JPH0641113Y2 - 凍結乾燥装置の凝縮器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は凍結乾燥装置の凝縮器に関するものである。

（従来の技術） 一般に凍結乾燥は、確立した乾燥方法であり、それによ
って、例えば、ワクチン，ヴィタミン剤，抗生物質等の
薬品類の乾燥保存が行なわれる。乾燥を行なう水溶性生
成物は、当所は凍結しており真空ポンプの稼動により中
間の液体段階を経ないで、直接氷から水蒸気になる。こ
のような昇華水蒸気は、大量だと真空ポンプの中で凝縮
して真空装置に悪影響が起きるので、凝縮器本体内に充
填した吸着剤によって捕集されるようになっている。

（考案が解決しようとする課題） 前記した如く凍結乾燥中に凍結試料から発生する昇華水
蒸気は吸着剤によって捕集される。この場合、吸着面積
が大きい程、吸着効率は良く、サンプル温度は低く保た
れるが凝縮器本体の大きさには限りがあるので吸着効率
にも限界がある。また、蒸気を完全に吸着するには十分
な吸着層の長さが必要となる。そこで、吸着面の長さを
十分確保するために凝縮器本体内に仕切壁を設けて連続
する外側吸着通路及び内側吸着通路を形成して吸着層の
長さの拡大を図り、そのことによって昇華水蒸気を効果
的に吸着することができるが、この手段にあっては、仕
切壁によって取囲まれた内側吸着通路が形成されるよう
になる。

したがって、飽和状態に達した吸着剤に熱を与えて蒸発
させ再生を図る際に、内側吸着通路内の蒸気の逃げが遅
く再生効率を損うようになる。

そこで、この考案は、仕切壁によって連続した外側吸着
通路及び内側吸着通路を形成して吸着層の長さの拡大を
図ると共に再生効率の面でも大変好ましい凍結乾燥装置
の凝縮器の提供を目的としている。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、この考案にあっては、取入
口と取出口とを有する凝縮器本体の内部に、径の異なる
円筒状の吸着剤を平面から見て同心円状に複数配置する
と共に、吸着剤と吸着剤の間に仕切壁を設けて連続した
外側吸着通路及び内側吸着通路を形成し、外側吸着通路
及び内側吸着通路を仕切る前記仕切壁の上部に開閉可能
な制御弁を設けてある。

（作用） かかる凍結乾燥装置の凝縮器によれば、昇華水蒸気は外
側吸着通路及び内側吸着通路を通過する際に吸着通路内
の吸着剤によって順次捕集される。

一方、飽和状態に達した吸着剤を再生するには外部から
熱を与える。この時、制御弁の開によって内側吸着通路
内の蒸気は外側吸着通路内の蒸気と一緒に外へ円滑に逃
げるようになり再生効率が良くなる。

（実施例） 以下、第１図乃至第３図の図面を参照しながらこの考案
の一実施例を詳細に説明する。

図中１は凍結試料のセットが可能な乾燥室、３は真空ポ
ンプをそれぞれ示しており、乾燥室１と真空ポンプ３と
の間には凝縮器５が設けられている。

凝縮器５は、その本体７が円筒状に形成され、凝縮器本
体７の上部は蓋体９によって密閉されている。凝縮器本
体７の上方側となる蓋体９には前記乾燥室１と切換弁11
を介して連通し合う取り入口13が、また、下方の底面15
側には前記真空ポンプ３と連通し合う取出口17がそれぞ
れ設けられている。

また、凝縮器本体７内には、吸着剤19aを有する外側吸
着通路21と吸着剤19bを有する内側吸着通路23が設けら
れ、内側吸着通路23の中央部位にはさらに、吸着剤19c
を有する第２の内側吸着通路25が設けられており、平面
から見て同心円状に配置セットされている。

吸着剤19a,19b,19cはモリキュラシーブ等の材質により
中空の円筒状に形成され、内側の吸着剤19bは外側の吸
着剤19aより径が小さく形成され第２の内側吸着通路25
の吸着剤19cは筒状に形成されている。

外側吸着通路21と内側吸着通路23は外側の吸着剤19aと
内側の吸着剤19bの間に配置された円筒状の仕切壁27に
よって形成されている。また、第２の内側吸着通路25は
底面15を凝縮器本体７の内部に向けてリング状に一体に
窪ますことで形成されている。

外側吸着通路21と内側吸着通路23は底部に設けたスペー
サ29によって形成された空間により連通すると共に外側
吸着通路21は取入口13と、第２の内側吸着通路25は取出
口17とそれぞれ連通し、連続する吸着層が形成されるよ
うになっている。

仕切壁27の上部には、開閉可能な制御弁31が設けられ、
制御弁31は発熱体33,33により外側から熱が与えられる
ことで開となるサーモバルブタイプとなっている。

発熱体33は凝縮器本体７の中央部凹部空間35内にコイル
状に巻かれた状態で設けられており、さらに、凝縮器本
体７の外周面にコイル状に巻かれた状態で設けられてい
る。内側、外側の各発熱体33,33は、ニクロム線又はセ
ラミック等の材質で作られており、図外の制御部を介し
て電源と接続している。これにより、内側、外側の各発
熱体33,33は制御部によって規定の温度に管理される。

このように構成された凍結乾燥装置の凝縮器によれば、
真空ポンプ３によって乾燥室１内を真空にしていくこと
で凍結乾燥が行なわれ凍結乾燥中に発生する昇華水蒸気
は外側吸着通路21、内側吸着通路23,25を通過する際に
吸着剤19a,19b,19cによって捕集される。

次に吸着剤19a,19b,19cが飽和状態になった場合には、
各発熱体33,33によって吸着剤19a,19b,19cに外側と内側
から熱を与える。この時、内側吸着通路23,25の吸着剤1
9b,19cから発生する蒸気は開となる制御弁31を介して、
外側吸着通路21の吸着剤19aから発生する蒸気と一緒に
切換弁11の放出口11aから外部へ円滑に逃げるようにな
り、効率のよい再生が行なえるようになる。

なお、制御弁31は必ずしもサーモバルブタイプに限定さ
れるものではない。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案の凍結乾燥装置の凝縮器
によれば、外側吸着通路、内側吸着通路によって吸着面
積の拡大を図ることができると共に、吸着剤の再生時
に、内側吸着通路内の吸着剤から発生する蒸気を制御弁
を介して円滑に外へ逃がすことができるため再生時間の
効率が良くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の凝縮器を示した切断図、第２図は制
御弁の動作説明図、第３図は第１図におけるIII-III線
切断図である。 ７……凝縮器本体 11……取入口 17……取出口 19a,19b,19c……吸着剤 21……外側吸着通路 23,25……内側吸着通路 27……仕切壁 31……制御弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】取入口と取出口とを有する凝縮器本体の内
   部に、径の異なる円筒状の吸着剤を平面から見て同心円
   状に複数配置すると共に、吸着剤と吸着剤の間に仕切壁
   を設けて連続した外側吸着通路及び内側吸着通路を形成
   し、外側吸着通路及び内側吸着通路を仕切る前記仕切壁
   の上部に開閉可能な制御弁を設けたことを特徴とする凍
   結乾燥装置の凝縮器。