JPH06339377A - プロコラゲナーゼの製造方法 - Google Patents

プロコラゲナーゼの製造方法

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JPH06339377A
JPH06339377A JP5154216A JP15421693A JPH06339377A JP H06339377 A JPH06339377 A JP H06339377A JP 5154216 A JP5154216 A JP 5154216A JP 15421693 A JP15421693 A JP 15421693A JP H06339377 A JPH06339377 A JP H06339377A
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JP5154216A
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Masanori Nakada
正典 中田
Michiko Kamio
美智子 神尾
Shintaro Inoue
紳太郎 井上
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 6mM以上の硫酸イオンを含む温泉水、カリ
ウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムを総陽イ
オン量30mM以上含む温泉水、または塩素、硫酸、炭
酸水素、炭酸を総陰イオン量30mM以上含む温泉水の
いずれか一種を含有する培地で細胞を培養することを特
徴とするプロコラゲナーゼの製造方法。 【効果】 プロコラゲナーゼを効率良く、安全、且つ安
価に製造することが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医化学、生化学および薬
学の研究用試薬として有用なプロコラゲナーゼを安全
で、効率良く、且つ安価に製造できるプロコラゲナーゼ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロコラゲナーゼはコラーゲン分解酵素
(コラゲナーゼ)の前駆物質であり、分子量52000 又は
57000 のものが知られている[ バイオケミストリー(Bio
chemistry)、27巻、6751頁、1988年参照] 。これらは、
プラスミン、トリプシン等の蛋白質分解酵素、あるいは
水銀化合物等によって活性化され、間質型コラーゲン
(I型、II型およびIII 型コラーゲン)を分解する間質
型コラゲナーゼ(以下、断りのない限りコラゲナーゼと
呼ぶ)となる。
【0003】コラゲナーゼは、動物の結合組織中に豊富
に存在するコラーゲン(間質型コラーゲン)の代謝調節
をしていると考えられ、コラーゲンの異常蓄積が認めら
れる肝硬変、動脈硬化、肺線維症およびケロイド、ある
いはコラーゲンの分解亢進の認められるリウマチ様関節
炎、歯周炎、角膜潰瘍等との関連に於いて注目され研究
されてきた[ 例えば、アメリカン ジャーナル オブ
パソロジー(AmericanJournal of Pathology) 、92巻、5
09 頁、1978年参照] 。
【0004】そしてまた、コラゲナーゼの前駆体である
プロコラゲナーゼも、上記の各病態の解明に関して注目
されている[ ザ ジャーナル オブ バイオロジカル
ケミストリー(The Journal of Biological Chemistr
y)、258 巻、9374頁、1983年参照] 。従って、上記各病
態の医化学的、生化学的および薬学的研究のために、高
純度のプロコラゲナーゼとその効率的製造方法が望まれ
ている。
【0005】ヒト線維芽細胞あるいは線維肉腫細胞がイ
ン・ビトロで、コラゲナーゼおよびその前駆体を産生す
ることは既に知られ、これらの細胞培養液からプロコラ
ゲナーゼが得られている[ バイオケミストリー(Biochem
istry)16巻、1607頁、1977年/ 同25巻、4750頁、1986年
/ 同27巻、6751頁、1988年/ プロシーディングス オブ
ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシス
オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ(P
