JPH0635510A - ニューラルネットワークを用いたモデル規範型適応制御装置 - Google Patents

ニューラルネットワークを用いたモデル規範型適応制御装置

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JPH0635510A
JPH0635510A JP4187191A JP18719192A JPH0635510A JP H0635510 A JPH0635510 A JP H0635510A JP 4187191 A JP4187191 A JP 4187191A JP 18719192 A JP18719192 A JP 18719192A JP H0635510 A JPH0635510 A JP H0635510A
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plant
neural network
model
error
controller
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JP4187191A
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Akira Kuratsume
亮 倉爪
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、ニューラルネットワークを用いた
モデル規範型適応装置に関し、設計者が制御対象(プラ
ント)の質量等の諸パラメータを正確に知らなくても、
自動的に安定した制御系を構築する。 【構成】 望ましい制御対象(プラント)の挙動を規範
モデルとして表し、実プラントの挙動が、該規範モデル
の挙動と一致するように、内部に設けられた可変パラメ
ータを調整するコントローラを備えた装置において、該
コントローラをニューラルネットワークで構成し、該規
範モデルの挙動と実際のプラントの挙動の誤差(e)に
適当なゲイン(K)を掛け合わせた信号(Δu)を教師
信号として用いる。上記プラントの順モデルを学習さた
ニューラルネットワークを設け、該ニューラルネットワ
ークの出力側に、上記の誤差(e)を入力し、一般化デ
ルタルールを用いて、該誤差(e)を逆に伝播させるこ
とにより、該プラントの入力誤差(Δu)を求め、この
入力誤差(Δu)を上記ニューラルネットワークコント
ローラの教師信号として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、階層型ニューラルネッ
トワークを用いた制御装置に関する。近年、コンピュー
タの情報処理能力が高度化するにつれ、その情報処理機
能を人間の頭脳活動に近付けたいという要求が高まって
おり、その有望な手段の1つとして脳の情報処理機能を
模倣したニューラルネットワークが注目されている。
【0002】このニューラルネットワークを用いると、
従来のノイマン型コンピュータでは困難であった柔軟な
情報処理を行なうことが可能になることが知られてお
り、特に階層型ニューラルネットワークは、その特徴で
ある学習能力や, 汎化能力を利用して、ロボット制御や
知的情報処理など様々な分野での応用例が報告されてい
る。
【0003】然して、不安定プラントの安定化制御方法
として、従来から「最適フィードバック制御」が知られ
ているが、設計者は、該制御対象 (以降、プラントとい
う)の質量等の諸パラメータを正確に知る必要があり、
多くの時間と労力を必要とする。
【0004】又、該プラントの特性が時間と共に変化す
る場合には、通常の最適フィードバック制御では対処で
きない問題があり、効果的に、安定した制御系を構築す
ることができる制御方法が要求される。
【0005】
【従来の技術】図12は、従来の最適フィードバック制
御システムの構成例を示した図であり、図13は、従来
のモデル規範型適応制御装置の構成例を示した図であ
り、図14は、最適フィードバック制御で使用されてい
る制御式を示した図である。
【0006】従来、不安定プラントの安定化制御問題に
対して一般に用いられる方法に、図12に示す「最適フ
ィードバック制御」がある。該「最適フィードバック制
御」については、例えば、「“制御システム設計",金井
喜美雄著, 槇書店,1982,8,20, 第1版,第3章“最適レ
ギュレータの設計",P59 〜P89 」に詳しく説明されてい
るが、要約すると、以下のようにな制御手法である。
【0007】図12に示した最適フィードバック制御シ
ステムでは、プラント(Plant:以下、略)1 の出力Yが
外乱その他の要因により、出力平衡点Yd=0から変動した
際、該プラント 1の内部状態xをフィードバックして、
