JPH0633364B2 - 炭化水素油の接触水素化精製方法 - Google Patents

炭化水素油の接触水素化精製方法

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JPH0633364B2
JPH0633364B2 JP60174439A JP17443985A JPH0633364B2 JP H0633364 B2 JPH0633364 B2 JP H0633364B2 JP 60174439 A JP60174439 A JP 60174439A JP 17443985 A JP17443985 A JP 17443985A JP H0633364 B2 JPH0633364 B2 JP H0633364B2
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10GCRACKING HYDROCARBON OILS; PRODUCTION OF LIQUID HYDROCARBON MIXTURES, e.g. BY DESTRUCTIVE HYDROGENATION, OLIGOMERISATION, POLYMERISATION; RECOVERY OF HYDROCARBON OILS FROM OIL-SHALE, OIL-SAND, OR GASES; REFINING MIXTURES MAINLY CONSISTING OF HYDROCARBONS; REFORMING OF NAPHTHA; MINERAL WAXES
    • C10G65/00Treatment of hydrocarbon oils by two or more hydrotreatment processes only
    • C10G65/02Treatment of hydrocarbon oils by two or more hydrotreatment processes only plural serial stages only
    • C10G65/04Treatment of hydrocarbon oils by two or more hydrotreatment processes only plural serial stages only including only refining steps

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野および背景 本発明は、累積床(stacked bed)の形に作られた触媒
を使用して重質炭化水素油を処理することからなる一段
階水素化精製(hydrotreating)方法に関するものであ
る。本発明は特に、コークスの生成によつて水素化精製
触媒を不活性化する傾向を有する炭化水素油を、累積床
の形の触媒を使用して処理することからなる一段階水素
化精製方法に関する。このような原料炭化水素油は、高
沸点成分を含有する炭化水素油、および/またはアスフ
アルテン含有量が低くかつ沸点が非常に高い成分を含有
する炭化水素油からなるものである。累積床の使用によ
つて触媒の寿命がのび、あるいは、変換率の値が向上す
ることが見出された(当該炭化水素油の処理の際に使用
される従来の触媒を基準とする)。当業界では、低品質
重油画分からの硫黄除去等のために該画分の水素化精製
を一層過酷な操作条件下に実施し得る方法の開発が切望
されていたが、本発明はこの要望を完全にみたす非常に
有用な水素化精製方法を提供するものである。前記の低
品質画分の例には、原油または原油の画分に直接に蒸留
または抽出を行つたときに得られる低品質重油画分、お
よび熱クラツキング法、スチームクラツキング法または
接触クラツキング法によつて得られる石油画分、および
これらの油の混合物があげられる。
低品質原油等を精製する場合には該原油の品質が絶えず
変化し、さらに、石油製品の規格が段々厳重になつてき
た(たとえば、硫黄含有量の許容値が段々低くなつてき
た)ので、精製業者は、従来の石油画分の水素化精製操
作において操作条件を一層過酷にすること、および/ま
たは、一般に今迄処理されていなかつたような画分の水
素化精製をも行うことが必要になつてきた。このような
操作条件の過酷化および/または非慣用画分の使用によ
つて、水素化精製触媒の不活性化の時期が一般に一層早
くなる。しかしながら本発明方法を利用することによつ
て、これらの石油画分の水素化精製操作における操作可
能時間が一層長く延長できるという利益、および/また
はこの精製操作を一層過酷な条件下に実施できるという
利益、および/または低品質画分の処理さえ可能になる
という利益が得られる。
低価格原油または或地方で得られた原油を使用した場合
には、当該石油の種々の画分は、硫黄含有量および/ま
たは窒素含有量が高い場合が多い。熱クラツキング法、
コーキング法および接触クラツキング法の如き変換方法
は、通常の操作方法であり、すなわち低品質石油のため
の公知操作方法である。このような方法によつて得られ
た生成物は硫黄の如きヘテロ原子を含有し、かつ水素の
量が不足している(比較的高品質の原油から得られた生
成物の水素含有量、すなわち、原油または原油画分から
の直留画分の水素含有量基準)。したがつて上記の変換
方法の生成物および/または低品質原油は、規格に合つ
た製品にするためにさらに水素化精製処理を行わなけれ
ばならない。あるいは該生成物に、其後の処理/変換操
作が実施できるようにするために予じめ水素化精製処理
を行わなければならない。しかしながら、このような水
素含有量の低い被処理原料油に水素分を追加し、かつ余
分のヘテロ原子を除去するには操作温度を高くしなけれ
ばならないが、この場合にはコークス化が起るために水
素化精製触媒が不活性化し易いのである。したがつて、
水素化精製触媒の活性および/または安定性を一層向上
させることができたならば、低品質石油および/または
