JPH06343359A - ナタネ一代雑種品種の作成方法 - Google Patents

ナタネ一代雑種品種の作成方法

Info

Publication number
JPH06343359A
JPH06343359A JP4303127A JP30312792A JPH06343359A JP H06343359 A JPH06343359 A JP H06343359A JP 4303127 A JP4303127 A JP 4303127A JP 30312792 A JP30312792 A JP 30312792A JP H06343359 A JPH06343359 A JP H06343359A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rapeseed
line
cms
radish
pollination
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4303127A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Kurihara
宏幸 栗原
Kougun Riyuu
洪軍 劉
Takako Sakai
隆子 酒井
Jun Imamura
順 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Mitsubishi Corp
Mitsubishi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Corp, Mitsubishi Kasei Corp filed Critical Mitsubishi Corp
Priority to JP4303127A priority Critical patent/JPH06343359A/ja
Priority to CA002108230A priority patent/CA2108230C/en
Priority to CN93115012A priority patent/CN1067511C/zh
Priority to DE69329943T priority patent/DE69329943T2/de
Priority to US08/136,023 priority patent/US5644066A/en
Priority to EP93116633A priority patent/EP0599042B1/en
Priority to DK93116633T priority patent/DK0599042T3/da
Publication of JPH06343359A publication Critical patent/JPH06343359A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】小瀬菜ダイコンの細胞質雄性不稔(CMS)を
導入したナタネ細胞質雄性不稔系統を受粉系統とし、小
瀬菜ダイコン由来の細胞質雄性不稔に対して花粉稔性を
回復するダイコン由来の稔性回復遺伝子を導入したナタ
ネ稔性回復系統を授粉系統として交配することによりナ
タネ一代雑種品種を作成する。 【効果】本発明によれば、従来のCMSに比して性質が
優れた小瀬菜ダイコン由来のCMSを用いたことによ
り、より優れたナタネ一代雑種品種の育成が可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、ナタネ一代雑種品種お
よびその作成方法に関し、詳細には小瀬菜ダイコン由来
の細胞質雄性不稔ならびに任意のダイコン由来の稔性回
復遺伝子を利用したナタネ一代雑種品種およびその作成
方法に関する。
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
のナタネ品種の育成においては、ナタネの有する高い自
殖親和性を利用した自殖品種の育成が主たるものであっ
たが、近年、他の多くの作物において実用化されている
ところの雑種強勢(ヘテローシス)を利用した一代雑種
品種(F1)の育成がナタネにおいても試みられるよう
になってきた。この一代雑種品種の利点としては、雑種
強勢の発現により収量性、耐病性等の農業形質が優れた
ものとなること、栽培される品種の形質が比較的均一で
あること、また品種の次世代で遺伝形質の分離が起こる
ことにより、品種育成者の利益が保護されること、等が
挙げられる。ナタネにおける一代雑種品種の育種法とし
ては、これまでに自家不和合性を利用したもの、および
細胞質雄性不稔(Cytoplasmic Male
Sterility;以下、「CMS」と略す)を利用
したものが試みられているが、これらの中でも採種の効
率性、交配親の維持の容易さ等により、CMSを利用し
たものが有望視されている。これまでナタネにおいて一
代雑種品種育成に利用されているのは、ナタネ品種ポリ
マ(Polima)由来のCMSのみである。しかしな
がら、ポリマ由来のCMSにおいては、開花期における
気温や、開花した花の位置等により花粉稔性が回復して
しまうという問題点(雄性不稔の不安定性)を有してお
り、このことが一代雑種品種における品種の均一性を損
なっていた。また、親の核型の違いによってはポリマの
細胞質の影響により植物体が小さくなることがあり、こ
