JPH06350803A - ラインイメージセンサ - Google Patents

ラインイメージセンサ

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JPH06350803A
JPH06350803A JP5140665A JP14066593A JPH06350803A JP H06350803 A JPH06350803 A JP H06350803A JP 5140665 A JP5140665 A JP 5140665A JP 14066593 A JP14066593 A JP 14066593A JP H06350803 A JPH06350803 A JP H06350803A
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JP
Japan
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conversion element
image sensor
light
line image
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Application number
JP5140665A
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Inventor
Hiroya Shimizu
浩也 清水
Tatsuya Nagata
達也 永田
Michihiro Watanabe
道弘 渡邊
Satoru Hashimoto
悟 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 読み取り出力が経時的に変動せず、安定な光
電変換素子を有するラインイメージセンサと、それを用
いた製品の小形低価格化を達成する。 【構成】 透光性基板101上に形成され、対象からの
反射光100aを光電変換する第1の光電変換素子1
と、入射光100bを光電変換する第2の光電変換素子
2とを電気的に接続し、これらに直列的に電圧を供給し
て、接続点から信号を取り出す構成のラインイメージセ
ンサにおいて、光電変換素子1、2の光照射に起因する
光劣化の程度を概略等しくした。また、素子1、2への
入射光照度または入射光子数を、或いは、素子1、2の
活性層を形成する半導体のバンドギャップ中のフェルミ
エネルギーのエネルギーレベルを概略等しくしてもよ
い。 【効果】 光電変換素子の光劣化による読み取り信号の
経時変化が生じないので、必要な外部の補正手段が不要
となり、低価格の画像読み取り装置を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラインイメージセンサに
係り、例えばファクシミリ、イメージリーダ、デジタル
式複写機等の画像読み取り部に適用される画像読み取り
装置、特に密着型ラインイメージセンサを採用した画像
読み取り部に適用されるラインイメージセンサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種のラインイメージセンサは、例え
ば日経エレクトロニクスのNo.434(1987年1
1月6日)の第207項から第221項に論じられてい
るものがある。この例では、アモルファスシリコン(以
下a−Siと略す)からなる光導電型光電変換素子等を
透明基板上に形成し、透明基板の、光電変換素子と反対
側に配置した光源によって、透明基板を通して原稿を照
明し、その反射光を光電変換素子に取り込んで光電変換
することによって読み取りを行っている。
【0003】また、特開平3−94572号公報に記載
のものは、光信号を光電変換する光電変換素子と、基準
出力を得るための光電変換素子と、基準出力を得るため
の光電変換素子からの出力をもとにして光信号を光電変
換する光電変換素子の出力を補正する手段とを有してお
り、これにより、温度変化、光源の放射強度のばらつき
の影響を受けない光センサを提供することを目的として
いる。
【0004】さらに、特開平3−96061号公報に記
載の読み取りセンサは、原稿からの反射光を光電変換す
る光電変換素子と、光源からの直接光を光電変換する光
電変換素子とを直列に接続した読み取り系を持ってい
る。この読み取りセンサも光源の放射強度のばらつきの
影響を受けない光センサを提供することを目的としてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図18に、従来のこの
種の光電変換素子を用いたラインイメージセンサの一例
の平面図(図18(A))、及び断面図(図18
(B))を示す。この例では、透光性のガラス基板10
1の上に光電変換素子1等が形成されており、透光性基
板101の背後から、原稿104を照明光100により
照射する。このとき原稿104の濃度に応じた反射光が
光電変換素子1の活性層であるa−Si109に入射
し、この入射光量に応じて流れる光電流を信号電荷の蓄
積容量3に蓄積し、この大小から、原稿の画像情報を読
み取っている。しかしながら、a−Siに代表される非
晶質半導体には、アプライド・フィジックス・レター、
31,4(1977年)第292項から第294項(A
ppl.Phys.Lett.,31,4(1977)
pp.292−294)に報告されているように、光照
射により、光導電率、つまり光電流が低下する、いわゆ
る光劣化現象が存在していることが知られている。な
お、図中の符号で、4はグランド線、6は電源線、7は
画像読み取り信号の取り出し線、8はゲート電極の電位
制御線、102、103は保護(絶縁)層、105はプ
ラテンローラ、107は電場制御電極、108、110
は保護(絶縁)層、111はオーミックコンタクト層、
112、112bは電極である。
【0006】この現象のため、上記従来技術による画像
読み取り信号は、経時的に変化することが避けられず、
特に、原稿の画像情報の濃淡に応じた、多階調読み取り
を行う場合には重大な障害となっており、一般には、上
記光電変換素子からなる画像読み取り装置を使用する際
には、あらかじめ特定の濃度の対象、例えば白色の原稿
を読み取った時の読み取り出力をメモリに蓄え、実際に
原稿を読み取る時には、メモリに蓄えられた読み取り出
力の値を参照し、あたかも光劣化に起因する読み取り出
力の経時変化が生じていないかのように補正を行った
り、読み取る原稿1枚毎に、原稿搬送のための白色のプ
ラテンローラの表面を読み取って、白原稿の基準出力を
得ていた。
【0007】上記従来技術は、光電変換素子を使用する
こと、つまり、光電変換素子に光が入射することによっ
て生じる光劣化について考慮されておらず、光電変換素
子の光電変換能力が低下し、結果的にラインイメージセ
ンサの読み取り出力が経時的に変動するという問題があ
った。
【0008】本発明の目的は、読み取り出力が経時的に
変動することのない、安定な光電変換素子を有するライ
ンイメージセンサを提供することにあり、特にラインイ
メージセンサを構成する光電変換素子のレベルで光劣化
を自動的に補正することにある。
【0009】また上記従来技術は、ラインイメージセン
サの読み取り出力の光劣化による経時的変化を補正する
ために、あらかじめ初期の読み取り出力を記憶し、読み
取り出力の経時変化を補正していた。このため、専用の
メモリと余分な工程が必要であり、最終的には、上記光
電変換素子を用いた製品の価格を増大させるという問題
があった。
【0010】また上記従来技術は、ラインイメージセン
サの読み取り出力の光劣化による経時的変化を補正する
ために、読み取る原稿1枚毎に、原稿搬送のための白色
のプラテンローラの表面を読み取って、白原稿の基準出
力を得るという動作を行っていたが、プラテンローラの
表面は、当初白色のものであっても、使用にともなって
表面が汚れるため、結果的に白基準の出力が変動すると
いう問題点があった。
【0011】また上記従来技術は、読み取る原稿1枚毎
に、原稿搬送のための白色のプラテンローラの表面を読
み取って、白原稿の基準出力を得るという動作を行って
いたが、このために、例えばファクシミリ等の駆動シー
ケンスが複雑になり、これを制御するためのソフトウェ
アも複雑で高価なものとなるため、このラインイメージ
センサや画像読み取り装置、ファクシミリ装置等の価格
が高価になるという問題点があった。
【0012】さらに上記従来技術で用いられている白色
のプラテンローラは、通常の黒色等のプラテンローラに
比べて価格が高く、その結果、このようなプラテンロー
ラを使用するラインイメージセンサや画像読み取り装
置、ファクシミリ装置等の価格が高価になるという問題
点があった。
【0013】本発明の他の目的は、読み取り出力が経時
的に変動することのない、安定な光電変換素子を有する
ラインイメージセンサを提供すると共に、余分なメモリ
や工程を不要にし、低価格な製品を提供することにあ