分解油を精製工場で充分経済的に精製できるようになる
であろう。
水素分が不足した低品質油が低い触媒不活性化率で、か
つ過酷な水素化精製用ユニツト操作条件(高い水素圧お
よび/または水素/油比、および/または長い油/触媒
接触時間)のもとで水素化精製(すなわちハイドロトリ
ーチング/ハイドロフアイニング)できることは既に周
知である。物理的または形状的制限のもとで作られたユ
ニツトの中に滞留させるために、かつ、所定の容積の石
油を連続的に処理するために、前記の諸条件はごく狭い
範囲内でしか変えることができない。したがつて、寿命
の長い触媒が得られない場合には、規格に合う最終製品
を得るために非常に高価な水素化精製装置を付加的に設
置しなければならない。あるいは、非常に寿命の短かい
触媒を精製工場で使用しなければならず、その結果とし
て、触媒交換のために精製操作休止時間(down time)
が多くなり、あるいは連続式または半連続式触媒再生装
置を使用しなければならない。所定量の原料をこれらの
オプシヨン装置で処理するために、一層大形の、および
/または一層多くの容器および付加的装置が必要であ
る。精製装置において特に重要なことは、非累積床型の
形態で使用される既存の触媒の活性の不経済な早期喪失
を避けるために、充分な水素圧をかけないで操作される
既存の水素化精製ユニツト中で、水素分欠乏油および/
または低品質油を処理し得る性能である。すなわち、こ
の点について改良された処理方法および高安定性触媒の
開発が当業界で切望されていたのである。
重油の水素化精製の際の技術的困難を改善した若干の二
段階水素化精製方法が以前に開発された。次に、2基の
接触反応品を用いる精製方法を開示した5種の特許につ
いて説明する。
米国特許第3,766,058号明細書には、高硫黄分
の真空蒸留物を水素化精製するための二段階法が開示さ
れている。その第一段階では被処理原料を、好ましくは
ZnOとAl2O3との複合体からなる担体に担持されたコバ
ルト−モリブデン触媒と接触させて若干量の硫黄分を除
去しかつ或程度の水素化反応を行うのである。第二段階
では、第一段階からの流出物(エフルエント)を所定の
条件下に処理して、好ましくはアルミナまたはシリカに
担持されたモリブデン触媒と接触させて、当該原料中に
含まれるアスフアルテンおよび大形樹脂分子の水素化ク
ラツキングおよび脱硫を行うのである。第二段階の触媒
は、第一段階の触媒よりも平均孔径が大である。
米国特許第4,016,049号明細書に記載の金属お
よび硫黄を含有するアスフアルテン系重油の二段階水素
化精製方法は、これらの段階の中間にフラツシング工程
を設けたこと、および第一段階において原料油の一部を
通過させるバイパス路を設けたことを特徴とするもので
ある。
米国特許第4,048,060号明細書に記載の二段階
式の水素化脱硫−水素化脱金属方法は、各段階毎に別々
の触媒を使用し、第二段階の触媒は第一段階の触媒より
も孔隙寸法が一層大きく、かつ或特定の孔隙寸法分布を
示すものであることを特徴とするものである。
米国特許第4,166,026号明細書に記載の二段階
法では、多量のアスフアルテンおよび重金属を含有する
重質炭化水素油を第一工程において、主として珪酸マグ
ネシウムからなる担体に担持された1種またはそれ以上
の触媒金属を含有してなる触媒と接触させることによつ
て、水素化脱硫および選択的クラツキングを行う。第一
段階から出た流出物から水素富化ガス(すなわち、水素
に富むガス)を分離した後に、あるいはこの分離を行わ
ずに、この流出物を担体付触媒の存在下に水素と接触さ
せる。この触媒は、担体(好ましくはアルミナまたはシ
リカ−アルミナ)上に担持された1種またはそれ以上の
触媒金属を含有し、かつ、或特定の孔隙容積および孔隙
径分布を有するものである。この二段階法は、慣用精製
法(残油に、一段階処理によつて直接に水素化精製を行
うことからなる方法)よりも効率が一層高いと上記米国
特許明細書に記載されている。
米国特許第4,392,945号明細書に記載の二段階
法では、或種の有機硫黄化合物を含有する重油の水素化
精製のために、特定の種類の触媒を使用し、かつこれら
の段階の中間にH2SおよびNH3除去工程を設けるのであ
る。第一段階では、普通の種類のニツケル含有水素化精
製触媒を使用する。第二段階では、普通の種類のコバル
ト含有水素化精製触媒を使用する。第一段階の操作は、
少なくとも50重量%の脱硫を行い得るような条件下に
実施するのが好ましい。第二段階の操作は、少なくとも
約90重量%の脱硫を行い得るような条件下に実施する
のが好ましい〔ここに脱硫率(重量%)は、第一段階に
最初に供給される原料油中に存在する硫黄の量を基準と
した値である〕。この二段階法は主として、重金属を全
くまたは少ししか含まない沸点343℃未満の留出ガス
油に適用し得る精製方法である。
前記の種々の米国特許明細書に記載の二段階式水素化精
製方法はいずれも、或種の好ましい触媒および/担体を
用いて種々の炭化水素油を精製する方法であると考えら
れる。これらの方法のうちの若干のものでは、H2Sお
よびNH3の除去工程を設けることが必要である。さら
に、これらの米国特許明細書には、終留点343〜53
8℃の油および/またはアスフアルテン含有量が低くか
つ538℃を超える沸点を有する成分を含有する油が、
従来の単一触媒よりもはるかに長い有効寿命を有する改
良触媒の存在下に処理できるような精製方法は全く開示
されていない。
互いに相異なる複数種の活性触媒組成物を含有する累積
床の形の触媒(すなわち触媒系)を用いることによつ
て、高沸点成分(沸点約343〜538℃)を含有する
油および/またはアスフアルテン含有量が低くかつ沸点
が非常に高い成分(すなわち、538℃より上の沸点を
有する成分)を有する油が一段階式水素化精製方法で精
製でき、この触媒系の寿命は長く、および/またはこの
