記しない限り「成長
因子」という用語は上記のペプチド成長因子、並びにそ
の生物学上活性な断片および誘導体を包含し、角膜内皮
細胞にて生物学上活性な成長因子まで蛋白分解的に処理
しうる先駆体を包含することを意図する。
【0029】角膜保持溶液は周知されている。一般に、
ここで用いるものは栄養源および電解質の水溶液とグリ
コサミノグリカンと腫脹減退剤(deturgescent agent)
と緩衝剤系とエネルギー源と酸化防止剤と膜安定化成分
とを含有する。栄養源および電解質溶液は組織培養の技
術で明確に規定されている。この種の溶液は必須栄養源
と電解質とを細胞維持および細胞成長に必要な最小濃度
で含有する。これら溶液の実際の組成は著しく変化する
ことができる。一般に、これらはたとえばカルシウム、
マグネシウム、鉄、ナトリウムおよびカリウムの炭酸
塩、硝酸塩、燐酸塩、塩化物などの塩類、必須および非
必須アミノ酸、ビタミンおよび他の必須栄養源を含有す
る。
【0030】化学的に明確な基礎栄養培地は、たとえば
ギブコ・ラボラトリース社(3175スタンレーロード、グ
ランド・アイランド、ニューヨーク14073 )およびマイ
クロバイオロジカル・アソシエーツ社[秘書箱127 、ブ
リッグス・フォード・ロード、ウォーカースビル・メリ
ーランド21793 ]からイーグル最小必須培地およびTC
199 の名称で市販されている。角膜貯蔵溶液はこれら栄
養培地から適用されている。本発明に有用な市販の角膜
貯蔵培地はCSM(登録商標)およびデクスソル(登録
商標)を包含し、これらはR.L.リンドストローム、
M.DおよびL.デブラ、B.S.シケイニクにより開
発されてシャイロン・オフタルミックス・インコーポレ
ーション社(アービン、カリホルニア州)から入手でき
る。本発明に有用な他の培地はさらにK−Sol (登録商
標)角膜貯蔵培地、すなわちクーパービジョン・シルコ
社(ベレビュー、ワシントン98008 −5498)の製品、並
びにマッカレー・カウフマン(M−K(登録商標))培
地すなわちシャイロン・オフタルミックス・インコーポ
レーション社(アービン、カルホルニア州)から入手し
うる培地を包含する。表1はTC199 、CSM(登録商
標)、デクスソル(登録商標)およびK−Sol (登録商
標)およびM−K(登録商標)の培地成分の詳細な比較
を示している。
【0031】
【実施例】本発明の組成物および方法に使用するのに好
適な血清フリーの医療溶液は電解質水溶液(たとえば最
小必須培地および/またはTC199 )とグリコサミノグ
リカン(たとえば標準的または精製された高分子量もし
くは低分子量の硫酸ヘパリン、硫酸ヘパラン、硫酸ケラ
チン、硫酸ダーマリン、硫酸コンドロイチン(A、Bも
しくはC異性体)および/またはヒアルウロン酸ナトリ
ウム)を0.01〜100mg /mlの範囲で含有し;腫脹減退剤
(たとえば低分子量もしくは高分子量多糖類、たとえば
デキストラン、硫酸デキストラン、ポリビニルピロリド
ン、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、カルボキシプロピルメチルセルロース)を0.01〜
100mg /mlの範囲で含有し;エネルギー源および炭素源
(たとえばグルコース、ピルベート、フラクトース、デ
キストロース)を0.05〜10mMの範囲で含有し;緩衝剤系
(たとえば重炭酸緩衝剤系およびヒドロキシエチル−ピ
ペリジンエタンスルホン酸、すなわちHEPES緩衝
剤)を0.1 〜100mM の範囲で含有し;生理学的pH(望
ましくは6.8 〜7.6 )を維持するため酸化防止剤(たと
えばアスコルビン酸、2−メルカプトエタノール、グル
タチオン、α−トコフェロール)を0.001 〜10mMの範囲
で含有し;膜安定化剤、たとえばビタミンAおよびB、
レチノ−ル酸および/または補因子、エタノールアミン
およびホスホエタノールアミン、セレニウムおよびトラ
ンスフェリン)を0.01〜500mg /mlの範囲で含有し;さ
らに成長因子(たとえば表皮成長因子(EGF)、イン
シュリン様成長因子I(IGF−I)、インシュリン様
成長因子II(IGF−II)、酸性もしくは塩基性成
長因子(FGF)、形質転換成長因子α(TGF−
α)、形質転換成長因子β(TGF−β)、血小板由来
の成長因子(PDGF)およびインシュリン)を0.001n
g /ml〜1mg /mlの範囲で含有する。
【0032】本発明の医療溶液は、低温度アイバンク貯
蔵の後に内皮細胞有糸分裂を促進するのに充分な量で1
種もしくはそれ以上の成長因子を含有する。剔出された
角膜は角膜貯蔵溶液の容器まで無菌的に移され、次いで
これを密封する。貯蔵および輸送のため、これら角膜は
低温度(たとえば2 〜15℃、最適には4 ℃)に維持され
て、細菌増殖の危険を最小化させると共に角膜組織の代
謝損傷を減少させる。これら低温度においてさえ、内皮
細胞は14日間までの期間にわたり維持しうることが判明
した。組織は少なくとも1時間にわたり室温まで加温さ
れる。角膜を移植すると共に組織を34〜37℃まで加温す
ると、内皮(上皮)細胞は相当な速度で有糸分裂して内
皮(上皮)細胞を増殖することが判明した。生存角膜を
移植用に与える他、細胞の増殖は一層大きい傷治癒をも
たらす。本発明はその範囲から逸脱することなく種々の
改変が可能である。たとえば血清フリーの溶液は任意の
医療用途に使用することができ、眼科学のみに限定され
ない。以下、限定はしないが本発明を実施例によりさら
に説明する。
【0033】操作の方式実施例1 デキストランおよびインシュリンを含む硫酸コンドロイ
チン含有(CSM)溶液低貯蔵温度および低下した代謝
割合の結果として遭遇する形態学的および生化学的変化
に対処するため、インシュリンを硫酸コンドロイチン含
有溶液に添加した。インシュリンは、血漿膜におけるグ
ルコースパーミアーゼの活性を増大させることにより細
胞のグルコース吸収を増加させることが示されている。
グルコースパーミアーゼは、グルコースに対する細胞膜
の浸透性を著しく増大させる。グルコース吸収および異
化作用に対するインシュリンの作用は数分間以内に生
じ、新たな蛋白合成を必要としない。さらにインシュリ
ンを溶液に添加して、高度の代謝上皮細胞層の保持を助
けた。
【0034】一層大きいグルコース吸収を促進する他、
インシュリンは成長因子としても作用することができ
る。インシュリン様成長因子(IGF)およびインシュ
リンは、最初にアミノ酸配列により示され、極く最近で
はcDNAクローン化および配列決定の結果により示さ
れるように、近縁である。インシュリンとIGF−Iと
IGF−IIとは細胞増殖を含め同じ生物学的反応を示
すことができる。このことは、これらが類似または同一
の作用経路を有することを示唆する。
【0035】細胞表面には周知のインシュリンリセプタ
