JPH06340961A - 医療用部材 - Google Patents
医療用部材Info
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- JPH06340961A JPH06340961A JP3895394A JP3895394A JPH06340961A JP H06340961 A JPH06340961 A JP H06340961A JP 3895394 A JP3895394 A JP 3895394A JP 3895394 A JP3895394 A JP 3895394A JP H06340961 A JPH06340961 A JP H06340961A
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- JP
- Japan
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- film
- black
- tialn
- tin
- tin film
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 生体中で安定であり、光の反射や散乱を起こ
さない黒色系皮膜付き医療部材を提供する。 【構成】 表面にTiN,TiAlN、またはTiNお
よびTiAlN膜を施した医療部材である。
さない黒色系皮膜付き医療部材を提供する。 【構成】 表面にTiN,TiAlN、またはTiNお
よびTiAlN膜を施した医療部材である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は基材である金属材料より
金属の溶出を防止する硬質膜が施された医療用部材に関
するものである。更に生体中で安定であり、光の反射、
散乱を防止する黒色膜が施された耐摩耗性のある医療用
部材に関するものである。
金属の溶出を防止する硬質膜が施された医療用部材に関
するものである。更に生体中で安定であり、光の反射、
散乱を防止する黒色膜が施された耐摩耗性のある医療用
部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療用部材、特にメス、鉗子等の手術用
器具において、その材料である金属が血液等の体液の腐
食により溶出したり、器具同士の接触により表面が摩耗
し金属粉が体内に取り込まれたりすると生体に対し、不
具合が起こる。一般的に、医療用部材としては、ステン
レス鋼が主に使用されているが、耐食性に優れていると
はいえ、ステンレス中に含まれるNiあるいはCrは生
体に対し、アレルギー反応を引き起こすことが報告され
るにいたり、極力上記有害金属イオンの溶出を防ぐこと
が望まれていた。近年、ステンレス鋼などの代替として
Ti合金等の人体に対し安全と思われる材質が種々試み
られている。
器具において、その材料である金属が血液等の体液の腐
食により溶出したり、器具同士の接触により表面が摩耗
し金属粉が体内に取り込まれたりすると生体に対し、不
具合が起こる。一般的に、医療用部材としては、ステン
レス鋼が主に使用されているが、耐食性に優れていると
はいえ、ステンレス中に含まれるNiあるいはCrは生
体に対し、アレルギー反応を引き起こすことが報告され
るにいたり、極力上記有害金属イオンの溶出を防ぐこと
が望まれていた。近年、ステンレス鋼などの代替として
Ti合金等の人体に対し安全と思われる材質が種々試み
られている。
【0003】さらに、メス、鉗子等の手術用器具や歯科
用治療器具において、その表面で反射、散乱した手術用
照明の光が執刀医の視野の妨げになったり、患部が器具
表面に写った場合、手元を誤るといった不具合が起こ
る。一般的に、部材表面の光の反射、散乱を防止する黒
色被膜として、従来艶消しの有機高分子塗料が用いられ
てきた。しかし、医療用部材としては生体に対し、無害
であるということが必要条件であり、したがって、生体
中で分解あるいは溶出の危険性のある有機系被膜は適当
とは言えない。近年、有機高分子系塗料に替る無機質の
被膜が種々試みられている。そのような被膜は例えば黒
色を有するアモルファスカーボン、黒色アルマイト、黒
色Crめっき等である。
用治療器具において、その表面で反射、散乱した手術用
照明の光が執刀医の視野の妨げになったり、患部が器具
表面に写った場合、手元を誤るといった不具合が起こ
る。一般的に、部材表面の光の反射、散乱を防止する黒
色被膜として、従来艶消しの有機高分子塗料が用いられ
てきた。しかし、医療用部材としては生体に対し、無害
であるということが必要条件であり、したがって、生体
