JPH0638798A - 遺伝子再配列を検出する染色体−特異的染色 - Google Patents

遺伝子再配列を検出する染色体−特異的染色

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JPH0638798A
JPH0638798A JP4072635A JP7263592A JPH0638798A JP H0638798 A JPH0638798 A JP H0638798A JP 4072635 A JP4072635 A JP 4072635A JP 7263592 A JP7263592 A JP 7263592A JP H0638798 A JPH0638798 A JP H0638798A
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probe
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nucleic acid
hybridization
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Joe W Gray
ジョー ダブリュー. グレイ
Daniel Pinkel
ダニエル ピンケル
Olli-Pekka Kallioniemi
オリ−ヘ゜ッカ カリオニエミ
Anne Kallioniemi
アン カリオニエミ
Masaru Sakamoto
優 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】遺伝子再配列の存否を示す染色パターンを形成
するための染色体物質を染色する方法および組成物を提
供する。 【構成】高コンプレキシティ核酸プローブを使用する核
酸配列を基礎とした標的染色体物質を染色する方法およ
びその組成物であり、形成された染色体パターンは染色
体3,13および/または17を含む1または複数の遺伝子再
配列の存否を示す。前記プローブはインシトゥー ハイ
ブリダイゼーションに充当され、確実なシグナルで中期
および間期染色体物質の両者を染色する。プローブおよ
びテストキットは、遺伝子再配列、座に関係した疾病、
特に癌例えば網膜芽細胞腫、肺癌、胸部癌、卵巣および
子宮癌の検出の使用のために提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には細胞遺伝学
の分野、より詳細には分子細胞遺伝学に関する。本発明
は染色体を同定し、かつ分類する方法に関する。なおよ
り詳細には、本発明は以下に記載するプロセスによって
設計することができる高コンプレキシティ核酸プローブ
に関し、これにより1または複数の全染色体に広がり、
および/または1または複数の染色体上の1または複数
の領域に広がる染色分布を形成し、かつこれには全ゲノ
ムに及ぶ染色パターンも含まれる。染色パターンは、と
りわけ出生前の、腫瘍および細胞遺伝学に関連した疾患
を含む所望のいずれの細胞遺伝学的適用に対しても適合
させることができる。本発明は核酸プローブの組成物お
よび染色体を染色する方法を提供し、これによって中期
スプレッド(spread)と間期核の正常染色体および染色体
異常を同定する。本発明のプローブ−形成染色パターン
は、正常および異常染色体の顕微鏡的および/またはフ
ローサイトメトリーによる同定、ならびに特定の異常な
遺伝学的性質の特徴付けを容易にするものである。
【0002】ここに記載した例の多くはヒト染色体に関
し、またここに使用した言葉の多くはヒト関係に向けら
れているが、染色体を染色または着色するために核酸プ
ローブを用いるという概念は、植物と動物の両者を含む
いずれの源からの染色体にも適用できる。
【0003】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】染色体異
常は、遺伝子疾患、変性疾患、および変性疾患特に癌を
ひき起こすことが知られている薬剤への暴露に関連す
る。German,"Studying Human Chromosomes Today",Amer
ican Scientist,Vol.58,pgs.182ー201(1970);Yunis,"The
Chromosomal Basis of Human Neoplasia",Science,Vo
l.221,pgs.227ー236(1983);and German,"Clinical Impli
cation of Chromosome Breakage",in Genetic Damage i
n Man Caused by EnvironmentalAgents,Berg,Ed.,pgs.6
5-86(Academic Press,New York,1979)参照のこと。染色
体異常には数タイプがあり、なかでも過剰または欠如の
ある個々の染色体、1個の染色体の過剰または欠如のあ
る部位(セグメント的重複または欠失)、切断、環およ
び染色体再配列を含む。染色体または遺伝子の再配列
は、転座(1つの染色体から他の染色体へのピースのト
ランスファー)、二動原体(2個の動原体を有する染色
体)、逆位(染色体セグメントの極性の反転)、挿入、
増幅、および欠失を含む。
【0004】検出可能な染色体異常は、ヒトの出生数25
0ごとに1回の頻度で起きる。染色体物質の欠失または
付加を伴う異常は、生体の遺伝子の平衡を変え、普通は
胎内死または重大な精神的、肉体的欠陥をもたらす。ダ
ウン症候群は、染色体21の正常な2個の代わりに3個の
コピーを有することによって起り得る。この症候群は、
異常染色体数または異数体性によって起こる状態の一例
である。また、ダウン症候群は、染色体21の小領域のセ
グメント的重複(例えば21q22)によっても起り得るこ
とがあり、これは染色体21または他の染色体上に存在し
得る。エドワーズ症候群(18+)、パトー症候群(13+)、タ
ーナー症候群(XO)、およびクラインフェルター症候群(X
XY)が、数の異常を来す疾患のなかでよく見られるもの
である。[Epstein,The Consequences ofChromosome Imb
alance:Principles,Mechanisms and Models(Cambridge
Univ. Press 1986);Jacobs,Am.J.Epi-demiol,105:180(1
977);and Lubs et al.,Science,169:495(1970)]。
【0005】網膜芽細胞腫(del 13q14)、プレーダ−ウ
イリ症候群(del 15qll- q13)、ウイルムス腫瘍(del 11p
13)およびクリ−デュ−シャ症候群(Cri-du-chat)(del 5
p)は、構造的異常と関連した重要な疾患の例である。[N
ora and Fraser,Medical Genetics:Principles and Pra
ctice,(Lea and Febiger 1989).]。
【0006】マニュリディス等("Chromosomal and Nucl
ear Distribution of the Hind III1.9-KB Human DNA R
epeat Segment,"Chromosoma,91:28-38,1984)は、反復DN
A配列のファミリーのメンバーの位置に対応する染色体
の複数の座を検出するための単一種のDNAプローブの構
造を開示している。このようなプローブはここでは反復
プローブと呼ばれる。
【0007】異なった反復配列は染色体上に異なった分
布を有するであろう。これらは、先に引用した文献に示
されたように、全染色体上に広がっており、ゲノムのコ
ンパクトな領域、例えば染色体の動原体上に濃縮してお
り、または他の分布を有するであろう。ある場合には、
このような反復配列は主に単一染色体上に位置してお
り、このためこれは染色体-特異的反復配列である。[Wi
llard et al.,"Isolation and Characterization of a
Major Tandem Repeat Family from the Human XChromos
ome",Nucleic Acids Research,Vol.11,pp.2017-2033(19
83)]。
【0008】近来になって、選択された染色体に対して
激しくかつ特異的にハイブリダイズする反復配列のため
のプローブ(反復プローブ)の有効性が増大した[Trask
etal.,Hum. Genet.,78:251(1988)およびこのなかに引
用された文献]。このようなプローブは今やヒト染色体
の半分以上に利用できる。一般的に、これらは動原体近
傍の標的染色体のコンパクトな領域上の反復配列に結合
する。しかしながら、ヒト染色体1p36にハイブリダイズ
する1つのプローブが報告されており、またヒト染色体
Yqにハイブリダイズする幾つかのプローブがある。この
ようなプローブによるハイブリダイゼーションは、中期
スプレッドにおける染色体の迅速な同定、間期核におけ
る選択された染色体のコピー数の決定[Pinkel et al.
(I),PNAS USA,83:2934(1986);Pinkel et al.(II),Cold
Spring Harbor Symp. Quant. Biol.,51:151(1986) and
Cremer et al.,Hum. Genet.,74:346(1986)]、および間
期核における染色体の相対的位置の決定を可能にする[T
rask et al.,前記;Pinkel etal.(I),前記;Pinkel et a
l.(II),前記;Manuelidis,PNAS USA,81:3123(1984);Rapp
old et al.,Hum. Genet.,67:317(1984);Schardin et a
l.,Hum. Genet.,71:282(1985); and Manuelidis,Hum. G
enet.,71:288(1985)]。しかしながら、反復プローブは
構造的な異常の検出のためには非常に有効であるとはい
えない。何故ならば、上記した異常はプローブがハイブ
リダイズする領域を含む可能性が低いためである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高コンプレキ
シティ核酸プローブを使用する核酸配列を基礎とした染
色体物質を染色する方法に関し、当該染色方法において
形成された染色パターンは1または複数の遺伝子再配列
の存否を示す。ここで記述された典型的な遺伝子再配列
は、染色体13の網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子お
よび染色体3および17のこれらに関連するものである。
【0010】本発明は、染色体物質を染色するための組
成物を提供する。ハイブリダイゼーション技術の現状に
おいて本発明のプローブ組成物は高コンプレキシティの
典型であり、通常は50kbより大きいコンプレキシティで
あって、このコンプレキシティはプローブが設計される
適用に依存する。
【0011】本発明は、疑わしい遺伝子再配列の近傍に
ある標的染色体物質を染色する染色体特異的試薬および
方法に関する。このような遺伝子再配列には、転座、逆
位、欠失、増幅および挿入が含まれるが、これらに限定
されない。異数体性はここでは増幅という表現に包含さ
れる。遺伝子再配列は、ここで記述された方法にて本発
明の試薬を適用することにより、かつ形成された染色パ
ターンのシグナルの近接および/または他の特性を観察
することにより決定され得る。
【0012】本発明は標的染色体物質を、それが中期ス
プレッドであるかまたは間期核であるかを染色する方法
を提供する。本発明の特別の目的は、臨床上の試料から
細胞を染色することにある。本発明の特別の主題は、癌
の疑いのある細胞からの染色体物質である。ここに記述
された発明による特別の興味なるものは、腫瘍サプレッ
サー遺伝子、特に染色体13に位置した網膜芽細胞腫腫瘍
サプレッサー遺伝子(Rb-1)、および染色体3のpアームの
腫瘍サプレッサー遺伝子を含む染色体欠失に関連した癌
である。このよう癌は網膜芽細胞腫、骨肉腫、肺癌(特
に小細胞肺癌)、胸部癌、腎細胞癌、卵巣癌および子宮
癌からなる群から選ばれる。網膜芽細胞腫、骨肉腫、小
細胞肺癌および胸部癌は、Rb-1において特に遺伝子再配
列、特に欠失に関連する。小細胞肺癌、腎細胞癌、子宮
癌および/または卵巣癌は染色体3のPアームにおける特
に遺伝子再配列、特に欠失に関連する。
【0013】従って、本発明は、網膜芽細胞腫腫瘍サプ
レッサー遺伝子(Rb-1)、染色体3、および/または染色
体17に関連した1または複数の遺伝子再配列の検出のた
めの高コンプレキシティ核酸プローブを提供する。この
ようなプローブを使用する方法は癌の診断学および/ま
たは予後学に考慮され得る。
【0014】本発明の方法は、対照プローブ、例えば染
色体13/21動原体プローブ、または染色体3動原体プロー
ブおよび/または染色体17動原体プローブのこどき動原
体−特異的アルファ サテライトプローブの使用を含む
ことができる。
【0015】高コンプレキシティのプローブを調製する
1手段は、数個または多数のクローン、例えばとりわけ
ファージ、プラスミド、コスミドおよび/またはYACク
ローンをプールすることであり、各クローンはゲノム内
の標的のある部分にハイブリダイズすることができるイ
ンサート(insert)を含む。コスミドは本発明の座−特異
的プローブのための好ましいベクターである。このよう
なプローブを調製する他の手段は、ポリメラーゼ鎖反応
(PCR)の使用、例えばPCRアダプター−リンカー法であ
る。
【0016】標識された核酸フラグメントの混合物に関
する不均一は、染色試薬が異なる配列および/またはサ
イズのそれぞれの多くのコピー(例えばプローブを形成
するためにプールした異なったDNAクローンから)から
なるということを意味する。使用のための準備として
は、これらのフラグメントはランダムまたは特異的に切
断されて、ハイブリダイゼーションに関与する核酸のピ
ースのサイズ分布を調整される。
【0017】以下により十分に論議するように、好まし
くは不均一プローブ混合物は非標的核酸に対してハイブ
リダイゼーション能力を持った核酸配列から実質的にフ
リーである。このような配列の多くは、標的および非標
的核酸によって共有された反復配列、すなわち共有反復
配列に結合している。好ましくない核酸配列を除去しお
よび/またはこのような配列のハイブリダイゼーション
能力を役立たなくするための方法は、後述のセクション
IIにて論議される。
【0018】本発明の染色体−特異的染色試薬を調製す
る好ましい方法は以下の手段を含む。1)ゲノムにおけ
る特定の染色体型または1もしくは複数の標的領域から
染色体DNAを分離すること、2)核酸フラグメントの不
均一混合物を形成するために分離DNAを増幅すること、
3)核酸フラグメントにおける共有反復配列のハイブリ
ダイゼーション能力を役立たなくすること、または除去
すること、および4)標識された核酸フラグメントの不
均一混合物を形成するために核酸フラグメントを標識す
ること。より十分に後述するように、特定の実施態様に
対するステップの順序は、ステップを実施するために採
用される特定の手段に従って変わる。
【0019】ここでは、下記a〜cのステップからなる
ヒトの網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子、染色体
3、および/または染色体17に関連する遺伝子再配列を
検出する方法が記述される。 a.ここで例示したごとく、適正な高コンプレキシティ
核酸プローブを標的染色体物質にハイブリダイズするこ
と; b.前記プローブからのシグナル近接性および/または
他の特性を観察し、および/または測定すること; c.ステップbにて得られた観察および/または測定か
ら、1または複数の遺伝子再配列が発生しているか否か
を決定すること。
【0020】ここではさらに、下記のプロセスにより形
成された、ヒトの網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝
子、染色体3、および/または染色体17に関連する1ま
たは複数の遺伝子再配列を使用する、染色パターンを形
成する染色体-特異的染色試薬が記述される。染色体3,1
3および17からなる群から選ばれた染色体-特異的DNAを
分離すること;分離された染色体-特異的DNAのピースを
増幅すること;染色体3,13および/または17の標的染色
体DNAに支配的にハイブリダイズする核酸フラグメント
の集合体を形成すべく、分離されたDNAの増幅ピースに
包含された共有反復配列のハイブリダイゼーションを無
能力化し、および/または除去すること;核酸フラグメ
ントの不均一混合物を形成すべく集合体の核酸フラグメ
ントを標識すること。増幅ステップは例えば、PCRアダ
プター−リンカー法を含む、クローニングにより、およ
び/またはポリメラーゼ鎖反応(PCR)を使用することに
より達成することができる。
【0021】ここでは、デジタル イメージ分析が本発
明の染色方法に有用な付属的な物として、同染色方法に
関連して遂行されたものとして記述される。
【0022】本発明の方法は、高コンプレキシティ核酸
プローブを使用する核酸配列を基礎とした標的染色体物
質を染色することを包含する。当該方法において、形成
された染色パターンは腫瘍サプレッサー遺伝子に関連し
た1または複数の遺伝子再配列を表示する。典型的な方
法は、腫瘍サプレッサー遺伝子が網膜芽細胞腫腫瘍サプ
レッサー遺伝子であるか、または染色体3のpアームに位
置することであり、当該方法において遺伝子再配列は欠
失である。
【0023】本発明はさらに、腫瘍細胞遺伝学、座に関
連した疾患の検出、構造的異常の分析において、例えば
転座、特に他の遺伝子再配列、生物的線量測定のために
有用な適切な核酸プローブからなるテストキットを提供
する。本発明はさらに、本発明の適切な核酸プローブか
らなる胎児期のスクリーニング キットを提供する。
【0024】さらに、本発明の目的の1つは、遺伝子、
例えばRb-1遺伝子内の小領域欠失を含む、従来のバンド
分析によっては明確ではない小さな特異的欠失を検出す
ることにある。そらに、本発明の目的の他の1つは、固
形腫瘍のごとき癌、および形態学的に定義されたそれぞ
れの腫瘍細胞からの遺伝子コピー数および構造的異常の
遺伝子的異質性を研究する方法を提供するにある。さら
に本発明は、染色体の異常性、特に本発明により形成さ
れた染色パターンにより表示されたごとき遺伝子再配列
を検出しかつ分析する自動的手段を提供する。
【0025】
【発明の作用・効果】ここには、概略のコンプレキシテ
ィ範囲で約50,000ベース(50 kb)から数億ベースまでの
プローブが例示されている。このような代表的プローブ
は、コンパクトな座とヒト染色体全体に対するものであ
る。
【0026】本発明の技術は、慣用的方法による高品質
のバンディングが難しいか、偏った情報を生じるという
懸念がある適用、例えば腫瘍細胞遺伝学における適用に
特に有益である。診断上または予後上重要であることが
知られている病変、他の腫瘍特異的遺伝子配列、なかで
も例えば腫瘍型−特異的転座および欠失の座位を標的と
した試薬は、このような異常の迅速な認識を可能にす
る。分析の速度が主な関心事である場合、例えば有毒環
境薬剤によって誘発される低頻度の染色体異常の検出に
は、本発明の組成物は、慣用の染色体バンディングに基
づく従来技術と比較して、検査効率において劇的な向上
を可能にする。
【0027】さらに、疾患−関連の染色体異常(例えば
トリソミー21)に対する出生前スクリーニングは、本発
明による方法と組成物による異常の迅速検出によって高
められる。本発明による間期異数体分析は、出生前診断
に対して特に顕著であり、細胞培養法によるよりもより
迅速に結果が得られる。さらに、母性の血液から分離さ
れる胎児の細胞は、日常の手法によっては培養すること
ができず、このため慣用のカリオタイピング技術によっ
て分析することもできないが、本発明の方法と組成物に