該出力平衡点Yd=0との誤差eに対して、固定ゲインKを
掛けたものをuとし、該uを該プラント 1に入力するこ
とで、該出力Yを出力平衡点Yd=0に安定に戻すことがで
きるように制御するシステムである。
【0008】即ち、一般に状態方程式が、図14(1),
(2) 式で示した線形微分方程式で表されるプラント{こ
こで、ドットx(t) は、微分x(t) を示し、該プラント
の内部状態を示しており、y(t) が、該プラントの出力
を示している}において、図14(3) 式に示した評価関
数 (ただし、Q,Rは適当な対称準正定行列) を最小に
するような制御入力uを、図14(4) 式に示したように
選ぶことにより、外乱やその他の要因によって、上記状
態変数が平衡状態から変動した場合にも、制御対象をも
との状態に安定して戻すことができるものである。ただ
し,フィードバック(誤差帰還制御)ゲインKは、図1
4(5) 式を満足するものである。又、正定対称な行列P
は、図14(6) 式に示した、リカッチ(Riccati) 行列方
程式の解である。
【0009】本手法を用いると、設計者は比較的簡単に
安定な制御系を設計することができるため、現在でも多
くのプラント安定化問題に対して実際に利用されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、該最適フィー
ドバック制御には、次のような問題があることが知られ
ている。
【0011】1) 設計者は、制御対象の質量等諸パラメ
ータ{上記の(1),(2) 式での、係数A〜C}を正確に知
る必要があるが、多くの場合、これらの値を正確に測定
するのには多くの時間と労力を要する。又、制御対象の
特性が時間とともに変化する場合には、通常の最適フィ
ードバック制御では対処できない。
【0012】2) 図14において、(3) 式で表される評
価関数の最適性が、必ずしも工学的に最適であるとは限
らない。 3) 図14(4),(5) 式で示したフィードバック係数K
が、図14(6) 式からも明らかなように、Q,Rの値に
よって決定されるため、システムの最適な挙動という立
場から、該フィードバック係数Kを決めることが難し
い。
【0013】即ち、システムの立ち上がり時間や行き過
ぎ量をQ,Rの形で表現するのは困難である。換言すれ
ば、上記図14(3) 式で示したの評価関数には、立ち上
がり時間等の関数が入っていない為、実際にプラント 1
を動作させてみないと、該Q,Rを決定することができ
ないことによる。
【0014】4) 一般のシステムは、非線形微分方程式
で記述される場合が多く、最適フィードバック制御則を
用いる場合には何らかの方法でシステムを線形化しなけ
ればならない。
【0015】このため、現在、大部分のプラントでは、
制御目標近傍で非線形方程式を線形化し、近似的に最適
フィードバック制御を行なっている。このため、内部状
態が制御目標から大きく離れた場合には、制御性能が低
下し、発散など不安定状態に陥る場合がある。
【0016】そこで、近年、これらの問題を解決するた
めに、制御パラメータや制御則をオンラインで変化さ
せ、制御システムの性能を常に最適な状態にする「適応
制御法」が提案されている。この適応制御法はこれまで
に様々な方法が考えられているが、現在、設計理論とし
て体系が整い、制御系として実用段階に至っているの
は、「モデル規範型適応制御(Model Reference Adaptiv
e Control)」(図13参照)である。
【0017】該「モデル規範型適応制御(Model Referen
ce Adaptive Control)」については、例えば、前述の
「“制御システム設計",金井喜美雄著, 槇書店,1982,8,
20, 第1版,第6章“適応制御システムの設計",P152〜
P250」に詳しいが、要約すると、以下のような制御方法
をとる。
【0018】即ち、該モデル規範型適応制御は、図13
に示したように、望ましいプラントの挙動を「規範モデ
ル」として表し、実プラント 1の挙動がこの規範モデル
(Reference Model) 3 の挙動と一致するように、該規範
モデル(Reference Model) 3の出力と、プラント 1の出
力との誤差eを、適応制御部(Adaptive Controller)4
に入力して、適当なゲインを得たものを、フィードバッ
ク(誤差帰還制御)コントローラ(Controller) 2のゲイ
ン制御に利用して、該誤差eが最小になるようにゲイン
を調整するものである。
【0019】ところで、通常の制御プラント 1の運動方
程式は、高次の非線形微分方程式で表される場合が多
い。しかし、規範モデル 3を図14(1),(2) 式のような
線形システムで表す場合、非線形なプラント 1を、この
