JPH0647676A - 砥石の製造方法 - Google Patents

砥石の製造方法

Info

Publication number
JPH0647676A
JPH0647676A JP18995992A JP18995992A JPH0647676A JP H0647676 A JPH0647676 A JP H0647676A JP 18995992 A JP18995992 A JP 18995992A JP 18995992 A JP18995992 A JP 18995992A JP H0647676 A JPH0647676 A JP H0647676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
binder
abrasive grains
grindstone
base material
abrasive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP18995992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2565622B2 (ja
Inventor
Masami Nimata
正美 二俣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NIITORETSUKUSU HONSHA KK
Original Assignee
NIITORETSUKUSU HONSHA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NIITORETSUKUSU HONSHA KK filed Critical NIITORETSUKUSU HONSHA KK
Priority to JP4189959A priority Critical patent/JP2565622B2/ja
Publication of JPH0647676A publication Critical patent/JPH0647676A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2565622B2 publication Critical patent/JP2565622B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プレス加工等を経ることなく、簡単かつ設計
変更にも柔軟に対応することができ、メタルボンド砥石
に対しても適度な空孔を存在させることができる砥石の
製造方法を提供すること。 【構成】 SiC砥粒(融点2830℃,寸法75−3
0μm)と、Ni−Al粉末(融点1455℃,寸法5
3−10μm)とを、4:6〜10:1に混合した溶射
材を、溶射距離を30〜150mmと変えて、熱源温度
3100℃の条件でガス溶射することで溶射により軟鋼
板の表面に砥石層を形成する。いずれの場合にも、砥粒
を酸化させることなく空孔を有するメタルボンド砥石層
を形成することができる。この空孔の割合は、SiCの
混合比を増すことにより増大させることができ、溶射距
離を50mmより小さくすることでも大幅に増大させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、砥石の製造方法に係
り、特に、簡単に砥石を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の砥石の一般的な製造方法は、砥粒
と結合剤とを計量混合し、これに一時的に接着剤を加え
たりして金型で所定形状の成形体にプレス加工し、この
成形体を加熱装置にセットして徐々に加熱して所定の高
温状態にし、この状態で保持して結合剤の溶融固化や磁
器質化を待ち、その後徐冷するというものであった。
【0003】なお、いわゆるビトリファイドボンド砥石
の製造においては、多数の空孔が存在するものがあっ
た。一方、いわゆるメタルボンド砥石の製造において
は、この様な空孔は形成されないのが普通であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この様に、従来の製造
方法では、成形,プレス,加熱,定温保持及びその後の
徐冷ときわめて多くの工程を要し、砥石の製造に時間が
かかるという問題があった。また、プレス成形に必要な
金型を用意しなくてはならず、砥石形状の変更が容易で
はなく、今日、要求度の高い総型砥石の製造は実質上不
可能であった。さらに、接着剤を用いる場合があり、加
熱,定温保持の際にこの接着剤がガス化するため、作業
環境として好ましくないという問題もあった。
【0005】加えて、砥石における適度の空孔の存在
