JPH0635389B2 - デオキシリボヌクレオシドを含有する創傷治療用医薬品組成物 - Google Patents

デオキシリボヌクレオシドを含有する創傷治療用医薬品組成物

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JPH0635389B2
JPH0635389B2 JP1505888A JP50588889A JPH0635389B2 JP H0635389 B2 JPH0635389 B2 JP H0635389B2 JP 1505888 A JP1505888 A JP 1505888A JP 50588889 A JP50588889 A JP 50588889A JP H0635389 B2 JPH0635389 B2 JP H0635389B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本出願は米国特許願連続第186,031号明細書(1
988年4月25日出願)と一部継続するものであり、
そして後者は米国特許願連続第115,923号明細書
(1987年10月28日出願)の一部継続である。
発明の技術分野 本発明は、一般的には2′−デオキシリボヌクレオシド
および2′−デオキシリボヌクレオチドの新規コンビネ
ーシヨンの使用に関し、そしてこれら化合物を製薬担体
中で創傷治癒促進のために使用する方法に関する。
更に詳しく言えば、本発明は2種以上の2′−デオキシ
アデノシン、2′−デオキシグアノシン、2′−デオキシ
シチジン、および2′−デオキシチミジンおよび(また
は)これらの対応するヌクレオチドの新規コンビネーシ
ヨン、ならびに担体化合物との混合物として活性化合物
を動物組織に供給し、それにより細胞の代謝機能を支え
るため、これらを局部的あるいは局所的に適用する方法
に関する。更に詳しく言えば、本発明は担体中でこれら
化合物の混合物を使用して創傷、外科的切開、胃腸管の
傷あるいは潰瘍、熱や紫外線や化学薬品により誘発され
た火傷、および感染により起こつた表面組織損傷の治癒
を増進し促進させる方法に関する。
発明の背景 創傷あるいは組織損傷の関連した形態の治癒は、一般に
細胞増殖および新しい結合組織、内皮組織、および上皮
組織の形成に依存する。創傷の治癒に含まれる細胞過程
を、刺激しあるいは促進する薬剤は、治療に大きい価値
をもつであろうし、また多くの型の創傷あるいは障害、
例えば外科的切開、熱や化学薬品や照射により誘発され
た火傷、剥離、裂傷、切断、虚血性または衰弱性潰瘍、
口や胃または腸の創傷または潰瘍、植皮片提供者の創傷
部位、および角膜外傷の治癒の改善あるいは促進に使用
できるであろう。このような薬剤はまた皮膚または角膜
の移植の受け入れ改善に、また損傷し軟骨または骨の修
復の増進にも重要であろう。
創傷の治癒を促進あるいは改善する薬剤は、傷の治癒が
損われている生理学的状態の下では、例えば糖尿病患者
においては、あるいは癌の化学療法(例えば、アドリア
マイシンまたはシクロホスフアミドを用いて)、あるい
はコルチコステロイド治療を受けている患者にあつて
は、あるいは治療のためまたは偶発的にイオン化放射線
に暴露後の患者においては、特に価値が高い筈である。
幾つかの薬剤、例えばポリペプチド発育因子、アラント
イン、ビタミンA(および誘導体)、亜鉛、外因性DN
A、およびアロエ製剤は、傷の治癒に関与する細胞過程
に好影響を及ぼすことが報告されている。これら化合物
は種々な不明確な機作により作動し、個々の適用に種々
な程度で効果を発揮する。
デオキシリボ核酸(DNA) が、傷の瘢痕化あるいは治癒
を早めるために使用されて来た。Dumon,Ann.Surg.1
50:799(1959)は、家兎の耳の実験的創傷
に、外因性DNA を適用したところ、傷の肉芽組織の発
育が促進されることを開示した。DNA とデオキシリボ
ヌクレアーゼ(DNA の分解の主因となる酵素)との混
合物は、DNA かデオキシリボヌクレアーゼいずれか単
独よりも、繊維増殖促進に一層有効であつた。DNA に
よる処置後に形成される肉芽組織の全量は、未処置対照
以下であつたが、その発育の開始と速度は有意に促進さ
れた。これらの著者は低分子重合体DNA フラグメンド
が、実際の活性薬剤であることを示唆している。
Nicolau とBadanoiu ,Der Hautartzt,17:512
(1966)は、ラツトの背中の実験的皮層傷を、生理
的食塩水中DNA の1%溶液の創傷内注射で毎日治療し
た。DNA の局所注射で治療した傷は、4日から8日以
内に瘢痕化したのに対し、食塩水だけで処置した傷は、
10日から15日後に瘢痕化した。同様に、傷の中にDN
A の2%溶液を注射した場合には組織壊死を起こした Marshak とWalker,Proc.Soc.Exp.Biol.Med。5
8:62(1945)は、ラツトの実験的皮膚傷にDNA
を適用し、未処置対照と比べて、傷内部の肉芽組織の
発育の有意な促進を認めた。処置傷中に肉芽組織が早く
出現したが、肉芽組織の最終量は未処置傷より僅かであ
つた。
Ranson(米国特許第4,560,678号明細書)は、静
脈由来の下肢潰瘍の処置に使用したDNA およびアラン
トイン含有局所製剤を開示している。Flecchia(フラン
ス特許第2,556,727号明細書)は、創傷治療用
のDNA および殺菌性第4級アンモニウム化合物含有組
成物を開示している。米国特許第4,657,896号
明細書は、特に非経口投与したときの、消化性潰瘍症状
の治療に対するDNA 使用を開示している。DNA の局所
投与は、傷の治癒の促進に有効なこともあるが、DN そ
のものの医薬品製剤の利用には、その臨床的利用あるい
は受け入れを制限するかも知れない幾つかの重要な欠点
がある。動物組織から抽出されたDNA は、抗原となり
うる他の生物学的物質、例えばヒストンあるいは他のタ
ンパク質を含む。これらの生物学的物質を除去すること
は困難であり、従つて市販高純度DNA は一般に約0.