線形モデルで同定するには、制御系に何らかの非線形要
素を組み込み、プラント 1の非線形性を補償しなければ
ならない。
【0020】ところが、上記の如き、モデル規範型適応
制御システムは、制御プラント 1に対して、線形フィー
ドバック(誤差帰還制御)系のコントローラ(Controlle
r) 2を構築し、そのゲインをプラント 1の応答を利用し
て調節するという考えに基づくものであるから、このま
まの形で非線形プラント 1の制御に適用するには、本質
的に問題がある。
【0021】本発明は上記従来の欠点に鑑み、設計者が
制御対象(プラント)の質量等の諸パラメータを正確に
知らなくても、自動的に安定した制御系を構築すること
ができるモデル規範型適応制御装置を提供することを目
的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】図1〜図3は、本発明の
原理説明図であり、図1は、比例ゲインを用いたニュー
ラルネットワークモデル規範型適応制御システムの構成
例を示した図であり、図2は、プラント順モデルを用い
たニューラルネットワークモデル規範型適応制御システ
ムの構成例を示した図であり、図3は、各制御系を表す
制御式を示している。上記の問題点は下記の如くに構成
したニューラルネットワークを用いたモデル規範型適応
制御システムによって解決される。
【0023】即ち、本発明のモデル規範型適応制御シス
テムは、従来のモデル規範型適応制御システムとニュー
ラルネットワークを組み合わせることにより、制御対象
(プラント)が強い非線形性を持つような場合でも安定
したプラント制御を可能にするものである。
【0024】(1) 望ましい制御対象(プラント) 1 の挙
動を規範モデル 3として表し、実プラント 1の挙動が、
該規範モデル 3の挙動と一致するように、例えば、フィ
ードバック(誤差帰還制御)のゲインを調整するコント
ローラ 2を備えた装置において、該フィードバック(誤
差帰還制御)コントローラ 2をニューラルネットワーク
2a で構成し、該規範モデル 3の挙動と実際のプラント
1の挙動の誤差(e)に適当なゲイン(K)を掛け合わ
せた信号(Δu)を教師信号として用いるように構成す
る。
【0025】(2) 望ましい制御対象(プラント) 1 の挙
動を規範モデル 3として表し、実プラント 1の挙動が、
該規範モデル 3の挙動と一致するように、フィードバッ
ク(誤差帰還制御)のゲインを調整するコントローラ 2
を備えた装置において、該フィードバック(誤差帰還制
御)コントローラ 2をニューラルネットネットワーク 2
a で構成し、該プラント 1の順モデルを学習さたニュー
ラルネットワーク 5を設け、該ニューラルネットワーク
5の出力側に、上記の誤差(e)を入力し、一般化デル
タルールを用いて、該誤差(e)を逆に伝播させること
により、該プラント 1の入力誤差 (Δu) を求め、この
入力誤差 (Δu) を上記ニューラルネットワークコント
ローラ 2a の教師信号として用いるように構成する。
【0026】
【作用】図1〜図3は本発明の原理説明図である。この
ように、階層型ニューラルネットワーク 2a の持つ学習
能力と非線形写像性を利用し、階層型ニューラルネット
ワークコントローラと従来の適応制御系を組み合わせる
ことにより、諸パラメータ{例えば、前述の図14(1),
(2) 式の係数A〜Cに対応}が未知な非線形なプラント
に対しても、安定した制御系を構築することが可能とな
る。なお、本手法で使用するニューラルネットワーク
は、プラント 1の制御系の状態変数x(t) と規範モデル
への入力 Yd=0 を入力とし、出力をプラント 1への制御
入力uとする階層型ニューラルネットワークである。
【0027】先ず、実プラント 1が、図3(7) 式の非線
形状態方程式で表されている場合を考える。又、望まし
いプラント 1の挙動を規範モデル 2として、図3(8) 式
の線形状態方程式で表す。
【0028】ただし、Am , Bm ,Cm は設計者によっ
て与えられる既知定数行列であり、Am , Cm は安定行
列であるとする。ここで、図3(9) 式で示した状態誤差
ベクトルe(t) を定義する。
【0029】該図1に示すニューラルネットワーク 2a
を用いたモデル規範型適応制御系では、上記図3(9) 式
で表された状態誤差ベクトルe(t) を小さくするよう
に、ニューラルネットワーク 2a の出力値uをu+Δu
とする。
【0030】但し、該Δuは、図3(10)式に示したΔu
であって、適応制御部(Adaptive Controller) 4 に上記
状態誤差ベクトルe(t) を入力して、固定ゲインKによ
って各項がKP,v 倍されたものである。
【0031】該固定ゲインによって、該状態誤差ベクト