のため一代雑種品種の最大の特徴である雑種強勢が現れ
なくなることがあった。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より優れ
た一代雑種品種を育成することを目的として研究を進め
た結果、ポリマの細胞質を利用したときに認められる上
記の問題点を解決するために、小瀬菜ダイコン由来のC
MSおよびその稔性を回復することのできる任意のダイ
コン由来のCMS回復遺伝子(以下、「Rf遺伝子」と
略す)を使用することによりかかる目的が達成できるこ
とを初めて見出し、本発明を完成するに至った。即ち本
発明の要旨は、小瀬菜ダイコンのCMSを導入したナタ
ネCMS系統を受粉系統とし、小瀬菜ダイコン由来のC
MSに対して花粉稔性を回復するダイコン由来のRf遺
伝子を導入したナタネ稔性回復系統を授粉系統として交
配することを特徴とするナタネ一代雑種品種の作成方法
に存する。以下、本発明につき詳細に説明する。本発明
のナタネ一代雑種品種は、ナタネ受粉系統とナタネ授粉
系統を交配することにより作成される。そこで各系統の
育成法から説明する。まず小瀬菜ダイコンのCMSを有
するナタネ受粉系統は、例えば小瀬菜ダイコン由来のサ
イトプラストあるいは放射線(X線、γ線、紫外線等)
照射したプロトプラストとヨード化合物(ヨードアセト
アミド、ヨード酢酸等)処理したナタネ由来のプロトプ
ラストとを細胞融合し、かかる融合細胞を培養すること
により得られたコロニーから植物体を再生させることに
より育成することができる(特開平1−218530号
公報、同2−303426号公報等)。小瀬菜ダイコン
のCMSは、雄性不稔性が極めて安定しており、温度等
の影響による稔性の回復が無い優れた性質を有する。こ
の受粉系統は、必要に応じて任意のナタネ品種や系統と
交配を重ねて育成してもよい。ナタネとしては、春播き
ナタネ品種Westar等が挙げられる。次に小瀬菜ダ
イコンのCMSに対するRf遺伝子を有する授粉系統
は、例えば上記のCMS系統または任意のナタネ品種、
系統に、小瀬菜ダイコン由来のCMSに対し花粉稔性を
回復できるRf遺伝子を有するダイコンを用いて、交配
または細胞融合することにより育成することができる。
この授粉系統は、必要に応じて任意のナタネ品種や系統
と交配を重ねて育成してもよい。ここで、ナタネ(Br
assica napus;ゲノム構成は、AACCと
表される)にダイコン(Raphanus sativ
us;ゲノム構成は、RRと表される)を交配して得ら
れた雑種植物のゲノム構成は、ACRとなる。交配の方
法としては、ナタネ(napus)を戻し交配する
以外にも、例えばナタネ×ダイコンのF1 (ACRゲノ
ム)をコルヒチン処理により染色体を倍化してAACC
RRゲノムの雑種植物を育成し、これにAAゲノムナタ
ネ(campestris)を交配することにより
CゲノムとRゲノムの組み換えを誘導し、Rf遺伝子を
持つAAC’R’ゲノムの植物を作出する方法等が挙げ
られる。また、ナタネとダイコンを細胞融合することに
よっても、AACCRRゲノムの雑種植物を得ることも
できる。ダイコンとしては、日本の小瀬菜ダイコンや、
中国の園紅、心里美等が挙げられ、ナタネとしては、春
播きナタネ品種Westar等が挙げられる。
【発明の効果】本発明によれば、従来のCMSに比して
性質が優れた小瀬菜ダイコン由来のCMSを用いたこと
により、より優れたナタネ一代雑種品種の育成が可能と
なる。
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて詳細に説
明するが、その要旨を越えない限り以下に限定されるも
のではない。 実施例1 受粉系統の育成 春播きナタネ品種Westar由来のプロトプラストお
よびCMSを有する小瀬菜ダイコン由来のサイトプラス
トを用いて特開平2−303426号公報に記載の方法
に準じて細胞融合を行い、植物体を形成させて雄性不稔
植物を得た。この雄性不稔植物にWestarを3回戻
し交配することにより、受粉系統SW18−3を育成し
た。受粉系統SW18−3は小瀬菜ダイコン由来のCM
Sを有しており、下記の表1に示すように、花粉稔性が
回復した例は見出されず、極めて安定した不稔を示すと
いう特徴を有していた。
【表1】 表 1 ──────────────────────────────────── 栽培条件 調査花数 稔性回復花数 稔性回復率(%) ──────────────────────────────────── ビニールハウス 375 0 0 (15〜25℃) バイオトロン(15℃) 223 0 0 バイオトロン(23℃) 248 0 0 ──────────────────────────────────── 受粉系統SW18−3の花器の構造を図1および図2に
写真で示す。CMSの花は、雄蕊の発達はほとんど見ら
れず、花粉は全く作られていないことがわかる。 実施例2 授粉系統の育成 受粉系統SW18−3に、中国ダイコン品種園紅を交配
し、子房培養、胚培養を経て雑種植物を作出した。得ら
れた雑種植物のうち、花粉稔性の回復したものをRf遺
伝子が導入されたものとして選抜し、これにWesta
rを戻し交配した。得られた戻し交配第1代植物のうち
花粉稔性が回復したものを選抜し、以後同様にして計6
回戻し交配した。更に導入したRf遺伝子をホモにする
