JPH0633127A - 含クロム溶鉄の脱炭方法 - Google Patents

含クロム溶鉄の脱炭方法

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JPH0633127A
JPH0633127A JP19207392A JP19207392A JPH0633127A JP H0633127 A JPH0633127 A JP H0633127A JP 19207392 A JP19207392 A JP 19207392A JP 19207392 A JP19207392 A JP 19207392A JP H0633127 A JPH0633127 A JP H0633127A
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blowing
chromium
water
scrap
molten iron
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Yukio Takahashi
幸雄 高橋
Hideji Takeuchi
秀次 竹内
Toshikazu Sakuratani
敏和 桜谷
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転炉でのステンレス鋼の溶製における、クロ
ムの酸化損失の抑制と耐火物寿命の延長を実現する、経
済的な含クロム溶鉄の脱炭方法を提案する。 【構成】 上底吹き転炉内にスクラップを装入し、次い
で、クロム鉱石を溶融還元して得た含クロム溶鉄を装入
し、その後、酸化性ガスの上底吹きによる吹錬を行っ
て、ステンレス鋼を溶製するに当たり、スクラップの配
合比率を30%以下に抑えるとともに、吹錬中は、排ガス
中のCO濃度:CO/(CO+CO2 )が50%以上となる条件下
で、上吹きランスから炉内へ水を供給して鋼浴温度を制
御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、転炉でステンレス鋼を
溶製するときに、クロムの酸化損失の抑制に効果があ
り、しかも耐火物寿命の延長に著効のある、含クロム溶
鉄の脱炭方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転炉によるステンレス鋼の溶製において
は、鉄やクロムなどの必須成分の蒸発を回避するため、
鋼浴温度を制御することが通例である。この鋼浴温度の
制御は、鉄鉱石、マンガン鉱石さらにはクロム鉱石等の
鉱石原料、あるいはスクラップ等を吹錬前か吹錬中に炉
内に投入して冷却する方法が最も一般的である。これら
の鉱石原料やスクラップによる鋼浴の冷却制御は、有価
元素の還元回収や鉄歩留り向上の目的をも達成するべく
行われるのであるが、その鋼浴温度を精度良く制御する
に当たっては、以下のような問題点があった。
【0003】すなわち、吹錬前に投入する冷材としては
スクラップが一般的であるが、スクラップの配合比を高
めると、吹錬初期の鋼浴温度の上昇が阻害されるため、
鋼浴中のクロム酸化の増加を招く。そして、このクロム
酸化により、発熱量が増加するため、所望の冷却効果を
得ることが難しくなる。
【0004】次に、吹錬中のスクラップ等の冷材の投入
は、一般的に投入系の都合上、少量投入が困難であるこ
とから、鋼浴温度の微調整には適していない。また、鋼
浴の冷却はスクラップの溶解熱や鉱石の還元吸熱で行わ
れるのであるが、スクラップや鉱石は単位量当たりの冷
却能が大きいため、局所的な鋼浴の過冷却をまねき、ク
ロム等の易酸化元素の損失が増加する不利がある。さら
に、還元率が操業条件、鋼浴温度または成分に左右され
るため、安定して鋼浴の冷却制御を行うことは難しい。
【0005】さらに、鋼浴冷却剤として、CaO やCaCO3
等の造滓剤の使用も試みられているが、これら冷却剤の
投入によりスラグボリュームが増大し、脱炭反応に悪影