の他に2種類のIGFリセプタが存在する。大抵の細胞
は両種類のIGFリセプタとインシュリンリセプタとを
有する。IGF−I、IGF−IIおよびインシュリン
はインシュリンリセプタおよびI型のIGFリセプタの
両者と相互作用することができ、IGF−IおよびIG
F−IIのみがII型リセプタと相互作用する。これら
3種類のリセプタに対するリガンドの激しい相互反応性
のため、特定の生物学的反応を特定のリセプタに割当る
ことは困難である。事実、所定の培地における多くの細
胞の増殖につき高濃度のインシュリンの要求は、インシ
ュリンでなくI型のIGFリセプタが成長反応に関与し
うることを示唆する。インシュリンおよびヒト角膜内皮
細胞を用いたインビトロの試験は、インシュリンが高生
理濃度で使用した際にこれら細胞の有糸分裂反応を向上
させうることを示す。
【0036】2種類のインシュリン様成長因子リセプタ
が存在する(図6)。I型リセプタは一般に、IGF−
IIよりも緊密にIGF−Iを結合すると共にインシュ
リンに対し弱く相互作用する。II型リセプタはIGF
−IよりもIGF−IIを優先してインシュリンを識別
しない。I型のIGFリセプタとインシュリンリセプタ
との間には多くの類似性が存在する。しかしながら、種
々異なるリガンド結合性、α−サブ単位とβ−サブ単位
との寸法における明確な差、および抗リセプタ抗体に対
する免疫反応性は、これら2種のリセプタを区別するこ
とを可能にする。インシュリンリセプタとI型のIGF
リセプタとの間の類似性は驚異的であり、インシュリン
およびIGFと同様にこれら2種のリセプタも共通の先
祖遺伝子から発生し得ることを示唆する。したがって、
高濃度のインシュリンにおいてインシュリンはIGF−
Iリセプタに弱く結合し、たとえば細胞分裂のような生
物学的反応を説明する。
【0037】デキストランおよびインシュリンが補充さ
れたCSMの安全性および効果を決定するため、先ず最
初にヒト角膜内皮細胞に対するインシュリン濃度投与量
反応曲線を作成した。0.1 μg 、1 μg 、5 μg および
10μg /mlを補充したCSMに露出されたヒト角膜内皮
細胞のDNA合成に関する刺激もしくは阻止の割合を検
査する定量的ビオアッセーを、インシュリンを含まない
CSMと比較した(図1)。予想臨床試験を行なって、
1%デキストランと5 μg /mlの牛インシュリンとが補
充されたCSM溶液に貯蔵すると共に患者に移植された
角膜につき角膜厚さおよび内皮細胞の生存率を評価し
た。
【0038】材料および方法 HCE細胞H3 −チミジン組込みビオアッセー ヒト角膜内皮細胞(第3期、ドナー年齢35才)を分離す
ると共に、上記の方法で11日間にわたり成長融合させ
た。次いで、これら細胞をトリプシン処理すると共に血
清補充CSMに再懸濁させた。69穴の組織培養プレート
に、3 x103 個の細胞/穴1個を200 μl のCSM血清
補充培地の最終容積にて接種した。第3期の細胞を湿潤
培養器にて95%空気:5 %CO2 の雰囲気下で35.5℃に
維持した。付着させるため10%胎児牛血清が補充された
CSM培地中で24時間培養した後、培地を除去しかつ各
ウェルを血清フリーのMEM(イーグル塩および25mMの
HEPESを含む)で1回洗浄した。次いで、これら細
胞を洗浄し、0 μg 、0.1 μg 、1 μg 、5 μg および
10μg /mlの牛インシュリン(シグマ・ケミカル・カン
パニー社、セントルイス、ミズウリ州)が補充されたC
SMと共に培養し、HCE細胞を1μCi/ウェルの3
H−チミジンの存在下に72時間培養した。放射性培地の
吸引および血清フリーのMEMによる2回の細胞の洗浄
によって吸収を終了させた。HCE細胞を0.5 %トリプ
シンで脱着させ、液体シンチレーション計数につき準備
した。H3 −チミジンのカウント数(CPM)は酸不溶
性カウントを示す。1方向変動分析およびニューマン・
ケウルス多重範囲試験を用いて統計有意差(p<0.05)
を評価した。
【0039】臨床試験 アイバンク法 ヒトドナーの眼球をノルマル塩水における1.0 %ポビド
ン沃素に3分間浸漬し、次いでノルマル塩水に1分間浸
漬した。これら眼球を次いで12mlのノルマル塩水により
18ゲージの針が装着された注射器を用いて洗浄した。適
するドナーからの角膜を死亡してから平均13.2時間の後
にミネソタ・ライオンス・アイバンクで剔出し、1%デ
キストラン(40,000mw)と5μg /mlの牛インシュリ
ン(シグマ社、セントルイス、ミズウリ州)とが補充さ
れたCSM培地に入れた。この培地を室温まで加温した
後、角膜をそこに入れた。次いで、角膜を4℃まで冷却
すると共に平均3.8 日間にわたり貯蔵した(範囲1〜9
日間)。
【0040】レシピエントの基準 検討に入るため次のレシピエントの診断を考慮した:無
水晶体水胞症角膜移植術、フックス・ジストロフィー、
偽水晶体水胞症角膜移植術、角膜瘢痕、円錐角膜、角膜
腫瘍、角膜代償不全および移植不全。手術前の検査は、
最良に修正された視力、眼内圧力、細隙灯および眼底検
査の測定で構成した。各患者から適切な承諾を得た。
【0041】外科技術 角膜を移植の時点で室温まで加温した。ドナーのボタン
(buttons )を角膜穿孔プレスで内皮側から切断した。
ヒアルウロン酸ナトリウム(ヒアロン)または硫酸コン
ドロイチンを含むヒアルウロン酸ナトリウム(ビスコー
ル)を全ゆる場合に用いた。手術中および術後の注意は
全ての場合に同様にした。縫合技術は通過11−0 ナイロ
ンもしくはメルシレン(mersilene )縫合糸と12本の中
断10-0縫合糸との組合せで構成した。ゲンタマイシンと
ベ−タメタソンとアンセフとを各過程の終了時に結膜下
に注射した。
【0042】ドナー内皮細胞カウントの評価 蛩角膜リムを、中心角膜ボタンが切除された直後にアリ
ザリンレッドSで染色した。内皮単層の高出力(250
X)写真を写し、各写真からの4個の異なる視野を計数
して角膜内皮細胞のカウントを決定した。各写真は、角
膜の切断縁部に隣接する領域とした。各写真を写す前に
顕微鏡マイクロメータを用いてグリッド面積を検定し
た。手術前の内皮細胞密度は2534±551 細胞/mm2 であ
った。
【0043】術後処理 手術後に全患者は術後の最初の月にわたり毎日4回ネオ
マイシンもしくはゲンタマイシンのドロップを摂取し
た。必要に応じ、局部的ステロイドを投与した。術後の
最初の6ケ月にわたり患者を合併症、拒否反応、角膜血
管形成、充血、外傷漏出、傷の披裂、一貫した上皮欠陥
および全体的な角膜状態につき評価した。中心角膜の超
音波パッチーメトリーを選択された通院時に行なった。
広視野接触ビデオ顕微鏡(クーパービジョン、リーディ
ング社、カリホルニア州)を用いて、中心内皮細胞の記
録を術後3 ケ月(3 ±1 ケ月)、6 ケ月(6 ± 2ケ月)
