JPH06344213A - 難加工材用ドリル及び該ドリルを使用した穴あけ方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミック等の無機物、その他の難加工材の
穴あけに適したドリル及び効率よい穴あけ方法の提供。 【構成】 刃先１の回転方向後方の刃先支持面２を平面
あるいは順次盛り上げ状態に加工し、該刃先１及び刃先
支持面２にダイヤモンド等の超硬材Ｓを固着したドリル
Ｄ、該ドリルＤを使用し、ワ−クＷに対する加圧力変動
制御と加圧力解除の繰返しにより穴あけを行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、セラミック等の無機
物、その他の難加工材の穴あけに使用される難加工材用
ドリル及び該ドリルを使用した穴あけ方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、セラミック等の無機物、その他の
難加工材（以下、単に「ワ−ク」と言う。）の穴あけに
は、いわゆる超硬ドリル、その他ダイヤモンド等の超硬
切削粒子を刃先部に電着したドリル等が使用され、穴あ
け時には穴あけ部に冷却油（水）を供給しながら作業を
行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の超硬ドリル
等は、刃先部よりその回転方向後方の刃先支持面が下げ
られた状態に構成されている。したがって、刃先、すな
わち、鋭利（鋭角）に構成された回転方向先端部分が最
初にワ−クに接触させられ、その後も専ら該刃先部によ
って穴あけが行われるものであった。

【０００４】そのため、刃先部、あるいは該刃先部に電
着した超硬切削粒子が脱落しやすく、しばしば穴あけ作
業中にドリルを交換しなければならない場合があった。
特に、前記刃先部への超硬切削粒子の電着は、刃先部が
鋭利（鋭角）であるため完全固着が難しく電着後も脱落
しやすいものであった。

【０００５】さらに、従来の穴あけ作業は、ドリルを穴
あけ完了まで一定圧力でワークに加圧させるものである
ため、穴あけ速度に限界があり、さらにワークを損傷，
破壊する場合があった。

【０００６】すなわち、ドリルをワークに常時一定圧力
で加圧回転させていると、ドリルの回転にブレーキがか
けられ、穴あけ速度が低下し、穴あけ加工に時間を要す
るものであった。

【０００７】さらに、ドリルをワークに常時一定圧力で
加圧回転させていると、穴あけ部分に冷却油（水）が浸
入しにくく、ドリル及びワークの冷却が十分に行われ
ず、ドリル及びワークが高温加熱され、切削能力の低下
及びワークの変質、場合によってはワークの破壊、さら
にはドリルの耐久性の低下を招く場合があった。

【０００８】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、耐久性に優れ、経済的な難加工材用ドリルを提供す
るとともに、該ドリルを使用した効率のよい穴あけ方法
を提供することを目的とするものであり、さらにはワー
クの変質及び破壊を防止できるものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、ドリルの発明は、刃先の回転方向後方の刃
先支持面を平面あるいは順次盛り上げ状態に加工し、前
記刃先及び刃先支持面にダイヤモンド等の超硬材を固着
せしめたものであり、方法の発明は、前記ドリルを使用
し、ワ−クに対する加圧力の変動制御と加圧力解除の繰
返しにより穴あけを行うものである。

【００１０】

【作用】本発明のドリルは、先端面の対向位置の回転方
向先端部に構成された刃先１、１ａと、その回転方向後
方に平面あるいは順次盛り上げ状態に構成された略扇形
の刃先支持面２、２ａにダイヤモンド等の超硬材３が固
着させられている。

【００１１】したがって、穴あけ切削は刃先１、１ａの
他に前記刃先支持面２、２ａに完全固着された超硬材３
によって行われ、特に刃先支持面２、２ａを盛り上げ状
態に構成した場合には、該刃先支持面２、２ａ部分の超
硬材３が脱落しても順次刃先１、１ａ側に固着している
超硬材３、さらには刃先１、１ａにより切削が継続され
る。