ために自殖を行い、授粉系統ESW−7Rを育成した
(授粉系統は、Rf遺伝子ヘテロの植物の花粉を培養し
て半数体植物を育成し、これを自然倍化またはコルヒチ
ン処理して倍化することによっても作出した)。授粉系
統ESW−7Rの花器の構造は正常なナタネ品種(We
star)と同様であり、花粉稔性はWestarが9
5〜98%であるのに対し、授粉系統ESW−7Rの花
粉稔性も同様の値を示した。授粉系統ESW−7Rの細
胞質は受粉系統SW18−3の雄性不稔細胞質であるこ
とから、授粉系統ESW−7Rの持つRf遺伝子は小瀬
菜ダイコン由来のCMSを完全に回復することができ
る。 実施例3 一代雑種品種の育成 受粉系統SW18−3および授粉系統ESW−7Rを、
外来の花粉の侵入を防いだ採種用隔離温室内にて15〜
25℃で栽培して交配を行い、一代雑種種子0012−
HYを得た。得られた一代雑種ナタネ0012−HYを
栽培して開花時に雄性不稔株の出現を調査したところ、
不稔株は全く見出されなかった。またポリマ由来CMS
を利用して得られた市販の一代雑種品種Hyola40
は、約3割が不稔株であった(表2)。
【表2】 表 2 ──────────────────────────────────── 栽培条件 供試株数 不稔株数 不稔株出現率(%) ──────────────────────────────────── 0012−HY 52 0 0 Hyola40 37 11 29.7 ──────────────────────────────────── 次に一代雑種ナタネ0012−HYにWestarを交
配して得られた種子を播種、栽培し、開花時に花粉稔性
株の出現を調査したところ、花粉稔性株と不稔株の出現
率は約1:3であった。このことから、一代雑種ナタネ
0012−HYはRf遺伝子をヘテロの状態で有するこ
とにより、稔性を回復したことが確認された。以上の結
果から、ポリマ由来CMSを利用した受粉系統ではかな
りの高頻度で稔性回復が生じており、ひいては一代雑種
品種における均一性の低下をもたらしていることがわか
る。これに対し小瀬菜ダイコン由来のCMSを利用した
受粉系統では表1に示すように花粉稔性の回復が全くな
いことから、一代雑種品種の均一性を高めることが可能
であると考えられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ナタネCMS系統SW18−3の花器の構造を
表す。
【図2】ナタネCMS系統SW18−3の花器の構造を
表す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナタネ一代雑種品種お
よびその作成方法に関し、詳細には小瀬菜ダイコン由来
の細胞質雄性不稔ならびに任意のダイコン由来の稔性回
復遺伝子を利用したナタネ一代雑種品種およびその作成
方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
のナタネ品種の育成においては、ナタネの有する高い自
殖親和性を利用した自殖品種の育成が主たるものであっ
たが、近年、他の多くの作物において実用化されている
ところの雑種強勢(ヘテローシス)を利用した一代雑種
品種(F1)の育成がナタネにおいても試みられるよう
になってきた。この一代雑種品種の利点としては、雑種
強勢の発現により収量性、耐病性等の農業形質が優れた
ものとなること、栽培される品種の形質が比較的均一で
あること、また品種の次世代で遺伝形質の分離が起こる
ことにより、品種育成者の利益が保護されること、等が
挙げられる。
【0003】ナタネにおける一代雑種品種の育種法とし
ては、これまでに自家不和合性を利用したもの、および
細胞質雄性不稔(Cytoplasmic Male
Sterility;以下、「CMS」と略す)を利用
したものが試みられているが、これらの中でも採種の効
率性、交配親の維持の容易さ等により、CMSを利用し
たものが有望視されている。
【0004】これまでナタネにおいて一代雑種品種育成
に利用されているのは、ナタネ品種ポリマ(Polim
a)由来のCMSのみである。しかしながら、ポリマ由
来のCMSにおいては、開花期における気温や、開花し
た花の位置等により花粉稔性が回復してしまうという問
題点(雄性不稔の不安定性)を有しており、このことが
一代雑種品種における品種の均一性を損なっていた。ま
た、親の核型の違いによってはポリマの細胞質の影響に
より植物体が小さくなることがあり、このため一代雑種
品種の最大の特徴である雑種強勢が現れなくなることが
あった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より優れ
た一代雑種品種を育成することを目的として研究を進め
た結果、ポリマの細胞質を利用したときに認められる上
記の問題点を解決するために、小瀬菜ダイコン(Rap
hanus sativus,cv.Kosena)由
来のCMSおよびその稔性を回復することのできる任意
のダイコン由来のCMS回復遺伝子(以下、「Rf遺伝
子」と略す)を使用することによりかかる目的が達成で
きることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち本発明の要旨は、小瀬菜ダイコン(
aphanus sativus,cv.Kosen
a)のCMSを導入したナタネCMS系統を受粉系統と