および12ケ月(12±4 ケ月)で行なった。この試験に用
いた患者の総数は50名とした。細胞損失%は手術前と手
術後との間の細胞密度の差を手術前の細胞密度で割算
し、これに100 を掛けて決定した。
【0044】結果 ヒト角膜腫脹減退試験 CSM−デキストラン−インシュリン培地およびK−So
l 培地にて4℃で7日間にわたり貯蔵したヒト角膜の角
膜厚さ測定の結果を図2に示す。4℃にて7日間貯蔵し
た後にMEMに入れた処理角膜ボタンは25.4%(CSM
−デキストラン−インシュリン培地)および41.6%(K
−Sol 培地)だけ角膜厚さを最初の30分間に増加した。
最初の30分間の培養後には、それ以上の角膜厚さの増加
は認められなかった。
【0045】 HCE細胞H3 −チミジン組込みビオアッセー 図1は0.1 μg 、1 μg 、5 μg および10μg /mlの牛
インシュリンCSMが補充されたCSMと共に培養した
ヒト角膜内皮細胞の平均H3 −チミジン組込みを示して
いる。CSM(平均±SD、7713±622cpm)と0.1 μg
/mlのインシュリン(8405±488cpm)および1 μg /ml
のインシュリン(8234±355cpm)を含むCSMとの間に
は培養したHCE細胞のH3 −チミジン組込みに有意差
が存在しなかった。しかしながら、5 μg および10μg
/mlのインシュリンを含有するCSMと共に培養したH
CE細胞は、CSM単独で培養した細胞と対比してH3
−チミジン組込み(5 μg /ml:9511±841cpm;10μg
/ml:10603 ±2273cpm )において有意の増加を示した
(p<0.05)。
【0046】臨床試験 392 個の角膜を、CSM−デキストラン−インシュリン
溶液を用いて1988年1月から1988年6 月にわたり移植し
た。数名の外科医が培地評価試験に参加し、多くの患者
を術後にその担当医に戻した。50名の患者を1人の外科
医(R.L.L.)によって手術し、次の試験に含ませ
た。角膜ドナーは次の特性を有した:ドナー年齢46.8±
17.1才、剔出時までの死亡5.9 ±6.6 時間、および保存
時までの死亡6.9 ±4.9 時間。4℃における角膜の貯蔵
時間は3.8 ±1.6 日間とした。CSM−デキストラン−
インシュリン移植角膜の100 %が3ケ月後に透明であっ
た。3ケ月および6ケ月における平均内皮細胞増加%は
+4.0 ±15.8%および+8.4 ±16.1%であった(表1
0)。角膜厚さはそれぞれ3ケ月および6ケ月にて0.53
4 ±0.05mmおよび0.549 ±0.05mmであった。術後の眼内
圧力は正常の範囲内であった。このCSM−デキストラ
ン−インシュリン角膜群には一次ドナー欠陥が生じなか
った。
【0047】検討 角膜内皮細胞の形態学的外観は、角膜移植術に関する角
膜適性の主たる決定要因であった。角膜内皮細胞の機能
的状態は通常利用されていない。何故なら、現在の角膜
貯蔵媒地に用いられる浸透圧剤には干渉が存在するから
である。温度逆転試験は角膜内皮細胞の生存性に関する
機能試験と考えられる。角膜水和は基質グリコサミノグ
リカンの一定吸水圧力(すなわち膨脹圧力)と代謝上活
性な内皮細胞内に位置する輸送系との間の動的バランス
の関数である。硫酸コンドロイチン含有の角膜貯蔵培地
を用いるインビトロでの角膜腫脹減退試験は、手術の際
に生ずる角膜水和の程度を予測する方法を与える。全体
的に未処理の角膜に関する角膜厚さ測定は、基質グリコ
サミノグリカンが水性体液に露出された際に遭遇する角
膜膨脹の程度を完全には示唆しない。ヒト角膜に関する
実験結果は、溶液浸透圧の変化が角膜内皮細胞における
顕著な変化なしに角膜厚さの相当な変化をもたらしうる
ことを示す。角膜内に生ずる浸透圧水和もしくは脱水
は、細胞間の空間を流過する水に基づくと思われる。細
胞間の空間は拡張するが、頂点接合部は付着し続ける。
【0048】手術の時点で明らかな一層大きい再発膨脹
を伴うCSM−貯蔵角膜に関連した角膜厚さの増加は、
1%のデキストランと5μg /mlのインシュリンとをC
SM培地に添加してさらに減少した。CSM−デキスト
ラン−インシュリン角膜により一次ドナー欠陥は認めら
れず、内皮細胞保持はCSM培地単独で貯蔵した角膜よ
りも顕著に良好であった。平均内皮細胞密度における中
庸の増加が術後3ケ月および6ケ月にて観察された。
【0049】このCSM−デキストラン−インシュリン
培地の安全性は、ヒト角膜内皮細胞モデルを用いてイン
ビトロ試験により示された。5 μg および10μg /mlの
インシュリンが補充されたCSM−培地と共に培養した
ヒト角膜内皮細胞は、CSM−培地単独で培養した細胞
と対比して顕著なDNA合成の増加を示し、有糸分裂作
用を示した。したがって、硫酸コイドロイチン含有培地
に対するインシュリンの添加は、内皮細胞の生存に対し
悪影響を及ぼさなかった。したがって、この予備試験は
1%デキストランおよび5μg/mlのインシュリンを添加
して手術中の膨脹を減少させると共に一層大きいグルコ
ース吸収を付与しかつ細胞成長を促進するCSMの使用
を裏付ける。
【0050】実施例2 4℃における角膜保持に対する成長因子の作用 表皮成長因子(EGF)は53−残基のポリペプチドであ
って、最初に雄マウスの下顎腺で見出された。このペプ
チドは、新生児マウスに注入すると早発性の瞼開きと切
歯萌出とを誘発することができた。EGFのリセプタは
広く分布し、EGFリセプタを有する多くの細胞種類の
うちにはヒト角膜内皮細胞および上皮細胞がある。ヒト
において、EGFはほぼ全ての体液にて放射線免疫分析
により検出されている。ヒトEGF(hEGF)(すな
わちウロガストロン)はネズミEGF(mEGF)の53
−アミノ酸同族体である。ヒトにおけるEGFの合成部
位は明確でない。
【0051】角膜内皮細胞におけるEGFリセプタの存
在は細胞分裂の有力な能力を示唆すると共に、限られた
ヒト角膜内皮細胞の再生が貫入角膜移植術の後に外傷に
反応してインビボで示されている。通常、無傷の前室環
境において、細胞分裂を刺戟するのに必要な成長因子は
存在しないことも或いは限られた量で存在することもあ
る。前室には細胞成長因子阻止剤も存在して、細胞サイ
クルのDNA合成段階に細胞が入るのを抑制することも
できる。
【0052】極く最近の研究において、本出願人は4℃
の角膜貯蔵後におけるヒト角膜内皮細胞の有糸分裂を誘
発するEGFの能力値を検査することを開始した。正常
な細胞成長を抑制するEGFの重要性は、EGFの作用
方式を理解することに向けられる努力に到った。細胞レ
ベルにて、EGFは多くの細胞種類における静止細胞の
増殖を刺戟する。細胞の増殖状態を変化させ或いは制御
するEGFの生化学メカニズムは複雑である。細胞表面
におけるEGF−リセプタ複合体の形成はこのメカニズ
ムの第1段階を開始させる。生理学的条件下で、EGF