roceedings of the National Academy of Sciences of
the United States of America) 、83巻、3756頁、1986
年参照] 。
【0006】また、発明者らは無血清無蛋白培地を用い
ることによりプロコラゲナーゼを製造する方法も既に明
らかにした(特開平03-103178 号公報 )。
【0007】ところで、上記公知の方法を用いてプロコ
ラゲナーゼを製造するに際して、より生産性を上げるに
は、使用細胞自身のプロコラゲナーゼ産生能を向上させ
る必要がある。従来、細胞のプロコラゲナーゼ産生能を
増強させる物質として、インターロイキン1、腫瘍壊死
因子(TNF)、表皮成長因子(EGF)、血小板誘導
成長因子(PDGF)等のサイトカインおよびホルボー
ルエステル等が知られている。しかしサイトカイン類は
高価であり、製造コストが高くなり、ホルボールエステ
ルは発癌プロモーター物質であってその使用は安全と言
いがたいという点で、それぞれ問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的と
するところは、細胞培養系に、安価かつ安全なプロコラ
ゲナーゼ産生促進物質を添加することにより、プロコラ
ゲナーゼを効率よく製造する方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的は、細胞を培
養して培養液からプロコラゲナーゼを取得するに際し、
温泉水を培地に添加することを特徴とするプロコラゲナ
ーゼの製造方法、及び温泉水が、下記(A)〜(C)か
らなる群から選択されるものである、該プロコラゲナー
ゼの製造方法によって達成される。 (A)6mM以上の硫酸イオンを含む温泉水。 (B)カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウ
ムを総陽イオン量30mM以上含む温泉水。 (C)塩素、硫酸、炭酸水素、炭酸を総陰イオン量30
mM以上含む温泉水。
【0010】以下、本発明のプロコラゲナーゼ製造方法
を説明する。
【0011】本発明で用いられる温泉水は、次に示す物
質のうちいずれか1つを1kg中規定量以上含有する。
通常、ガス性のものを除く溶存物質を1g以上、遊離炭
酸250mg以上、リチウムイオン1mg以上、ストロ
ンチウム10mg以上、バリウムイオン5mg以上、フ
ェロまたはフェリイオン10mg以上、第一マンガンイ
オン10mg以上、水素イオン1mg以上、臭素イオン
5mg以上、沃素イオン1mg以上、フッ素イオン2m
g以上、ヒドロひ酸イオン1.3mg以上、メタ亜ひ酸
1mg以上、総硫黄1mg以上、メタほう酸5mg以
上、メタけい酸50mg以上、重炭酸ソーダ340mg
以上、ラドン2nCi単位以上、あるいはラジウム塩1
0pg以上である。
【0012】中でも、(A)硫酸イオンを6mM以上含
有するもの、または(B)カリウム、ナトリウム、カル
シウム、マグネシウムの総陽イオン量が30mM以上含
有するもの、あるいは(C)塩素、硫酸、炭酸水素、炭
酸の総陰イオン量が30mM以上含有するものが好まし
く、例えば、試験例あるいは実施例に使用した表1、表
2の組成を有する温泉水等が挙げられる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】培地中への添加方法は特に限定されるもの
ではなく、培地に直接混合するか、適宜、水で希釈し他
の培地成分を直接溶解させても良い。
【0016】本発明で用いられる細胞としては、線維芽
細胞や線維肉腫細胞、例えばヒト由来Detroit 551(ATCC
CCL 110) 、Detroit 548(ATCC CCL 116) 、BUD 8(ATCC
CRL1554)等が利用できる。
【0017】培地としては、例えばハムF-12、イーグル
MEM 、RPMI-1640 、MEM ダルベッコ液体培地等、通常の
無血清無蛋白質基礎培地単独、あるいは2種以上の混合
培地、好ましくは、これら培地にアミノ酸および/また
はビタミンを添加し、pH6.5〜7.4 に調整したものに、
さらに動物例えばウシあるいはウシ胎仔血清を、0.1〜2
0容量%、好ましくは0.5 〜10容量%添加したものを用
いることができる。また必要に応じてラクトアルブミン
水解物やピルビン酸ナトリウム等の補助的添加物、硫酸