は、切込み量の増大や研削熱の発散や目詰まり防止など
に一定の効果を奏するが、従来の製造方法ではメタルボ
ンド砥石についてこれらの効果を期待することは難しか
った。なお、かなり特殊な製造方法によってメタルボン
ド砥石でも空孔を有する砥石を製造可能ではあったが、
種々の空孔率のものを簡単に製造することはできなかっ
た。。
【0006】さらに、従来の製造方法では、砥石成形体
が長時間にわたって高温状態に保たれるため、砥粒の酸
化によって砥粒本来の硬度やじん性が変化したり、砥粒
の溶融によって砥粒本来の鋭利度が低下するなどの問題
もあった。そこで、こうした従来の問題点を解決し、簡
単に砥石を製造することができ、また設計変更にも柔軟
に対応することができる砥石の製造方法を提供すること
を目的とし、加えて、メタルボンド砥石に対しても適度
な空孔を存在させることができ、しかもその空孔率の調
整も簡単な製造方法を提供すること、及び、砥粒本来の
硬度やじん性を損なうことのない製造方法としてこれら
を提供することを目的として本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】かかる目的を達
成するためなされた本発明の砥石の製造方法において
は、その構成として、砥粒と結合剤とを溶射材料として
母材表面に溶射することで、母材表面に砥粒含有層を形
成する砥石の製造方法を採用した。
【0008】この砥石の製造方法によれば、砥粒と結合
剤とは母材に向かって吹き付けられる間に加熱され、特
に結合剤は溶融あるいは半溶融の状態になって、砥粒と
共に母材表面に打ち付けられる。この際、結合剤は偏平
化して砥粒を固着維持し、空気を巻き込んだ状態で母材
表面に付着し、砥粒と空孔を含有した層を形成する。な
お、溶射によって砥粒が高温に曝される時間は短いの
で、溶射中の砥粒の酸化はほとんど生じない。
【0009】ここで、前記結合剤として砥粒よりも融点
の低い材料を用い、前記溶射に当たっては、結合剤を溶
融又は半溶融状態とするが砥粒については固体状態を維
持しかつ組織変化も生じさせない加熱条件を用いること
とすることで、結合剤は良好な付着性能を発揮しつつ砥
粒は鋭利度を損なうことがなく、母材表面においては、
鋭利度の良好な砥粒を含有した付着層を形成することが
できる。
【0010】これらの砥石の製造方法において、請求項
3に記載する様に、前記結合剤として金属又は合金を用
いることとすることができる。溶射される結合剤は、加
熱・溶融の程度と母材への打ち付け速度とに応じて偏平
化した状態で母材に付着する。この偏平化した結合剤が
母材に付着する際に、砥粒と共に空気を巻き込むので、
砥粒層中に空孔が形成される。この空孔は、結合剤の偏
平化の度合によって多くなったり少なくなったりする。
また、偏平化する結合剤の割合とその様なことのない砥
粒の割合とを調整しても空孔は多くなったり少なくなっ
たりする。従って、例えば結合剤の溶融状態と母材への
打ち付け速度とを調整すれば、種々の空孔率の砥石を製
造することができる。具体的には、例えば溶射距離を調
整する手法をあげることができる。また、溶射材料にお
ける砥粒と結合剤の混合比を調整しても空孔率を変える
ことができる。
【0011】
【実施例】次に、本発明の砥石の製造方法を実証した実
施例を説明する。実施例は、軟鋼製の板を母材とし、そ
の表面に、SiC砥粒を含有するメタル層をガス溶射に
よって形成するというものである。
【0012】ガス溶射装置としては、メテコ(METC
O)社製ガス溶射装置タイプ5Pを用いた。この溶射装
置は、図1に示す様に、溶射ガン1と、この溶射ガン1
にO2 ガス及びC2 H2 ガスを供給するガスコントロー
ルユニット3と、溶射ガン1に溶射材料吹き付け圧を加
重する圧縮空気コントロールユニット5と、溶射材料が
粉末容器から溶射ガン1に至るまでに橋絡してひっかか
ってしまうのを防止するための機械的な振動を与えるバ
イブレータ7とを備えたものである。
【0013】なお、O2 ガス及びC2 H2 ガスの点火圧
力とガス流量条件とを表1に示す通りに設定して以下の
各溶射試験を行った。この溶射試験における熱源温度は
3100℃であり、結合剤としてのNi−AlやAlは
溶融状態となるものの、融点が高いことから、溶射材料
中のSiC砥粒(融点2830℃)は溶融されることは
ない。
【0014】
【表1】
【0015】溶射材料としては、表2に示す様な融点及
び寸法のSiC砥粒と、Ni−Al粉末又はAl粉末と
を後述の条件に従って混合して用いた。
【0016】
【表2】
【0017】まず、最初に、下表の様に溶射条件を設定
して溶射を行い、図2に示す様に、外径150mm,板
厚15mmで中央に直径31.75mmの軸孔と直径5
0mmの凹部とを有する軟鋼製の円板状母材21の片側
