JPH064059U - 加熱炉用スキッドパイプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ウォーキングビーム式加熱炉のスキッドパイ
プ耐火ライニングのうち、上半分の耐火ブロックの寿命
延長を図る。 【構成】 上半分の耐火ライニングを、水冷パイプの長
さ方向の両端に被加熱鋼材支持のためのスキッドメタル
に嵌合する切欠き部を持つ鞍状の耐火ブロックとした加
熱炉用スキッドパイプにおいて、上面にスタッドを設け
た金属板で鞍状の耐火ブロックの下面のほぼ全面を覆
い、補強する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ウォーキングビーム式の加熱炉に使用されるスキッドパイプに関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

ウォーキングビーム式加熱炉は、炉幅方向に交互に配置した被加熱材を、炉長 方向に伸びた移動スキッドパイプと固定スキッドパイプとで交互に支持し、炉内 搬送しつつ加熱することにより、被加熱材である鋼材を炉定温度で抽出する設備 である。 この加熱炉に使用される前記のスキッドパイプは、水冷パイプ表面を耐火ブロ ックでライニングされている。また被加熱材の支持のために、長さ方向に所定の 間隔でスキッドメタルが配置されている。

【０００３】 スキッドパイプの耐火ライニングは、被加熱材である大重量の鋼材の通過によ る振動やパイプのたわみ、溶融スケールによる化学的侵蝕、堆積したスケールの 落下衝撃などを受け、その寿命ははなはだ短い。そこで損傷部分を補修すること が行われているが、例えば特公昭５２−３６９２４号公報に見られるように水冷 パイプに耐火ライニングを直接施工したものは、耐火ライニング材の補修に相当 な時間を要し、その間の炉停止によって生産性を著しく低下させる。

【０００４】 そこで、例えば実公昭５７−４５２５９号公報において、図４に示すように水 冷パイプ２の上半分と下半分とを別々に耐火ライニングし、下半分は図５に示す ように帯金８に支持された耐火物ブロック４を取付け、上半分は水冷パイプ２の 長さ方向の両端にスキッドメタル１に嵌合する切欠き部５を持つ鞍状の耐火ブロ ック３を載置した構造が提案されている。図には示していないが、下半分の耐火 物ブロック４内には帯金８の外側面に設けたスタッドが埋設されている。

【０００５】 以上の構造により、下半分の耐火物ブロック４はその帯金８を水冷パイプ２の 側面に突設したボルト９に懸架し、一方の上半分の鞍状の耐火ブロック３は水冷 パイプ２に載せるだけの簡単な操作で耐火物ライニングを施工することができる 。したがって、補修に伴う炉停止の時間が短くなり、鋼の生産性の低下も少ない 。 本考案はこのような従来技術の問題点を解決し、ウォーキングビーム式加熱炉 のスキッドパイプ耐火ライニングの特に上半分の耐火ブロックの寿命延長を図る ことを目的とする。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上半分の耐火ブロック３を鞍状にした従来の構造は、その切欠き部に キレツが生じ、ひいては脱落を招く欠点がある。また、図には示していないが、 実公昭５７−４５２５９号公報のようにこの上半分の耐火ブロック３の下面を帯 金あるいは金属製ロッドで補強することが知られているが、切欠き部に生じたキ レツによる耐火ブロックの脱落には効果がない。また、補強しない部分との間に 応力が集中し、それが原因による耐火ブロックのキレツも見られる。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の構成を図面に示す実施例に対応させて説明すると、上方に所定間隔で スキッドメタル１を配置した水冷パイプ２の上半分と下半分とを別々の耐火ブロ ック３，４でライニングすると共に、前記上半分のライニングを、水冷パイプ２ の長さ方向の両端に前記スキッドメタル１に嵌合する切欠き部５を持つ鞍状の耐 火ブロック３とした加熱炉用スキッドパイプにおいて、上面にスタッド６を設け た金属板７で前記鞍状の耐火ブロック３の下面のほぼ全面を覆った加熱炉用スキ ッドパイプである。

【０００８】

【実施例】

本考案を実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。 上半分の耐火ブロック３以外のスキッドパイプ全体の構造は、図４に示す全体 図と特に変わりない。すなわち、上方に所定間隔でスキッドメタル１が配置され る。スキッドメタル１の材質は金属に限らず、セラミックでもよい。下半分の耐 火ブロック３は、例えばスタッドを外側に設けた帯金８で支持され、この帯金８ の上端のフックをボルト９に懸架することで水冷パイプ２に取り付けられる。耐 火ブロックの目地部、スキッドメタル１と上半分の耐火ブロック３との間は、耐 火モルタルを介在させる。上半分、下半分のそれぞれの耐火ブロック３，４の間 にも耐火モルタル１０を介在し、ボルト９を被覆する。図には示していないが、 耐火ブロック３，４と水冷パイプ２との間に断熱材として、例えばセラミックフ ァイバーを介在してもよい。

【０００９】 図１は本考案の要部である上半分の耐火ブロック３の拡大図である。図２はこ の耐火ブロック３において、金属板７およびスタッド６の配置構造を示す平面図 、図３は図２のＸ−Ｘ線断面図である。図２，図３において、点線は耐火ブロッ ク３の輪郭を示す。

