JPH0633784B2 - ロ−タリコンプレツサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、２つの圧縮機部が同一軸に対して設けられ
た２シリンダ型のロータリコンプレッサに関する。

（従来の技術） 一般的な２シリンダ型のロータリコンプレッサは第６図
に示されるように構成されている。図中に示されるよう
に円筒状の第１のケース体１と、この第１のケース体１
の上端および下端部に結合された有底状の第２および第
３のケース体２、３とによって密閉容器４が形成されて
いる。そして、この密閉容器４内には、上記第１のケー
ス体１の中心部に回転軸５が設けられている。この回転
軸５の一端側６には電動機部７が設けられ、さらに、他
端部８には２つのロータリ式の圧縮機部９、１０が設け
られている。

上記電動機部７は、回転軸５に嵌着されたロータ１１
と、このロータ１１の外周面と狭い幅を持って密閉容器
４側へ嵌着されたステータ１２とから構成されている。

一方、上記圧縮機部９、１０は、第１の圧縮機部９およ
び第２の圧縮機部１０が、回転軸５の軸方向に順次設け
られており、下側に位置する上記第１の圧縮機部９およ
び上側に位置する第２の圧縮機部１０がそれぞれに冷媒
を圧縮する並列型の圧縮機構を構成している。

上記第１の圧縮機部９は、後述する構造により密閉容器
４内に固定された第１のシリンダ１３と、この第１のシ
リンダ１３内に位置して回転軸５に設けられた第１のク
ランク部１４とを有し、このクランク部１４の外周面に
嵌着されたローラ１５と、このローラ１５を偏心回転自
在に収容するシリンダ室１６とを有している。さらに、
上記ローラ１５にはブレード１５ａが弾性的に当接され
ることでシリンダ室１６内を区分するように構成されて
いる。ここで、上記第１のクランク部１４の軸方向の中
心は図中に鎖線Ａで示されるように上記第１のシリンダ
１３の軸方向の中心と同一レベルに設けられている。

また、この第１のシリンダ１３の下側部にはサブベアリ
ング１７が接合されておりシリンダ室１６の下側部を閉
鎖しているとともに、上記回転軸５の下端部を回転自在
に支持している。このシリンダ室１６の上側部には、縁
部が気密容器４の内側に結合された仕切り板１８の下側
面が接合されており、この仕切り板１８に結合されるこ
とによって、上記第１のシリンダ１３が密閉容器４の内
側に固定されている。

そして、この仕切り板１８の上側部には上記第２の圧縮
機部１０が設けられている。この第２の圧縮機部１０
は、第２のシリンダ１９と、この第２のシリンダ１９内
に位置して、回転軸５に設けられた第２のクランク部２
０と、この第２のクランク部２０の外周面に嵌着された
ローラ２１と、このローラ２１を偏心自在に収容するシ
リンダ室２２とを有しており、上記ローラ２１にはブレ
ード２１ａが弾性的に当接されることでシリンダ室２２
内を区分するように構成されている。ここで、上記第２
のクランク部２０の軸方向の中心は図中に鎖線Ｂで示さ
れるように上記第２のシリンダ１９の軸方向の中心と同
一レベルに設けられている。

そして、上記シリンダ室２２の上側部にはメインベアリ
ング２３が接合されて、シリンダ室１６の上側部を閉鎖
しているとともに、回転軸５を回転自在に支持してい
る。

上記第１のシリンダ１３の吸込側には吸込口２４が設け
られ、サクションカップ２５が接続されており、また、
図示しない同様の構造により第２のシリンダ１９の吸込
側にもサクションカップ２５が連通されている。そし
て、第１および第２のシリンダ１３、１９の吐出し側に
は図示しない吐出口が設けられて密閉容器４内に導出さ
れている。

また、上記回転軸５には図示しない油ポンプが設けられ
て、各ベアリング１７、２３等を潤滑するように構成さ
れている。

さらに、低振動および低騒音を得るために上記電動機部
７の回転軸５側に設けられたロータ１１の上下端部に
は、第１のバランサ２７および第２のバランサ２８がそ
れぞれ設けられている。

このように構成された２シリンダ型のロータリコンプレ
ッサは、第１および第２の圧縮機部９、１０が同一の回
転軸５に設けられているため、第１および第２のバラン
サ２７、２８の重量を増加する必要があった。そして、
上記バランサ２７、２８の重量の増加にともない、回転
軸５の高強度も要求され、ロータリコンプレッサの小
形、軽量化の妨げとなっていた。