よれば検査することができる。これに加えて、染色パタ
ーンの強度、コントラスト、色の組合せは、特定の適用
に対してパターンを適合させる能力と連携して、自動化
された細胞遺伝学的分析、例えばフローサイトメトリー
またはコンピュータ化した検鏡検査およびイメージ分析
に対する機会を増した。
【0028】本出願は、特に遺伝子再配列の検出のため
の染色体−特異的試薬と、このような再配列を検出する
ためにこの試薬を使用する方法について特許を請求す
る。このようにして検出される代表的な遺伝子再配列
は、欠失、異数体性および転座を含む増幅のごとく、染
色体3,13(網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子)およ
び染色体17に関連するものである。
【0029】腫瘍サプレッサー遺伝子を含む染色体欠失
は固形腫瘍の成長および進行に重要な役割を演ずる。染
色体13q14に位置する網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺
伝子(Rb-1)は、最も詳細に特徴付けされた腫瘍サブレッ
サー遺伝子である[Friend etal.,Natuer,323: 643(198
6);Lee et al.,Science,235 1394(1987); Fung et al.,
Science,236: 1657(1987)]。105kDaの核燐タンパク質
であるRb-1遺伝子生成物は、細胞周期則において明らか
に重要な役割を演ずる[Lee et al.,supra(1987);Howe e
t al.,PNAS (USA),87 5883(1990)]。Rbタンパク質の変
性されたまたは消失された発現は、点突然変位または染
色体欠失のいずれかを通して双方の遺伝子対立形質の失
活によってひき起こされる。Rb-1遺伝子変性は網膜芽細
胞腫[Friend et al.,supra (1986); Lee et al.,supra
(1987); Fung et al.,supra (1987)]のみならず、他の
悪性腫瘍例えば骨肉腫[Friend et al.,supra (1986)]、
小細胞肺癌[Hensel et al.,Cancer Res.,50: 3067 (199
0)]、胸部癌[Lee et al.,Science,241:218 (1988);T'An
g et al.,Science,242: 263 (1988);Varlery et al.,On
cogene,4: 725 (1989)]においても見いだされた。制限
断片長多型(RFLP)研究は、Rb-1遺伝子対立形質の1つが
全染色体欠失により消失することを示すごとき腫瘍型
は、しばしば13qにおいてヘテロ接合度を消失した[Bowc
ock et al.,Am. J. Hum. Genet.,46: 12 (1990)]。
【0030】後記セクションVIは、染色体−特異的染色
のための高コンプレキシティプローブとして、約150kb
のゲノムDNAであるRb-1遺伝子領域の全てのエキソンを
つなぐ14のラムダ ファージ クローンの使用を述べてい
る。中期染色体で形成された強いシグナルは染色体13q1
4におけるRb-1の位置を確認した。2つのRb-1ハイブリ
ダイゼーションは正常な間期核の約90%で検出されたの
に対して、Rb-1遺伝子領域を含む細胞遺伝学的に定義さ
れた欠失を有する2つの細胞系は、1つのハイブリダイ
ゼーション シグナルのみを示した。遺伝子欠失は、染
色体13/21アルファサテライト プローブでコハイブリダ
イズされたこれらの細胞系から中期スプレッドを分析す
ることにより確認された。生検試料や胸部癌の細針吸引
物もまた分析された。不均一性は腫瘍内および腫瘍間の
Rb-1遺伝子のコピー数で示された。
【0031】Rb-1遺伝子の小領域のみを含む遺伝子再配
列は記述された[Bookstein et al.,PNAS (USA) 85: 221
0 (1988); Canning and Dryja, PNAS,86: 5044 (198
9)]。本発明の方法によりRb-1遺伝子の小領域を検出す
るために、1-5の接近するラムダファージ クローンから
なる小プローブがRb-1内の特異的小領域を染色するため
に使用され、かくして腫瘍サプレッサー遺伝子内で異常
の検出を許す。本発明の染色体-特異的染色方法の典型
的例は、腫瘍内遺伝子不均一性と同様に腫瘍形成-関連
遺伝子異常の評価に有用な、それぞれの形態学的に定義
された腫瘍細胞から実際の遺伝子コピー数および再配列
の情報を提供する。
【0032】染色体3の短アームの欠失は幾多の癌、例
えば小細胞肺癌、腎および卵巣癌に関連する。それは、
1または複数の推定された腫瘍サプレッサー遺伝子が染
色体3のp領域に位置していることを要求した(ch.3)[Min
na et al.,Sympossia on Quantitative Biology, Vol.L
1:843-853 (SCH Lab 1986); Cohen et al., N. Eng.J.M
ed.,301:592-595 (1979); Bergerham et al.,Cancer Re
s.,49:1390-1396 (1989); Whang-Peng et al., Can.Gen
et. Cytogenet.,11:91-106 (1984);and Trentet al., C
an. Genet. Cytogenet.,14:153161 (1985)]。後述のセ
クションVIIで示すように、本発明による染色体-特異的
染色は、構造的欠失を検出する染色された核酸、例えば
染色体3のこれらのバンドを形成するために使用するこ
とができる。ここでは、例示された染色体3,17および13
の欠失、増幅および転座のごとき、染色体-特異的試薬
および遺伝子再配列を検出する方法が記述される。
【0033】
【発明の一般的記述】本発明は、標的染色体物質を1ま
たは複数の全染色体に延びるパターンに染色し、および
/または1または複数の染色体における1または複数の
領域に広がるパターンに染色する核酸プローブの使用に
関するもので、当該パターンは全ゲノムを越えて広がる
パターンを包含する。本発明の染色試薬は正常な染色体
と異常な染色体の顕微鏡的同定、および/またはフロー
サイトメトリック同定を容易にし、かつ遺伝子再配列の
ごとき特有の異常の遺伝子的性質の特徴を提供する。本
明細書において、”染色体-特異的”なる文言は”標的
特異的”および”領域特異的”なる文言を包含するもの
と定義される。すなわち、染色組成物が1個の染色体に
導びかれる場合、それは染色体−特異的であるが、染色
組成物が例えば、多数の染色体にける多数の領域に導か
れる場合、単に1個の染色体の1領域に導かれる場合、
または全ゲノムを越える領域に導かれる場合にも、これ
らは染色体−特異的である。染色体−特異的なる文言は
組換えDNAライブラリーを使用することに由来する。当
該DNAライブラリーは本発明の最初のプローブのための
源物質のごとき、単一の正常な染色体からDNAをクロー
ニングすることによって調製される。1または複数の染
色体の領域からのDNAから作られたライブラリーは、ゲ
ノムのこれらの領域のプローブのためのDNAの源であ
る。かかる源物質から形成されたプローブは領域−特異
的プローブであり、これもまた"染色体−特異的"なる幅
広い文言に包含される。”標的−特異的”なる文言はこ
こでは"染色体−特異的”なる文言と互換的に使用され
る。
【0034】当該技術においてー般に使用される"特異
的"なる文言は、2つのやや異なる意味を持っている。
ここでは下記の慣習に従う。"特異的"とは、核酸配列が
染色試薬の一部としてゲノムにハイブリダイズする核酸
配列の起源または様式に関係する。例えば、特定された
染色体からDNAを分離することおよびクローニングする
ことは"染色体−特異的ライブラリー"に帰する。[Eg.,
Van Dilla et al.,"Human Chromosome-Specific DNA Li
braries: Construction and Availability," Biotechno
-logy,4:537(1986).]。しかしながら、かかるライブラ
リーは他の染色体と共有する配列を含んでいる。これら
の共有配列は同共有配列のハイブリダイゼーション特性
を誘導される染色体に対しては、同共有配列が起源の染
色体よりも多く結合するために染色体−特異的ではな
い。配列は、ゲノムの所望の部位にのみ結合する場合に
は"染色体−特異的"である。かかる配列は標的または反
復配列に包含されるシングルコピー配列を含み、これら
の配列においてコピーは標的物質に支配的に包含されて
いる。
【0035】"染色試薬"を修飾する場合の"染色体−特
異的"とは、試薬を含む核酸配列の全体のハイブリダイ
ゼーションのパターンに関係する。染色試薬は、標的染
色体物質と非標的染色体物質間に有効なコントラストが
達成されるならば、染色体−特異的である(すなわち、
標的物質が十分に可視化できる)。
【0036】プローブはここでは、、標的物質に対する
ハイブリダイゼーションが検出できる核酸フラグメント
の集合体であると定義される。プローブは後述するごと
く標識され、その結果標的物質への結合が可視化でき
る。源核酸はその後ある手段例えば反復配列の除去、ま
たは同反復配列を相補的配列とともに標識されない核酸
によりブロッキングすることにより処理され、その結果
得られるプローブによるハイブリダイゼーションは標的
物質に十分な差異のある染色物を作り出す。従って、こ
こでプローブなる単語は検出可能な核酸のみならず、例
えばブロッキング核酸等とともに標的物に適用される形
態において検出可能な核酸に関しても使用される。ブロ
ッキング核酸については別に言及する。"プローブ"が特
別に関係することがらは、文言が使用される状況から明
確である。
【0037】本発明の2またはそれ以上の核酸プローブ
が混合される場合には、これらの核酸プローブは、本発
明の方法に従って標的物質にハイブリダイズされると成
分プローブによりそれぞれに形成される染色パターンの
組合わせである染色パターンを形成する新しい1つのプ
ローブを形成する。従って、"プローブ"および"プロー
ブズ"(すなわち単数および複数形態)なる文言は、形
成される染色パターンの状況において互換的に使用され
る。例えば、本発明に係るあるプローブが染色体9にド
ットを形成し、かつ本発明に係る他のプローブが染色体
11にバンドを形成する場合、これら2つのプローブズは
ドット/バンド染色パターンを形成する1つのプローブ
を構成する。
【0038】"標識される"なる文言はここでは、プロー
ブが変更された構成物質を直接導くか否かにかかわら
ず、結合プローブ(bound probe)を可視化する方法が
あることを示すために使用される。後述のセクションII
Iは結合プローブが検出可能な、プローブを直接標識する
種々の手段および他の標識手段を述べている。
【0039】"染色(staining)"または"着色"(painting)
なる文言はここでは、本発明のプローブをゲノムまたは
そのセグメントにハイブリダイズすることを意味するも
のと定義され、従ってプローブは標的染色体物質に確実
に結合し、結合プローブは可視化可能になる。"染色"ま
たは"着色"なる文言は互換的に使用される。"染色"また
は"着色"によりもたらされるパターンは細胞遺伝学的分
析、特に分子細胞遺伝学的分析にとって有用である。染
色パターンは正常および異常染色体の顕微鏡的同定およ
び/またはフローサイトメトリック同定、および特殊な
異常状態の遺伝子の性質の特徴付けを容易にする。後述
のセクションIIIは可視的なプローブを与える方法を示
している。プローブを可視化するのに多数の適合する方
法が利用でき、プローブの異なる構成物質の結合パター
ンが例えば色によって識別し得る。従って、本発明は可
視化された染色体の所望の染色パターンを、1または複
数の色(多数色染色パターン)および/または他の表示
手段で形成することができる。ここで定義された"染色"
なる文言は、慣用的なカロタイピング法(karotyping m
ethods)のごとき化学試薬で染色体を染色する概念を包
含しない。但し、かかる慣用の染料は、プローブが結合
しないゲノムの部分の可視化を可能にするために、本発
明に係るプローブとともに使用されてもよい。かかる目
的のためDAPIおよびプロピジウム アイオダイドの使用
がフィギュヤー(figures)に示されている。
【0040】"高コンプレキシティ"(high complexit
y)なる文言はここでは、プローブが反復されない核酸
配列をベースとして50,000(50kb)またはそれ以上、数10
00万または数10億までのオーダで含むことを意味するも
のと定義される。例えば、本発明に係る典型的な高コン
プレキシティ核酸プローブは50kb以上、100,000(100kb)
以上、200,000(200kb)以上、500,000(500kb)以上、100
万(1Mb)以上、2Mb以上、100Mb以上、500Mb以上、10億以
上、さらには数10億以上のコンプレキシティを持つこと
ができる。
【0041】"コンプレキシティ"なる文言はここでは、
ブリテン等により確立された核酸コンプレキシティのた
めの標準に従って定義される。[Brittens et al.,Meth
odsof Engymol.,29:363(1974)]。核酸コンプレキシテ
ィのさらに詳しい説明および具体例については、カンタ
ーおよびシンメルの下記の文献を参照せよ。[Canteran
d Schlmmel, Biophsical Chemistry: PartIII: The Beh
avior of BiologicalMacromolecules, at 1228-1230(Fr
eeman and Co.1980)]。
【0042】本発明に係るプローブ組成物にとっての好
ましいコンプレキシティは、設計される適用に依存す
る。通常、標的区域が大きいほど、プローブはよりコン
プレクスである。染色体上の目標の好ましいパターンを
形成するために必要とするプローブのコンプレキシティ
は、同パターンの形成の進行がハイブリダイゼーション
技術にて行われるために、ハイブリダイゼーション感受
性が増大する程減少することが予想される。感受性が増
大すると、より小さな標的座位からのシグナルの確実性
は増大するであろう。それ故、現在約40kbから約100kb
の標的配列が確実で、容易に検出可能なシグナルを形成
するのに必要であるのに対して、将来にはより小さな標
的配列が確実なシグナルを提供するであろう。それ故、
ハイブリダイゼーション感受性が増加するほど、あるコ
ンプレキシティ例えば100kbのプローブは、現在確実に
検出されるよりも多くのゲノムの遺伝子座を相当検出す
ることをユーザに対して可能とする。従って、より多く
の情報が同じコンプレキシティのプローブから得られる
であろう。"コンプレキシティ"なる文言はそれ故、如何
に多くの可視化的に明確な遺伝子座が検出されようと
も、すなわちゲノムを越えた標的座位の分散にかかわら
ず、全プローブのコンプレキシティに関係する。
【0043】上記したように、現在のハイブリダイゼー
ション技術では、ゲノムにおけるコンパクトポイントに
対して標的された約40kbから100kbのプローブ(例えば
1または小数のコスミッドのプローブ インサート能
力)で確実で、容易に検出できるシグナルを得ることが
可能である。例えば、約100kbの範囲のコンプレキシテ
ィは腫瘍−特異的転座の両側にハイブリダイゼーション
を許容する。切断点のー方側に対して標的されたプロー
ブの部分は、切断点の他側に対して標的された部分とは
異なって標識され、これにより両側は例えば異なる色で
識別できる。プローブのコンプレキシティを比例的に増
大することは、同時にゲノムの多数の緻密な領域の分析
を可能とする。化学的染料によつて形成された通常のバ
ンディングパターンは、プローブを基礎とし、カラーコ
ードされた(例えば)、各染色体またはそれらの重要領
域に沿った関連点のシリーズをともなう本発明により置
き替えられ得る。
【0044】ゲノムの延在した隣接領域、例えば全染色
体を均一に染色するには、標的領域のコンプレキシティ
に比例するプローブ コンプレキシティが必要である。
但し、実質はそれより少ない。要求されたコンプレキシ
ティは、標的物質上で確実で実質的に均一なシグナルを
提供するためにのみ必要である。
【0045】十分な染色を行うのに要求される最小値を
越えてコンプレキシティを増加することは、プローブの
全核酸濃度がハイブリダイゼーションの損なわれる点を
下回る程度残る限りにおいては有害ではない。プローブ
における配列の一部分の濃度の減少は、標的座位の数の
増加により補われる。実際に、二重鎖プローブを使用す
る場合、配列の各部分を比較的低濃度に維持することは
好ましく、これにより同配列の各部位が標的物質におけ
る結合座位を見つけることができるまで再結合を阻止す
る。
【0046】本発明の染色パターンは1または複数のバ
ンドからなる。"バンド"なる文言はここでは、プローブ
成分に結合した標的核酸配列からなるゲノムにおける関
連点(reference point)として定義され、その成分の
デュプレックス(duplex)はある表示手段により検出す
ることができ、かつ最も狭いディメンジョン(dimensio
n)において、ハイブリダイゼーションおよび機器使用等
の条件および実験(protocol)のもとで確実なシグナルを
提供する。バンドは全染色体に対する確実なシグナルを
提供する配列の狭いディメンジョンから、多数の染色体
の多数の領域まで延在することができる。
【0047】本発明のプローブ−形成バンドは、上記し
た本発明の背景で示したごとき化学的染色により形成さ
れたバンドとは識別されることである。本発明のプロー
ブ−形成バンドは核酸配列に基づくものであり、これに
対して化学的染色により形成されたバンドは染色体の本
来の特性によるもので、実質の核酸配列によるものでは
ない。さらに、化学的染色により形成されたバンディン
グ パターンは中期染色体に関して解明できるにすぎ
ず、これに対して本発明のプローブ−形成バンドは中期
および間期染色体の両者のために有効である。
【0048】本発明に係るプローブを形成するーつの方
法は、多くの異なる低コンプレキシティ プローブをプ
ールすることである。かかるプローブは、その後それぞ
れクローン化された配列の"不均一混合物"を構成する。
要求されるクローンの数は、標的区域の広がりおよびク
ローニング ベクターの能力に依存する。標的物質が幾
多の個別のコンパクトな遺伝子座、すなわち顕微鏡的解
像の限界であるシングルスポット(single spots)で構成
されている場合には、各スポットにとっては約40kb好ま
しくは100kbが通常の技術で与えられた確実なシグナル
を与える。各スポットためのプローブの部分は、例えば
酵母人工染色体(YACS)からのシングルインサート、35
−40kbを含む幾多のコスミッドまたはプローブ配列、4k
bの配列を伴う約25のプラスミドから構成され得る。本
発明のクローンの典型的な不均一混合物は、限定されな
いが、ファージ、プラスミド、コスミド、酵母人工染色
体(YACS)および種間雑種細胞を含む。
【0049】ゲノムのある点における塩基配列は、"シ
ングル−コピー"または"反復"のいずれかに分類でき
る。実際の目的のためには、配列は十分長いものである
ことを必要とし、これにより相補的プローブ配列は、使
用されるハイブリダイゼーション条件のもとにおいて標
的配列とともに安定なハイブリッドを形成できる。かか
る長さは典型的には、ヌクレオチドの数10〜数100の範
囲にある。
【0050】"シングル−コピー配列"とは、その中にお
いて標的核酸配列のただワンコピーがー倍体ゲノムとし
て存在することである。"シングル−コピー配列"は当該
技術において"非反復配列"としても知られている。"反
復配列"は、ゲノムにおける同じ標的核酸配列のワンコ
ピーより大きいものが存在するということである。反復
配列の各コピーは、他のもの全てと同一である必要はな