る。
【0014】また、本発明の他の目的は、白原稿の基準
を得るための、原稿1枚毎のプラテンローラ表面の読み
取りシーケンスや、価格の高い白色のプラテンローラの
使用を不要にし、読み取りシーケンスを制御するソフト
ウェアを簡略化し、プラテンローラ等の部品も安価なも
のとし、低価格な製品を提供することにある。
【0015】また、上記他の従来技術は、光源の放射強
度ばらつきが存在する場合にも、読み取るべき原稿等の
濃度に対応した一定の読み取り出力を得ることができる
が、画像情報を担った対象からの光信号を光電変換する
光電変換素子と、照明手段からの光を光電変換する光電
変換素子で、光劣化の程度が異なるために、これによる
経時的な出力の変動を避けることができないという問題
があった。
【0016】さらに、上記他の従来技術は、光電変換素
子の出力を補正するための特別な手段が必要であり、そ
のため、上記従来技術を用いた製品の価格を増大させる
という問題があった。
【0017】本発明の他の目的は、特別な補正手段を用
いることなく、温度変化や、光源の放射強度のばらつき
が存在する場合にも、読み取るべき原稿等の濃度に対応
した一定の読み取り出力を得ることのみならず、簡単な
構成で、経時的な読み取り出力の変動のない光電変換素
子を用いたラインイメージセンサを、低価格で提供する
とともに、このラインイメージセンサを用いた画像読み
取り装置やファクシミリ装置等を低価格で提供すること
にある。
【0018】
【課題を解決するための手段】これらの目的を達成する
ために本発明のラインイメージセンサは、読み取るべき
画像情報を持った対象を照明するための照明手段を備
え、前記対象からの反射光を光電変換する第1の光電変
換素子と前記照明手段からの入射光を光電変換する第2
の光電変換素子とを電気的に接続し、前記第1の光電変
換素子と前記第2の光電変換素子とに直列的に電圧を供
給して、接続点から信号を取り出す構成とした受光素子
を複数個有するラインイメージセンサにおいて、前記第
1の光電変換素子と前記第2の光電変換素子との光照射
に起因する光劣化の程度が概略等しいことを特徴とする
ものである。
【0019】また、前記第1の光電変換素子への入射光
照度と前記第2の光電変換素子への入射光照度または入
射光子数が概略等しいことを特徴とするものである。
【0020】また、前記第1の光電変換素子と前記第2
の光電変換素子の活性層が半導体で形成されており、前
記第1の光電変換素子を構成する半導体のバンドギャッ
プ中のフェルミエネルギーのエネルギーレベルと、前記
第2の光電変換素子を構成する半導体のバンドギャップ
中のフェルミエネルギーのエネルギーレベルとが概略等
しいことを特徴とするものである。
【0021】また、前記第1の光電変換素子と前記第2
の光電変換素子とは、それぞれ活性層を備えた光導電型
光電変換素子であり、前記第1の光電変換素子の活性層
に誘起される電場と前記第2の光電変換素子の活性層に
誘起される電場とが概略等しいことを特徴とするもので
ある。
【0022】また、前記第1の光電変換素子と前記第2
の光電変換素子とは、それぞれ活性層の電場を制御する
電場制御電極を備えており、前記それぞれの電場制御電
極の電位を制御することにより、前記第1の光電変換素
子と前記第2の光電変換素子との内部の活性層に、任意
の強度の電場が誘起された状態で使用することを特徴と
するものである。
【0023】また同時に、前記第1の光電変換素子と前
記第2の光電変換素子とにそれぞれ備えている前記電場
制御電極の電位は、いずれか一方がグランドの電位で、
他方が前記接続点の電位であることを特徴とするもので
ある。
【0024】また、前記第1の光電変換素子と前記第2
の光電変換素子との間の距離が、前記画像情報を持った
対象と前記第1の光電変換素子との距離に対して、概略
等しいかまたは大きいことを特徴とするものである。
【0025】また、前記照明手段からの光を前記第2の
光電変換素子に導入する反射面を設けたことを特徴とす
るものである。
【0026】また同時に、前記第2の光電変換素子と前
記反射面との間の距離が、前記第1の光電変換素子と前
記読み取るべき画像情報を持った対象との間の距離に比
べて、概略等しいかまたは小さいことを特徴とするもの
である。
【0027】また、上記の目的は、前記ラインイメージ
センサにおける前記受光素子の信号を外部に取り出す読
み出し手段を、同一の基板上に備えたことを特徴とする
画像読み取り装置、あるいは、前記画像読み取り装置を
画像記録部とともに筺体内に収納していることを特徴と
するファクシミリ装置により達成される。
【0028】
【作用】上記の構成によれば、電気的に直列に接続され
た、入射した光信号を光電変換するための第1の光電変
換素子と照明手段からの光を光電変換するための第2の
光電変換素子の、光照射に起因する光劣化の程度を概略
等しくすることによって、たとえ個々の光電変換素子に
光劣化が生じ、その光照射状態及び暗状態の電気伝導率
が低下しても、第1と第2の光電変換素子の電気伝導率
の比または電気抵抗の比は変化せず、従って、ラインイ
メージセンサの読み取り出力である光電変換素子の接続
点の電位は一定となり、光劣化の影響のない光電変換素
子を構成でき、光劣化の影響のないラインイメージセン
サとなる。
【0029】また、第1の光電変換素子と第2の光電変
換素子への入射光照度または入射光子数を概略等しくす
ることにより、光照射により生成されるフォトキャリア
(電子及び正孔)の密度が、第1及び第2の光電変換素
子で概略等しくなり、その結果、フォトキャリアの再結
合速度も等しくなるため、光劣化の原因である、再結合
時に放出される結合エネルギーにより生成される半導体
中の欠陥準位密度の増加速度が等しくなり、最終的に各
々の光電変換素子の光劣化の程度を概略等しくすること
ができるので、光劣化の影響のない光電変換素子を構成
でき、光劣化の影響のないラインイメージセンサを提供
できる。
【0030】また、第1の光電変換素子を構成する半導
体のバンドギャップ中のフェルミエネルギーのエネルギ
ーレベルと、第2の光電変換素子を構成する半導体のバ
ンドギャップ中のフェルミエネルギーのエネルギーレベ
ルとを概略等しくすることにより、光電変換素子内部に
生成されたフォトキャリアの再結合速度が、それぞれの
光電変換素子で概略等しくなり、その結果生成される半
導体中の欠陥準位密度の増加速度が等しくなり、最終的
に2種の光電変換素子の光劣化の程度を概略等しくする
ことができ、光劣化の影響のない光電変換素子を構成で
き、光劣化の影響のないラインイメージセンサを提供で
きる。
【0031】また、第1の光電変換素子と第2の光電変
換素子を共に光導電型光電変換素子とし、第1の光電変
換素子の活性層に誘起される電場と第2の光電変換素子
の活性層に誘起される電場を概略等しくすると、光電変
換素子の電極から光電変換素子を構成する半導体へ注入
されるキャリアの密度が、それぞれの光電変換素子で概
略等しくなるので、フォトキャリアの再結合速度が、そ
れぞれの光電変換素子で概略等しくなり、その結果生成
される半導体中の欠陥準位密度の増加速度が等しくな
り、最終的に2種の光電変換素子の光劣化の程度を概略
等しくすることができ、光劣化の影響のない光電変換素
子を構成でき、光劣化の影響のないラインイメージセン
サを提供できる。
【0032】また、第1の光電変換素子と第2の光電変
換素子にそれぞれ電場制御電極を備え、これらの電場制
御電極の電位を制御し、それぞれの光電変換素子内部に
任意の強度の電場を誘起すると、光電変換素子を構成す
る半導体内部のバンド構造を湾曲させることができ、第
1の光電変換素子を構成する半導体のバンドギャップ中
のフェルミエネルギーのエネルギーレベルと第2の光電
変換素子を構成する半導体のバンドギャップ中のフェル
ミエネルギーのエネルギーレベルを概略等しくすること
により、光電変換素子内部に生成されたフォトキャリア
の再結合速度が、それぞれの光電変換素子で概略等しく
なり、その結果生成される半導体中の欠陥準位密度の増
加速度が等しくなり、最終的に2種の光電変換素子の光
劣化の程度を概略等しくすることができ、光劣化の影響
のない光電変換素子を構成でき、光劣化の影響のないラ
インイメージセンサを提供できる。
【0033】また、第1の光電変換素子がグランド電位
側に、第2の光電変換素子が電源電位側に接続されてい
る場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場制御電
極の電位をそれぞれグランドの電位及び2個の光電変換
素子の接続点の電位とし、第1の光電変換素子が電源電
位側に、第2の光電変換素子がグランド電位側に接続さ
れている場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場
制御電極の電位をそれぞれ2個の光電変換素子の接続点
の電位及びグランドの電位とすると、それぞれの光電変