し、小瀬菜ダイコン由来のCMSに対して花粉稔性を回
復するダイコン由来のRf遺伝子を導入したナタネ稔性
回復系統を授粉系統として交配することを特徴とするナ
タネ一代雑種品種の作成方法に存する。
【0007】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明のナタネ一代雑種品種は、ナタネ受粉系統とナタネ授
粉系統を交配することにより作成される。そこで各系統
の育成法から説明する。まず小瀬菜ダイコンのCMSを
有するナタネ受粉系統は、例えば小瀬菜ダイコン由来の
サイトプラストあるいは放射線(X線、γ線、紫外線
等)照射したプロトプラストとヨード化合物(ヨードア
セトアミド、ヨード酢酸等)処理したナタネ(Bras
sica napus)由来のプロトプラストとを細胞
融合し、かかる融合細胞を培養することにより得られた
コロニーから植物体を再生させることにより育成するこ
とができる(特開平1−218530号公報、同2−3
03426号公報等)。小瀬菜ダイコンのCMSは、雄
性不稔性が極めて安定しており、温度等の影響による稔
性の回復が無い優れた性質を有する。この受粉系統は、
必要に応じて任意のナタネ品種や系統と交配を重ねて育
成してもよい。ナタネとしては、春播きナタネ品種We
star(B.napus,cv.Westar)等が
挙げられる。
【0008】次に小瀬菜ダイコンのCMSに対するRf
遺伝子を有する授粉系統は、例えば上記のCMS系統ま
たは任意のナタネ品種、系統に、小瀬菜ダイコン由来の
CMSに対し花粉稔性を回復できるRf遺伝子を有する
ダイコンを用いて、交配または細胞融合することにより
育成することができる。この授粉系統は、必要に応じて
任意のナタネ品種や系統と交配を重ねて育成してもよ
い。ここで、ナタネ(Brassica napus
ゲノム構成は、AACCと表される)にダイコン(Ra
phanus sativus;ゲノム構成は、RRと
表される)を交配して得られた雑種植物のゲノム構成
は、ACRとなる。交配の方法としては、ナタネ(
napus)を戻し交配する以外にも、例えばナタネ×
ダイコンのF 1 (ACRゲノム)をコルヒチン処理によ
り染色体を倍化してAACCRRゲノムの雑種植物を育
成し、これにAAゲノムナタネ(campestr
is)を交配することによりCゲノムとRゲノムの組み
換えを誘導し、Rf遺伝子を持つAAC’R’ゲノムの
植物を作出する方法等が挙げられる。また、ナタネとダ
イコンを細胞融合することによっても、AACCRRゲ
ノムの雑種植物を得ることもできる。ダイコンとして
は、日本の小瀬菜ダイコンや、中国の園紅(R.sat
ivus,cv.Yuanhong)、心里美(R.s
ativus,cv.Xinlimei)等が挙げら
れ、ナタネとしては、春播きナタネ品種Westar等
が挙げられる。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、従来のCMSに比して
性質が優れた小瀬菜ダイコン由来のCMSを用いたこと
により、より優れたナタネ一代雑種品種の育成が可能と
なる。
【0010】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて詳細に説
明するが、その要旨を越えない限り以下に限定されるも
のではない。 実施例1 受粉系統の育成 春播きナタネ品種Westar由来のプロトプラストお
よびCMSを有する小瀬菜ダイコン由来のサイトプラス
トを用いて特開平2−303426号公報に記載の方法
に準じて細胞融合を行い、植物体を形成させて雄性不稔
植物を得た。この雄性不稔植物にWestarを3回戻
し交配することにより、受粉系統SW18−3を育成し
た。受粉系統SW18−3は小瀬菜ダイコン由来のCM
Sを有しており、下記の表1に示すように、花粉稔性が
回復した例は見出されず、極めて安定した不稔を示すと
いう特徴を有していた。
【0011】
【表1】 表 1 ──────────────────────────────────── 栽培条件 調査花数 稔性回復花数 稔性回復率(%) ──────────────────────────────────── ビニールハウス 375 0 0 (15〜25℃) バイオトロン(15℃) 223 0 0 バイオトロン(23℃) 248 0 0 ──────────────────────────────────── 受粉系統SW18−3の花器の構造を図1および図2に
写真で示す。CMSの花は、雄蕊の発達はほとんど見ら
れず、花粉は全く作られていないことがわかる。
【0012】実施例2 授粉系統の育成 受粉系統SW18−3に、中国ダイコン品種園紅を交配
し、子房培養、胚培養を経て雑種植物を作出した。得ら
れた雑種植物のうち、花粉稔性の回復したものをRf遺
伝子が導入されたものとして選抜し、これにWesta
rを戻し交配した。得られた戻し交配第1代植物のうち
花粉稔性が回復したものを選抜し、以後同様にして計6
回戻し交配した。更に導入したRf遺伝子をホモにする
ために自殖を行い、授粉系統ESW−7Rを育成した
(授粉系統は、Rf遺伝子ヘテロの植物の花粉を培養し
て半数体植物を育成し、これを自然倍化またはコルヒチ
ン処理して倍化することによっても作出した)。授粉系
統ESW−7Rの花器の構造は正常なナタネ品種(We