中で分解あるいは溶出の危険性のある有機系被膜は適当
とは言えない。近年、有機高分子系塗料に替る無機質の
被膜が種々試みられている。そのような被膜は例えば黒
色を有するアモルファスカーボン、黒色アルマイト、黒
色Crめっき等である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかるに上記例示のT
i合金のような材料はステンレス鋼に比べ高価であり、
また加工性の点で劣り、頻繁に使用される部材や、複雑
な加工を必要とする部材には適用が難しく、その用途が
限られていた。また上記例示の無機質被膜はいずれも生
体中で有害な物質を溶出したり、また手術中に使用され
る際の摩耗、器具同志のぶつかり等で剥離等の問題が起
こるという欠点がまだある。本発明の目的は生体中で十
分な安定性を示し、また光の反射、散乱を防止する黒色
系被膜つき医療用部材を提供することにある。
i合金のような材料はステンレス鋼に比べ高価であり、
また加工性の点で劣り、頻繁に使用される部材や、複雑
な加工を必要とする部材には適用が難しく、その用途が
限られていた。また上記例示の無機質被膜はいずれも生
体中で有害な物質を溶出したり、また手術中に使用され
る際の摩耗、器具同志のぶつかり等で剥離等の問題が起
こるという欠点がまだある。本発明の目的は生体中で十
分な安定性を示し、また光の反射、散乱を防止する黒色
系被膜つき医療用部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の医療用部材は、その表面にTiN膜が施され
ている点、あるいはその表面にTiAlN膜が施され黒
色系である点、あるいはその表面にTiN膜が施され該
TiN膜の上にTiAlN膜が施されて黒色系である点
に特徴がある。
に本発明の医療用部材は、その表面にTiN膜が施され
ている点、あるいはその表面にTiAlN膜が施され黒
色系である点、あるいはその表面にTiN膜が施され該
TiN膜の上にTiAlN膜が施されて黒色系である点
に特徴がある。
【0006】
【作用】TiNは、硬質被膜として耐摩耗性に優れた被
膜として切削工具や金型などの表面処理に用いられてい
る。そのため、現在医療用部材として用いられているス
テンレス鋼の表面に被覆することにより、耐摩耗性を向
上させ、しかも基材からのNiやCrの溶出を防ぐこと
ができる。さらにTiN膜の構成成分であるTiは生体
材料としてすでに歯科医療、人工骨として用いられてい
て安全性も高く、安価で耐久性に優れた医療用部材を提
供でき、上記課題を解決し得ることが判明した。
膜として切削工具や金型などの表面処理に用いられてい
る。そのため、現在医療用部材として用いられているス
テンレス鋼の表面に被覆することにより、耐摩耗性を向
上させ、しかも基材からのNiやCrの溶出を防ぐこと
ができる。さらにTiN膜の構成成分であるTiは生体
材料としてすでに歯科医療、人工骨として用いられてい
て安全性も高く、安価で耐久性に優れた医療用部材を提
供でき、上記課題を解決し得ることが判明した。
【0007】TiN膜の形成は公知の反応性イオンプレ
ーティングによるのが簡便である。イオンプレーティン
グ装置は通常、金属を蒸発させる手段、蒸発した金属を
イオン化する手段およびイオン化した金属を電界により
加速する手段からなり、これに反応性ガスを導入すれば
目的とする窒化物(TiN)を成膜できる。
ーティングによるのが簡便である。イオンプレーティン
グ装置は通常、金属を蒸発させる手段、蒸発した金属を
イオン化する手段およびイオン化した金属を電界により
加速する手段からなり、これに反応性ガスを導入すれば
目的とする窒化物(TiN)を成膜できる。
【0008】金属を蒸発させる手段は、抵抗加熱、電子
銃加熱などいずれであっても良く、金属蒸発源はTiを
用いれば良い。
銃加熱などいずれであっても良く、金属蒸発源はTiを
用いれば良い。
【0009】TiAlNは、NaCl型の結晶構造とな
るTiNの、Tiの一部をAlで置換した構造の物質
で、その被膜は黒色を呈するため反射防止に有効であ
り、しかもTiAlN膜の構成成分であるTiおよびA
lは生体材料としてすでに歯科医療、人工骨として用い
られていて安全性も高く、しかもTiAlN被膜はTi
N膜と同様高硬度、耐摩耗性に優れた膜である。TiA
lN膜中のAlの量は全金属成分中10〜65モル%と
すれば良い。このようなTiAlN膜の形成は公知の反
応性イオンプレーティングによるのが簡便である。イオ
ンプレーティング装置は通常、金属を蒸発させる手段、
蒸発した金属をイオン化する手段およびイオン化した金