換素子を薄膜トランジスタと見なした時に、これらの電
場制御電極つまりゲート電極の電位が、それぞれの薄膜
トランジスタのソース電極の電位と等しいことになるの
で、それぞれの光電変換素子を構成する半導体のバンド
ギャップ中のフェルミエネルギーのエネルギーレベルを
概略等しくするができ、光電変換素子内部に生成された
フォトキャリアの再結合速度が、それぞれの光電変換素
子で概略等しくなり、その結果生成される半導体中の欠
陥準位密度の増加速度が等しくなり、最終的に2種の光
電変換素子の光劣化の程度を概略等しくすることがで
き、光劣化の影響のない光電変換素子を構成でき、光劣
化の影響のないラインイメージセンサを提供できる。
【0034】また、第1の光電変換素子がグランド電位
側に、第2の光電変換素子が電源電位側に接続されてい
る場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場制御電
極の電位をそれぞれグランドの電位及び2個の光電変換
素子の接続点の電位とし、第1の光電変換素子が電源電
位側に、第2の光電変換素子がグランド電位側に接続さ
れている場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場
制御電極の電位をそれぞれ2個の光電変換素子の接続点
の電位及びグランドの電位とすると、それぞれの光電変
換素子を薄膜トランジスタと見なした時に、これらの電
場制御電極つまりゲート電極の電位が、それぞれの薄膜
トランジスタのソース電極の電位と等しいくなるので、
フォトキャリアに起因する光電流がチャンネル電流に比
べ十分大きくなり、光電変換素子への光の入射の有る無
しによる明暗比が大きくなり、感度の大きいラインイメ
ージセンサが構成できる。
【0035】また、読み取るべき画像情報を持った対象
のある点で散乱反射された光信号は、第1の光電変換素
子へ入射すると共に、画像情報を持った対象と第1の光
電変換素子の距離程度の半径を持つ円内に拡散する。そ
のため、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の間
の距離が、この半径よりも小さければ、読み取るべき画
像情報を担った散乱反射光が、本来入射すべき第1の光
電変換素子のみならず第2の光電変換素子にも入射し、
照明手段からの光を光電変換するというこの光電変換素
子の働きが妨げられることになる。従って第1の光電変
換素子と第2の光電変換素子の距離を、画像情報を持っ
た対象と第1の光電変換素子の距離と比べ、概略等しい
かまたは大きくすると、照明手段からの光を光電変換す
るという第2の光電変換素子の働きが妨げられることが
ない。
【0036】また、第2の光電変換素子に照明手段から
の光を反射し導入するための反射面を設けると、この反
射面の幾何学的配置や反射率を設定することにより、第
2の光電変換素子への入射光の照度や入射光子数を任意
に制御できるため、第2の光電変換素子の光劣化の程度
を制御でき、第1の光電変換素子と光劣化の程度を概略
同一にすることが可能となり、光劣化による出力の経時
変化のない光電変換素子を構成でき、光劣化による出力
の経時変化のないラインイメージセンサを提供できる。
【0037】また、第2の光電変換素子と反射面の間の
距離を、第1の光電変換素子と読み取るべき画像情報を
持った対象、例えば原稿表面の間の距離に比べ、概略等
しいかまたは小さくすると、原稿に不必要な湾曲つまり
曲がり癖をつけることなく、紙詰まり等の搬送不良を生
じることなく、安定な搬送と読み取りを行うことができ
る。
【0038】また、本発明のラインイメージセンサによ
り読み取られた画像情報の読み取り信号を外部に取り出
す読みだし手段を、同一の基板上に配置することによ
り、外部にそのような手段を設ける場合に比べ、画像読
み取り装置のサイズを小型化でき、設計の自由度が増
す。また、ラインイメージセンサの製造プロセスと読み
取り信号の読み出し手段の製造プロセスを同一の工程で
行うことができるので、製造コストの低減が可能とな
る。
【0039】また、本発明のラインイメージセンサによ
る画像読み取り装置を、画像記録部と共にファクシミリ
装置の筺体内に収納することにより、光劣化による画像
情報の経時変化のないファクシミリ装置を提供でき、ま
た、通常1枚の原稿読み取り毎に必要な、白原稿の出力
基準値設定のための、白色プラテンローラ表面の読み取
りによる白基準読み取りや原稿先端部分の白基準読み取
りが不要になり、原稿読み取りの動作シーケンスが簡略
になり、このためのソフトウェアも簡略化できる。ま
た、白原稿の基準値設定のための白色プラテンローラ表
面の読み取りが不要になるため、プラテンローラに、価
格の低い、黒色等のものを用いることができ、製品の価
格を低減できる。
【0040】
【実施例】以下、本発明のいくつかの実施例を、図面を
参照して説明する。図1は、本発明のラインイメージセ
ンサの一実施例に関する平面図(A)及び断面図(B)
である。全体構成は、透光性基板101の上に第1の光
電変換素子1及び第2の光電変換素子2が形成してあ
り、両者を電気的に直列に接続する構成となっている。
これら光電変換素子上には、保護層110、102、1
03、及び、図示していない照明手段の光100bを第
2の光電変換素子2に導くための反射面106が形成さ
れており、原稿104をプラテンローラ105によりラ
インイメージセンサに押し付けている。なお、照明手段
は図示していないが、これらの光電変換素子に対し、透
光性基板の反対側に配置されており、一般には、蛍光
灯、LED等の発光素子アレイが用いられる。
【0041】照明手段からの照射光100aは、ライン
イメージセンサの透光性基板101及び保護層110、
102、103を通して、読み取りを行う原稿104の
表面を照射し、表面の濃度に対応して散乱反射され、第
1の光電変換素子1に入射して光電変換される。同時
に、照明手段からの照射光100bは、ラインイメージ
センサの透光性基板101及び保護層110、102を
通して、反射面106により反射され、第2の光電変換
素子2に入射し光電変換される。このとき、反射面10
6の表面は、原稿104の表面のように、画像情報を担
っているのではなく、全面に渡って一定の反射率を持っ
ているため、常に、照明手段の光の放射強度に応じた反
射光が第2の光電変換素子2に入射することになる。
【0042】ここで、図1(A)の平面図では、分かり
やすいように、透光性基板101、絶縁層(保護層)1
08、110、102、103、光電変換層109a、
109b、オーミックコンタクト層111a、111
b、原稿104、プラテンローラ105は省略してあ
り、光電変換素子1、2も主走査方向に沿った2個を示
すにとどめてある。
【0043】一般のファクシミリのG3規格の原稿読み
取りでは、主走査方向には、1mmあたり8個の画素が
あるため、これらの光電変換素子1及び2も同様の密度
で主走査方向に並んでいる。従って、A4判、B4判サ
イズの原稿読み取り用のラインイメージセンサでは、そ
れぞれ約1728個、約2048個の光電変換素子1及
び2が並んでいる。
【0044】各々の光電変換素子は同一の構造をしてお
り、透光性基板101上に遮光層を兼ねた電場制御電極
107a、107b、絶縁層108、光電変換層109
a、109b、オーミックコンタクト層111a、11
1b、電極112a、112bを形成し、IC等のパタ
ーン形成で用いられるのと同様なフォトリソグラフィー
技術を用いて、所定のパターンに形成している。なお、
上記光電変換素子の各部分は、第1の光電変換素子に関
するものは符号にaを付し、第2の光電変換素子に関す
るものはbを付することで区別している。
【0045】図1に示した、これらの光電変換素子は、
入射光の大小を検出するという機能に関する点を除いて
は、アクティブマトリックス駆動型の液晶ディスプレイ
等に用いられる絶縁ゲート型トランジスタである薄膜ト
ランジスタ(TFT)の構造とほぼ同じである。これら
の光電変換素子は、光信号を電気信号に変換できるもの
で、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の特性が
同じであればどのようなものでもよく、光起電力型或い
は光導電型のものを含む。その構成としては、プレーナ
型或いはサンドイッチ型の形状で、ショットキーバリア
タイプ、MISタイプ、PNタイプ、PINタイプ、及
び図中に示した絶縁ゲート型トランジスタタイプ等をも
含む。
【0046】光電変換素子の活性層である光電変換層1
09a、109bとしては、それぞれの光電変換素子の
特性が同じものであれば、例えば、非晶質半導体材料で
あるアモルファスシリコン(a−Si)、アモルファス
シリコンカーバイド(a−SiC)、アモルファスシリ
コンゲルマニウム(a−SiGe)、アモルファスシリ
コンゲルマニウムカーバイド(a−SiGeC)等があ
り、これらは水素、または水素及びハロゲンにより補償