5%のタンパク質を含有する。更に、天然源から得たDN
A はバツチごとに一様でない。DNA は創傷治療剤とし
ての役割を越える望ましくない生物学的活性も有しう
る。例えば、日本鎖核酸は、多分繊維芽細胞またはリン
パ球の表面上の不明確な部位との相互作用により、イン
ターフエロン生成を誘発する。このような効果は創傷の
治癒または他の生物学的過程にとつて有益でなく、むし
ろ有害でさえありうる。
DNA はまたリン酸(ヌクレオシドの含量と等モル)を
含み、傷へ局所適用すると、DNA が代謝されるにつれ
てリン酸が局所的に高濃度となりうる。これは傷の治癒
過程にとつて有害であり、Nicolau等の研究によると、
2%DNA の投与後に観察された組織壊死の原因となり
うる。最後に、外因性DNA を細胞DNA 中に取り込むこ
とにより外因性機能的遺伝子を細胞中に導入する可能性
がありうる。これは明らかに望ましくなく、もし導入さ
れたDNA 順序がウイルスあるいは癌遺伝子のそれであ
るならば特にそうである。
英国特許第2,152,814A号明細書(Ogoshi)
は、(イ)核酸塩基、(ロ)ヌクレオシド、および(ハ)ヌクレ
オチドあるいはその塩から選ばれる少なくとも2種の核
酸化合物を含有する栄養補給用組織物に関する。非経口
的にあるいは腸内に投与できる組成物は、体内のアミノ
酸の有効利用を高め、そして満足すべき栄養調節と窒素
均衡の維持を保証できると言われる。
特願昭60−028929号明細書は、ラツトにおける
ストレス誘発胃潰瘍の形成防止のため経口投与されたデ
オキシグアノシンの使用を開示している。胃潰瘍の治癒
に及ぼすデオキシグアノシンの効果(もしあれば)に関
するデータは提供されなかつた。
米国特許第4,208,406号明細書(Lapinet )
は、局所消炎剤および治療剤としての環状3′,5′−ア
デノシンモノホスフエート(環状AMP )の使用を開示
している。
中でもDNA を、傷の治癒の促進のために傷へ導入する
治療剤供給法が認識されているが、傷、火傷、その他の
障害を治すための、望ましくない副作用を起こさない、
一層効果的の組成物に対する要望が依然としてある。
発明の目的 本発明の主たる目的は、傷、潰瘍、火傷、その他の型の
障害の治癒を効果的に促進しうる新規化合物おび医薬製
品を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、抗原性がなくかつ遺伝情報
を運ばない一群の効果的な創傷治療剤を提供することに
ある。
本発明の更にもう一つの目的は、安価で、むらがなく、
安定な一群の効果的創傷治療剤を提供することにある。
本発明の更にもう一つの目的は、効果的に局所投与で
き、望ましくない有毒効果をもたず、そして傷、潰瘍、
火傷、および他の型の障害の治癒を効果的に増進させる
ため、ヒトおよび動物へ投与できる創傷治療剤を提供す
ることにある。
本発明のもう一つの関連した目的は、多種多様な供給ビ
ヒクル中で局部的あるいは局所的に適用できる効果的な
創傷治療剤を提供することにある。
発明の要旨 本発明のこれらの目的および他の目的は、創傷の治癒を
改善し、あるいは損傷した組織を修復するため、そして
治癒を早めるために、局所製剤の適用あるいは点滴注入
により適切に処置できる、他の生理学的および病理学的
組織状態の治療において、なるべくは担体組成物中に添
加した2′−デオキシリボヌクレオシドの新規混合物の
投与により達成される。
一般に本発明は、適当な製薬担体中に溶解または懸濁し
た特別な比の2′−デオキシリボヌクレオシド混合物に
関する。実験的創傷へ一つの2′−デオキシリボヌクレ
オシド単独を適用しても、傷の治癒を殆どあるいは全く
促進しないことが分かつている一方、2種以上の異なる
2′−デオキシリボヌクレオシドの特別な混合物は実験
的創傷の治癒を促進することが分かつた。各特定混合物
は特徴的な治癒反応を起こす。
更に詳しく言えば、2′−デオキシリボヌクレオシドの
コンビネーション、2′−デオキシシチジンと2′−デオ
キシグアノシンは、対照および他の2成分コンビネーシ
ョンと比較して実験的創傷の治癒速度に実質的な増加を
生ずることが分かつた。このコンビネーシヨンは(イ)主
要量の2′−デオキシシチジンと有効量の2′−デオキシ
グアノシン、あるいは(ロ)主要量の2′−デオキシグアノ
シンと有効量の2′−デオキシシチジンを含むことがで
きる。望ましくは、この2成分組成物は10%から90
%(モルで)の2′−デオキシシチジンおよび90%か
ら10%の2′−デオキシグアノシンを含む。特に適当
な組成物は、これら2成分を25%から75%含む。
2′−デオキシシチジン、2′−デオキシグアノシン、お
よび2′−デオキシアデノシンの3成分コンビネーシヨ
ン、ならびに2′−デオキシシチジン、2′−デオキシグ
アノシン、および2′−デオキシチミジンの3成分コン
ビネーシヨンも、対照および他の3成分コンビネーシヨ
ンと比較して実験的創傷の治癒速度に相当な増加をもた
らす。2′−デオキシシチジン、2′−デオキシグアノシ
ン、3′−デオキシアデノシン、および2′−デオキシチ
ミジンの4成分コンビネーションは、実験的創傷の治癒
速度の改善に最も有効である。
これら3成分および4成分コンビネーシヨンは、有効量
の2′−デオキシシチジンおよび2′−デオキシグアノシ
ン、典型的には前記のように2成分混合物50%以上を
含む。
創傷治療用組成物は、2′−デオキシリボヌクレオシド
および(または)それらの対応する3′および(また
は)5′ホスフエートエステル誘導体を含有する。これ
ら化合物は、更に置換されることもあり、また遊離形で
も製薬上容認しうる塩の形にあつてもよい。
なるべくは製薬担体中の2′−デオキシリボヌクレオシ
ドの混合物は、2′−デオキシリボヌクレオシドを損傷
組織の領域へ供給することにより、創傷の治癒速度を早
める。本発明製剤は種々な通常の製薬担体、軟膏、ゲ
ル、ペースト、座薬、スブレー、または潅注溶液のいず
れかとのコンビネーシヨンとして投与することができ、
あるいはリポソーム、徐放用重合体あるいは生物分解性
重合体を含めて担体の中に添加してもよく、あるいは含
浸包帯、縫合、および同様な材料から投与してもよい。
本発明組成物は切り傷、切開、剥離、火傷などを含め
て、どんな型の創傷の治癒促進にも使用でき、これらの
傷は局部的、とりわけ局所製剤の投与により、あるいは
2′−デオキシリボヌクレオシドの適当な混合物の供給
を保持し放出することのできる他の材料の適用により治
療できる。
図面の簡単な記述 本発明ならびに他の目的、特徴および利点は、以下の詳
細な記述から、図面を参照して読んだとき、一層明瞭に
完全に理解されるであろう。
第1図は、対照ラツト、およびデオキシアデノシン、デ
オキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシ
チミジンのコンビネーシヨンで1週間治療したラツトに
おける、4つの創傷治癒パラメーター、即ち血管形成度
(A)、大食細胞密度(M)、繊維芽細胞密度(F)、および
上皮被蓋(E)に体する目盛値を示す。すべてのラツト
は、傷の治癒を遅らせるため、デキサメタソンで前処理
した。目盛値は0=なし、1=最小、2=僅か、3=中
程度、そして4=顕著、である。は対照値と比較し
て、この値および後のすべての数値における統計的有意
差を示す。