い。重要な特質は、配列が反復配列のファミリーの他の
構成メンバーに十分に類似していることであり、これに
より使用されるハイブリダイゼーションの条件のもとに
おいて、プローブ核酸の同じフラグメントが各コピーと
ともに安定なハイブリドを形成できる。"共有反復配列"
はゲノムの標的領域、およびその他の領域においていく
つかのコピーを伴う配列である。
【0051】形容詞である"シングル−コピー","反
復","共有反復",その他のこのような修飾語がプローブ
における配列を記述するために使用される場合には、こ
れらの文言はプローブ配列が結合する標的物質における
配列のタイプに関係する。従って、"反復プローブ"は標
的物質における反復配列に結合する例であり、かつ"シ
ングル−コピー プローブ"はシングル−コピー標的配列
に結合する例である。
【0052】反復配列はー倍体ゲノムにおけるマルチプ
ル コピーに生じる。コピーの数は2〜数10万までの範囲
に及ぶことができ、その中で反復DNAのAluフアミリー
(Alufamily)は後者の非常に多い変種の典型的なもの
である。反復のコピーはゲノムを通してクラスターされ
(clustered)またはインタスパーズされる(intersperse
d)。反復物はゲノム、例えば各染色体の動原体の近くに
生じる反復配列、および多数のタンデム反復(VNTRs)
における1または複数の場所でクラスターされる。[Na
kamura et al,Science,235:1616(1987)];反復物はシ
ングル染色体から分散され得る。[例えば、反復物はBa
rdoni等,Cytogenet. Cell Genet., 46:575(1987)によ
り記述されたごとくX染色体上でのみ発見された]。反
復物は全染色体、例えば反復配列のAluフアミリーから
分散され得る。反復配列(repetitivesequences)、反
復配列(repeated sequences)および反復物(repeats)
なる文言は、ここでは互換的に使用される。
【0053】共有反復配列はクラスターまたはインタス
パーズされ得る。クラスターされた反復配列はタンデム
反復物を含む。タンデム配列は、それらが染色体のバッ
クボーンを形成するDNA分子に近接する故にそう呼ばれ
る。クラスターされた反復物は1または複数の染色体の
明確に定義された領域、例えば動原体領域に関連付けら
れる。1または複数のクラスターされた反復物は、染色
体の相当大きなフラクションを形成するとともに、ゲノ
ムの1または複数の非標的領域を共有され、またその結
果本発明で使用されるフラグメントの不均一混合物から
除去されるか、またはそれらのハイブリダイゼーション
の能力が無能力化されるならば、標的領域の染色の完全
な均一性は可能ではない。この状況は、標識された核酸
フラグメントの不均一混合物を標的物質に結合すること
に関連して"実質的均一"なる文言の使用によって理解さ
れる。
【0054】本発明の染色体−特異的染色は、標的物質
に配列特異的にハイブリダイズする核酸フラグメントを
使用することにより達成される。これらの配列はシング
ルコピーまたは反復のいずれでもよく、その中で反復の
コピーが標的区域において支配的に生じる。ゲノムの非
標的領域に相補的な核酸フラグメントがプローブ、例え
ば共有反復配列または非特異的配列に含まれる場合に
は、それらのハイブリダイゼーションが十分に無能力化
されるかそれらの行き渡りが十分におさえられることを
必要とし、これにより十分な染色コントラストが得られ
る。
【0055】本発明に係る核酸プローブは、ゲノムの標
的部分にとって絶対的に特異的である必要はない。同プ
ローブは"染色コントラスト"を形成しようと意図す
る。"コントラスト"はゲノムの標的部分の染色強度の、
他の部分の染色強度に対する比によって決定される。例
えば、表Iに示すごとき特定の染色体をクローニングす
ることにより形成されるDNAライブラリーは、全染色体
を染色し得るプローブとして使用できる。ライブラリー
はその染色体でのみ発見される配列と、他の染色体と共
有する配列を含む。ヒトゲノムの単純化されたモデル
(生命にとってほぼ真実)においては、染色体DNAの半
分はそれぞれのクラスに分かれる。全ライブラリーによ
るハイブリダイゼーションが結合座位の全てを飽和する
ことができるならば、標的染色体は他の染色体の明度の
2倍である(コントラスト比2)。何故ならば、標的染
色体はプローブにおける特異的配列および共有配列から
のシグナルを含み、これに対して他の染色体は共有配列
からのシグナルを有するにすぎないためである。従っ
て、プローブにおける共有配列のハイブリダイゼーショ
ンを適度に減少させることのみが、実質的にコントラス
トを高める。非標的配列に対してハイブリダイズするに
すぎない汚染した配列、例えばライブラリー中の不純物
は、同配列が染色コントラストを有効レベル以下には低
下させない限度において、プローブ中に許容できる。
【0056】実際には、標的座位の全てがハイブリダイ
ゼーションにより飽和されることはなく、多くの他のメ
カニズムが染色コントラストを形成することに関与す
る。しかしながら、このモデルはゲノムの大きな部分を
標的としたプローブの使用におけるある一般的な考察を
示している。
【0057】要求されるコントラストは、プローブが設
計される適用に依存する。染色体および核等を顕微鏡的
に可視化する場合、全染色体を同定するためにはコント
ラスト比はしばしば2またはそれ以上で十分である。非
標的領域の染色における変動に関係する標的の確実な認
識を可能にするためには、標的領域のそれぞれのセグメ
ントが小さいほど、大きなコントラストが必要となる。
フロー サイトメトリーまたは定量顕微鏡法を使用する
蛍光強度測定により、細胞核中に存在する標的領域の量
を定める場合、要求されるコントラスト比はゲノムにと
って平均1/Tまたはそれ以上のオーダである。ここで、T
は標的領域に含まれるゲノムのフラクションである。コ
ントラスト比が1/Tに等しい場合、全蛍光強度の半分は
標的領域からもたされ、他の半分はゲノムの残りからも
たらされる。例えば、約10%のゲノムを含む染色体1の
ために高コンプレキシティ プローブを使用する場合、
要求されるコントラスト比は10のオーダであり、それは
染色体1の蛍光強度としてはゲノムの残りの強度に等し
い。
【0058】プローブにより染色する背景、すなわち、
ゲノムの非−標的領域に対して染色する背景は一様では
ない。この非−特異性の度合は特定の応用のためにプロ
ーブの使用を抑制し得るか、または抑制し得ない。ある
場合には、非−標的配列に結合するプローブ フラグメ
ントのハイフリダイゼーション能力の除去、またはさら
に無能化することは必要である。
【0059】他の適用にとっては、動原体に結合する反
復配列、例えばアルフア−サテライト配列および/また
はテロメアは染色体−特異的染色試薬の役目をすること
ができる。その中で、標的物質は幾らかのまたは多くの
動原体および/またはテロメアをゲノム中に、多分他の
染色体領域とともに包含している。このような適用の典
型は次のようなものである。このような適用において、
染色試薬は染色体異常誘発物に起因するランダムな構造
的異常を検出するために設計され、かかる誘発物は転座
のごとき二動原体および他の構造的異常性をもたらす。
ゲノムにおける全動原体に使用されるプローブに結合す
る配列の添加は、二動原体と転座物質とをより確実に識
別することを可能とする。
【0060】本発明に係る染色試薬のゲノムに対する適
用は、ゲノムの標的領域にハイブリダイズしたプローブ
の実質的に均一な分散をもたらす。結合されたプローブ
の分散は、ゲノムの標的領域が有効なコントラストに可
視化できるならば、"実質的に均一"であるものとみなさ
れる。例えば、もし遺伝子座の多くが細胞の多くの中で
可視的であるならば、標的物質が可視的に分離された遺
伝子座の系統である場合には、同標的物質は実質的に均
一に染色される。
【0061】染色体DNAに相補的である核酸フラグメン
トの塩基配列に関する"実質的部分"(substantial propo
tions)とは、使用されるハイブリダイゼーション条件の
もとで核酸フラグメントが染色体DNAで安定なハイブリ
ッドを形成するほど相補性が十分に広い範囲であること
を意味する。特に、かかる文言は、不均一混合物の核酸
フラグメントが標的染色体物質に完全には相補的ではな
い配列のある領域を有している状況を包んでいる。厳格
性(stringency)は、ハイブリダイゼーションのために要
求される相補性の精度を制御することにより調整するこ
とができる。
【0062】"中期染色体"なる文言はここでは、有糸分
裂の中期ステージで凝縮した染色体のみならず他の凝縮
した染色体、例えば未成熟(premature)の染色体凝縮に
より凝縮された染色体をも意味するものと定義される。
核酸配列のハイブリダイゼーション能力を無能力化する
ことはここではときには、"核酸配列を無能力化するこ
と"と省略される。
【0063】本発明に係る方法および試薬は診断的細胞
遺伝学の分野、特に診断的間期細胞遺伝学の分野におい
て特に適した適用を見いだす。癌のごとき疾病に関連す
る遺伝子再配列を検出することは、本発明に係る染色体
特異的試薬および染色方法の特有の適用である。
【0064】隣接する遺伝子症候群は、本発明に係るプ
ローブおよび方法が同定できる遺伝子再配列の例であ
る。隣接する遺伝子症候群は多数のおよび/または減少
したコピー数の状態にある、密の間隔に保持された遺伝
子の幾多の存在により特徴付けられる。ダウン症候群は
隣接する遺伝子症候群の例であり、そのなかには幾多の
遺伝子を含む染色体領域の余分のコピーが存在する。
【0065】セクションVIおよびVIIにおいては特に、
染色体3,13および17を包含する遺伝子再配列を検出する
ための染色体−特異的試薬および方法が記述される。セ
クションVIは網膜芽細胞腫腫瘍遺伝子(Rb-1)、染色体−
特異的染色およびデジタルイメージ分析の使用により同
遺伝子を13q14上にマップすること、中期染色体および
間期核の両者におけるRb-1座(13q欠失)を含む小領域に
含んでいる欠失を検出する方法、および染色体−特異的
プローブ内の13/21ペリセントロメリック アルファ サ
テライト プローブ(a 13/21 pericenstromeric alpher
satellite prove)により示された対照プローブの使用に
関する。
【0066】セクションVIIは癌に関連する染色体3およ
び染色体17の異常の検出に関する。染色体3および染色
体17に特異的な動原体−特異的アルファ サテライト プ
ローブは、PCRアダプター−リンカー法により増幅され
かつ標識された3pコスミド プローブ、3qコスミド プロ
ーブ、および全染色体3−特異的プローブに関連して使
用された。種々の標識を使用するこれらのプローブをと
もなう実験は染色体の異常、例えば中期スプレッドおよ
び間期核の両者の癌細胞において、異数体性、欠失およ
び/または転座を示した。
【0067】次のセクションは本発明の染色組成物を調
製しかつ使用する例を提供するもので、単に例示の目的
であって、本発明を限定することを意味するものではな
い。次の略語が使用される。
【0068】略語 AAF − N-アセトキシ-N-2-アセチル-アミノフルオレ
ン BN − NP-40を伴うビカーボネート緩衝液 BRL − ベセスダ リサーチ ラボラトリィズ bp − 塩基対 CML − 慢性骨髓性白血病 DAPI − 4,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール dATP − デオキシアデノジン トリホスフェート DCS − フルオロセイン-アビディンDCS(フルオロセ
イン アビディンDの商業的に入手できるセルソータグレ
イド) dCTP − デオキシサイトジン トリホスフェート dGPT − デオキシグアノジン トリホスフェート DI − DNAインデックス dNTP − デオキシヌクレオチド トリホスフェート dTTP − デオキシチミジン トリホスフェート dUTP − デオキシウリディン トリホスフェート EDTA − エチレンジアミンテトラアセテート FISH − フルオレセンス インストゥ ハイブリダイゼ
ーション FACS − フルオレセンス-アクティベイテッド セル
ソーティング FITC − フルオロセイン イソチオシアネート HPLC − 高性能液体クロマトグラフィー IB − 分離緩衝液 kb − キロベース kDa − キロダルトン ml − ミリリッター mM − ミリモル mm − ミリメータ ng − ナノグラム NP-40 − Nonidet P-40としてSigma(St.Louis, MO)
から商業的に入手できる非イオン界面活性剤 PBS − フォスフェード-ブァッファード サリン PHA − フィトヘマグルチニン PCR − ポリメラーゼ鎖反応 PI − プロピジウム アイオダイド PMSF − フェニルメチルスルフォニル フルオライド PN緩衝液 − 0.1M NaH2PO4と0.1MNa2HPO4の混合物 、
pH8;0.1%NP-40 PNM緩衝液 − 非脂肪ドライミルク(遠心分離)を伴う
Pn緩衝液;0.02%Naアジド Rb-1 − 網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子 RFLP − 制限断片長多型 SD − 標準偏差 SDS − ソジウム ドデシル サルフェート SSC − 0.15M NaCl/0.015M Naサイトレート,pH7 ug − マイクログラム ul − マイクロリッター um − マイクロメータ uM − マイクロモル VNTR − 可変数タンデム反復(variable number tande
m repeat)。
【0069】高コンプレキシティ核酸プローブを使用す
る核酸配列を基礎とした染色体物質を染色する方法およ
び組成物が提供され、当該方法および組成物においては
形成された染色パターンが染色体3,13および/または17
を含む1または複数の遺伝子再配列の存否を示す。前記
プローブはインシトゥー ハイブリダイゼーションに充
当され、確実なシグナルをともなう間期および中期染色
体物質の両者を染色する。染色方法はデジタル イメー
ジ分析に関連して使用され得る。プローブおよびテスト
キットは、遺伝子再配列特に腫瘍サプレッサー遺伝子に
関係する遺伝子再配列を検出すること、座に関係した疾
病、特に癌例えば網膜芽細胞腫、肺癌、胸部癌、卵巣お
よび子宮癌の検出の使用のために提供され、また生物薬
量(線量)測定のために提供される。対照プローブ、例
えば動原体アルファ サテライトプローブは高コンプレ
キシティ プローブの成分であり得る。
【0070】アメリカ合衆国政府は、同国エネルギー省
とユニバーシティ オブ カリフォルニアとの間の、ロー
レンス リバーモア ナショナル ラボラトリーの運営の
ための契約書 番号W-7405-ENG-48 に従って、本発明
における権利を有する。
【0071】
【実施例】
I.染色体-特異的染色試薬を調製する方法 I.A. 染色体-特異的DNAの分離とDNAフラグメントライ
ブラリーの形成 本発明に係る組成物を調製する好ましい方法の第1ステ
ップは、 染色体-特異的DNAを分離することである。
(この用語は上記したごとく標的-特異的および/また
は領域-特異的DNAを包含するもので、特異性はその DNA
のオリジンと関連する)。同ステップは第1に、染色組
成物が向けられる特定の染色体タイプまたは染色体小領
域の十分な量を分離することと、その後分離された染色
体または染色体小領域から DNAを抽出することとを含
む。ここで "十分な量" とは、本方法のその後のステッ
プを遂行するのに十分な量のことを意味する。好ましく
は、抽出された DNAは、標準的な遺伝子工学技術を用い
てクローニングすることによりDNAインサートのライブ
ラリーを形成するために使用される。
【0072】好ましいクローニングベクターには、限定
はされないけれども、酵母人工染色体(YACS)、プラスミ
ド、バクテリオファージおよびコスミドを含む。好まし
いプラスミドはブルースクライブ プラスミドである。
好ましいバクテリオファージはラムダ インサーション
ベクターであり、 より好ましくはカロン4A(Charon4
A)、カロン21A(Charon 21A)、カロン35(Charon 35)、カ
ロン40(Charon 40)およびGEM11である。好ましいコスミ
ドはロウリスト4(Lawrist 4)、ロウリスト5(Lawrist 5)
およびsCos1を含む。
【0073】上記したごとく、DNAはいずれかの源から
分離できる。染色体-特異的染色試薬は本発明の方法に
より植物および動物両者のDNAから調製できる。動物DNA
の重要な源は哺乳動物特に霊長類またはゲッシ類であ
り、その中では霊長類の源は特にヒトおよびモンキーで
あり、ゲッシ類の源は特にラットまたはマウスであり、
さらに特にマウスである。
【0074】1.全染色体(entire chromosome)からDN
A を分離すること。特定の全染色体(whole chromosome)
(特異的染色体タイプ)を分離するための好ましい手段
は、種間 ハイブリッドセル システムを使用するか否
かにかかわらず、中期染色体のダイレクト フロー ソ
ーティング[蛍光活性化セルソーティング(FACS)]によ
る手段である。ある種に対しては、全ての染色体が現在
利用できるソーティング技術により分離できる。全てで
はないが、多くのヒト染色体は現在フロー ソーティン
グによりヒト細胞から分離される。[Carrano et al.,
"Measurement and Purification of Human Chromosome
s by Flow Cytometry and Sorting," PNAS, 76: 1382
(1979)]。かくして、あるヒト染色体の分離にはヒト/
ゲッシ類ハイブリッド セル システムが必要であろ
う。[復習に対しては Kao, "SomaticCell Genetics an
d Gene Mapping," International Review of Cytolog
y., 85:109-146 (1983)、Gusella et al.,"Isolation a
nd Localization of DNA Segments from Specific Huma
n Chromosomes," PNAS, 77:2829-2833(1980)を参照。]
染色体ソーティングは商業的に入手できる蛍光活性化ソ
ーティングマシン、例えばベクトン ディキンソン FAC
S-II(Becton Dickinson FACS-II)、コウルターエピック
ス V ソーター(Coulter Epics V sorter)、または染
色体ソーティングに対して最適化した特殊目的のソータ
ーもしくはこれに類似する機器により行うことができ
る。
【0075】DNAは 分離された染色体から、例えばマー
マー等の標準技術により抽出される。 [Marmur,"A Pro
cedure for the Isolation of Deoxyribonucleic Acid
fromMicro-Organisms," J. Mol. Biol., 3: 208-218 (1
961); Maniatis et al.,Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory, 1982)pg
s. 280-281]。 これらの引用文献はDNA分離技術の叙述
のために参考文献として取り入れられる。
【0076】分離された染色体-特異的DNAからのインサ
ート ライブラリーの生成は、例えば下記の文献に示す
標準的遺伝子工学技術を使用することにより遂行され
る。[Davies et al., "Cloning of a Representative
Genomic Library of the HumanX Chromosome After Sor