ストレプトマイシンや硫酸カナマイシン等の抗生物質、
また培地のpHを調整するために、炭酸ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム等の無機塩類を加えたり、炭酸ガスを溶
存させることもできる。
【0018】温泉水の含有量は、培地全体を100とし
て0.5重量%以上が好ましく、更に好ましくは3〜5
0重量%である。
【0019】本発明のプロコラゲナーゼの製造方法は、
以下のようにして実施する。正常線維芽細胞は、通常、
フラスコの底面積1cm2当たり104 個の細胞密度以上で培
養した時にプロコラゲナーゼの生産性が高い。従って、
予め上記の培地で増殖させた細胞を集め、好ましくは1
X 104 〜1 X105個/cm2の細胞密度、さらに好ましくは2
X 104 〜8 X104個/cm2の細胞密度に細胞を播種し、上記
温泉水を含有する培地で、通常4 〜20日間、好ましくは
6 〜14日間静置培養する。
【0020】もちろん、上記の細胞密度以下で培養を開
始して細胞を増殖させ、これ以上の細胞密度に達してか
らさらに4 〜20日間、好ましくは6 〜14日間培養しても
よいことは言うまでもない。
【0021】次に、遠心分離、濾過、吸引等の通常の分
離手段で、培養液から細胞を除去し、得られる培養上清
液からカラムクロマトグラフィーにより、プロコラゲナ
ーゼを分離精製する。カラムクロマトグラフィーによる
分離精製は、通常2段階で行う。カラムから溶出される
プロコラゲナーゼは公知のプロコラゲナーゼ量測定法に
より検出し、これを指標に分画する。
【0022】第1段階目のカラムクロマトグラフィーで
は、通常の陽イオン交換体、例えばCM−セファロース
CL−6BTM(ファルマシア製)あるいはヘパリン群特
異的吸着体、例えばヘパリンセファロースCL−6BTM
(ファルマシア製)を充填したカラムに培養上清を通
し、下記の溶離液で溶出し、粗製のプロコラゲナーゼの
画分を分画する。
【0023】陽イオン交換体を充填したカラムクロマト
グラフィーの溶離液には、CaCl2 および0.01〜0.1 容量
%の非イオン界面活性剤を含むトリス塩酸緩衝液と、Ca
Cl2、非イオン界面活性剤およびNaClを含むトリス塩酸
緩衝液(pH7.8) とを用い、直線的なNaClの濃度勾配をか
けてプロコラゲナーゼを溶出させる。非イオン界面活性
剤には、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを用いる
のが好ましい。プロコラゲナーゼはNaClの濃度が0.3 〜
0.5Mの時に溶出する。
【0024】ヘパリン群特異的吸着体を充填したカラム
クロマトグラフィーの溶離液にも、上記と同様の緩衝液
を使用し得るが、この場合、プロコラゲナーゼはNaClの
濃度が0.4 〜0.6Mの時に溶出する。
【0025】次に、第2段目の分離精製のため、上記で
溶出した粗製のプロコラゲナーゼ画分を、必要に応じて
分子ふるい膜フィルターで濃縮後、金属キレートアフィ
ニティカラムクロマトグラフィーで精製する。カラムと
しては、例えば金属キレーティングセファロース6BTM
( ファルマシア社製)に亜鉛を結合させたもの(以下、
亜鉛キレーティングセファロースと略記する。) を充填
し、使用する。
【0026】溶離液には、NaCl、CaCl2 および非イオン
界面活性剤(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテ
ル)を含む酢酸緩衝液(pH約4.8)と、NaCl、CaCl2 及び
非イオン界面活性剤を含む2-( モルホリノ) エタンスル
ホン酸モノハイドレート緩衝液(pH 約6.8)とを用い、pH
勾配をかけながら(pH を徐々に低下させながら)カラム
から溶出する。
【0027】プロコラゲナーゼは、溶離液のpHが約5.3
付近に達したときに溶出されるのでこの画分を集め、要
すれば分子ふるい膜、例えばDIAFLOTMYM-5あるいはYM-1
0(いずれもアミコン社製) 等の膜を使用して濃縮し、さ
らに要すればpHを約7.5 に調整してプロコラゲナーゼの
水溶液を得る。プロコラゲナーゼの水溶液は、通常凍結
して保存する。
【0028】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に詳細に説
明するが、それに先立って、各種測定法等について記載