表面に、幅50mm,厚さ2mmのリング状の溶射層2
3を形成した。これは、いわゆる6A2型砥石(150
D×15T×31.75H×50W)に相当するもので
ある。
【0018】
【表3】
【0019】これら条件a〜cにより母材上に形成した
溶射層から(長さ)×(幅)×(厚さ)=50×20×
3mmの試料を切り出し、顕微鏡観察した際の断面写真
を図3に示す。この断面写真から明かな様に、条件aで
は砥粒:結合剤=4:6で混合したにもかかわらず、視
野内に分布している砥粒の数は極めて少なかった。即
ち、砥粒の大部分は溶射層中に保持されず、失われてし
まったということを意味する。
【0020】この原因としては、燃焼ガス炎温度は、元
々は約3100℃と、結合剤としてのNi−Alの融点
(1455℃)に比べれば十分に高いものの、圧縮空気
の供給によってガス炎温度がこれよりも低下し、結合剤
が十分に溶融された状態で母材表面に吹き付けられなか
ったためと考えられる。このことは、融点の低いAl結
合剤による条件bの場合や、Ni−Al結合剤であって
も圧縮空気を使用しない条件cの場合には、断面写真に
おいて多くの砥粒が見られていることからも理解され
る。なお、図3の断面写真からは、条件aと条件cとで
は砥粒率の差だけでなく、条件cの方が空孔が多くなっ
ているということもわかる。これは、圧縮空気が供給さ
れないので、溶射材料の吹き付け速度が低下したため、
空孔ができ易くなったためと考えられる。なお、写真
中、最も色の薄いところが結合剤であり、最も色の濃い
ところが空孔であり、中間的な色のところが砥粒であ
る。
【0021】次に、表4に示す様に溶射条件を設定して
溶射を行った。
【0022】
【表4】
【0023】なお、一般に表面改質などのために行われ
る溶射の際の溶射距離は、100〜250mmとされて
いるが、上記条件1,2は、これらよりも相当に短い距
離を条件としている。この条件1〜4により母材上に形
成した溶射層の断面写真を図4に示す。また、この断面
写真から、砥粒,空孔及び結合剤のそれぞれの面積を測
定し、砥粒,空孔及び結合剤の面積全体に占める各割合
を計算した結果を表5及び図5に示す。
【0024】
【表5】
【0025】表5及び図5から明かな様に、溶射距離が
変わると、砥粒率,空孔率及び結合剤率がかなり変わる
ことが分かる。特に、砥粒率について見ると、溶射距離
50mm(条件2)をピークに、これよりも溶射距離が
短くても長くても減少するということが分かった。反対
に、空孔率は、この溶射距離50mm(条件2)をボト
ムに、これよりも溶射距離が短くても長くても増加する
ということが分かった。特に、50mmよりも溶射距離
が短くなる場合の空孔率の増加度合はきわめて大きい。
【0026】この様な結果になるのは、溶射距離が小さ
過ぎるとガス炎温度が低く、加熱される時間も短くなる
ことから、溶射材料、特に結合剤が十分に加熱溶融化さ
れず、このため母材表面に打ち付けられる際の結合剤の
偏平化が不十分となり、砥粒と結合剤及び結合剤同士の
粒子間に砥粒を十分に巻き込みつつ母材に付着すること
ができず、空孔を多数形成したものと考えられる。
【0027】一方、溶射距離が長いと、加熱溶融された
粒子が母材に到達する前に冷却されてしまうから、この
場合も砥粒を十分に巻き込むことができにくくなり、溶
射距離の増大と共に空孔が徐々に残り易くなるものと考
える。この場合には、溶融の程度だけでなく、打ち付け
速度が弱くなることも関係しているものと考えられる。
【0028】この結果、SiC砥粒をNi−Al結合剤
で結合して砥石を製造するに当たっては、溶射距離が5
0mmと、一般の溶射方法での溶射距離(100〜20
0mm)よりもかなり短い距離にしたときに、砥粒率の
大きい砥石を製造することができるということが分かっ
た。この様に一般の溶射方法におけるよりもかなり短い
溶射距離が望ましいのは、「固体状態のままでかつ組織
変化を生じさせてはならない砥粒と、溶融状態(少なく
とも半溶融状態)にしなければならないメタル結合剤
と、から溶射材料が構成される」というメタルボンド砥
石の製造に特有の要因が関係している結果といえる。
【0029】なお、これら条件1〜4の各溶射砥石につ
いて、溶射層から(長さ)×(幅)×(厚さ)=50×
35×2mmの試料を切り出し、X線回析法により成分
分析を行った結果を図6〜図9に示す。X線回析は、図
10に示す様に、原子が規則正しく配列した結晶体に対
してX線がある角度θで入射する場合、異なる等価な原
子格子面に反射されるX線の行路差と波長λの整数倍と
が一致するときにブラッグ(Bragg)の回析条件を
満たし、反射X線が干渉によって強く反射するという性
質を用いて行った。このため、試料に対して、入射角度
を連続的に変化させながら反射X線の強度を測定するこ