star)と同様であり、花粉稔性はWestarが9
5〜98%であるのに対し、授粉系統ESW−7Rの花
粉稔性も同様の値を示した。授粉系統ESW−7Rの細
胞質は受粉系統SW18−3の雄性不稔細胞質であるこ
とから、授粉系統ESW−7Rの持つRf遺伝子は小瀬
菜ダイコン由来のCMSを完全に回復することができ
る。
【0013】実施例3 一代雑種品種の育成 受粉系統SW18−3および授粉系統ESW−7Rを、
外来の花粉の侵入を防いだ採種用隔離温室内にて15〜
25℃で栽培して交配を行い、一代雑種種子0012−
HYを得た。得られた一代雑種ナタネ0012−HYを
栽培して開花時に雄性不稔株の出現を調査したところ、
不稔株は全く見出されなかった。またポリマ由来CMS
を利用して得られた市販の一代雑種品種Hyola40
は、約3割が不稔株であった(表2)。
【0014】
【表2】 表 2 ──────────────────────────────────── 栽培条件 供試株数 不稔株数 不稔株出現率(%) ──────────────────────────────────── 0012−HY 52 0 0 Hyola40 37 11 29.7 ──────────────────────────────────── 次に一代雑種ナタネ0012−HYにWestarを交
配して得られた種子を播種、栽培し、開花時に花粉稔性
株の出現を調査したところ、花粉稔性株と不稔株の出現
率は約1:3であった。このことから、一代雑種ナタネ
0012−HYはRf遺伝子をヘテロの状態で有するこ
とにより、稔性を回復したことが確認された。
【0015】以上の結果から、ポリマ由来CMSを利用
した受粉系統ではかなりの高頻度で稔性回復が生じてお
り、ひいては一代雑種品種における均一性の低下をもた
らしていることがわかる。これに対し小瀬菜ダイコン由
来のCMSを利用した受粉系統では表1に示すように花
粉稔性の回復が全くないことから、一代雑種品種の均一
性を高めることが可能であると考えられた。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年8月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ナタネCMS系統SW18−3の花器の形態
(生物の形態)を表す図面に代わる写真である。
【図2】ナタネCMS系統SW18−3の花器の形態
(生物の形態)を表す図面に代わる写真である。
フロントページの続き (72)発明者 酒井 隆子 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 株 式会社植物工学研究所内 (72)発明者 今村 順 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 株 式会社植物工学研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小瀬菜ダイコンの細胞質雄性不稔を導入
    したナタネ細胞質雄性不稔系統を受粉系統とし、小瀬菜
    ダイコン由来の細胞質雄性不稔に対して花粉稔性を回復
    するダイコン由来の稔性回復遺伝子を導入したナタネ稔
    性回復系統を授粉系統として交配することを特徴とする
    ナタネ一代雑種品種の作成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により作出されたナ
    タネ一代雑種品種。
JP4303127A 1992-10-14 1992-10-15 ナタネ一代雑種品種の作成方法 Pending JPH06343359A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4303127A JPH06343359A (ja) 1992-10-15 1992-10-15 ナタネ一代雑種品種の作成方法
CA002108230A CA2108230C (en) 1992-10-14 1993-10-12 Methods for introducing a fertility restorer gene and for producing f1 hybrid of brassica plants thereby
CN93115012A CN1067511C (zh) 1992-10-14 1993-10-14 引入育性恢复基因并由此制备芸苔属植物f1杂种的方法
DE69329943T DE69329943T2 (de) 1992-10-14 1993-10-14 Verfahren zur Introduktion von einem fruchtbarkeitswiederherstellenden Gen und zur Produktion von Brassica F1-Hybriden
US08/136,023 US5644066A (en) 1992-10-14 1993-10-14 Methods for introducing a fertility restorer gene and for producing F1
EP93116633A EP0599042B1 (en) 1992-10-14 1993-10-14 Methods for introducing a fertility restorer gene and for producing F1 hybrids of Brassica plants thereby