されたものが好ましい。また、CdS、CdSe、Se
AsTe、ZnSe等の化合物半導体でもよい。
【0047】絶縁層108、110としては、例えば窒
化シリコン(SiN)、二酸化シリコン(SiO2)、
酸化アルミニウム(Al23)、ポリイミド、エポキシ
等が用いられ、保護層102にはポリイミドまたはエポ
キシ等の、非電導性の絶縁材料または接着剤を用いても
よい。保護層103は板ガラスまたは透明樹脂フィルム
等を配置、接着してもよいが、静電気による画像読み取
りの異常や光電変換素子の破壊を防止するために、その
下部に酸化錫を添加した酸化インジウム(ITO)層を
設け、これを接地電極とすることが望ましい。
【0048】次に、図1とともに、本実施例の光電変換
素子の構成を等価回路で置き換えて描いた図2を用い
て、本発明を詳しく説明する。図1及び図2中で、符号
4から7は、グランド線4、第1の光電変換素子の電場
制御電極107aである遮光層またはゲート電極の電位
制御線5、電源線6及び画像読み取り信号の取り出し線
7を示している。使用時には、グランド線4はグランド
の電位に、電源線6は電源の電位Vdに保って使用す
る。このような構成を取ると、画像読み取り信号の取り
出し線7の電位Voは、第1の光電変換素子の電気抵抗
Raと第2の光電変換素子の電気抵抗Rbを用いて、 Vo=(Vd)/{1+(Rb/Ra)}‥‥‥(1) と表される。
【0049】従って、第1の光電変換素子1と第2の光
電変換素子2へのそれぞれの入射光100a、100b
の照度に比例関係が成り立てば、たとえ光源自身の放射
強度が変動しても、電位Voはこれには依存せず、画像
情報を担った原稿表面の濃度にのみ依存することにな
る。ここで、それぞれの光電変換素子への入射光100
a、100bの照度は、これらが同一の光源から放射さ
れていることから、光源の放射強度が変動しても比例関
係が保証される。そして、蓄積容量3の容量値をCとす
れば、原稿の濃度に応じた電位VoによりC×Voなる
電荷が、ここに蓄積され、これが画像読み取り信号とな
る。この信号電荷も、画像情報を担った原稿表面の反射
率にのみ依存していることはもちろんである。
【0050】なお、図1及び図2中では、蓄積容量3
を、第1の光電変換素子と第2の光電変換素子の接続点
と電源線の間に形成してあるが、蓄積容量の電極の一方
が一定電位の点でありさえすればよく、例えば、接続点
とグランド線4の間に形成してもよい。またこの例で
は、第1の光電変換素子の電場制御電極107aはグラ
ンドの電位に、第2の光電変換素子の電場制御電極10
7bは2個の光電変換素子の接続点の電位としている
が、このように一定の電位に固定するのではなく、図3
に示したように、第1及び第2の光電変換素子の遮光層
またはゲート電極の電位をそれぞれ電位制御線5、8に
より外部から制御してもよいのは当然である。
【0051】このような構成を取った場合でも、個々の
光電変換素子は、ラインイメージセンサの使用時に光の
照射を受けることから、光劣化を生じ、電気伝導率の低
下、つまり光電変換素子の電気抵抗の増加が生じる。従
って、図18に示すような、単一の光電変換素子を用い
ている従来のラインイメージセンサでは、長時間の使用
に伴う読み取り出力の変動が避けられない。本発明の根
幹をなすのは、光劣化を生じる複数の光電変換素子を組
み合わせることにより、全体として画像読み取り特性に
変動が生じないようにする点である。ここで示した実施
例について説明すると、第1の光電変換素子と第2の光
電変換素子の光劣化が同一の速度で進行する限り、数式
1内の光電変換素子の電気抵抗の比Rb/Raは、一定
の濃度の原稿に対しては常に一定の値となり、光劣化に
よる影響が読み取り信号の電位Voには現れない。
【0052】非晶質半導体の光劣化は、半導体中に生成
されたフォトキャリアである電子と正孔が再結合する際
に放出されるエネルギーにより、半導体を構成する原子
間の結合が切断され、これが半導体のエネルギーバンド
ギャップ中の局在準位となるため、結果的にフォトキャ
リアの寿命、密度が低下するためであることが知られて
いる。従って、光劣化の進行を律速するのは、フォトキ
ャリアの密度を決定する、照射される光の照度、光子
数、フォトキャリアの再結合速度を決定するバンドギャ
ップ中のフェルミエネルギーのエネルギーレベル及び系
の温度である。これらのパラメータが第1の光電変換素
子と第2の光電変換素子で等しければ、これらの光電変
換素子の劣化の速度も等しくなるので先に述べたよう
に、光劣化の影響が読み取り信号の電位Voに現れるこ
とはない。但し、このうち、温度に関しては、第1及び
第2の光電変換素子において、ほぼ同一と考えられるの
で、このようなラインイメージセンサの設計に際して
は、照射光の照度、光子数及びフェルミエネルギーのレ
ベルを等しくすることが重要となる。
【0053】第1の光電変換素子への入射光の照度また
は光子数は、反射面からの一定の照度の光または光子数
が入射する第2の光電変換素子とは異なり、読み取る原
稿の反射率によって変わってくるのは当然である。従っ
て、多様な反射率つまり濃度を持つ原稿を読み取る場合
に、第1及び第2の光電変換素子への入射光を常に等し
くすることは実際には困難である。しかしながら、一般
に使用されている画像情報を担った原稿では、全体の面
積の95%程度が白色であり、残りの数%以下の部分が
黒に代表される低反射率の領域であることが知られてい
る。従って、ラインイメージセンサの光劣化を支配する
のは、この大部分を占める白色の領域だと考えてよい。
このため、本発明に示すようなラインイメージセンサで
は、第1及び第2の光電変換素子の光劣化の程度を概略
等しくすることを考慮すべきなのは、反射率の高い白色
の原稿に対してのみでよいことがわかる。
【0054】図1の実施例では、光源から、第1及び第
2の光電変換素子へ入射する光の照度または光子数を等
しくするため、光源から照射され、原稿により散乱され
た光が第1の光電変換素子に入射するのと同様に、本発
明において設けられた反射面106により散乱された光
が第2の光電変換素子に入射するようにしている。この
とき、原稿104と第1の光電変換素子の距離に比べ、
反射面106と第2の光電変換素子の距離が小さいた
め、一般には、第2の光電変換素子への入射光量が小さ
く、それぞれの光電変換素子に入射する光の照度または
光子数を概略等しくするためには、照射窓8aに比べ照
射窓8bが大きいことが望ましい。この照明窓8a、8
bの大きさを制御することにより、第1及び第2の光電
変換素子に入射する光の照度または光子数を制御して概
略等しくし、光が入射することにより生じる光劣化の程
度を概略等しくすることができる。
【0055】ここで照度とは、例えば、発光ダイオード
(LED)等の単色光を放射する照明手段の場合には、
この単色光が単位時間に光電変換素子の単位面積に運ぶ
エネルギーであり、言い替えれば、単色光の光子一個当
たりが持つエネルギーと照明手段から単位時間に光電変
換素子の単位面積に入射する光子数を掛けたものであ
る。従って、照度を等しくすることは入射光子数を等し
くすることと同等である。一方蛍光灯等の非単色光を放
射する照明手段の場合には、非単色光の内、光電変換素
子を形成する半導体層109a、109bのバンドギャ
ップエネルギーよりも大きいエネルギーを持つ成分が単
位時間に光電変換素子の単位面積に運ぶエネルギーであ
り、言い替えれば、半導体層のバンドギャップエネルギ
ーに比べて等しいか大きいエネルギーを持つ成分の光子
一個当たりのエネルギーと、このエネルギーを持つ光子
の個数との積の、半導体層のバンドギャップエネルギー
よりも大きいエネルギーの領域での総和である。従っ
て、この場合には、バンドギャップエネルギーよりも大
きいエネルギーを持つ光子は全てフォトキャリアを生成
する可能性があるため、照度よりもむしろ、このような
光子数の総和がそれぞれの光電変換素子において等しい
必要がある。
【0056】反射面の材質は、光を散乱、反射するもの
であれば、例えば、白色の塗料、紙や金属の薄板、薄膜
等何でもよいが、反射率が大きいものが望ましい。ま
た、照明手段が放射する光の波長に幅がある場合には、
その領域に渡って一様な反射率を持つものが望ましい。
これは、前者は、反射率の大きい材料を使用した場合に
は、反射率の小さい場合に比べ第2の光電変換素子に入
射する光の照度が大きいため、同じ電気抵抗を持つ第2
の光電変換素子を形成するための電極幅が小さくてす
み、ラインイメージセンサの光電変換素子部を小型化で
き、基板幅の縮小による小形低価格化と、設計自由度の
向上が達成できるためである。後者は、白原稿の表面
は、広い波長領域に渡り比較的均一な反射率を持ってお
り、反射面106が波長に対し不均一な反射率を持つ場
合には、第1及び第2の光電変換素子に入射する光の波
長成分が異なるため、それぞれの光電変換素子に生じる
光劣化が異なるのを防止するためである。
