JPH0635161B2 - タイヤ成形装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、タイヤを１箇所で成形できるタイヤ成形装置
に関するものである。

従来技術 走行接地面に対する耐パンク性を増強するために、メタ
ルコード内蔵のブレーカをトレッドとカーカスの間に一
体に介装したタイヤでは、ブレーカの剛性が高いので、
円筒状に形成されたカーカスにブレーカを接合した後
に、これをタイヤに近い形状に成形することが困難であ
り、その結果、円筒状に形成されたカーカスの巾方向中
央部を半径方向に膨出させて、カーカスをタイヤの外形
に近い形状に形成した後、ブレーカの外周面にトレッド
を付着したベルトをカーカスの外周面に嵌合して接合さ
せることによりタイヤを整形しなければならなかった。

発明が解決しようとする問題点 このようなタイヤを形成する場合、カーカスの巾方向中
央部を半径方向へ隆出させる前に、円筒状カーカスの両
側縁部にビートを嵌合し、バンドの両側縁部をビード周
りに巻付けなければならないが、このビード巻付けにプ
ッシャリングを用いると、カーカスを巻装する片持支持
のタイヤ成形ドラムの先端側に位置したプッシャリング
が、ブレーカおよびトレッドからなるベルトをカーカス
の外周面に嵌合して接合するのに邪魔となり、ブラダー
を用いなければならなかった。

ところがブラダーを用いて円筒状カーカスの両側縁部を
ビード周りに折返すと、この両側縁部をビードに強固に
締付けることができず、またナイロンチェーファを使用
してビード部を補強したタイヤを成形することが困難で
あった。

問題点を解決するための手段および作用 本発明は、このような難点を克服したタイヤ成形装置の
改良に係り、カーカスを巻装しタイヤ形状に近い形状に
形成する水平軸を中心として回転しうる片持支持式タイ
ヤプロファイル形成ドラムと、ブレーカとその外周にト
レッドを巻装し前記タイヤプロファイル形成ドラムの回
転軸の延長線を中心として回転しうる片持支持式トレッ
ドベルト形成ドラムと、該トレッドベルト形成ドラムの
外周に形成されたリング状トレッドベルトを該トレッド
ベルト形成ドラムより外しタイヤプロファイル形成ドラ
ムに移送してこれに嵌合させる天井走行型ベルト移送手
段と、前記タイヤプロファイル形成ドラムの基端部に遊
嵌される一方のプッシャリングおよび前記タイヤ形成ド
ラムの先端に嵌脱自在に遊嵌されるとともに前記ベルト
移送手段の走行の干渉を避けるように起伏自在に設けら
れた他方のプッシャリングとよりなるプッシャリング手
段とでタイヤ成形装置を構成したため、前記片持支持式
タイヤプロファイル形成ドラムを回転しつつこれにカー
カスを巻装した後、これをタイヤ形状に近い形状に形成
し、これを並行して前記片持支持式トレッドベルト形成
ドラムを回転しつつこれにブレーカとトレッドを巻装し
てリング状トッドベルトを形成し、前記プッシャリング
の他方のリングを倒伏させてから、前記トレッドベルト
形成ドラムに巻装されたトレッドベルトを前記天井走行
型ベルト移送手段により前記タイヤプロファイル形成ド
ラムに嵌合し、前記他方のプッシャリングを起立させ
て、両プッシャリングを相互に接近する方向に移動する
ことにより生タイヤを１箇所で成形することができる。

実施例 以下、図面に図示された本発明の一実施例について説明
する。

基礎１上に基台２が据付けられ、その基台２上の架枠３
の一側（第１図で右側）に配設された架台４に、１対の
軸受５によりタイヤプロファイル形成ドラム６が片持支
持式に回転自在に枢支されており、そのタイヤプロファ
イル形成ドラム６はモータ８により回転駆動されるよう
になっている。

しかもタイヤプロファイル形成ドラム６は左右分割され
てドラム軸７に支持されており、その分割部分６ａ，６
ｂはその内部に設けられたターンバックルの如き機構に
より相互に接近または離隔しうるようになっている。