DK93116633T DK0599042T3 (da) 1992-10-14 1993-10-14 Fremgangsmåder til indføring af et fertilitetsgenopretningsgen og til produktion af F1-hybrid af brassica-planter dermed

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4303127A JPH06343359A (ja) 1992-10-15 1992-10-15 ナタネ一代雑種品種の作成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06343359A true JPH06343359A (ja) 1994-12-20

Family

ID=17917209

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4303127A Pending JPH06343359A (ja) 1992-10-14 1992-10-15 ナタネ一代雑種品種の作成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06343359A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123714A1 (en) * 2007-04-06 2008-10-16 Dongbu Hitek Co., Ltd. A method for producing a hybrid seed using plant of novel cytoplasmic-genic male sterility raphanus sativus line and dna markers for selecting the plant of said raphanus sativus line
GB2478682A (en) * 2007-04-06 2011-09-14 Dongbu Hitek Co Ltd A method fpr producing a hybrid seed using plant of novel cytoplasmic-genic male sterility raphanus sativus line and dna markers for selecting the plant of sa
CN105766659A (zh) * 2016-05-16 2016-07-20 王林武 一种有机红萝卜新品种及其选育方法
CN107896977A (zh) * 2017-12-11 2018-04-13 青海省农林科学院 一种油菜综合杂交种的培育方法
CN112997878A (zh) * 2021-03-09 2021-06-22 湖州市农业科技发展中心(湖州市农业科学研究院) 一种紫红油菜花选育方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123714A1 (en) * 2007-04-06 2008-10-16 Dongbu Hitek Co., Ltd. A method for producing a hybrid seed using plant of novel cytoplasmic-genic male sterility raphanus sativus line and dna markers for selecting the plant of said raphanus sativus line
GB2478682A (en) * 2007-04-06 2011-09-14 Dongbu Hitek Co Ltd A method fpr producing a hybrid seed using plant of novel cytoplasmic-genic male sterility raphanus sativus line and dna markers for selecting the plant of sa
CN105766659A (zh) * 2016-05-16 2016-07-20 王林武 一种有机红萝卜新品种及其选育方法
CN105766659B (zh) * 2016-05-16 2017-11-24 王林武 一种有机红萝卜新品种及其选育方法
CN107896977A (zh) * 2017-12-11 2018-04-13 青海省农林科学院 一种油菜综合杂交种的培育方法
CN107896977B (zh) * 2017-12-11 2020-07-28 青海省农林科学院 一种油菜综合杂交种的培育方法
CN112997878A (zh) * 2021-03-09 2021-06-22 湖州市农业科技发展中心(湖州市农业科学研究院) 一种紫红油菜花选育方法
CN112997878B (zh) * 2021-03-09 2023-01-03 湖州市农业科技发展中心(湖州市农业科学研究院) 一种紫红油菜花选育方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0599042B1 (en) Methods for introducing a fertility restorer gene and for producing F1 hybrids of Brassica plants thereby