【0057】ここで、反射面106は、図1に示した位
置に限られることはなく、第2の光電変換素子に照明手
段からの光を導くことができるものであれば、例えば図
4或いは図5に示すような位置に形成しても何等問題は
ない。図4に示した例は、光電変換素子を形成するフォ
トリソグラフィーの技術を用いて、光電変換素子を形成
した直後に、第2の光電変換素子の上に反射面を形成し
たものである。この場合の反射面106は、例えば、ク
ロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金
(Au)等やこれらの積層物により形成してよい。な
お、本図中では、照明手段から各光電変換素子への入射
光100a、100bは省略してある。図5に示した例
では、反射面と第2の光電変換素子の間の距離が、原稿
104と第1の光電変換素子の間の距離と概略等しくな
るような位置に反射面106を配置した例である。この
実施例の反射面は、白色或いはこれに近い色の塗料を塗
布するか、紙類、フィルム等を張り付けて形成してい
る。またこの例では、反射面106の上に保護層113
を形成している。これは必須というわけではないが、原
稿等の摩耗による反射面の損耗や剥離を防止するために
は、これが存在している方がよい。なお、図4に示した
実施例では、図を見易くするため、照明窓8a、8bの
領域を示す破線は省略してある。
【0058】これまで挙げてきた本発明の実施例は、例
えば図6に示した例に比べ、2個の光電変換素子の光劣
化に対する特性を揃えるという点で有利である。図6に
示した例では、本発明の実施例とは異なり、第2の光電
変換素子へ光を導くのに、反射面を用いることなく、照
明手段からの直接光を第2の光電変換素子の下部から導
入している。このような構成では、等価回路は、図2、
あるいは図3に示したものとほぼ同じで、2個の光電変
換素子を直列に接続し、その接続点の電位を読み取り信
号として取り出す構成であるが、直接光を下方から第2
の光電変換素子に導入しているため、入射光の照度を制
御して、第1及び第2の光電変換素子に入射する光の照
度または光子数を同等にすることが困難である。このた
め、第2の光電変換素子に入射する光の照度が第1の光
電変換素子に入射する光の照度に比べ大きく、第2の光
電変換素子の光劣化の程度がより大きいため、このライ
ンイメージセンサの読み取り出力は光劣化の影響を受け
やすい。
【0059】この点を無視した場合でも、これらの光電
変換素子には以下のような差が存在し、このため光劣化
の程度に差が生じる。まず、第1の光電変換素子は、活
性層である半導体層の下に、絶縁層108を隔てて遮光
層を兼ねた電場制御電極107aを持つために、たとえ
電極の電位をグランドの電位に保持した場合でも、この
電極の材料と半導体層109aの間の仕事関数の差によ
り内部に生じる電場の影響で、半導体のエネルギーバン
ドに湾曲が生じる。一方、第2の光電変換素子には、上
記のような電極が存在していない。第2の光電変換素子
へ上方から光が入射するのを防止するための遮光層11
4として金属材料を使用する場合でも、一般に絶縁層1
08に比べ保護層110は10倍程度の厚さを持つた
め、この影響が半導体層109bに及ぶことはなく、エ
ネルギーバンドの湾曲は生じない。このような半導体層
109a、109b内部のエネルギーバンド構造の差に
より、それぞれのフェルミエネルギーのエネルギーレベ
ルにも差が生じることになる。このため、光電変換素子
内部に生成されるフォトキャリアの密度及び再結合速度
が、それぞれの光電変換素子で異なり、その結果生成さ
れる半導体中の欠陥準位密度の増加速度も異なるため、
最終的に2種の光電変換素子の光劣化の程度を概略等し
くすることができない。これに対し、本発明のラインイ
メージセンサでは、それぞれの光電変換素子に入射する
光の照度または光子数が同一となるのみならず、それぞ
れの光電変換素子の構造が同一であるため、光電変換素
子を構成する半導体層内部のフェルミエネルギーのエネ
ルギーレベルも、容易に揃えることができる。
【0060】更に、図6に示した例では、半導体層10
9a、109b内部のエネルギーバンド構造の差によ
り、それぞれのフェルミエネルギーのエネルギーレベル
に差があるため、この半導体層の電子の伝導帯下端のエ
ネルギーレベルとフェルミエネルギーのエネルギーレベ
ルの差のエネルギーで定義される、熱活性化エネルギー
の大きさがそれぞれの光電変換素子1及び2で異なるこ
ととなる。このため、このようなラインイメージセンサ
を使用している環境の温度が変化したとき、光電変換素
子1と2の電気電導率の変化の仕方は異なり、数式1中
の、それぞれの光電変換素子の電気抵抗の比Rb/Ra
の値は温度と共に変化することになる。これにより、図
6に示したラインイメージセンサでは、温度変化による
読み取り出力の変動が存在することになる。
【0061】一方、図1に代表される本発明のラインイ
メージセンサでは、上記のような熱活性化エネルギーに
差がないため、電気抵抗の比、Rb/Ra、の値は温度
変化が生じても一定で、その結果、本発明のラインイメ
ージセンサでは、温度変化による読み取り出力の変動は
生じない。
【0062】フェルミエネルギーのエネルギーレベルを
それぞれの光電変換素子において揃える手法は幾つか考
えられるが、その一つに、電極から光電変換素子を構成
する半導体層へのキャリアの注入量を概略等しくするこ
とが挙げられる。このためには、第1の光電変換素子と
第2の光電変換素子を共に光導電型光電変換素子とし、
それぞれ2個ずつ形成されている電極112a、112
bに印加する電圧により活性層である半導体層内に誘起
される電場を概略等しくすればよい。言い替えれば、そ
れぞれの光電変換素子は薄膜トランジスタと見なすこと
ができるので、各々の電極間距離が等しい場合には、そ
れらのソースとドレイン電極間に印加される電圧を概略
等しくすればよい。光導電型光電変換素子を構成するた
めには、光電変換素子の電極112a、112bと半導
体層109a、109bの間にオーミックコンタクト層
として、不純物をドープし、n型またはp型になった半
導体層を形成する。
【0063】図2または図3からわかるように、本発明
のラインイメージセンサでは、第1及び第2の光電変換
素子が直列に配置されており、その2個の光電変換素子
に電源電圧Vdを印加し、接続点の電位Voを読み取り
の信号として取り出す構成になっているため、第1の光
電変換素子のソースとドレイン電極との間にはVoの、
第2の光電変換素子のソースとドレイン電極にはVd−
Voの電圧が印加されることになる。従って上記の条件
を満足するためには、白原稿を読み取った時の2個の光
電変換素子の接続点の電位Voが概略Vd/2程度であ
ればよい。これを達成するためには、第1及び第2の光
電変換素子への入射光照度または光子数が等しい場合に
は、それぞれの光電変換素子の電極幅を概略等しくすれ
ばよいが、一般に図1または図4に示した実施例の反射
面106の配置では第2の光電変換素子に入射する光の
照度または光子数は、第1の光電変換素子に入射するそ
れに比べて小さいため、第2の光電変換素子の電極幅を
第1の光電変換素子の電極幅よりも大きくすることが必
要となる。
【0064】これらの光電変換素子の電極幅は、上記の
条件以外に、動作速度等によっても規定される。図2ま
たは図3に示した回路系では、蓄積容量の容量値をC、
第1の光電変換素子の電気抵抗をRa、第2の光電変換
素子の電気抵抗をRbとすると、蓄積容量を充電するた
めの時定数τは、 τ=C{(RaRb)/(Ra+Rb)}‥‥‥(2) で表される。例えば、本発明をファクシミリの原稿読み
取りに使用する場合には、一般に使用されているG3規
格の読み取り速度が5ms/行であるため、実用的には
上記のτが5msの1/3から1/5以下の値であるよ
うに、C、Ra、Rbの値を設定する必要がある。光電
変換素子の電気抵抗は素子を構成する半導体層の厚さや
電場制御電極の電位等によっても変化し得るが、例え
ば、半導体層の厚さが0.5から0.6μmのとき、第
1の光電変換素子の電極幅と電極間距離をそれぞれ25
0μm、10μm、第2の光電変換素子の電極幅と電極
間距離をそれぞれ500μm、10μmとし、蓄積容量
の容量値を3pFとすれば動作速度の条件を満足し、2
個の光電変換素子の半導体層内部のフェルミエネルギー
のエネルギーレベルを概略等しくすることができる。
【0065】2個の光電変換素子の半導体層内部のフェ
ルミエネルギーのエネルギーレベルを制御する手法は、
上で述べたオーミックコンタクトによる電極からのキャ
リアの注入による以外にも、光電変換素子の遮光層とし
て用いている電場制御電極107a、107bの電位を
制御することによっても可能である。図3に示したのは
これを可能とする実施例の等価回路図である。この例で
は、半導体層109a、109bにおけるフェルミエネ
ルギーのエネルギーレベルの制御を、電位制御線5、9