ting by flow Cytometry", Nature, 293, 374-376 (198
1); Krumlauf et al.,"Construction and Characteriza
tion of Genomic Libraries from Specific Human Chro
mosomes, "PNAS, 79: 2971-2975 (1982);Lawn etal., "
The Isolation and Characterization of Linked Delta
-and-Beta-GlobinGenes from a Cloned Libraly of Hum
an DNA." Cell, 15, 1157-1174(1974);andManiatis et
al.,"Molecular Cloning: A Laboratriy Manual,"(Cold
Sring Harbor Laboratory , 1982), pgs.256-308; Van
Dilla et al., Biotechnology, 4:537 (1986); Fusco
e, Gene, 52:291 (1987); and Fuscoe et al.,Cytogene
t.Cell Genet., 43: 79 (1986)]。
【0077】ヒト染色体のそれぞれに対する 組換えDNA
ライブラリーは、ナショナル ラボラトリー ジーン
ライブラリー プロジェクト(National Laboratory Gene
Library Project)によって構築され、アメリカン タ
イプ カルチャー コレクション(American Type Cultu
re Collection)から入手できる。[Van Dilla et al.,
Biotechnology, 4:537 (1986).]。小さなインサート含
有ライブラリー(smallinsert-containing libraries)
は、HindIIIまたはEcoRIを用いフローソーティングされ
たヒト染色体ゲノムDNAの完全なダイジェスチョンとラ
ムダ インサーション ベクター カロン21A中へのクロ
ーニングとによって構築された。このベクターは9.1kb
のサイズまでのヒトインサートを受入れることができ
る。従って、9.1kb より大きいHindIII(またはEcoRI)
制限断片は、これらのライブラリーからはリカバーされ
ないであろう。これらのライブラリーにおいて観察され
る平均のインサートサイズは約4kbである。 HindIII染
色体-特異的ライブラリーの代表的リストをそれらのATC
C受託番号を付して表1に示す。
【0078】
【表1】 代わりに、 ソーティングされた染色体タイプから抽出
されたDNAは、これをベクター中でクローニングしまた
は細胞系中で増殖するよりも、むしろポリメラーゼ鎖反
応(PCR)によって増幅させることができる。PCRに対す
る準備のために、抽出されたDNAに適当な尾部を添加す
る。かかるPCRの手法に対する参考文献が後述のセクシ
ョンI.B で述べられている。
【0079】ハイブリッドセルから所望の配列を分離す
る他の実行できる方法は、シュメックペパ等の下記の方
法を含む。[Schmeckpeper et al.,"Partial Purificat
ionand Charcterization of DNA from Human X Chromos
ome,"PNAS, 76: 6525-6528(1979); Olsen et al., Bioc
hem., 19: 2419-2428 (1980)]。
【0080】2.染色体の一部からDNAを分離するこ
と。 領域-特異的染色体DNAを分離するのに使用できる
方法には、下記の方法が含まれる。すなわち、前もって
マップ化されたDNAから、 例えばマップ化されたコスミ
ドのライブラリーからの適当な染色体領域の選択:例え
ばFACSによる誘導(derivative)染色体のソーティング:
選択された染色体の微視的解剖:サブトラクティブ(sub
tractive) ハイブリダイゼーション:所望の染色体フラ
グメントを含む適当なハイブリッドセルの同定、 DNAの
抽出と増幅、増幅された所望のDNAの選択: 放射ハイブ
リッドからの適当な染色体物質の選択である。 サブセ
クションI.A.1で概略的に記載した標準的遺伝子工学技
術は、当業者に周知の手法で使用される。領域-特異的D
NAの増幅は、適宜のベクターでクローニングすること、
適宜の細胞系で増殖すること、 および/またはPCRの使
用により遂行できる(後述のI.Bを参照)。
【0081】染色体領域-特異的DNAを分離する好ましい
方法は、 長いDNA配列のライブラリーをプローブするた
めにマップ化された短いDNA配列を使用することであ
り、 長いDNA配列のライブラリーは、 通常異なるベク
ター中でクローニングされたものである。例えば、プラ
スミド中でクローニングされたプローブは、コスミドま
たは酵母人工染色体(YAC)ライブラリーをプローブする
ために使用できる。 最初のシードプローブ(initial se
ed probe)の使用によって、より大きいインサートライ
ブラリーにおける重複クローンを見いだすことがで
き("ウオーキング" (walking)とよばれる方法)、シー
ドプローブを取り巻く染色体領域の確実な染色に対し
て、より高度なコンプレキシティ プローブを形成でき
る。結局、1つの種に対する全ゲノムがマップ化される
と(例えばヒト種に対するヒューマン ゲノムプロジェ
クトにより)、この種の全ゲノムに対し整然としたクロ
ーンが入手できるであろう。その後、所望の特異性プロ
ーブを形成するために、適宜のクローンを容易に選択で
きる。
【0082】染色体の1または複数の領域(または全染
色体)から DNAを分離する他の方法は、適宜の細胞系
(例えば、ヒト/ハムスタ ハイブリッド セルのごとき
ハイブリッド細胞系)において、かかる染色体の1また
は複数の領域を増殖し、細胞系から DNAを抽出し、それ
を適宜のベクター中でクローニングし、かつライブラリ
ーを形成するために ヒトDNAを含むクローンを選択する
ことである。ハイブリッドセルが使用される場合、ヒト
染色体物質を含むハイブリッド中の染色体は、クローニ
ングする以前にフローソーティング(FACS)により分離
して、ライブラリー中でのヒトクローンの頻度を増大さ
せることができる。なお、ハイブリッドセルからの 全D
NAは、さらにクローニングすることなく分離、標識し、
プローブとして用いることができる。
【0083】3.一重鎖プローブ。 ある場合には、不
均一混合物の核酸フラグメントが一重鎖RNAまたは DNA
からなることが好ましい。ある条件のもとでは、一重鎖
核酸プローブの結合効率(binding efficiency)は、例え
ばコックス等の下記の文献に示されているように、イン
シトゥハイブリダイゼーションの間により高くなること
が発見された。[Cox et al., "Detection of mRNAs in
Sea Urchin Embryosby In SituHybridization Using A
symmetric RNA Probes,"Develop. Biol., 101: 485-502
(1984)]。
【0084】分離されたDNAフラグメントからRNAフラグ
メントを生成するために、標準的な方法が使用される。
例えば文献[Cell, 32: 681-694 (1983)]に記述されて
いるグリーン等により開発された方法は、プロメガ バ
イオテック(Promega Biotec)[Madison, WI(USA)]から
商品名"リボプローブ"(Riboprobe)として商業的に入手
できる。本発明により使用するのに好ましい他の転写キ
ットは、商品名"ジーンスクライブ"(Genescribe)として
ユナイティッド ステイツ バイオケミカルコーポレー
ション[Cleveland, OH (USA))(United States Bioche
mical Corporation)から入手できる。一重鎖DNAプロー
ブは、一重鎖バクテリオファージM13にて形成すること
ができ、例えばベセスダ リサーチ ラボラトリーズ(Bet
hesda Research Laboratories)[Gaithersburg, MD (US
A)]等のキットフォームの状態で入手できる。ハイブリ
ダイゼーションは、ブルースクライブ プラスミド ベク
ター[Stratagene, La Jolla, CA (USA)]中でサブクロ
ーンされた表1のライブラリーを用い、文献[Pinkel e
t al., PNAS (USA), 85: 9138(1988)]に記載されたよ
うに実施した。ブルースクライブ プラスミドは、一重
鎖プローブの形成を可能とするRNAプロモーターを含ん
でいる。
【0085】米国特許第5,028,525号(1991年7月2日発
行)発明の名称”一重鎖DNAプローブを調製し、インシ
トゥで二重鎖標的DNAに施す方法”は、 非自己相補的一
重鎖核酸プローブを調製し、かつこれを施用する方法を
提供するが、このプローブはプローブの非特異的および
不適当な結合を減らすことにより、インシトゥハイブリ
ダイゼーションで達成し得るシグナル/ノイズ比を改良
する。さらに、この発明は、プローブ配列に非相補的で
ハイブリダイゼーションに用いることができる一重鎖領
域を最小にする二重鎖標的核酸を変性する方法を提供す
る。簡単にいえば、プローブは、 DNAを制限酵素とエキ
ソヌクレアーゼとで処理することにより構築され、 DNA
ポリメラーゼのための鋳型/プライマーを形成する。ダ
イジェストされた鎖は標識されたヌクレオシド トリホ
スフェート前駆体の存在のもとで再合成され、標識され
た一重鎖フラグメントは再合成されたフラグメントから
分離されてプローブを形成する。標的核酸は、プローブ
を構築するために使用したものと同一の制限酵素で処理
され、かつプローブの施用前にエキソヌクレアーゼで処
理される。
【0086】I.B. PCR 本発明に係るプローブを形成する他の方法は、 ポリメ
ラーゼ鎖反応[PCR]の使用を含む。[PCRのメカニック
の説明として、Saiki et al.,Sciense, 230: 1350 (198
5)、U.S. Patent Nos. 4,683,195、4,683,202 (共に 19
87年7月24日発行)、4,800,159 (1989年1月24日発行)参
照のこと。] PCRは迅速、鋭敏で、バーサティルセル(v
ersatile cell)のない分子クローニングシステムを提供
し、少量の出発物質のみを必要とする。 下記のとお
り、PCRアダプター−リンカー(adapter-linker)増幅[S
aunders et al., Nuc. Acids Res., 17: 9027; Johnso
n, Genomics, 6: 243 (1990)]は、本発明の染色体−特
異的染色プローブを作るのに使用できる。[PCT 90/004
34 (1990年8月9日発行)参照のこと]。
【0087】上記したごとくに分離された標的-特異的
核酸配列はPCRによって増幅でき、反復配列の少ないま
たは皆無である標的-特異的配列を形成する。 かかる手
法に使用されるPCRプライマーは、反復配列の末端に対
するものであり、 反復物によりフランクされた配列の
増幅をもたらす。
【0088】さらに、前記反復配列に対する相補的配列
の最初のハイブリダイジングにより、かかる PCR手法に
おける反復配列の形成を抑制でき、かかる手法において
前記相補的配列は非相補的フランキングエンド(flankin
g end)を延ばすか、またはポリメラーゼによる延長を許
さないヌクレオチドで終わる。ブロッキング配列の非相
補的末端は、PCRプロセスの間ブロッキング配列がPCRプ
ライマーとして機能することから抑制する。AluおよびL
1反復DNAファミリーに対して向けられるプライマーは、
インタースパースッド(interspersed)反復配列(IRS−PC
R)によるヒト配列の選択的増幅を可能にした[Nelson e
t al., PNAS, 86: 6686 (1989); Ledbetter et al., Ge
nomics, 6: 475 (1990)]。
【0089】II.反復配列の除去および/または反復
配列のハイブリダイゼーション能力を無能力化すること 典型的には、本発明に係るプローブは以下の幾多のステ
ップにより形成される。ゲノムの標的領域に相補的であ
る核酸配列源を得るステップ。同配列が標的に能率的に
ハイブリダイズしかつそれらが結合した後検出し得るよ
うに、同配列を標識し、またその他の処理を行うステッ
プ。ハイブリダイゼーション能力を無能力化しまたは共
有(shared)反復配列の十分な量を除去し、または無能力
化およびかかる配列の除去の両者をなすべく同配列を処
理するステップ。これらのステップの順序は、採用され
る特定の方法に依存する。
【0090】共有反復配列の除去、および/またはかか
る反復配列のハイブリダイゼーション能力の無能力化を
行うには、次の方法が使用できる。これらの方法は代表
的なものであって、当業者に周知の手法で模式的に説明
されており、かつこれらの方法は当業者に周知のパラメ
ータおよび手法に応じて変更および拡張できる。
【0091】1.シングル-コピー プローブ。シングル
-コピー プローブは、ゲノムの標的領域に含まれるシン
グルコピー配列に相補的である核酸フラグメントから成
り立っている。かかるプローブを構成するー方法は、標
的領域のクローニングにより形成されたDNAライブラリ
ーで始めることである。 ライブラリーにおけるクロー
ンの中には、全配列がシングル-コピーであるDNAを含む
であろうし、他のものは反復配列を含むであろうし、
またさらに他のものはシングル-コピー配列および反復
配列の部分を持つであろう。クローンベーシスによるク
ローンの選択、およびシングル-コピー配列のみを含ん
でいるこれらのクローンのプーリングは、 標的領域に
特異的にハイブリダイズするプローブをもたらす。 ク
ローンのシングル-コピーの性質は最終的には、標準技
術を使用するサザンハイブリダイゼーションにより確認
できる。
【0092】サザン法分析は非常に時間を消費し、かつ
労働集約的である。それ故、候補的(candidate)シング
ル-コピークローンを得るために、完全ではないにして
も、より効率的なスクリーニング方法が有用である。フ
スコウ等[Fuscoe et al., Genomics, 5: 100-109 (198
9)]は、多数のシングルコピー配列または非常に低いコ
ピーナンバーの反復配列クローンを選別できる効率的の
手法を提供している。
【0093】クローン手法によるクローンの不利益は、
クローンが含んでいる配列の一部のみが反復的である場
合でも、そのクローンが捨てられるということである。
クローン化された核酸の長さが長いほど、同核酸が反復
配列を含む機会は多くなる。それ故、核酸が大きなイン
サートを含むベクター、例えばコスミド、YAC等中で、
またはハイブリッド セルのごとき細胞系で増殖される
場合には、シングル-コピー選別が行われる以前に同核
酸を小さなフラグメントにサブクローンすることが有利
であろう。上記した選別手法は共有反復配列と特異的反
復配列とを区別するものではない。いずれのタイプの検
出可能な反復配列を有するクローンも、プローブには使
用されない。
【0094】2.ハイブリダイゼーション特性の個々の
試験。核酸のピース、例えばクローンのハイブリダイゼ
ーション特異性は、インシトゥハイブリダイゼーション
により試験できる。適宜のハイブリダイゼーション条件
のもとで、上記ピースが所望の標的領域に対して特異的
なシングルコピーまたは反復配列に結合するならば、同
ピースはプローブに包含できる。染色体-特異的反復配
列[Trask et al.,Hum.Genet., 78: 251 (1988) and re
ferences therein]、VNTRs、多数のマップ化されたシ
ングルコピー配列等のごとく、特異的ハイブリダイゼー
ション特性を持っている多くの配列がすでに知られてい
る。もっと多くのものが連続的にマップ化されている。
かかる配列は本発明のプローブに包含できる。
【0095】3. バルクプロシージャー(Bulk Procedur
es) 。例えばヒトゲノムのごとく、多くのゲノムにおい
て、共有反復DNAの大部分はAluのごとき高度に反復され
た配列の若干のファミリーに含まれている。このような
高度コピー反復配列を実質的に含んでいないプローブ
は、多くの適用において有効な染色コントラストを形成
するであろう。かかるプローブは核酸配列のある源、例
えば表1のライブラリーから比較的簡単なバルクプロシ
ージャーで形成できる。それ故、かかるバルクプロシー
ジャーはかかる適用にとって好ましい方法である。
【0096】これらの方法は先づ第1に、相補的核酸鎖
の濃度が増加するほど同鎖のハイブリダイゼーション速
度が増加するという事実を利用するものである。従っ
て、核酸フラグメントの不均一混合物が変性され、かつ
ハイブリダイゼーションを許容する条件のもとでインキ
ュベートされる場合には、高濃度で存在する配列は他に
比較してより早く二重鎖になるであろう。二重鎖核酸は
その後除去され、残りのものがプローブとして使用でき
る。別に、部分的にハイブリダイズした混合物もプロー
ブとして使用できるが、二重鎖配列は標的物質に結合し
得ない。次の方法は本発明に係る標的−特異的染色を形
成するのに有効なバルクプロシージャーの代表的な方法
である。
【0097】3a.プローブの自己再結合。ハイブリダイ
ゼーション混合物中の二重鎖プローブ核酸は変性され、
その後ハイブリダイゼーション条件のもとで、プローブ
中の高度コピー配列が実質的に二重鎖となるに十分な時
間インキュベートされる。ハイブリダイゼーション混合
物はその後サンプルに施用される。高度に反復された配
列の残留している標識された一重鎖コピーは、サンプル
全体にわたって結合し、弱くかつ幅広く分散されたシグ
ナルを発する。ゲノムの標的領域に対して特異的な低度
コピー配列のマルチプリシティの結合は、容易に識別し
得る特異的シグナルを発する。
【0098】3b.ブロッキング核酸の使用。ハイブリダ
イゼーション混合物には、プローブ中にありハイブリダ
イゼーション能力を抑制することが望まれる配列と相補
的である標識されない核酸配列が添加される。必要によ
りプローブおよびブロッキング核酸は変性され、また適
宜のハイブリダイゼーション条件のもとでインキュベー
トされる。ブロックされるべき配列は他のものより早く
二重鎖配列になるため、ハイブリダイゼーション混合物
が標的に施用される場合に同標的に結合することはでき
ない。ある場合には、ブロッキング反応が非常に急速に
起きるために、インキュベート期間を極めて短縮でき、
ハイブリダイゼーション混合物が変性後直ちに標的に施
用されると十分な結果が得られる。ブロッキング方法は
一般的にシーリイ等により下記の文献に記述されている
[Sealy et al., "Removalof Repeat Sequences from H
ybridization Probes",Nucleic Acid Research,13:1905
(1985)]。ブロッキング核酸の実施例は、下記(i-iii)
に概略的に示したごとく、ゲノムDNA、ゲノムDNAの高度
コピーフラクションおよび特定の配列を含んでいる。
【0099】3b.i.ゲノムDNA。ゲノムDNAはその生物の
核酸配列の全てを、それらのゲノムにおけるコピー数に
比例して含む。 従って、ゲノムDNAをハイブリダイゼー
ション混合物に添加することは、高度コピー反復配列の
濃度を低度コピー配列より増加し、それ故前者をブロッ
キングするのにより効果的である。しかしながら、ゲノ
ムDNAは標的に対して特異的である配列のコピーを含む
ので、同ゲノムDNAがあまりにも多く添加される場合に
は所望の染色体特異的結合も減少させるであろう。添加
すべきゲノムDNA量および添加のタイミングを決定する
ガイドラインは、下記に議論されている[EP Pub. No.