【００１２】すなわち、鋭利（鋭角）な部分に不安定状
態に固着された超硬材と異なり、平面上あるいは順次盛
り上げ状態面上に完全固着された超硬材３により切削が
行われるため、超硬材３も脱落しにくく、しかも刃先に
全負担がかからず、ドリルＤの寿命を大幅に延長させる
ことができ経済的である。

【００１３】また、本発明の方法では、ドリルＤがモ−
タ３７により回転させられ、さらに切換弁２５の切換操
作により上下動させられる。すなわち、加圧力の変動制
御が行われ、さらに加圧力解除が行われ、それらが繰り
返される。

【００１４】したがって、従来のごとく、ドリルＤにブ
レ−キがかかった場合でも加圧力の小さい時、さらには
加圧力解除時には回転が正常状態に回復し、続いて回復
状態で穴あけ加工に入るため穴あけ効率を向上させるこ
とができるものである。

【００１５】さらに、加圧力の小さい時、さらには加圧
力解除時には穴あけ加工部分に冷却油（水）が浸入し、
ドリルＤ及びワークＷが必要以上に加熱されることがな
く、ドリルＤの耐久性が向上され、さらにワークＷが熱
により変質させられることがないものである。

【００１６】なお、本発明の方法における前記ドリルＤ
の加圧力変動制御及び加圧力の解除は、ワークの材質等
に合せてドリルＤの加圧力（エアーシリンダの推力）を
一定にし、それ以上の加圧力（推力）となった場合にド
リルＤが戻されるように制御され、実際にはゆるやかな
振動状態に制御される。

【００１７】また、図４、図５に示す実施例では二本の
エアーシリンダが使用されているため、一本のエアーシ
リンダの場合と異なり、エアーの圧縮性等の影響を受け
ずに加圧力変動制御及び加圧力の解除を正確に行うこと
ができる。しかも、エアーシリンダによる制御であるた
め、油圧等と異なり過加圧も防止され、しかも迅速制御
が可能である。

【００１８】

【実施例】以下に本発明の一実施例を図面について説明
する。図１は本発明のドリルの正面図、図２は平面図、
図３は従来のドリルの正面図、図４は本発明の方法を実
施するための装置の一例を示す正面図、図５は図４の装
置の制御回路図の一例である。

【００１９】この種のドリルは、図２に示すごとく先端
面の対向位置の回転方向先端部に刃先１、１ａが構成さ
れ、その回転方向後方にそれぞれ略扇形の刃先支持面
２、２ａが構成されている。図中３は螺旋状に設けられ
た切削粉等の排出溝である。従来、前記刃先１、１ａ部
から刃先支持面２、２ａが下げ勾配に構成され、図３に
示すごとく、θ角度が１０度から１５度とされている。

【００２０】本発明では前記従来と逆に刃先１、１ａの
回転方向後方に構成される刃先支持面２、２ａが平面あ
るいは盛り上げ加工される。たとえば、前記θ角度が０
（ゼロ）、あるいは図１に示すように負の角度とされ
る。

【００２１】そして前記刃先１、１ａ及び刃先支持面
２、２ａにダイヤモンド等の超硬材Ｓが固着せしめられ
る。該超硬材Ｓは粒子に構成され、電着等の方法で固着
させられる。たとえば、ドリル母体にニッケル等の金属
をメッキし、該ニッケル等のメッキ層でダイヤモンド等
の超硬材Ｓを抱え込む方法等が採用される。

【００２２】前記図１に示した構成のドリルＤは、当初
順次盛り上げ状態に刃先支持面２、２ａを構成した場合
には該刃先支持面２、２ａに完全固着された超硬材Ｓに
より穴あけ切削が行われ、該超硬材Ｓが脱落した場合に
は順次刃先１、１ａ側に位置している超硬材Ｓ、さらに
は刃先１、１ａにより穴あけ切削が継続させられられる
ためドリルの寿命を大幅に延長させることができる。

