JPH064195Y2 - 竪型熱交換器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本願考案は高熱の排ガスを利用した竪型熱交換器に係
る。

［従来の技術］ 従来、溶解炉や加熱炉において燃焼後の高熱の排ガスは
なお大量の顕熱を保有しているから、この顕熱を熱交換
してできるだけ回収し再使用することがエネルギー原単
位の低下の面から極めて重要な技術の一つであり、過去
に種々の改善が発表されている。しかしこのような排ガ
スには一般に多量の粉塵を含むのが通常であり、たとえ
ばキュポラの排ガス中にはコークス等の灰分を主体とし
た粉塵が必ず含まれているので、この粉塵がガスと共に
熱交換器に混入されて種々のトラブルを発生する原因と
なりやすい。竪型の熱交換器においては導入されてきた
ガス中の粉塵が熱交換チューブの管壁に付着累積して、
ついには管内の有効断面積を著しく縮減し交換熱量の大
幅減少、熱効率の劣化、送風温度の低下、操業不安定と
因果関係が悪循環して重大な悪影響を与えるに至る。こ
の粉塵の付着累積を防止するためには、第４図のように
熱交換チューブ１ａの始端の開口部１１ａ上方にショッ
トブラスト装置３ａを取り付け、必要ある時期にショッ
ト（鋼球）を管内目指して噴射し、付着した粉塵の層を
剥がし取る方法が有効である。

［考案が解決しようとする課題］ ここで対象とする熱交換器は溶解炉の排ガスのように相
当以上の高温の気体であるから、その構造上垂直の管を
複数並列し、管と管の間隙には耐火物２ａを充填して熱
交換するのが常道である。したがって上面から熱交換部
の頂面全体に第５図のようにショットの噴射を受ける
と、その内のかなりの部分は耐火物層の頂面を直撃し、
その頂面を抉って凹状を呈しこの凹部へショットブラス
トの鋼球や粉塵が集中的に滞留し、これらの滞留物が高
温の雰囲気に曝されて焼結固化して塊状に盛り上がる現
象を生じたりする。このため垂直管の開口面が閉塞しガ
スの通路を遮断して了ったり、一部が離脱して管内に落
ち込み管路を塞いで了ったりして、熱交換器の機能に重
大な悪影響を及ぼす虞れがある。また管内の係止物をシ
ョットブラストで取り除こうとすれば、離脱した係止物
が塊状のままショットブラストの配管系路に紛れ込ん
で、これもまた修理、調整に煩瑣な作業を強いるもので
ある。

本願考案は以上に述べた課題を解決するために、ショッ
トブラストの噴射によって常に高い機能が長く持続する
竪型熱交換器の提供を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本願考案に係る竪型熱交換器は、前記垂直管始端の開口
部上にショットブラスト装置を上架し、複数の垂直管同
士の間隙は耐火物で充填し、かつ耐火物層の上面は垂直
管の開口部より突出した頂点から、なだらかな曲線を描
きつつ下降して前記の開口部に達する多曲面体よりな
り、組み合わせると中抜きの亀甲形を形成する耐火成形
物を載置することによって解決した。

［作用・実施例］ 本願考案の作用を実施例を示す第１図および第２図にも
とづいて説明する。図は竪型熱交換器のうち、高熱の排
ガスがまず案内される垂直管の開口面付近の垂直断面図
と平面図を示し、主として耐熱特殊鋼で製作されている
垂直管１を垂直に複数並列し、管と管との間には不定形
耐火物、すなわちキャスタブル２などを打ち込んで充填
し、上部には垂直管の全部の管内に噴射ができる位置に
ショットブラストの噴射口３が上架されて対向してい
る。キャスタブル２の上面には特に成形した耐火部材４
を載置するが、この耐火部材の形状が考案の要旨であ
り、第３図に示すように垂直管１の開口面１１よりも突
出した頂点４１からなだらかな曲線４２を描いて開口面
１１に達する多曲面体４３を形成する。このような耐火
部材を多数密接して並べると、平面図が中抜きの亀甲型
に組み合わされて、この中抜きの部分に垂直管が嵌まり
込んだ状態を形成する。

いまショットブラストの噴射口３から鋼球Ｓを噴射する
と、目的とする垂直管の管内へ打ち込まれる鋼球以外の
鋼球は、当然耐火部材４の表面を直撃するがこの表面は
特に成形した堅牢緻密な層からなり、かつなだらかな曲
面を組み合わせたものであるから、噴射してこの表面に
衝突した鋼球は曲面上を滑って垂直管１の開口面１１に
流動して管内へ転落し途中で止どまることがない。

またこのように固定したブロックからなる耐火部材がシ
ョットブラストの作用を受けて表面が浸蝕してきた場合
は、上面の部材だけを外して新品と取り替えれば即座に
機能を回復することができるから、従来のメンテナンス
に比べると極めて有利な条件を形成する。

［考案の効果］ 本願考案は以上に述べた通りの構成と作用を生じるか
ら、溶解炉や加熱炉の排ガスを利用した熱精算の上で顕
著な改善をもたらす。

特に熱交換器の上部における清掃保全作業は、高熱雰囲
気中での苛酷な労役であり、この煩瑣な作業が従来の約
２５％程度にまで激減したことは安全面から見ても非常
に大きな貢献を果たすものである。

その他、使用する鋼球の節約に繋がったり、究極的には
溶解炉の場合に送風温度が高まりＳｉの歩留まりが向上
し、出銑率の増加が実現したりする装置本体の操業に及
ぶ効果が派生する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願考案実施例を示す垂直断面図、第２図は同
じ実施例の平面図、第３図は耐火部材を示す斜視図、第
４図は従来技術の全体を示す垂直断面図、第５図は従来
技術の課題を説明する垂直断面図。 １…垂直管、２…キャスタブル ３…ショットブラストの噴射口、４…耐火部材 11…開口面、41…頂点、42…曲線 43…多曲面体、Ｓ…鋼球。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】高熱の含塵排ガスを導入して複数の垂直管
   内を降下しつつ他の媒体へ与熱する竪型熱交換器におい
   て、前記垂直管始端の開口部上にショットブラスト装置
   を上架し、複数の垂直管同士の間隙は耐火物で充填し、
   かつ耐火物層の上面は垂直管の開口部より突出した頂点
   から、なだらかな曲線を描きつつ下降して前記の開口部
   に達する多曲面体よりなり、組み合わせると中抜きの亀
   甲形を形成する耐火成形物を載置したことを特徴とする
   竪型熱交換器。