430,402 (1991年6月5日発行)]。
【0100】3b.ii.ゲノムDNAの高度コピーフラクショ
。 ゲノムDNAの使用上での難しさは、 同ゲノムDNA
が、所望の標的染色を与える配列として支配的である低
度コピー配列のハイブリダイゼーションもブロックする
ことである。従って、単に高度コピー配列のみを得るた
めにゲノムDNAを分別すること、 およびこれをブロッキ
ングに使用することはこの困難性を克服する。かかる分
別は例えば、後述(3c.i)するごとくヒドロキシアパタ
イトで行うことができる。
【0101】3b.iii.特定化配列。プローブにおける特
定の配列のブロッキングは、同配列の標識されないコピ
ーを多く添加することにより成し遂げられる。例えば、
プローブにおけるAlu配列は、クローニングされたAlu D
NAを添加することによりブロックできる。ヒトゲノムに
おける最高度コピー配列を含んでいる少しのクローンの
混合物から調製されたブロッキングDNAは、染色体-特異
的ライブラリー例えば表1のライブラリーに対して効果
的に使用できる。また、1または複数の染色体−特異的
ライブラリーからの標識されない核酸配列は、1または
複数の他の染色体−特異的ライブラリーからの標識され
た配列を含んでいるプローブをブロックするのに使用で
きる。共有配列はブロックされ、他方で標的染色体上に
のみ存在する配列は影響されないであろう。
【0102】3c.配列の除去 3c.i.ヒドロキシアパタイト。一重鎖核酸および二重鎖
核酸はヒドロキシアパタイトに対して異なる結合特性を
持っている。かかる特性は核酸を分別するのに一般的に
使用される基礎を提供する。ヒドロキシアパタイトは商
業的に入手できる[e.g., Bio-Rad Labratories, Richm
ond, CA(USA)]。最高度コピー数からシングルコピーま
での特定の度合の反復を有する配列を含んでいる ゲノ
ムDNAのフラクションは、ゲノムDNAを変性し、それを適
宜の条件のもとで cotの特定の値に再結合させ、続い
てヒドロキシアパタイトを使用して分離することにより
得られる。一重鎖核酸および二重鎖核酸は、またS1ヌク
レアーゼの使用によって区別できる。かかる技術および
cotの概念は、ブリッテン等により以下の文献に説明さ
れている[Britten et al., "Analysis of repeating D
NA Sequences by Reassociation",in Methods in Enzym
ology, 29: 363-418 (1974]。
【0103】上記した3a.または3b.にて形成された一重
鎖核酸フラクションは、ヒドロキシアパタイトにより分
離でき、かつプローブとして使用できる。かくして、ブ
ロックされた配列(二重鎖となる)は物理的に除去され
る。その後、プローブは必要とするまで保存される。そ
の後、プローブは核酸の追加のブロッキングなしに使用
でき、またはその染色コントラストは多分追加のブロッ
キングにより改良できる。
【0104】3c.ii. 固定された核酸との反応。また、
特定の配列の除去は、一重鎖"吸収"(absorbing)核酸配
列をソリッドサポート(solid support)に付着すること
によっても達成できる。一重鎖源核酸が固定された核酸
にハイブリダイズされる。ハイブリダイゼーション後、
未結合配列は収集されプローブとして使用される。例え
ば、ヒトゲノムDNAは ヒトプローブから反復配列を吸収
するために使用できる。かかる方法のーつの方法がブリ
ソン等により以下の文献に記述されている[Brison et
al.,"General Method for Cloning Amplified DNA by D
ifferential Screening with Genomic Probes,"Molecul
ar and Cellular Biology, 2: 578-587(1982)]。簡単
に言えば、最小に共有されたヒトゲノムDNAが、ジアゾ
ニウムセルローズまたはその類似のサポートに結合され
る。 源DNAは、フラグメントに適宜にカットされ、固定
されたDNAに対して約1〜100の範囲のCot値までハイブリ
ダイズされる。ハイブリダイゼーション条件の好ましい
厳格さは、 DNAの塩基組成により変化する。かかる手法
によれば、染色体-特異的ライブラリー、例えば表1のラ
イブラリーから反復配列を除去し、全ヒト染色体を染色
可能なプローブを形成することができるであろう。
【0105】3d.標的ゲノムにおける非標的配列をブロ
ックすること。標的ゲノムにおける非標的結合座位を、
標識されない相補的反復配列によるハイブリダイゼーシ
ョンによってブロックすることは、これらの座位に結合
する潜在力を持つプローブ中の標識された配列の結合を
阻止する。 例えば、標識されないゲノムDNAによるハイ
ブリダイゼーションは、標的ゲノム中の高度コピー反復
配列を二重鎖にするであろう。プローブ中のかかる配列
の標識されたコピーは、プローブがその後に施用される
場合に結合することができないであろう。
【0106】実際に、染色コントラストを形成するため
には、いくつかののメカニズムが組み合わさっている。
例えば、ブロッキングDNAが上記3bに示したごとくプロ
ーブに添加されると、プローブが標的に施用された場合
に一重鎖配列として留まるDNAは、標的配列に結合で
き、かつ同標的配列をブロックできる。ブロッキングDN
Aを有するプローブのインキュベーションが最小である
場合には、 ゲノムDNAは同時にプローブをブロックし、
またプローブと標的における結合座位を競う。
【0107】III.不均一混合物の核酸フラグメント
を標識すること 不均一混合物の一重鎖および二重鎖核酸フラグメントを
標識するにはいくつかの技術を用いることができる。こ
れには下記のものが含まれている。すなわち、放射性標
識の結合、例えばハーパー等[Harper et al.,Chromoso
ma, 83: 431-439(1984)]、 フルオロクロムまたは酵素
の直接付着(direct attachment)、例えばスミス等[Smi
th et al., Nuc. Acids Res., 13: 2399-2412 (1986),
およびコノリイ等[Connolly et al., Nuc. Acids Re
s., 13: 4485-4502 (1985)]、および免疫化学的または
他のアフィニティリアクションにより核酸フラグメント
を検出し得るようにする同フラグメントの種々の化学的
変形、例えばチェン等[Tchen et al.,"Chemically Mod
ified Nucleic Acids as Immunodetectable Probes in
Hybridization Experiments," PNAS, 81: 3466-3470 (1
984)];リチャードソン等[Richardson et al.,"Biotin
and Fluorescent Labeling of RNA Using T4RNA Ligas
e," Nuc. Acids Res., 11: 6167-6184 (1983)];ランガ
ー等[Langeret al.,"Enzymatic Synthesis of Biotin-
Labeled Polynucleotides: Novel Nucleic Acid Affini
ty Probes," PNAS, 78: 6633-6637 (1981)];ブリガテ
ィ等[Brigati et al.,"Detection of Viral Genomes i
n Cultured Cells and Paraffin- Embedded Tissue Sec
tionsUsing Biotin-Labeled Hybridization Probes," V
irol., 126:32-50(1983)];ブロカー等[Broker et a
l.,"Electron MicroscopicVisualization of tRNA Gene
s Ferrin-Avidin: Biotin Labels," Nuc. Acids Res.,
5: 363-384 (1978)];ベイヤー等[Bayer et al.,"The
Use of the AvidinBiotin Complex as a Tool in Molec
ular Biology," Methods of Biochem. Analysis, 26:1-
45(1980);クールマン[Kuhlmann,Immunoenzyme Techniq
ues in Cytochemistry(Weinheim,Basel,1984)]、ラン
ガー-セイファー等[PNAS (USA), 79: 4381(1982)];ラ
ンデジェントら[Exp. Cell Res., 153: 61 (1984)];
ホップマン等[Hopman et al., Exp.Cell Res., 169: 3
57 (1987)]である。
【0108】典型的な標識手段には、プローブフラグメ
ントをビオチン化し、 N-アセトキシ-N-2-アセチルアミ
ノフルオレンで変形し、フルオレセインで変形し、 水
銀/TNPリガントで変形し、スルホン化し、ジゴキシゲ
ニン化し、または T-T二量体を含む手段が含まれる。
【0109】"プローブ標識"(probe labeling)のキーと
なる特徴は、標的に結合したプローブが検出できるとい
うことである。ある場合には、付加された特徴よりもプ
ローブ核酸の固有の特徴がこの目的のために利用でき
る。例えば、特異的に RNA/DNAデュプレックスを認識す
る抗体は、RNAから作られDNA標的に結合しているプロー
ブを確認する能力を持つことが証明されている[Rudkin
and Stollar,Nature, 265: 472-473(1977)]。かかる
プローブのために使用されるRNAは変形されない。プロ
ーブ核酸フラグメントは、変形されたヌクレオチドまた
は特定の正常なヌクレオチドの”尾部”を付加すること
により延ばすことができる。正常ヌクレオチドの尾部が
使用される場合には、尾部に相補的であり、かつ他の標
識手段の中でもフルオロクロム、酵素、放射能、変形塩
基を含む核酸による第2のハイブリダイゼーションが、
結合プローブの検出を可能とする。かかるシステムは商
業的にはエンゾバイオケムから入手できる[ Biobridge
Labeling System; Enzo Biochem Inc.,New York, N.Y.
(USA)]。
【0110】プローブ中の核酸配列がなんらかの変形成
分を持っていない結合プローブを可視化する手段の他の
実施例は、チミジン二量体に対する抗体の使用である。
ナカネ等[Nakane et al., ACTA Histochem. Cytoche
m., 20 (2):229(1987)]は、チミン−チミンの二量化DN
A(T-T DNA)がインシトゥハイブリダイゼーションにお
けるマーカーとして使用された方法を例示している。
ハイブリダイズされたT-TDNAはラビット抗-T-TDNA抗体
を使用して免疫組織化学的に検出された。
【0111】上記文献に記載された標識技術の全ては、
特定の状況のもとで好まれる。さらに、当業者にとって
周知の標識技術は、本発明にかかる染色組成物を標識す
るのに有用であろう。標識手段の選択は、下記のファク
ターを含むいくつかのファクターにより左右される。
すなわち、ハイブリダイゼーションおよび染色体DNAへ
の核酸フラグメントの結合の速度に及ぼす標識の効果、
最初のハイブリダイゼーション後に施される標識部分
(labeling moieties)への結合プローブのアクセッシビ
リティ、標識部分の相互適合性、標識により発せられる
シグナルの性質と強度、標識が施される費用および容易
性等である。
【0112】異なる方法によりそれぞれ標識されたいく
つかの異なる高度コンプレキシティプローブは、同時に
使用できる。それ故、異なるプローブの結合は例えば異
なる色により識別できる。
【0113】IV.インシトゥ ハイブリダイゼーショ
ン 本発明に係る不均一混合物の染色体への適用は、標準的
なインシトゥ ハイブリダイゼーション技術により達成
される。この技術に対するいくつかの優れたガイドが役
に立つ。 例えば、ガルおよびパーデュー[Gall and Pa
rdue, "NucleicAcid Hybridization in Cytological Pr
eparations,"Methods in Enzymology, 21: 470-480 (19
81)];ヘンダーソン[Henderson,"Cytological Hybridi
zation to Mammalian Chromosomes,"International Rev
iew of Cytology, 76: 1-46(1982)];アンジェラー等
[Angerer et al., "In Situ Hybridization to Cellul
ar RNAs,"in Genetic Engineerng: Principles and Met
hods, Setlow and Hollaender, Eds., Vol. 7, pgs. 43
-65(Plenum Press, New York,1985)]。
【0114】以下の3つのファクターがハイブリダイゼ
ーション プローブの染色感受性(staining sensitivit
y)に影響を及ぼす。 すなわち、(1)ハイブリダイゼーシ
ョンの効率(プローブによりハイブリダイズできる標的
DNAのフラクション)、(2)検出効率(すなわち、ハイブ
リダイゼーション プローブの与えられた量から得られ
る可視シグナルの量)、および (3)プローブの非特異的
結合または検出システムの成分により生じたノイズのレ
ベルである。
【0115】一般的に、インシトゥハイブリダイゼーシ
ョンは次の主なステップからなる。 (1)検査されるべき組織または生物学的構造の固定、
(2)標的DNAのアクセッシビリティを増加しかつ非特異的
結合を減少するための生物学的構造のプレハイブリダイ
ゼーション処理、(3)生物学的構造または組織中のDNAに
対するプローブの不均一混合物のハイブリダイゼーショ
ン、 (4)特異的ハイブリッドに結合していないプローブ
を除去するポストハイブリダイゼーション洗浄、 (5)不
均一混合物のハイブリダズされたプローブの検出であ
る。これらのステップの各々に使用される試薬および使
用条件は、特定の状況により変わる。
【0116】次のコメントは、上記した一般的ステップ
を適用するためのガイドとして役立てることを意図して
いる。実験のなかには、特定の適用のために最適の染色
条件を確立する必要があるものがあるかもしれない。
【0117】ハイブリダイゼーションに対する準備とし
て、プローブはその形成方法にかかわらず、ハイブリダ
イゼーションの最良の強度と特異性を得るために適当し
たサイズのフラグメントに切断される。フラグメントの
サイズに関する一般的なガイドラインとして、次の事項
を認識することが必要である。もしフラグメントが余り
にも長い場合には、同フラグメントは結合のために標的
内に侵入し得ず、その代わりハイブリダイゼーションに
バックグランド ノイズを与える集合体(aggregate)を形
成する。しかしながら、フラグメントが余りにも短い
と、シグナル強度が低減する。
【0118】ヒトゲノムDNAを用いるハイブリダイゼー
ションの条件のもとでは、 プローブフラグメントの好
ましいサイズの範囲は約200塩基〜約1000塩基、 二重
鎖、ニックトランスレートされたプローブに対してより
好ましくは約400〜800塩基、また一重鎖またはPCRアダ
プター-リンカープローブに対しては約200〜600塩基で
ある。好ましいハイブリダイゼーション温度は約30℃〜
約45℃、より好ましくは約35℃〜40℃である。また、好
ましい洗浄温度の範囲は約40℃〜約50℃である。
【0119】プローブフラグメントのサイズは、標的に
対するハイブリダイゼーションの前にチェックされる。
フラグメントのサイズは、好ましくは電気泳動によりモ
ニターされ、より好ましくは変性アガロースゲル電気泳
動によりモニターされる。
【0120】固定液には、酸アルコール溶液、酸アセト
ン溶液、ペトランケウイッチ試薬(Petrunkewitsch's re
agent)、およびホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド等のごとき種々のアルデヒドを
含む。 好ましくは、約3:1の比率のエタノール-アセテ
ィックアシド溶液またはメタノール-アセティックアシ
ド溶液が、中期スプレッドにおける染色体を固定するの
に使用される。サスペンション中の細胞および染色体に
対しては、トラスク等[Trask et al.,in Science, 23
0: 1401-1402 (1985)]により開示された固定手法が使
用できる。簡単に言えば、K2CO3とジメチルサブエリミ
デイト(DMS)(5倍に濃縮されたストック溶液から使
用直前に混合)が、約5×106 nuclei/mlを含むサスペン
ションに添加される。最終のK2CO3とDMS濃度はそれぞれ
20mMと3mMである。 25℃で15分放置後、サスペンション
1 ml当たり100 mMサイトリックアシド50ulから100ulを
添加してpHが10.0〜8.0に調整される。細胞核は遠心分
離により一度洗浄される(300g,10min., 50mMKCl,5mM p
H9.0のヘペスバッファーおよび10mM MgSO4中4℃に
て)。
【0121】サスペンション中の細胞または細胞核の好
ましい固定手法は、トラスク等により開示されている
[Trask et al., Hum. Genet., 78:251-259 (1988)]。
簡単に言えば、細胞核はPBS中1%パラホルムアルデヒ
ド,50 mM MgSO4,pH7.6の中で室温で約10分間で固定さ
れ、そして二度洗浄される。 細胞核は分離緩衝液(IB)
中で再度懸濁される。かかる緩衝液は(50mM KCl,5mM H