とで回析角度2θを求めるという手法を採用した。
【0030】この分析結果から明かな様に、条件1〜4
のいずれにおいても、SiCによるピークは確認される
もののSiO2 のピークが見られないということから、
溶射層に含まれるSiC砥粒には酸化が生じていないと
いうことが分かる。これは、溶射による加熱期間はきわ
めて短いため、砥粒が高温状態に長く曝されることがな
く、製造中に酸化され難いということによるものと考え
られる。即ち、砥粒に酸化が生じないというのは、溶射
法による砥石製造法特有の顕著な作用・効果である。
【0031】次に、上記条件設定においては最も砥粒率
の大きい砥石を製造可能であった溶射距離50mmにつ
いて、今度は、砥粒と結合剤の混合率を種々に調整して
溶射を行った。この溶射条件を表6に示す。
【0032】
【表6】
【0033】この条件11〜14により母材上に形成し
た溶射層の断面写真を図11に示す。また、この断面写
真から、砥粒,空孔及び結合剤のそれぞれの面積を測定
し、砥粒,空孔及び結合剤の面積全体に占める各割合を
計算した結果を表7及び図12に示す。
【0034】
【表7】
【0035】表7及び図12から明かな様に、砥粒率
は、砥粒の混合割合が増大するにつれて次第に上昇し、
8:2をピークにそれ以上では減少する傾向にあること
が分かった。これは、砥粒率は砥粒を増加することで増
大させることができるが、砥粒を母材表面に固定する結
合剤が過小になると被膜が形成され難くなり、空孔率が
過多となると、結合剤が不足して十分に砥粒を捉えきれ
なくなったためと考えられる。
【0036】なお、これら条件11〜14の各溶射砥石
について、条件1〜4に対して行ったのと同様にX線回
析法により成分分析を行った結果を図13〜図16に示
す。この分析結果からも、溶射法による砥石製造方法に
よれば、砥石製造中のSiCの酸化は見られないという
ことがわかった。
【0037】以上の様に、実施例として行った各溶射条
件によれば、結合剤が十分に溶融することのできる加熱
条件(結合剤の融点と、溶射距離,熱源温度及び溶射中
の冷却の有無といった溶射条件との関係により定まる特
定の加熱条件)を採用すれば、溶射法という簡単な方法
により、工程数も少なく、金型などの砥石形状に応じた
設備を要することなくメタルボンド砥石を製造すること
ができた。
【0038】しかも、このメタルボンド砥石は、従来の
製造方法では空孔を形成するのが困難であったのに対
し、上述の実施例によれば、空孔を有するメタルボンド
砥石を簡単に製造することができた。しかもこの空孔率
は、砥粒率の調整と同様に、溶射距離や溶射材料の混合
比を種々に調整することで調整できる。即ち、本実施例
によれば、溶射法を用いてメタルボンド砥石を製造する
ことにより、メタルボンド砥石でありながら空孔を有す
るものを簡単に製造することができ、しかもその空孔率
は小さなものから大きなものまで種々の形態に簡単に調
整することができる。この結果、メタルボンド砥石であ
っても、空孔の作用による切込み量の増大や研削熱の発
散や目詰まり防止などに一定の効果を奏するようにな
る。
【0039】以上本発明の好適な実施例を説明したが、
本発明は何らこれら実施例に限定されず、その要旨を逸
脱しない範囲の種々なる態様を採用することができるこ
とはもちろんである。例えば、砥粒としては、立方晶窒
化硼素(CBN)や、アルミナや、ダイヤモンドなど種
々のものを用いてよいし、結合剤としても種々の金属や
合金を用いてもよい。また、メタルボンド砥石に限ら
ず、ビトリファイドボンド砥石や、メタルボンドとビト
リファイドボンドの混合した砥石を製造するのに適用し
ても構わないし、レジノイドボンド砥石の製造に適用し
ても構わない。加えて、ガス溶射ではなくプラズマ溶射
や、その他の溶射方法によって砥粒含有層を形成しても
よい。さらに、砥粒:結合剤の混合比率も、主に砥粒率
との関係で調整すればよく、砥粒率の小さい砥石を製造
するのならば実施例よりももっと少なくし、例えば砥
粒:結合剤=1:10程度の混合比に調整した溶射材料
を用いてもよい。
【0040】ここで、プラズマ溶射によるCBN砥石の
製造例について説明しておく。溶射材料としては、表面
をニッケルコーティングしたCBN砥粒(粒径は#32
5メッシュ)と、結合剤としてのWC/Co混合粉末
(粒径10〜53μ)とを、CBN:WC/Co=4:
1の割合で混合した粉末材料を用いた。なお、結合剤は
WC:Co=88:12のものを用いた。
【0041】この溶射材料を、プラズマ溶射装置を用い
て、図17に示す様に、アルゴン雰囲気下でアルミ鋳物
のリング状の母材31(直径100mm×板厚10mm
×内径50.8mm)の外周部分に溶射層33を形成し
た。溶射の条件は、下表の通りである。
【0042】
