JPH0636804Y2

JPH0636804Y2 - Ｘ線透過型患者支持体

Info

Publication number: JPH0636804Y2
Application number: JP149790U
Authority: JP
Inventors: 健太郎神野
Original assignee: 健太郎神野; 三菱化成株式会社
Priority date: 1990-01-11
Filing date: 1990-01-11
Publication date: 1994-09-28
Anticipated expiration: 2004-09-28
Also published as: JPH0394206U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案はＸ線透過型患者支持体に関するものであり、詳
しくは、患者（被検査者）に不快感を与えないように、
加温可能にすると共にＸ線透過の妨害がなく、しかも、
加温により反りの問題もないＸ線透過型患者支持体に関
するものである。

ここに、Ｘ線透過型患者支持体とは、Ｘ線透過を伴う各
種の患者支持体を意味し、（移動型）横臥用または立体
用Ｘ線撮影台本体上に載置または固定し、その上に患者
を寝かせ又はそれに接して立たせてＸ線撮影を行う際に
使用されるＸ線撮影台を初めとし、その他、Ｘ線透視台
やＸ線CT、ラジオアイソトープ、ポジトロンCT或いはエ
ミッションCT等の各検査ベッド又はＸ線透過を伴う手術
台、処置ベッド或いは内視鏡ベッド等を含む概念であ
る。

〔従来技術〕

例えば、Ｘ線撮影は、横臥式の場合、Ｘ線撮影台本体の
Ｘ線透過検査面上に患者を寝かせて行われるが、患者
は、衣服を脱いで又は薄着で横たわる必要があり、検査
面の低い温度のため、冷たく感じて不快感・苦痛を余儀
なくされていた。

従来、上記問題を解消するために、面状電気発熱体を内
蔵させた保温マットを検査面に敷くことがなされてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の温熱マットでは、面状電気発熱体の外周の絶縁層
が破損して外部に洩電したとき、患者にショックを与え
安全上問題がある。また、患者の姿勢やＸ線撮影台の移
動によりマットがズレて皺となり、Ｘ線像に影響を与え
る。特に、撮影台が動くものではマットが滑り易く、身
体の姿勢が不安定となり、撮影台から落ちて傷をするこ
とがある。また、撮影台上のマットが動くため、患者が
独力で撮影しようとする姿勢に変えることが容易ではな
い。

本考案の課題は、これらの欠点を解消し、温度が低くて
冷たいことによる不快感・苦痛を解消し、安全で且つＸ
線像に影響を与えること等がなく、使い易いＸ線透過型
患者支持体を提供せんとすることにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するための本考案の要旨は、面状電気発
熱体（１）の外周に電気絶縁層（２）を介してアースさ
れた導電体層（３）を被覆してなるＸ線透過型患者支持
体において、前記面状電気発熱体（１）を炭素素材で構
成し、前記電気絶縁層（２）を芳香族ポリアミド素材で
構成し、前記導電体層（３）をＸ線良透過性素材で構成
してなることを特徴とするＸ線透過型患者支持体に存す
る。

〔作用〕（１）本考案において面状電気発熱体および電気絶縁層
として用いられる炭素素材および芳香族ポリアミド素材
は、いずれも、Ｘ線良透過性（Ｘ線吸収が少ない）であ
り、Ｘ線像に影響を与えない。また、両素材は、共に熱
膨脹係数が小さいため、電気絶縁層で被覆された面状電
気発熱体の反りを防止する。

（２）アースされた導電体は、面状電気発熱体の外周の
絶縁層が破損し洩電した際に、該洩電電流をアースに流
して患者には電気的ショックを与えない。更に、該導電
体は、面状電気発熱体からの電気ノイズの発生を防ぎ、
ハートモニター等の周辺装置、Ｘ線装置、Ｘ線像に影響
を与えない。

（３）導電体層の外周に被覆して設けられたＸ線良透過
性電気絶縁層は、面状電気発熱体の絶縁性を一層高くす
る。

（４）面状電気発熱体の下部に設けられた断熱層は、電
気効率を高める。

（５）面状電気発熱体の対向する周縁部に設けられた給
電線は、Ｘ線良透過性材料で構成されており、当該給電
線部分はＸ線像に写り難い。

（６）面状電気発熱体の直流電源は、周辺装置、Ｘ線装
置、Ｘ線像に与える電気的ノイズを小さくする。

〔実施例〕

以下、Ｘ線撮影台を対象とし、本考案の実施例を添付図
面に従って詳細に説明するが、本考案はその要旨を越え
ない限り以下の実施例に限定されるものではない。

第１図は、本考案に係るＸ線撮影台の一部断面説明図、
第２図および第３図は、他の例の一部断面説明図、第４
図は、第１図に示すＸ線撮影台の要部の一部切欠平面
図、第５図は、第１図に示すＸ線撮影台を横臥用に使用
した状態を示す斜視図、第６図は、同じく立体用に使用
した状態を示す斜視図である。