EPES,10mM MgSO4,3mM ジチオエリスリトール,0.15mg/ml
RNase,pH 8.0)/(0.05% トリトンX-100,108/ml )で
ある。
【0122】しばしば、インシトゥハイブリダイゼーシ
ョンの前に、染色体はタンパク質を除去するために試薬
で処理される。かかる試薬は酵素または緩酸を含む。プ
ロナーゼ、ペプシン、またはプロティナーゼ Kがしばし
ば使用される酵素である。代表的な酸処理は0.02−0.2N
HClでなされ、続いて高温(例えば70℃)で洗浄され
る。脱タンパク質の最適化には、ハイブリダイゼーショ
ンを最高にし、かつ形態学的細部(morphological detai
l)の許容し得ないロスを生じないようなプロテアーゼ濃
度とダイジェスチョン時間との組合せを必要とする。最
適の条件は組織型および固定方法により異なる。プロテ
アーゼ処理後の付加的固定は有用である。このように、
特定の適用に対して、実験のなかにはプロテアーゼ処理
をできるだけ利用することが要求されるものがある。
【0123】ある場合には、標的から残留RNAを除去す
るために、RNaseによる前処理が望ましい。かかる除去
は、固定された染色体を2× SSC中 50-100ug/ ml RNase
中で室温で1-2時間インキュベートすることによって達
成できる。(但し、SSCは 0.15MNaClと0.015M ソジウム
サトレイトの溶液である)。
【0124】不均一プローブ混合物のプローブを 染色
体DNAにハイブリダイズするステップは、以下のステッ
プを含んでいる。 (1)プローブが相補的一重鎖領域へア
クセスできるように標的DNAを変性すること、および(2)
プローブを標的における相補的座位にアニールすること
を可能にする条件のもとで不均一混合物を適用するこ
と。変性方法には、高pH、低pH、高温、またはホルムア
ミド、テトラアルキルアンモニウム ハライド等のごと
き有機溶剤の存在のもと、濃度および温度の種々の組合
せでのインキュベーションが含まれる。 標的中の一重
鎖DNAはエキソヌクリアーゼIII[van Dekken et al., C
hromosoma (Berl) 97: 1-5 (1988)]のごとき酵素を用
いても形成できる。好ましい変性手法は、2× SSC中約3
5-95% の濃度のホルムアミド中で、 約25-70℃の温度に
おける1-10分のインキュベーションである。これらの範
囲内での最適なインキュベーション時間、濃度、および
温度の決定は、固定方法およびプローブ核酸(例えばDN
AまたはRNA)の型を含むいくつかの変動要因に依存す
る。
【0125】染色体DNAが変性された後、 変性要因は典
型的には不均一プローブ混合物の適用前に除去される。
ホルムアミドと熱とが主要な変性要因である場合には、
それらの除去は溶剤による幾度かの洗浄により都合良く
達成される。かかる溶剤は例えば70%,85%,100%冷エ
タノール シリーズのごとく、しばしば冷却される。ま
た、変性物質の組成は他の組成物の添加または適宜の溶
剤での洗浄のいずれかにより、インシトゥハイブリダイ
ゼーションに適合するように調整できる。プローブおよ
び標的核酸は、ハイブリダイゼーション混合物の適用、
およびその後の適宜の加熱により同時に変性することも
できる。
【0126】不均一混合物が適用される時間の間の、
染色体DNAおよびプローブの雰囲気の物理化学的条件
を、ここではハイブリダイゼーション条件、またはアニ
ーリング条件と呼ぶ。特定の適用に対する最適条件は、
いくつかのファクターをコントロールすることにより調
整でき、同ファクターとしては以下のものが含まれる。
成分の濃度、不均一混合物中の染色体のインキュベーシ
ョン時間、不均一混合物を構成する核酸フラグメントの
濃度、コンプレキシティ、および長さである。概略的に
は、ハイブリダイゼーション条件は、非特異的結合を最
小限にするために溶融温度に十分に近づけなければなら
ない。他方、かかる条件は、相補的配列の正しいハイブ
リダイゼーションを検出可能なレベル以下に低減し、ま
たは過度に長いインキュベーション時間を要求するほど
厳しいものであってはならない。
【0127】ハイブリダイゼーション混合物中の核酸の
濃度は重要な要因である。かかる濃度は十分に高くなけ
ればならず、これによりそれぞれの染色体結合座位の十
分なハイブリダイゼーションが適当な時間内(例えば数
時間〜数日)に生じる。非特異的結合を最小とするため
に、適当なシグナルを得るのに必要な濃度より高い濃度
は避けるべきである。不均一混合物中のプローブにおけ
る核酸の濃度に関する、重要な実際上の拘束は溶解度で
ある。フラグメント濃度、すなわち単位体積当りの核酸
の単位長さに関しては上限が存在し、それは溶液中で保
持できかつ効果的なハイブリダイゼーションを可能にす
る。
【0128】プローブDNAの非特異的結合を減らすため
に、 固定された標的目的物はハイブリダイゼーション
ステップの間またはその後にいくつかの手段で処理でき
る。これらの処理は下記の処理を含む。すなわち、非プ
ローブ、すなわち"キャリア"、DNAを不均一混合物に添
加すること、デンハルト溶液(Denhardt's solution)[B
iochem.Biophys. Res. Commun., 23: 641-645 (196
6)]のごときコーティング溶液を不均一混合物とともに
使用すること、数分、例えば5-20分、変性溶媒中でハイ
ブリダイゼーション温度より上5-10℃の温度でインキュ
ベートすること、 RNAプローブの場合には、2×SSC中の
一重鎖RNase(例えば 5-10ug/ml RNase)による室温で
の1時間の緩処理である。
【0129】V.特有の応用例 本発明は、細胞ベースで細胞上に起きる遺伝子異常の顕
微鏡による検出及び時としてフローサイトメトリーによ
る検出を可能にする。顕微鏡検査は完全に観察者によっ
て行われたり、あるいはさまざまな段階の付加的な機器
使用やコンピュータによる補助を完全自動化に至るまで
含んでいる。このような分析のための機器や自動化の使
用は多くの有利性を提供する。それらの有利性として
は、観察者に見えないような蛍光性の染料(例えば赤外
線吸収染料(infrared dyes))の使用や、同時には見る
ことのできないような複合性標識方法(例えば蛍光性や
吸収性の染色の組合せ、オートラジオグラフィー等)を
適用して得られた結果を解釈する機会が含まれている。
定量測定は観察者が検出できないような染色の違いを検
出するのに用いることができる。下記に記載したように
自動分析もまた、細胞と染色体を分析できるスピードを
上昇することが可能である。
【0130】この発明のプローブで検出できる細胞遺伝
学上の異常のタイプとして次のようなものがある。染色
体タイプのすべてあるいは一部分の重複は、その染色体
タイプや領域に対してプローブでハイブリダイゼーショ
ンを行った後、中期のスプレッドや間期の核の中にある
顕著なハイブリダイゼーションドメインの数及び大きさ
の増加として、または結合したプローブの料の増加によ
って検出することができる。もしそのプローブが蛍光に
よって検出されるのであれば、結合したプローブの量は
フローサイトメトリーにより、あるいは定量的蛍光顕微
鏡検査のいずれかによって検出することができる。全染
色体、あるいは染色体の領域の欠失は、その染色体タイ
プや領域にプローブでハイブリダイゼーションを行った
後、中期のスプレッドや間期の核の中にある顕著なハイ
ブリダイゼーションドメインの数及び大きさの減少とし
て、または結合したプローブの量の減少によって検出す
ることができる。かりにそのプローブが蛍光によって検
出されるのであれば、結合した量はフローサイトメトリ
ーにより、あるいは定量的蛍光顕微鏡検査のいずれかに
よって検出することができる。転座、二動原体及び逆位
は、中期のスプレッドや間期の核の中において、再配列
の点に存在する染色体の領域の側面に位置するか、ある
いはまたがるプローブによってハイブリダイゼーション
を行った後に通常分離しているハイブリダイゼーション
ドメインの異常な並置によって検出される。転座は少な
くとも二種の異なる染色体タイプを含んでおり、それぞ
れ一個だけの動原体を有する誘導性の染色体に帰着す
る。二動原体は少なくとも二種の異なる染色体タイプを
有しており、動原体を欠いた少なくとも一つの染色体フ
ラグメントと二個の動原体を有している一つの染色体フ
ラグメンントに帰着する。逆位は染色体の部分の極性の
逆転を含んでいる。
【0131】腫瘍の細胞遺伝学 近年、多くの研究は、特定の疾病の表現型として診断に
役に立ち、また疾病自体の遺伝学的性質に対する手がか
りを提供したりする構造的及び数値的な染色体異常の存
在を明らかにした。顕著な例としては慢性骨髄性白血病
と染色体9及び22を巻き込んだ転座との間には密接な
関連、網膜芽細胞腫と13q14の部位の欠失との関連、及
びバルキッツ(Burkitts)リンパ腫と染色体8及び14を
巻き込んだ転座との関連を含む。新規な腫瘍特異的な異
常を解明する現在の進歩は、細胞遺伝学的な分析に対す
る代表的で質の高いバンドが付いた中期のスプレッドを
作成することの困難性によって制限を受けている。これ
らの問題は、人の腫瘍の多くがインキュベート基内で生
育することが困難であるか不可能であるという事実から
生じる。このように、有糸分裂細胞を得ることは通常困
難である。かりにその細胞がインキュベート基内で生育
させることができたとしても、生育した細胞が腫瘍形成
性の個体群の標本となり得ないという重大なリスクを有
している。その困難性はまた、存在している遺伝的な情
報を臨床の診断及び予後に適用することを妨げている。
【0132】本発明は、これらの限界を、間期の核にお
ける特異的な構造的及び数値的な異常の検出を可能にす
ることによって打破するものである。これらの異常は上
記記載したように検出される。全遺伝子プローブを用い
るハイブリダイゼーションは、従来未知の異常の固定を
容易にし、これによって異常と疾病表現型との間の新規
な関連の迅速な進歩を可能にするであろう。特定の悪性
腫瘍の遺伝的性質が次第によく知られるようになってき
たので、間期の分析は、遺伝的病変に標的を絞ったハイ
ブリダイゼーションプローブを選択することによってま
すます特異的になしうる。選択された遺伝子上の特定部
位での転位は、開裂点の側面近くに位置するハイブリダ
イゼーションプローブを用いることによって検出するこ
とができる。これらのプローブの使用は、これらの特異
的な疾病表現型の診断を可能にする。転位は間期で検出
することができる。それは転位が通常は分離されている
ハイブリダイゼーションドメインを集めるため、あるい
は転位が一つのハイブリダイゼーションドメインを二つ
のうまく分離されたドメインに分離するためである。加
えて転位は、治療過程を通じて悪性腫瘍細胞の減少及び
再出現を追求するために用いることができる。間期の分
析はそのような応用において特に重要である。というの
は存在している細胞の数が小数であるため、かつそれら
の有糸分裂に刺激をすることが困難であるかあるいは不
可能であるためである。
【0133】遺伝子の増幅及び異型接合の欠落に含まれ
る過程である重複及び欠失もまた、この発明の技術を用
いて中期のスプレッド及び間期の核において検出されう
る。このような過程は異なる腫瘍の数が増加することに
関連している。
【0134】VI.中期の染色体及び間期の核における
網膜芽細胞腫遺伝子の検出プローブ .三個の隣接部(contig)(重複核酸配列)を形
成し、Rb-1遺伝子のエクソンをつなぐ14個のラムダ フ
ァージ クローンをユエン カイ ファング(Yuen Kai
Fung)[Division of Hematology and Oncology, Chil
drens' Hospital of Los Angeles, University of Sout
hern California, Los Angeles, CA 90027 (USA)]から
得た。そのファージDNAは、バイオ ニックTM ラベリ
ング システム(Bio NickTM Labeling System)[BRL
Life Technologies, Inc., Gaithersburg, MD(USA)]を
使用するビオチン−dUTPあるいはジゴキシゲニン−dUTP
のいずれかによって標識された。
【0135】13/21動原体の白斑様の反復性配列に特異
的プローブが中期の試料中における染色体13の同定を助
けるのに用いられた。13/21動原体プローブは、ワイヤ
ーら(Weier et al., Hum. Genet., 87(4): 489-494(19
91))の述べた方法に従ってポリメラーゼのチェインリ
アクション(PCR)によって準備された。簡単に言うと
そのプローブは、テンプレートとしてフローソーティン
グしたヒト染色体21sと白斑様配列に対して特異的な二
つのプライマー(30μM)とを用いるPCRによって作られ
た。その産生物はビオチン11-dUTP(100%)を含ませるこ
とによってPCR反応の間に標識された。使用したオリゴ
ヌクレオチド プライマーはW21R2(5'-GGATAGCTTAACGA
TTTCGTTGGAAAC-3')及びW21R2(5'-CAAACGTGCTCAAAGTAA
GGGAATG-3')である。それらはDNA合成装置[Applied B
iopysics, Foster City, CA(USA) mdel 380B]にてフォ
スファアミダイト ケミストリイ(phosphoramidite ch
emistry)を用いて合成された。 C18逆相クロマトグラ
フィーやHPLCによるオリゴヌクレオチドの合成及び更な
る精製化は、製造元[Waters Chromatography, Milfor
d, MA (USA)]の仕様書に従って行われた。テンプレー
トとしてフローソートした染色体DNAを用いると、これ
らのプライマーは135bp生産物を生じる。
【0136】細胞のサンプル.PHAー刺激の正常な末梢血
液リンパ細胞、インキュベートしたヒトの皮膚の繊維芽
細胞、NIGMS(National ainstitute of General Medica
l Science)HUman Genetoc Mutant Cell Repository[C
amden, NJ (USA)]から得られた網膜芽細胞腫の患者か
ら採取した二種の繊維芽細胞ラインGM0587746, XX, del
(13) (pter-q14.1::q21.2-qter)とGM01152A 46, XX, de
l(13) (pter-q14.1::q22.1-qter)、及び細い針で吸引あ
るいは腫瘍組織の生検のいずれかによって得られた臨床
のヒトの肺癌サンプルが用いられた[Fred Waldman, M.
D., Departmentof Laboratory Medicine, University o
f California, San Francisco, CA (USA)によって利用
できるようにされた。]。細胞ラインは中期を準備する
ためにコルセミドで処理するか、あるいはG0/G1間期核
を得るために融合化まで生育するかのいずれかであっ
た。全てのサンプルは3:1のメタノール−酢酸で固定さ
れて顕微鏡のスライドに滴下された。インシトゥハイブ
リダイゼーションの前に、そのスライドはプロティナー
ゼ K[Boehringer Mannheim GmbH, Indianapolis, IN
(USA)]を用いて37℃で7.5分間処理された。
【0137】インシトゥハイブリダイゼーション. FI
SHが前に公開された方法[Pinkel et al., PNAS (USA),
83: 2934(1986); Trask et al., Genomics, 5: 710 (1
989)]の改良型を用いてなされた。そのハイブリダイゼ
ーション混合物は、20ー40ngの標識したプローブと、50%
のホルムアミド中5-10ugの非標識ヒト胎盤のDNAと、2×
SSC、及び10%のデキストラン サルフェートとからな
り、70℃で5分間変性させた後、37℃で30-60分間再アニ
ール化させた。二重色ハイブリダイゼーションでは、20
ngのRb 3'エンドプローブと20ngのRb 5'エンドプローブ
が用いられた。13/21動原体のプローブとのコハイブリ
ダイゼーションでは、2ngの動原体プローブが20-40ngの
Rb-1プローブとともに用いられた。そのスライドは70℃
で2分間、70%のホルムアミド、2×SSC 中で変性され
た。ハイブリダイゼーションは湿度のある室の中で37
℃、2日間、カバースリップの下部で行われた。
【0138】染色.手短かに説明すると、そのスライド
は50%のホルムアミド、2×SSC中で10分間3回と、45℃に
て2×SSC中で2回及び0.1×SSC中で1回洗浄された。ビオ
チン標識された試料は、4×SSC/1%のBSA中30分間、室
温にて(5ug/ml)FITCまたはテキサスレッド−アビジン(T
exas Red-Avidin)[Vector Laboratories, Inc., Burlin
game, CA (USA)]を用いて染色された。抗アビジン(Vect
er Laboratories, Inc.)(5ug/ml) インキュベートはPNM
緩衝液中で20分間行われた後、PNM緩衝液中でFITC/テ
キサス レッド−アビジンの第2層にて行われた。ジゴ
キシゲニン−標識プローブは、ジゴキシゲニンに抗する
FITC−標識のヒツジ抗体、及びウサギの抗ヒツジFITC抗
体(Vector Laboratories, Inc.)の第2層を用いて検出
された。それぞれの抗体あるいはアビジンの処理の前
に、そのスライドは1%のBSAあるいはPNMのいずれかであ
らかじめ固定された。その抗体のインキュベートの間
に、そのスライドは4×SSCで2回、4×SSC/0.1%TRITON
x-100溶液中で1回またはPN緩衝液中で3回洗浄された。
核は0.2ug/mlのプロピジウム アイオダイドあるいは0.
