JPH0636554Y2 - 磁気テープカセット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は磁気テープカセットに関し、特に、磁気テープ
をカセット前方に引き出して記録再生を行うような構造
を備えた磁気テープカセットに関する。

［従来技術］ 近年、磁気テープを用いて高密度な記録が行われてい
る。この代表的なものに、例えばVHS方式やβ方式の如
き磁気テープカセット（ビデオテープカセット）があ
る。

この種の磁気テープカセットは、通常、磁気テープをカ
セット前方の開口部から引き出して記録再生を行う構造
を備えている。すなわち開口部を開閉する回動自在なガ
ードパネルを有し、このガードパネルがカセット保管時
（不使用時）において開口部を閉じ、又、記録再生時等
においては開動して開口部を開放し、記録再生装置に設
けられたテープ引き出し部材がテープ裏側（非磁性面
側）に入り込んで磁気テープを適宜引き出せるような構
造となっている。

しかし、従来のこの種の磁気テープカセットは、上述の
ガードパネルによって開口部の前面側（磁気テープの磁
性面に対向する側）ならびに上方側は閉じるようになさ
れているが、上記したテープ引き出し部材が挿入される
下面側のマウス部は開放状態のままである。このため、
マウス部から塵埃粒子などが入り易く、カセット保管時
等の取り扱いに際し塵埃の問題はさることながら、手指
等を磁気テープに触れないように配慮しなければならな
かった。これは、ゴミ等によるドロップアウトの増加や
テープ変形による記録再生時の特性低下などの点から見
て好ましくなく、テープ性能を長期にわたって高品質に
保つには問題があった。

また、第４図に示すように従来の磁気テープカセット
（ビデオテープカセット）においては、カセット上下を
逆にして記録再生装置（VTR）のカセットホルダに誤挿
入した場合、ガードパネル5aの中央上縁に形成された凹
部10aと、カセットホルダの挿入ガイド突起とが当接す
ることによって、誤挿入防止を行うように構成されてい
るが、この誤挿入時のガードパネルと挿入ガイド突起と
の当接力が強い場合には、ガードパネル5aが大きく撓
み、これによって、ガードパネル5aの変形や損傷を生じ
ることもあった。又、極端な場合には撓みにより、ガー
ドパネル5aの凹部10aがガイド突起を乗り超えて誤挿入
されてしまうトラブルがあった。なお、カセット挿入が
正常に行われたときには、カセット底面に形成されたガ
イド溝とカセットホルダのガイド突起とが対応してカセ
ット挿入を可能にする。

特に、近年においては、従来以上の高品質な記録再生を
実現すべく種々の研究開発が多方面においてなされてお
り、その一環として上記の如き磁気テープカセット（ビ
デオテープカセット）においても、従来以上の高密度の
記録再生に適応できる構造が切望されている。

このような状況下において、カセット前方の開口部に装
架されている磁気テープに対し、より防塵性が高く且つ
保護機能の高いガードパネルが要求されるが、このよう
な条件を満すガードパネルはその構造が従来以上に複雑
化することは云うまでもない。従って、上述したように
カセット誤挿入によってガードパネルの変形等に基づい
た故障の問題も従来以上の問題としてクローズアップさ
れて来ている。

［考案の目的］ 本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来以
上に防塵性に優れ且つ磁気テープの保護機能にも優れ、
さらに誤挿入防止機能が確実な磁気テープカセットを提
供することを目的とするものである。

［考案の構成］ 本考案の上記目的は、磁気テープが巻回された一対のテ
ープリールを内蔵し、カセット前方の開口部から磁気テ
ープを引き出して記録再生を行い、該開口部を開閉する
ガードパネルが回動するように構成された磁気テープカ
セットにおいて、カセットの誤挿入防止用の凹部が、前
記ガードパネルの上縁でカセット左右端側の少なくとも
一方に形成され、且つカセット上下を逆転して挿入した
とき、カセット底面に形成されたカセット挿入用のガイ
ド溝に対応するカセットホルダ内のガイド突起に略対応
する位置となるように設けられたことを特徴とする磁気
テープカセットにより達成される。

以下、図面に例示した本考案の実施態様について説明す
る。

第１図は本実施態様である磁気テープカセット１を示す
斜視図であり、第２図は第１図のＩ−Ｉ線に沿った断面
図である。

第１図に示す磁気テープカセット１は、磁気テープＴを
巻回した一対のテープリールを上下ハーフケース2,3か
らなるカセットケース内に回転自在に内蔵したもので、
カセット前方の開口部から磁気テープＴを引き出して記
録再生を行うように構成されている。そして、カセット
前方の開口部にはアウターガードパネル５とインナーガ
ードパネル６とが設けられている。上記のアウターガー
ドパネル５とインナーガードパネル６とは後述するよう
に互に適宜係合しており、連動してカセット上方に開動
するように構成されており、例えば第２図に示すような
構造によって連動するようにすることができる。

アウターガードパネル５は従来のビデオテープカセット
の場合と同様に左右両端片８にそれぞれ設けられた回転
軸９により回転自在に保持されており、前面壁７が磁気
テープＴの磁性面（表面）に対向するように構成されて
いる。又、前面壁７の上縁で且つカセット両端側には誤
挿入防止用の凹部10が形成されていると共に、この凹部
10に対応した下縁にはそれぞれ切欠き11が形成されてい
る。