第１図において、Ｘ線撮影台（Ａ）は、面状電気発熱体
（１）の外周に電気絶縁層（２）を介してアースされた
導電体層（３）を被覆して構成されている。

面状電気発熱体（１）は、カーボンファイバークロスで
構成された0.2mm程の厚みの面状電気発熱体であり、200
w程度の電力で発熱し得る。

面状電気発熱体（１）は、他の炭素素材で構成すること
もでき、その例としては、カーボンファイバーペーパ
ー、カーボンファイバーテープ織物、カーボンファイバ
ープリプレーグ、カーボンファイバーフェルト等の炭素
繊維素材またはカーボンブラックを挙げることができ
る。

電気絶縁層（２）は、デュポン社開発のケブラー繊維
［商品名、構成単位：ポリ（ｐ−フェニレンテレフタル
アミド）］で構成され、0.2mm程の厚みでエポキシ樹脂
により面状電気発熱体（１）を被覆している。

電気絶縁層（２）は、他の芳香族ポリアミド素材で構成
することもでき、その例としては、ノメックス［商品
名、構成単位：ポリ（ｍ−フェニレンイソフタルアミ
ド）］、テイジン開発のHM−50［商品名、構成単位：芳
香族共重合ポリアミド］等を挙げることができる。

導電体層（３）は、エポキシ樹脂をバインダーとする1m
m程の被覆厚みのカーボンプリプレーグで構成されてい
る。

導電体層（３）は、他のＸ線良透過性材料で構成するこ
ともでき、炭素素材またはアルミニウム等を挙げること
ができるが、炭素素材が好ましく、具体的には、面状電
気発熱体（１）の構成素材として説明した上記の各種炭
素繊維素材またはカーボンブラックが好適である。カー
ボンブラックは、エポキシ樹脂等の耐熱性樹脂をマトリ
ックスとする、カーボンブラック分散耐熱樹脂として使
用される。

第２図は、Ｘ線撮影台（Ａ）の他の例を示し、第１図の
示す導電体層（３）の外周に、前記の電気絶縁層（２）
と同様に構成されたケブラー繊維よりなる電気絶縁層
（４）を更に被覆して構成されている。

電気絶縁層（４）は、他のＸ線良透過性材料で、構成す
ることもでき、例えば、その例として、エポキシ樹脂、
ビニールエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙
げることができるが、前記の電気絶縁層（２）と同様
に、芳香族ポリアミド素材で構成するのが好ましい。

第２図に示す実施例のものは、絶縁性がより一層高く、
電気メス等を使用するＸ線透過手術台等としても好適で
ある。

第３図は、Ｘ線撮影台（Ａ）の更に他の例を示し、第１
図に示す導電体層（３）を厚くし、面状電気発熱体
（１）の患者支持面の反対面における下部に、Ｘ線良透
過性断熱層（５）として14mm厚みの発泡ポリウレタンを
設けて構成されている。

断熱層（５）は、他のものでもよく、例えば、発泡ポリ
スチレン等も使用し得る。

第３図に示す実施例のものは、断熱層（５）があるた
め、熱は患者方向のみに移動し、熱効率が良好であると
共に、発泡ポリウレタンのような適切な材料を選定する
ことにより、強度も充分に高められ、また、患者がのっ
たときの衝撃を吸収し得る。

前記面状電気発熱体（１）は、第４図および第５図に示
すように、その対向する周縁部にカーボンファイバーク
ロスで構成された給電線（６）が設けられており、これ
に接続したコードリール（７）を通し、整流回路
（８）、開閉器（９）を介して電源線（10）に接続され
ている。

なお、給電線（６）は、他のＸ線良透過性材料で構成す
ることもでき、例えば、炭素素材またはアルミニウム等
を挙げることができるが、炭素素材が好ましく、具体的
には、面状電気発熱体（１）の構成素材として説明した
上記の各種炭素繊維素材が好適である。

一方、前記導電体層（３）は、洩電検出器（11）を介し
てアース線（12）に接続されている。

また、導電体層（３）の上部端部には、開閉器（９）に
接続する温度制御器（13）が設けられている。

Ｘ線撮影台（Ａ）の加温は、電源線（10）から給電され
る支流100Vまたは200Vの電圧を整流回路（８）にて直流
電圧に変換したのち導電体層（３）に印加することによ
って行われる。