第2図は、対照ラツト、およびデオキシアデノシン、デ
オキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシ
チミジンのコンビネーシヨンで1週間処置したラツトに
おける、三つの炎傷指数、即ち壊死(N)、多形核球密度
(P)、および繊維素性滲出物(FE)に対する目盛値を示
す。すべてのラツトは創傷の治癒を遅らせるため、デキ
サメタソンで前処理した。目盛値は次の通り。0=な
し、1=最小、2=僅か、3=中程度、そして4=顕
著。
第3図は、ビヒクルだけ(対照)で、またデオキシアデ
ノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およ
びデオキシチミジンのコンビネーシヨンで処置を開始し
てから5日および7日後の、ラツトにおける新しい上皮
によつて覆われた、元の傷の面積の百分率を示す。
第4図は、ビヒクルだけ(対照)で、またデオキシアデ
ノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およ
びデオキシチミジンのコンビネーシヨンで処置を開始し
てから5日および7日後の、ラツトにおける創傷縁(組
織学的横断面で)の中に、また縁から生長しつつある新
しい上皮の長さを示す。
第5図は、ビヒクルだけ(対照)で、またデオキシアデ
ノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およ
びデオキシチミジンのコンビネーションで処置を開始し
てから5日および7日後の、ラツトの創傷中の肉芽組織
の深さ(組織学的横断面で)を示す。
第6図は、対照ラツトおよびデオキシアデノシン、デオ
キシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチ
ミジンのコンビネーシヨンで処置したラツトの、処置開
始後10日、20日、および30日の胃潰瘍面積(上皮
形成されずに残つている潰瘍の面積)を示す。
第7図は、対照ラツトおよびデオキシアデノシン、デオ
キシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチ
ミジンのコンビネーシヨンで処置したラツトの、処置後
10日および16日の胃潰瘍の面積を示す。
第8図は、対照ラツト、シメチジン(Cim) 処置ラツ
ト、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシ
グアノシン、および、デアキシチミジンのコンビネーシ
ヨン(N)で処置したラツト、およびシメチジンおよびデ
オキシリボヌクレオシドの両方(N-Cim) で処置したラ
ツトの、処置開始後14日の胃潰瘍面積を示す。は対
照値と比較した統計学的有意差を示し、**はCim−およ
びN−処置値と比較した統計学的有意差を示す。
第9図は、対照ラツト、デオキシアデノシン、デオキシ
シチジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチミジ
ンのコンビネーシヨン(N)で処理したラツト、およびデ
オキシグアノシン単独(dG) で処置したラツトの胃潰瘍
面積を示す。
発明の詳細な記述 本発明の最も広い面は、10から90モル%の2′−デ
オキシシチジンおよび90ら10モル%の2′−デオキ
シグアノシン、あるいはその製薬上容認しうる塩の組成
物が、創傷治療に適用した際非常に重要な意味をもつ程
の活性を有するという発見にある。2′−デオキシシチ
ジンと2′−デオキシグアノシンの2成分混合物(なる
べく2成分の各々が組成物の25から75%の量で存在
する混合物)を創傷、例えば切り傷、切開部、剥離、火
傷などに局部的に、あるいは局所的に適用したとき、治
癒速度を実質的に早めることが発見された。本発明組成
物中に、他の創傷治療物質を含めることはできるが、そ
の活性創傷治療剤は、本質的に2′−デオキシシチジン
と2′−デオキシグアノシンとの2成分混合物からな
る。
2′−デオキシリボヌクレオシドは、その遊離形で、あ
るいは対応するヌクレオチド、即ち3′,5′,または
3′,5′ホスフエートエステル誘導対として存在しう
る。他方、デオキシリボヌクレオシドは遊離形またはヌ
クレオチド形いずれかの置換誘導対として存在してもよ
い。2′−デオキシシチジンおよび2′−デオキシグアノ
シンの置換誘導体には、デオキシリボース部分の一つま
たは両方のヒドロキシル基のところで置換された化合物
および(または)2′−デオキシグアノシンのプリン環
上の環外アミンのところで、あるいは2′−デオキシシ
チジンのピリミジン環上の環外アミンのところで、2か
ら20炭素原子を含む生物融和性アシル基からなる群か
ら選ばれる基により置換された化合物が含まれる。1個
より覆い置換基がある場合、それら置換基は同一のこと
も異ることもある。活性成分はまた2′−デオキシリボ
ヌクレオシドまたはその誘導対の製薬上容認しうる塩と
して存在しうる。本明細書において、これら置換誘導体
は組織への適用後、酵素によりヌクレオシドへ戻ること
が好ましい。従つて、これら誘導体は、組織ヌクレオシ
ドを持続供給するためのビヒクルとして働くことがで
き、あるいは医薬品製剤における多の利点をもつことも
ある。
上記の効果的2成分混合物は、創傷の治癒を促進するよ
うに適合された組成物中に含められるが、この組成物は
製薬上容認しうる担体、および必要に応じ、他の創傷治
療剤を含有する。一般に、この担体は局部あるいは局所
投与に適用されるものである。
前述した2成分混合物は、2′−デオキシアデノシン、
2′−デオキシチミジン、あるいは2′−デオキシアデノ
シンと2′−デオキシチミジンとの混合物と合わせるこ
とができる。前記の2′−デオキシシチジンと2′−デオ
キシグアノシンとの2成分混合物の有効量と、これに加
えて、2′−デオキシアデノシンまたは2′−デオキシチ
ミジンのいずれか(または両方)とからなる創傷治療用
組成物により好結果が得られる。2′−デオキシシチジ
ンと2′−デオキシグアノシンとの2成分混合物は、組
成物全体の少なくとも50モル%の量で存在し、そして
2′−デオキシシチジンと2′−デオキシグアノシンとは
該2成分混合物中にその25から75%の量で存在する
ことが望ましい。2′−デオキシシチジン、2′−デオキ
シグアノシン、2′−デオキシアデノシン、および2′−
デオキシチミジンは、その遊離形として、ヌクレオチド
として、あるいは遊離形またはヌクレオチド形の置換誘
導体として存在しうる。
2′−デオキシシチジンおよび2′−デオキシグアノシン
の置換誘導体は、デオキシリボース部分における一つま
たは両方のヒドロキシル基のところで置換された化合物
および(または)2′−デオキシグアノシンのプリン環
上の環外アミンのところで、あるいは2′−、デオキシ
シチジンのピリミジン環上の環外アミンのところで、2
から20炭素原子を含む生物融和性アシル基からなる群
から選ばれる基により置換された化合物を包含する。1
個より多い置換基がある場合、それら置換基は同一のこ
とも異なることもある。
2′−デオキシアデノシンの置換誘導体は、デオキシリ
ボース部分における一つまたは両方のヒドロキシル基の
ところで置換された化合物、および(または)そのプリ
ン環上の環外アミンのところで、2から20炭素原子を
含む生物融和性アシル基からなる群から選ばれる基によ
