JPH06336657A - 超高圧部材用鋼およびその製造方法 - Google Patents

超高圧部材用鋼およびその製造方法

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JPH06336657A
JPH06336657A JP13017593A JP13017593A JPH06336657A JP H06336657 A JPH06336657 A JP H06336657A JP 13017593 A JP13017593 A JP 13017593A JP 13017593 A JP13017593 A JP 13017593A JP H06336657 A JPH06336657 A JP H06336657A
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JP
Japan
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less
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steel
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JP13017593A
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English (en)
Inventor
Shigeo Hayatsu
重夫 早津
Yukio Kondo
行男 近藤
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 水などの圧力媒体にして周期的に負荷される
超高圧下で、湿食を防止することができる鋼とその製造
方法が提供される。 【構成】 C,Si,Mn,P,S,Cu,Cr,N
i,Mo,Nb+Ta,N,O,Hを特定した鋼におい
て、ASTM−E45Dで規定する方法で測定したとき
の清浄度は、Aタイプ(サルファイドタイプ)が薄型で
1/2等級以下、かつ厚型で0等級、Bタイプ(アルミ
ナタイプ)が薄型で1/2等級以下、かつ厚型で0等
級、Cタイプ(シリケートタイプ)が薄型で1/2等級
以下、かつ厚型で0等級、および、Dタイプ(球状タイ
プ酸化物)が薄型で1.0等級以下、かつ厚型で0等級
である。この鋼種は、電気炉による溶製、ESRによる
精製、真空アーク再溶解によるガス成分の除去を経て製
造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水を圧力媒体として1
000〜10000kg/cm2の超高圧が反復して負荷され
る容器やパイプなどの超高圧部材に用いる鋼とそれを製
造する方法に関し、更に詳しくは、例えば、ウォーター
ジェット切断機のシリンダや食品殺菌用容器の材料とし
て好適な鋼材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えは、ジュース,ジャムのような液状
または流動性食品の製造工程では、これら食品を耐圧容
器に入れ、全体に数千kg/cm2の超高圧を加え、栄養素は
生かして細菌だけを殺菌するという処理が行なわれる。
この殺菌工程に用いる耐圧容器の材料には、各種の化学
物質を溶解する水に対する耐食性を考慮して、通常、S
US316やSUS630などのステンレス鋼が採用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したス
テンレス鋼製の耐圧部材の場合、圧力媒体は水(ウォー
タージェット機の場合)や、砂糖,塩分などを含む溶液
であるため、部材表面の組織状態によっては、使用中に
部材表面が局部腐食されることがある。そして、ピンホ
ールが生じた場合、周期的に負荷される圧力により、こ
のピンホールが起点になって亀裂などが起こることがあ
る。
【0004】そのため、従来のステンレス鋼による超高
圧部材は、圧力洩れが起こることがあり、使用寿命は安
定しているとはいえず、実際の使用現場では、工程管理
における不安定性を与えていた。ところで、このような
問題は、次のようなことを原因にして発生するものと考
えられる。
【0005】すなわち、まず、17−4PHステンレス