の血漿膜リセプタは急速に飽和される(30〜60分間以
内)。この時間中にEGF−リセプタ複合体に関し2つ
の現象が発生し、いずれか一方または両者が細胞内信号
化に関与する。
【0053】第1に、リセプタに対するEGFの結合
は、リセプタに対し本質的である蛋白キナーゼを活性化
する。cDNA配列から推定されるEGFリセプタは経
膜蛋白であって、膜を1回通過する。このリセプタは2
つのドメインを有するよう示すことができる。分子の1
部分は膜から突出してEGFおよびEGF様リガンドの
ための結合部位を有するドメインを細胞表面上に形成す
る。リセプタの第2の部分は、細胞内環境に面する血漿
膜の細胞質側に位置する。この細胞質ドメインはEGF
リセプタのチロシン特異性蛋白キナーゼ活性を有する。
【0054】蛋白キナーゼ活性の活性化に呼応して、E
GF−リセプタ複合体は細胞表面におけるクラスタの形
成とリガンドおよびリセプタの細胞内一体化(endocyti
c internalization )を含む複雑な現象を受ける。リセ
プタに対するEGFの結合に続き、個々のパッチまたは
細胞膜全体に多数のEGF−EGFリセプタ複合体の蓄
積が生ずる。リガンド−リセプタの集合はEGF一体化
と細胞内処理との開始を示す。EGF−EGFリセプタ
複合体は細胞膜内で横方向に拡散し、クラスリン被覆ピ
ットを介して処理される。EGFの成長促進作用は細胞
リセプタに対するEGFの結合によって達成され、これ
は蛋白のホスホリル化を示し、次いで細胞核に対し成長
信号を伝達する。EGF−リセプタ処理の正確な生化学
は充分理解されていない。EGF−リセプタは循環する
ことができ、或いは一体化した複合体は最終的にリゾソ
ームにて分解される。したがって、EGFリセプタの膜
置換は予備形成された細胞内リセプタから或いは新たな
合成から生ぜねばならない。
【0055】ヒト繊維芽細胞に対するI125 −hEGF
の時間経過は、hEGFの最大結合が37℃にて30〜40分
間の培養後に或いは0 ℃にて2.5 時間の後に生ずること
を示す。これらの結果は、hEGFが低温度にて細胞に
結合することを示す。低温度はエンドシトシスを阻止す
る。他の研究は、hEGFが主として細胞表面上に完全
分子として存在することを示すと共に、hEGFの一体
化および分解の両者が温度依存性であることを示す。
【0056】リガンドの不存在下に、有効リセプタは恐
らく比較的安定な血漿膜集団となる。しかしながら、こ
れらリセプタの細胞内吸収はリガンド結合によって、た
とえばEGFの半最大有糸分裂投与量がそのリセプタの
60%までの一体化を37℃にて5分間以内に生ぜしめるよ
う誘発することができる。
【0057】4℃の角膜貯蔵系は、移植前に角膜に成長
因子を「充填」しうる独特なシステムを与える。4℃の
角膜貯蔵において基質は上皮表面と内皮表面との両者か
ら流体を吸収し、さらに切断縁部にて流体流動が生ず
る。次いで、角膜はスポンジ状となって約0.5ml の流体
を貯蔵の際に吸収する。さらに、EGFは上皮細胞と内
皮細胞との両者に見られるリセプタに結合することもで
きる。結合したEGFは次いで一体化されて、角膜が移
植後に34℃まで加温された後に有糸分裂作用を促進す
る。次いで細胞内EGFは徐々に角膜移植後の48〜96時
間にわたり徐々に放出されうる。
【0058】最初の試験において、本出願人はmEGF
を用いてヒト角膜内皮細胞に対するこの成長因子の有糸
分裂作用を決定した。mEGFおよびhEGFは同様な
生物学的反応を示すが(図4)、これらは異なるアミノ
酸組成を有することが明かであり、これら2種のポリペ
プチドの間には70%のホモロジーが存在する。組換DN
A技術の発生はhEGFの大量生産を可能にし、インビ
トロにおけるヒト細胞に対するヒトポリペプチドの有糸
分裂特性を検査する独特な機会を与えた。
【0059】デキストランとインシュリンとEGFとが
補充されたCSMの安全性および効果を決定するため、
先ず最初にヒト角膜内皮細胞につきEGF濃度投与量反
応曲線を作成した。5 μg 、10μg 、 50 μg および10
0ng /ml のEGFが補充されたCSMに露出したヒト角
膜内皮細胞のDNA合成に関し刺戟もしくは阻止の割合
を検査する定量ビオアッセーを、EGFを含まないCS
Mと対比した(図3)。DNA合成に対するEGFとイ
ンシュリンとの相乗効果を検討するためCSMを 0μg
、0.1 μg 、 1μg 、5 μg および10μg/mlのインシ
ュリンを含む10ng/mlのEGFと比較した。貯蔵時間の
長さおよび角膜内皮細胞の生存率を支持する能力を解析
するインビトロの試験をも行ない、その際7 日間、10日
間および14日間にわたり4℃にてCSM−デキストラン
−インシュリン溶液またはCSM−デキストラン−イン
シュリン−EGF溶液に貯蔵したヒト角膜を用いた。次
いで予想臨床試験を行なって1%デキストラン、5μg/
mlの牛インシュリンおよび10ng/mlのmEGFが補充さ
れたCSM溶液に貯蔵されかつ患者に移植された角膜に
つき角膜厚さと内皮細胞生存率とを評価した。
【0060】材料および方法 HCE細胞H3 −チミジン組込みビオアッセー ヒト角膜内皮細胞(第3期、ドナー年齢28才)を分離
し、9日間にわたり成長融合させた。次いで細胞をトリ
プシン処理すると共に、血清補充CSMに再懸濁した。
96穴の組織培養プレートに、200 μl のCSM血清補充
溶液の最終容積にて3 x103 個の細胞/ウェルを接種し
た。第3期細胞を湿潤化培養器にて95%空気;5 %CO
2 雰囲気下で35.5℃に維持した。付着を可能にするため
10%胎児牛血清が補充されたCSM溶液にて24時間培養
した後、培地を除去し、各ウェルをイーグル塩および25
mMのHEPESを含む血清フリーのMEMで1回洗浄し
た。
【0061】EGF投与量反応曲線:次いで細胞を洗浄
し、0ng 、5ng 、10ng、50ngおよび100ng /mlのmEG
F(コラボラティブ・リサーチ社、レキシントン、マサ
チューセッツ州)が補充されたCSMと共に培養した
(図3)。
【0062】mEGFおよびhEGFを用いるインシュ
リン投与量反応曲線:HCE細胞を0 μg 、0.1 μg 、
1μg 、5 μg および10μg /mlの牛インシュリンが補
充された10ng/mlのmEGFもしくはhEGFを含有す
るCSMと共に培養した(図4)。
【0063】mEGFを用いるインシュリン(牛および
ヒト)投与量反応曲線:HCE細胞を0 μg 、0.1 μg
、1μg 、1.5 μg および10μg /mlの牛もしくはヒ
トインシュリンが補充された10ng/mlのmEGFを含有
するCSMと共に培養した(図2)。
【0064】HCE細胞を1μCi /ウェルのH3 −チ
ミジンの存在下に72時間培養した。放射性培地を吸引す