を用いて電場制御電極107a、107bの電位を制御
することで行っている。この電場制御電極の電位は、そ
れぞれの光電変換素子のソースまたはドレインに相当す
る電極の内、電位の高い電極の電位よりも低いことが望
ましい。なぜなら、電場制御電極つまりゲートの電位を
これ以上の値とすると、TFTのチャンネル電流がフォ
トキャリアに基づく光電流よりも支配的になり、入射光
の有る無しによる光電流の明暗比が確保できなくなるた
めである。なお、この明暗比を最大にする電場制御電極
の電位は、これがソース電極の電位近傍のときであり、
図2に示した実施例の等価回路図では実際に2個の光電
変換素子の電場制御電極の電位はソース電極の電位とな
っている。図3に示した実施例の等価回路図のように、
外部からそれぞれの電場制御電極の電位を制御する形式
のものでは、その電位が少なくともそれぞれの光電変換
素子のドレイン電極に相当する電極の電位よりも低い状
態に保つことが必要である。
【0066】光劣化の程度を第1及び第2の光電変換素
子で同程度に保つという点からは、2個の電場制御電極
107a、107bの電位を例えば共にグランドの電位
とすることは好ましくない。このような構成にすると、
第1の光電変換素子のドレイン及びソースの電位はそれ
ぞれVo及びグランドの電位であり、第2の光電変換素
子のドレイン及びソースの電位はそれぞれVd及びVo
であるため、それぞれの光電変換素子でゲート電極とソ
ース、ドレイン電極間の電圧が異なるため、光電変換素
子内部のフェルミエネルギーのエネルギーレベルが異な
るためである。
【0067】これまでの実施例の説明では、すべて第1
の光電変換素子がグランド電位側に、第2の光電変換素
子が電源電位Vd側に接続されているとしてきたが、こ
れが図7に示すように逆であっても何等問題はない。
【0068】次に、第1の光電変換素子と第2の光電変
換素子及び反射面の幾何学的配置の関係について図8及
び図9を用いて説明する。なお、これらの図中では、見
易くするため、ラインイメージセンサの各構成部分を示
す番号等は省略してある。ここに示すように、画像情報
を担った原稿表面から、この面からの散乱光を光電変換
する第1の光電変換素子までの距離をy1とすると、散
乱光115が光電変換素子の存在する面に到達する際
に、光電変換素子のある面内に距離y1程度拡散が生じ
る。従って、第1と第2の光電変換素子の副走査方向に
おける間隔dがこの拡散距離y1よりも小さいと、原稿
表面の反射率に応じた散乱反射光が、照明手段からの光
を光電変換するべき第2の光電変換素子にも入射し、こ
の光電変換素子の本来の動作を妨げてしまうことにな
る。従って、本発明のラインイメージセンサにより特に
密着読み取りを行う際には、距離y1はラインイメージ
センサ上に形成する保護層110、102、103等の
厚さにより決まるが、 y1≦d‥‥‥(3) が概略成り立つように、第1の光電変換素子と第2の光
電変換素子の間の距離が画像情報を持った原稿と第1の
光電変換素子の距離と概略等しいかまたは大きいよう
に、第1及び第2の光電変換素子を形成することが望ま
しい。また、先に述べたように、y1は保護層の厚さ等
により決まるが、密着読み取りを行う際には、この厚さ
は50から100μm程度であるので、dはこれ以上の
大きさにすることが望ましい。
【0069】また、第2の光電変換素子2と反射面10
6の間の距離y2は、第1の光電変換素子と画像情報を
担った原稿表面の間の距離y1と概略等しいかまたは小
さいこと、つまり、 y2≦y1‥‥‥(4) が成立することが望ましい。逆にy1<y2であるような
ラインイメージセンサを構成した場合、図9に示すよう
な構成をとることになるが、この結果、図に示すよう
に、読み取るべき原稿に、本来不要な湾曲を生じさせな
ければならなくなる。これは原稿にカール、つまり曲が
り癖をつけるため望ましいことではない。また、このよ
うな湾曲は、原稿詰まり等の原稿の搬送不良を生じ易
い。このような問題は、数式4が成立するラインイメー
ジセンサを構成することにより回避することができる。
なお、図中で、符号116はスペーサを示す。
【0070】図10により本発明の別の実施例を説明す
る。図10は本発明のラインイメージセンサに、読み取
り信号として、蓄積容量3に蓄積された電荷を外部に取
り出す読み出し手段として、薄膜トランジスタによる転
送スイッチを同一基板上に形成して構成した画像読み取
り装置の一例の回路ブロック図である。この例では、イ
メージセンサ基板10上に光電変換素子1、2、蓄積容
量3及び信号電荷の転送スイッチ11としての薄膜トラ
ンジスタ(TFT)を形成しており、これをオン(導通
状態)にすることにより、蓄積容量3に蓄えられた読み
取り信号電荷を信号マトリックス14に取り出す。転送
スイッチを駆動するためのシフトレジスタ12、バッフ
ァ13は外部ICにその機能を持たせている。
【0071】図11に薄膜トランジスタの断面構造を示
す。このように、TFTの構造は光導電型光電変換素子
1及び2と全く同一であり、これを光電変換素子等と同
一の基板上に形成しても、同じ工程で形成できるため、
製造プロセスが増えたり複雑になることはない。
【0072】図10中に示したシフトレジスタ12、バ
ッファ13はTFT等により構成できるので、これらも
同一のイメージセンサ基板10上に形成することが可能
である。この例を図12を用いて説明する。この動作の
状況は図10に示した実施例と同じである。イメージセ
ンサ基板の外には電源駆動回路15、タイミングコント
ロール回路16及び信号の検出回路17を持っており、
外部端子18より電源や動作基準となるスタート信号S
PとクロックCLKと動作及び休止を指定する信号MO
DEを入力し、読取信号VIDEOを出力する構成とな
っている。
【0073】読取モードのときにはシフトレジスタ12
をリセットした後、シフトレジスタ12の1段目のS/
R1よりS/Rnまで順次ブロック選択信号をシフトす
る。この信号はバッファ13を介して波形を整形し、か
つ電流駆動能力を増して転送スイッチ11を1ブロック
ずつ順次選択して行く。ブロックB1が選択されると接
続されたブロックの転送スイッチが導通状態となり、光
電変換素子1、2で光電変換され、読み取り信号電荷の
蓄積容量16に蓄積された電荷を信号マトリックス14
に転送する。信号マトリックス14に転送された光電変
換信号は検出回路17によって増幅及びパラレル・シリ
アル変換され読取信号VIDEOとして外部に出力され
る。このような動作は、外部端子18より入力されるス
タート信号SP、基準タイミングであるクロック信号C
LK、動作または非動作指定のMODE信号を元にして
タイミングコントロール16で制御信号を生成し、検出
回路及び電源駆動回路を所定のタイミングで動作させる
ことによって行う。一方、外部からMODEにより休止
が指定されると、イメージセンサは休止モードとなり、
電源の供給の停止及び動作の停止がなされる。
【0074】図13には、本発明のラインイメージセン
サの駆動回路に使われるシフトレジスタの一例の回路図
を示す。このシフトレジスタはTFT及び負荷抵抗から
なるE/Rインバータにより構成されているが、E/R
インバータの負荷抵抗は図14に断面図を用いて示すよ
うに、TFTや光電変換素子のソース及びドレイン電極
のオーミックコンタクト層であるドープした半導体層1
11を用いて形成することができる。この図では上部の
保護層等は省略して描いてある。また、図13のように
負荷抵抗を用いるのではなく、図15に示すシフトレジ
スタの一例のように、負荷としてTFTを用いたE/E
インバータにより構成してもよい。なお、図13、図1
5のシフトレジスタは、スタティックな動作をさせるこ
とにより、共にこのままの回路構成でバッファとして使
用することができる。図13及び図15の画像読み取り
装置は、基台に光源とともにアセンブルして原稿の読み
取りに用いる。
【0075】次に、図16に、ラインイメージセンサを
ファクシミリ装置に搭載したときの断面模式図を示す。
筐体404内にラインイメージセンサ300をバネ支持
でプラテンローラ105に押しつけて読み取り系を構成
し、感熱記録ヘッド600をバネ支持によってプラテン
ローラ402に押しつけている。そのほか、記録紙40
3、制御・電源回路200を組み込んでいる。原稿読み
取り時は原稿500をラインイメージセンサに読み込ま
せ、また、記録時には記録紙403に記録ヘッド600
を用いて記録する。原稿及び記録紙の紙搬送はプラテン
ローラ105、402を例えばパルスモータを用いて回
転させて行う。
【0076】以上説明したように、本発明によれば、光
電変換素子の光劣化を、このような光電変換素子を組み
合わせることにより、ラインイメージセンサを構成する
光電変換素子のレベルで補正可能であり、本発明のライ
ンイメージセンサによる画像読み取り装置を、画像記録
部と共にファクシミリ装置の筺体内に収納することによ