鋼には、比較的軟質なδ−フェライトが不可避的に偏析
している。そのため、超高圧部材では、水などの圧力媒
体によりこの軟質なδ−フェライトが選択的に侵食され
てそこがピンホールになるものと考えられる。そして、
圧の負荷──圧の除去が周期的に反復されることによ
り、そのピンホールを起点にして基地組織の破壊が進行
するものと考えられる。
【0006】したがって、基地組織のなかにδ−フェラ
イトが偏析していないステンレス鋼は、超高圧下におけ
る湿食に対し優れた耐食性を備えているものと考えられ
る。また、ステンレス鋼には、溶製時における不純物の
混入などにより、非金属介在物や地きずなどの発生する
ことがある。非金属介在物はピンホールと同様の作用を
及ぼし、切欠きになり、圧力負荷での繰り返しによる亀
裂を誘発するものと考えられる。
【0007】いずれにしても、基地組織中の非金属介在
物や地きずの存在は、部材表面の腐食や亀裂の起点とし
て機能するものと考えられるので、基地組織に非金属介
在物の存在しないステンレス鋼は、超高圧部材の材料と
して有用であると考えられる。また、ステンレス鋼の溶
製時には、N2 ,O2 ,H2 などのガス成分が微量溶存
し、そのまま、鋼のなかに取り込まれることがある。
【0008】そして、鋼の組成において、これらガス成
分の含有量が多くなると、超高圧部材の表面には、これ
らガス成分に基づくピンホールが存在するようになり、
これが起点となって、部分的剥離や亀裂が引き起こされ
るものと考えられる。したがって、超高圧部材に用いる
ステンレス鋼では、これらガス成分の含有量を極力少な
くして、ピンホール発生の要因を除去することが必要に
なるものと考えられる。
【0009】本発明は、上記した考察に基づき開発され
たもので、液体を圧力媒体にした超高圧下における湿食
の要因になる微小欠陥が除去されていて、その湿食を起
点にして誘発される部材表面の部分的剥離や部材全体の
亀裂などが抑制され、もって安定した使用寿命を備えて
いる超高圧部材に用いる鋼とそれを製造する方法の提供
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、C:0.07重量%以下、S
i:1.00重量%以下、Mn:1.00重量%以下、P:
0.030重量%以下、S:0.005重量%以下、Cu:
2.50〜4.50重量%、Cr:14.50〜15.50重量
%、Ni:3.50〜5.50重量%、Mo:2.0重量%以
下、Nb+Ta:C含有量の5倍値〜0.45重量%、
N:0.020重量%以下、O:0.0010重量%以下、
H:0.0002重量%以下、残部はFeと不可避的不純
物とから成り、ASTM−E45 Dで規定する方法で
測定したとそきの清浄度は、Aタイプ(サルファイドタ
イプ)が薄型で1/2等級以下、かつ厚型で0等級、B
タイプ(アルミナタイプ)が薄型で1/2等級以下、か
つ厚型で0等級、Cタイプ(シリケートタイプ)が薄型
で1/2等級以下、かつ厚型で0等級、および、Dタイ
プ(球状タイプ酸化物)が薄型で1.0等級以下、かつ厚
型で0等級であることを特徴とする超高圧用部材の鋼種
が提供され、また、上記した鋼種は、電気炉による溶
製、ESR炉によるS成分の制御、ならびに、真空アー
ク炉によるN成分,O成分およびH成分の制御を順次行
なうことによって製造される方法が提供される。
【0011】本発明の鋼種において、まず、Cは、マル
テンサイト変態を容易にするために少なければよく、あ
まり多く含有させるとマルテンサイト変態が起こりにく
くなり、目的とする強度が得にくく、かつ耐食性の低下
も起こるようになるので、その含有量は0.07重量%以
下とする。Siは、合金溶製時に脱酸剤として機能する
成分であるが、あまり多く含有させると、δ−フェライ
トの偏析を多発させ、またMs点が低くなり、目標とす
る強度も得にくくなるので、その含有量は1.00重量%
以下とする。
【0012】Mnは、Siと同様に脱酸剤として機能す
る元素であるが、あまり多く含有させると、Ms点が低
くなり、また目標とする強度も得にくくなるので、その
含有量は1.00重量%以下とする。Pは、適量含有され
ているときは熱間強度の向上に資するが、あまり多く含
有されていると靱性の低下を招くので、その含有量は0.