（発明が解決しようとする問題点） 上述のように、一般的な２シリンダ型のロータリコンプ
レッサは、同一軸に対して２つの圧縮機部が設けられて
いるため、軸に対して設けられるバランサの重量も増大
して、通常のロータリコンプレッサに比較して静粛な運
転が困難になりやすいという事情があった。

この発明は上記事情に着目してなされたものであり、バ
ランサを軽量化できるように構成することで振動および
騒音の極めて少ないロータリコンプレッサを提供するこ
とを目的とする。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段及び作用） この発明は２つの圧縮機部を同一軸に設け、これら２つ
の圧縮機部のそれぞれのクランク部の軸方向寸法の中心
の互いの離間距離を、それぞれのシリンダの軸方向寸法
の中心の互いの離間距離よりも小さくすることで、バラ
ンサの重量を減少でき、これにともない軸に加わる曲げ
モーメントを減少できるロータリコンプレッサにある。

（実施例） 以下この考案における第１実施例を第１図乃至第３図を
参照して説明するが、ロータリコンプレッサの基本的構
造は第６図に示される従来例と同様のため同一構成部分
に関しては同一符号を付して説明を省略し、改良点につ
いてのみ説明をする。

図中において、軸としての回転軸５に設けられた第１お
よび第２の圧縮機部９、１０はそれぞれ第１図に示され
るように構成されている。このうち第１の圧縮機部９
は、上記回転軸５の下端付近に設けられており、第１の
シリンダ１３と、この第１のシリンダ１３内に形成され
た、シリンダ室１６と、上記回転軸５に設けられた第１
のクランク部１４と、この第１のクランク部１４の外周
面に設けられたローラ１５とを有しており、ローラ１５
は上記シリンダ室１６内で偏心回転自在に配設されてい
る。そして、上記第１のシリンダ１３には弾性的にロー
ラ１５に当接されるブレード１５ａが設けられている。
ここで、上記第１のクランク部１４は第１図中に鎖線Ａ
で示される軸方向の寸法の中心が、上記第１のシリンダ
１３の鎖線Ｃで示される軸方向の寸法の中心よりも仕切
り板１８側に近接されて設けられている。

また、上記第２の圧縮機部１０は、上記仕切り板１８の
上側に位置されて第２のシリンダ１９と、この第２のシ
リンダ１９内に形成された、シリンダ室２２と、上記回
転軸５に設けられた第２のクランク部２０と、この第２
のクランク部２０の外周面に設けられたローラ２１とを
有しており、ローラ２１は上記シリンダ室２２内で偏心
回転自在に配設されている。そして、上記第２のシリン
ダ１９には弾性的にローラ２１に当接されるブレード２
１ａが設けられている。ここで、上記第２のクランク部
２０は第１図中に鎖線Ｂで示される軸方向の寸法の中心
が、上記第２のシリンダ１９の鎖線Ｄで示される軸方向
の寸法の中心よりも仕切り板１８側に近接されて設けら
れている。

つまり、上記第１および第２のクランク部１４、２０の
各々の軸方向寸法の中心Ａ、Ｂの互いの離間距離が、第
１および第２のシリンダ１３、１９の各々の軸方向寸法
の中心Ｄ、Ｃの互いの離間距離よりも小さく形成されて
いる。

以下、回転軸５の下端に設けられた第１のクランク部１
４に加わるモーメントの静的バランスについて第２図お
よび第３図を参照しながら従来構造と比較して説明す
る。

第３図は従来構造における静的バランスを示している。
図中に示されるＦ１は第１のクランク部１４に働く力で
あり、Ｆ２は第２のクランク部２０に働く力である。ま
たＦ３は第１のバランサ２７に働く力であり、Ｆ４は第
２のバランサ２８に働く力である。

さらに、Ｌ１は第１のクランク部１４の重心位置から第
２のクランク部２０の重心位置までの距離であり、Ｌ２
は第１のクランク部１４の重心位置から、第１のバラン
サ２７の重心位置までの距離である。またＬ３は第１の
クランク部１４の重心位置から第２のバランサ２８の重
心位置までの距離である。

