JPH06346277A - 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板 - Google Patents

耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板

Info

Publication number
JPH06346277A
JPH06346277A JP13796893A JP13796893A JPH06346277A JP H06346277 A JPH06346277 A JP H06346277A JP 13796893 A JP13796893 A JP 13796893A JP 13796893 A JP13796893 A JP 13796893A JP H06346277 A JPH06346277 A JP H06346277A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
delayed fracture
tensile strength
cold rolled
high tensile
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13796893A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Uesugi
康治 上杉
Nobuo Totsuka
信夫 戸塚
Akio Tosaka
章男 登坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP13796893A priority Critical patent/JPH06346277A/ja
Publication of JPH06346277A publication Critical patent/JPH06346277A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐遅れ破壊性に優れた100kgf/mm2 以上の引
張強さを有する高張力冷延鋼板の提供。 【構成】 高張力冷延鋼板表面に付着量が5mg/mm2
上のNi又はNi基合金めっき層を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として自動車のバン
パー部品やドアガードバー部品等の強度部材に適用さ
れ、耐遅れ破壊性が要求される引張強度が100kgf/mm2
以上を有する高張力冷延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上のための車体の
軽量化や衝突時の安全性確保のために、バンパー、ドア
ガードバー等の強度部材に引張強度が100kgf/mm2 を越
える高張力鋼板が使用され始めている。軽量化の観点か
らはより強度が高いほど有利であることから、現在150k
gf/mm2 級の鋼板の適用も検討されている。
【0003】しかしながら、このような100kgf/mm2
越える高張力鋼板では、主に自動車使用時の腐食環境下
で、腐食反応に伴って鋼中に侵入する水素に起因した水
素脆性、いわゆる“遅れ破壊”として周知の脆化現象が
起こりやすくなり、強度の増大と共に著しく激しくなる
ことが知られている。このような遅れ破壊を防止するに
は、大別して化学成分など材質面、即ち鋼板自体の水素
脆性感受性の抑制と表面処理的面、即ち環境からの水素
侵入の抑制による鋼中水素量の低減が考えられる。
【0004】前者については、特開平4−268053号公報
にはフェライト組成を35〜50%に組織調整することによ
る耐遅れ破壊性を有する二相組織高張力鋼板が開示され
ている。また、分野は異なるが、特開平4−263047号公
報には成分調整により耐遅れ破壊性を向上させた高強度
ボルトが開示されている。しかしこのような成分や組織
調整による対策では遅れ破壊の回避はかなり困難であっ
て、特に強度が130kgf/mm2 を越える場合には極めて困
難であると考えられている。
【0005】他方、後者の表面処理による対策として
は、例えば表面脱炭、軟化のような鋼板表面層の改質に
よる表面層の水素脆性感受性の低減やめっき、塗装等の
表面処理により鋼中への水素侵入量を抑制する対策があ
る。しかし、現在のところこのような観点から冷延高張
力鋼板への有効な具体的対策の提示は見あたらない。一
方、鋼板表面にNi又はNi基合金をめっきする技術が特公
昭58−37391 号公報、特開昭59−129784号公報に開示さ
れている。しかしながらこれらは遅れ破壊が問題となら
ない強度レベルが 35kgf/mm2 以下の鋼板の、リン酸塩
化成処理性の改善を目的とした技術であって本発明と適
用鋼種および技術分野が異なる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引張強さ10
0kgf/mm2 以上の鋼板の遅れ破壊問題を解決するために
なされたものであって、簡便な表面処理を施すことによ
り耐遅れ破壊性を具備する冷延高張力鋼板を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、引張強度
が100kgf/mm2 以上を有する冷延高張力鋼板の遅れ破壊
を表面処理により防止する技術を開発すべく鋭意検討し
た結果、鋼板表面にNi又はNi基合金めっきを微量施す
と、耐遅れ破壊性が著しく改善できるとの新規の知見を
得、本発明を完成した。即ち、100kgf/mm2 以上の引張
強さを有する鋼板表面の片面又は両面に付着量が5mg/
2 以上のNi又はNi基合金めっきを施したことを特徴と
した鋼板であり、Ni又はNi基合金めっき層の望ましい付
着量の上限は1000mg/m2 である。
【0008】
【作用】本発明者らによれば、高張力鋼板の遅れ破壊は
腐食環境下で、鋼表面で進行するカソード反応で形成す
る、吸着原子状水素の鋼中への侵入に起因する。この鋼
中への水素侵入量は鋼板にNi又はNi基合金めっきを施す
と著しく少なくなる事実を見出した。換言すると、Ni又