場合の当該原料油の水素化精製度(すなわち変換率)の
値は従来の場合より一層高いことが、今や見出された。
本発明方法によれば、既存の接触水素化精製用反応器
を、容易に特定の触媒からなる累積床を有する反応器に
変改することができる。本発明方法は75バール(75
00KPa)より低い水素圧のもとで実施できるので、高
圧反応器を付加的に設置することは全く不必要である。
本発明に従つて特定の触媒の組合わせからなる累積床を
使用した場合には、このうちのいずれかの触媒を単独で
使用したときの有効寿命よりもはるかに長い間精製操作
が実施でき、すなわち、或一定の種類の油の精製操作に
おける触媒交換または触媒再生の時点から其次の交換ま
たは再生の時点までの時間が、従来の場合に比してはる
かに長くなる。あるいはまた、本発明に従つて累積床の
形の触媒系を用いて一段階式水素化精製操作を行うこと
により、従来の場合と同じ時間に触媒の交換または再生
を行うという条件のもとで、従来の原料油よりも品質が
一層低い油が、従来の場合と同じ変換率または一層高い
変換率で処理できるのである。従来の方法によれば触媒
が速やかに不活性化するような精製操作に、本発明が最
も効果的に利用できる。
発明の構成 本発明は、高温高圧下、水素の存在下における炭化水素
油の接触水素化精製方法において、 (a) 538℃より上の終留点を有しかつヘプタンアスフア
ルテンを2重量%未満含有する炭化水素油、 (b) 343−538℃の終留点を有する炭化水素油、
または (c) その混合物 を水素または水素含有ガスと共に下降させて水素化精製
帯域に入れ、水素化精製触媒からなる累積床を通過さ
せ、この操作は、存在する硫黄化合物の25%より多く
のものを硫化水素に変換させるのに適した条件のもとで
行い、前記の累積床が上部区域と下部区域とを有し、上
部区域は、元素週期表第VIB族、第VIII族の金属、金属
酸化物、金属硫化物のうちから選ばれた成分と、燐の酸
化物および/または硫化物とを含む水素化精製触媒を1
5−85容量%(触媒全量基準)含有し、下部区域は、
第VIB族および第VIIIの金属、金属酸化物、金属硫化物
のうちから選ばれた成分を含みそして燐含有量が0.5
重量%未満である水素化精製触媒を15−85容量%
(触媒全量基準)含有し、前記の水素化精製帯域で生じ
た反応生成物を水素富化ガスと、ヘテロ原子含有量の低
い液状炭化水素油とに分離することを特徴とする炭化水
素油の接触水素化精製方法に関するものである。
コークス生成(「コーキング」とも称する)によつて触
媒が不活性になるような反応系において、本発明方法は
特に有利に実施できる。窒素の除去が主な目的である場
合には、累積床内の底部床すなわち下部区域の触媒はNi
含有触媒であることが好ましく、硫黄の除去が主な目的
である場合には、該下部床の触媒はCo含有触媒であるこ
とが好ましい。
本発明方法では、(a)538℃より上の終留点を有しか
つヘプタンアスフアルテン含有量が約2重量%未満であ
る油、(b)343−538℃の終留点を有する油、もし
くは(c)その混合物を、水素または水素含有ガスと接触
させながら下降流動させ、水素化脱硫条件下に累積床型
触媒を通過させるのである。ここに記載された沸点は、
ASTM−D−2887−83(「ガスクロマトグラフイに
よる石油画分の沸点の測定」)によつて測定された沸点
であり、しかしてその沸点は一般に“TBP-GLC”(気液
クロマトグラフイによつて測定された真の沸点)として
知られているものである。ここに記載された正ヘプタン
アスフアルテン(略称アスフアルテン)含有量は、石油
研究所(英国ロンドン市)制定の「試験方法IP−143
/78」(「正ヘプタンによるアスフアルテンの沈澱に基
く測定方法」)によつて測定された値である。
本発明において原料油として使用される油の例には、水
素化精製条件下に、特に水素化脱硫条件下においてコー
クス生成によつて水素化生成触媒を不活性化する傾向を
有する油があげられる。
本明細書中に使用された用語「下降」または「下方に」
は、流動方向を意味するものであつて、方位(オリエン
テーシヨン)を示すものではなく、したがつてこの用語
は本発明の方位上の限定条件を示すものと解釈されるべ
きでない。反応器内を通過する油とガスとの下降流は通
常の流動態様のものである。しかしながら反応器の構造
を概念的に逆にし、油およびガスを底部に存在させ、か
つ、底部に第一触媒区域を存在させてそこの触媒(Niお
よびPを含有する触媒)を第一主触媒として油およびガ
スと接触させ、すなわち、第一触媒区域を第一反応器の
底部に存在させることも可能である。当業者によく知ら
れているように、複数の反応器を直列に接続させ、これ
らを個別的に置くことも可能である。1つの反応器と其
次の反応器の頂部とを管でつなぎ、油およびガスをこの
管の中を流動させることもでき、この操作方法の逆の方
法を行うことも可能である。上記の反応器の配置態様お
よび他の種々の配置態様は、当業者には明らかなように
いずれも本発明の範囲内に入るものである。
本発明方法において使用される原料油は、直留油(非分
解油)、または熱クラツキング、スチームクラツキング
または接触クラツキングによつて得られた炭化水素系物
質であつてよい。適当な原料油の例には、原油またはそ
の常圧または減圧蒸留画分の蒸留によつて得られた石油
系ガス油:溶剤抽出油(たとえば、一般に脱アスフアル
ト油として知られている抽出油);熱クラツキングまた
はスチームクラツキングによつて得られる油またはその
画分、たとえばコーカー(coker)のガス油);接触ク
ラツキングによつて得られるサイクル油またはガス油;
および上記の物質2種またはそれ以上の混合物があげら
れる。
本発明方法に従つて最初に処理した後に、これらの油は
種々の用途に使用できる。処理された個々の油の種類に
応じて、これらの油は、分子量を大きく低下させるため
のユニツト装置(たとえば接触クラツキングユニツトま