属を電界により加速する手段からなり、これに反応性ガ
スを導入すれば目的とする窒化物(TiAlN)を成膜
できる。
るTiNの、Tiの一部をAlで置換した構造の物質
で、その被膜は黒色を呈するため反射防止に有効であ
り、しかもTiAlN膜の構成成分であるTiおよびA
lは生体材料としてすでに歯科医療、人工骨として用い
られていて安全性も高く、しかもTiAlN被膜はTi
N膜と同様高硬度、耐摩耗性に優れた膜である。TiA
lN膜中のAlの量は全金属成分中10〜65モル%と
すれば良い。このようなTiAlN膜の形成は公知の反
応性イオンプレーティングによるのが簡便である。イオ
ンプレーティング装置は通常、金属を蒸発させる手段、
蒸発した金属をイオン化する手段およびイオン化した金
属を電界により加速する手段からなり、これに反応性ガ
スを導入すれば目的とする窒化物(TiAlN)を成膜
できる。
【0010】金属を蒸発させる手段は、抵抗加熱、電子
銃加熱などいずれであっても良く、金属蒸発源はTiと
Alを別々に設けても良く、TiAl合金を用いても良
い。
銃加熱などいずれであっても良く、金属蒸発源はTiと
Alを別々に設けても良く、TiAl合金を用いても良
い。
【0011】蒸発した金属のイオン化は公知のアーク放
電、グロー放電、高周波放電、およびイオン化電極を用
いる方法やホロカソード法などのいずれでも良い。カソ
ードアーク放電型のイオンプレーティング方式は金属の
蒸発とイオン化を同時に行う方式であり他の方式に比べ
て金属のイオン化効率が高く、特に推奨される。
電、グロー放電、高周波放電、およびイオン化電極を用
いる方法やホロカソード法などのいずれでも良い。カソ
ードアーク放電型のイオンプレーティング方式は金属の
蒸発とイオン化を同時に行う方式であり他の方式に比べ
て金属のイオン化効率が高く、特に推奨される。
【0012】このアーク放電型イオンプレーティング方
式において、TiN膜作成に当ってイオン化した金属の
加速する電界は電圧の値(負バイアス電圧)として0〜
500Vで良く、好ましい電圧は0〜300Vである。
負バイアス電圧が300Vより高くなると、作製したT
iN膜中に高い負バイアス電圧のTiイオンの衝突によ
り欠陥が生じ、本発明の目的である下地金属の溶出防止
膜として好ましくない。
式において、TiN膜作成に当ってイオン化した金属の
加速する電界は電圧の値(負バイアス電圧)として0〜
500Vで良く、好ましい電圧は0〜300Vである。
負バイアス電圧が300Vより高くなると、作製したT
iN膜中に高い負バイアス電圧のTiイオンの衝突によ
り欠陥が生じ、本発明の目的である下地金属の溶出防止
膜として好ましくない。
【0013】TiAlN膜の場合には金属源はTiAl
合金が使用される。本発明のTiAlN膜を作製するた
めには、Al濃度を調節する際にAl濃度の異なる複数
の金属源を使用して、その蒸発量を制御することにより
任意の組成のTiAlN膜が作製できる。
合金が使用される。本発明のTiAlN膜を作製するた
めには、Al濃度を調節する際にAl濃度の異なる複数
の金属源を使用して、その蒸発量を制御することにより
任意の組成のTiAlN膜が作製できる。
【0014】このアーク放電型イオンプレーティング方
式において、負バイアス電圧として0〜300Vで良
く、好ましい電圧は0〜100Vである。負バイアス電
圧が300Vより高くなると、作製したTiAlN膜の
外観の色に斑が生じ本発明の目的である反射、散乱防止
膜として好ましくない。負バイアス電圧が低いほど黒色
度が増大する。
式において、負バイアス電圧として0〜300Vで良
く、好ましい電圧は0〜100Vである。負バイアス電
圧が300Vより高くなると、作製したTiAlN膜の
外観の色に斑が生じ本発明の目的である反射、散乱防止
膜として好ましくない。負バイアス電圧が低いほど黒色
度が増大する。
【0015】TiN膜とTiAlN膜からなる2層膜を
形成する場合、TiNを第1層とし、その上にTiAl
N膜を施した2層膜とするとTiAlN単独の場合より
耐摩耗性がさらに向上する。TiN膜およびTiAlN
膜の形成はそれぞれ単独の膜形成と同様に公知の反応性
イオンプレーティングによるのが簡便であり、この場合
のTiAlN膜中のAlの量が全金属成分中10〜65
モル%とすれば良い。
形成する場合、TiNを第1層とし、その上にTiAl
N膜を施した2層膜とするとTiAlN単独の場合より
耐摩耗性がさらに向上する。TiN膜およびTiAlN
膜の形成はそれぞれ単独の膜形成と同様に公知の反応性
イオンプレーティングによるのが簡便であり、この場合
のTiAlN膜中のAlの量が全金属成分中10〜65