はNi基合金めっきを施した高張力鋼板では、たとえ腐食
が進んでも、カソード反応である水素発生反応はNi又は
Ni基合金上で起こり、その過程での吸着原子状水素が鋼
中に移行しにくいために遅れ破壊が著しく抑制されるの
である。
【0009】このような鋼板へのNi又はNi基合金めっき
の遅れ破壊防止効果はその付着量が5mg/m2 以上で発
現する。しかし、1000mg/m2 を越えるとリン酸塩化成
処理性が劣化するとともにコストアップ要因となるため
1000mg/m2 以下が望ましい。ただし、リン酸塩化成処
理を必要とせず塗装して使用する用途の場合には、Ni又
はNi基合金めっきは塗料密着性が極めて良好であるた
め、その付着量が1000mg/m2 を越えても問題はない。
【0010】ここで、Ni基合金めっきとはNiにFe、Co、
P、Zn、Cr、Mn、Cu、Mo、O、C等を1種または2種以
上を合計で15重量%未満含有するめっきを意味する。こ
の範囲であればその効果はNi単相めっきと変わらない。
Ni又はNi基合金めっきのめっきの手段としては、電気め
っき法(溶融塩電気めっき法を含む)、無電解めっき法
(化学めっき)、蒸着めっき法、イオンプレーティング
法等のいずれの手段によるものでもよく、その手段を特
に限定するものではないが、この中でも無電解めっき法
は装置が簡便で且つめっき操作が容易であることから、
小部品の処理に適している。また水溶液系電気めっき法
はコイルに効率よくめっきができ、連続めっき装置での
インライン化も容易であることから、本発明に適用する
には好適である。
【0011】また、本発明での鋼板は、前記Ni又はNi基
合金めっきは両面に有していてもよいし、片面のみに有
していてもよく、特に制限されず、用途等に応じて適宜
選択できる。めっき前処理での酸洗やめっき工程で通常
若干の鋼中への水素侵入は不可避であり、この悪影響を
除去するためにNi又はNi基合金めっきの後に脱水素処理
(150 〜200 ℃で熱処理)することが可能なら好まし
い。
【0012】他方、本発明で用いる鋼板はその化学成分
および組成は特に制限しないが、鋼板自体の水素脆性感
受性が低いほうが望ましいことは言うまでもない。即
ち、化学成分としてのS、Pを極力低減すること、焼戻
マルテンサイト組織鋼では焼戻しされていないマルテン
サイト相を極力残さないこと等が必要である。以下に本
発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0013】
【実施例】
実施例1 表1に示す成分組成の鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造で
スラブとし、熱間圧延および冷間圧延にて1.4mm の冷間
圧延とした。その後この鋼板を連続焼鈍炉にて熱処理
し、引張強度140kgf/mm2 の冷延鋼板とした。ここで引
張強度は通常のJIS 5号試験片を用いて測定した。次い
で、この鋼板の両面に電気めっきにて種々の付着量のNi
又はNi基合金めっきを施した。
【0014】その後、以下の試験を行いその性能を調査
した。試験結果を表2に示す。 1)遅れ破壊試験 めっき後鋼板を33mmφのポンチで絞り比1.80の円筒に深
絞り加工し、それを5%食塩水中に1週間浸漬した。
尚、遅れ破壊性の評価は以下の基準で行った。 ○:割れ発生なし ×:割れ発生 2)リン酸塩化成処理性試験 めっき後鋼板を75×150mm に切断し、日本パーカライジ
ング社製パルボンドL3020(商品名)処理液、同社標準
仕様にてリン酸塩化成処理性を施し、走査型電子顕微
鏡、1000倍にて化成結晶の析出状態を観察し、以下の基
準で評価した。
【0015】○:平均化成結晶径が15μm未満で、ス
ケ、ムラの発生がない ×:平均化成結晶径が15μm以上か、スケ、ムラの発生
がある
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】実施例2 実施例1と同様に作製した鋼板の両面にNi基合金めっき
を化学めっき法にて施し、実施例1と同様の遅れ破壊試
験およびリン酸塩化成処理性試験を実施し、その性能を
評価した。その結果を表3に示す。
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、耐遅れ破壊性に優れた
高強度鋼板を安定して得ることができ、その工業的価値
は極めて大きい。本発明鋼の用途は、特に限定されるも
のではないが、遅れ破壊が問題となる100kgf/mm2 以上
の強度を必要とする、主として自動車の強度部材用に適
しており、この鋼板を用いることによって、鋼板の薄肉
化ひいては自動車車体の軽量化に有利に寄与することが
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 100kgf/mm2 以上の引張強さを有する鋼
    板表面に付着量が5mg/m2 以上のNi又はNi基合金めっ
    き層を有することを特徴とする耐遅れ破壊性に優れた高
    張力冷延鋼板。
  2. 【請求項2】 Ni又はNi基合金めっき層の付着量が1000
    mg/m2 以下であることを特徴とする請求項1記載の耐
    遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板。
JP13796893A 1993-06-08 1993-06-08 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板 Pending JPH06346277A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13796893A JPH06346277A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13796893A JPH06346277A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06346277A true JPH06346277A (ja) 1994-12-20