ルe(t) をK倍したΔuを、該ニューラルネットワーク
2a の教師信号とすることにより、実プラント 1に対し
てu+Δuが入力される。
【0032】この場合、若し、該実プラント 1の出力y
(t) が大きくなることにより、該状態誤差ベクトルe
(t) が小さくなる場合には、該Kを正の適当な値とする
ことにより、該プラント 1を安定に制御することができ
る。
【0033】又、該実プラント 1の出力y(t) が小さく
なることにより、該状態誤差ベクトルe(t) が小さくな
る場合には、該Kを負の適当な値とすることにより、該
プラント 1を安定に制御することができる。
【0034】このように、図1に示した比例ゲインKを
用いたニューラルネットワークモデル規範適応制御シス
テムでは、該適応制御部(Adaptive Controller) 4 の比
例ゲインKをプラント 1の実態に合わせて調整する必要
があるが、該比例ゲインを適当に選ぶことにより、該プ
ラント 1の挙動が非線形であっても、安定に制御するこ
とができる。
【0035】次に、図2に示すモデル規範型適応制御系
について説明する。先ず、制御対象(プラント) 1 のダ
イナミクス(入出力関係)が、図3(11)式で表される場
合を考える。
【0036】ただし、u(t) はプラント 1への入力であ
り、x(t)はプラント 1の状態変数ベクトルである。この
モデルでは、事前に、多層ニューラルネットワーク等を
用い、プラント 1の入出力をモニタして、該プラント 1
の順ダイナミクスモデル 5を作る。この場合の該プラン
ト 1の順ダイナミクスモデル 5の入出力関係は図3(12)
式で表される。
【0037】これは、図2において、点線で示したよう
に、プラント 1に対する入力uを入力としたニューラル
ネットワーク 5を設け、その出力と、該プラント 1の出
力を教師信号とし、その誤差e{図3(9) 式に示す}が
最小になるように学習させることで、該プラント 1の順
ダイナミクスモデル 5を生成することができる。
【0038】次に、図3(9) 式で表された誤差ベクトル
eの自乗{図3(13)式参照}したものに最急降下法を適
用して誤差を最小にするため、これをニューラルネット
コントローラ 5の結合荷重wで微分する{図3(14)式参
照}。
【0039】ここで、制御対象の入力uを変化させた時
のプラントの出力f(u) の変化を知る必要があるが、こ
こでは、該プラント 1の出力f(u) を、プラント 1の順
モデル 5の出力 (プラント 1のコピー出力) 〜f(u) で
置き換え、プラント順モデル5に対して、公知の一般化
デルタルールを適用し、これを計算することにする。
{図3(12)式参照} 該一般化デルタルールについては、例えば、「“PDP
モデル(認知科学とニューロン回路網の探索),D.E.ラメ
ルハート,J.L. マクレランド,PDPリサーチグループ共
著, 甘利俊一監訳, 第8章,“誤差伝播による内部表現
の学習", "一般化デルタルール",P325〜P331」に詳しい
が、一言でいえば、ニューラルネットワーク 5の出力側
に、上記誤差eを入力して、逆に伝播させることによ
り、該誤差e最小にする為の入力Δuを求めるというも
のである。
【0040】従って、該Δuを、ニューラルネットワー
ク 2a の教師信号と、その出力u+Δuをプラント 1に
入力することにより、プラント 1の出力を、規範モデル
3との誤差eを極小にして、該プラント 1の出力を規範
モデル 3の出力に合わせることができ、該プラント 1の
挙動関数の如何に関わらず、安定に制御することができ
るようになる。
【0041】これまでに説明した2つの方法とも、これ
らの学習を各サンプリング時間毎に行なうことにより、
ニューラルネットワークコントローラ 2a は、実プラン
ト 1の応答を規範モデル 3に一致させる非線形制御系を
獲得することができる。
【0042】このニューラルネットワークコントローラ
2a を用いたモデル規範型適応制御系の特徴の1つに、
試行を何回か繰り返すことにより、実システムの状態
を、より規範モデル 3に近付けることのできる可能性が
あることが挙げられる。
【0043】即ち、強い非線形性や不安定性を持つプラ
ント 1を制御する場合、もし最初の試行で安定化に失敗
しても、ニューラルネットワークコントローラ 2a は、
得られた入出力データからプラント 1の特徴を学習して
おり、2度3度と試行を重ねることにより、最終的に
は、プラント 1の特性に応じた安定した制御系を獲得す
ることができる。
【0044】
【実施例】以下本発明の実施例を図面によって詳述す
る。前述の図1〜図3は本発明の原理説明図であり、図
4は、本発明の一実施例を制御式で示した図であり、図
5〜図11は、本発明の一実施例をシミュレーション結