り置換された化合物を包含する。1個より多い置換基が
ある場合、それら置換基は同一のことも異なることもあ
る。
2′−デオキシチミジンの置換誘導体は、デオキシリボ
ース部分における一つまたは両方のヒドロキシル基のと
ころで、2から20炭素原子を含む1個以上の生物融和
性アシル基(同一のことも異なることもある)により置
換された化合物を包含する。
活性成分は、製薬上容認しうる塩としても存在できる。
2成分混合物および2′−デオキシアデノシンまたは、
それぞれ、2′−デオキシチミジンを含む創傷治療用組
成物は、局所あるいは局部投与に適合する、製薬上容認
しうる担体を用いて有利に調製できる。
2′−デオキシシチジン10から90モル%および2′−
デオキシグアノシン90から10モル%、および、2′
−デオキシアデノシン、および2′−デオキシチミジン
の混合物の有効量(組成物全体の少なくとも50モル%
がよい)を含む4元混合物により最良の結果が得られ
る。上記の2元および3元混合物における2′−デオキ
シリボヌクレオシドは、それらの製薬上容認しうる塩と
して存在しうる。2′−デオキシシチジンと2′−デオキ
シグアノシンとの2元混合物は、これら2成分の各々少
なくとも25モル%を含むことが望ましい。4種の2′
−、デオキシリボヌクレオシドは、それらの遊離形で、
3′,5′,または3′,5′ホスフエートエステル誘導体
として、あるいは遊離形またはヌクレオチド形いずれか
の、前述したような置換誘導体として存在しうる。局所
あるいは局部投与に適合する担体を用いて有利な組成物
をつくることができる。
活性成分の混合物は個々の遊離形、ヌクレオチドまたは
誘導体化成分を混合するか、あるいは成分ヌクレオシド
またはヌクレオチドを分離することなくDNA の加水分
解により調製できる。
デオキシリボヌクレオシドが創傷の治癒の促進に有効で
あるという発見は、これら薬剤の投与に対し幾つかの重
要な機会を開いている。記述し易くするため、下記の説
明中のデオキシリボヌクレオシドは、その遊離形、ヌク
レオチド形、置換誘導体、およびその混合物を含むと理
解されたい。
特に適当な計画は、これら化合物をゲル、軟膏、溶液、
含浸包帯、リポソーム、生物分解性マイクロカプセルあ
るいは天然ヌクレオシドを含む人工皮膚として局所ある
いは局部的に投与することである。DNA とは違い、デ
オキシリボヌクレオシドは遺伝子情報を含まず、抗原性
もない。これらはまた化学的に安定であり、精製容易あ
り、種々な組成物中に添加できる。これとは著しく違つ
て、DNA は不安定で、無秩序な分子量をもつオリゴヌ
クレオチド断片に容易にこわれるので、従つて均一性お
よび安定性に対して基準が要求される医薬品製剤に添加
するには不適当である。
局所適用のための組成物または剤形には、溶液、ローシ
ヨン、軟膏、クリーム、ゲル、座薬、スプレー、エーロ
ゾル、懸濁系、散布パウダー、含浸包帯および包帯剤、
リポソーム、生物分解性重合体、および人工皮膚から包
含される。上記組成物を構成する典型的製薬担体には、
アルギネート、カルボチルセルロース、メチルセルロー
ス、アガロース、ペクチン、ゼラチン、カラーゲン、植
物油、鉱油、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ペ
トロラタム、ポリエチレングリコール、ポリソルベー
ト、ポリラクテート、ポリクリコレート、ポリアンヒド
リド、リン脂質、ポリビニルピロリドンなどが包含され
る。
製薬上容認しうる担体中のデオキシリボヌクレオシドの
濃度は0.1から20%にわたりうる。個々の製剤ある
いは適用に用いられる用量は、組織の傷の特定の型によ
る必要条件、ならびに担体材料の特徴および容量により
課せられる拘束によつて決まるであろう。サンタンロー
シヨンに対しては、上記組成物の0.1から5重量%が
添加される。
上記組成物は、抗生物質あるいは抗ウイルス性物質と、
あるいはただれや他の感染で損傷を受けた組織の治癒を
促進する物質と追わせる、あるいは併用する、あるいは
調和を保つて使うことができ、そしてこれを根底にある
感染の治療と同時に、あるいは調和を保つて行なうこと
ができる。更にまた、本発明に係る2′−デオキシリボ
ヌクレオシドは、他の組織治癒増進物質、例えば、表皮
の発育因子、繊維芽細胞発育因子、血小板から誘導され
る発育因子、形質転換発育因子アルフアー、形質転換発
育因子ベーター、およびインシユリン様発育因子1(Br
unt,J.V.およびTilansner,A.Biotechnology
25−30(1988))と合わせて、あるいは同時に
用いて、あるいは調和を保つて用いて損なわれた組織の
一層迅速な治癒を増進することができる。
アレルギー性あるいは炎症性疾患に罹つている患者の外
傷の治癒を促進するには、ステロイドが傷の治癒を遅く
することが知られているので、本発明2′−デオキシリ
ボヌクレオシドを局所用コルチコステロイドおよび消炎
剤と共に投与するのが有用である。
本発明組成物は、正常な創傷の治癒が損なわれている状
態に対して特に有用である。治りが悪い。あるいは治り
が遅い創傷の型の例には、静脈うつ血潰瘍、圧迫潰瘍、
および糖尿病患者や照射、癌化学療法(アドリアマイシ
ンまたはシクロホスフアミドによる)、および局所ある
いは全身的消炎性グルココルチコステロイドを受けてい
る患者における皮膚および消化管の創傷または潰瘍が含
まれる。
下記化合物も創傷の治療においつ2′−デオキシリボヌ
クレオシドと追わせて、あるいは調和を保つて使うのに
有用である。これら化合物は、2′−デオキシリボヌク
レオシドと並行してあるいは直列に用いることができ
る。これら化合物には、アラントイン、レチノイン酸、
アロエベラ、グリシン、ピタミンA、ピタミンB類、特
にニコチンアミド、ピタミンCとE、抗菌剤(例えば、
第4級アンモニウム化合物、バシトラシン、ネオマイシ
ンおよびポリミキシン)、コンフリー根製剤、血小板お
よび(または)血小板エキス、リボヌクレオシド、コラ
ーゲン、プロリン、リジン、エラスチン、フイブロネク
チン、グリコサミノグリカン類、スペルミジン(および
他のポリアミド)、血管形成因子、亜鉛、シヨ糖、およ
び各種ペブチド発育因子、例えばソマトメジン、イアミ
ン、EGF 、IGF 類、PDGF、FGF 、EDGF、TGF 、CDG
F、MDGF、およびNGF が包含されるが、これらに限定さ
れるわけではない。本発明組成物は、火傷および他の創
傷の治療に、そして皮膚または角膜移植の治癒を支持す
る際に、合成皮膚と共に用いることもできる。
胃潰瘍または十二指腸潰瘍の治療に対しては、本発明に
係る2′−デオキシリボヌクレオシドを他の抗潰瘍剤と
同時投与できる。このような薬剤はシメチジン、ラニチ
ジン、オメプラゾール、サクラルフエート(潰瘍接着性
複合体)、ミソプロスチル(細胞保護性プロスタグラン
ジン)、あるいは抗酸物質を包含するが、これに制限さ
れない。
2′−デオキシリボヌクレオシド−担体組成物は、日光
への暴露の前後で適用できるサンタンローシヨンの一部
分として処方できる。日焼けローシヨンはまた1種以上
の日光遮断剤、誘えばPABA、PABAのエステル、および他
の非PABA化学サンスクレーンを含有する。老化の影響の
治療あるいは改善のための組成物は、エキスローション
の形で局所適用できる。