【表8】
【0043】この溶射の結果、厚さ約0.1mmの砥粒
含有層を形成することができた。また、図18の砥粒層
表面の200倍拡大写真に示す様に、砥粒はしっかりと
結合剤中に埋まっていた。また、同図の下段に示した砥
粒層から取り出した砥粒粒子の200倍拡大写真及び図
19の説明図に示す様に、砥粒層から回収した砥粒の表
面には、ニッケルコートによるスパイク状突起がそのま
ま残っていることが確認できた。なお、この回収砥粒を
酸洗してX線回析して調べたところ、CBNのHBN化
は認められず、溶射の際の熱によるダメージはないこと
が分かった。
【0044】また、上述した様に溶射により砥粒層を形
成した後に、溶射面をバーナーであぶることによって溶
射層中の結合剤を再溶融させる後処理を施してもよい。
この様に再溶融させることで、溶射材料同士の結合力が
増し、溶射層中の砥粒の保持がより強固なものとなっ
て、砥石の結合度が向上する効果がある。また、溶射材
料と母材との結合度も増して、溶射層が剥がれ難くなる
という効果もある。なお、再溶融をすると空孔は減少
し、場合によってはなくなるるが、レジノイドボンド砥
石やメタルボンド砥石の99%以上がそうである様に、
空孔がないことは砥石の性能を損なうわけではない。む
しろ、この手法を採用して、溶射だけの場合の空孔率を
調整することも可能であり、砥石の結合度の向上からす
れば、砥石の種類や用途等によっては再溶融はより有用
な方法ともいえる。
【0045】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の砥石製造方
法によれば、プレス加工等を必要とせず、簡単に砥石を
製造することができる。このことはまた、砥石形状の変
更等において、従来必要であった金型の設計変更を不要
とし、設計変更の容易性という点でも優れた効果を奏す
る。また、溶射における加熱期間は極めて短いから、砥
粒の酸化を引き起こすことがなく、砥粒本来の硬度,じ
ん性を損なうことがない。従って、本発明によれば、砥
粒性質の良好な砥石を簡単かつ設計変更も容易に製造す
ることができる。
【0046】特に、請求項2の様に加熱条件を構成すれ
ば、結合剤は良好な付着性能を発揮しつつ砥粒は鋭利度
を損なうことがなく、母材表面に鋭利度の良好な砥粒を
含有した付着層を備えた砥石を製造することができる。
また、請求項3記載の様に、結合剤として金属又は合金
を用いれば、いわゆるメタルボンド砥石でありながら、
空孔を有する砥石を製造することができる。そして、結
合剤の溶融状態と、結合剤中の溶融状態のアンバランス
度やそもそも溶融状態が異なる砥粒の割合を調整するこ
とで、この空孔の含有率を簡単に調整することができ
る。なお、空孔率の調整は、請求項1,2記載の砥石の
製造方法においても同様に簡単であることはもちろんで
ある。この結果。メタルボンド砥石において、切込み量
の増大や研削熱の発散や目詰まり防止などに一定の効果
を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いたガス溶射装置の概略を示すブ
ロック図である。
【図2】 実施例で製造した砥石の概略構成図である。
【図3】 実施例の条件a〜cで製造した砥石の砥粒含
有層の断面の顕微鏡写真である。
【図4】 実施例の条件1〜4で製造した砥石の砥粒含
有層の顕微鏡写真である。
【図5】 実施例の条件1〜4で製造した砥石の砥粒含
有層の顕微鏡写真から求めた砥粒率,空孔率及び結合剤
率と溶射距離との関係を示すグラフである。
【図6】 実施例の条件1で製造した砥石の砥粒含有層
のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図7】 実施例の条件2で製造した砥石の砥粒含有層
のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図8】 実施例の条件3で製造した砥石の砥粒含有層
のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図9】 実施例の条件4で製造した砥石の砥粒含有層
のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図10】 X線回析の手法を示す説明図である。
【図11】 実施例の条件11〜14で製造した砥石の
砥粒含有層の断面の顕微鏡写真である。
【図12】 実施例の条件11〜14で製造した砥石の
砥粒含有層の顕微鏡写真から求めた砥粒率,空孔率及び
結合剤率と砥粒混合率との関係を示すグラフである。
【図13】 実施例の条件11で製造した砥石の砥粒含
有層のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図14】 実施例の条件12で製造した砥石の砥粒含