響を及ぼす等の問題があり、生産性のみならず、造滓剤
の原単位増加により経済性も阻害する。
【0006】一方、鋼浴温度を精度良く制御する方法と
して、水や水蒸気を使用することが、特開昭52−95502
号公報に開示されている。この方法は、霧状の水を不活
性ガス若しくは酸化性ガスで搬送して溶融金属浴に吹き
込みまたは吹き付けて、鋼浴温度を制御するものであ
る。
【0007】この方法によれば、スクラップ等の固形冷
却材の使用と比較して、吹き込む水の流量調節が容易で
あるため、鋼浴温度の制御が精度良く行える利点を有す
る。さらに、該公報には、水の分解による冷却効率向上
および金属浴の攪拌力向上の面から、水を浴面上から吹
き付ける方法と比較して有利であること、そして羽口に
水をミスト状にして導入する手法として、底吹きガス配
管内の水を圧入する(水の流量と搬送ガスの流量比を40
00以上にする)ことが、開示されている。
【0008】しかしながら、この方法では、底吹き羽口
にミスト状の水が到達する以前に、配管内で水が凝集
し、配管内に残留する可能性があり、所望の水吹き込み
流量を得られないおそれがある。さらに、配管内へ水を
供給する位置から羽口までの距離が長い場合は、配管へ
水を供給するタイミングと比較して、羽口からミスト状
の水が流出するタイミングが大幅に遅れる可能性もあ
る。従って、鋼浴温度を精度良く制御することは難し
い。
【0009】加えて、溶融金属浴に漬浸された羽口(す
なわち、底吹き羽口)より水を供給するこの方法では、
羽口内に溶融金属を侵入させないようにするために、底
吹きガス流量を所定流量以下には絞ることができない。
従って、浴に漬浸しない状態で水を浴内に供給する上吹
きランスによる方法とは異なり、この底吹き方法では、
水を高圧でガス配管内に圧入することが要求されるた
め、設備系を高圧にする必要が生じ、その結果として設
備費の高騰を招く。
【0010】上述した、主として水の供給上の問題点を
解決する従来技術として、上吹きランスからの水を炉内
へ導入する方法が、特開昭58−193309号公報、同62−14
6209号公報および同63−103018号公報などにおいて提案
されている。これらの技術は、上吹きされる酸化性ガス
と溶融金属浴との衝突面に形成される高温の火点に、水
等の冷却剤を供給し、この火点温度を低下させることに
より、蒸発によるダスト発生を抑制しようとするもので
ある。
【0011】すなわち、上吹きランス内あるいは上吹き
ランスの酸素吹き込みノズル出口近傍で、水あるいは水
蒸気と、酸化性ガスまたは酸化性ガスおよび不活性ガス
の混合ガスとを混合させ、これを炉内に導入することに
よって、上記の問題点を有利に解決するものである。ま
た、上吹きランスは溶鉄に漬浸しない位置に配置できる
ため、溶鉄の漏洩のおそれがなく、加えて上吹きガスと
水あるいは水蒸気と酸化性ガスとの混合により冷却凝集
されても、配管内に水が残存するおそれがなく、供給し
た水あるいは水蒸気は全て炉内に供給可能となる。さら
に、底吹きガス配管と比較して、上吹きランス内あるい
は上吹きランスの酸素吹き込みノズル出口近傍で上吹き
ガス圧力を低くでき、高圧で水を配管内に導入する必要
がないため、吹き込み設備を高圧にする必要はなく、設
備費は低額で済む。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、吹錬中の鋼浴
温度の冷却制御を精度良く、しかも経済的に行うには、
上吹きランスから炉内に水を供給する方法が有効である
が、この方法は、普通鋼を対象とする精錬においてのみ
有効で、クロム等の易酸化元素を多量に含む、含クロム
溶鉄の脱炭精錬には適用することができない。
【0013】すなわち、吹錬中に水等の冷却剤を炉内に
添加する場合、鋼浴の冷却または火点の低下により、易
酸化元素であるクロムが酸化される。この結果、水の分
解吸熱量に比較して、クロムの酸化発熱量が十分大きい