適当な眼用軟膏、溶液、あるいはインサート中に添加し
たデオキシリボヌクレオシドは、化学的損傷、外科、傷
害、火傷、または感染症から起こりうるような、角膜傷
害あるいは潰瘍の処置にも使用できる。このような組成
物はまた移植角膜と受容部位との間の治癒を改善するた
めにも使用できる。
デオキシリボヌクレオシド組成物は、肉芽組織あるいは
結合組織の内部生長を促進あるいは改善するために、空
間充填用外科移植片あるいは骨組素幾移植片中に添加で
きる。
本発明組成物の使用に見られる医学的あるいは獣医分野
の適応症に次の状況が包含されるがこれに制限されな
い。本組成物は、皮膚そのものあるいは皮膚への機械的
傷害により露出される他の組織、あるいは身体の胃腸粘
膜の機械的創傷あるいは剥離の治癒を促進するために使
用できる。本発明は、皮膚上に負つた火傷、およびこの
ような傷害により露出されるかもしれない下側の組織の
治癒の促進に使用できる。これら火傷は熱、イオン化放
射線、日光を含めて紫外線、電気、あるいは化学物質に
より起こつたものである。
更に、本組成物は、身体のどの部分(外部でも内部で
も)においても、外科的切開の治癒を早めるために、本
発明に係るデオキシリボヌクレオシドを含有する溶液ま
たは他の単体組成物を切開部の中に導入することにより
使用できる。本組成物は、虚血性潰瘍、圧迫によるただ
れ、床ずれ、あるいは糖尿病その他の疾患過程により起
こる潰瘍の治癒を促進するために使用できる。これらは
また、粘膜の傷あるいは潰瘍(例えば、口、胃、または
腸)の治療に使用することもできる。これはデオキシリ
ボヌクレオシドを適当な粘着性あるいはコロイド性の分
散系中に、あるいは粘滑剤ベース中に添加するもので、
これを経口投与して消化管の望む部位へネケレオシドを
局所的に供給する。
外科的切開を含めて皮膚の創傷の治癒を促進する際に
は、本発明化合物を軟膏としてまたは創傷包帯剤として
局所適用するのが最良である。局所用抗生物質または抗
ウイルス剤を同時投与できる。本発明組成物に係るデオ
キシリボヌクレオシド混合物0.1から20mgのモル相
当量を、創傷面積1平方センチメートル当りに適用すべ
きであり、あるいは0.1から10mgを線状切開部1cm
当りに適用せねばならない。
上記の例は説明であつて、本発明に係る方法および組成
物の制限ではない。当業者にとつて明白な臨床的療法で
普通に経験される種々な条件およびパラメータの適当な
他の変法および適合法は本発明の主旨と範囲内にある。
例 1 約150gの体重の雄F344ラツト48匹を、腹腔内
注射により投与したケタミン(100mg/kg)とキシラ
ジン(13mg/kg)のコンビネーシヨンで麻酔した。各
ラツトの背の毛をそり、直径8mmの背腰円形切除全層創
傷をつくり、その下にある表面骨格筋を露出させた。4
種の主要2′−デオキシリボヌクレオシドのうち一つま
たは幾つかのコンビネーシヨンを含む、あるいは空のま
まの(対照)8mmアガロース(1%)円板を各傷の中に
入れた。各ヌクレオシドの濃度は生理食塩水中30mg/
mlとした。次に傷を液体プラスチツク包帯剤で覆つた。
2日後、傷の覆いを除き、アガロース円板を取り除き、
傷の写真を撮り、治癒程度に対し点数をつけた。脱に、
同じ一つのヌクレオシドあるいはヌクレオシドのコンビ
ネーシヨンを含むアルギネートゲル(2%)を各傷に適
用し、傷を再び液体プラスチツクで覆つた。傷をつくつ
てから4日目に、再び傷の覆いを取り、アルギネートゲ
ルを除き、傷の治癒程度に対し点数をつけた。16群の
各々に3匹ずつの動物を用いた。各群に2′−デオキシ
リボヌクレオシド、デオキシチミジン、デオキシシチジ
ン、デオキシグアノシン、およびデオキシアデノシンの
いちの一つ、二つ、三つ、あるいは四つ全部を、可能な
組み合わせのすべてを用いて投与した。
表 1 創傷の治癒程度な点数: 0=傷領域に結合組織なし。
1=結合組織が傷の50%未満を覆う。
2=結合組織が傷の50〜100%を覆う。
3=結合組織が傷の領域を完全に覆う。
4=結合組織が傷全体を満たし完全に不透明。
2種の2′−デオキシリボヌクレオシドの六つの異なる
組み合わせのうち、dcとdGのコンビネーシヨンだけが、
対照と比較して48時間および96時間後に結合組織発
達の増進により効果的であつた。3種の2′−デオキシ
リボヌクレオシドの四つの異なるコンビネーシヨンのう
ち、dCとdGを含むコンビネーシヨン(dC,dG,dAおよび
dC,dG,dT)だけが、48時間および96時間後、対照
よりも創傷治癒の促進に一層有効であつた。個々の2′
−デオキシリボヌクレオシドあるいは2種または3種の
2′−デオキシリボヌクレオシドのコンビネーシヨンの
うち、48時間または96時間で結合組織または肉芽組
織の発達の増進に対し、主要2′−デオキシリボヌクレ
オシドの4種すべてのコンビネーシヨンと同じ位に有効
であるものは無かつた。
例 2 4種の主要なデオキシリボヌクレオシド(dA,dC,dGお
よびdT)の治癒効果を、対応するモノホスフエートデオ
キシリボネケレオチドと比較する研究を行なつた。
各体重約200gの8匹の雄F344ラツトをケタミン
(100mg/kg)とキシラジン(13mg/kg)のコンビ
ネーシヨンで麻酔し、それらの背の毛をそつた。各ラツ
トの背に標準の直径8mm全層創傷をつくつた。4種すべ
てのデオキシリボヌクレオシド(dA,dC,dGおよびdT)
(n=3)あるいは4種すべての対応するデオキシリボ
ヌクレオチド(dAMP,dCMP,dGMPおよびdTMP)のいずれ
かを、生理食塩水(n=4)1ml当り30mgの濃度で含
むアガロースデイスクあるいは空のアガロースデイスク
(n=2)を各傷の中に置いた。次に、すべての傷をメ
タクリレートで覆つた。傷をつくつてから2日後に各傷
を、スクレオシド、ヌクレオチドの何れか、あるいは全
く含まないアルギネートゲルで処理した。傷の覆いを除
き、検査し、2日および4日で治癒の程度に対し点数を
つけた。更にまた、4日目に、傷を覆う皮膚と傷の区域
とのものを取り出し、組織学的検査のため10%ホルマ
リンに入れた。
2日後の結果 対照は両方共点数0であつた。ヌクレオシドで処置した
傷は両方共3+であつた(完全に覆われ、若干の区域で
不透明であつた)。ヌクレオチドで処置した傷の四つす
べても得点3+であつた。処置傷はすべて48時間後に
全く識別できなかつた。
4日後の結果 対照の両方共点数2−3がつけられた(完全に覆われて
はいるが、組織は非常にうすく、破れ易かつた)。ヌク
レオシドで処置した傷は3+および4と評価された。ヌ
クレオチドで処置した傷の四ちのすべてが点数2−3で
あつた。それらは対照と区別できなかつた。これらは2
日目と同じ程よく発達しているようには見えなかつた。
これらの傷を覆う結合組織は、ヌクレオシドで処置した
傷を覆う組織よりも顕著にうすく耐久性に乏しかつた。
例 3 デオキシリボヌクレオシド混合物の急性毒性試験 デオキシアデノシン、デオキシグラノシ、デオキシチジ
ン、およびチミジンの等モル量ずつの混合物を、水中に
懸濁し、200gの雄F344ラツノの群へ、経口挿管
法により投与した。投与後1週間の観察期間中、どの用
量においても(試験した最高用量10g/kgを含め
て)、毒性のきざしあるいは死亡は見られなかつた。従
つて、50%致死量(LD50)は、10g/kgより大で
あることが実証された。