モル%とすれば良い。
【0016】該TiN膜およびTiAlN膜の2層膜を
形成するとき、負バイアス電圧としてTiNを成膜する
場合、100〜500Vで良く、特に好ましくは200
〜400Vである。負バイアス電圧が100V以下では
膜の緻密さに欠け、耐摩耗性が劣るため不都合である。
該2層膜中のTiAlNを成膜する場合は、0〜300
Vで良く、好ましい電圧は0〜100Vである。負バイ
アス電圧が300Vより高くなると、作製したTiAl
N膜の外観の色に斑が生じ本発明の目的である反射、散
乱防止膜として好ましくない。
形成するとき、負バイアス電圧としてTiNを成膜する
場合、100〜500Vで良く、特に好ましくは200
〜400Vである。負バイアス電圧が100V以下では
膜の緻密さに欠け、耐摩耗性が劣るため不都合である。
該2層膜中のTiAlNを成膜する場合は、0〜300
Vで良く、好ましい電圧は0〜100Vである。負バイ
アス電圧が300Vより高くなると、作製したTiAl
N膜の外観の色に斑が生じ本発明の目的である反射、散
乱防止膜として好ましくない。
【0017】本発明の場合、反応性ガスとしてN2 、N
H3 、炭化水素類または窒素を含んだ有機化合物、例え
ば(CH3 )3 Nなどが使用できる。反応性ガスの圧力
は、用いるガスの種類により異なるが10-3〜10To
rrの範囲内で適宜選択すれば良い。
H3 、炭化水素類または窒素を含んだ有機化合物、例え
ば(CH3 )3 Nなどが使用できる。反応性ガスの圧力
は、用いるガスの種類により異なるが10-3〜10To
rrの範囲内で適宜選択すれば良い。
【0018】該TiN膜の膜厚は、0.1〜10μmと
するのが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。
該TiAlN膜の膜厚は0.1〜10μm、より好まし
くは1〜5μmである。該2層膜を形成するTiNとT
iAlN膜の全体の膜厚は、1〜10μmとするのが好
ましく、より好ましくは2〜5μmである。そのうちT
iAlNの膜厚の割合は全体の5%から50%程度とす
ることが好ましい。
するのが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。
該TiAlN膜の膜厚は0.1〜10μm、より好まし
くは1〜5μmである。該2層膜を形成するTiNとT
iAlN膜の全体の膜厚は、1〜10μmとするのが好
ましく、より好ましくは2〜5μmである。そのうちT
iAlNの膜厚の割合は全体の5%から50%程度とす
ることが好ましい。
【0019】
(実施例1) 手術用に使用されるステンレス製のメ
ス、鉗子、へら等の表面に、アーク放電型イオンプレー
ティング装置にてTiN被膜を形成させた。被膜の形成
は、Tiを蒸発源として、Ti陰極と器壁の間に約30
Vの電圧を印加してアーク放電を生起させて行った。
ス、鉗子、へら等の表面に、アーク放電型イオンプレー
ティング装置にてTiN被膜を形成させた。被膜の形成
は、Tiを蒸発源として、Ti陰極と器壁の間に約30
Vの電圧を印加してアーク放電を生起させて行った。
【0020】基材と器壁との間の負バイアス電圧は、3
00Vとした。成膜時の反応性ガスとしては窒素を用
い、10-2Torr導入してTiNの膜を2μm形成さ
せた。TiN被膜のメスを3%の生体食塩水中に100
時間浸漬させ、溶液中に溶出した元素を分析したとこ
ろ、Tiがごく微量検出されたが生体に対し、無害であ
り、基材からのCrあるいはNi等のイオンは検出され
なかった。また、被膜の密着力は、非常に高く、TiN
被膜を被覆したメス同志の衝撃では、剥離、変形等の問
題はなかった。
00Vとした。成膜時の反応性ガスとしては窒素を用
い、10-2Torr導入してTiNの膜を2μm形成さ
せた。TiN被膜のメスを3%の生体食塩水中に100
時間浸漬させ、溶液中に溶出した元素を分析したとこ
ろ、Tiがごく微量検出されたが生体に対し、無害であ
り、基材からのCrあるいはNi等のイオンは検出され
なかった。また、被膜の密着力は、非常に高く、TiN
被膜を被覆したメス同志の衝撃では、剥離、変形等の問
題はなかった。
【0021】(実施例2) 実施例1と同様のステンレ
ス製のメス、鉗子、へら等の表面に、アーク放電型イオ
ンプレーティング装置にてTiAlN被膜を形成させ
た。被膜の形成は、TiAl合金を蒸発源として、Ti
Al合金陰極と器壁の間に約30Vの電圧を印加してア
ーク放電を生起させて行った。基材と器壁との間の負バ
イアス電圧は、成膜開始時は100Vとし、後半の約1
μmの被膜の形成では負バイアス電圧は0Vとした。成