果で示した図である。
【0045】本発明においては、ニューラルネットワー
クを用いたモデル規範型適応装置において、望ましい制
御対象(プラント)1 の挙動を規範モデル 3として表
し、実プラント 1の挙動が、該規範モデル 3の挙動と一
致するように、例えば、フィードバック(誤差帰還制
御)のゲインを調整するコントローラ 2を備えた装置に
おいて、該コントローラ 2をニューラルネットワーク 2
a で構成し、該規範モデル3の挙動と実際のプラント 1
の挙動の誤差(e)に適当なゲイン(K)を掛け合わせ
た信号(Δu)を教師信号として用いる手段、又、上記
プラント 1の順モデルを学習さたニューラルネットワー
ク 5を設け、該ニューラルネットワーク 5の出力側に、
上記の誤差(e)を入力し、一般化デルタルールを用い
て、該誤差(e)を逆に伝播させることにより、該プラ
ント 1の入力誤差Δuを求め、この入力誤差Δuを上記
ニューラルネットワークコントローラ 2a の教師信号と
して用いる手段が、本発明を実施するのに必要な手段で
ある。尚、全図を通して同じ符号は同じ対象物を示して
いる。
【0046】以下、図1〜図3, 図4を参照しながら、
図5〜図11によって、本発明の一実施例をシミュレー
ションした結果で説明する。本実施例として、簡単な1
入力1出力の非線形2次系(非線形2階微分系)の状態
方程式を持つプラント 1を取り上げ、最適フィードバッ
ク制御,モデル規範型適応制御系の問題点,及びニュー
ラルネットワークを用いたモデル規範型適応制御系につ
いて説明する。使用した非線形2次系の運動方程式は、
図4(15)式で表されるものとする。
【0047】ただし、各シミュレーションに使用したパ
ラメータは、ζ= 1.0,ω=0.5, α=0.0及び、α=-10.0
である。先ず、制御入力uを与えない{即ち、u(t)=0
}線形自由系{図12のプラント 1のみの制御系であ
る}について、計算機シミュレーションを行った結果を
図5に示す。ただし、初期条件は、x(0)= 1.0,ドットx
(0)= 0.0 である。図5に示したシミュレーション結果
より、この系は不安定であることがわかる。
【0048】次に、該プラント 1に対して、前述の図1
2で説明した最適フィードバック制御系を用いた場合に
ついて、計算機シミュレーションを行なった結果を図6
に示す。ただし、該最適フィードバック係数Kとして
は、図4(16)式に示した値を用いた。
【0049】図6より、α=0.0の場合には、該最適フィ
ードバック系は、システムの安定化に成功しているが、
α= -10.0 の場合には系は発散していることがわかる。
これは、最適フィードバック係数を求める過程で、本来
非線形であるプラント1の運動方程式を、図14(1),(2)
式で示してあるように、線形化しているためであると
考えられる。
【0050】次に、実際には、上記図4(15)式の、ζ,
ω, α等の諸パラメータが未知であるとし、図13に示
したモデル規範適応制御システムを設計した場合の計算
機シミュレーション結果を図7,8に示す。ただし、望
ましいプラントの挙動を表す規範モデルとして、図4(1
7)式に示した線形状態方程式で表されるものを用いた。
ここで,ζm=0.5,ωnm=1.0, α=0.0,-10.0である。
【0051】該図7,8より、実システムが、図4(15)
式のα =0.0 の線形2次系の場合には、実プラント 1の
応答が規範モデル 3とほぼ一致しており、未知ダイナミ
クス(入出力関係) パラメータを含む不安定プラントに
対しても、該適応制御系を組むことにより安定した制御
を行なうことができることがわかる。
【0052】しかし、実システムが、該α=-10.0 の非
線形2次系の場合は、図8から明らかなように、システ
ムは最終的に安定化されてはいるものの、実プラント 1
の応答は規範モデル 3とかなり違ったものになってお
り、非線形要素を含むプラント1に対して、従来の適応
制御を用いることは問題があることがわかる。
【0053】次に、ニューラルネットワークコントロー
ラ 2a を用いたモデル規範適応制御システム{図1参
照}を用いて、計算機シミュレーションを行なった結果
を図9,10,11に示す。使用したニューラルネット
ワークは入力層ユニット数3,中間層ユニット数8,出
力層ユニット数1の3層型であり、制御系の状態変数
x,ドットxと,規範モデルへの入力Yd=0を入力とし、
出力をプラント 1への制御入力u+Δuとする階層型ニ
ューラルネットワークである。
【0054】又、規範モデル 3にはζ=0.5 ,ωn =1.0 ,
α=0.0の線形二次系を用いた。図10からも明らかなよ
うに、α=-10.0の場合、一回目の試行ではニューラルネ
