JPH0642678Y2 - カートリッジタイプのシリンジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は内部に薬液を充填してなる所謂カートリッジタ
イプのシリンジに関する。

〈従来の技術〉 カートリッジタイプのシリンジとしては、従来、カート
リッジの注射筒内での揺動を防止するもので、注射筒の
先端部内壁に突起を設けている（実公昭51−3677号）、
カートリッジの揺動防止に加え、ピストンロッドの振れ
を防止し、カートリッジの交換を可能とするもので、注
射筒の先端にテーパ面嵌合により着脱自在としたホルダ
ーを設けている（実公昭51−32306号）、運搬、貯蔵時
に包装具、保護具として働く部品が、使用時には注射器
のプランジャーとなる構造にしたもの（実公昭51−3230
7号）、封入された薬液の変質を防ぎ、注射後の残存薬
液を密封状態で保存可能としたもので、注射筒の内側先
端面に凹部を形成し、該凹部を弾性材よりなる被膜で覆
って、注射筒の先端には凹部の被膜面下に位置するバッ
クエンドを有する注射針を装着している（実公昭55−32
600号）、など種々の提案がなされている。

上記提案のシリンジは何れも、注射筒と、これに収納さ
れる薬液の収容されたカートリッジ、注射筒の薬液出口
（以下チップという）または注射針を保護するためのプ
ロテクターからなるものであり、カートリッジが薬液を
安定に密封しておくための隔膜（または栓）および可動
塞栓（ガスケットに相当）を備えており、プロテクター
を可動塞栓に取り付けてプランジャーとして使用できる
様になっている。

〈考案が解決しようとする課題〉 しかしながら、上記のシリンジは何れも、高圧蒸気滅菌
を行った場合（薬液が充填されている）、設定される滅
菌条件の幅が狭いため、内部の薬液および空気が膨張し
てガスケットが外れてしまうことがあり問題であった。

〈課題を解決するための手段〉 本考案は上記の課題を解決するために、先端に注射針を
取り付け可能な薬液出口が突設され、後端のフランジの
近傍の内壁に、内部に収納されたカートリッジ容器の移
動を制限するための長手軸方向の複数のリブが形成され
た円筒状の外筒と、先端の開口がゴム状弾性体製の栓で
密封されるとともに、後端の開口に、後端にプランジャ
ー螺着孔を有するゴム状弾性体製のガスケットが液密に
挿着された、筒状の容器本体からなるカートリッジ容
器、前記複数のリブと協動してカートリッジ容器の移動
を制限するとともに、前記ガスケットをカートリッジ容
器から脱落しないように支持するストッパー、および、
前端部に前記ガスケットのプランジャー螺着孔に螺着さ
れる螺合手段を有し、後端部に外筒の先端のチップに被
せてこれを保護するためのキャップ手段を有するプラン
ジャー兼用プロテクター、からなる構成を採用してい
る。

〈作用〉 上記の構成によれば、高圧蒸気滅菌に際してカートリッ
ジ内の薬液や空気が膨張しても、カートリッジの後端に
取り付けられたストッパーの後方への移動が、外筒の後
端に設けられたリブによって阻止されるので、カートリ
ッジが外筒内で移動することがなく、またガスケットが
容器本体から脱落することもない。

〈実施例〉 次に本考案の実施例について図面に基づいて説明する。

第１図は本考案の１実施例を示す一部断面平面図であ
り、第２図は第１図を構成するパーツの分解断面図（プ
ロテクターは省略）である。

第１図および第２図に示すように、本考案のシリンジ
（１）は、外筒（２）の内部に抗生物質や抗癌剤、麻酔
薬などの薬液（図示していない）の収容されたカートリ
ッジ容器（３）を収納してなる所謂カートリッジタイプ
のシリンジであって、カートリッジ容器（３）の外筒
（２）内での移動を制限し、ガスケット（11）がカート
リッジ容器（３）から脱落しないようにするために、外
筒（２）の内壁に、後端のフランジ（７）に近接して、
長手軸方向のリブ（８）を複数個設け、カートリッジ容
器（３）とこのリブ（８）との間にストッパー（12）を
介在させたものであり、ガスケット（11）の後端に螺着
したプランジャー兼用プロテクター（４）を指で押して
ガスケット（11）を移動させるようになっている。