する。
【0029】(プロコラゲナーゼ量の測定法)
【0030】プロコラゲナーゼ量の定義 以下の操作でプロコラゲナーゼをトリプシンで活性化
し、生じるコラゲナーゼが1分間当たり1 μg のI型コ
ラーゲンを分解する量をプロコラゲナーゼの1単位とす
る。
【0031】プロコラゲナーゼの活性化方法 検体溶液を測定用緩衝液に溶解して約0.1 〜0.7 単位/m
l の溶液を調製し、これを試験液とする。次に試験液50
μl にトリプシン( シグマ社製、Type 12)20μl(濃度1m
g/ml、測定用緩衝液にて調製) を添加し、35℃にて5分
間インキュベートした後、ダイズトリプシンインヒビタ
ー(メルク社製)30μl(濃度3mg/ml、測定用緩衝液にて
調整)を添加してトリプシンを失活させ、コラゲナーゼ
溶液を得る。なお測定用緩衝液とは、0.2M NaCl 、5mM
CaCl2 、0.05容量% Brij-35( ポリオキシエチレン23ラ
ウリルエーテルの商品名、以下Brijと略す)および0.02
容量%NaN3を含有する50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を
意味する。
【0032】コラゲナーゼ活性の測定方法 牛由来I型コラーゲンをフルオレッセンイソチオシアネ
イトで標識した基質溶液、すなわちFITC- コラーゲン(
コスモバイオ社製)の0.01N 酢酸溶液( 濃度1mg/ml)を
用い、永井らの方法(炎症、4 巻、123 頁、1984年参
照)に従って上記コラゲナーゼ溶液の活性(単位/ml)を
測定する。
【0033】以下の試験において、温泉水を含有する培
地で細胞を培養し、プロコラゲナーゼの産生促進効果を
確認した。
【0034】実施例1〜5 Minimum Essential Medium (大日本製薬社製)10.6gにそ
れぞれ終濃度として0.1 重量%ラクトアルブミン酵素水
解物(シグマ社製) 、1 容量%Non EssentialAmino Aci
d (大日本製薬社製) 、1mM ピルビン酸ナトリウム (大
日本製薬社製)、0.12重量%炭酸水素ナトリウム、50mg/
l硫酸ストレプトマイシンを添加し、蒸留水を加えて1l
とした後、炭酸ガスを吹き込んでpHを約7に調整した(
以下、MEM培地と略記する)。
【0035】MEM培地にウシ胎仔血清(Irvine Scient
ific社製)を10容量%( 以下、MEM-10FBS培地と略記
する)あるいは0.6 容量%( 以下、MEM-0.6FBS 培地
と略記する)となるよう加えた。
【0036】白人女性皮膚由来の正常ヒト線維芽細胞株
[Detroit-551(ATCC CCL 110)] をそれぞれMEM-10FBS
培地にて 1X105 個/ml に調製し、3枚の6穴プレート
に、各々2ml 播種して5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37
℃で24時間培養した。
【0037】表1および表2に記載の温泉水1〜5(温
泉水5は水酸化ナトリウムで中和後)をポアーサイズが
0.2 μmのニトロセルロース膜(アドバンテック東洋
製)で濾過滅菌し、最終の培地容量に対し12.5重量
%含有するよう温泉水含有MEM-0.6FBS 培地を調製し
た。
【0038】細胞播種24時間後、培養液を取り除き、M
EM-0.6FBS 培地で2回洗浄後、各温泉水を含む同培地
2mlに置換し、9日間同様に培養して培養上清を得た。
【0039】得られた培養上清の0.25mlに1mM CaCl2
よび0.05容量%Brijを含む10mMトリス塩酸緩衝液(4℃で
pH7.8 に調整、以下CM−A緩衝液と略記する)を1.75
ml加え、同緩衝液で平衡化したCM−セファロースCL
−6BTM( ファルマシア社製)0.5mlを充填したカラムに
供した。
【0040】0.125M NaCl を含むCM−A緩衝液2ml に
て洗浄することによりインヒビターを除去した後、0.5M
NaCl を含むCM−A緩衝液2ml によりプロコラゲナー
ゼを流出回収した。このプロコラゲナーゼ溶液に含まれ
るプロコラゲナーゼ量を上記およびの方法により測
定した結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3の結果から分かる通り、温泉水1〜5
を培地に添加した実施例1〜5では、有意にコラゲナー