また、Ｘ線撮影台（Ａ）の温度調整は、温度制御器（1
3）に表示された温度を視ながら、該制御器（13）を調
整することにより行われる。

なお、前記の洩電検出器（11）は、安全対策として設け
られたものであり、洩電を検出し、開閉器（９）を作動
させ、面状電気発熱体（１）への給電を遮断させる。

Ｘ線撮影台（Ａ）は、13mm程の厚みのアクリルベース板
（Ｂ）の上に固定され、該アクリルベース板は、第５図
に示すように、Ｘ線撮影台本体（Ｃ）上を水平のXY方向
にスライド可能となされている。なお、Ｘ線撮影台本体
（Ｃ）の内部にはＸ線撮影フィルム、撮影器具等が収納
されている。

第６図に示す実施例は、立位体用Ｘ線撮影台であり、ス
タンド（Ｄ）に設けられた垂直面のＸ線透過検査面に前
述のＸ線撮影台（Ａ）を直接固定して構成している。

以上の実施例では、Ｘ線撮影台を対象として本考案を説
明したが、本考案に係るＸ線透過型患者支持体は、これ
に限定されることなく、Ｘ線透過を伴う患者支持体のす
べてに適用でき、特に、第２図で示した実施例のもの
は、電気メス等を使用する外科的処置の際に用いられる
Ｘ線透過手術台や処置ベッドとして好適である。

また、以上の実施例では、第６図に示した実施例を除
き、アクリルベース板（Ｂ）を用いているが、該ベース
板は、Ｘ線撮影台（Ａ）の厚みを大きくすることにより
省略することもでき、特に、第３図に示した実施例では
省略し得る。また、面状発熱体の電源としては、整流器
を省略し、交流電圧を使用することも可能である。

〔考案の効果〕

以上説明した本考案によれば、温度が低くて冷たいこと
による不快感・苦痛を解消し、安全で且つＸ線像に影響
を与えること等がなく、使い易いＸ線透過型患者支持体
が提案され、特に、本考案に係るＸ線透過型患者支持体
は、面状電気発熱体の発熱により反りが発生することが
ないという特徴を有する。

よって、本考案は、医療分野に寄与するところが大であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、Ｘ線撮影台に適用された本考案に係るＸ線透
過型患者支持体の一部断面説明図、第２図および第３図
は、他の例の一部断面説明図、第４図は、第１図に示す
Ｘ線撮影台の要部の一部切欠平面図、第５図は、第１図
に示すＸ線撮影台を横臥用に使用した状態を示す斜視
図、第６図は、同じく立位用に使用した状態を示す斜視
図である。（Ａ）:X線透過型患者支持体（Ｘ線撮影台）（１）：炭素素材で構成された面状電気発熱体（２）：芳香族ポリアミド素材で構成された電気絶縁層（３）:X線良透過性素材で構成された導電体層（４）:X線良透過性素材で構成された電気絶縁層（５）:X線良透過性素材で構成された断熱層（６）:X線良透過性素材で構成された給電線（12）：アース線

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】面状電気発熱体（１）の外周に電気絶縁層
（２）を介してアースされた導電体層（３）を被覆して
なるＸ線透過型患者支持体において、前記面状電気発熱
体（１）を炭素素材で構成し、前記電気絶縁層（２）を
芳香族ポリアミド素材で構成し、前記導電体層（３）を
Ｘ線良透過性素材で構成してなることを特徴とするＸ線
透過型患者支持体。
【請求項２】導電体層（３）が炭素素材で構成されてい
ることを特徴とする請求項第１項記載のＸ線透過型患者
支持体。
【請求項３】導電体層（３）の外周にＸ線良透過性電気
絶縁層（４）を更に被覆してなることを特徴とする請求
項第１項又は第２項記載のＸ線透過型患者支持体。
【請求項４】Ｘ線良透過性電気絶縁層（４）が芳香族ポ
リアミド素材で構成されていることを特徴とする請求項
第３項記載のＸ線透過型患者支持体。
【請求項５】面状電気発熱体（１）の患者支持面の反対
側における下部に、Ｘ線良透過性断熱層（５）を設けて
なることを特徴とする請求項第１項ないしは第４項のい
ずれかに記載のＸ線透過型患者支持体。
【請求項６】面状電気発熱体（１）の対向する周縁部に
Ｘ線良透過性導電素材で構成された給電線（６）を設け
てなることを特徴とする請求項第１項ないしは第５項の
いずれかに記載のＸ線透過型患者支持体。
【請求項７】給電線（６）が炭素繊維素材で構成されて
いることを特徴とする請求項第６項記載のＸ線透過型患
者支持体。
【請求項８】面状電気発熱体（１）の電源が直流電源で
あることを特徴とする請求項第１項ないしは第７項のい
ずれかに記載のＸ線透過型患者支持体。