例 4 臨床療法では広く使われているグルココルチコステロイ
ドは、ヒトおよび動物における傷の治癒過程を、遅らせ
ることが知られている。コルチコステロイド治療はまた
阻害された創傷治癒の標準的モデルでもある。この実験
の目的は、皮膚潰瘍の治癒のステロイド誘発阻害を克服
する際の、四つの主要デオキシリボヌクレオシドのコン
ビネーシヨンの効力および安全性を試験することにあ
る。
各およそ200gの体重をもつ14匹の雄F344ラツ
ト(8週令)をデキサメタソン(5mg/kg、腹腔内)で
処置した。24時間後、標準の8mm円形正中線全層切除
創傷を背頚部につくつた。ヒドロゲルビヒクル中デオキ
シアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシ
ン、およびデオキシチミジンのコンビネーシヨン(各々
0.025/ml)50マイクロリツトル、およびビヒク
ルだけを、外科手術の日に、またその後48時間毎に1
回、傷へ適用した。Marshak 〔Proc.Soc.Exp.Bio
l.Med.58:63−65(1945)〕により記述さ
れた液体プラスチツク包帯剤で傷を覆つた。肉眼的検査
と写真撮影後、傷および周囲の組織を、傷をつくつてか
ら7日後に、顕微鏡検査と組織病理学的評価のため収集
した。組織の切片作製と評価は、Pathology Associates
Inc.のFrederick医博により行なわれた。
結果を第1図および第2図に示す。半定量的方法を用い
て、血管形成および再上皮形成の程度、各傷における大
食細胞および繊維芽細胞の数、組織および細胞の壊死の
程度、多形核白血球(PMN) による浸潤、および繊維性
滲出物の量を評価した。デオキシリボヌクレオシドで処
置した傷における創傷治癒係数は、ヒヒクルだけで処置
した傷におけるよりもすべて有意に大であつた(P.0
01)(第1図)。組織壊死の程度、繊維性滲出物の蓄
積、およびPMN による傷の浸潤は対照群と治療群との
間で異なった(第2図)。このことはデオキシリボヌク
レオシドがこれら傷の余計な炎症を誘発しないことを示
している。組織病理学的分析によると、すべての傷試料
が正常な細胞および組織の形態をもつことが示された。
ヒビクル単独で処置した傷と比較して、デオキシリボヌ
クレオシド処置傷の治癒程度の差は、全体的に肉眼レベ
ルで顕著であつた。対照創傷の7日目の外観は、傷をつ
くつた時の外観と非常によく似ていて、せいぜい異る点
は非常に小さい肉芽組織領域と新しい上皮の最小の出現
がある位であつた。これとは対照的に、ヌクレオシド処
置傷は、すべて肉芽組織の厚い層で完全に覆われてい
た。新しい上皮が最初のそれらの傷の面積の50%以上
を覆つた。
それ故に、全層創傷へ4種の主要なデオキシリボヌクレ
オシドコンビネーシヨンを適用すると、デキサメタソン
により誘発された創傷治癒の阻害が克服され、見掛け上
有害な影響が無く、傷の治癒速度を著しく促進する。
例 5 この実験の目的は、遅延なく迅速に傷が治ることが分か
つている若い正常なラツトにおける、創傷治癒過程の促
進に対する、四つの主要なデオキシリボヌクレオシドコ
ンビネーシヨンの効力と安全性を評価することにある。
各体重約200gの雄F344ラツト36匹(8週令)
の各々に、標準の全層8mm円形正中線切除創傷を、背頚
部へ与えた。ヒドロゲルビヒクル中デオキシアデノシ
ン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデ
オキシチミジンのコンビネーション(各0.025/ml)あ
るいはビヒクル単独50マイクロリツトルを、外科手術
の日に、またその後48時間毎に1回傷へ適用した。傷
をMarshak 〔Proc.Soc.Exp.Biol.Med.58:63
〜65(1945)〕により記述された液体プラスチツ
ク包帯剤で覆つた。肉眼検査と写真撮影の後、これら傷
および周囲の組織を、傷をつくつてから5日後(n=8
/群)と7日後(n=10/群)に、顕微鏡検査と組織
病理学的評価のために収集した。組織の切片作製と評価
は、Pathology Associates Inc.,Frederick医博により
実行された。
5日および7日の両日におけるヌクレオシド処置傷の肉
眼による外観は、ヒビクル処置対照傷よりも肉芽組織形
成と再上皮形成の度合が著しく大であることを示した。
顕微鏡検査および組織病理学的評価を第3図、第4図お
よび第5図に示した。これらは肉眼的観察に確証を与え
るものである。5日目と7日目の新上皮をもつ傷の百分
率はヌクレオキシド処置群中の方が、ビヒクル処置対照
中よりも有意に大であつた(それぞれP.001および
P.01)。同様に、創傷縁からの新上皮の絶対的長さ
は、5日(P.001)および7日(P.005)の両
方において、ヌクエオシド処置群中の方が、対照群中よ
りも有意に大であつた。肉芽組織の深さ(第5図)もま
た5日目でヌクレオシド処置群の方が対照群よりも有意
に大(P.001)であつた。7日までに、対照傷の肉
芽組織は5日目の実験群のそれと同等の深さに達した。
ヌクレオシド処置群の肉芽組織の深さは、この群の5日
目に観察した深さより変らなかつた。組織病理学的評価
は、対照およびヌクレオシド処置傷の両方および周囲組
織において、細胞および組織の正常な形態と正常な炎症
レベルを示した。
これらのデータは、若い正常なラツトにおける全層皮膚
潰瘍を、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオ
キシグアノシン、およびデオキシチミジンのコンビネー
シヨンで治療すると、正常な治癒の速度が有意に促進さ
れることを示している。処置傷は、5日目に、対照の7
日目と同じ位良く治つていた。このことは、若い正常な
動物における1週間の経過にわたり、治癒速度の28.
6%増加に相当する。
例 6 1. おオキシリボヌクレオシド含有リポソームの調製 デオキシリボヌクレオシドを含有するリポソームあるい
は他の生物分解性ベシクルは、創傷組織へデオキシリボ
ヌクオシドを長時間にわたり供給するため、有利に利用
できる。
リポソーム製剤に対する下記の実験計画は、Szokaおよ
びPapahadjopoulos(PNAS75:4194-4198(197
8))から翻案された。リポソーム(および種々な他の
脂質成分)の他の調製法を用いてデオキシリボヌクレオ
シドを含むベシクルをつくることもできる。
コレステロール(50マイクロモル)、ホスフアチジル
コリン(40マイクロモル)、およびホスフアチジルグ
リセリン(10マイクロモル)を、50ml丸底フラシコ
中でクロロホルム(5ml)およびジエチルエーテル(5
ml)に溶かした。フラスコにふたを施し、窒素で掃気し
た。デオキシリボヌクレオシド(例えば、15mM NaCl
中デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグ
アノシン、およびチミジン10mg/ml)を含む水溶液
1.5mlを有機相に加えた。この混合物を、2相系が均
一分散液になるまで、音波処理浴中0〜5℃で5分間音
波処理した。プローブソニケーターも使用できる。有機
溶媒を、毎分約200回転で回転する回転蒸発器を用
い、減圧下に(例えば、水流ポンプ)、35〜40℃で
除去した。混合物は最初発泡し、次に粘稠ゲルとなり、
最後に水性懸濁液となつた。この点で、食塩溶液2mlを
