JPH0647280Y2 - 細胞培養器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、炭酸ガス、窒素ガス、
酸素ガス等を用いて、各種の組織細胞や微生物等を培養
する所謂インキュベータと通称される細胞培養器に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の細胞培養器には、周囲を断
熱材や水等でシールされた培養室に、適当な濃度の炭酸
ガスや窒素ガス等の培養ガスを強制還流させて、培養室
内に保存された各種の組織細胞や微生物等を培養してい
るが、各培養器における培養室の容量は一定であるた
め、培養量の多少に拘らず、炭酸ガスや窒素ガス等の培
養ガスの消費量は常に一定になっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このように従来の細胞
培養器は、培養量が多い場合でも少ない場合でも、使用
される培養ガスの消費量は変らないため、培養量が少な
い場合には極めて不経済である。また、培養量に応じて
各種サイズの細胞培養器を揃えるとしても、コストや使
用スペースが増大するという問題がある。

【０００４】本考案の目的は、一定の容積を有する培養
室の内部を、培養量の多少に応じて必要な容積だけ分割
して使用できるようにし、それによってガス消費量を大
幅に節約できるようにした細胞培養器を提供することに
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めの本考案に係る細胞培養器は、培養室を複数の分室に
区分して、各分室に培養気体のダクト部に連通する吸込
口を設け、前記ダクト部には前記各吸込口と前記ダクト
部の中途とを選択的に切換えて開閉する切換シャッタを
設けたことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】上述の構成を有する細胞培養器は、ダクト部に
設けた切換シャッタの全部を開いて、各分室の吸込口を
閉じた場合には、培養室の全体を培養に使用することが
でき、また或る分室の吸込口を開くように切換シャッタ
を切換えると、培養気体はその分室の吸込口から培養室
内に還流するので、使用する培養室の容量を小さくする
ことができる。

【０００７】

【実施例】本考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明
する。図１は本考案に係る細胞培養器の一実施例を示
し、図１は扉を除いて培養室とその周辺部を示してい
る。培養器本体１の内部には、培養室２の側部に培養気
体を還流させるためのダクト部３が設けられ、その外側
は庫内の温度条件を安定に保つためのウォータジャケッ
ト４で囲まれ、更にその外側はグラスウール層と発泡ス
チロール層等から成る断熱層５によって取り囲まれてい
る。ダクト部３には炭酸ガス等のガス注入管６の開口部
が設けられ、培養室２内には一定濃度の炭酸ガス等を含
む培養気体が絶えず流通されているが、この培養気体は
モータ７によって回転される撹拌用ファン８により、培
養室２からブロワーチヤネルダクト９を経てダクト部３
に入り、ダクト部３の下方部から培養室２内に強制的に
還流されるようになっている。培養室２内には、培養す
る細胞や微生物等を収容したシャーレが載置され、培養
気体が流通できるような多数の孔が設けられたトレー１
０が、棚上に幾段にも抜し挿し自在に載置されている。
また、このトレー１０を載置するための受け具１１も、
その位置を自在に変更できるようになっている。

【０００８】従来においては、培養気体はダクト部３の
下方部から培養室２内に還流して培養室２内の全体に流
通していたが、本考案においては培養室２内の全部又は
一部分のみを任意に分割して使用できるようになってい
る。

【０００９】即ち、実施例では培養室２内を上下方向に
４分割して、仮定的に第１分室S1、第２分室S2、第３分
室S3及び第４分室S4とし、各分室S1〜S4にはダクト部３
に通ずる吸込口１２ａ、１２ｂ、１２ｃ、１２ｄが設け
られている。ただし、最も下側の吸込口１２ｄは、従来
からある吸込口をそのまま利用すればよい。またダクト
部３内には、これらの吸込口１２ａ〜１２ｄとダクト部
３とを選択的に切換えて開閉する切換シャッタ１３ａ、
１３ｂ、１３ｃが３段に設けられている。