ると共に細胞を血清フリーのMEMで2回洗浄すること
により吸収を終了させた。HCE細胞を0.5 %トリプシ
ンで脱着させ、液体シンチレーション計数のため準備し
た。H3 −チミジンのカウント数(cpm )は酸不溶性カ
ウント数を示す。1方向変動分析およびニューマン・ケ
ウルス多重範囲試験を用いて統計的有意差(p<0.05)
を評価した。
【0065】 4℃で貯蔵されたヒト角膜のインビトロ評価 ヒトドナー眼球をノルマル塩水における1.0 %ポビドン
沃素に3分間浸漬し、次いでノルマル塩水に1分間浸漬
した。これら眼球を次いで12mlのノルマル塩水で洗浄
し、その際18ゲージ針が装着された注射器を用いた。年
齢または死亡原因のため移植に不適当であるドナーから
の9対の角膜を平均して死亡の12.5時間後にミネソタ・
ライオンス・アイバンクにて剔出し、1%デキストラン
(40,000mw)と5μg /mlの牛インシュリン(シグマ
社、セントルイス、ミズウリ州)とが補充された20mlの
CSM溶液または1%デキストリン(40,000mw)と5
μg/mlの牛インシュリンと10ng/mlのmEGF(コラ
ボラティブ・リサーチ社、レキシントン、マサチューセ
ッツ州)とが補充された20mlのCSMに入れた。溶液を
室温まで加温した後、角膜をそこに入れ、室温に30分間
維持した。次いで、角膜を4℃まで冷却した。3対の角
膜を各培地に3つの異なる時間、すなわち7 日間、10日
間および14日間にわたり貯蔵した。角膜を2時間にわた
り34℃にて加温し、番号付き瓶から除去した後に隠蔽方
式で評価した。角膜を1%トリパンブルーで染色した後
に内皮細胞の生存率を決定したのに対し、膜一体性およ
び細胞境界はアリザリンレッドSで染色した後に評価し
た。中央内皮細胞写真を高出力(250 X)および低出力
(100 X)で写した。
【0066】臨床試験 アイバンク法 ヒトドナーの眼球をノルマル塩水における1.0 %ポビド
ン沃素に3分間浸漬し、次いでノルマル塩水に1分間浸
漬した。これら眼球を、次いで12mlのノルマル塩水によ
り18ゲージ針が装着された注射器を用いて洗浄した。適
するドナーからの角膜を死亡してから平均16.6時間の後
にミネソタ・ライオンス・アイバンクで剔出し、1%デ
キストラン(40,000mw)と5μg /mlの牛インシュリ
ン(シグマ社、セントルイス、ミズウリ州)と10ng/ml
のmEGF(コラボラティブ・リサーチ社、レキシント
ン、MA)とが補充されたCSM溶液に入れた。この溶
液を室温まで加温した後、角膜をそこに入れた。次いで
角膜を室温に30分間維持し、4℃まで冷却すると共に、
平均4.2 日間にわたり貯蔵した(範囲1〜9日間)。
【0067】レシピエントの基準 試験に入るため次のレシピエントの診断を考慮した:無
水晶体水胞症角膜移植術、フックス・ジストロフィー、
偽水晶体水胞症角膜移植術、角膜瘢痕、円錐角膜、角膜
腫瘍、角膜代償不全および移植不全。手術前の検査は、
最良に修正された視力、眼内圧力、細隙灯および眼底検
査の測定で構成した。各患者から適切な承諾を得た。
【0068】外科技術 角膜を移植の前に室温まで加温した(1〜2時間)。ド
ナーのボタンを角膜穿孔プレスで内皮側から切断した。
ヒアルウロン酸ナトリウム(ヒアロン)または硫酸コン
ドロイチンを含むヒアルウロン酸ナトリウム(ビスコー
ル)を全ゆる場合に用いた。手術中および術後の注意は
全ての場合に同様にした。縫合技術は通過11−0 ナイロ
ンもしくはメルシレン縫合糸と12本の中断10-0縫合糸と
の組合せで構成した。ゲンタマイシンとベ−タメタソン
とアンセフとを各過程の終了時に結膜下に注射した。
【0069】ドナー内皮細胞カウントの評価 蛩角膜リムを、中心角膜ボタンが切除された直後にアリ
ザリンレッドSで染色した。内皮単層の高出力(250
X)写真を写し、各写真からの4個の異なる視野を計数
して角膜内皮細胞カウントを決定した。各写真は角膜の
切断縁部に隣接する領域とした。各写真を写す前に顕微
鏡マイクロメータを用いてグリッド面積を検定した。手
術前の内皮細胞密度は2201±570 細胞/mm2 であった。
【0070】術後処理 手術後に全患者は術後の最初の月にわたり毎日4回ネオ
マイシンもしくはゲンタマイシンのドロップを摂取し
た。必要に応じ、局部的ステロイドを投与した。術後の
最初の6ケ月にわたり患者を合併症、拒否反応、角膜血
管形成、充血、外傷漏出、傷の披裂、一貫した上皮欠陥
および全体的な角膜状態につき評価した。中心角膜の超
音波パッチーメトリーを選択された通院時に行なった。
広視野の接触ビデオ顕微鏡(クーパ−ビジョン、リーデ
ィング社、カリホルニア州)を用いて中心内皮細胞の記
録を術後3 ケ月(3 ± 1ケ月)、6 ケ月(6 ±2 ケ月)
および12ケ月(12±4 ケ月)で行なった。この試験に用
いた患者の総数は42名とした。細胞損失%は手術前と手
術後との間の細胞密度の差を手術前の細胞密度で割算
し、これに100 を掛けて決定した。
【0071】結果 HCE細胞H3 −チミジン組込みビオアッセー 図3は0ng 、5ng 、10ng、50ngおよび100ng /mlのmE
GFが補充されたCSMと共に培養したヒト角膜内皮細
胞の平均3H−チミジン組込みを示している。CSM
(平均±SD、5957±676cpm)と共に培養したHCE
と、5ng/mlのmEGFを含むCSM(6260±1131cpm
)または100ng /mlのmEGFを含むCSM(6503±6
28cpm)との間にはH3 −チミジン組込みに有意差が存
在しなかった。10ng/mlのmEGFを含むCSM(8351
±933cpm)および50ng/mlのmEGFを含むCSM(71
52±2018cpm )における顕著な増加がCSM単独と対比
して示された。
【0072】10ng/mlのmEGFもしくはhEGFを含
有する0.1 μg および1 μg /mlの牛インシュリンが補
充されたCSMと共に培養したHCE細胞は、インシュ
リンを含まないEGF比較と対比してH3 −チミジン組
込みにおいて有意差を示さなかった。5 μg および10μ
g /mlの牛インシュリンが補充されmEGFもしくはh
EGFのいずれかを含むCSMと共に培養したHCE細
胞は、インシュリンを含まないEGF比較と対比として
統計的に有意の増加を示した(図4)。
【0073】さらに、10ng/mlのmEGFを含有し0.1
μg および1 μg /mlの牛インシュリンもしくはヒトイ
ンシュリンのいずれかが補充されたCSMと共に培養し
たHCE細胞は、インシュリンを含まないEGF比較と
対比してH3 −チミジン組込みにおいて有意差を示さな
かった。5 μg および10μg /mlの牛インシュリンもし
くはヒトインシュリンが補充されmEGFを含むCSM
と共に培養したHCE細胞は、インシュリンを含まない