またタイヤプロファイル形成ドラム６の延長線上に位置
して架枠３の他側（第１図で左側）に１対の軸受９を介
してトレッドベルト形成ドラム10が枢支されており、同
トレッドベルト形成ドラム10もモータ11により回転駆動
されるようになっている。

さらにタイヤプロファイル形成ドラム６とトレッドベル
ト形成ドラム10に亘って移動しうるように、架枠３の長
手方向へ往復自在に架枠３にベルト移送台12が吊設さ
れ、トレッドベルト形成ドラム10に形成されたリング状
トレッドベルトの外周を嵌脱自在に掴持しうるベルト支
持部13がベルト移送台12に付設されており、図示されな
い移動駆動機構により、ベルト移送台12はトレッドベル
ト形成ドラム10とタイヤプロファイル形成ドラム６とを
往復しうるようになっている。

なお前記左右分割タイヤプロファイル形成ドラム６ａ，
６ｂにはそれぞれブラダー14が付設されている。

さらにタイヤプロファイル形成ドラム６の基部には、一
方のプッシャリング15がタイヤプロファイル形成ドラム
６に遊嵌されたままその長手方向に沿って移動しうるよ
うに基台２のガイドレール17に支持されており、基台２
には付設された駆動シリンダ18によりプッシャリング15
は往復駆動されるようになっている。

さらにまたタイヤプロファイル形成ドラム６の先端側に
は、他方の起倒式プッシャリング16がタイヤプロファイ
ル形成ドラム６の長手方向に沿い嵌脱自在に遊嵌しうる
ように起倒式プッシャリング16の基部19はガイドレール
17に支持されており、ベルト移送台12はガイドレール17
から浮上らずに基台２に付設された駆動シリンダ20によ
り往復駆動されるようになっている。

しかも起倒式プッシャリング16の基部19の奥側（第１図
において）に１対のブラケット21が突設され、起倒式プ
ッシャリング16のアーム23は軸22によって上下に起伏自
在に枢支されるとともに、ブラケット21に付設された起
伏シリンダ24のピストン杆25の先端に枢着されており、
起伏シリンダ24の動作でピストン杆25を伸縮させると、
起倒式プッシャリング16は軸22を中心として起立または
倒伏されるようになっている。

またタイヤプロファイル形成ドラム６のドラム軸７の先
端近くで、その奥側から手前側（第１図において）に向
ってドラム支持アーム26が進退自在に設けられており、
タイヤプロファイル形成ドラム６にカーカスを巻装する
場合には、ドラム支持アーム26はドラム軸７の先端を回
転自在に枢支しうるようになっている。

図示の実施例は前記したように構成されているので、ベ
ルト移送台12および起倒式プッシャリング16をタイヤプ
ロファイル形成ドラム６より左方へ抜出し、左右分割タ
イヤプロファイル形成ドラム６ａ，６ｂを相互に離隔
し、ブラダー14を収縮し、ドラム軸７をドラム支持アー
ム26にて枢支した状態において、モータ８によりタイヤ
プロファイル形成ドラム６を回転させながらその周面に
カーカス27を巻装して、円筒状に形成し、この円筒状カ
ーカス27の両側縁部にビード28を嵌合した後、ブラダー
14を膨張させれば、カーカス27の両側縁部をビード28に
巻付けることができる。

これと並行して同時に、トレッドベルト形成ドラム10を
モータ11により回転させながらその周面にブレーカ29お
よびトレッド30を順次巻装すれば、リング状トレッドベ
ルト31を形成することができる。

次にトレッドベルト形成ドラム10上のリング状トレッド
ベルト31をベルト支持部13に嵌合支持するとともに、ド
ラム支持アーム26を奥側に後退させてドラム支持アーム
26によるドラム軸７の先端枢支状態を解除し、起伏シリ
ンダ24を短縮して軸22を中心に起倒式プッシャリング16
を奥側に倒伏させてから、ベルト移送台12を右方に移動
すれば、リング状トレッドベルト31をタイヤプロファイ
ル形成ドラム６上の円筒状カーカス27に遊嵌することが
できる。