たはハイドロクラツキングユニツト)に供給でき、ある
いは該装置に供給される原料に添加することもでき;所
望用途に直接使用することもでき;あるいは他の油と混
合して使用することもでき;あるいはジーゼル油の如き
トランスポーテーシヨン燃料と販売される油または添加
剤と混合でき、あるいは精製工場用燃料調製のために使
用できる。
本発明方法に使用される累積床触媒系は、第一触媒と第
二触媒とを含有し、第一触媒は一般にNiおよびPを含有
する慣用水素化精製触媒である。油と接触させるべき第
二触媒は、一般に燐を全くまたは少ししか含まない慣用
触媒である。第二触媒は燐を含まないものであることが
好ましい。第二触媒は上記の如く慣用触媒であつて、こ
れはその組成の中にNiおよび/またはCoを含むものであ
る。水素化精製操作の主な目的が脱硫することである場
合には、第二触媒はNiよりもCoを含むものであることが
好ましい。一方、操作の主な目的が窒素の除去である場
合には、第二触媒はCoよりもNiを含むものであることが
好ましい。これらの触媒は、当業者に周知の製法によつ
て製造できる。本発明の主な効果は、触媒の製法自体に
起因するものではなく、使用可能な水素化精製触媒の複
数種を組合わせて累積床の形にして使用することに起因
して得られるものであると思われる。
本発明方法の第一水素化精製区域に使用される触媒はNi
およびPを含有する慣用の水素化精製触媒であることが
有利である。第一触媒区域に適した慣用の水素化精製触
媒は一般に、酸化燐および/または硫化燐成分と、元素
周期表第VIB族および第VIII族の金属、金属酸化物、金
属硫化物および/またはその混合物のうちから選択され
た成分とを、担体に結合させてなる触媒である。好まし
くは、これらの触媒は第VIII族の金属化合物を10重量
%以下、一般に約1−5重量%(金属含有量として算出
された値)含有し、第VIB族の金属化合物を約3−15
重量%(金属含有量として算出された値)含有し、か
つ、燐の化合物を0.1−10重量%(燐含有量として
算出された値)含有するものである。一層好ましくは、
この触媒はニツケル成分と、モリブデン成分および/ま
たはタングステン成分とをアルミナ担体上に含有してな
るものである。このアルミナ担体は付加的成分としてシ
リカを含有していてもよい。さらに一層好ましい触媒は
ニツケル成分と、モリブデン成分と、燐成分とをアルミ
ナ担体上に含有してなるものである(この担体は少量の
シリカを含有していてもよい)。各成分の好ましい含有
量について述べれば、ニツケル成分は2−4重量%(金
属含有量として算出された値)、モリブデン成分は8−
15重量%(金属含有量として算出された値)、燐成分
は1−4重量%、さらに好ましくは2−4重量%(燐含
有量として算出された値)である。この触媒の好ましい
形は、押出操作によつて得られるトリロバル(trilobal)
の形である。この触媒はその使用前に硫化処理を行うの
が好ましい。この硫化処理自体は当業界で周知の技術で
ある。
第二区域においては、低燐分触媒または無燐触媒を使用
するのが有利であると思われる。なぜならばコークス生
成による触媒の不活性化が少ししか起らないからであ
る。
第二区域では、燐含有量が低く、表面積が大きく(約2
00m2/gより大)、突固めカサ密度が高い(0.6−
0.85g/cm3)触媒を使用するのが好ましい。なぜ
ならばこれは高活性であるからである。表面積の大きい
触媒では、一般に活性成分の分散性が良好であるから、
反応速度が高くなる。高密度触媒を使用によつて、活性
金属および助触媒の量(反応器容積基準)を一層多くす
ることができる(この量は商業的に重要な条件であ
る)。前の文節で規定された金属含有量を有する触媒
は、活性(反応器容積基準)が大きいものである。触媒
の金属含有量が低い触媒は一般に活性が極端に低く、本
発明方法には不適当である。一方、金属含有量が規定値
を超える高い値である触媒では、この極端な高含有量は
決して触媒の性能向上に大きく貢献せず、触媒製造費の
みが高くなり、不経済である。コークスの付着が触媒不
活性化の主な原因であると思われるので、新鮮な触媒の
孔隙容積は或最低値以上の値(0.4−0.8cm3
g、一層狭い範囲としては0.5−0.7cm3/g)で
あるべきである。第二区域の触媒は、第一区域の触媒の
場合と同様に、種々の形を有するものであつてよい。こ
の触媒はその使用前に硫化処理をしておくのが好まし
い。硫化処理自体は当業界で周知である。
第一区域に使用されるNi含有触媒は、高度の水素化反応
を行うのに適した高活性の慣用触媒であることが好まし
い。このような触媒は表面積が大きく(140m2/gよ
り大)、かつ、突固めカサ密度も大きい(0.65−
0.95g/cm3、一層狭い範囲としては0.7−0.
95g/cm3)。触媒の表面積が大きい場合には、活性
成分の分散性が一般に一層良くなるために反応速度も一
層大きくなる。高密度触媒を使用することによつて、活
性金属および助触媒の量(反応器の容量基準)を一層多
くすることができる。この量は商業的に重要な条件であ
る。既述の金属含有量および燐含有量に関する規定値
は、高い活性(反応器容積基準)を有する触媒を得るた
めに必要な条件である。金属含有量がこの規定値より低
い触媒は活性が極端に低く、本発明方法には不適当であ
る。一方、金属含有量が該規定値よりはるかに高い触媒
は、このように高い金属含有量は触媒の性能向上に決し
て大きく貢献せず、すなわち金属が充分有効に使用され
ず、しかも触媒製造費が高くなつて不経済である。コー
クスの付着が触媒の不活性化の主な原因であると思われ
るので、新鮮な触媒の孔隙容積は或最低値以上の値
(0.4−0.8cm3/g、一層狭い範囲内では0.4
−0.6cm3/g)であるべきである。
この触媒系の第二区域では、燐を少ししかまたは全く含
まない慣用の水素化精製触媒が有利に使用できる。Co
および/またはNiを含有する慣用触媒を使用するのが
