JPH064151Y2 - 光フアイバ−通信線入り海底輸送管 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は光ファイバー通信線入り海底輸送管に関するも
のである。

（従来技術） 従来、本土より離れた島等に海中（水中を含む）を横断
して、水、油、ガス等の流体を輸送する海底輸送管に、
光ファイバー通信線を入れて遠方間の通信にも利用すれ
ば、通信線を別に布設する必要がなく経済的に有利なた
め、光ファイバー通信線を海底輸送管の鎧装鉄線の隙間
に挿入したものが提案されている（特開昭58-99587号公
報、特開昭58-99588号公報参照）。

（従来技術の問題点） しかしながら、このような輸送管では、光ファイバー通
信線が、光ファイバコアの外周に必要に応じガラス、プ
ラスチック繊維を介してプラスチック被覆を施したもの
であるので、機械的強度が弱く、輸送管製造時及び布設
時に輸送管が繰返し曲げを受けたときに、鎧装鉄線間で
圧縮され切断したり、該通信線の伝送特性が低下する欠
点があった。

該通信線を溶接アルミ管で被覆することも提案されてい
るが、数mm程度の細管なので、成形、溶接の難しさか
ら、アルミ管の被覆肉厚を大きくして機械的強度を高め
るのには限界があり、溶接アルミ管で被覆するだけで
は、該通信線を十分に保護することができなかった。

（問題点の解決手段） 本考案は繰返し曲げに強く、通信伝送特性を低下させ
ず、製造も容易で安価に得られる海底輸送管を提供する
もので、流体を輸送すべき中空管の周囲に撚合わされる
複数の鎧装線の少なくとも一つの鎧装線が長手方向に連
続した外側又は内側に開口する凹部を有する溝形の金属
製のケーシング条からなり、このケーシング条の凹部内
に光ファイバー通信線を収納したことを特徴とするもの
である。

（実施例） 次に本考案の一実施例を図面により詳細に説明すると、
第１図において、１は鉛、ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ール、ナイロン、合成ゴム等の軟質材料よりなる可撓性
の中空管で内部に水、油、ガス等の流体が輸送される。
２は中空管１の周囲に設けた座床層、３は鋼帯鎧装、４
は座床層、５は鉄線、ＦＲＰ線等の複数の鎧装線６を所
定巻付ピッチで撚合わせた線鎧装である。そして複数の
鎧装線６のうち１つの鎧装線が長手方向に連続した外側
に開口する凹部７を有する溝形の金属製のケーシング条
８が挿入されている。このケーシング条８は鉄条等を例
えば 字状又はＵ字状に成形してなり、構造簡単で製造も容易
であり、この凹部７内には光ファイバコアにプラスチッ
ク被覆又は溶接アルミ管を施した光ファイバー通信線９
が収納されることになる。

この光ファイバー通信線９は、ケーシング条８の凹部７
が図示するように半径方向外側に開口していると、ケー
シング条８の撚合わせ前又は撚合わせ時のみならず、撚
合わせ後にも凹部７内に収納できるので、該通信線９の
収納が容易な利点がある。

ケーシング条８の凹部７は前記したものとは反対に半径
方向内側に開口するように撚合わせ配置してもよく、こ
の場合、前記通信線９はケーシング条８の撚合わせ前又
は撚合わせ時に前記７内に収納しなければならないが、
該条底面が外側に位置するため、該通信線９をより確実
に保護することができる利点がある。

いずれの場合も光ファイバー通信線９は構造簡単で強度
が大きく製造が容易な外側又は内側に開口する凹部７を
有する溝形の金属製のケーシング条８内に収納されるの
で、繰返し曲げや引張り、鎧装線６間の圧縮に対する影
響を受けずに機械的に十分保護され、且つ伝送特性の低
下を防止することができる。

なお第１図において１０は線鎧装５の外側に設けた防食
層である。

図示するものでは、１つの鎧装線６を前記溝形の金属製
のケーシング条８としたが、２つ以上の鎧装線６を前記
溝形の金属製のケーシング条８とし、その各々の凹部７
内に光ファイバー通信線９を収納してもよい。

（実験例） 水を輸送すべきポリエチレン製の内径１００mmの中空管
１上に撚合わされる８mm鉄線からなる複数の鎧装線６の
うち１つの鎧装線６が外側に開口する凹部７を有する 条の鉄製のケーシング条８からなり、この凹部７内に光
ファイバー通信線９（コア径１５０μｍ、外径２mm、伝
送損失１２db/km）を収納した本考案に係る輸送管と、
比較のために同サイズの輸送管で第２図に示す如く同サ
イズの光ファイバー通信線９を鎧装線６と防食層１０と
の間の三角状空間に収納した輸送管の各々について、直
線状態から３ｍ径に曲げ変形を加えて元の状態に戻す動
作を１０回繰返す屈曲試験を行って光ファイバー通信線
の伝送損失を測定したところ、本考案のものは１２db/k
mという初期特性を維持したのに対し、比較例の方は５
０db/kmと伝送損失が大きくなった。

（考案の効果） 本考案は流体を流体を輸送すべき中空管の周囲に撚合わ
される複数の鎧装線の少なくとも１つの鎧装線が長手方
向に連続した外側又は内側に開口する凹部を有する溝形
の金属製のケーシング条からなり、このケーシング条の
凹部内に光ファイバー通信線を収納したものであるか
ら、輸送管製造時及び布設時に輸送管が繰返し曲げを受
けても、鎧装線間に作用する側圧力はケーシング条の両
側壁で受けとめられ、該通信線には、大きな外圧力が加
わらず、過度に圧縮されて切断する等の損傷を受けるこ
とがなく、該通信線の伝送損失が増大するのを防止する
ことができる。

またケーシング条は外側又は内側に開口する凹部を有す
る溝形の金属製のものでできているから、構造簡単で軽
量且つ強度が大きく、中空管上への撚合わせが容易であ
り、その凹部内への該通信線の収納も楽であり、更にケ
ーシング条の両側壁に圧縮力が作用しても該通信線を開
口側に若干移動させて衝撃を吸収する作用もするので、
該通信線を一層確実に保護することができる。

このため、製造容易で寿命の長い光ファイバー通信線入
り海底輸送管を安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す側面図、第２図は本考
案との比較に用いた輸送管の一部拡大側面図である。 １…中空管、２…座床層、３…鋼帯鎧装、４…座床層、
５…線鎧装、６…鎧装線、７…凹部、８…ケーシング
条、９…光ファイバー通信線、１０…防食層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】流体を輸送すべき中空管の周囲に撚合わさ
   れる複数の鎧装線の少なくとも１つの鎧装線が長手方向
   に連続した外側又は内側に開口する凹部を有する溝形の
   金属製のケーシング条からなり、このケーシング条の凹
   部内に光ファイバー通信線を収納したことを特徴とする
   光ファイバー通信線入り海底輸送管。