JPH0634611Y2 - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、内燃機関の燃料噴射装置に関する。

（従来の技術） ２サイクル等のガソリンエンジンにおいて、出力性能や
排気性能を向上するために、燃料を直接燃焼室に噴射す
ることが考えられているが、この場合噴射燃料により生
成される混合気の性状が性能に重要な影響を及ぼす要因
となっている。

そこで、噴射燃料の霧化および吸気との混合を良好に行
なわせるために、第４図に示すように燃料を所定の圧気
とともに噴射する空気噴射弁式の燃料噴射装置が提案さ
れている（特開昭62-93481号公報等参照）。

この空気噴射弁１は、ボディ２に取付けた細長いノズル
部３と、ボディ２とノズル部３を貫通してノズル部３の
先端を開閉するポペットバルブ４と、ポペットバルブ４
を閉方向に付勢する皿バネ５と、ポペットバルブ４を開
作動するソレノイド６と、ポペットバルブ４の回りに形
成した環状の燃料通路７と、ボディ２の側部に取付けた
燃料供給弁８等からなり、燃料ポンプ９から燃料供給弁
８に送られた燃料は所定容積の供給室10を通って燃料通
路７に、エアコンプレッサ等の圧気供給源11から送られ
た圧気は供給室10よりも後方の空気導入孔12を通って燃
料通路７にそれぞれ供給される。

したがって、ソレノイド６によりポペットバルブ４が開
かれると、供給室10から燃料通路７に供給された燃料
は、空気導入孔12から燃料通路７に供給された圧気と混
ざりつつノズル部３の先端から勢いよく噴出するように
なり、これにより極く短時間のうちに燃料の霧化が促進
され、吸気との良好な混合が行なわれるのである。

なお、13は燃料タンク、14,15はプレッシャレギュレー
タ、16,17はエンジンの速度センサと回転センサ、18は
これら信号に基づいてソレノイド６および燃料供給弁８
を駆動し、燃料の噴射量，噴射時期を制御する制御回路
である。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、この従来装置にあっては、圧気によって
燃料を噴射させるため、エアコンプレッサ等の圧気供給
源11を設けているが、このような圧気供給源11だとコス
トが相当高くなることが避けられない。また、構造が複
雑になると共に、大きな設置スペースを必要とする等、
実用性に欠けるという問題がある。

この考案は、エンジンシリンダ内の圧力を利用しエアコ
ンプレッサ等の圧気供給源を不要とすることで、上記問
題点を解決することを目的としている。

（課題を解決するための手段） この考案は、シリンダに圧気とともに燃料を噴射する空
気噴射弁を備えた内燃機関において、前記シリンダの周
辺上部に圧気取入通路を開口し、この圧気取入通路を所
定容積のアキュームレータに接続し、このアキュームレ
ータを前記空気噴射弁の空気導入孔に接続すると共に、
前記圧気取入通路に、シリンダ側に位置する第１の弁座
部と、アキュームレータ側に位置する磁石からなる第２
の弁座部と、シリンダ側の圧力とアキュームレータ側の
圧力に応じて両弁座部間を動き着座時に通路を閉じる弁
体と、この弁体を第１の弁座部側へ付勢するスプリング
とからなる圧気導入弁を介装する。

（作用） したがって、エンジンの吸気行程から圧縮行程に、シリ
ンダ内の圧力の上昇に応じて圧気導入弁の弁体が第１の
弁座部から離れて圧気取入通路が開き、これに伴いシリ
ンダ内の吸気の一部が圧気取入通路を介してアキューム
レータに流入し、蓄圧される。そして、圧縮行程から膨
張行程にかけてシリンダ内の圧力がさらに上昇すると、
その圧力に応じて圧気導入弁の弁体が第２の弁座部に着
座して圧気取入通路が閉じ、燃焼ガスのアキュームレー
タへの流入が阻止される。さらに、膨張行程から排気行
程に入り、シリンダ内の圧力が低下すると、第２の弁座
部から弁体に作用する磁力により圧力が十分に低下した
ときに、弁体が第２の弁座部から離れると同時に第１の
弁座部に着座し、同じく燃焼ガスのアキュームレータへ
の流入が阻止される。これにより、アキュームレータに
蓄圧された燃焼ガスを含まない圧気が空気噴射弁に供給
される。

（実施例） 第１図は本発明の実施例を示すもので、20はシリンダ、
21はピストン、22はシリンダブロック、23はシリンダヘ
ッドである。

空気噴射弁24は第４図のものと同一の構造のもので、シ
リンダヘッド23にシリンダ20のほぼ中央にてノズル部25
が燃焼室26に臨むように設置される。

そして、シリンダヘッド23に、シリンダヘッド23を貫通
してシリンダ20の周辺上部に埋設され圧気取入通路27が
形成される。

圧気取入通路27は、シリンダヘッド23に埋設され圧気取
入通路27を開閉する圧気導入弁28を介してシリンダヘッ
ド23の上部に設けた所定容積のアキュームレータ29に接
続される。

圧気導入弁28は、シリンダヘッド23に埋め込まれる本体
部30と、本体部30を固定する取付ネジ部31とからなり、
本体部30の流路32内にボール状の弁体33が収装され、流
路32の入口側（シリンダ20側）ポート34にテーパ状の第
１の弁座部35と、流路32の出口側（アキュームレータ29
側）ポート36にテーパ状の第２の弁座部37とが対向して
形成される。

弁体33は鉄製で、流路32の出口側には弁体33を所定のバ
ネ力で第１の弁座部35側へ付勢するスプリング38が配設
され、また第２の弁座部37は弁体33が第２の弁座部37に
着座すると所定の吸着力で弁体33を保持するように磁石
にて形成される。