EGF比較と対比して統計的に有意の増加を示した(図
2)。
【0074】 4℃にて貯蔵したヒト角膜のインビトロ評価 CSM−デキストラン−インシュリンおよびCSM−デ
キストラン−インシュリン−EGFの両者で貯蔵した角
膜の上皮細胞層の顕微鏡評価は、4℃における7 日間お
よび10日間の貯蔵に際し上皮細胞の最小脱皮を伴ってゆ
るく付着して見えた。両培地につき14日間の貯蔵に際
し、基礎上皮細胞はまだ存在したが浮腫を有して丸味を
おびた。
【0075】CSM−デキストラン−インシュリンおよ
びCSM−デキストラン−インシュリン−EGFの両者
で貯蔵した角膜は内皮細胞膜の一体性を維持すると共
に、4℃で7 日間、10日間および14日間貯蔵した際に明
確に染色された境界を有した。
【0076】臨床試験 CSM−デキストラン−インシュリン−EGF溶液を用
いて1987年6 月から1987年12月にわたり42個の角膜を移
植した。42名の患者を1人の外科医(R.L.L.)で
手術し、次の試験に含ませた。角膜ドナーは次の特性を
有した:ドナー年齢40.4±18.2才、剔出時までの死亡7.
7 ±4.8 時間、および保存時までの死亡8.9 ±5.2 時
間。4℃における角膜の貯蔵時間は4.2 ±1.8 日間であ
った。CSM−デキストラン−インシュリン−EGF移
植角膜の100 %が3ケ月後に透明であった。3 ケ月、6
ケ月および12ケ月における平均内皮細胞増加%(図7)
は+13.0±23.6%、+12.1±30.1% および+10.3±3
3.5%であった(図10)。角膜厚さはそれぞれ3 ケ
月、6 ケ月および12ケ月にて0.554 ±0.04mm、0.553 ±
0.04mmおよび0.553 ±0.04mmであった(図8)。術後の
眼内圧力は正常の範囲内であった(図9)。このCSM
−デキストラン−インシュリン−EGF角膜群において
は一次ドナー欠陥が生じなかった。
【0077】検討 CSM−デキストラン−インシュリン−EGF溶液に貯
蔵した角膜を用いるこの予備臨床試験において、4℃の
角膜貯蔵後にヒト角膜内皮細胞の有糸分裂を誘発するE
GFの使用の能力値を検査することを開始した。CSM
−デキストラン−インシュリン−EGF角膜により一次
ドナー欠陥が認められず、内皮細胞保持はCSM溶液単
独にて貯蔵された角膜よりも顕著に良好であった。平均
内皮細胞密度の増加が術後3 ケ月、6 ケ月および12ケ月
にて観察された。正常な角膜厚さおよび眼内圧力が術後
の追跡期間にわたり維持された。
【0078】4℃の角膜貯蔵系において、角膜には移植
前に成長因子を予備充填することができる。移植後、こ
れら成長因子は前室中に徐々に放出されて、内皮細胞に
対する長時間の接触を与えることができる。角膜移植後
の最初の数日間にわたり、細胞が有糸分裂を受けるよう
刺戟される良好な機会が存在する。
【0079】細胞寿命における重要な期間は各有糸分裂
の直後に生じ、細胞サイクル内に残存するかどうかに関
し域値に達する。初期の発現に際し細胞は細胞サイクル
内に留まる傾向を有するが、細胞数が増加するにつれて
細胞群は成長を停止してGO期に入り、その間これらは
分化して或る種の特定機能を果す。多くの細胞は最終的
に分化して、有糸分裂を受けることができない。しかし
ながら、一般に特定成長因子の形態にて適当な有糸分裂
信号を与えれば、細胞サイクルに復帰する能力を保持し
た多くの分化細胞が存在する。たとえばEGFおよびイ
ンシュリンのような成長因子は、限られた内皮細胞有糸
分裂を促進する刺戟を与えうると思われる。したがっ
て、所定日数にわたる角膜からの成長因子の遅い放出
は、これら内皮細胞が限られた細胞分裂を受けるのに要
する連続刺戟を与えることができる。
【0080】このCSM−デキストラン−インシュリン
−EGF溶液の安全性が、ヒト角膜内皮細胞モデルを用
いるインビトロ試験で示された。EGFおよびインシュ
リンの有効濃度を、ヒト角膜内皮細胞H3 −チミジン組
込みビオアッセーを用いて決定した。10ng/mlのmEG
Fを5μg /mlの牛インシュリンと組合せて用いること
により、最適な有糸分裂作用を示した。さらに、組換h
EGFおよびヒトインシュリンはヒト角膜内皮細胞のD
NA合成の刺戟に関しその有糸分裂特性にて類似してい
た。7 日間、10日間および14日間にわたりCSM−デセ
キストラン−インシュリン−EGF溶液に貯蔵したヒト
角膜のインビトロ試験は、正常な完全内皮細胞の単層を
維持した。したがって、硫酸コンドロイチン含有溶液に
対するEGFの添加は内皮細胞の生存に悪影響を与えな
かった。すなわち、この予備試験は手術中の腫れを減少
させると共に一層大きいグルコース吸収を与え、さらに
内皮細胞の有糸分裂能力を向上させるため1%デキスト
ラン、5μg /mlのインシュリンおよび10ng/mlのEG
Fを添加したCSMの使用を裏付ける。
【図面の簡単な説明】
【図1】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対するH3 −チミジン組込みを刺戟する牛インシュ
リンの投与量反応曲線を示し、
【図2】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対するH3 −チミジン組込みを刺戟する牛インシュ
リンおよびヒト組換インシュリンの投与量反応曲線を示
し、
【図3】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対するH3 −チミジン組込みを刺戟するmEGFの
投与量反応曲線を示し、
【図4】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対するH3 −チミジン組込みを刺戟するmEGF、
組換hEGFおよびインシュリンの投与量反応曲線を示
し、
【図5】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対する経時的なH3−チミジン組込みを刺戟するh
EGFの投与量反応曲線を示し、
【図6】はインビトロにおけるヒト角膜内皮細胞のDN
Aに対するH3 −チミジン組込みを刺戟するインシュリ
ン様成長因子I(IGF−I)およびインシュリン様成
長因子II(IGF−II)の投与量反応曲線を示し、
【図7】は10ng/mlのmEGFと5 μg /mlのインシュ
リンとを含有する角膜保持溶液に貯蔵した後に患者に移
植されたヒト角膜の内皮細胞密度における術後の変化%
を示し、
【図8】は10ng/mlのmEGFと5 μg /mlのインシュ
リンとを含有する角膜保持溶液に貯蔵した後に患者に移
植されたヒト角膜の術後の角膜厚さを示し、
【図9】は10ng/mlのmEGFと5 μg /mlのインシュ
リンとを含有する角膜保持溶液に貯蔵されたヒト角膜を
移植した患者の眼内圧力を示し、