【００２３】つぎに、本発明の穴あけ方法を図４及び図
５にしたがって説明する。図４において、３０は基台、
３１は支柱、３２はスピンドルヘッド、３３はテーブル
である。前記スピンドルヘッド３２の下方にはスピンド
ル３４が上下動自在に突出させられ、該スピンドル３４
にドリルＤが取付けられる。

【００２４】さらに、前記スピンドル３４及びドリルＤ
と平行に、対向させて両ピストンロッド４、５を連結し
たエアーシリンダＡ、Ｂが設けられる。図面では、エア
ーシリンダＡ、Ｂは、そのチューブ８、９が前記基台３
０に起立させた支柱３６に支持されている。図中、３７
はスピンドル３４及びドリルＤの回転用のモータ、Ｗは
ワークである。

【００２５】さらに前記連結されたピストンロッド４、
５と前記スピンドル３４が上下プレート３９により連係
させられる。ここで連係とは、スピンドル３４の回転に
影響を与えることなく、ピストンロッド４、５によりス
ピンドル３４及びドリルＤの上下動を可能とすることと
を意味する。

【００２６】したがって、前記上下プレート３９の一端
はピストンロッド４、５側に固定されるが、他端はスピ
ンドル３４の回転に対してはフリーの状態とされ、スピ
ンドル３４の上下動のみを規制する構成とされる。すな
わち、前記スピンドル３４及びドリルＤは穴あけ作業に
際してエアーシリンダＡ、Ｂにより上下動させられ、か
つ回転させられる。

【００２７】つぎに、エアーシリンダＡ、Ｂによるスピ
ンドル３４及びドリルＤの上下動について述べる。図５
に示すごとく、エアーシリンダＡ、Ｂはピストンロッド
４、５、チューブ８、９、さらにピストン１０、１１で
構成されている。

【００２８】つぎに、ロッドカバー側の隔室１７、１８
からの配管１９、２０に切換弁２５が設けられ、操作圧
配管１６との接続あるいは遮断、さらには該遮断ととも
に前記隔室１８、１７内のエアーを排出できるように構
成されている。

【００２９】切換弁２５は、それぞれ２つのポ−トを有
する弁２１、２２、２３、２４を組み合わせて構成さ
れ、あらかじめ弁２１と２４が同時に開閉操作され、弁
２２と弁２３が同時に開閉操作されるようにあらかじめ
構成され、弁２１にはサ−ボバルブ４０を介して操作圧
配管１６が連結され、弁２２にはサ−ボバルブ４１を介
して操作圧配管１６が連結されてなる。

【００３０】前記サ−ボバルブ４０、４１は操作圧配管
１６から弁２１、２２及びエアシリンダＡ、Ｂのロッド
側の隔室１７、１８に供給する圧縮空気量を制御するも
のであり、図中４２は前記サ−ボバルブ４０、４１の制
御部である。

【００３１】一方、ヘッドカバ−側の隔室１２、１３か
ら設けられた配管１４、１５にはそれぞれリリ−フ式減
圧弁４３、４４が設けられ、さらにそれぞれ操作圧配管
１６に連結されてヘッドカバ−側の隔室１２、１３内の
圧力が常に一定に保持されるように構成される。

【００３２】すなわち、前記リリ−フ式減圧弁４３、４
４は、ピストン１０、１１の移動によって、ヘッドカバ
−側の隔室１２、１３内のいずれかが負圧となった場合
には該負圧となった隔室に操作圧配管１６から圧縮空気
を供給して所定圧にもどし、他方正圧となったヘッドカ
バ−側の隔室１２、１３内の空気を排出して所定圧にも
どすように働き、常にヘッドカバ−側の隔室１２、１３
内の圧力が一定に保たれるように作用するものである。