り、光劣化による画像情報の経時変化のないファクシミ
リ装置を提供できる。通常の画像読み取り装置では、1
枚の原稿読み取り毎に白原稿の出力基準値設定のため
の、白色プラテンローラ表面の読み取りによる白基準読
み取りや原稿先端部分の白基準読み取りが必要である
が、このような白基準値設定は、プラテンローラの汚れ
や、読み取るべき原稿が必ずしも白色ではない、などと
いった不安定要因を持っていた。
【0077】しかし、本発明のような、光劣化による出
力変動が生じないラインイメージセンサをファクシミリ
装置等に用いた場合、白基準値の変動が生じないため、
上記のような、毎回の白基準値設定のための動作が不要
となり、原稿読み取りの動作シーケンスが簡略になり、
このためのソフトウェアも簡略化できる。また、このよ
うに、小型のセンサを搭載することによって、ファクシ
ミリ装置の小型化が図れ、また設計自由度が大きくなる
利点がある。また、白色プラテンローラ表面の読み取り
による白基準値設定が不要であるため、一般に高価な白
色プラテンローラを、安価な黒色等のプラテンローラと
することができ、結果的に製品の価格を低減できる。
【0078】図17には、本発明のラインイメージセン
サの受光素子と、従来の、例えば図18に示すラインイ
メージセンサの受光素子により、同一の反射率を持った
白原稿を連続して読み取ったときの読み取りの出力信号
の時間変化を示している。このように、本発明によれ
ば、光劣化による出力信号の変化が生じることなく、安
定な読み取りを行うことができる。なお、本図中では、
出力信号は、それぞれの初期値により規格化して示して
ある。
【0079】以上述べたように、これらの実施例によれ
ば、次のような効果を得ることができる。直列に接続し
た2個の光電変換素子の光劣化の程度が概略等しいの
で、個々の素子の光劣化による出力の変動が、接続点の
電位の変動に現れることなく、そのため、光劣化による
読み取り出力の変動をなくす効果があり、読み取り出力
の変動のないラインイメージセンサを提供することがで
きる。
【0080】また、ラインイメージセンサを構成する第
1の光電変換素子と第2の光電変換素子への入射光照度
または入射光子数を概略等しくすることにより、光照射
により生成されるフォトキャリア(電子及び正孔)の密
度が、上記2種の光電変換素子で概略等しくなり、その
結果、フォトキャリアの再結合速度も2種の光電変換素
子で等しくなるため、光劣化の原因である、再結合時に
放出される結合エネルギーにより生成される半導体中の
欠陥準位密度の増加速度が等しくなり、最終的に2種の
光電変換素子の光劣化の程度を概略等しくする効果があ
り、光劣化の影響のない光電変換素子を構成でき、光劣
化の影響のないラインイメージセンサを提供できる。
【0081】また、2種の光電変換素子を構成する半導
体のバンドギャップ中のフェルミエネルギーのエネルギ
ーレベルを概略等しくすることにより、光電変換素子内
部に生成されたフォトキャリアの再結合速度が、それぞ
れの光電変換素子で概略等しくなり、その結果生成され
る半導体中の欠陥準位密度の増加速度が等しくなり、2
種の光電変換素子の光劣化の程度を概略等しくする効果
があり、光劣化の影響のないラインイメージセンサを提
供できる。
【0082】また、2種の光電変換素子を共に光導電型
光電変換素子とし、それぞれの光電変換素子の活性層に
誘起される電場を概略等しくすることにより、光電変換
素子の電極から光電変換素子を構成する半導体へ注入さ
れるキャリアの密度が、それぞれの光電変換素子で概略
等しくなるので、フォトキャリアの再結合速度が、それ
ぞれの光電変換素子で概略等しくなり、その結果生成さ
れる半導体中の欠陥準位密度の増加速度が等しくなる効
果があり、2種の光電変換素子の光劣化の程度を概略等
しくできるので、光劣化の影響のないラインイメージセ
ンサを提供できる。
【0083】また、第1の光電変換素子がグランド電位
側に、第2の光電変換素子が電源電位側に接続されてい
る場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場制御電
極の電位をそれぞれグランドの電位及び2個の光電変換
素子の接続点の電位とし、第1の光電変換素子が電源電
位側に、第2の光電変換素子がグランド電位側に接続さ
れている場合には、第1及び第2の光電変換素子の電場
制御電極の電位をそれぞれ2個の光電変換素子の接続点
の電位及びグランドの電位とすると、それぞれの光電変
換素子を薄膜トランジスタとみなしたときに、これらの
電場制御電極つまりゲート電極の電位が、それぞれの薄
膜トランジスタのソース電極の電位と等しいことになる
ので、光の入射に伴うフォトキャリアに起因する光電流
がチャンネル電流に比べて十分大きくなる効果があり、
その結果、光電変換素子への光の入射の有る無しによる
光電流の明暗比が大きくなり、感度の大きいラインイメ
ージセンサが構成できる。
【0084】また、第1の光電変換素子と第2の光電変
換素子の間の距離が読み取るべき画像情報を持った対
象、例えば原稿と第1の光電変換素子の距離と概略等し
いかまたは大きくすることにより、原稿のある点で散乱
反射された光信号が、第2の光電変換素子には入射する
ことがなくなり、照明手段からの光を光電変換するとい
うこの光電変換素子の働きが妨げられることがないとい
う効果がある。
【0085】また、第2の光電変換素子に照明手段から
の光を反射して導入するための反射面を設けることによ
り、この反射面の幾何学的配置や反射率を設定すること
により、第2の光電変換素子への入射光の照度や入射光
子数を制御でき、その結果、第2の光電変換素子の光劣
化の程度を制御できるため、第1の光電変換素子と光劣
化の程度を概略同一にすることができる効果がある。
【0086】また、第2の光電変換素子と反射面の間の
距離を、第1の光電変換素子と読み取るべき画像情報を
持った原稿対象の間の距離に比べて、概略等しいかまた
は小さくすると、原稿に不必要な湾曲つまり曲がり癖を
つけることなく、原稿の紙詰まり等のない、安定な搬送
と読み取りを行うことができる効果がある。
【0087】また、ラインイメージセンサと前記ライン
イメージセンサの画像読み取り信号の読み出し手段を同
一の基板上に備えることにより、外部にそのような手段
を設ける場合に比べ、画像読み取り装置のサイズを小型
化でき、設計の自由度が増す効果がある。
【0088】また、ラインイメージセンサの製造プロセ
スと読み取り信号の読み出し手段の製造プロセスを同一
の工程で行うことができるので、製造コストの低減が可
能となる効果がある。
【0089】また、画像読み取り装置を、画像記録部と
共にファクシミリ装置の筺体内に収納することにより、
光劣化による画像情報の経時変化のないファクシミリ装
置を提供できる。
【0090】また、通常1枚の原稿読み取り毎に必要
な、白原稿の出力基準値設定のための、白色プラテンロ
ーラ表面の読み取りによる白基準読み取りや原稿先端部
分の白基準読み取りが不要になり、原稿読み取りの動作
シーケンスが簡略になり、このためのソフトウェアも簡
略化できる効果がある。
【0091】また、白原稿の基準値設定のための白色プ
ラテンローラ表面の読み取りが不要になるため、プラテ
ンローラに、価格の低い、黒色等のものを用いることが
でき、製品の価格を低減できる効果がある。
【0092】
【発明の効果】上述のとおり本発明によれば、光電変換
素子の光劣化に基づく読み取り信号の経時変化が生じな
いので、通常この経時変化を補正するために必要な、外
部の補正手段が不要となり、読み取り出力が経時的に変
動することのない、安定な光電変換素子を有するライン
イメージセンサを提供でき、特にラインイメージセンサ
を構成する光電変換素子のレベルで光劣化を自動的に補
正することができる。また、余分なメモリや工程を不要
にし、白原稿の基準を得るための、原稿1枚毎のプラテ
ンローラ表面の読み取りシーケンスや、価格の高い白色
のプラテンローラの使用を不要にし、読み取りシーケン
スを制御するソフトウェアを簡略化し、プラテンローラ
等の部品も安価なものとすることができる。
【0093】また、特別な補正手段を用いることなく、
温度変化や、光源の放射強度のばらつきが存在する場合
にも、読み取るべき原稿等の濃度に対応した一定の読み
取り出力を得ることのみならず、簡単な構成で、経時的
な読み取り出力の変動のない光電変換素子を用いたライ
ンイメージセンサを、低価格で提供できるとともに、こ
のラインイメージセンサを用いた画像読み取り装置やフ
ァクシミリ装置等を低価格で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラインイメージセンサの一実施例を示
し、図1(A)は平面図、図1(B)は断面図である。
【図2】本発明のラインイメージセンサの一実施例の等
価回路図である。
【図3】本発明のラインイメージセンサの一実施例の等
価回路図である。
【図4】本発明のラインイメージセンサの一実施例を示