US5004864A (en) Dominant amylose-extender mutant of maize
SK2099A3 (en) Pollen-sterile hybrid wheat, process for its preparation based on ability of genic maintaining of pollen-sterile parental line which is readily and steady propagated
Cuny et al. Effects of gamma irradiation of pollen on parthenogenetic haploid production in muskmelon (Cucumis melo L.)
LT4667B (en) Method for enhancement of naturally occuring cytoplasmic male sterility and for restoration of male fertility and uses thereof in hybrid crop production
JP4332208B2 (ja) カタランツス種子およびその製造方法
Chen et al. Production of allohexaploid Brassica hybrid between tuber mustard (Brassica juncea L. var. crassicaulis Chen &Yang) and Chinese kale (Brassica oleracea var. alboglabra Bailey)
Jan et al. Hybrids and amphiploids of Triticum aestivum L. and T. turgidum L. with Dasypyrum villosum (L.) Candargy
JPH06343359A (ja) ナタネ一代雑種品種の作成方法
JP2000510346A (ja) 細胞質遺伝雄性不稔大豆及び雑種大豆を生産する方法
Ishizaka et al. Amphidiploids between Cyclamen persicum Mill. and C. purpurascens Mill. induced by treating ovules with colchicine in vitro and sesquidiploids between the amphidiploid and the parental species induced by conventional crosses
Sadanaga et al. Natural Cross‐Pollination in Diploid and Autotetraploid Soybeans 1
Griffiths et al. Cross compatibility between diploid and tetraploid perennial ryegrass (Lolium perenne L.)
CN109691387B (zh) 一种雄性不育甘蓝型油菜杂交种的选育方法
Anhani Development of cytoplasmic‐genic male sterility in safflower
JPH07298800A (ja) アブラナ科作物のハイブリッド育種方法
Pelletier et al. Engineering of cytoplasmic male sterility in vegetables by protoplast fusion.
CN108575732B (zh) 一种快速创制无融合生殖亚麻种子的方法
Reddy et al. Inheritance of fertility restoration in sunflower (Helianthus annuus L.)
CN114698546B (zh) 一种利用优良授粉系选育甜菜雄性不育系及保持系的方法
Nikova et al. Wild Nicotiana Species as a Source of Cytoplasmic Male Sterility in Nicotianatabacum
Cai et al. High spontaneous male-fertility-restorer frequency in a maize recurrent selection experiment
EP1342406A2 (en) Grain production method for maize starch with novel functionality
Tarkowski et al. Preliminary research on hexaploid Triticale x tetraploid and diploid rye hybrids
MR et al. Introducing CGMS genes to the commercial and hopeful cotton cultivars of Iran