ために、逆に鋼浴温度の上昇をまねき、鋼浴温度を制御
しつつ脱炭精錬を行うことが困難になる。この現象は、
普通鋼の精錬では起こり得ないものであり、含クロム溶
鉄の脱炭精錬に特有のものである。
【0014】そこで、本発明は、鋼浴温度制御を精度良
く、かつ経済的に行うことができ、しかもクロムや鉄の
酸化を抑制し得る含クロム溶鉄の脱炭方法について、提
案することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、吹錬前の
スクラップ等の冷材の投入および吹錬中の水等の冷却剤
の添加に関して、種々の検討を行ったところ、以下の知
見を得るに到った。すなわち、クロム鉱石を溶融還元し
て得た含クロム溶鉄を用いる場合は、溶鉄中のC濃度が
5%以上と高く、しかも溶鉄温度が1450℃と高いため、
通常のステンレス鋼の脱炭精錬よりもスクラップ混合比
を高くしても、クロム酸化が増加することはない。仮
に、クロム酸化が生じた場合でも、高炭素濃度域での吹
錬時間が長いため、鋼中Cの脱Cによって鋼浴温度が上
昇し、スラグ中に移行した酸化クロムを溶鉄中Cで還元
できる。従って、吹錬前に投入したスクラップは、冷材
として作用し、所望の冷却効果を与えることができる。
【0016】具体的には、スクラップの配合比が30%以
下の条件下では、上記の作用を享受可能であることが、
新たに判明した。すなわち、スクラップの配合比が30%
をこえると、スクラップの投入により酸化したクロムを
浴鉄中のCで還元する以前にC濃度が低下してしまい、
十分還元することが困難になることが明らかとなった。
【0017】一方、吹錬中の上吹きランスからの水の添
加に関しては、単に水または水蒸気の冷却剤を添加する
と、鋼浴の冷却を促進する働きのほか、水や水蒸気の分
解により生成する酸素が酸化性ガスとなって、送酸速度
を加速する働きもある。後者の働きは、鉄やクロムの酸
化を助長し、さらに、鉄とクロムの酸化発熱により、見
掛け上水や水蒸気の添加による冷却効果を低下する。
【0018】従って、水または水蒸気の冷却剤の使用に
際しては、溶鉄中炭素濃度および鋼浴温度に応じて、上
底吹きの酸化性ガスと不活性ガスとの混合ガスとの流量
を調節する、という従来のステンレス鋼の脱炭工程に加
えて、水や水蒸気の供給を排ガス中のCO濃度が50%以上
の条件下、すなわち, 脱炭反応が比較的促進している条
件下で行うことが重要であることを見出した。
【0019】なお、吹錬中のスクラップ冷材の投入は、
鋼浴温度の微調整に適していないことは、上述のとおり
である。
【0020】本発明は、上記の知見に由来するものであ
る。すなわち、本発明は、上底吹き転炉内にスクラップ
を装入し、次いで、クロム鉱石を溶融還元して得た含ク
ロム溶鉄を装入し、その後、酸化性ガスの上底吹きによ
る吹錬を行ってステンレス鋼を溶製するに当たり、スク
ラップの配合比率を30%以下に抑えるとともに、吹錬中
は、排ガス中のCO濃度:CO/(CO+CO2 )が50%以上と
なる条件下で、上吹きランスから炉内へ水を供給して鋼
浴温度を制御することを特徴とする、含クロム溶鉄の脱
炭方法である。また、本発明方法については、吹錬中
は、成分調整用の合金鉄や鉱石原料、さらには造滓剤を
除き、スクラップ等の固体冷却材を添加しないことが、
実施に当たって有利である。それ故に、本発明は、主と
してスクラップを用いる固体冷却材の装入は、吹錬中を
除くその前段階のみとする脱炭方法を提案する。
【0021】
【作用】含クロム溶鉄の脱炭精錬に、上底吹き機能を有
する精錬用の転炉を使用するのは、炉の上方および底部
の両方から大量の酸素を供給して高速脱炭を可能とする
ことのみならず、その強力な底吹き攪拌によりクロムの
酸化損失を抑制し、効率的に脱炭を行うことができるた
め、有効である。
【0022】また、主原料としてクロム鉱石を溶融還元
して得た含クロム溶鉄と、吹錬前に投入するスクラップ
とを組み合わせて使用するのは、原料選択の柔軟度を高