好ましい。第二区域の触媒が第一区域の触媒と異なる点
は、燐含有量が低い(0.5重量%未満)ことである。
好ましい触媒は、燐含有量が0.5重量%未満であり、
そして、第VIB族および第VIII族の金属、金属酸化物お
よび金属硫化物、および/またはその混合物のうちから
選択された成分と、モリブデン成分および/またはタン
グステン成分とをアルミナ担体上に含有してなる触媒で
ある。このアルミナ担体は、付加成分としてシリカを含
有するものであつてもよい。好ましい金属含有量につい
て述べれば、第VIII族金属成分の量は10重量%以下、
一般に1−5重量%(金属含有量として算出された値)
であり、第VIB族金属の量は一般に3−30重量%(金
属含有量として算出された値)である。一層好ましい触
媒は、コバルト成分またはニツケル成分と、モリブデン
成分とをアルミナ担体上に含有してなるものである。
本発明の好ましい態様によれば、コークス生成によつて
水素化精製触媒を不活性化する傾向を有する原料油の水
素化精製を次の如く行うことができ、すなわち、(a)5
38℃を超える終留点を有し、かつヘプタンアスフアル
テンを2重量%未満含有する油、(b)343−538℃
の範囲内の終留点を有する油、または(c)その混合物
を、水素化精製帯域内を下降流動によつて通過させ、該
帯域内の2種の水素化精製触媒からなる累積床と接触さ
せ、そしてこの操作は、存在する硫黄の25%より多く
をH2Sに変換させるのに適した条件のもとで実施し、
前記の累積床は上部区域と下部区域とを有し、上部区域
は、ニツケル2−4重量%、モリブデン8−15重量%
および燐1−4重量%を担体(主としてアルミナからな
る担体)上に含有してなる高活性の水素化精製触媒を1
5−85容量%(触媒全量基準)含むものであり、下部
区域は、コバルトおよび/またはニツケル2−4重量
%、モリブデン8−15重量%および燐0.5重量%未
満を担体(主としてアルミナからなる担体)上に含有し
てなる高活性の水素化脱硫触媒を15−85容量%(触
媒全量基準)を含むものであり、次いで、前記の水素化
精製帯域で生じた反応生成物を、水素富化ガスと、硫黄
含有量および/または重金属含有量の低い液状油とに分
けることができる。
前記の触媒の物理学的特性の記載は触媒化学分野の専門
家には容易に理解されるであろう。用語「表面積」は窒
素吸着によつて測定された表面積であつて、この測定は
少なくとも3つの測定点において行うが好ましい。「孔
径分布」は、水銀透入によつて測定し、そして接触角を
130度として計算を行うことによつて算出できる値で
ある。「孔隙容量」(孔隙容積)は、水が入り得る孔隙
の容量であつて、すなわちこれは、触媒が初期湿潤状態
(incipient wetness)になるまで触媒の孔隙をみたすの
に必要な水の容積(触媒重量基準)で表わされる値であ
る。
本発明に使用される第一触媒区域の容積は15−85容
量%(主触媒充填量基準)。主触媒充填量における残り
の部分は、第二触媒区域の容積に相当する。触媒床の各
区域への触媒の分配量(容積単位)は、窒素変換反応の
ための触媒の所要量と、安定性および他の水素化精製反
応(たとえば硫黄および重金属の除去)のための触媒の
所要量とに左右される値である。累積床は、窒素除去
量、硫黄および重金属の除去量および反応系の安定性を
考慮に入れて、適切な形で使用できるものである。第一
区域の触媒の量を増加すると窒素の除去量が増加する
が、この系の水素化脱硫(HDS)活性および安定性が或
影響を受けるであろう。上部区域の触媒量と下部区域の
触媒量との比が15:85より低いかあるいは85:1
5より高い場合には、この累積床の触媒系の効果が実際
に充分に発揮されないであろう。或1つの床または他の
床を比較的低い前記百分率値で使用することについて
は、物理的な制限条件は全くない。
前記の複数の触媒区域は、同一反応器内またはそれぞれ
別々の反応器内に存在させることができる。反応器を1
つ有する既存のユニツトを使用する場合には、或1種の
触媒を別の触媒の最上部の上に層状に配置できる。水素
化精製用反応装置は、2またはそれ以上の反応器を直列
に接続することによつて作られたものが多い。触媒区域
は、1つの容器(反応器)の中の或特定の容積の場所だ
けに制限されるものではなく、その次の(またはその前
の)容器にまで拡張して設置できる。これらの区域は主
触媒床と称される。種々の寸法の小さい触媒床は、当業
者には明らかなように反応器内でしばしば使用される。
容器相互間の熱交換および/または水素添加を、本発明
方法の中で行うことも可能である。
触媒の孔隙寸法(孔径)は、本発明方法においては臨界
条件ではない。2つの区域に設置される触媒は、同一種
類の担体を使用したものであつてよい。一般に、仕上げ
られた触媒は、その金属含有量および燐含有量の差異に
基いて、平均孔、径も少し異なるようになるであろう。
本発明方法に従つて前記触媒系を用いて操作を行うとき
の適当な操作条件を第I表に示す。
非常に重質の原料油の場合に285℃未満の温度では、
あるいは普通の重質原料油の場合に150℃未満の温度
では、前記の触媒は充分な効果をあらわさず、すなわ
ち、実用的に充分な程度に変換速度が上昇しない。一
方、455℃を超える温度では、コークス化速度および
クラツキング速度が過度に大きくなり、操作の継続が不
可能になる。また、反応器を構成する金属の性質からみ
ても、高圧下における455℃を超える高温下の操作は
不可能である。
LHSVすなわちLSV(液空間速度)が0.1kg/kg・hよ
り低い場合には、油の滞留時間が過度に長くなり、その
ために熱減成やコークス化が起る。一方、LSVが10kg
/kg・hより大である場合には、反応器通過時の変化率が
非常に低くなり、実用に供し得ない。前記の空間速度お
よびガス/油比の算出のためにここに記載された容積
は、15.5℃において大気圧下に測定されたものであ