また、インナーガードパネル６は横断面形状が略Ｔ状で
あって、カセット上面側を閉じる上壁12と磁気テープＴ
の非磁性面（裏面）に対向する脚壁13とにより構成され
ており、カセット左右方向の幅は、磁気テープＴをカセ
ット前方に引き出す部材が挿入されるマウス部20とほぼ
同じに構成されている。さらに、脚壁13には例えばその
中段部分に、アウターガードパネル５の内側に突設され
たリブ16に枢着係合する係合リブ14が、下端部分の両端
に、マウス部内壁17に形成されたスライド溝18にスライ
ド自在に受容されたスライド突起15がそれぞれ設けられ
ている。

上記の磁気テープカセット１が記録再生装置（VTR）の
カセットホルダに正しい向きで挿入されると、カセット
ホルダの底面部分に設けられた例えば２つのガイド突起
と、アウターガードパネル５の切欠き11及び該切欠き11
と連通してカセット前後方向に沿ったカセット底面部の
ガイド溝11a（第３図参照）とが一致することにより、
カセット挿入が許容される。ひきつづいて、カセットホ
ルダが下方に移動することにより、アウターガードパネ
ル５がVTR内に設けられた開動部材に係合して第２図に
示す矢印Ａ方向へ回転軸９を中心にして開動する。この
とき、インナーガードパネル６はスライド突起15がスラ
イド溝18に案内されつつアウターガードパネル５に連動
して開動する。従って、磁気テープカセット１の開口部
は開放され、磁気テープＴがカセット前方に引き出され
て記録再生がなされる。

一方、磁気テープカセット１が上下逆向きにカセットホ
ルダに挿入されたときは、この挿入が途中で阻止される
ようになっている。すなわち、カセットホルダに設けた
上述のガイド突起に、磁気テープカセット１の挿入前面
部分が当接することにより、それ以上カセット挿入がで
きないようになされている。

上記誤挿入のときにガイド突起と当接するのは、アウタ
ーガードパネル５の上縁に形成された凹部10であるが、
この凹部10は例えばカセット左右両端でカセット前後方
向に沿った端片８の延長上に形成されているので、凹部
10はカセット前後方向に実効的に厚肉になっていると共
に、アウターガードパネル５を軸支して回転軸９に接近
した位置となっているので、凹部10の深さを十分に大き
くでき、且つ強度は強く構成され、さらに例えば従来の
凹部10aの如くガードパネル5aの中央寄りに設けた場合
に比べて、前面壁７に大きな撓みが生じることがなくな
る。従って、位置精度が向上し、逆挿入防止を確実に行
うことができ、又、前面壁７の撓みによる例えば、両ガ
ードパネル5,6の変形や該変形によって生じる両ガード
パネル5,6間の外れ、さらにはテープを収納するマウス
部20から離れた所に設けることができ、両ガードパネル
5,6の変形等に伴う磁気テープＴの損傷等のトラブルを
回避することができる。又、安全性を考慮すると誤挿入
時にカセットを両サイドの凹部とガイド突起とが当接す
る方がカセットに均等に荷重が加えられカセットが受け
る撓みを軽減できるため望ましい。

上記実施態様においては、インナーガードパネル６を有
する磁気テープカセット１の場合について述べたが、従
来のインナーガードパネルを有しないビデオテープカセ
ットにおいても、誤挿入防止用の凹部をガードパネルの
左右端に設けることにより、誤挿入時のガードパネル変
形をより確実に抑える作用を有するものである。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案による磁気テープカセット
は、VTRの挿入ガイド突起に当接してカセット上下誤挿
入を防止するための凹部が、アウターガードパネルの端
片に近接した端部に設けられた構成であるので、凹部の
部分の強度を強くしたのと同等の効果を得ることができ
るだけでなく、挿入ガイド突起に当接することによるア
ウターガードパネルの撓みがほとんど生じなくなるの
で、防塵性及びテープ保護の機能を向上すべくインナー
ガードパネルを設け、構造が複雑化した２重構造ガード
パネルであっても、誤挿入に伴う故障等の発生しない信
頼性の高い磁気テープカセットを提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施態様を示す磁気テープカセット
の斜視図、第２図は第１図のＩ−Ｉ線に沿った断面図、
第３図は磁気テープカセットの裏面を示す斜視図、第４
図は従来の磁気テープカセットを示す斜視図である。 １……磁気テープカセット、２……上ハーフケース、 ３……下ハーフケース、 ５……アウターガードパネル、 5a……ガードパネル、 ６……インナーガードパネル、 ７……前面壁、８……端片。 ９……回転軸、10,10a……凹部、 11……切欠き、11a……ガイド溝、 12……上壁、13……脚壁、 14……係合リブ、15……スライド突起、 16……リブ、17……マウス部内壁、 18……スライド溝、20……マウス部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープが巻回された一対のテープリー
   ルを内蔵し、カセット前方の開口部から磁気テープを引
   き出して記録再生を行い、該開口部を開閉するガードパ
   ネルが回動するように構成された磁気テープカセットに
   おいて、カセットの誤挿入防止用の凹部が、前記ガード
   パネルの上縁でカセット左右端の少なくとも一方に形成
   され、且つカセット上下を逆転して挿入したとき、カセ
   ット底面に形成されたカセット挿入用のガイド溝に対応
   するカセットホルダ内のガイド突起に略対応する位置と
   なるように設けられたことを特徴とする磁気テープカセ
   ット。