し、図4(A)は平面図、図4(B)は断面図である。
【図5】本発明のラインイメージセンサの一実施例の断
面図である。
【図6】ラインイメージセンサの一参考例の断面図であ
る。
【図7】本発明のラインイメージセンサの一実施例の等
価回路図である。
【図8】本発明のラインイメージセンサの一実施例を示
し、原稿表面で散乱反射された光が光電変換素子に到達
する様子を示した断面図である。
【図9】本発明のラインイメージセンサの一実施例の断
面図である。
【図10】本発明のラインイメージセンサの一実施例の
回路ブロック図である。
【図11】薄膜トランジスタの断面図である。
【図12】本発明のラインイメージセンサの一実施例の
回路ブロック図である。
【図13】本発明のラインイメージセンサの駆動に用い
られるシフトレジスタの一実施例の回路図である。
【図14】薄膜トランジスタと負荷抵抗で形成したイン
バータの例である。
【図15】本発明のラインイメージセンサの駆動に用い
られるシフトレジスタの一実施例の回路図である。
【図16】ファクシミリ装置の断面模式図である。
【図17】本発明のラインイメージセンサの受光素子
と、従来のラインイメージセンサの受光素子により、同
一の反射率を持った白原稿を連続して読み取ったときの
読み取りの出力信号の時間変化を示す比較図である。
【図18】従来のラインイメージセンサを示し、図18
(A)は平面図、図18(B)は断面図である。
【符号の説明】
1 第1の光電変換素子 2 第2の光電変換素子 3 蓄積容量 4 グランド線 5 ゲート電極の電位制御線 6 電源線 7 画像読み取り信号の取り出し線 8a、8b 照射窓 8、9 ゲート電極の電位制御線 10 イメージセンサ基板 11 転送スイッチ 12 シフトレジスタ 13 バッファ 14 信号マトリックス 15 電源駆動回路 16 タイミングコントロール回路(読み取り信号電荷
の蓄積容量) 17 信号の検出回路 18 外部端子 100、100a、100b 照明光 101 透光性基板(ガラス基板) 102、103 保護(絶縁)層 104 原稿 105 プラテンローラ 106 反射面 107、107a、107b 電場制御電極 108 保護(絶縁)層 109 a−Si(アモルファスシリコン) 109a、109b 光電変換層(半導体層) 110 保護(絶縁)層 111a、111b オーミックコンタクト層 112、112a、112b 電極 113 保護層 114 遮光層 115 散乱光 200 制御・電源回路 300 ラインイメージセンサ 402 プラテンローラ 403 記録紙 404 筐体 500 原稿 600 感熱記録ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 悟 神奈川県横浜市戸塚区戸塚町216番地 株 式会社日立製作所情報通信事業部内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子と前記第2
    の光電変換素子との光照射に起因する光劣化の程度が概
    略等しいことを特徴とするラインイメージセンサ。
  2. 【請求項2】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子への入射光
    照度と前記第2の光電変換素子への入射光照度または入
    射光子数が概略等しいことを特徴とするラインイメージ
    センサ。
  3. 【請求項3】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子と前記第2
    の光電変換素子の活性層が半導体で形成されており、前
    記第1の光電変換素子を構成する半導体のバンドギャッ
    プ中のフェルミエネルギーのエネルギーレベルと、前記
    第2の光電変換素子を構成する半導体のバンドギャップ
    中のフェルミエネルギーのエネルギーレベルとが概略等
    しいことを特徴とするラインイメージセンサ。
  4. 【請求項4】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子と前記第2
    の光電変換素子とは、それぞれ活性層を備えた光導電型
    光電変換素子であり、前記第1の光電変換素子の活性層
    に誘起される電場と前記第2の光電変換素子の活性層に
    誘起される電場とが概略等しいことを特徴とするライン
    イメージセンサ。
  5. 【請求項5】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子と前記第2
    の光電変換素子とは、それぞれ活性層の電場を制御する
    電場制御電極を備えており、前記それぞれの電場制御電
    極の電位を制御することにより、前記第1の光電変換素
    子と前記第2の光電変換素子との内部の活性層に、任意
    の強度の電場が誘起された状態で使用することを特徴と
    するラインイメージセンサ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のラインイメージセンサ
    において、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変
    換素子とにそれぞれ備えている前記電場制御電極の電位
    は、いずれか一方がグランドの電位で、他方が前記接続
    点の電位であることを特徴とするラインイメージセン
    サ。
  7. 【請求項7】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記第1の光電変換素子と前記第2
    の光電変換素子との間の距離が、前記画像情報を持った
    対象と前記第1の光電変換素子との距離に対して、概略
    等しいかまたは大きいことを特徴とするラインイメージ
    センサ。
  8. 【請求項8】 読み取るべき画像情報を持った対象を照
    明するための照明手段を備え、前記対象からの反射光を
    光電変換する第1の光電変換素子と前記照明手段からの
    入射光を光電変換する第2の光電変換素子とを電気的に
    接続し、前記第1の光電変換素子と前記第2の光電変換
    素子とに直列的に電圧を供給して、接続点から信号を取
    り出す構成とした受光素子を複数個有するラインイメー
    ジセンサにおいて、前記照明手段からの光を前記第2の
    光電変換素子に導入する反射面を設けたことを特徴とす
    るラインイメージセンサ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のラインイメージセンサ
    において、前記第2の光電変換素子と前記反射面との間
    の距離が、前記第1の光電変換素子と前記読み取るべき
    画像情報を持った対象との間の距離に比べて、概略等し
    いかまたは小さいことを特徴とするラインイメージセン
    サ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のうちいずれかに記
    載のラインイメージセンサにおける前記受光素子の信号
    を外部に取り出す読み出し手段を、同一の基板上に備え
    たことを特徴とする画像読み取り装置。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の画像読み取り装置
    を、画像記録部とともに筺体内に収納していることを特
    徴とするファクシミリ装置。
JP5140665A 1993-06-11 1993-06-11 ラインイメージセンサ Pending JPH06350803A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009098599A (ja) * 2007-09-28 2009-05-07 Epson Imaging Devices Corp 表示装置
US7805272B2 (en) 2007-06-19 2010-09-28 Seiko Epson Corporation Sensing circuit, optical detection circuit, display device, and electronic apparatus

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US7805272B2 (en) 2007-06-19 2010-09-28 Seiko Epson Corporation Sensing circuit, optical detection circuit, display device, and electronic apparatus
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