有層のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図15】 実施例の条件13で製造した砥石の砥粒含
有層のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図16】 実施例の条件14で製造した砥石の砥粒含
有層のX線回析による成分分析結果のグラフである。
【図17】 製造例としてのCBN砥石の概略構成図で
ある。
【図18】 CBN砥石の製造例における砥粒保持状態
及びそこから回収した砥粒単体を示す顕微鏡写真であ
る。
【図19】 図18の回収砥粒単体に関する説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・・溶射ガン、3・・・ガスコントロールユニッ
ト、5・・・圧縮空気コントロールユニット、7・・・
バイブレータ、21,31・・・母材、23,33・・
・溶射層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒と結合剤とを溶射材料として母材表
    面に溶射することで、母材表面に砥粒含有層を形成する
    砥石の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記結合剤として砥粒よりも融点の低い
    材料を用い、 前記溶射に当たっては、結合剤を溶融又は半溶融状態と
    するが砥粒については固体状態を維持しかつ組織変化も
    生じさせない加熱条件を用いることを特徴とする請求項
    1記載の砥石の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記結合剤として金属又は合金を用いる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の砥石の製
    造方法。
JP4189959A 1992-06-24 1992-06-24 砥石の製造方法 Expired - Fee Related JP2565622B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4189959A JP2565622B2 (ja) 1992-06-24 1992-06-24 砥石の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4189959A JP2565622B2 (ja) 1992-06-24 1992-06-24 砥石の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0647676A true JPH0647676A (ja) 1994-02-22
JP2565622B2 JP2565622B2 (ja) 1996-12-18

Family

ID=16250058

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4189959A Expired - Fee Related JP2565622B2 (ja) 1992-06-24 1992-06-24 砥石の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2565622B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007060984A1 (ja) * 2005-11-28 2007-05-31 A.L.M.T. Corp. レジンボンド超砥粒ホイールおよびその製造方法
CN114516001A (zh) * 2022-01-25 2022-05-20 长沙市萨普新材料有限公司 一种用于碳化硅减薄的金刚石砂轮盘及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4833071A (ja) * 1971-09-01 1973-05-07
JPS5414090A (en) * 1977-07-01 1979-02-01 Noritake Dia Kk Method of manufacturing grind stone by means of molten jet and grind stone
JPS58202780A (ja) * 1982-05-20 1983-11-26 Nippon Kogaku Kk <Nikon> 溶射法による砥石の製造法
JPS63300870A (ja) * 1987-05-28 1988-12-08 Disco Abrasive Syst Ltd ブレ−ドの製造方法