さらに起伏シリンダ24を伸長させて軸22を中心として起
倒式プッシャリング16を手前側に起立させてから、起倒
式プッシャリング16を右方へ移動させれば、起倒式プッ
シャリング16をタイヤプロファイル形成ドラム６に遊嵌
することができる。

それから左右分割のタイヤプロファイル形成ドラム６
ａ，６ｂを相互に接近させると、タイヤプロファイル形
成ドラム６上の円筒状カーカス27の巾中央部が半径方向
へ膨張されて、カーカス27はタイヤの形状に形成される
とともに、カーカス27の巾中央部はリング状トレッドベ
ルト31の内周面に接合される。

最後にタイヤプロファイル形成ドラム６を回転させなが
らプッシャリング15，起倒式プッシャリング16を相互に
接近させると、タイヤの形状に近い形状に形成されたカ
ーカス27の両側縁部はビード28に強く締付けられ、ビー
ド部が強固に構成された生タイヤが成形される。

このように１箇所において、カーカス27をタイヤ形状に
近い形状に形成するとともにリング状トレッドベルト31
をもこれと同時に成形でき、しかも両方のカーカス27，
リング状トレッドベルト31を一体に接合して生タイヤを
成形できるので、狭い場所で、能率良く容易に生タイヤ
を成形することができ、生タイヤの製造コストを大巾に
低減することができる。

発明の効果 このように本発明によれば、カーカスをタイヤ形状に近
い形状に形成すると同時に、これに隣接してリング状ト
レッドベルトを形成することができ、このリンク状トレ
ッドベルトを移送してタイヤ形状に近い形状に形成され
たカーカスに嵌合して生タイヤを１個所で成形できるの
で、広い設置空間を必要とせずに能率良く生タイヤを成
形することができる。

また本発明によれば、プッシャリングによりカーカスの
両側縁部をビードに巻付けてこれを強く締付けることが
できるので、ビード部の品質が高い生タイヤを容易に成
形することができる。

さらに本発明によれば、ナイロンチェーファを使用して
ビード部を補強したタイヤを成形することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るタイヤ成形装置の一実施例を図示
した正面図、第２図はその右部拡大正面図、第３図は第
２図のIII−III矢視図、第４図は前記実施例の左部拡大
裏面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ矢視図、第６図ないし
第10図はその製造工程を図示した説明図である。 １……基礎、２……基台、３……架枠、４……架台、５
……軸受、６……タイヤプロファイル形成ドラム、７…
…ドラム軸、８……モータ、９……軸受、10……トレッ
ドベルト形成ドラム、11……モータ、12……ベルト移送
台、13……ベルト支持部、14……ブラダー、15……プッ
シャリング、16……起倒式プッシャリング、17……ガイ
ドレール、18……駆動シリンダ、19……基部、20……駆
動シリンダ、21……ブラケット、22……軸、23……アー
ム、24……起伏シリンダ、25……ピストン杆、26……ド
ラム支持アーム、27……カーカス、28……ビード、29…
…ブレーカ、30……トレッド、31……リング状トレッド
ベルト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カーカスを巻装しタイヤ形状に近い形状に
   形成し水平軸を中心として回転しうる片持支持式タイヤ
   プロファイル形成ドラムと、ブレーカとその外周にトレ
   ッドを巻装し前記タイヤプロファイル形成ドラムの回転
   軸の延長線を中心として回転しうる片持支持式トレッド
   ベルト形成ドラムと、該トレッドベルト形成ドラムの外
   周に形成されたリング状トレッドベルトを該トレッドベ
   ルト形成ドラムより外しタイヤプロファイル形成ドラム
   に移送してこれに嵌合させる天井走行型ベルト移送手段
   と、前記タイヤプロファイル形成ドラムの基端部に遊嵌
   される一方のプッシャリングおよび前記タイヤ形成ドラ
   ムの先端に嵌脱自在に遊嵌されるとともに前記ベルト移
   送手段の走行の干渉を避けるように起伏自在に設けられ
   た他方のプッシャリングとよりなるプッシャリング手段
   とで構成されたことを特徴とするタイヤ成形装置。