即ち、圧気導入弁28は、シリンダ20内の圧力がアキュー
ムレータ29内の圧力よりも高くなり、その圧力差がスプ
リング38の初期荷重を越えると、圧力差に応じて弁体33
が第１の弁座部35から離れて流路32を開き、さらにシリ
ンダ20内の圧力が高くなり、圧力差がスプリング38の最
大圧縮荷重以上になると、弁体33が第２の弁座部37に着
座して流路32を閉じる。そして、この状態からシリンダ
20内の圧力が下がり、圧力差がスプリング38の最大圧縮
荷重よびこのとき第２の弁座部37から弁体33に作用する
吸着力に対して一定値以下になると、弁体33が第２の弁
座部37から離れ、ほぼ同時に第１の弁座部35に着座す
る。

弁体33が鉄製で、第２の弁座部37が磁石のため、弁体33
が第２の弁座部37に着座するときの圧力差に対して、磁
石による吸着力の分、圧力差が小さくなったときに、弁
体33が第２の弁座部37から離れかつ小さな圧力差のた
め、弁体33が第２の弁座部37から離れると同時に第１の
弁座部35に着座する。

なお、弁体33として第２図に示すようなポペット状のも
のを用いても良い。

そして、前記アキュームレータ29は、出口通路39を介し
て空気噴射弁24の空気導入孔（第４図参照）と接続され
る。また、アキュームレータ29には、アキュームレータ
29内の圧力が上限値を越えないように、所定圧で開くリ
リーフ弁40が設けられ、この場合そのリリーフ通路41は
エンジンの吸気通路やクランク室等に接続される。

なお、空気噴射弁24はエンジンの圧縮行程で燃料と圧気
を噴射するようになっている。

このような構成のため、エンジンの吸気行程でシリンダ
20内に流入した吸気（空気）は、圧縮行程にかけてシリ
ンダ20内の圧力がアキュームレータ29内の圧力よりも上
昇すると、圧気導入弁28の弁体33が第１の弁座部35から
離れて圧気取入通路27が開くため、吸気の一部が圧気取
入通路27を介してアキュームレータ29に流入し、蓄圧さ
れる。

圧縮行程では、空気噴射弁24から燃料と圧気が噴射され
るが、圧気取入通路27はシリンダ20の周辺上部に開口し
ているため、噴射燃料か圧気取入通路27からアキューム
レータ29内に入ることはない。

そして、圧縮行程が進み、さらにシリンダ20内の圧力が
上昇すると、その圧力上昇により圧気導入弁28の弁体33
が第２の弁座部37に着座して圧気取入通路27が閉じ、こ
のため膨張行程に入ったときに、シリンダ20内の燃焼ガ
スがアキュームレータ29内に入ることはない。

そして、膨張行程から排気行程に入ると、シリンダ20内
の燃焼ガスの排出によりシリンダ20内の圧力が低下する
が、このときその圧力が十分に低下したときに、圧気導
入弁28の弁体33が第２の弁座部37から第１の弁座部35に
素早く着座し、元の状態に戻る。これにより、弁体33の
復帰時にも、シリンダ20内の燃焼ガスがアキュームレー
タ29内に入ることはなく、次の吸気行程に入る。

このようにして、アキュームレータ29には空気のみが蓄
圧され、蓄圧された圧気は出口通路39を介して空気噴射
弁24に供給されると共に、圧縮行程での空気噴射弁24の
開弁に伴い、弁24内の燃料供給弁から供給された燃料と
共に燃焼室26に噴射される。

したがって、エアコンプレッサ等の圧気源が不要とな
り、これにより構造の簡素化と設置スペースの削減が図
れると共に、コストを大幅に低減することができ、高い
実用性が得られる。

なお、第３図に圧気導入弁28の作動特性を示す。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、シリンダに圧気とともに
燃料を噴射する空気噴射弁を備えた内燃機関において、
前記シリンダの周辺上部に圧気取入通路を開口し、この
圧気取入通路を所定容積のアキュームレータに接続し、
このアキュームレータを前記空気噴射弁の空気導入孔に
接続すると共に、前記圧気取入通路に、シリンダ側に位
置する第１の弁座部と、アキュームレータ側に位置する
磁石からなる第２の弁座部と、シリンダ側の圧力とアキ
ュームレータ側の圧力に応じて両弁座部間を動き着座時
に通路を閉じる弁体と、この弁体を第１の弁座部側へ付
勢するスプリングとからなる圧気導入弁を介装したの
で、エアコンプレッサ等の圧気源を設けずとも空気噴射
弁に所定の圧気を供給することが可能となり、構造の簡
素化と設置スペースの削減およびコストの大幅な低減が
図れ、高い実用性が確保される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図は圧気導
入弁の部分断面図、第３図は圧気導入弁の作動特性図、
第４図は従来例の構成図である。 20……シリンダ、24……空気噴射弁、27……圧気取入通
路、28……圧気導入弁、29……アキュームレータ、33…
…弁体、35……第１の弁座部、37……第２の弁座部、38
……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダに圧気とともに燃料を噴射する空
   気噴射弁を備えた内燃機関において、前記シリンダの周
   辺上部に圧気取入通路を開口し、この圧気取入通路を所
   定容積のアキュームレータに接続し、このアキュームレ
   ータを前記空気噴射弁の空気導入孔に接続すると共に、
   前記圧気取入通路に、シリンダ側に位置する第１の弁座
   部と、アキュームレータ側に位置する磁石からなる第２
   の弁座部と、シリンダ側の圧力とアキュームレータ側の
   圧力に応じて両弁座部間を動き着座時に通路を閉じる弁
   体と、この弁体を第１の弁座部側へ付勢するスプリング
   とからなる圧気導入弁を介装したことを特徴とする内燃
   機関の燃料噴射装置。