27uMのDAPIを用いて色の消失しない溶液中で対比染色さ
れる。
【0139】蛍光顕微鏡検査及びディジタル映像分析
ニコンの蛍光顕微鏡がその分析の多くの場合に用いられ
た。間期の分析に対して少なくとも150個の核がそれぞ
れの試料から得点された。中期のハイブリダイゼーショ
ンシグナルを正確にマップ化するために、ディジタル映
像分析が用いられた。[Zeiss Axioplan; Quantex Corpo
ration (Sunnyvale, CA)(USA)] その多色映像は19ピク
セル/umの概算解像度でコンピュータの磁気ディスクに
入れられ、TCL-イメージ ソフトウエア パッケージに
基づく特殊なソフトウエア プログラムを用いて分析さ
れた。そのプログラムはDAPIで染色された染色体の輪郭
をくっきりと示し、染色体の縦の軸を描く。そのハイブ
リダイゼーションシグナルは、ついで染色体のイメージ
上に擬態色(pseudocolor)が重ねられて、全染色体の長
さ(=フラグメント的な長さのスケール)に比較したp-
末端小粒からの距離の点から見たそれらの相対的位置を
算定する。
【0140】結果. 14個のラムダファージ クローン
(Rb-1プローブ)を共に用いると、リンパ細胞の中期の
試料上で染色体13のq-範囲のまん中の領域に、明るくて
特異的なハイブリダイゼーションシグナルが得られた
(図1及び図2)。Rb-1遺伝子のより正確な局在部の測
定は、ディジタルのイメージ分析によって達成された。
その13pter(p-末端)からRb-1シグナルの平均距離(+
S.D.)はバンドq14.2にあるRb-1遺伝子の位置と矛盾の
ないように決定された(図3)。間期の核からのRb-1ハ
イブリダイゼーションの分析は、正常のリンパ細胞及び
繊維芽細胞でまず行われた(図4)。二個の対立遺伝子
を表している二個のハイブリダイゼーションシグナルは
核の約90%で検出された(図1)。残る10%は一本あるい
は三個の蛍光シグナルを示した。間期では蛍光シグナル
は必ずしも一本ではなく、2-4個の小さな近接した独立
スポットとして出現する可能性がある。おそらくこれは
Rb-1プローブが三個の分離した隣接部からなるためであ
ろう。
【0141】Rb-1領域に影響しているホモ接合体の欠失
のある網膜芽細胞腫の患者から得た二個の繊維芽細胞の
細胞ラインを用いて、ハイブリダイゼーションのシグナ
ルの不在として欠失を検定することでFISHの敏感性をテ
ストした。両者の細胞ラインで一つのRb-1シグナルが、
間期の核の約70-80%で検出された(図7及び図10
B)。それらの細胞ラインから得られた中期の試料は、
正常の染色体13が動原体及びRb-1のシグナルの両方を持
っていることを示すRb-1及び13/21動原体プローブで同
時にハイブリッドされ、これに対し他のわずかに短い染
色体13は、動原体プローブだけによってハイブリッドさ
れた(図5及び図6)。
【0142】Rb-1プローブはまた、異った肺癌患者から
細い針で吸引及び生検試料を研究するために用いられ
た。肺癌のサンプルは培養細胞よりは更に強い非特異的
なバックグラウンドの蛍光を示すが、個々の腫瘍の核か
ら得たRb-1遺伝子のコピー数を評価することが可能であ
った(図8)。下記の表2に示したように、肺の腫瘍の
中及びその間のどちらにも形成されている遺伝子の著し
い不均一性が、6つの場合の分析で見付けられた。Rb-1
遺伝子のモーダルコピー数は、腫瘍の中では1-3個と異
なっていた。細胞培養での実験と比較すると、臨床のサ
ンプルではRb-1シグナルのない細胞が高いパーセンテー
ジを示した。表2は6例の臨床的な肺癌試料において、
核当りのRb-1シグナルのそれぞれの数を示す核のパーセ
ンテージを示している。この結果は2-3個のハイブリダ
イゼーション実験の平均を表している。少なくとも150
個の細胞が各々のスライドから数え上げられた。
【0143】
【表2】 Rb-1遺伝子のサブリージョンを検出するために、200 kb
Rb-1遺伝子の8-20 kbのみにわたるシングル ファージ
クローンがハイブリダイゼーションプローブとして用
いられた。そのようなプローブから得たハイブリダイゼ
ーションシグナルは中期の染色体と間期の核の両方に見
られたが、ハイブリダイゼーションの効果はプールした
Rb-1プローブを用いた場合よりも著しく小さかった。対
照的に、2-5個の隣接するファージ クローンをプール
した場合には、ハイブリダイゼーションはより効果的で
かつもっと容易に評価された。このアプローチを用い
て、二重色のハイブリダイゼーションにおいて異なって
標識されたプローブを用いて間期の核内にあるRb-1遺伝
子の3'及び5'末端が可視化された(図9)。
【0144】このように結論として、Rb-1遺伝子はFISH
及びディジタル イメージ分析によって13q14がマップ
され、エステラーゼDの座位[Sparkers et al., Scien
ce, 208: 1042-1044(1980)]近くに近接して存在する遺
伝子の局在化が確証された。このセクションで示したよ
うに本発明の方法はRb-1座位を含む欠失を検出するため
に使用できる。バンドのないプロピジウムアイオダイド
染色の中期試料から欠失の存在を証明するためには、こ
のセクションの典型例では13/21のペリ動原体のアルフ
ァ サテライト プローブである参考プローブを使用す
ることが必要であった。Rb-1座位における欠失を伴う染
色体13sはこれによって同定された。
【0145】このセクションの典型的な例は、染色体−
特異的染色を用いて13qにおける構造上の欠失を持って
いることが知られている網膜芽細胞腫の患者からインキ
ュベートされた繊維芽細胞の間期の核からRb-1遺伝子の
欠失を検出することができることを示している。染色体
−特異的染色の有用性は、得られたハイブリダイゼーシ
ョン効率によって決定付けられ、それは次に経験的にプ
ローブの標的の大きさによっていることが判った。間期
のFISHについてのこれまでの研究では、およそ90-95%の
ハイブリダイゼーション効率で数メガベースの標的の大
きさを持っているペリ動原体の反復性配列にプローブを
用いておもに行われてきた(Pinkel etal., supra 198
6)。培養細胞で150kbのRb-1プローブを用いる実験にお
いては、間期において得られたハイブリダイゼーション
効果は約80-90%であり、一方臨床の試料では多数の細
胞がハイブリダイゼーションを示さないのでその効率は
明らかに低い。それ故わずかしかないハイブリダイゼー
ション効率は、欠失の誤解を生じることがある。更に、
極めて複合的なカリオタイプの異常を有している固相の
腫瘍では、数値的な染色体異常と形態的な異常との間の
区別を評価することは難しいかもしれない。従って多数
の固相の腫瘍を分析して、数値的な染色体異常の存在と
ともにハイブリダイゼーション効果もコントロールする
ために、同じ染色体に対して他の対照プローブでコ−ハ
イブリダイズをすることが好ましい。中期の試料にうま
く用いられる動原体13/21 アルファ サテライト プ
ローブは、間期の分析には適用することができない。と
いうのは染色体13及び21のシグナルが識別できないから
である。それ故、間期の分析では染色体13に対して特異
的な対照プローブを用いることが好ましい。
【0146】このセクションで述べた臨床の肺癌物質の
研究では、肺癌の遺伝子の異種接合性(heterogeneity)
を示している。形態学的にくっきりと示された個々の腫
瘍細胞から遺伝子のコピー数を調べうる可能性と結び付
けてこの異種接合性を評価することが、この発明の染色
体−特異的染色法の大きな利点である。
【0147】VII. 癌に関連した染色体3及び17の異
常の検出プローブ . この章の代表的例では2つの動原体-特異
的アルファ サテライトプローブが使用され、一方は染
色体17に、また他方は染色体3に特異的である。動原体-
特異的プローブは、VI章で上記したように、13/21特異
的動原体プローブと同様に用意された。具体的には、こ
れらのプローブは熱安定性の酵素を使用したポリメラー
ゼ チェイン リアクション法[Saiki et al., Science,
239: 487-491 (1988)]により、次のように用意され
た。
【0148】ヒト染色体17上のアルファ サテライト動
原体反復に対し特異的なプローブ.染色体17のブルース
クライブ(Bluescribe)プラスミド ライブラリー(pBS
17)から分離された約50 ng(nanograms)のDNAがDNAテン
プレートとして使用された。ピンケル他(Pinkel et a
l., PNAS USA, 85: 9138-9142 (Dec. 1988))は、例え
ばLL17NS01またはLA17NS03[Van Dilla et al., Bio/Te
chnology, 4: 537-552 (June 1986)]として公的に入手
可能な全染色体17ライブラリーを、ブルースクライブ
プラスミド[Statagene, La Jolla, CA (USA)]中にサ
ブクローンすることとして、このようなブルースクライ
ブ ライブラリーを用意することを述べている。
【0149】反応緩衝液は、100 ulの増幅/ビオチン化
緩衝液[10 mのトリス-HCl, 20℃でpH 8.4; 1.5mMのMgC
l2; 5 mMのKCl; 及び各0.2 mMの2'-デオキシアデノシン
5'-三燐酸塩(dATP), 2'-デオキシグアノシン 5'-三燐
酸塩(dGTP),及びビオチン-II-dUTP[全てのデオキシヌ
クレオチド三燐酸塩は Sigma, St. Louis, MO (USA) か
ら入手];及び各1.2 uMの2つのプライマーWA1及びWA2
[WA1 5'-GAAGCTTA(A/T'(C/G)T(C/A)ACAGAGTT(G/T)AA-3'
及びWA2 5'-GCTGCAGATC(A/C)C(A/C)AAG(A/T/C)AGTTTC-
3']]と混合したサーマス アクアティカス(Thermus aq
uaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ[ Bethesda Researc
h Laboratories, Gaithersburg, MD (USA)]から成って
いた。PCRの間の蒸発を防ぐために、反応混合物の上に鉱
物油(100 ul)[Squibb, Princeton, NJ (USA)]の油層
が張られた。
【0150】DNA増幅及び同時的ビオチン化は 自動サー
マル サイクリング システム[Weier and Gray, DNA,
7: 441-447 (1988)]を用いて45サイクルの間行われ
た。各サイクルは 94℃で90秒(最初の変性は120秒)の
熱変性ステップで始まった。各サイクルの第2ステップ
の間のプライマーのアニーリングは、53℃で90秒間行わ
れた。次いで温度は 72℃までゆっくり(7℃/分)と上
昇された。サイクルはプライマーのエクステンションの
ために20秒間その温度に維持することにより完了され
た。アルファ サテライトDNAの増幅は、pH 8.0で0.5 ug
/mlのエチジウム ブロミドを含む40 mMのトリス-アセテ
ート,1 mMのEDTA、中の4%アガロースゲル(BRL)上で
の、5 ulアリコートのPCR反応混合物の電気泳動により
目視で確認された[Maniatis et al., Molecular Cloni
ng: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboao
ry, Cold Spring Harbor, N.Y.)(USA)(1986)]。反応物
中の二重鎖DNAの濃度は、TK 100フルオロメータ[Hoefe
r Scientific, San Fransisco, CA (USA)]を使用した
ヘキスト33258フルオレセンス(Hoeschist 33258 fluor
escence)により、229 ug/ml と決定された。
【0151】ヒト染色体3上のアルファサテライト動原
体反復に対し特異的なプローブ.インビトロDNA増幅
は、ブルースクライブ プラスミド ライブラリーから C
sClグラジエント分離されたほゞ80 ngのDNAを使用し
て、反応混合物200 ul当たり増幅テンプレートと同様な
染色体3(pBS3)(400 ng/ul)を得るために行われた。反応
緩衝液は、ビオチン-11-dUTPの代わりにdTTPを用いたこ
とを除き、上記の染色体17動原体-特異的プローブの用
意のために使用したものと同じであった。
【0152】PCRは 自動サーマル サイクラー[Perkin-
Elmer/Cetus, Norwalk, CT (USA)]を用いて30サイクル
の間行われた。DNAテンプレートは94℃で1分間(最初の
サイクルの間は1分30秒)変性された。プライマーのア
ニーリング 及びエクステンションは、それぞれ53℃及
び72℃で行われた。プローブのビオチン化及びその上の
増幅は、dTTPがない0.25 mMのビオチン-11-dUMP[Sigma
St. Louis, MO (USA)]及び10ユニットのTaqポリメラ
ーゼ[Weier et al., J. Histochem. Cytochem.,38: 42
1-426 (1991)]を含む200 ulの反応混合物に、5 ulアリ
コートの生成物を加えることにより、第2の反応でなさ
れた。増幅/ビオチン化反応は追加の20 PCRサイクルの
間行われた。変性アルファ サテライトDNAの増幅は、pH
8.0で 0.5ug/mlのエチジウム ブロミドを含む40 mMの
トリス-アセテート,1 mMのEDTA緩衝液、中の1.8%または
4%アガロース(BRL)の何れか内での 10 ulアリコートのP
CR反応のゲル電気泳動により目視で確認された。 PCRの
完了後、標識プローブ及び増幅DNAは-18℃で貯えられ
た。
【0153】染色体3アルファ サテライト動原体-特異
的反復性プローブ. パルファ3-5(palpha 3-5)と呼
ばれる他の染色体3動原体-特異的プローブが、ハンチン
トン ウイラード博士(Huntington Willard, Ph.D.)
[Department of Genetics, Stanford University Scho
ol of Medicine, Stanford, CA (USA)]から得られた。
そのプローブはパリにおける第9回国際ヒト遺伝子マ
ッピング研究会(the NinthInternational Workshop on
Human Gene Mapping)[Cytogenet, Cell Genet.,46
(1-4): 424, 564 and 712 (1987), and 51 (1-4): 111
(1989)]で述べられ、 同様なプローブがウエイ及びウ
イラード(Way and Willard, Chromosoma (Berl), 97:
475-480 (1989))により述べられた。パルファ3-5プロ
ーブは以下に述べる実験で、使用のために従来の方法論
に従って、AAFで標識された。
【0154】3pコスミド プローブ. cCI3-787と呼ば
れる3pコスミド プローブは、ナカムラ ユウスケ博士
(Yusuke Nakamura, MD, Ph.D.)[Division of bioche
mistry,Cancer Institute, Toshima, Tokyo, 170, Japa
n]から得られた。3p21.2-p21.2に対するその分離及び
マッピングはヤマカワ他(Yamakawa et al., Genomics,
9(3): 536-543 (1991))により述べられた。そのプロー
ブは増幅され、ジョンソン及びサウンダース他(Johnso
n, Genomics, 6: 243-251 (1990) and Saunderset al.,
Nuc. Acids. Res., 17 (22): 9027-9037 (1989))によ
り述べられたPCRリンカー/アダプター法に従って、ビ
オチンで標識された。
【0155】3qコスミド プローブ. J14R1A12と呼ば
れる3qコスミド プローブは、ウエン-リン クオ(Wen-L
in Kuo)[Biomedical Department, P.O. Box 5507 (L-
452),Lawrence Livermore National Laboratory, Liver
more, CA 94550 (USA)]により開発され用意された。そ
れは従来の方法により用意された、染色体21のフローソ
ートされたライブラリーから得られた。 それは染色体3
のイデオグラムに対するプローブのフラクション長の推
論を用いて、位置3q26にマッピングされた。それはバイ
オ ニックTM ラベリング システム(Bio NickTM Labeli
ng System)[BRL Life Technologies, Inc. Gaithersb
urg, MD (USA)]を用いてビオチン-dUTPで標識された。
【0156】複合的全染色体3-特異的プローブ. ひ
とつの全染色体3に特異的なプローブは、ピンケル他(Pi
nkel et al., PNAS (USA),85: 9138-9142 (Dec. 198
8))に従って用意れてpBS3と名付けられたブルースクラ
イブ プラスミドである。
【0157】細胞標本. 次の例には、PHA刺激された正
常な末梢血液リンパ細胞、RMUG-S及びRMUG-Lと名付けら
れシロー ノザワ博士(Shiro Nozawa, MD, PH.D. (Depa
rtment of Obstetrics/Gynecology, School of Medicin
e, Keio University, 35 Sinano-machi, Shijuku-ku, 1
60, Japan))により用意され、サカヨリ他(Sakayoriet
al., Human Cel, 3(1): 52-56 (1990))により記載さ
れた2つの卵巣癌細胞系、及びTMCC-1と名付けられサカ
モト(Sakamoto, J. Tokyo Med. College, 46(5): 925-
936 (1988))に記載された子宮頚管アデノ癌細胞系が使
用された。RMUG-Sは二倍体以下の癌細胞系であり、一方
RMUG-Lは三倍体以上の癌細胞系である。両系とも同一臨
床検体からクローンされた。
【0158】インシトゥハイブリダイゼーション及び染
. 図11、12及び13に示すハイブリダイゼーシ
ョンを生じたプロトコルは、図11ではハイブリダイゼ
ーション混合物が5ugの非標識胎盤DNAの代わりに5ugの
ニシン精子DNAを含みインシトゥハイブリダイゼーショ
ン直前における変性プローブの再アニーリングがなされ
ていないこと、及び図12ではハイブリダイゼーション
混合物が少量、はっきり言って0.5ugの非標識ヒト胎盤D
NAを含んでいることを除き、第VI章で使用したものと同
じである。
【0159】図14及び15に示された結果に対して
は、ハイブリダイゼーションのプロトコルは、ハイブリ
ダイゼーション前にスライドが100 ug/mlのRNaseで30分
間37℃で前処理され、次いで1 ug/mlのプロティナーゼk
で7.5分間37℃で処理されたという点で、第VI章に詳述
したものと異なっている。ハイブリダイゼーション混合
物は、1 ulのビオチン化された3pコスミド(PCR産物は二
度蒸留精製された脱イオン水で1:10に希釈されている)
または30 ng - 40 ngの3qコスミド、AAFで標識された2
ngの染色体3サテライト動原体-特異的プローブ(パルフ
ァ 3-5)、5 ug - 10 ug の非標識ヒト胎盤DNA、及び7.0
ulのマスター ミックス[1 g のデキストラン硫酸及び
1 mlの20×SSC(脱イオン二度蒸留精製水を用いて用意
された)が加えられた5 mlのホルムアミドよりなる]よ
りなり、そのpHは1NのHClで7.0に調整され、最終容積は
脱イオン二度蒸留精製水で7 mlに仕上げられた。このマ
スター混合物は-20℃で無期限に貯蔵される。
【0160】図14及び15に示された結果に対して
は、トラスク及びピンケル(Trask and Pinkel, Method
in Cell Biology, 33: 383-400 (1991))に従って、二
重色染色プロトコルが本質的に行われた。簡単に言え
ば、スライドは、洗浄溶液で10分間3回各45℃で、2×SS
Cで10分間45℃で、0.1×SSCで10分間、及び PN緩衝液
(NP-40のパーセンテージは0.1%というよりは0.05%であ
る)で 5分間室温で洗浄された。洗浄溶液は、50%のフ
ォルムアミド:2×SSC(75 mlのフォルムアミド、15 ml
の20×SSC、及び60 mlの脱イオン二度蒸留精製水で、pH
は1 N HClで7.0に調整)よりなるものである。
【0161】スライドは22×22mmのカバーグラスの下で
室温で5分間暗い湿室内で、20 ulのPNM緩衝液で予め固
定された。カバーグラスは取り除かれてPNM緩衝液はス
ライドから排出された。
【0162】20 ulの抗AAFとアビジン-テキサス レッド
(Avidin-Texas Red)の溶液がスライド毎に細胞の領域
に加えられ、次いで22×22mmのカバーグラスで覆われ
た。スライドは暗い湿室内で1時間室温でインキュベー
トされた。 抗AAFとアビジン-テキサス レッドの溶液
は、抗AAFを生産するマウス細胞の上澄液1 mlに 0.25 u
g/ulのアビジン-テキサス レッド(Vector Laboratorie
s, Inc.)8 ulを加えることにより用意された。
【0163】次いでカバーグラスは除かれ、スライドは
PN緩衝液中で3回10分間、それぞれ暗所内で、断続的に
振り動かしながら洗浄された。
【0164】次いで細胞は上述と同様に予め固定され
た。20 ulのヤギ抗マウスFITC とビオチン化された抗ア
ビジン抗体の溶液が各スライド上の細胞領域に加えられ
た。細胞はカバーグラスで覆われ、暗い湿室内で1時間
室温でインキュベートされた。ml当たりの抗体溶液は、
970 ulの抗体希釈緩衝液[IX Dulbecco's PBS (Ca,Mgを
含まず), 0.05%のトゥイーン20, 20%の正常ヤギ血清]
に対する、20 ulのヤギ抗マウスFITC(Cal Taq[Burlin
game, CA (USA)]から、すなわち最終濃度は20 ug/ml)
及び10 ulのビオチン化された濃度0.5 mg/mlの抗アビジ
ン抗体溶液(VectorLaboratories, Inc から、すなわち
最終濃度は5 ug/ml)よりなっていた。
【0165】カバーグラスはスライドから除かれ、次い
でスライドは PN緩衝液中で3回10分間、それぞれ暗所内
で、断続的に振り動かしながら洗浄された。次いで細胞
は上述と同様に予め固定された。