【００１０】なお、第１分室S1〜第４分室S4は仮定的に
分割したものであって、各分室間に固定的な隔壁がある
わけではなく、後述する１枚の抜き差し自在なシャッタ
板によって一時的に分割される部分を意味している。切
換シャッタ１３は図２に示すように、例えば各分室S1〜
S3とダクト部３との間の隔壁１４に取り付けたヒンジ軸
１５を中心に回動できるように支持され、これを隔壁１
４に沿わせた状態で吸込口１２を閉じ、この状態から図
３に示すように略９０度回動して保持具１６に当接した
状態で、ダクト部３の中途を閉じて吸込口１２を開くよ
うにすればよい。

【００１１】なお、切換シャッタ１３の形状やその切換
機構等は実施例以外にも種々の方法が可能である。要す
るに、各分室の吸込口１２とダクト部３の中途とを選択
的に切換えできるような機構であればよい。

【００１２】通常のように、培養室２の全体を使用する
際には、図１に示すように全ての切換シャッタ１３が各
吸込口１２を閉じた状態にしておけばよい。この場合
に、培養気体はダクト部３の全体を通って最下位の吸込
口１２ｄから培養室２内に還流し、培養室２全体に流通
するから、培養室の全容積を培養に使用することができ
る。

【００１３】次に、最小の容積で培養したい場合には、
図４に示すように、最上段の切換シャッタ１３ａをダク
ト部３側へ廻して吸込口１２ａを開くと共に、ダクト部
３の途中を閉塞する。同時に、第１分室S1と第２分室S2
との間にシャッタ板１７を挿し込んで隔離する。

【００１４】かくすることにより、培養気体はダクト部
３の途中から吸込口１２ａを通って第１分室S1のみに還
流するから、使用する培養室の容積を最小にすることが
できる。この場合に他の分室S2〜S4は不使用になるた
め、培養気体の消費量を小さくすることができる。な
お、シャッタ板１７を保持する受け具１８は各分室につ
いて予め固定的に取り付けておいてもよいし、又はトレ
ー１０を保持する受け具１１のように着脱自在に取り付
けてもよく、或いは受け具１１そのものを兼用すること
もできる。

【００１５】また、培養室２の約半分のみを使用しない
場合には、第２段目の切換シャッタ１３ｂを切換えて、
第２分室S2と第３分室S3の間にシャッタ板１７を挿し込
めばよい。同様にして、第３段目の切換シャッタ１３ｃ
を切換えて、第３分室S3と第４分室S4との間にシャッタ
板１７を挿し込めば、培養室２の約４分の３の容積を使
用することができる。

【００１６】なお、実施例では培養室を４分割した場合
を示したが、その分室の数や大きさ等は任意に選択する
ことができるし、また各分室S1〜S4の容積を適宜に異な
らせてもよいことは勿論である。

【００１７】

【考案の効果】以上説明したように本考案に係る細胞培
養器は、培養量の多少に応じて使用する培養室の容積を
変化できるため、培養に要する培養気体の消費量を大幅
に節減できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の正面図である。

【図２】要部斜視図である。

【図３】要部断面図である。

【図４】使用状態の説明図である。

【符号の説明】

１ 培養器本体 ２ 培養室 ３ ダクト部 ４ ウォータジャケット ５ 断熱層 ６ ガス注入管 ７ モータ ８ 撹拌用ファン ９ ブロワーチャンネルダクト １０ トレー １１、１８ 受け具 １２ 吸込口 １３ 切換シャッタ １４ 隔壁 １５ ヒンジ軸 １６ 保持具 １７ シャッタ板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 培養室を複数の分室に区分して、各分室
   に培養気体のダクト部に連通する吸込口を設け、前記ダ
   クト部には前記各吸込口と前記ダクト部の中途とを選択
   的に切換えて開閉する切換シャッタを設けたことを特徴
   とする細胞培養器。