る。
水素圧は、触媒のコーキングおよび不活性化の進行速度
を決定する非常に重要な条件である。6.8バール未満
の該圧力のもとでは、良質の高沸点油を使用した場合で
さえ、触媒系に非常に速やかにコークスが付着する。一
方、この圧力が75バールより高い場合には、原料油中
に金属が存在するときにこの金属が触媒系に付着するこ
とが多くなり、そのために触媒系の孔隙が目詰まりを生
じ、触媒系が不活性化するであろう。本発明方法では、
水素/原料油比率は17Nl/kg(原料油)より高い値
でなければならない。なぜならば、この水素化精製操作
のときに起る種々の反応のために水素が消費され、反応
器の底部が水素不足状態になるからである。この水素不
足状態になると触媒にコークスが速やかに付着し、操作
不能になる。ただし水素/原料油比率の値を890Nl/
kg(原料油)以上の高い値としても、それに伴う特有な
利益は全くなく、すなわち、この比率上限値を超える圧
縮操作(水素供給操作)は経費の増大をもたらすだけで
ある。
窒素の除去は重油の水素化精製のときの重要な目的の1
つである。燐を含まない触媒は、前記条件下に重油を精
製するときに一般に比較的安定である。しかしながら無
燐触媒は窒素除去活性が低く、触媒中の燐は窒素除去活
性を増大させる成分の1つである。また、Co含有触媒
はNi含有触媒よりも窒素除去活性が低い。累積床の形
の触媒床は窒素の除去、硫黄および金属の除去、および
系の安定性の維持のために有利に使用できるものであ
る。さらに累積床の形の触媒系は、触媒を個別的に使用
する場合に比して、触媒系全体の安定性が一層良好であ
り、活性(窒素除去活性を除く)もまた一層大である。
重質原料油が主としてコークス生成によつて触媒を不活
性化する傾向を有するものである場合には、該原料油を
所定の条件下に処理するときに累積床の形の触媒系が有
利に使用できる。
本発明方法は、原料油中の硫黄を25%以上除去するに
適した条件下に、好ましくは該硫黄を30−80%、一
層好ましくは45−75%除去するに適した条件下に実
施すべきである。原料油中にNiおよびVの如き金属が含
まれていてこの金属の除去が本方法の主な目的である場
合には、この方法は脱硫度を比較的低くして実施でき
る。原料油中に金属が少ししか存在せず、金属の除去が
本方法の主な目的ではない場合には、本方法は高脱硫条
件下に実施できる。
実施例 本発明を一層具体的に例示するために、次に実施例を示
す。なお添附図面は、実施例中に記載の実験結果を示す
グラフである。
例 1 ニツケル、モリブデンおよび燐をγ−アルミナ担体上に
含有してなる触媒Aを、市販のアルミナ粉末を用いて製
造した。この担体に押出操作を行つて、トリロバルの形
の断面を有するペレツト(1.6mm)を作つた。このペ
レツトを乾燥し、焼成し、其後に含浸操作を次の如く行
つた。
すなわち、乾式孔隙容積法(dry pore volume method)に
よつて、アルミナ担体中の孔隙の容積を充分みたす程度
の量の含浸用溶液を担体に添加することによつて、所定
の触媒活性金属を担体中に含浸させた。アルミナの他
に、数パーセントの他種成分(たとえばシリカおよびマ
グネシア)を含有する担体もまた使用できる。担体中へ
の含浸操作のために、硝酸ニツケル、炭酸ニツケル、燐
酸、過酸化水素およびモリブデン酸アンモニウムの適当
な水溶液を使用した。乾燥・焼成後の触媒Aの金属含有
量および諸性質を第II表に示す。
コバルトおよびモリブデンをアルミナ担体(触媒Aの製
造のときに使用されたアルミナ担体と同様なもの)上に
含有してなる触媒Bを製造した。この担体に押出成形操
作を行つて、トリロバルの断面を有するペレツトを作つ
た。このペレツトを乾燥し、次いで乾式孔隙容量法によ
つて所定の触媒活性金属を含浸させた。この担体中への
含浸のために、炭酸コバルト、ジモリブデン酸アンモニ
ウムおよびアンモニアの適当な水溶液を使用した。乾燥
・焼成後の触媒Bの金属含有量および諸性質もまた第II
表に示す。
Ni−Mo−P/アルミナ触媒、Co−Mo/アルミナ触媒
および累積触媒(Ni−Mo−P/アルミナ触媒をCo−Mo
/アルミナ触媒の上に累積してなる触媒床)をそれぞれ
主触媒として使用して、3種の商業的水素化精製操作を
行つた。第1図のグラフは、生成物中の硫黄の量を0.
3重量%に保つのに必要な反応器入口温度(RIT:℃)
(縦軸)を、時間(日数)(横軸)の関数として示した
ものであつて、これは、一般的な触媒活性の評価のため
の便利なデーターとして利用できると考えられる。Ni
−Mo−P触媒のデーターは丸印(○)で示され(上方の
線)、Co−Mo−触媒のデーターは三角形(△)で示され
(真中の線)、累積触媒床のデーターは四角形(◇)で
示されている(下方の線)。累積触媒床からなる触媒系
は脱硫および脱窒両者において良好な活性を示し、安定
性も良く、すなわち顕著な効果が認められた。
この実験に使用された原料油の性質およびユニツトの平
均操作条件を第III表に示す。使用された原料油は、5
38℃を超える終留点を有し、かつヘプタンアスフアル
テンを2重量%未満含有する重質真空ガス油であつた。
このユニツトが商業用ユニツトであることを考慮に入れ
て考えると明らかなように、この操作実施中のユニツト
への原料油の供給およびユニツトの操作条件は予想外に
確実に或一定の状態に保つことができたのである。この
累積床触媒系では、Ni−Mo−P触媒は主触媒存在量の
約33%を占め、Co−Mo触媒は主触媒存在量の残りの
部分を占めた。油およびガスは一段階で、最初にNi−
Mo触媒上を通過させ、次いでCo−Mo触媒上を通過さ
せた。
本例に記載の累積床触媒系の主な効果として、次のこと
があげられる。(a)第1図に示されているように触媒の
安定性が著しく良好である。すなわち、累積床型の系の
場合には、時間経過に伴うRITの上昇の度合が著しく低
い(3.1℃/月;一方、単一触媒系の場合には12.