030重量%以下に制御される。
【0013】Sは、被削性の向上に資する成分である
が、他方では、MnSなどの非金属介在物を生成させる
成分でもある。したがって、あまり多く含有されている
と、非金属介在物が多量に生成して、超高圧下における
剥離や亀裂を招くようになるので、その含有量は0.00
5重量%以下に制御される。Cuは、オーステナイト化
元素であり、析出硬化を起こして強度の向上に資する成
分である。Cuの含有量が2.50重量%より少ない場合
は、上記した効果が充分に発揮されず、また、4.50重
量%より多い場合は、靱性を損ねるので、その含有量
は、2.50〜4.50重量%の範囲に設定する。
【0014】Niはオーステナイト生成元素であり、δ
−フェライトの生成を抑制する働きをし、その含有量は
3.50〜4.50重量%にする。含有量が3.50重量%未
満の場合には、δ−フェライトの生成する可能性があ
り、また、4.50重量%より多い場合は、オーステナイ
トが安定となりMs点が低くなって、目標とする強度が
得にくくなるからである。
【0015】Crは強度と耐食性を確保するための元素
であり、その含有量は14.50〜15.50重量%にす
る。含有量が14.50重量%未満の場合は充分な耐食性
が得られず、また、15.50重量%よりも多い場合は、
δ−フェライトが生成することにあり、またMs点が低
くなり、目標とする強度が得にくくなるからである。
【0016】Nb+Taは、炭化物を生成する元素であ
ると同時に、オーステナイト粒の微細化を進め、焼鈍後
に微細なマルテンサイト組織を形成して強度を向上させ
る成分である。その含有量がCの含有量の5倍値よりも
少ない場合は、上記した効果が充分に発現しないので、
その含有量は、C含有量の5倍値以上とする。しかし、
あまり多く含有させると、δ−フェライトの偏析を引き
起こすようになるので、その含有量は、0.45重量%以
下に制限する。
【0017】N,O,Hは、いずれも、ガス成分であ
り、ピンホール発生の原因となるので、全く含有されて
いないことが好ましい。しかしながら、これら成分は、
この合金鋼の溶製時に、溶製される溶鋼中に不可避的に
含有されてくる。したがって、ESRや真空アーク再溶
解により、Nは、0.020重量%以下、Oは、0.001
0重量%以下、Hは、0.0002重量%以下となるよう
に制御される。
【0018】本発明の鋼種は、成分組成を上記したよう
に制御して製造することにより、ASTM−E45 D
で測定したときにおけるAタイプ、Bタイプ、Cタイ
プ、Dタイプの異物が、それぞれ、表1に示すような等
級である洗浄度を満足する。
【0019】
【表1】 上記した清浄度を満たさない鋼種の場合は、非金属介在
物が多くなりすぎているため孔食が起こりやすく、超高
圧部材用の材料として不適当になる。
【0020】本発明の鋼種は次のようにして製造され
る。まず、電気炉の中に、上記した成分組成となるよう
に各原料を投入して溶解し、その溶湯のインゴットを製
造する。上記各成分のうち、C,P,S,N,O,Hな
どはいずれも以後の過程でその含有量を制御できるの
で、電気炉への原料投入時には、Si,Mn,Ni,C
r,Cu,Mo,Nb+Taなどの各成分を上記した含
有量となるように投入する。
【0021】この溶解により、基地組織内におけるδ−
フェライトの析出は抑制される鋼種としてのインゴット
が製造される。電気炉で得られたインゴットは、次に、
ESR炉にセットして再溶解する。この過程で、Sの含
有量が上記値に制御される。そして同時に、不純物や地
きずの発生源が除去される。S含有量の制御は、用いる
スラグ,ESRの操業条件などを適宜に選択して行なわ
れる。
【0022】しかし、ESRで得られたインゴットで
は、N,O,Hなどのガス成分の含有量は制御されてい
ない。したがって、本発明においては、そのインゴット
を真空アーク炉で再溶解し、溶存している上記ガス成分
を強制的に吸引除去する。このとき、真空アーク炉の温
度、適用する真空度などが適宜に調整されて、各ガス成
分の含有量がそれぞれ上記値に制御される。
【0023】このようにして、組織が清浄化されたイン
ゴットは、次に、常用の鍛造または圧延を行なって組織
を微細化し、更には、固溶化処理を行なって、最終的に
機械加工を施し所望形状の超高圧部材に加工される。
【0024】
【実施例】
実施例1〜3,比較例1〜4 表2,3に示した各元素を電気炉に投入し、大気中にお
いて、合金鋼を溶製した。これらの合金鋼のインゴット
につき、表2で示したように、ESRと真空アーク再溶
解処理を行なった。