【0166】20 ulのアビジン-テキサス レッド溶液が
スライド毎に細胞の領域に加えられ、次いでカバーグラ
スが当てられた。スライドは次いで暗い湿室内で1時間
室温でインキュベートされた。アビジン-テキサス レッ
ド溶液は1 mlの抗体希釈緩衝液に対し8 ulの0.25ug/ul
アビジン-テキサス レッド(Vector Laboratories, In
c.)よりなっている。
【0167】次いでカバーグラスはスライドから除か
れ、スライドは PN緩衝液中で3回10分間それぞれ暗所内
で洗浄された。抗フェード溶液中の約8ulの 0.8um DAPI
(対比染色)が、ジョンソン及びノグエリア(Johnson
and Nogueria, J. Immunol. Mehtods, 43: 349 (198
1))[10 mlのDulbecco's PBS中の 100 mgのp-フェニレ
ン-ジアミン ジヒドロクロライド(Sigma p1519)、pHは
0.5 Mのカーボネート-ビカーボネート 緩衝液で8に調
整、90 mlのグリセロールを添加、0.22 umで濾過、20℃
で貯蔵]に従って用意され、スライドに加えられた。抗
フェード溶液が乗せられたスライドは暗室内で4℃で貯
蔵可能である。
【0168】結果. 図11Aは正常なリンパ細胞に
対する染色体17動原体-特異的アルファ サテライト プ
ローブのハイブリダイゼーションを示し、そこでは中期
染色体では2個の明るいシグナルが見られ、間期核では
2個の明るいはっきりしたハイブリダイゼーション ド
メインが見える。 図11Bはヒトの卵巣のムチン性嚢
胞腺癌(RMUG-L)に対するそのプローブのハイブリダイゼ
ーションを示し、そこでは中期及び間期の両方において
4個のシグナルが見える。
【0169】これらの例は、本発明の高コンプレキシテ
ィ染色プローブの要素として使用される、染色体17上の
多数の染色体異常の検出のための、染色体-特異的反復
プローブの代表的利用法である。
【0170】図12A及びBは、染色体3(pBS3)に対す
る全染色体複合プローブの、(A)正常なリンパ細胞及び
(B)卵巣癌細胞系(RMUG-L)に対するハイブリダイゼーシ
ョンを示す。図12Aでは2つの正常な染色体3sが見ら
れるのに対し、卵巣癌細胞系(図12B)では4つの染
色体3sが見られ、そのうち2つは損なわれていない染色
体3sよりも明らかに短く、核型における3pの欠失とまさ
に一致するパターンである。
【0171】染色体-特異的組換え体ラムダ ライブラリ
ーは、ナショナル ラボラトリー ジーン ライブラリー
プロジェクト(National Laboratory Gene Library Proj
ect)[Van Dilla et al. (1986),前出]により、全ての
ヒト染色体に対し構成された。その後、これらのライブ
ラリーはブルースクライブ プラスミド ベクター(Strat
agene)にサブクローンされ、全染色体複合プローブがこ
れらのプラスミドから抽出したDNAから産生された[Fus
coe et al., Genomics, 5: 100-109 (1989); Collins e
t al., Genomics 11(4): 997-1006 (1991)]。このよう
な全染色体複合プローブによる染色は、大きな欠失だけ
でなく微細な転座を検出し、また標識染色体の起源を特
定するのに使用できる。
【0172】図1〜9と同様図13A及びBは、腫瘍細
胞の特定の遺伝子のコピー数を計数し、またハイブリダ
イゼーション ドメインのパターンの変化を検出するた
めの座-特異的プローブの使用法の例を提供する。図1
3A及びBは、転座を検出するための座-特異的プローブ
の使用法の代表的例を提供する。上述のように、このよ
うな例は遺伝子座内における遺伝子再配列についての正
確な情報を突き止める第1歩である。これらの研究で採
用された3qコスミド プローブは使用可能な染色体3から
の多数の可能性があるプローブのまさにひとつである
[Yamakawa et al., Genomics 9(3): 536-543 (199
1)]。中期のスプレッドでは、異なる標識を備えたプロ
ーブは、正常な染色体3内でのそれらの順序に従って、正
常とは異なる何らかの染色体異常を検出するために使用
するのがよい。更に、中期スプレッドまたは間期核にお
いて、異なる標識を備えたプローブは、正常な染色体内
でのそれらの位置より、構造的染色体異常、例えば癌細
胞に見られる普通は欠失した病変、を検出するのに使用
される。
【0173】図13A及びBは、染色体3動原体-特異的
アルファ サテライト反復プローブ(プライマーWA1及び
WA2 を用いてPCRプロセスにより産生されるもののひと
つ)及び3qコスミド プローブ(3q26にマッピングされ
たJ14R1A12)の、それぞれ(A)正常なリンパ細胞及び
(B)子宮頚管腺癌細胞系(TMCC-1)に対するハイブリダイ
ゼーションを示す。上述の図の説明に示すように、(A)で
は2対の正常な染色体3sが図示されているのに対し、他
方の染色体に対しては染色体領域3qに特異的な1対のコ
スミド シグナルが転移されているの見出される。
【0174】図14A及び14Bは、それぞれ正常なリ
ンパ細胞、中期スプレッド及び間期核に対する二重色ハ
イブリダイゼーションを示す。図15A及び15Bは卵
巣癌細胞系と同等のハイブリダイゼーションを示す。染
色体3動原体-特異的反復プローブ(ハンチントン ウイ
ラード(Huntington Willard)からのAAF標識されたパル
ファ3-5 )及び3p領域-特異的(3p21.2 p21.1)コスミド
プローブ(cCI3-787)(ビオチン化され、増幅され、リン
カー アダプターPCRで標識された)がこのようなハイブ
リダイゼーションで採用された。200の間期核が各実験
で記録された。
【0175】図14Aでは、正常なリンパ細胞からの染
色体3の像がデジタル蛍光顕微鏡によりデジタル化され、
各染色分体に1個の染色体3動原体-特異的緑色シグナル
及び1個の染色体3p領域-特異的赤色シグナルが見える
ことを示している。
【0176】図14Bでは、従来の蛍光顕微鏡で撮っ
た、正常なリンパ細胞からの間期核の図が、動原体-特異
的プローブに対しては2個の緑がかったハイブリダイゼ
ーション ドメインを、また3pプローブに対しては2個の
赤みがかったドメインを示している。一般的に、ひとつ
の染色体3の両染色分体上の1対のコスミド シグナルが
間期核中の単一のスポットに融合するのが観察された。
【0177】図15Aは部分的中期スプレッドを示し、
ひとつの染色体3は正常なハイブリダイゼーション パタ
ーンを示しているが、他方は3Pの欠失を示している。図
15Bは、間期核において、動原体プローブに対する4
個の大きな緑がかったドメインと3pプローブに対する2
個の小さい赤みがかったハイブリダイゼーションドメイ
ンを示しており、4個の染色体3sのうちの2個が3p欠失
を有している、染色体3の異数体性を教えている。
【0178】正常なリンパ細胞の間期核の86パーセント
は、2個の緑の動原体シグナルと2個の赤い3pコスミド
プローブのシグナルという 正常なパターンを示してい
る。しかしながら、RMUG-S(RMUG-L)細胞の間期核の98
%(94%)は、緑のシグナル(動原体)よりも少ない数の
赤いシグナル(3pコスミド)を示し、それらの細胞系に
おける染色体3pの欠失を示唆している。これらの細胞核
のうち、RMUG-S(RMUG-L)細胞の間期核の53%(52%)
は、3pコスミド シグナルの2つの領域と染色体3動原体
-特異的シグナルの4つのドメインを示している。
【0179】図16及び17は、AAF-標識染色体3動原体
-特異的プローブ(H. Willard より)及びビオチン化さ
れた染色体3qコスミド プローブ(J14R1A12)の 同時的ハ
イブリダイゼーションを示し、そのうち図16では標的
は正常なリンパ細胞の中期スプレッド及び間期核であ
り、図17では標的は卵巣癌細胞系(RMUG-S)からの間
期核である。正常な染色体補体に対するパターンは、2
個の染色体3動原体-特異的緑のシグナル及び1細胞当た
り2対の染色体3qコスミドの赤いシグナルとして、図1
6に示されている。異常なパターンが、4個の染色体3
動原体-特異的緑のシグナル及び4個の染色体3qコスミ
ドの赤いシグナルとして図17に示されており、その細
胞が4個の長いアームの染色体3を含むことを教えてい
る。 図16及び17に示された結果は、3pコスミド シ
グナルに対するドメイン数の研究結果と結合すれば、腫
瘍細胞の間期核における3p欠失の検出の可能性を裏付け
ている。このような方法論は、腫瘍化及び進行の基礎的
研究のための臨床上の腫瘍検体において3p欠失を検出す
るのに、また例えば小細胞肺癌、腎臓細胞癌及び卵巣癌
のような、3p欠失に関連した癌の補助的診断に適用でき
る。
【0180】本発明の以上の実施例の記述は例証および
説明の目的で提示された。それらは網羅的であるとか、
または本発明を開示されたまさにその形態に限定するこ
とを意図するものではなく、上記教示に照らして明らか
に多くの変更や変形が可能である。実施例は本発明の原
理と実際の適用を最もよく説明し、これによりこの技術
に熟練した他の者が本発明を種々の実施例でまた期待さ
れる特定の用途適合した種々の変更と共に最もよく利用
することが可能となるようにするために、選ばれ記述さ
れた。本発明の技術的範囲はここに添付する特許請求の
範囲により定義することが意図されている。ここに引用
された全ての文献は参考文献として取り入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正常および異状な中期スプレッドおよび間期核
における14のRb-1ラムダファージ クローン(Rb-1プロー
ブ)をともなうフルオレセンス インシトゥ ハイブリダ
イゼーション(FISH)を示すもので、染色体13のq−アー
ムの中領域における正常なリンパ球の中期調製物の2対
の明くかつ特異的ハイブリダイゼーションのシグナルを
示す。
【図2】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、染色体13のq−アームの
中領域における正常なリンパ球の中期調製物の2対の明
くかつ特異的ハイブリダイゼーションのシグナルを示
し、かつ13/21の動原体をともなうコハイブリダイゼー
ションを示す。
【図3】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、Rb-1プローブおよび13/2
1動原体特異的反復プローブの両者を使用する中期染色
体のRb-1遺伝子のマッピングのデジタル イメージ分析
を示す。
【図4】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、正常なリンパ球の間期に
2つの明るくかつ特異的ハイブリダイゼーションドメイ
ンを示す。
【図5】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、散発性網膜芽細胞腫の患
者から得た繊維芽細胞細胞系(GMO5877)の中期スプレッ
ドにRb-1プローブと13/21中期特異的反復プローブのコ
ハイブリダイゼーションを示す。無傷の染色体13sはRb-
1および動原体シグナルの両者を示す。ところが、Rb-1
欠失をともなう染色体13sはわずかに短く、かつ動原体
プローブでのみハイブリダイズする。
【図6】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、正常および短い染色体13
の両者を示しているGMO細胞系中期のデジタル イメージ
分析を示す。このなかで、コハイブリダイゼーションは
Rb-1および13/21動原体プローブの両者に効果をもたら
した。
【図7】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、GMO5887細胞系間期に対
するRb-1のハイブリダイゼーションを示す。
【図8】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、臨床上の胸部癌の試料に
対するRb-1のハイブリダイゼーションを示す。
【図9】同フルオレセンス インシトゥ ハイブリダイゼ
ーション(FISH)を示すもので、正常間期に対する二重色
ハイブリダイゼーションのデジタル イメージ分析を示
す。Rb-1プローブの異なって標識された部分、3'(緑)部
分および5'(赤)部分は、正常間期核にハイブリダイズさ
れた。
【図10】正常な抹消血液リンパ球および繊維芽細胞の
間期(A)、13qのRb-1を含む細胞遺伝学的に定義された
欠失をともなう2つの細胞系(B)におけるRb-1遺伝子ハ
イブリダイゼーション シグナルの分布を示す。結果は3
-5の異なったハイブリダイゼーション実験の平均(mean
+S.D.)を示す。少なくとも150の核が各スライドから得
られた。
【図11】染色体17の動原体−特異的アルファ サテラ
イト プローブをともなうFISHを示すもので、Aは正常
なリンパ球に対するハイブリダイゼーションを示し、そ
のなかで中期染色体においては2つの染色体17の動原体
−特異的光輝シグナルが見られ、また間期核においては
対応する光輝でかつ密着したハイブリダイゼーション領
域が認識できる。Bは卵巣癌細胞系に対するハイブリダ
イゼーションを示しており、そのなかで中期および間期
において染色体17の異数体を包含する4つのシグナルが
認識される。
【図12】染色体3のための全染色体混成プローブをと
もなうFISHを示すもので、Aは正常なリンパ球に対する
ハイブリダイゼーションを示し、そのなかで染色体3の
全ボデーはフルオレセイン イソチオシアネート(FITC)
で均一に着色された。また、Bは卵巣癌細胞系(RMUG-L)
に対するハイブリダイゼーションを示し、そのなかで4
つの染色体3sはFITCで特異的に染色され、また4つのう
ちの2つ(短い矢印)は無傷の染色体3s(長い矢印)よ
りも明らかに短い。より短い染色体は3p欠失をともなう
染色体に対応するものと考えられる。
【図13】ポリメラーゼ鎖反応(PCR)により発生した染
色体3の動原体−特異的プローブと、染色体3の座−特異
的コスミドプローブ(デジタル イメージ分析によりch.
3q26にマップされた)で同時に起きるハイブリダイゼ
ーションを示す。Aは正常なリンパ球からの中期スプレ
ッドおよび間期核に対するハイブリダイゼーションを示
し、そのなかで2つの染色体3の動原体−特異的シグナ
ル(短い矢印で示された)と2対の染色体3qのコスミド
シグナル(長い矢印で示された)が中期スプレッドに
おいて明確に確認される。また、そのなかで染色体3の
ための2つの大きなハイブリダイゼーション領域と染色
体3qの座−特異的プローブのための2つの小さなハイ
ブリダイゼーション領域とが間期核において確認され
る。Bは子宮頚腺癌細胞系(TMCC-1)に対するハイブリダ
イゼーションを示し、そのなかで2つの染色体3の動原
体−特異的(短い矢印で示された)および2つの染色体
3qの座−特異的コスミド(長い矢印で示された)のシグ
ナルは中期スプレッドにおいて明確に確認される。それ
故、染色体3qに特異的である一対のコイミドシグナルは
他の染色体に転座されることを発見される。
【図14】正常なリンパ球の中期スプレッド(A)およ
び間期核(B)に対する染色体3の動原体−特異的プロ
ーブ(緑)と3p21にマップされた染色体3の座−特異的
コスミド プローブ(赤)をともなう同時に起きる二重
色ハイブリダイゼーションを示す。
【図15】図14に示されたハイブリダイゼーションに
対応するハイブリダイゼーションを示していて、そのな
かで中期スプレッド(A)および間期核(B)は卵巣癌
細胞系からのものである。Aにおいて、右側にある中期
染色体は明白な3p欠失を示し、それ故左側にある中期染
色体は無傷に思われる。Bにおいて、染色体3の異数体
は4つの緑の動原体の領域を教示している。2つの無傷
の染色体3sは2対の隣接する緑および赤ドットにより示
されている。染色体3sを欠失された2つの3pは2つの緑
の領域によって示されている。
【図16】正常なリンパ球の中期スプレッドおよび間期
核に対するAAF−標識染色体3の動原体−特異的プローブ
(from H. Willard at Stanford)およびビオチン化染色
体3qのコスミド プローブ(J14R1A12;後述のセクション
VIIで記述されたプローブ)の同時に起きるハイブリダイ
ゼーションを示す。正常なパターン、すなわち細胞当り
2つの緑と2対の赤のシグナルが示される。
【図17】間期核が卵巣癌細胞系(RMUG-S)からのもので
ある点を除き、図16に示されたハイブリダイゼーショ
ンと比較できるハイブリダイゼーションを示す。異状な
パターン、すなわち核が染色体3の4つの長いアームを
含むことを示している、4つの染色体3の動原体の緑シ
グナルおよび4つの染色体3qのコスミドの赤シグナルが
示されている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ク゛レイ シ゛ョー タ゛フ゛リュー. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94550 リハ゛ーモア ロミタスアヘ゛ニ ュー 1760 (72)発明者 ヒ゜ンケル タ゛ニエル アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94595 ウオルナットクリーク マンサ゛ ニタコート 31 (72)発明者 カリオニエミ オリ−ヘ゜ッカ フィンラント゛ タンヘ゜レ SF−333 −00 ラルシ゛ャンクシ゛ャ 4 (72)発明者 カリオニエミ アン フィンラント゛ タンヘ゜レ SF−333 −00 ラルシ゛ャンクシ゛ャ 4 (72)発明者 坂本 優 日本国 東京都 新宿区 西新宿 4−1 −10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高コンプレキシティ核酸プローブを使用す
    る核酸配列を基礎とした標的染色体物質を染色する方法
    であり、当該方法において形成された染色パターンは染
    色体3,13および/または染色体17を含む1または複数の
    遺伝子再配列の存否を示す染色方法。
  2. 【請求項2】請求項1の染色方法おいて、1または複数
    の遺伝子再配列は癌に関連し、かつ標的染色体物質は1
    または複数の中期および/または間期染色体であるか、
    またはそれらの1または複数の領域である染色方法。
  3. 【請求項3】請求項1の染色方法において、1または複
    数の遺伝子再配列は転座、逆位、挿入、異性体性、増幅
    および欠失からなる群から選ばれる染色方法。
  4. 【請求項4】請求項2の染色方法において、癌は網膜芽
    細胞腫、骨肉腫、肺癌、胸部癌、腎細胞癌、卵巣癌およ
    び/または子宮癌からなる群から選ばれる染色方法。
  5. 【請求項5】請求項4の染色方法において、遺伝子再配
    列は網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子内の13q欠失
    であり、癌は網膜芽細胞腫、小細胞肺癌および胸部癌か
    らなる群から選ばれる染色方法。
  6. 【請求項6】請求項1の染色方法において、高コンプレ
    キシティ核酸の1成分は対照プローブである染色方法。
  7. 【請求項7】請求項6の染色方法において、対照プロー
    ブは動原体−特異的アルファ サテライト プローブであ
    る染色方法。
  8. 【請求項8】請求項4の染色方法において、遺伝子再配
    列は3q欠失であり、関連する癌は小細胞肺癌、腎細胞
    癌、子宮癌および卵巣癌からなる群から選ばれる染色方
    法。
  9. 【請求項9】ヒトにおける網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサ
    ー遺伝子、染色体3および/または染色体17に関連する
    1または複数の遺伝子再配列の検出のための高コンプレ
    キシティ核酸プローブ。
  10. 【請求項10】下記a〜cのステップからなる、ヒトに
    おける網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子、染色体3
    および/または染色体17に関連する遺伝子再配列を検出
    する方法。 a.請求項9のプローブを標的染色体物質にハイブリダ
    イズすること; b.前記プローブからのシグナルの近接度および/また
    は他の特性を観察および/または測定すること; c.ステップbで得られた観察および/または測定から
    1または複数の遺伝子再配列が存在するか否かを決定す
    ること。
  11. 【請求項11】下記のプロセスにより生成される、ヒト
    における網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝子、染色体
    3および/または染色体17に関連する1または複数の遺
    伝子再配列を示す染色パターンを提供する染色体-特異
    的染色試薬。染色体3,13および/または17からなる群
    から選ばれた染色体−特異的DNAを分離すること;分離
    された染色体−特異的DNAのピースを増幅すること;染
    色体3,13および17の標的染色体DNAに支配的にハイブリ
    ダイズする核酸フラグメントの集合体を形成する分離DN
    Aの増幅ピースに含まれる共有された反復配列のハイブ
    リダイズ能力を無能化および/または同反復配列を除去
    すること;核酸フラグメントの不均一混合物を形成すべ
    く集合体の核酸フラグメントを標識すること;
  12. 【請求項12】請求項11の試薬において、分離DNAの
    ピースを増幅する前記ステップはポリメラーゼ鎖反応(P
    CR)を使用することにより遂行される染色体−特異的染
    色試薬。
  13. 【請求項13】デジタル イメージ 分析に関連して遂行
    される請求項1に記載の染色方法。
  14. 【請求項14】高コンプレキシティ核酸プローブを使用
    する核酸配列を基礎とした標的染色体物質を染色する方
    法であり、当該方法において形成された染色パターンは
    腫瘍サプレッサー遺伝子に関連する1または複数の遺伝
    子再配列を示す染色方法。
  15. 【請求項15】請求項14の染色方法において、腫瘍サ
    プレッサー遺伝子は網膜芽細胞腫腫瘍サプレッサー遺伝
    子であるか、または染色体3のpアームに位置し、遺伝
    子再配列が欠失である染色方法。
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