5℃/月である)。(b)触媒活性が高い。すなわち、生
成物中の硫黄を同量除去するために、当初のRITは従来
の触媒の場合に比較して約8.1℃低くすることができ
る。(c)累積触媒床は単一触媒床の場合に比して活性お
よび安定性がはるかに良好であるから、触媒寿命(見積
値)が約400%長い。
例 2 第2番目の実験として、Ni−Mo−P/アルミナ触媒お
よび累積触媒床(Co−Mo/アルミナ触媒上にNi−Mo
−P/アルミナ触媒を累積してなるもの)をそれぞれ用
いて2種の商業的水素化精製操作を行つた。Ni−Mo−
P/アルミナ触媒は、水素添加、脱窒、脱硫反応におけ
る触媒活性がCo−Mo触媒の場合よりも大であるとみな
して当業者が以前から使用していたものである。ユニツ
トの平均操作条件および原料油の性質の概略を第IV表に
示す。この原料油は、直留真空ガス油(クラツキングを
行わなかつた油の蒸留によつて得られたもの)とコーカ
ー(coker)重質ガス油との混合物であつた。月令の異
なる2つの触媒をそれぞれ用いて2種の実験を行い、触
媒の平均性能を調べたが、その結果を第V表に示す。第
2図は、前記の単純触媒および累積床触媒系をそれぞれ
用いて操作を行つた場合において、生成物中の硫黄の量
をそれぞれ0.75重量%および0.60重量%に保つ
ために必要な反応器入口温度(RIT)(縦軸)を、時間
(日数)(横軸)関数として示したグラフである。
本例において確認された効果、すなわち、単純触媒系に
比較して累積床触媒系が奏する大なる効果として、次の
ことがあげられる。(a)操作温度が低い場合でさえ硫黄
変換率が高い。(b)同種の原料を処理したとき、当初か
ら約60日間にわたつて触媒安定性が一層良好である。
(c)後の約60日間にわたつて、一層重質の原料油が同
程度の安定度で処理できる。(d)操作温度が一層低い場
合でさえ水素付加量が一層大である。
第2図のグラフから明らかなように、最初1−2週間の
間は単純触媒系(○印のデーター)の方が操作開始温度
が一層低いけれども、この温度は、生成物中の硫黄の量
を0.75重量%に保つのに必要な温度であり、一方、
累積床触媒系(△印のデーター)を用いる操作の場合に
は、生成物中の硫黄の量を0.60重量%に保つのに必
要な温度であつた。単純床触媒系を用いる操作におい
て、生成物中の硫黄の量を0.6重量%に保つために
は、前記温度をさらに7.5℃上昇させることが必要で
ある。したがつて単純床触媒系の場合には、最初の活性
が、“約4.4℃”に相当する分だけ低かつたことが理
解され得るであろう。さらに、第2図から明らかなよう
に、この2種の触媒系では、操作の開始時の温度が大体
同じであるけれども(ただし所望脱硫率はそれぞれ異な
る)、2箇月間経過後には、累積床触媒系は“12.5
℃”に相当する効果を示し、すなわち、コーカー物質を
約30容量%含有する同種の原料油の処理のときに、累
積床触媒系の方が安定性は一層良好であつたのである。
60日後に、単純床触媒系を備えた反応器に供給される
原料油のコークス化傾向を低下させた。この低下は、全
範囲コーカー重質ガス油の量を約30容量%から20容
量%に減少させることによつて行つた(第2図中の上方
の線に付けられた矢印に注目されたい)。コークス生成
傾向の一層低い原料油の使用によつて単純床触媒系の安
定性が改善され、累積床触媒系の安定性に近付き始めた
が、生成物中の硫黄の量はなお前記の如く多少高い値に
保たれた。このデーターから明らかなように、累積床触
媒系はコークス生成傾向の大きい原料の水素化精製操作
のために使用でき、この場合でも触媒の寿命は同じであ
り、かつ一層多量の硫黄の変換が可能である(すなわち
脱硫できる)。第V表に記載のデーターから容易に理解
されるように、累積床触媒系を使用したときには、単純
床触媒系を使用したときよりも水素消費量が約6%少な
い。これらの触媒をそれぞれ用いて同一原料油を処理し
たとき、最良の比較データーは1箇月後の時点で得られ
た。水素消費量の増大は、反応器を横切る大なる温度の
上昇に反映している〔第V表中の反応器の温度差(Δ
T)参照〕。水素の付加は、この水素化精製操作の際の
熱放出の主な原因である。
例 3 Ni−Mo−P/アルミナ触媒および累積触媒床(Ni−
Mo−P/アルミナ触媒とCo−Mo触媒とからなるも
の)をそれぞれ用いて2種の商業的水素化精製操作を、
第3番目の実験として行つた。使用された原料油は、3
43−538℃の終留点を有し、かつ直留軽質ガス油、
コーカーナフサ、コーカー軽質ガス油および軽質サイク
ル油を含有するものであつた。ユニツトの平均操作条件
および原料油の性質を第VI表に示す。これらの2種の操
作のデーターから明らかなように、累積触媒床は単純触
媒に比して次の如き効果を奏するものである。
(a) 入口温度を一層低くすることができる。
(b) 生成物中の硫黄の量を一層少なくすることができ
る。
(c) 反応器の入口温度が比較的低い場合でさえ、反応
器のΔTを同じ値にして操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本明細書中の実施例に記載の実験の結果を示
したグラフであり、すなわち、本発明に従つて累積触媒
床を使用した場合に得られる効果を具体的に示すため
に、反応器入口の温度(縦軸)を、時間(日数)(横軸)
関数として画いたグラフである。 第2図もまた、本明細書中の実施例に記載の実験の結果
を示したグラフであり、すなわち、本発明に従つて累積
触媒床を使用したときに得られる効果を具体的に示すた
めに、反応器出口の温度(縦軸)を、時間(日数)(横
軸)の関数として画いたグラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高温高圧下、水素の存在下における炭化水
    素油の接触水素化精製方法において、 (a) 538℃より上の終留点を有しかつヘプタンアス
    フアルテンを2重量%未満含有する炭化水素油、 (b) 343〜538℃の終留点を有する炭化水素油、
    または (c) その混合物 を水素または水素含有ガスと共に下降させて水素化精製
    帯域に入れ水素化精製触媒からなる累積床を通過させ、
    この操作は、存在する硫黄化合物の25%より多くのも
    のを硫化水素に変換させるのに適した条件のもとで行
    い、前記の累積床が上部区域と下部区域とを有し、上部
    区域は、元素週期表第VIB族、第VIII族の金属、金属酸
    化物、金属硫化物のうちから選ばれた成分と、燐の酸化
    物および/または硫化物とを含む水素化精製触媒を15
    〜85容量%(触媒全量基準)含有し、下部区域は、第
    VIB族および第VIII族の金属、金属酸化物、金属硫化物
    のうちから選ばれた成分を含みそして燐含有量が0.5