加え、懸濁液を更に15分間蒸発させて残つた痕跡量の
エーテルとクロロホルムを除いた。次にこの製剤を遠心
してリポソームを非カプセル化材料から分離した。もと
のデオキシリボヌクレオシドの35から40%が、リポ
ソームの中にカプセル化された。精製後、リポソームを
遠心により濃縮し、創傷への局所適用のため3mlの生理
食塩水に懸濁させた。
このデオキシリボヌクレオシド含有リポソームは、創
傷、損傷皮膚、あるいは潰瘍への局所適用のため、軟
膏、クリーム、または他の供給ビヒクル中に懸濁するこ
ともできる。
2. デオキシリボヌクレオシド含有リポソームの創傷治
癒に及ぼす効果 リポソームは種々な医薬品化合物を投与するために有効
なビヒクルとなりうる。この実験の目的は、デオキシリ
ボヌクレオシドを皮膚創傷へ局所適用しうる可能性のあ
る供給ビヒクルとして、リポソームを評価することであ
る。
各約200gの体重をもつ14匹の雄F344ラツト
(8週令)の各々の背頚部に、標準全層8mm円形正中線
切除創傷を与えた。デオキシアデノシン、デオキシシチ
ジン、デオキシグアノシン、およびデオキシチミジンの
コンビネーシヨン(各0.010/ml)を、記載のよう
にリボソーム中に添加した。空のリポソーム(食塩溶液
だけつくる)あるいはデオキシリボヌクレオシドを含む
リポソームを外科手術の日に、またその後48時間毎に
1回適用した。創傷をMarshak 〔Proc.Soc.Exp.Bio
l.Med.58:63−65(1945)〕により記述さ
れた液体プラスチック包帯剤で覆つた。傷をつくつてか
ら7日後、肉芽組織形成の度合および再上皮形成の程度
について傷を肉眼検査した。
ヌクレオシド含有リポソームで処置した傷を覆い始めた
新しい上皮の程度および存在する肉芽組織の量は、空の
リポソームだけで処置した傷におけるよりも有意に大で
あつた。これらの結果は、デオキシリボヌクレオシドを
含むリポソームが有用の本発明具体例であることを示
す。
例 7 粘膜創傷の治癒における4つの主要デオキシリボヌクレ
オシドのコンビネーションの効力を試験するため、Qkab
e 等〔Digestive Diseases.16:227−284 (1
971)〕のラツト慢性胃潰瘍モデルを用いた。
約190gの体重をもつ48匹の雄F344ラツトを、
腹腔内注射により投与したケタミン(100mg/kg)お
よびキシラジン(13mg/kg)のコンビネーシヨンで麻
酔した。各ラツトの腹面の毛をそり、抗菌性溶液で処置
した。次に腹部切開により胃を露出させ、内径7mmのプ
ラスチツク管を、胃の本体と洞との境界の漿膜表面に置
き、0.07mlの酢酸を1分間適用した。次に、この酸
処理区域を無菌食塩水えで十分よくすすぎ、腹の切開部
を閉じた。5日後に治療を始めた。
無菌水50ml中カルボキシメチルセルロースおよびキサ
ンタンゴム各0.27gからなる粘滑剤中で、各1.2
5gのデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキ
シグアノシン、およびデオキシチミジンを混合すること
により、処置剤を調製した。対照製剤は、カルボキスメ
チルセルロースおよびキサタンゴムビヒクルからなる。
ラツトに、処置剤または対照剤のいずれか1mlを、経口
投与により1日に2回(朝および午後おそく)与えた。
動物は標準実験室ラツト固形飼料で飼育した。飼料およ
び水は随意に与えた。10日、20日、および30日
に、各群から8匹の動物を殺し、胃を取り出した。1%
ホルマリン中で軽く固定した後、潰瘍面積(新しい上皮
被蓋無しに残つている潰瘍基部の面積)を各潰瘍に対し
て測定し、記録した。
この実験の結果を第6図に示した。各点における潰瘍面
積は、対照群と比較して治療群の方が有意に小さかつ
た。これらデータは、胃粘膜潰瘍の治癒を促進する上
で、デオキシリボヌクレオシド製剤の効力を実証してい
る。
例 8 最初の胃潰瘍実験(上記例7参照)で用いた標準実験室
ラツト固形飼料は、ラツトの胃潰瘍治癒を刺激すること
が知られている大量の繊維と粗飼料を含んでいるので、
治癒の過程を複雑化している。それ故に、標準実験室ラ
ツト固形飼料の餌により生ずる潜在的な複雑性を除去し
た柔らかい寒天ベースラツト餌を与えたラツトで、胃潰
瘍の治癒に及ぼすデオキシリボネケレオシドの効果を調
べた。
上記例7記載の実験計画に従い、60匹の雄F344ラツ
トに胃潰瘍をつくつた。動物を、Bioserv Basal Gel Di
et(Bioserv,Inc.,フレンチタウン、ニユージヤージー
州)からなる飼料で飼育した。餌と水は随意に与えた。
動物を、例7記載のように、ビヒクル単独(カルボキシ
メチルセルロースとキサンタンゴム)あるいはキサンタ
ンゴムおよびカルボキシメチルセルロース中デオキシア
デノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、お
よびデオキシチミジンのコンビネーシヨンで処置した。
各群中の15匹の動物を処置の10日および16日目に
殺した。各々の胃の中に上皮形成の無いまま残つている
潰瘍の面積を測定し記録した。
第7図に示した結果は、対照および処置潰瘍両方の治癒
速度が、標準実験室ラツト固形飼料を用いた場合に見ら
れた速度より大であつたが(第6図)、これら粘膜創傷
をデオキシリボヌクレオシド製剤で治療すると、10日
および16日の両方共ビヒクル処置対照潰瘍と比較し
て、治癒過程を有意に加速した。(それぞれP.002
およびP.001)。顕微鏡検査および組織病理学は、
処置潰瘍の方が、上皮形成が有意に大きいという肉眼的
観察に確証を与えると共に、対照および処置潰瘍両方に
おける細胞および組織形態が正常であることを示した。
例 9 シメチジンは効果的抗潰瘍剤として知られている。シメ
チジンの作用機序は、主として胃のヒスタミン(H2)レセ
プターにおけるその作用を通じて、胃酸分泌を抑制する
ことである。これは潰瘍を治すための胃の環境を改善す
ることにはなるが、必ずしも直接的に治癒過程そのもの
を促進するものではない。治癒過程を直接促進しり薬剤
は、胃潰瘍の治癒に対してシメチジン処置だけにより得
られるよりも大きい効果を生まねばなわない。そこで、
胃潰瘍治癒に及ぼすシメチジンおよびデオキシリボヌク
レオシド製剤(単独およびコンビネーシヨンとして)の
効果を研究した。
例7記載の方法に従い、51匹の雄F344ラツトに胃
潰瘍をつくつた。5日後に治療を始めた。動物に、ビヒ
クル単独(カルボキシメチルセルロースおよびキサンタ
ンガム、例7参照)、ビヒクル中デオキシアデノシン、
デオキシシチジン、デオキシグアノシン、およびデオキ
シチミジンのコンビネーシヨン(各0.025g/ml)、ビ
ヒクル中シメチジン(15mg/ml)、あるいはビヒクル
中シメチジン+デオキシリボヌクレオシドのいずれか1
mlを与えた。治療剤を1日2回(朝および午後遅く)経
口挿管法により投与した。ラツトを14日間処置し、次
に殺した。胃を取り出し、1%ホルマリンで軽く固定し
た。次に残存する潰瘍および周囲組織を切開し、上皮未
形成のまま残つている潰瘍面積を測定した。試料を10
%ホルマリン中に貯蔵した。
この実験の結果を第8図に示す。シメチジン処置および
デオキシヌクレオシド処置潰瘍の面積は、ビヒクル処置
潰瘍(対照)と比較して有意に減少した(それぞれP.