【0025】得られた材料の化学分析とASTM−E4
5D法による清浄度を測定した。この材料を加工して、
超高圧水発生装置用シリンダ30個を製造した。このシ
リンダに4000kg/cm2の圧力を0.5秒間負荷したのち
10kg/cm2の圧力に戻す操作を反復した。20個のシリ
ンダが使用不能になるまでの反復回数、および、3×1
6 回の反復回数までの間に使用不能になった容器の総
数を調べた。以上の結果を一括して表2,3に示した。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
鋼種は、水などを圧力媒体にして周期的に負荷される超
高圧下において、湿食に対する耐性が非常に優れてい
る。したがって、食品の殺菌用容器やウォータージェッ
ト切断機のシリンダなど超高圧部材に用いる材料として
資すること大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.07重量%以下、Si:1.00重
    量%以下、Mn:1.00重量%以下、P:0.030重量
    %以下、S:0.005重量%以下、Cu:2.50〜4.5
    0重量%、Cr:14.50〜15.50重量%、Ni:3.
    50〜5.50重量%、Mo:2.0重量%以下、Nb+T
    a:C含有量の5倍値〜0.45重量%、N:0.020重
    量%以下、O:0.0010重量%以下、H:0.0002
    重量%以下、残部はFeと不可避的不純物とから成り、
    ASTM−E45 Dで規定する方法で測定したときの
    清浄度は、Aタイプ(サルファイドタイプ)が薄型で1
    /2等級以下、かつ厚型で0等級、Bタイプ(アルミナ
    タイプ)が薄型で1/2等級以下、かつ厚型で0等級、
    Cタイプ(シリケートタイプ)が薄型で1/2等級以
    下、かつ厚型で0等級、および、Dタイプ(球状タイプ
    酸化物)が薄型で1.0等級以下、かつ厚型で0等級であ
    ることを特徴とする超高圧部材用鋼。
  2. 【請求項2】 電気炉による溶製、ESR炉によるS成
    分の制御、ならびに真空アーク炉によるN成分,O成分
    およびH成分の制御を順次行なうことにより、C:0.0
    7重量%以下、Si:1.00重量%以下、Mn:1.00
    重量%以下、P:0.030重量%以下、S:0.005重
    量%以下、Cu:2.50〜4.50重量%、Cr:14.5
    0〜15.50重量%、Ni:3.50〜5.50重量%、M
    o:2.0重量%以下、Nb+Ta:C含有量の5倍値〜
    0.45重量%、N:0.020重量%以下、O:0.001
    0重量%以下、H:0.0002重量%以下、残部はFe
    と不可避的不純物とから成り、ASTM−E45 Dで
    規定する方法で測定したときの清浄度は、Aタイプ(サ
    ルファイドタイプ)が薄型で1/2等級以下、かつ厚型
    で0等級、Bタイプ(アルミナタイプ)が薄型で1/2
    等級以下、かつ厚型で0等級、Cタイプ(シリケートタ
    イプ)が薄型で1/2等級以下、かつ厚型で0等級、お
    よび、Dタイプ(球状タイプ酸化物)が薄型で1.0等級
    以下、かつ厚型で0等級である鋼種にすることを特徴と
    する超高圧部材用鋼の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120279350A1 (en) * 2009-10-12 2012-11-08 Snecma Degassing of martensitic stainless steel before remelting beneath a layer of slag

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20120279350A1 (en) * 2009-10-12 2012-11-08 Snecma Degassing of martensitic stainless steel before remelting beneath a layer of slag
US8709123B2 (en) * 2009-10-12 2014-04-29 Snecma Degassing of martensitic stainless steel before remelting beneath a layer of slag

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