【図10】はTC199 、CSM(登録商標)、デクスソ
ル(登録商標)およびK−Sol (登録商標)およびM−
K(登録商標)の培地成分の詳細な比較を示し、
【図11】はTC199 、CSM(登録商標)、デクスソ
ル(登録商標)およびK−Sol (登録商標)およびM−
K(登録商標)の培地成分の詳細な比較を示し、
【図12】はTC199 、CSM(登録商標)、デクスソ
ル(登録商標)およびK−Sol (登録商標)およびM−
K(登録商標)の培地成分の詳細な比較を示し、
【図13】はデクスソル(登録商標)、5 μg /mlのイ
ンシュリンが補充されたデクスソル(登録商標)、およ
び10ng/mlのEGFと5 μg /mlのインシュリンとが補
充されたデクスソル(登録商標)に貯蔵された角膜から
の術後患者データの詳細な比較を示す。
フロントページの続き (72)発明者 リチャード エル.リンドストローム アメリカ合衆国、ミネソタ州 55331、エ クセシオール、レイクビュー アベニュー 20050 (72)発明者 デブラ スケルニック アメリカ合衆国、ミネソタ州 55008、ケ ンブリッジ、ルート 5、ボックス 344

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a.水性の栄養源および電解質の水溶液
    と; b.グリコサミノグリカンと; c.腫脹減退剤と; d.緩衝剤系と; e.エネルギー源と; f.酸化防止剤と; g.成長因子と からなることを特徴とする少なくとも1種もしくはそれ
    以上の成長因子を含有する血清フリーの医療溶液。
  2. 【請求項2】ヒト角膜組織を含む眼組織を低温度(2 〜
    15℃)にて生理学的pH(6.8 〜7.8 )で維持すると共
    にその保持を向上させる少なくとも1種もしくはそれ以
    上の成長因子を含有し、 a.水性栄養源および電解質の水溶液と; b.グリコサミノグリカンと; c.腫脹減退剤と; d.緩衝剤系と; e.エネルギー源と; f.酸化防止剤と; g.膜安定化成分と; h.抗生物質および/または抗菌性物質と; i.成長因子と からなることを特徴とする血清フリーの医療溶液。
  3. 【請求項3】成長因子がポリペプチドである請求項2に
    記載の血清フリーの溶液。
  4. 【請求項4】成長因子が組換体である請求項2に記載の
    血清フリーの溶液。
  5. 【請求項5】成長因子が天然生物源から誘導される請求
    項2に記載の血清フリーの溶液。
  6. 【請求項6】成長因子が表皮成長因子(EGF)、酸性
    もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FGF)、形質転
    換成長因子α(TGF−α)、形質転換成長因子β(T
    GF−β)、インシュリン様成長因子I(IGF−I)
    およびインシュリン様成長因子II(IGF−II)お
    よびインシュリンの1種もしくはそれ以上である請求項
    2に記載の血清フリーの溶液。
  7. 【請求項7】基礎培地がイーグル最小必須培地(ME
    M)からなる請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  8. 【請求項8】基礎培地がTC199 からなる請求項2に記
    載の血清フリーの溶液。
  9. 【請求項9】成長因子がインシュリンである請求項2に
    記載の血清フリーの溶液。
  10. 【請求項10】成長因子が約0.001ng /ml〜1mg /mlの
    濃度のインシュリンである請求項2に記載の血清フリー
    の溶液。
  11. 【請求項11】成長因子が約10μg /mlの濃度のインシ
    ュリンである請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  12. 【請求項12】成長因子が約10μg /mlの濃度のヒト組
    換インシュリンである請求項2に記載の血清フリーの溶
    液。
  13. 【請求項13】成長因子がEGFである請求項2に記載
    の血清フリーの溶液。
  14. 【請求項14】成長因子が約0.001ng /ml〜1mg /mlの
    濃度のEGFである請求項2に記載の血清フリーの溶
    液。
  15. 【請求項15】成長因子が約10ng/mlの濃度のEGFで
    ある請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  16. 【請求項16】成長因子が約10ng/mlの濃度のヒト組換
    EGFである請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  17. 【請求項17】成長因子がインシュリンおよびEGFで
    ある請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  18. 【請求項18】成長因子が約0.001 ng/ml〜1mg /mlの
    濃度のインシュリンおよびEGFである請求項2に記載
    の血清フリーの溶液。
  19. 【請求項19】成長因子が約10μg /mlの濃度のインシ
    ュリンであり、EGFが約10ng/mlの濃度である請求項
    2に記載の血清フリーの溶液。
  20. 【請求項20】成長因子が約10μg /mlの濃度のヒト組
    換インシュリンであり、ヒト組換EGFが約10ng/mlの
    濃度である請求項2に記載の血清フリーの溶液。
  21. 【請求項21】ヒト角膜組織を含む眼組織を低温度(2
    〜15℃)にて生理学的pHで維持すると共にその保持を
    向上させる少なくとも1種もしくはそれ以上の成長因子
    を含有し、 A.1.イーグル最小必須培地(MEM)、 2.TC199 培地、 3.イーグル最小必須培地(MEM)とTC199 との組
    合せ よりなる群から選択される栄養源および電解質の水溶液
    と; B.1.硫酸コンドロイチン、 2.硫酸ダーマリン、 3.硫酸ヘパリン、 4.硫酸ケラチン、 5.ヒアルウロン酸 よりなる群から選択される0.01〜100mg /mlの範囲のグ
    リコサミノグリカンと; C.1.デキストラン、 2.硫酸デキストラン、 3.ポリビニルピロリドン、 4.ポリ酢酸ビニル、 5.ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 6.カルボキシプロピルメチルセルロース よりなる群から選択される0.01〜100mg /mlの範囲の腫
    脹減退剤と; D.1.重炭酸緩衝剤、 2.HEPES緩衝剤 よりなる群から選択される0.1 〜100mM の範囲の緩衝剤