膜時の反応性ガスとしては窒素を用い、10-2Torr
導入してTiAlN膜を2μm形成させた。ここで得ら
れた被膜の外観は黒色であった。また、この被膜の組成
は原子比で、Ti:Al=6:4であった。
ス製のメス、鉗子、へら等の表面に、アーク放電型イオ
ンプレーティング装置にてTiAlN被膜を形成させ
た。被膜の形成は、TiAl合金を蒸発源として、Ti
Al合金陰極と器壁の間に約30Vの電圧を印加してア
ーク放電を生起させて行った。基材と器壁との間の負バ
イアス電圧は、成膜開始時は100Vとし、後半の約1
μmの被膜の形成では負バイアス電圧は0Vとした。成
膜時の反応性ガスとしては窒素を用い、10-2Torr
導入してTiAlN膜を2μm形成させた。ここで得ら
れた被膜の外観は黒色であった。また、この被膜の組成
は原子比で、Ti:Al=6:4であった。
【0022】TiAlN被覆のメスを3%の生体食塩水
中に100時間浸漬させ、外観の変化を調査したが、そ
の黒色は失われず、光の反射、散乱防止機能は問題ない
ことが確認された。また、溶液中に溶出した元素を分析
したところ、TiおよびAlがごく微量検出されたが、
いずれの元素も生体に対し、無害である。また、被膜の
密着力は従来技術のめっき被膜に比して、非常に高く、
TiAlN被膜を被覆したメス同志の衝撃では、剥離、
変形等の問題はなかった。
中に100時間浸漬させ、外観の変化を調査したが、そ
の黒色は失われず、光の反射、散乱防止機能は問題ない
ことが確認された。また、溶液中に溶出した元素を分析
したところ、TiおよびAlがごく微量検出されたが、
いずれの元素も生体に対し、無害である。また、被膜の
密着力は従来技術のめっき被膜に比して、非常に高く、
TiAlN被膜を被覆したメス同志の衝撃では、剥離、
変形等の問題はなかった。
【0023】(比較例1) 実施例1と同じステンレス
製のメス、鉗子、へら等に黒色Crめっきを施して、同
様の試験を行ったところ、その黒色は失われなかった
が、食塩水中にCrイオンが溶出していることが判明し
た。Crは、生体アレルギー反応を起こさせるものとし
てその使用が規制されている。
製のメス、鉗子、へら等に黒色Crめっきを施して、同
様の試験を行ったところ、その黒色は失われなかった
が、食塩水中にCrイオンが溶出していることが判明し
た。Crは、生体アレルギー反応を起こさせるものとし
てその使用が規制されている。
【0024】(実施例3) 実施例1と同様のステンレ
ス製のメス、鉗子、へら等の表面に、カソードアーク放
電型イオンプレーティング装置にてTiNとTiAlN
の2層被膜を形成させた。被膜の形成は、TiおよびT
iAl合金を蒸発源として、蒸発源金属陰極と器壁の間
に約30Vの電圧を印加してアーク放電を生起させて行
った。基材と器壁との間の負バイアス電圧は、TiN成
膜時は300Vとした。また、TiAlN成膜開始時は
100Vとし、後半の約1μmの被膜の形成では負バイ
アス電圧は0Vとした。成膜時の反応性ガスとしては窒
素を用い、10-2Torr導入してTiNを1μm、T
iAlNを1μm形成させた。ここで得られた被膜の外
観は黒色であった。また、この被膜のTiAlNの組成
は原子比で、Ti:Al=6:4であった。
ス製のメス、鉗子、へら等の表面に、カソードアーク放
電型イオンプレーティング装置にてTiNとTiAlN
の2層被膜を形成させた。被膜の形成は、TiおよびT
iAl合金を蒸発源として、蒸発源金属陰極と器壁の間
に約30Vの電圧を印加してアーク放電を生起させて行
った。基材と器壁との間の負バイアス電圧は、TiN成
膜時は300Vとした。また、TiAlN成膜開始時は
100Vとし、後半の約1μmの被膜の形成では負バイ
アス電圧は0Vとした。成膜時の反応性ガスとしては窒
素を用い、10-2Torr導入してTiNを1μm、T
iAlNを1μm形成させた。ここで得られた被膜の外
観は黒色であった。また、この被膜のTiAlNの組成
は原子比で、Ti:Al=6:4であった。
【0025】TiNとTiAlNの2層膜被覆のメスを
3%の生体食塩水中に100時間浸漬させ、外観の変化
を調査したが、その黒色は失われず、光の反射、散乱防
止機能は問題ないことが確認された。また、溶液中に溶
出した元素を分析したところ、TiおよびAlがごく微
量検出されたが、いずれの元素も生体に対し、無害であ
る。また、被膜の密着力は従来技術のめっき被膜に比し
て、非常に高く、TiNとTiAlN2層被膜を被覆し
たメス同志の衝撃では、剥離、変形等の問題はなかっ
た。
3%の生体食塩水中に100時間浸漬させ、外観の変化