ゼ(つまりプロコラゲナーゼ)の産生を促進した。
【0043】実施例6 ヒト正常線維芽細胞 Detroit-551(ATCC CCL 110)をME
M-10FBS培地にて 105個/mlに調製し、この調製液をフ
ラスコ( 底面積75cm2)2個にそれぞれ16mlずつ加え、95
%空気-5%炭酸ガスの雰囲気下、37℃で1日間静置培養
した。
【0044】1日間静置培養の後、培養上清を吸引して
廃棄し、終濃度12.5容量%の温泉水2を含むMEM
-0.6FBS 培地を16mlずつ2個のフラスコに加え、95%空
気-5%炭酸ガスの雰囲気下、37℃で6日間静置培養し
た。
【0045】培養液を集め、遠心分離(1000rpm、5 分
間) して培養上清約31mlを得、これにCM−A緩衝液を
加えて100ml とし、次にCM−A緩衝液で平衡化したC
M−セファロースCL−6BTM(ファルマシア社製) を
充填したカラム(2.46cm X 18cm、充填容量85ml) に供し
た。
【0046】CM−A緩衝液で洗浄後、CM−A緩衝液
250ml と、0.7M NaClを含むCM−A緩衝液250ml とを
用いて、直線的な濃度勾配法により毎時40mlの流速で展
開した。プロコラゲナーゼはNaCl濃度が0.3 〜0.5Mの時
に溶出した。このときの活性を上記およびの方法で
測定したところ、1220単位( 濃度10.3単位/ml)であっ
た。
【0047】次にこのプロコラゲナーゼ溶液をDIAFLOTM
YM-10(アミコン社製) を用いて6.8ml に濃縮し、MES
−A緩衝液で平衡化した亜鉛キレーティングセファロー
スを充填したカラム(1.2cmX16cm 、充填容量18ml) に供
した。
【0048】カラムをMES−A緩衝液で充分洗浄後、
酢酸緩衝液45mlとMES−A緩衝液45mlとを用いて、毎
時13mlの流速でpH勾配をかけながら(pH を低下させなが
ら)溶出した。プロコラゲナーゼはpHが5.3 付近で単一
ピークとして溶出された。この画分を集め、プロコラゲ
ナーゼの溶液( 濃度168 単位/ml)6.4ml を得た。
【0049】実施例7 実施例6と同様にして、温泉水3を終濃度12.5容量
%含むMEM-0.6FBS培地を用い、プロコラゲナーゼの
溶液( 濃度159 単位/ml)6.7ml を得た。
【0050】実施例8 実施例6と同様にして、温泉水4を終濃度25容量%含
むMEM-0.6FBS 培地を用い、プロコラゲナーゼの溶液
( 濃度173 単位/ml)6.8ml を得た。
【0051】以下、実施例6〜8で得られたプロコラゲ
ナーゼの同定を行った。 (1) 分子量の推定 レムリーの方法(Nature 、237 巻、680 頁、1970年参
照) に従い、SDS-ポリアクリルアミドゲルのスラブ型電
気泳動(6%ゲル)法で測定した。標準分子量マーカーと
して、ウサギ筋肉ホスホリラーゼb(分子量94000)、ウシ
血清アルブミン(分子量68000)、卵白オブアルブミン(
分子量43000)、ウシ赤血球カーボニックアンヒドラーゼ
( 分子量30000)を用いた。
【0052】(2) パラアミノフェニル水銀酢酸(APMA)に
よる活性化の検討 上述プロコラゲナーゼ溶液を測定用緩衝液で置換し、濃
縮後約200 単位/ml の溶液を調製し、この140 μl にパ
ラアミノフェニル水銀酢酸の8mM 溶液( 測定用緩衝液に
溶解して調製)20 μl を加え、35℃にて2時間インキュ
ベートする。その後、前述の方法でコラゲナーゼ活性
を測定する。
【0053】(3) 活性化して得られるコラゲナーゼ活性
の基質特異性およびコラーゲンの切断様式の測定 上記(2) の方法でAPMAにより活性化して得たコラゲナー
ゼ溶液を、測定用緩衝液で60単位/ml に希釈し、この10
μl をそれぞれI型、II型及びIII 型可溶性コラーゲン
の測定用緩衝液溶液( 濃度1.5mg/ml)100μl に加え、37
℃で4 時間インキュベートし、この溶液を上記(1) と同
様にして電気泳動する。
【0054】(4) 阻害剤の検討 前述に記載の通り、トリプシンで活性化して得たコラ
ゲナーゼ溶液あるいは上記(2) に記載の通りAPMAで活性
化して得たコラゲナーゼ溶液を測定用緩衝液にて0.5 単
位/ml に希釈し、この50μl に阻害剤溶液[ エチレンジ
アミン4酢酸2ナトリウム溶液( 測定用緩衝液に溶解、