    系と; G.1.グルコース、 2.ピルベート、 3.フラクトース、 4.デキストロース よりなる群から選択される0.05〜10mMの範囲のエネルギ
    ー源と; F.1.アスコルビン酸、 2.2−メルカプトエタノール、 3.グルタチオン、 4.α−トコフェロール よりなる群から選択される0.001 〜10mMの範囲の酸化防
    止剤と; G.1.ビタミンA、 2.ビタミンB、 3.レチノ−ル酸、 4.エタノールアミン、 5.ホスホエタノールアミン、 6.セレニウム、 7.トランスフェリン よりなる群から選択される0.01〜500mg /mlの範囲の膜
    安定化成分と; H.1.ゲンタマイシン、 2.フンギゾン よりなる群から選択される0.1 μg /ml〜1mg /mlの範
    囲の抗生物質および/または抗菌物質と; I.1.表皮成長因子(EGF)、 2.インシュリン様成長因子I(IGF−I)、 3.インシュリン様成長因子II(IGF−II)、 4.酸性もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FG
    F)、 5.形質転換成長因子α(TGF−α)、 6.形質転換成長因子β(TGF−β)、 7.血小板由来の成長因子(PDGF)、 8.インシュリン よりなる群から選択される0.001ng /ml〜1mg /mlの範
    囲の成長因子とからなることを特徴とする血清フリーの
    溶液。
  22. 【請求項22】成長因子がポリペプチドである請求項2
    1に記載の血清フリーの溶液。
  23. 【請求項23】成長因子が組換体である請求項21に記
    載の血清フリーの溶液。
  24. 【請求項24】成長因子が天然生物源から誘導される請
    求項21に記載の血清フリーの溶液。
  25. 【請求項25】成長因子が表皮成長因子(EGF)、酸
    性もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FGF)、形質
    転換成長因子α(TGF−α)、形質転換成長因子β
    (TGF−β)、インシュリン様成長因子I(IGF−
    I)、インシュリン様成長因子II(IGF−II)お
    よびインシュリンの1種もしくはそれ以上である請求項
    21に記載の血清フリーの溶液。
  26. 【請求項26】成長因子がインシュリンである請求項2
    1に記載の血清フリーの溶液。
  27. 【請求項27】成長因子が約0.001ng /ml〜1mg /mlの
    濃度のインシュリンである請求項21に記載の血清フリ
    ーの溶液。
  28. 【請求項28】成長因子が約10μg /mlの濃度のインシ
    ュリンである請求項21に記載の血清フリーの溶液。
  29. 【請求項29】成長因子が約10μg /mlの濃度のヒト組
    換インシュリンである請求項21に記載の血清フリーの
    溶液。
  30. 【請求項30】成長因子がEGFある請求項21に記載
    の血清フリーの溶液。
  31. 【請求項31】成長因子が約0.001ng /ml〜1mg /mlの
    濃度のEGFである請求項21に記載の血清フリーの溶
    液。
  32. 【請求項32】成長因子が約10ng/mlの濃度のEGFで
    ある請求項21に記載の血清フリーの溶液。
  33. 【請求項33】成長因子が約10ng/mlの濃度のヒト組換
    EGFである請求項21に記載の血清フリーの溶液。
  34. 【請求項34】成長因子がインシュリンおよびEGFあ
    る請求項21に記載の血清フリーの溶液。
  35. 【請求項35】成長因子が約0.001ng /ml〜1mg /mlの
    濃度のインシュリンおよびEGFである請求項21に記
    載の血清フリーの溶液。
  36. 【請求項36】成長因子が約10μg /mlの濃度のインシ
    ュリンであり、EGFが約10ng/mlの濃度である請求項
    21に記載の血清フリーの溶液。
  37. 【請求項37】成長因子が約10μg /mlの濃度のヒト組
    換インシュリンであり、ヒト組換EGFが約10ng/mlの
    濃度である請求項21に記載の血清フリーの溶液。
  38. 【請求項38】保持工程を約2 〜約15℃にて行なう請求
    項2に記載の血清フリーの溶液。
  39. 【請求項39】角膜移植術の前に眼組織の品質を向上さ
    せるに際し、約2 〜15℃にて前記組織を1種もしくはそ
    れ以上の成長因子を含有する血清フリーの溶液に貯蔵
    し、さらに前記組織を約34℃まで加温することを特徴と
    する眼組織の品質を向上させる方法。
  40. 【請求項40】成長因子が 1.表皮成長因子(EGF)、 2.インシュリン様成長因子I(IGF−I)、 3.インシュリン様成長因子II(IGF−II)、 4.酸性もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FG
    F)、 5.形質転換成長因子α(TGF−α)、 6.形質転換成長因子β(TGF−β)、 7.血小板由来の成長因子(PDGF)、 8.インシュリン よりなる群から選択される1種もしくはそれ以上である
    請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】保持工程を約2 〜約15℃にて行なう請求
    項21に記載の血清フリーの溶液。
  42. 【請求項42】角膜移植術の前に眼組織の品質を向上さ
    せるに際し、約2 〜15℃にて前記組織を1種もしくはそ
    れ以上の成長因子を含有する血清フリーの溶液に貯蔵
    し、さらに前記組織を約34℃まで加温することを特徴と
    する眼組織の品質を向上させる方法。
  43. 【請求項43】成長因子(0.001ng /ml〜1mg /mlの範
    囲)を、 1.表皮成長因子(EGF)、 2.インシュリン様成長因子I(IGF−I)、 3.インシュリン様成長因子II(IGF−II)、 4.酸性もしくは塩基性繊維芽細胞成長因子(FG
    F)、 5.形質転換成長因子α(TGF−α)、 6.形質転換成長因子β(TGF−β)、 7.血小板由来の成長因子(PDGF)、 8.インシュリン よりなる群から選択する請求項42に記載の方法。
  44. 【請求項44】ドナー角膜組織を剔出し、前記組織を貯
    蔵し、次いで前記組織をレシピエント患者に移植するこ
    とからなる貫入角膜移植法において、前記組織を約2 〜
    15℃にて1種もしくはそれ以上の成長因子からなる血清
    フリーの溶液に貯蔵することを特徴とする貫入角膜移植
    法。
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