を調査したが、その黒色は失われず、光の反射、散乱防
止機能は問題ないことが確認された。また、溶液中に溶
出した元素を分析したところ、TiおよびAlがごく微
量検出されたが、いずれの元素も生体に対し、無害であ
る。また、被膜の密着力は従来技術のめっき被膜に比し
て、非常に高く、TiNとTiAlN2層被膜を被覆し
たメス同志の衝撃では、剥離、変形等の問題はなかっ
た。
【0026】
【発明の効果】本発明によるTiN膜付き医療用部材を
使用すると、生体中で有害である金属イオンの溶出を防
止でき、かつ耐摩耗性を向上させることにより器具の耐
久性を向上させる効果が得られる。また本発明によるT
iAlN膜またはTiNとTiAlN2層被膜付き医療
用部材を使用すると、上記の効果に加うるに、黒色系の
表面を有するのでその表面で反射、散乱した手術用照明
の光が執刀医の視野を妨げたり、患部が器具表面に写っ
た場合、手元を誤るといった不具合の防止の効果が得ら
れる。
使用すると、生体中で有害である金属イオンの溶出を防
止でき、かつ耐摩耗性を向上させることにより器具の耐
久性を向上させる効果が得られる。また本発明によるT
iAlN膜またはTiNとTiAlN2層被膜付き医療
用部材を使用すると、上記の効果に加うるに、黒色系の
表面を有するのでその表面で反射、散乱した手術用照明
の光が執刀医の視野を妨げたり、患部が器具表面に写っ
た場合、手元を誤るといった不具合の防止の効果が得ら
れる。
Claims (3)
- 【請求項1】 表面にTiN膜が施されてなることを特
徴とする医療用部材。 - 【請求項2】 表面にTiAlN膜が施され該TiAl
N膜表面が黒色系であることを特徴とする医療用部材。 - 【請求項3】 表面にTiN膜と該TiN膜の上にTi
AlN膜が施されて2層膜が形成され該TiAlN膜表
面が黒色系であることを特徴とする医療用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3895394A JPH06340961A (ja) | 1993-03-24 | 1994-03-10 | 医療用部材 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8786393 | 1993-03-24 | ||
JP5-87863 | 1993-04-09 | ||
JP10597493 | 1993-04-09 | ||
JP5-105974 | 1993-04-09 | ||
JP3895394A JPH06340961A (ja) | 1993-03-24 | 1994-03-10 | 医療用部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06340961A true JPH06340961A (ja) | 1994-12-13 |
Family
ID=27289992
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3895394A Pending JPH06340961A (ja) | 1993-03-24 | 1994-03-10 | 医療用部材 |
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JP (1) | JPH06340961A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001056480A1 (fr) * | 2000-01-31 | 2001-08-09 | Yuichi Mori | Instrument a contact pour constituant biologique |
JP2002517615A (ja) * | 1998-06-11 | 2002-06-18 | ユナキス・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト | 硬質材層を除去するための方法 |
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KR102640863B1 (ko) * | 2023-02-13 | 2024-02-23 | 강정환 | 진공 증착을 이용한 치과용 스캔 바디의 AlTiN 코팅방법 |
-
1994
- 1994-03-10 JP JP3895394A patent/JPH06340961A/ja active Pending
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