【００１０】 この上半分の耐火ブロック３は、水冷パイプ２の長さ方向の両端にスキッドメ タル１に嵌合する切欠き部５を持つ鞍状である点では従来と変わりない。本考案 では、この鞍状の耐火ブロック３の下面のほぼ全面を金属板７で覆う。金属板７ の上面には多数のスタッド６を設け、耐火ブロック３と一体化する。

【００１１】 本考案によれば、以上のように鞍状の耐火ブロック３の下面のほぼ全面を金属 板７で覆うことで、切欠き部５も金属板７で補強される。その結果、切欠き部５ にキレツが生じ難い。キレツが生じた場合でも、金属板７と共に鞍状の耐火ブロ ック３のほぼ全面を補強するスタッド６によって、キレツが原因による耐火ブロ ック３の脱落が防止される。

【００１２】 また、従来構造で見られる例えば帯金、金属製ロッドなどで補強した場合では 、補強した部分とそうでない部分との間に応力が集中し、キレツを発生しやすい 。しかし、本考案では金属板７で耐火ブロック３の下面のほぼ全体を覆うために 応力が分散し、切欠き部５だけでなく、耐火ブロック３の全体に対してもキレツ 発生がきわめて少なくなる。

【００１３】 上半分、下半分のそれぞれの耐火ライニングの目地は、モルタルの薄層で接着 される。また、図には示していないが、耐火ライニングと金属板との間はセラミ ックファイバー、多孔質耐火物などの断熱層を設けてもよい。 上半分の耐火ライニングの構造が、下面のほぼ全面を金属板で覆った鞍状の耐 火ブロックにした本考案実施例のスキッドパイプと、この鞍状の耐火ブロックの 下面を金属製のロッドで補強支持した従来タイプのスキッドパイプについて、１ ０００ｔ／day 能力のウォーキング式加熱炉を使用し、その耐用性を試験した。 この場合、本考案実施例のスキッドパイプで使用した上半分の耐火ブロックは、 厚さ７５mm、その下面金属板の厚さ２．５mm、スタッドは図２のように１２個と した。その試験結果は下表のとおりである。

【００１４】

【表１】

【００１５】

【考案の効果】

本考案のスキッドパイプは、次の効果がある。 スキッドパイプは、使用中に水冷パイプが酸化によって数mm程度、損耗する 結果、水冷パイプの表面は凹凸状となり、そのような表面に従来のファイバーを 有する耐火ブロックを乗せれば、水冷パイプと耐火ブロックとの間にすき間がで き、不安定である。そして、この不安定な状態で使用すれば、上面に堆積したス ケールの圧下により耐火ブロック割れ脱落を助長する結果となる。

【００１６】 これに対し、本考案によれば、耐火ブロックの下面が全面鉄板であることによ り、水冷パイプと耐火ブロックとの接着面にモルタル充填が可能となり、耐火ブ ロックと水冷パイプが密着し、堆積スケールの圧下などによる耐火ブロックの割 れ脱落が激減する。 オフラインの圧下試験でも、割れの改善効果が認められ、圧縮加重値が数１０ ％向上する。その結果は、下表のとおりである。

【００１７】

【表２】

【００１８】 また、前記のようにモルタルの充填による密着によってスキッドパイプの水 冷効果が均一化し部分的な熱放散がない。従って、断熱にも優れ、スキッドパイ プによる熱損失が改善できる。 水冷パイプと耐火ブロックの間に断熱ファイバー層を介在させる必要がない ので、耐火ブロックを例えば鋳込み成形する場合、鋳込み方向の変更が可能とな り、耐火ブロックの外観気泡跡を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るスキッドパイプの要部となる耐火
ブロックの斜視図。

【図２】本考案における金属板とスタッドの配置構造を
示す平面図。

【図３】図２のＸ−Ｘ線断面図。

【図４】スキッドパイプの一般的な構造を示す説明図。

【図５】スキッドパイプの下半分を示す部分図。

【符号の説明】

１ スキッドメタル ２ 水冷パイプ ３ 上半分の耐火ブロック ４ 下半分の耐火ブロック ５ 切欠き部 ６ スタッド ７ 金属板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 松尾 三郎 福岡県北九州市戸畑区飛幡町１番１号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)考案者 柏村 雄介 兵庫県高砂市荒井町新浜１丁目３番１号 ハリマセラミック株式会社内 (72)考案者 林田 易行 兵庫県高砂市荒井町新浜１丁目３番１号 ハリマセラミック株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方に所定間隔でスキッドメタル（１）
   を配置した水冷パイプ（２）の上半分と下半分とを別々
   の耐火ブロック（３），（４）でライニングすると共
   に、前記上半分のライニングを、水冷パイプ（２）の長
   さ方向の両端に前記スキッドメタル（１）に嵌合する切
   欠き部（５）を持つ鞍状の耐火ブロック（３）とした加
   熱炉用スキッドパイプにおいて、上面にスタッド（６）
   を設けた金属板（７）で前記鞍状の耐火ブロック（３）
   の下面のほぼ全面を覆ったことを特徴とする加熱炉用ス
   キッドパイプ。