外筒（２）は一般の注射筒と同様のチップ（５）と胴部
（６）およびフランジ（７）からなる円筒状の容器であ
って、胴部（６）後端の内壁にはフランジ（７）に近接
して、長手軸方向に延びる複数のリブ（８）が形成され
ている。チップ（５）は胴部（６）の狭窄端から外方に
突設された薬液出口であり、注射針（図示していない）
を取り付け可能な形状に形成されている。外筒（２）の
形成材料としては、たとえばポリプロピレンやポリスチ
レン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルペンテ
ンポリマーなどの透明な合成樹脂やガラスなどが好適に
使用可能である。

リブ（８）はストッパー（12）と協動して、カートリッ
ジ容器（３）が外筒（２）の中で長手軸方向に動かない
ようにするためのもので、一般に対称形に複数個形成さ
れる。そして特に限定するものではないが、ストッパー
（12）を挿入し易いように、一般に第２図に示すような
段差状に突出したのちフランジ（７）方向にテーパ状に
縮小して外筒（２）の内壁と同じ高さになる楔形の形状
に形成される。段差部分（13）の高さはカートリッジ容
器（３）を挿入することができるよう略カートリッジ容
器（３）の外径と等しいかそれより若干小さく形成され
る。

カートリッジ容器（３）は筒状のガラスやポリプロピレ
ンなど耐薬品性の材料で形成された容器本体（９）とそ
の先端の開口部分を密封するゴム栓（10）、および後端
の開口部分に液密に挿着されるガスケット（11）からな
っている。ゴム栓（10）は第２図に示すように、外筒
（２）の先端の狭窄部分に合わせた形状の外側の部分
と、容器本体（９）に挿着される内側の部分とからなっ
ており、通常ブチルゴムやブタジエンゴム、イソプレン
ゴムなどのゴム状弾性体で製せられる。また、ガスケッ
ト（11）は容器本体（９）の後端の開口に液密に挿着さ
れ、容器本体（９）の内壁を滑らかに摺動するもので、
一般にゴム栓（10）と同様の材料で製せられている。ガ
スケット（11）の後端のストッパー（12）と当接する側
にはプランジャー（４）先端の螺合手段（18）を螺着す
るプランジャー螺着孔（14）が形成されている。またカ
ートリッジ容器（３）の組立を容易にするために、好ま
しくは後端のストッパー（12）との当接面には後述のス
トッパーの環状突起（16）を挿着する環状溝（15）が形
成されている。従って、組立に際しては、ガスケット
（11）とストッパー（12）とをその環状溝（15）と環状
突起（16）を嵌合することにより一体化して、外筒
（２）の後端から挿入し、カートリッジ容器（３）後端
の開口に挿着される。尚、ガスケット（11）の側壁すな
わち容器本体（９）の内壁と接触する部分には、液密性
を高め摺動抵抗を小さくするために、複数の環状突起
（20）を形成してもよい。

ストッパー（12）はカートリッジ容器（３）とリブ
（８）の間に配置されて、カートリッジ容器（３）の移
動を制限し、またガスケット（11）がカートリッジ容器
（３）から脱落しないように支持するものである。スト
ッパー（12）の前端には好ましくはガスケット（11）の
環状溝（15）に嵌合される環状突起（16）が形成されて
おり、後端には前面が容器本体（９）と衝合し後面が外
筒（２）のリブ（８）と衝合するフランジ状の係止翼
（17）が形成されている。但し、ストッパー（12）の形
状は上記のものに限定されるものではなく、単に係止翼
（17）のみのものでもよく、また係止翼（17）に直接環
状突起（16）を突設したものであってもよい。尚、スト
ッパー（12）の形成材料は特に限定するものではない
が、一般にポリプロピレンやポリエチレン、アクリロニ
トリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエステルなどの合成樹脂が使用される。