濃度20単位/ml)、オルトフェナンスロリン溶液( 測定用
緩衝液に溶解、濃度20単位/ml)、あるいは組織金属プロ
テイナーゼ阻害物質の溶液( 測定用緩衝液に溶解、濃度
40単位/ml)]50 μl を加え、前述の方法でコラゲナー
ゼ活性を測定し、阻害能を判定する。
【0055】なお、組織金属プロテイナーゼ阻害物質
〔ザ ジャーナル オブ バイオケミストリー(The Jou
rnal of Biochemistry) 、254 巻、1938頁、1979年参
照〕は、ヒト線維芽細胞WS-1(ATCC CRL 1502) を培養
し、CMセファロースCL−6BTM、亜鉛キレーティン
グセファロースおよびG-3000 SW-XL( 東洋ソーダ社製)
を用いたカラムクロマトグラフィーにより調製した。
【0056】実施例6、7および8で得られた精製コラ
ゲナーゼは以下に示す物理化学的性質、生化学的性質か
ら間質型コラゲナーゼ前駆体のプロコラゲナーゼと同定
された。
【0057】分子量:52000。ただし僅かに57000 の分子
種が存在するが、これは糖鎖結合型と推定された[ プロ
シーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー
オブサイエンシス オブ ザ ユナイテッド ステイツ
オブ アメリカ(Proceedings of the National Acade
my of Sciences of the United States of America、83
巻、3756頁、1986年参照] 。
【0058】活性化: そのままでは活性を示さないが、
トリプシンおよびパラアミノフェニル水銀酢酸で活性化
され、分子量43000 のコラゲナーゼが生成する。ただし
糖鎖結合型と推定される分子量47000 のコラゲナーゼが
僅かに生成した。
【0059】活性化により生成するコラゲナーゼ活性の
基質特異性: I型、II型及びIII 型可溶性コラーゲンを
加水分解し、これらを3:1の鎖長に切断した。
【0060】阻害剤: 活性化により生成するコラゲナー
ゼは、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム、オルトフ
ェナンスロリン及びヒト線維芽細胞WS-1(ATCC CRL 150
2) 由来組織金属プロテイナーゼ阻害物質により阻害さ
れた。
【0061】
【発明の効果】本発明の方法によると、細胞当たりのプ
ロコラゲナーゼの生産性を著しく高めることができる。
また本発明に用いるには、プロコラゲナーゼ産生能を高
めることで知られているTNFやPDGF等の増殖因子
類に比して安全で、安価に、且つ高収率にプロコラゲナ
ーゼを製造可能であるという利点がある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞を培養して培養液からプロコラゲナ
    ーゼを取得するに際し、温泉水を培地に添加することを
    特徴とするプロコラゲナーゼの製造方法。
  2. 【請求項2】 温泉水が、下記(A)〜(C)からなる
    群から選択されるものである、請求項1記載のプロコラ
    ゲナーゼの製造方法。 (A)6mM以上の硫酸イオンを含む温泉水。 (B)カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウ
    ムを総陽イオン量30mM以上含む温泉水。 (C)塩素、硫酸、炭酸水素、炭酸を総陰イオン量30
    mM以上含む温泉水。
JP5154216A 1993-05-31 1993-05-31 プロコラゲナーゼの製造方法 Pending JPH06339377A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008255079A (ja) * 2007-04-09 2008-10-23 Choi Jeong Hee 微生物を用いた基礎化粧品液相成分の製造方法

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JP2008255079A (ja) * 2007-04-09 2008-10-23 Choi Jeong Hee 微生物を用いた基礎化粧品液相成分の製造方法

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