【００３３】前記構成において、切換弁２５を操作する
ことにより、操作圧配管１６から一定操作圧の圧縮空気
がエアーシリンダＡのロッドカバー側の隔室１７に供給
され、逆にエアーシリンダＢのロッドカバー側の隔室１
８の空気を排出することにより、上下プレ−ト３９を介
してスピンドル３４及びドリルＤを下降させることがで
き、逆の切換操作により上下プレ−ト３９を介してスピ
ンドル３４及びドリルＤを上昇させることができる。

【００３４】まず、前記スピンドル３４及びドリルＤの
下降について述べれば。切換弁２５の弁２１、２４を同
時に閉じて通気可能状態とすると、操作圧配管１６から
の圧縮空気がサ−ボバルブ４０、切換弁２５の弁２１及
び配管１９を介してエアーシリンダＡのロッドカバー側
の隔室１７に供給される。同時にエアーシリンダＢのロ
ッドカバー側の隔室１８内の空気が配管２０、切換弁２
５の弁２２、弁２４、絞り弁４６を介して排出され、ピ
ストン１０及び１１が下降させられる。

【００３５】一方、エアーシリンダＡのヘッドカバー側
の隔室１２及びエア−シリンダＢのヘッドカバ−側隔室
１３内の圧力は前記ピスト１０、１１の移動にかかわら
ず常に一定に保持され、ピストン１０、１１によるスピ
ンドル３４及びドリルＤの下降を阻害することがない。

【００３６】しかも前記ヘッドカバ−側の隔室１２、１
３内がピストン１０、１１の移動にかかわらず常に一定
の圧力に保持されることから、ピストン１０、１１を所
定下降位置に完全停止させることができるため、ドリル
ＤをワークＷに対して所定ストロ−クで加圧して穴あけ
加工を行うことができる。

【００３７】つぎに、スピンドル３４及びドリルＤの上
昇について述べれば、前記とは逆に切換弁２５の弁２
２、２３を閉じて通気可能状態にすると、操作圧配管１
６からの圧縮空気がサ−ボバルブ４１、切換弁２５の弁
２２、配管２０を介してエア−シリンダＢのロッドカバ
−側の隔室１８に供給される。

【００３８】同時にエア−シリンダＡのロッドカバ−側
の隔室１７内の空気が配管１９、切換弁２５の弁２１、
弁２３、絞り弁４６を介して排出され、ピストン１０及
び１１が上昇させられ、スピンドル３４及びドリルＤを
上昇させて加圧力の変動及び加圧力解除を行うことがで
きる。

【００３９】前記のごとく、切換弁２５を開閉操作及び
操作圧配管１６からの圧縮空気量をサ−ボバルブ４１、
４２により制御することにより上下プレート３９、スピ
ンドル３４及びドリルＤを上下動させ、ワ−クＷに合わ
せたドリルＤの加圧力の変動制御と加圧力解除の繰返し
により穴あけを行うことができる。

【００４０】

【発明の効果】本発明のドリルは、耐久性に優れ、寿命
が大幅に延長されられるため経済的であり、本発明の方
法によれば効率よく穴あけ作業を行うことができ、さら
にワ−クの変質及び破壊等を防止できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のドリルの正面図である。

【図２】本発明のドリルの平面図である。

【図３】従来のドリルの正面図である。

【図４】本発明の方法を実施するための装置の一例を示
す正面図である。

【図５】図４の装置の制御回路図の一例である。

【符号の説明】

１、１ａ 刃先 ２、２ａ 刃先支持面 ３ 超硬材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刃先の回転方向後方の刃先支持面を平面
   あるいは順次盛り上げ状態に加工し、前記刃先及び刃先
   支持面にダイヤモンド等の超硬材を固着せしめたことを
   特徴とする難加工材用ドリル。
2. 【請求項２】 刃先の回転方向後方の刃先支持面を平面
   あるいは順次盛り上げ状態に加工し、前記刃先及び刃先
   支持面にダイヤモンド等の超硬材を固着せしめたドリル
   を使用し、難加工材に対する加圧力の変動制御と加圧力
   解除の繰返しにより穴あけを行うことを特徴とする穴あ
   け方法。