プランジャー兼用プロテクター（４）は外筒（２）の先
端のチップ（５）に被せてこれを保護するとともに、使
用時にはガスケット（11）に取り付けてプランジャーと
して使用されるもので、前端部にはガスケット（11）の
プランジャー螺着孔（14）に螺着される螺着手段（18）
が突設されており、後端部には外筒（２）の先端のチッ
プに被せてこれを保護するためのキャップ手段（19）が
設けられている。そして好ましくはキャップ手段（19）
側の端部には指で押すときに便利なようにフランジ（2
1）が形成されている。このプロテクター（４）の形成
材料としては、一般に合成樹脂のポリプロピレンやポリ
エチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、メチルペ
ンテンポリマー、ポリスチレンなどが好適に使用され
る。

〔実施例１〕 ポリプロピレン製の外筒とストッパー、内部に水を収容
しブチルゴムの栓およびガスケットで密封したガラス製
のカートリッジ容器からなる本発明のシリンジ（プラン
ジャーは省略）を100個用意し、120℃で10分間の高圧蒸
気滅菌をしてガスケットの脱落試験を行ったところ、第
１表の様な結果が得られた。ガスケットの脱落はなかっ
た。

〔比較例１〜２〕 本考案のシリンジと同様の材料で形成された従来のシリ
ンジ（外筒の複数のリブとストッパーを欠く）を各100
本ずつ用意し、それぞれ105℃で30分間、120℃で10分間
の高圧蒸気滅菌を行ったところ第１表の様な結果が得ら
れた。温度が高くなるほどガスケットの脱落が多くなる
ことが認められる。

〈考案の効果〉 以上説明してきたことから明らかなように、本考案のカ
ートリッジタイプのシリンジを用いることにより、従来
より滅菌時間を大幅に短縮することができ、また滅菌に
よりガスケットが外れてしまうというトラブルがなくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す一部断面平面図であ
り、第２図は第１図を構成するパーツの分解断面図（プ
ロテクターは省略）である。 〈主な符号の説明〉 1:シリンジ、2:外筒 3:カートリッジ容器、4:プロテクター 8:リブ、9:容器本体 10:ゴム栓、11:ガスケット 12:ストッパー 14:プランジャー螺着孔 18:螺着手段、19:キャップ手段

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】薬液の収容されたカートリッジ容器を内部
   に収納してなるシリンジであって、 先端に注射針を取り付け可能な薬液出口が突設され、後
   端のフランジの近傍の内壁に、内部に収納されたカート
   リッジ容器の移動を制限するための長手軸方向の複数の
   リブが形成された円筒状の外筒と、 先端の開口がゴム状弾性体製の栓で密封されるととも
   に、後端の開口に、後端にプランジャー螺着孔を有する
   ゴム状弾性体製のガスケットが液密に挿着された、筒状
   の容器本体からなるカートリッジ容器、 前記複数のリブと協動してカートリッジ容器の移動を制
   限するとともに、前記ガスケットをカートリッジ容器か
   ら脱落しないように支持するストッパー、 および、前端部に前記ガスケットのプランジャー螺着孔
   に螺着される螺合手段を有し、後端部に外筒の先端のチ
   ップに被せてこれを保護するためのキャップ手段を有す
   るプランジャー兼用プロテクター、 からなるカートリッジタイプのシリンジ。
2. 【請求項２】前記リブが、段差状に突出したのちフラン
   ジ方向にテーパ状に縮小して外筒の内壁と同じ高さに終
   わるものである請求項１に記載のシリンジ。
3. 【請求項３】前記ストッパーがカートリッジ容器と前記
   リブの前端の段差部分の間に挟持されるものである請求
   項２に記載のシリンジ。
4. 【請求項４】前記ストッパーがカートリッジ容器に内挿
   される部分とカートリッジ容器の端部と前記リブの前端
   の段差部分に挟持される部分からなる請求項２に記載の
   シリンジ。