JPH0644447B2 - 自己復旧型電流制限装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えば短絡電流、過負荷電流通電の如き配
線機器に障害の恐れある大電流に対し高抵抗を示して電
流の制限を行い、正常電流に復帰すれば良導性を示す自
己復旧型電流制限装置に関するものである。

〔従来の技術〕

図面は例えば、実公昭53-53060号公報に示された従来の
自己復旧型電流制限装置を示し、図において、(1)は第
１の電極で導電性の金属、例えば銅あるいは銅合金で筒
状に形成され、一端は母線螺合のための端子用のネジが
螺削され、かつその中心部に有底の雌ネジが形成されて
いる。(2)は絶縁筒で、中空パイプ状の耐熱、耐アルカ
リ性材料、例えばペリリヤ磁器からなり一端が上記第１
の電極筒(1)に接している。(3)は金属補強筒で、筒状に
形成され内部に中空の穴を有し、上記電極筒(1)と絶縁
筒(2)をその一方側から収納している。(4)はガラス、マ
イカ等の粉末を上記第１の電極筒(1)と金属補強筒(3)お
よび絶縁筒(2)と共に高温焼成後成形した熱可塑性の絶
縁体で第１の電極及び金属補強筒(1)，(3)を互いに絶縁
すると共にこれらと絶縁筒(2)を一体化固定している。
(5)は第２の電極で導電性の金属、例えば銅あるいは銅
合金よりなり外周に設けられた雄ネジを上記金属補強筒
の中空穴に設けた上記雌ネジに螺着されて上記金属補強
筒(3)に固定されている。(7)はナトリウムなどのアルカ
リ金属等より成り、短絡電流あるいは過負荷電流のよう
な制限すべき電流が通過したときその電流によるジユー
ル熱によつて、気化して絶縁体となり、常時通電の場合
は電気の良導体をなす電流制限材、(6)はこの電流制限
材(7)を密封する密封材、(8)は上記電流制限材(7)の上
記気化により軸方向作動するよう第２の電極(5)の中空
有底穴に設けられた運動自在のピストン、(9)は上記ピ
ストン(8)の凹部に挿入され上記電流制限材(7)と後述の
圧力緩衝流体(12)の気密性を保つＯリング、(10)は上記
第２の電極(5)の中空穴に挿入されたスペーサで、上記
電流制限材(7)が気化した場合上記ピストン(8)の衝撃を
受けとめるものである。(12)は上記電流制限材(7)の気
化による上記ピストン(8)の衝撃を緩和する不活性ガス
よりなる圧力緩衝流体、(11)は上記の圧力緩衝流体(12)
を密封するための密封体である。

次に動作について説明する。短絡電流が流れると、絶縁
筒(2)内に充填された電流制限材(7)が自己ジユール熱に
より加熱され気化する。気化が起こると電流制限材(7)
の固有抵抗は急激に上昇し、短絡電流は顕著に限流され
る。電流制限材(7)は気化によつて高圧力のプラズマと
なるので、絶縁筒(2)内の内孔の圧力が高くなるが、ピ
ストン(8)が図面に向かつて右方向に移動して、圧力上
昇は抑制される。絶縁筒(2)は絶縁体(4)を介して金属補
強筒(3)により補強されているので、ピストン(8)により
抑制された圧力によつて破損することはない。

限流された電流は図示しない直列開閉器でしや断され
る。しや断後、自己復旧型電流制限装置へのエネルギー
入力がなくなるので、気化していた電流制限材(7)は冷
却されて固体又は液体に戻る。従つて、絶縁筒(2)の内
孔内の圧力も低下し、圧力緩衝流体(12)の力によりピス
トン(8)が押しもどされ動作前の状態に自己復旧する。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来の自己復旧型電流制限装置は以上のように構成され
て動作するのであるが、過負荷電流が連続して流れる
と、電流制限材(7)の自己ジユール加熱によつて熱可塑
性材で構成された絶縁体(4)が軟化するので、電流制限
材(7)が外部にもれるという問題点があつた。また、絶
縁体(4)が軟化した状態で短絡事故が発生して電流制限
材(7)が気化すると自己復旧型電流制限装置が爆発する
危険性が有るという問題点があつた。

この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、過電流が長時間流れても絶縁体(4)が軟化し
ないような自己復旧型電流制限装置を得ることを目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係る自己復旧型電流制限装置は絶縁体を非熱
可塑性材で構成したものである。

〔作用〕

この発明における絶縁体は、非熱可塑性材により構成さ
れているので、過電流が長時間流れて電流制限材の温度
が上昇しても、絶縁体は軟化し難い。

〔実施例〕

以下、この発明の一実施例について説明する。本発明の
一実施例による自己復旧型電流制限装置の構造は、第１
図に示す従来の自己復旧型電流制限装置と全く同一であ
る。本発明では、絶縁体(4)として、例えば低温焼成磁
器のような非熱可塑性材を用いている。低温焼成磁器は
硅砂と粘土を主成分とし、結合剤を加えて焼成したもの
などがあり、一例としてタフライト（商品名 日本高圧
電気製）が挙げられる。このような低温焼成磁器はイン
ジエクシヨン成形により複雑な形状の成形も可能で、65
0℃前後の温度で約２時間程度で焼成できる。従つて、
このような低温焼成磁器の原料を予め自己復旧型電流制
限装置に注入しておき焼成するとよい。

本発明の自己復旧型電流制限装置の動作は、従来の電流
制限装置とほぼ同一であるので、以下にその相違点のみ
説明する。本発明の自己復旧型電流制限装置に過電流が
長時間流れると、電流制限材(7)が自己ジユール加熱に
よつて加熱され、この熱が絶縁体(4)に伝達され、絶縁
体(4)が昇温する。しかし、本発明では絶縁体(4)として
非熱可塑性材を用いているので、従来におけるような絶
縁体(4)の軟化現象を防止できる。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、絶縁体として非熱可
塑性材を用いたので、絶縁体が軟化して電流制限材が外
部にもれるのを防止できる。また絶縁体が軟化しにくい
ので、短絡事故発生時、自己復旧型電流制限装置の爆発
を起こしにくくすることができる。

【図面の簡単な説明】

図は従来およびこの発明の一実施例による自己復旧型電
流制限装置を示す断面図である。 図において、(1)は第１の電極、(2)は絶縁筒、(3)は金
属補強筒、(4)は絶縁体、(5)は第２の電極、(7)は電流
制限材である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１の電極、圧力緩衝装置を内蔵する第２
   の電極、この第１の電極と第２の電極の間に設けられた
   内孔を有する絶縁筒、この絶縁筒の内孔に充填された電
   流制限材、上記絶縁筒の外周に設けられた金属補強筒、
   および上記金属補強筒と絶縁筒の間に設けられて第１の
   電極と第２の電極を絶縁する絶縁体を備えた自己復旧型
   電流制限装置において、上記絶縁体を非熱可塑性材で構
   成したことを特徴とする自己復旧型電流制限装置。
2. 【請求項２】非熱可塑性材は低温焼成磁器である特許請
   求の範囲第１項記載の自己復旧型電流制限装置。