Family

ID=15210953

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13796893A Pending JPH06346277A (ja) 1993-06-08 1993-06-08 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06346277A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010090441A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Jfe Steel Corp 部材加工後の化成処理性に優れた鋼材およびその製造方法
JP2016107917A (ja) * 2014-12-09 2016-06-20 Ntn株式会社 車輪用軸受装置
CN115398035A (zh) * 2020-05-13 2022-11-25 日本制铁株式会社 热压用钢板
US11926120B2 (en) 2020-05-13 2024-03-12 Nippon Steel Corporation Steel sheet for hot stamping

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010090441A (ja) * 2008-10-08 2010-04-22 Jfe Steel Corp 部材加工後の化成処理性に優れた鋼材およびその製造方法
JP2016107917A (ja) * 2014-12-09 2016-06-20 Ntn株式会社 車輪用軸受装置
CN115398035A (zh) * 2020-05-13 2022-11-25 日本制铁株式会社 热压用钢板
US11926120B2 (en) 2020-05-13 2024-03-12 Nippon Steel Corporation Steel sheet for hot stamping
CN115398035B (zh) * 2020-05-13 2024-03-29 日本制铁株式会社 热压用钢板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2508640B1 (en) High-strength steel sheet having excellent hydrogen embrittlement resistance and ultimate tensile strength of 900 mpa or more, and process for production thereof
KR101402503B1 (ko) 고강도 용융 아연 도금 강판 및 그 제조 방법
JP5697125B2 (ja) 優れた耐遅れ割れ性を有する鉄−炭素−マンガンオーステナイト系鋼板の製造方法、およびそのようにして製造された鋼板
KR101935112B1 (ko) 용융 아연 도금 강판 및 그 제조 방법
JP6040753B2 (ja) 強度と耐水素脆性に優れたホットスタンプ成形体及びその製造方法
JP4317384B2 (ja) 耐水素脆化、溶接性および穴拡げ性に優れた高強度亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP4684002B2 (ja) 耐水素脆化特性に優れた超高強度薄鋼板
CN111902554B (zh) 钢板及其制造方法
KR101730292B1 (ko) 냉연 강판, 아연 도금 냉연 강판 및 그것들의 제조 방법
JP2009542920A5 (ja)
KR102537350B1 (ko) 고항복비 고강도 전기 아연계 도금 강판 및 그의 제조 방법
JP4553372B2 (ja) 耐水素脆化特性に優れた超高強度薄鋼板
JP2006009116A (ja) 熱間プレス用鋼板
CN112867807A (zh) 高延展性高强度电镀锌系钢板及其制造方法
JPH05320952A (ja) 塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板
JP6699633B2 (ja) 塗装後耐食性と耐遅れ破壊特性に優れた高強度冷延鋼板及びその製造方法
JPH06346277A (ja) 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板
JP4947565B2 (ja) めっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
CN115443350B (zh) Al镀覆热冲压钢材
JP2004292869A (ja) プレス成形性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2002206139A (ja) めっき密着性およびプレス成形性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板と高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP4551816B2 (ja) 耐水素脆化特性及び加工性に優れた超高強度薄鋼板
JP3272826B2 (ja) 耐遅れ破壊性に優れた高張力冷延鋼板
JP2003041384A (ja) 耐遅れ破壊特性に優れた鋼板
JP2002317245A (ja) プレス加工性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法