JPH0639195U - 蛇口直結型フィルタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体中の細菌や鉄サビ等は除去する一方、塩
素は通すようにして、残留塩素によって濾過水の無菌状
態を有利に保持し得るようにすると共に、フィルタの濾
過寿命が容易に判るようにする。 【構成】 蛇口直結型のフィルタを、液体の入口と出口
とを備えた筒状を呈し、少なくとも一部が透明な材質に
て形成された本体１０と、この本体１０の内部に配され
て、その入口から出口に向けて通過する液体を濾過する
中空糸膜モジュール２２と、本体１０の入口に組み付け
られた蛇口取付手段２６とから構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】

本考案は、医療や保健衛生、生化学、理化学、微生物学等の分野、更には飲食 品や化粧品類に関連する分野において、研究機関や学校等で、無菌状態の液体を 簡単に得るための蛇口直結型フィルタに関するものである。

【０００２】

【背景技術】

医療や保健衛生の分野では、水薬や消毒薬の希釈水等に、浄水、精製水、蒸留 水、生理食塩水、滅菌水等の各種の液体が使用される。また、生化学、理化学、 微生物学等の分野、更には飲食品や化粧品類に関連する分野においても、希釈液 等として精製水や蒸留水等が頻繁に利用されている。而して、従来から、それら の液体がしばしば微生物に汚染されることが問題となっており、また水道水等で は、配管中の鉄サビ等が混入している場合もある。そのため、それらの液体を使 用する際には、使用前に、浄水器に通すことによって、浄化しなければならない 不具合があった。

【０００３】 しかしながら、市販されている浄水器では、活性炭により液体中の塩素も除去 されてしまうために、却って液体中に細菌が繁殖し易くなる恐れがあったのであ る。また、従来の浄水器では、濾過寿命が判り難く、活性炭の取り替え時期が遅 過ぎた場合に、安定した濾過効果が得られなくなるという問題もあった。

【０００４】

【解決課題】

ここにおいて、本考案は、かかる事情を背景にして為されたものであって、そ の解決課題とするところは、液体中の細菌や鉄サビを除去する一方、塩素は通す ようにし、また濾過寿命が容易に判るようにした、蛇口直結型フィルタを提供す ることにある。

【０００５】

【解決手段】 そして、かくの如き課題を解決するために、本考案にあっては、（ａ）液体の 入口と出口とを備えた筒状を呈し、少なくとも一部が透明な材質にて形成された 本体と、（ｂ）該本体の内部に配されて、該本体の入口から出口に向けて通過す る液体を濾過する中空糸状多孔質膜手段と、（ｃ）該本体の入口に組み付けられ た蛇口取付手段とから構成されることを特徴とする蛇口直結型フィルタを、その 要旨とするものである。

【０００６】 また、本考案において、有利には、前記本体内部の中空糸状多孔質膜手段より も上流の入口近傍に、邪魔板が設けられることとなる。

【０００７】

【作用・効果】

すなわち、本考案に従う蛇口直結型フィルタでは、本体内部に配された中空糸 状多孔質膜手段により、液体中の鉄サビや細菌、浮遊物を除去し得る一方、塩素 は液体中に残存させることができる。それ故、塩素を含んだ濾過水が得られ、溜 置きでも一定時間残留塩素濃度が保持されることから、細菌の繁殖を効果的に抑 制することができ、汚染防止に有効である。また、蛇口直結型のコンパクトな構 成であることから、水道水の蛇口に取り付ける他、蒸留水や精製水の採取装置の 蛇口にも取り付けることができ、以て無菌状態の蒸留水、精製水を得ることによ って、精密濾過水として純度を上げることができる。更には、本体の少なくとも 一部が透明な材質で形成されているところから、中空糸状多孔質膜手段の目詰ま りを外部から容易に見つけることができ、適正な時期に中空糸状多孔質膜手段の 取り替えを行なうことにより、安定した濾過効果を得ることができる特徴を有し ている。