ットコントローラ 2a は、プラント 1の安定化に失敗し
ているが、試行を繰り返すことにより、図11の試行6
回目のシミュレーション結果として示したように、最終
的には、非線形実プラント 1の応答が線形規範モデル 3
とほぼ一致している。
【0055】これより、前述の図8で示されたように、
従来のモデル規範型適応制御系{図13参照}では困難
であった強い非線形性を有するプラントの制御問題に対
しても、ニューラルネットワークコントローラ 2a は、
プラント 1の持つ非線形性を補償する制御系を獲得し、
安定した制御を行なうことができることがわかる。
【0056】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
「ニューラルネットワークを用いたモデル規範型適応制
御系」を用いることにより、次のような効果が期待でき
る。 1) 設計者が制御対象の質量等諸パラメータを正確に知
らなくても、自動的に安定した制御系を構築することが
できる。 2) 望ましいプラントの挙動を規範モデルという形で表
すことにより、システムの最適な挙動という立場から制
御系を設計することができる。 3) ニューラルネットワークの非線形写像の性質を利用
することにより、強い非線形性を有するプラントの安定
化問題に対しても有効な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図(その1)
【図2】本発明の原理説明図(その2)
【図3】本発明の原理説明図(その3)
【図4】本発明の一実施例を制御式で示した図
【図5】本発明の一実施例をシミュレーション結果で示
した図(その1)
【図6】本発明の一実施例をシミュレーション結果で示
した図(その2)
【図7】本発明の一実施例をシミュレーション結果で示
した図(その3)
【図8】本発明の一実施例をシミュレーション結果で示
した図(その4)
【図9】本発明の一実施例をシミュレーション結果で示
した図(その5)
【図10】本発明の一実施例をシミュレーション結果で
示した図(その6)
【図11】本発明の一実施例をシミュレーション結果で
示した図(その7)
【図12】従来の最適フィードバック制御システムの構
成例を示した図
【図13】従来のモデル規範型適応制御装置の構成例を
示した図
【図14】最適フィードバック制御で使用されている制
御式を示した図
【符号の説明】
1 制御対象 (プラント:Plant) 2 フィードバックコントローラ(Controller) 3 規範モデル(Reference Model) 4 適応制御部(Adaptive Controller) 2a ニューラルネットワークコントローラ 5 ニューラルネットワーク Yd=0 プラントの出力の目標値 u プラントの入力 Y プラントの出力 K ゲイン e 出力誤差 x,ドットx プラントの内部状態

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】望ましい制御対象(プラント)(1)の挙動を
    規範モデル(3) として表し、実プラント(1) の挙動が、
    該規範モデル(3) の挙動と一致するように、内部に設け
    られた可変パラメータを調整するコントローラ(2) を備
    えた装置において、 該コントローラ(2) をニューラルネットワーク(2a)で構
    成し、該規範モデル(3) の挙動と実際のプラント(1) の
    挙動の誤差(e)に適当なゲイン(K)を掛け合わせた
    信号(Δu)を教師信号として用いることを特徴とする
    ニューラルネットワークを用いたモデル規範型適応制御
    装置。
  2. 【請求項2】望ましい制御対象(プラント)(1)の挙動を
    規範モデル(3) として表し、実プラント(1) の挙動が、
    該規範モデル(3) の挙動と一致するように、内部に設け
    られた可変パラメータを調整するコントローラ(2) を備
    えた装置において、 該コントローラをニューラルネットワーク(2a)で構成
    し、該プラント(1) の順モデルを学習さたニューラルネ
    ットワーク(5) を設け、該ニューラルネットワーク(5)
    の出力側に、上記の誤差(e)を入力し、一般化デルタ
    ルールを用いて、該誤差(e)を逆に伝播させることに
    より、該プラント(1) の入力誤差 (Δu)を求め、この
    入力誤差 (Δu) を上記ニューラルネットワークコント
    ローラ(2a)の教師信号として用いることを特徴とするニ
    ューラルネットワークを用いたモデル規範型適応制御装
    置。
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