    重量%未満である水素化精製触媒を15〜85容量%
    (触媒全量基準)含有し、前記の水素化精製帯域で生じ
    た反応生成物を水素富化ガスと、ヘテロ原子含有量の低
    い液状炭化水素油とに分離することを特徴とする炭化水
    素油の接触水素化精製方法。
  2. 【請求項2】上部区域と下部区域とを有する累積床を使
    用し、上部区域がVIII族の成分10重量%以下と、第VI
    B族の成分3〜15重量%と、燐0.1〜10重量%と
    を含有するものであり、下部区域が第VIII族の成分10
    重量%以下と、第VIB族の成分3〜30重量%とを含有
    するものであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】上部区域と下部区域とを有する累積床を使
    用し、上部区域がニツケル成分と、モリブデン−および
    /またはタングステン成分と、燐とをアルミナ担体上に
    含有するものであり、このアルミナ担体は付加的にシリ
    カを含有するものであつてもよく、下部区域がニツケル
    −および/またはコバルト成分と、モリブデン−および
    /またはタングステン成分とをアルミナ担体上に含有す
    るものであり、最後に述べたアルミナ担体は付加的にシ
    リカを含有するものであつてもよいことを特徴とする特
    許請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】上部区域と下部区域とを有する累積床を使
    用し、上部区域はニツケル2〜4重量%と、モリブデン
    8〜15重量%と、燐1〜4重量%とを担体上に含有す
    るものであり、この担体は主としてアルミナからなるも
    のであり、下部区域はコバルトおよび/またはニツケル
    2〜4重量%と、モリブデン8〜15重量%と、燐0.
    5重量%未満とを担体上に含有するものであり。最後に
    述べた担体は主としてアルミナからなるものであること
    を特徴とする特許請求の範囲第3項に記載の方法。
  5. 【請求項5】上部区域と下部区域とを有する累積床を使
    用し、上部区域の触媒は0.65〜0.95g/cm3
    に0.76〜0.88g/cm3の突固めカサ密度と、1
    40m2/gより大、特に150m2/gより大である表面
    積とを有するものであり、下部区域の触媒は0.6〜
    0.8g/cm3特に0.67〜0.69g/cm3の突固め
    カサ密度と、180m2/gより大、特に200m2/gよ
    り大である表面積とを有するものであることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】75バールを越えない水素圧下に実施され
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第5項のい
    ずれか一項に記載の方法。
  7. 【請求項7】コバルト2〜4重量%を含有し、ニツケル
    および燐を実質的に含有しない下部区域を有する累積床
    型触媒を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1
    項〜第6項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】ニツケル2〜4重量%を含有し、コバルト
    および燐を実質的に含有しない下部区域を有する累積床
    型触媒を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1
    項〜第6項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 【請求項9】上部および/または下部区域の中にトリロ
    バル形の触媒を含有する累積床を使用することを特徴と
    する特許請求の範囲第1項〜第8項のいずれか一項に記
    載の方法。
  10. 【請求項10】含浸操作の前に押出操作を行つてトリロ
    バル形に成形した触媒担体を使用することを特徴とする
    特許請求の範囲第9項に記載の方法。
  11. 【請求項11】水素化精製帯域を単式反応器の中に配置
    し、そして、累積床型触媒の上部区域が触媒全量(容量
    単位)の約1/3の量の触媒を含有するものであることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項〜第10項のいずれか
    一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】コークスの生成によつて水素化精製触媒
    を不活性化する傾向を有する炭化水素油の水素化精製操
    作を次の如く行い、すなわち、 (a) 538℃より上の終留点を有し、かつヘプタンア
    スフアルテンを2重量%未満含有する炭化水素油、 (b) 343〜538℃の終留点を有する炭化水素油、
    または (c) その混合物 を水素または水素含有ガスと共に下降させて水素化精製
    帯域に入れ、2種の水素化精製触媒を含有する累積床を
    通過させ、この操作は、存在する硫黄化合物の25%よ
    り多くをH2Sに変換させるのに適した条件下に行い、
    この累積床は上部区域と下部区域とを有し、上部区域は
    高活性の水素化精製触媒を15〜85容量%(触媒全量
    基準)含有し、上部区域の触媒はニツケル2〜4重量
    %、モリブデン8〜15重量%および燐1〜4重量%を
    担体上に含有してなるものであり、この担体は主として
    アルミナからなり、この触媒の突固めカサ密度は0.6
    5〜1.95g/cm3であり、表面積は140m2/gよ
    り大であり、下部区域は高活性の水素化脱硫触媒を15
    〜85容量%(触媒全量基準)含有し、下部区域の触媒
    はコバルトおよび/またはニツケル2〜4重量%、モリ
    ブデン8〜15重量%および燐0.5重量%未満を担体
    上に含有してなるものであり、最後に述べた担体は主と
    してアルミナからなり、この下部区域の触媒の突固めカ
    サ密度は0.6〜0.8g/cm3であり、表面積は18
    0m2/gより大であり、前記の水素化精製帯域で生じた
    反応生成物を水素富化ガスと、硫黄含有量および/また
    は重金属含有量の低い液状炭化水素油とに分離すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項〜第11項のいずれ
    か一項に記載の方法。
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