【０００８】 また、かかる蛇口直結型フィルタにおいて、本体内部の中空糸状多孔質膜手段 よりも上流の入口近傍に、邪魔板を設けることにより、蛇口からの水道水等の液 体の水流を分散し、中空糸状多孔質膜手段の濾過効率を良くすると共に、中空糸 状多孔質膜手段に負担を掛けないようにすることができる。

【０００９】

【実施例】

以下に、本考案をより具体的に明らかにするために、本考案の代表的な実施例 について、図面に基づいて詳細に説明することとする。

【００１０】 先ず、図１には、本考案に従う蛇口直結型フィルタの一例が示されている。そ こにおいて、１０は、略円筒形状を呈する本体であり、上部本体１４の下端部に 対して下部本体１８の上端部が一体的に固着されて、構成されている。そして、 該上部本体１４の上端部１２は、縮径されて、液体の入口とされている一方、該 下部本体１８の下端部１６は、縮径されて、液体の出口とされている。また、該 下部本体１８の下端部１６の外周面には、係止用の段部が形成されており、必要 に応じてチューブ等を接続し易いようになっている。更に、該上部本体１４の上 端部１２の外周面には、雄ねじが形成されており、該雄ねじを蛇口取付手段２６ の雌ねじに螺合させることにより、本体１０と蛇口取付手段２６とが一体的に組 み付けられるようになっている。

【００１１】 更にまた、本実施例では、該上部本体１４の上端部１２の内側の部分に、邪魔 板２５が一体的に成形されており、該邪魔板２５の壁部に周方向に等間隔に設け られた複数の通孔３４を通じて、液体が上下方向に流通するようになっている。 このように、本体１０の内部の中空糸状多孔質膜手段よりも上流側の入口近傍内 に邪魔板２５を設けることにより、蛇口からの水道水等の液体の水流を分散し、 中空糸状多孔質膜手段の濾過効率を良くすると共に、中空糸状多孔質膜手段に負 担を掛けないようにすることができる。

【００１２】 また、この蛇口取付手段２６は円筒形状を呈しており、雌ねじが、その下部内 周面に形成されている。そして、この蛇口取付手段２６には、その筒壁を貫通す るようにして、複数の螺子２８が、円周方向に等間隔に組み付けられており、こ の螺子２８を所定の蛇口の回りに締め付けることによって、蛇口取付手段２６、 ひいてはフィルタを蛇口に直結し得るようになっているのである。なお、３０は 、蛇口とフィルタとの間のシールを行なう円環状のゴムパッキンである。

【００１３】 ところで、前記本体１０の少なくとも一部は透明な材質で形成されるのであり 、本実施例では、上部本体１４が透明な材質にて形成されており、外部から内部 の状態を見ることができるようにされている。なお、その具体的な成形材料とし ては、透明であること以外は特に限定はなく、公知の容器材料の中から、内部を 通過する液体に対して影響を与えたり、また該液体にて影響を受けない材質が適 宜に選定されることとなる。例えば、アクリル系、ポリカーボネート系等の樹脂 やガラス材料が好適に使用される。また、上部本体１４と下部本体１８とが互い に溶着可能な樹脂材料にて形成される場合には、それらを振動溶着にて簡便に固 着させることが可能となる。但し、上部本体１４と下部本体１８とは、螺合等に よって、互いに脱着可能に取り付けるようにしても良く、その場合には、フィル タ交換を中空糸状多孔質膜手段の取り替えのみで行なうことができる。

【００１４】 なお、下部本体１８の下端部１６近辺は、細菌で汚染され易い部位であるとこ ろから、フィルタを使用しない時は、図１の如くに汚染防止用の蓋２０を取り付 けることが望ましいが、それは必須ではない。また、それら下部本体１８や蓋２ ０等の細菌汚染を効果的に防止するために、それらを、抗菌性プラスチック、例 えば、特願平３−８７５１１号明細書に明らかにされている抗菌性ゼオライトを 含むプラスチック等で形成することが好ましい。この他、消毒薬または消毒薬を 含ませた綿球等を蓋２０内に納めて、消毒効果を持たせることもできる。