001およびP.002)。シメチジン+デオキシリボ
ヌクレオシドで処置した潰瘍は対照よりも有意に小さか
つた(P.001)だけでなく、シメチジン(P.0
5)あるいはデオキシリボヌクレオシド製剤で(P.0
5)処置した潰瘍より有意に小さかつた。従つて、デオ
キシリボヌクレオシドはシメチジンとは異なる機序で作
用すること、および合わせた処置は、慢性胃潰瘍の治癒
の促進に加成効果をもつことが考えられる。
例10 特願昭60−028929−A号明細書(Hokuriku Pha
rm.KKに寄託)は、急性ストレス誘発潰瘍の部分的抑制
に対するデータだけを開示しているけれども、消化性潰
瘍の一療法であることを記載している。この療法は、
2′−デオキシグアノシンを含んでいる。この実験の目
的は、慢性胃潰瘍の治療におけるデオキシグアノシン単
独の効力を、アデニン、シチジン、グアニン、およびチ
ミンの2′−デオキシリボヌクレオシドのコンビネーシ
ョンの効力と比較することにある。
各約210gの体重をもつ48匹の雄F344ラツト
に、前記例7記載の酢酸法によつて胃潰瘍をつくつた。
潰瘍の開始後5日で治療を始め、前述した方法および計
画に従つて行なぬた。動物にビヒクル単独(対照)、ビ
ヒクル中4種のデオキシリボヌクレオシド(各0.02
5g/ml)、あるいはデオキシグアノシン(0.125
g/ml)のいずれか1mlを、毎日朝と午後遅くに14日
間与えた。治療の最終日に、各群中の16匹全部の動物
を殺し、それらの胃を取り出し、ホルマリンで軽く固定
し、上皮未形成のまま残つている潰瘍面積を測定し、記
録した。
この実験の結果を第9図に示す。ビヒクル処置対照の潰
瘍面積は12.6±1.5であるのに対し、4種すべて
のデオキシリボヌクレオシドで処置した潰瘍の面積は
7.7±0.87(P.01)またデオキシグアノシン
単独で処置した潰瘍面積は16.3±1.5(P.0
5)であつた。このように、デオキシグアノシン単独は
慢性胃潰瘍の治療に無効であるように思われる一方、デ
オキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシチミジ
ン、およびデオキシグアノシンのコンビネーシヨンは、
これら粘膜創傷の治癒の促進に有効である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】創傷治療用医療組成物において、 (イ)2′−デオキシシチジン10から90モル%、および (ロ)2′−デオキシグアノシン90から10モル%、 あるいはその製薬上容認しうる塩 からなる上記組成物。
  2. 【請求項2】創傷治療用医薬組成物において、2′−デ
    オキシシチジン10から90モル%と2′−デオキシグアノ
    シン90から10モル%とからなり、前記2′−デオキシシ
    チジンおよび2′−デオキシグアノシンの各々は、 (i) その遊離形 (ii) その3′,5′,または3′,5′−ホスフェートエ
    ステル誘導体、あるいは、 (iii) (i)または(ii)の置換誘導体、 あるいはその製薬上容認しうる塩 として存在する、上記組成物。
  3. 【請求項3】創傷治療用医薬組成物において、 (イ)2′−デオキシシチジン10から90モル%、と、 2′−デオキシグアノシン90から10モル%とからなる有
    効量の混合物および (ロ)2′−デオキシアデノシン、 あるいはその製薬上容認しうる塩 からなる上記組成物。
  4. 【請求項4】創傷治療用医療組成物において、 (イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンと90から1
    0モル%の2′−デオキシグアノシンとからなる混合物の
    少なくとも50モル%、および (ロ)2′−デオキシアデノシン、 からなり、そして前記2′−デオキシシチジン、2′−デ
    オキシグアノシン、および2′−デオキシアデノシンの
    各々は、 (i) その遊離形 (ii) その3′,5′,または3′,5′−ホスフェートエ
    ステル誘導体、あるいは、 (iii) (i)または(ii)の置換誘導体、 あるいはその製薬上容認しうる塩として存在する、上記
    組成物。
  5. 【請求項5】創傷治療用医薬組成物において、 (イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンと90から1
    0モル%の2′−デオキシグアノシンとからなる有効量の
    混合物および (ロ)2′−デオキシチミジン、 あるいはその製薬上容認しうる塩 からなる上記組成物。
  6. 【請求項6】創傷治療用医薬組成物において、 (イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンと90から1
    0モル%の2′−デオキシグアノシンとからなる混合物の
    少なくとも50モル%、および (ロ)2′−デオキシチミジン からなり、そして前記2′−デオキシシチジン、2′−デ
    オキシグアノシン、および2′−デオキシチミジンの各
    々は、 (i) その遊離形 (ii) その3′,5′,または3′,5′ホスフェートエス
    テル誘導体、あるいは、 (iii) (i)または(ii)の置換誘導体、 あるいはその製薬上容認しうる塩として存在する、上記
    組成物。
  7. 【請求項7】創傷治療用医療組成物において、 (イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンおよび90
    から10モル%の2′−デオキシグアノシンとからなる有
    効量の混合物、 (ロ)2′−デオキシアデノシン、および (ハ)2′−デオキシチミジン、 あるいはその製薬上容認しうる塩 からなる上記組成物。
  8. 【請求項8】創傷治療用組成物において、 (イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンおよび90
    から10モル%の2′−デオキシグアノシンからなる混合
    物の少なくとも50モル%、 (ロ)2′−デオキシアデノシン、および (ハ)2′−デオキシチミジン、 からなり、前記2′−デオキシシチジン、2′−デオキシ
    グアノシン、2′−デオキシアデノシン、および2′−デ
    オキシチミジンの各々は、 (i) その遊離形 (ii) その3′,5′,または3′,5′ホスフェートエス
    テル誘導体、あるいは、 (iii) (i)または(ii)の置換誘導体、 あるいはその製薬上容認しうる塩として存在する、上記
    組成物。
  9. 【請求項9】胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍治療用医薬組
    成物において、 (1)(イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジン、およ
    び90から10モル%の2′−デオキシグアノシン; (ロ)2′−デオキシアデノシン;および (ハ)2′デオキシチミジン; あるいはその製薬上容認しうる塩、からなる混合物;お
    よび (2)(ロ)胃酸分泌拮抗物質; (ロ)細胞保護プロスタグランジン; (ハ)抗酸物質;および (ニ)潰瘍接着性複合体 からなる群から選ばれる抗潰瘍剤 からなる上記組成物。
  10. 【請求項10】胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍治療用医薬
    組成物において、 (1)(イ)10から90モル%の2′−デオキシシチジンと90か
    ら10モル%の2′−デオキシグアノシンとからなる混合
    物少なくとも50モル%、 (ロ)2′−デオキシアデノシンおよび (ハ)2′−デオキシチミジン (前記2′−デオキシミチジン、2′−デキシグアノシ
    ン、2′−デオキシアデノシン、および2′−デオキシチ
    ミジンの各々は、 (i) その遊離形 (ii) その3′,5′,または3′,5′ホスフェートエス
    テル誘導体、あるいは、 (iii) (i)または(ii)の置換誘導体、あるいはその製薬
    上容認しうる塩 として存在する)、および (2)(イ)胃酸分泌拮抗物質; (ロ)細胞保護プロスタグランジン; (ハ)抗酸物質;および (ニ)潰瘍接着性複合体 からなる群より選ばれる抗潰瘍剤 からなる上記組成物。
  11. 【請求項11】ローション、軟こう、ゲルあるいはクリ
    ームの形態にある請求の範囲第1項、第3項、第5項又
    は第7項記載の組成物。
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