そして、上記回転軸５が静粛に回転されるためには第１
のクランク部１４の重心位置において次に示される静的
バランスの関係式を満たす必要がある。

Ｆ２＋Ｆ３＝Ｆ１＋Ｆ４ ……（１） Ｌ１Ｆ２＋Ｌ２Ｆ３＝Ｌ３Ｆ４ ……（２） そして、上述したように第３図中のＬ１を小さくするこ
とで、第２図中に示されるＬ４とすると、上記Ｆ１、Ｆ
２およびＬ２、Ｌ３が一定の条件においては、上記
（２）の式より、Ｆ４が小さくなる。

そして、Ｆ４が小さくなることにより上記（１）式にお
いてＦ３が小さくなる。

つまり、上述のようにＬ１をＬ４の如く小さくすること
で、第１および第２のバランサ２７、２８の質量を小さ
くすることができる。

このように第１および第２のバランサ２７、２８の質量
を小さくできることで、回転軸５に働く曲げモーメント
を減少することができ、運転時の回転軸５の振れ回り量
を減少できる。そして、振動や騒音の少ない運転ができ
るとともにメインベアリング２３およびサブベアリング
１７等への負荷を減少することができる。

以下、この発明における第２実施例を第４図および第５
図を参照して説明するが、その基本的構造は上記第１実
施例と同様のため、構造の異なる部分についてのみ説明
する。

密閉容器４の略中心部には回転軸５が設けられ、この回
転軸５の下端部には、第１の圧縮機部９が設けられてい
る。この第１の圧縮機部９の下部にはサブベアリング１
７が設けられている。また、上記第１の圧縮機部９の上
側部には仕切り板１８が設けられており、この仕切り板
１８の上側には第２の圧縮機部１０が設けられている。
さらに、この第２の圧縮機部１０のブレード２１ａが設
けられた部分には上記密閉容器４の内壁側に延長された
延長部２９が設けられている。この延長部２９には、略
コ字型の油溜め部分３０が設けられており、ブレード２
１ａの摺動部側に連通されている。そして、図示しない
油ポンプによって供給された潤滑油が密閉容器４の内壁
およびメインベアリング２３等を通った後に上記油溜め
部分３０に流入される。従来の構造においては、ロータ
リコンプレッサの起動時および除霜時等の一時的に油面
が仕切り板１８の位置よりも低下してしまい、上記ブレ
ード２１ａに潤滑油が供給されなくなっていたが、上述
のように構成された油溜め部分３０が設けられることに
よってブレード２１ａには常に潤滑油が供給される。

なお、この発明は上記各実施例に限定されるものではな
い、例えば上記各実施例における実施対象は縦型の２シ
リンダ型ロータリコンプレッサであるが、これに限定さ
れるものではなく、回転軸５が横方向に設けられる横型
のロータリコンプレッサ等も含まれる。要は、同一軸に
２つの圧縮機部９、１０が設けられたロータリコンプレ
ッサであればよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明によれば同一軸に設けら
れた２つの圧縮機部におけるクランク部の軸方向寸法の
中心の互いの離間距離を、シリンダの軸方向寸法の中心
の互いの離間距離よりも小さくすることで、同一軸に対
して設けられるバランサの質量を低減でき、振動や騒音
が極めて少ないロータリコンプレッサを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの発明における第１実施例であ
り、第１図はロータリコンプレッサの正断面図、第２図
は回転軸に働く力をベクトルで示した力関係図、第３図
は第２図に対応した従来における力関係図、第４図およ
び第５図はこの発明における第２実施例であり、第４図
は圧縮機部の側断面図、第５図は圧縮機部を有する密閉
容器の平断面図、第６図は従来におけるロータリコンプ
レッサの正断面図である。 ５……回転軸（軸）、９……第１の圧縮機部（圧縮機
部）、１０……第２の圧縮機部（圧縮機部）、１４……
第１のクランク部（クランク部）、２０……第２のクラ
ンク部（クランク部）、１３……第１のシリンダ（シリ
ンダ）、１９……第２のシリンダ（シリンダ）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】同一軸に対して２つの圧縮機部が設けられ
   たロータリコンプレッサにおいて、上記２つの圧縮機部
   における各々のクランク部の軸方向寸法の中心の互いの
   離間距離を、各々のシリンダの軸方向寸法の中心の互い
   の離間距離よりも小さくしたことを特徴とするロータリ
   コンプレッサ。