【００１５】 そして、かかる本体１０の内部には、中空糸状多孔質膜手段としての中空糸膜 モジュール２２が装入されて、配置されており、本体１０の入口から出口に向け て通過する液体を濾過し得るようになっている。この中空糸膜モジュール２２は 、具体的には、複数本の多孔質中空糸膜をループ状（Ｕ字状）に湾曲させて束ね 、その開口側端部をポリウレタン樹脂等の適当な接着剤により接着、固定せしめ たものであり、該接着固定部２４が前記本体１０内に嵌入せしめられ、該本体１ ０に固定されている。

【００１６】 また、ここで用いられる多孔質中空糸膜は、液体は通過させるが、細菌は通過 させ得ない孔径の孔を有するもの、換言すれば細菌の除去が可能な膜孔径を有す るものであり、通常は、０．２〜０．３μｍの標準粒子を阻止せしめるものが適 当である。但し、細菌のみならず、ウイルスの除去も必要な場合には、更に膜孔 径の小さな中空糸膜を用いるのが適当である。

【００１７】 さらに、かかる多孔質中空糸膜は、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、 ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート、ポリメチルメタ クリレート、ポリアミド等の高分子材料を用いて、公知の手法に従って作製され 得るものであり、それら公知の各種のものが何れも良好に用いられる。なお、多 孔質中空糸膜としては、親水性のものと疎水性のものがあるが、前記中空糸膜モ ジュール２２は、親水性部分と疎水性部分とを含んで構成することが好ましい。 それによって、自動的に空気抜きが為され得て、空気抜きのエアベントが不要と なるからである。

【００１８】 従って、このような構成を有する蛇口直結型フィルタは、コンパクトで、水道 の蛇口の他、蒸留水や精製水の採取装置の蛇口に簡単に取り付けることができ、 簡便に濾過水を得ることができる。そして、液体中の細菌や鉄サビ等は除去する 一方、塩素は通過させ得るため、濾過水の無菌状態を有利に保持することが可能 となる。加えて、かかる蛇口直結型フィルタは、中空糸状多孔質膜手段の汚れ具 合を外部から見ることができるため、適切な時期にフィルタ交換を行なうことに よって、安定した濾過効果を有利に得ることができるのである。

【００１９】 以上、本考案の代表的な実施例について詳細に説明したが、本考案が、そのよ うな実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまで もないところである。また、本考案には、上記の実施例の他にも、本考案の趣旨 を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良 等を加え得るものであることが、理解されるべきである。

【００２０】 例えば、より内部が見易くなるように、上部本体１４や下部本体１８の適当な 部位に、図２に示すような拡大透視部（レンズ部）３２を設けても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に従う蛇口直結型フィルタの一例を示す
断面図である。

【図２】上部本体に拡大透視部を設けた例を示す正面図
である。

【符号の説明】

１０ 本体 １４ 上部本体 １８ 下部本体 ２０ 蓋 ２２ 中空糸膜モジュール ２５ 邪魔板 ２６ 蛇口取付手段 ３２ 拡大透視部 ３４ 通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 遠藤 雅士 岐阜県郡上郡八幡町大字旭字清水元15番地 トーメーテクノロジー株式会社岐阜工場 内 (72)考案者 中川 誠 岐阜県郡上郡八幡町大字旭字清水元15番地 トーメーテクノロジー株式会社岐阜工場 内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）液体の入口と出口とを備えた筒状
   を呈し、少なくとも一部が透明な材質にて形成された本
   体と、（ｂ）該本体の内部に配されて、該本体の入口か
   ら出口に向けて通過する液体を濾過する中空糸状多孔質
   膜手段と、（ｃ）該本体の入口に組み付けられた蛇口取
   付手段とから構成されることを特徴とする蛇口直結型フ
   ィルタ。
2. 【請求項２】 前記本体内部の中空糸状多孔質膜手段よ
   りも上流の入口近傍に、邪魔板を設けることを特徴とす
   る請求項１記載の蛇口直結型フィルタ。