JPH02167670A (ja) * 1988-12-20 1990-06-28 Nobuaki Debari 砥石の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4833071A (ja) * 1971-09-01 1973-05-07
JPS5414090A (en) * 1977-07-01 1979-02-01 Noritake Dia Kk Method of manufacturing grind stone by means of molten jet and grind stone
JPS58202780A (ja) * 1982-05-20 1983-11-26 Nippon Kogaku Kk <Nikon> 溶射法による砥石の製造法
JPS63300870A (ja) * 1987-05-28 1988-12-08 Disco Abrasive Syst Ltd ブレ−ドの製造方法
JPH02167670A (ja) * 1988-12-20 1990-06-28 Nobuaki Debari 砥石の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007060984A1 (ja) * 2005-11-28 2007-05-31 A.L.M.T. Corp. レジンボンド超砥粒ホイールおよびその製造方法
CN114516001A (zh) * 2022-01-25 2022-05-20 长沙市萨普新材料有限公司 一种用于碳化硅减薄的金刚石砂轮盘及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2565622B2 (ja) 1996-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4968326A (en) Method of brazing of diamond to substrate
CN1684801B (zh) 熔融钎焊涂层超磨料颗粒和有关方法
US4776862A (en) Brazing of diamond
US2562587A (en) Bonded abrasive
US8104464B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
US9868100B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
US7124753B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
US9409280B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
US9221154B2 (en) Diamond tools and methods for making the same
US5127924A (en) Hard particle coated grinding wheel
JP3210548B2 (ja) 新規な金属ボンドを用いて結合した砥粒加工工具とその製造法
CA1202768A (en) Method for forming braze-bonded abrasive turbine blade tip
US5718736A (en) Porous ultrafine grinder
US9199357B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
JP2008522849A (ja) 金属マトリクス内での超研磨粒子の保持を最大化する方法
US9238207B2 (en) Brazed diamond tools and methods for making the same
JP2829522B2 (ja) 被覆ダイヤモンド砥粒およびその製法
JP2565622B2 (ja) 砥石の製造方法
JP2003181765A (ja) 多孔質超砥粒砥石とその製造方法
JP3717046B2 (ja) ダイヤモンド研磨用砥石及びダイヤモンド研磨方法並びにダイヤモンド研磨用複合砥石
US20050108948A1 (en) Molten braze-coated superabrasive particles and associated methods
JP3712832B2 (ja) レジノイド超砥粒砥石
JPH09272060A (ja) 砥石工具およびその製造方法
JP3814311B2 (ja) 複合砥粒の製造方法
JPH0379273A (ja) レジンボンド超砥粒砥石

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees