JPH0648553Y2 - 電子楽器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、楽器の鍵盤部をスライド蓋で覆った電子楽
器に関するものである。

〔従来の技術〕 近年、電子楽器は、電子技術の発達に伴い、高機能、高
性能化が進められる一方、外観的にも高品位化が求めら
れている。

従来のこの種の電子楽器を第５図に基づいて説明する。

この電子楽器は、第５図に示すように、天板51と一対の
側板52と棚板56からなるキャビネット57の内部に、複数
の短冊板を並べてなるスライド蓋55を収納できるように
している。

キャビネット57の一対の側板52のキャビネット57内部側
には、スライド蓋55を保持し案内するスライドレール54
がそれぞれ設けられている。スライドレール54は、逆Ｌ
字形状に形成されており、スライド蓋55を表裏から挟む
ようにして保持している。キャビネット57の下部には、
スピーカボックス（図示せず）が設けられている。53は
電子楽器前面にスライド蓋55を案内するガイド部材を示
している。

この電子楽器のスライド蓋55は、スライド蓋55の表面お
よび裏面がスライドレール54に摺動して移動し、天板51
の下面からキャビネット57の内部へ収納され、またキャ
ビネット57の内部から引き出される。

〔考案が解決しようとする課題〕

この電子楽器は、スライド蓋55のキャビネット57への収
納またはキャビネット57からの引き出し時に、スライド
蓋55の表面がスライドレール54に接触するため、スライ
ド蓋55の表面に傷が付くという問題があった。

また、スライドレール54の形状が逆Ｌ字形であるため、
スライド蓋55が天板51の下面のスライドレール54のコー
ナー部を通って直線部分へ移動するときや、また逆方向
に移動するときに、スライド蓋55の互いに隣接する短冊
板の端面同士が衝突して異音を発生し、不快感を与える
という問題があった。

したがって、この考案の目的は、スライド蓋の収納また
は引き出し時にスライド蓋の表面に傷が付くことを防
ぎ、かつ異音の発生を防止することができる電子楽器を
提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この考案の電子楽器は、キャビネットの一対の側板のキ
ャビネット内部側にそれぞれ直線部分のない曲面からな
るスライドレールを設け、スライド蓋の裏面のスライド
レールに対応した複数の位置にスライドレールにスライ
ド自在に係合する係合部材を設け、スライド蓋を係合部
材によりスライドレールに保持したことを特徴としてい
る。

〔作用〕

この考案の構成によれば、スライド蓋の裏面に設けたス
ライド自在の係合部材により、スライド蓋をスライドレ
ールに保持させたので、スライド蓋の収納または引き出
し時に、スライド蓋の裏面のみがスライドレールに沿っ
て摺動し、スライド蓋の表面とスライドレールとは接触
しない。しかも、スライドレールを直線部分のない曲面
からなるレールとしたので、スライド蓋のそれぞれの短
冊板間に隙間があき、互いに隣接する短冊板の端面同士
が衝突することがない。

〔実施例〕

この考案の電子楽器の実施例を第１図ないし第４図に基
づいて説明する。

この電子楽器は、第１図および第２図に示すように、手
鍵盤10を有するキャビネット11と、スピーカボックス８
と足鍵盤９とを有するキャビネット７とからなる。キャ
ビネット11は、天板１と一対の側板２と複数の短冊板
５′を並べてなるスライド蓋５と棚板６とからなり、ス
ライド蓋５をキャビネット11の内部に収納する。

キャビネット11の一対の側板２のキャビネット11内部側
には、直線部分のない曲面からなるスライドレール４が
設けられている。スライド蓋５の裏面には、スライドレ
ール４に対応した複数の位置に係合部材13が設けられて
いる。係合部材13は、スライドレール４とスライド自在
に係合し、スライド蓋５をスライドレール４に保持して
いる。また、キャビネット７内部の上部には、棚板14が
設けられている。12は上部のキャビネット11と下部のキ
ャビネット７とを接続する接続部を示している。

この電子楽器は、スライド蓋５の収納時に、スライド蓋
５をキャビネット11の後方に押し込む方向に力を加える
と、スライド蓋５がキャビネット11のガイド部材３およ
びスライドレール４に案内されてキャビネット11内部に
収納される。このとき、スライド蓋５は、第３図および
第４図に示すように、スライド蓋５の裏面に設けられた
係合部材13がスライドレール４をスライドして移動する
ため、スライド蓋５の裏面のみがスライドレール４に沿
って摺動することになる。したがって、スライド蓋５の
表面がスライドレール４と接触することがない。また、
スライドレール４を直線部のない曲面からなるレールと
したので、スライド蓋５の移動時にスライド蓋５のそれ
ぞれの短冊板５′間に隙間Ａができ、互いに隣接する短
冊板５′の端面同士が衝突することがなくなる。この結
果、スライド蓋５の表面の傷の発生およびスライド蓋５
の収納時に発生する異音の発生を無くすことができる。

また、スライド蓋５をキャビネット11の内部から引き出
すときも同様の効果がある。

なお、この実施例の電子楽器においては、キャビネット
11とキャビネット７とを分離できる電子楽器に用いて説
明したが、上部と下部とを分離しないキャビネットを使
用した電子楽器にも同様に適用することができる。

〔考案の効果〕

この考案の電子楽器は、直線部分のない曲面からなるス
ライドレールに、スライド蓋の裏面に設けたスライド自
在の係合部材によりスライド蓋を保持させたので、スラ
イド蓋の収納または引き出し時に、スライド蓋の表面と
スライドレールとが接触することがない。また、スライ
ド蓋の互いに隣接する短冊板の端面同士が衝突すること
がなくなる。この結果、スライド蓋の表面の傷の発生お
よびスライド蓋の収納および引き出し時の異音の発生を
なくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の斜視図、第２図は第１図
の要部を破断した側面図、第３図は第１図の要部の拡大
断面図、第４図は第３図の斜視図、第５図は従来の電子
楽器の一部を破断した側面図である。 ４…スライドレール、５…スライド蓋、５′…短冊板、
11…キャビネット、13…係合部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の短冊板を並べてなるスライド蓋をキ
   ャビネットの内部に収納する電子楽器において、前記キ
   ャビネットの一対の側板の前記キャビネット内部側にそ
   れぞれ直線部分のない曲面からなるスライドレールを設
   け、前記スライド蓋の裏面の前記スライドレールに対応
   した複数の位置に前記スライドレールにスライド自在に
   係合する係合部材を設け、前記スライド蓋を前記係合部
   材により前記スライドレールに保持したことを特徴とす
   る電子楽器。