め、かつ主原料の総コストを低減できるため、有効であ
る。
【0023】本発明の骨子となる技術は、吹錬前におけ
るスクラップの投入と、吹錬中における上吹きランスか
ら炉内への水の添加との組み合わせにより、クロム鉱石
を溶融還元して得た含クロム溶鉄の持つ高い熱エネルギ
ーを、クロムの酸化損失の大幅な増加を防止しつつ、減
少させるところにある。すなわち、かかる熱エネルギー
の減少を、吹錬初期では吹錬前に投入したスクラップの
溶解熱により、次に脱炭反応が進行する吹錬中期以降で
は、上吹きランスから供給される水の分解吸熱により、
それぞれ達成し、同時に鋼浴温度を精度良く冷却制御す
る。これにより、鋼浴温度の過度の上昇を抑制し、精錬
炉耐火物寿命の向上を実現する。
【0024】ここに、吹錬前のスクラップの配合に関
し、図1に示す5t規模の上底吹き転炉を用いて、溶鉄
中C濃度が2.5 wt%になるまで脱炭した場合のクロム酸
化損失に及ぼすスクラップの配合比の影響について調査
した結果を、図2に示す。なお、図1において、符号1
は転炉の炉体、2は底吹き羽口、3は含クロム溶鉄、4
は上吹きランス、5はフラックス、6はフラックス5を
溜めるタンク、7はO2 ,N2 およびArを炉内に導く内
管、そして8はN2 ,Arおよびプロパンガスを炉内に導
く外管である。
【0025】図2から、クロムの酸化損失は、スクラッ
プ配合比の増加に従って増加するものの、スクラップ配
合比が30%以下の条件ではスクラップを全く配合しなか
った場合と同等のクロム酸化損失で済むことがわかる。
【0026】次に、吹錬中の上吹きランスからの水の供
給時期について調査した結果を、図3に示す。この調査
は、図1に示した5t規模の上底吹き転炉に、上吹きラ
ンスとして図4に示すものを適用して行ったものであ
る。なお、図4において、9は冷却水の通路、および10
はランス底部の円周等分3か所に設けた酸素吹込みノズ
ル、11は該ノズル10の出側に配置した水吹込みノズルで
ある。図3より、上吹きランスからの水の供給を、排ガ
ス中のCO濃度が50%以上の条件下で行うことによって、
クロム酸化損失を低減できることがわかる。
【0027】以上のことから明らかなように、クロム酸
化損失を抑制する観点から、吹錬前のスクラップの配合
比を30%以下とし、また吹錬中の上吹きランスからの水
の供給は、排ガス中のCO濃度が50%以上の時期に行うこ
とが重要である。
【0028】
【実施例】炉容5tの上底吹き転炉にて、脱りん溶銑に
クロム鉱石およびコークス等を投入して溶融還元し、含
クロム粗溶鉄 4.5tを溶製し、この溶鉄をスラグと分離
して出銑した。ここでの含クロム粗溶鉄の温度および成
分組成は、表1に示すとおりであった。次いで、出銑後
の含クロム粗溶鉄 4.5tと17wt%Crを含むスクラップ
0.5tとを、図1に示した、容積5tの上底吹き転炉に
装入した。
【0029】
【表1】
【0030】次に、上底吹き転炉においては、その4本
の底吹き2重管羽口2の内管(内径:10mmφ)7から、
酸素あるいは酸素とアルゴンガスとの混合気体を供給
し、内管7と外管8との隙間からは、プロパンガスある
いはアルゴンガスとの混合気体を羽口冷却用に吹込ん
だ。また、上吹きランス4は、酸素吹込みノズル10のス
ロート径が9.5 mmφのものを使用し、該ノズル10からは
酸素あるいは酸素とアルゴンガスとの混合気体ととも
に、水を吹付けた。
【0031】この水の吹付けは、図4に示すところに従
って、各酸素吹込みノズル10出側に、水吹込みノズル11
を開口し、酸素吹込みノズル10出側で上吹きガスと水と
を混合して霧状にする手法を用いた。なお、酸素吹込み
ノズル10と水吹込みノズル11との相対角度θは15°と
し、水吹込みノズル11の内径は1.5 mmφとした。
【0032】ここで、上吹きガスおよび水の吹込み条件
は、排ガス中のCO濃度CO/(CO+CO2)が50%以上となった
時点で、水の分解反応生成物であるH2 の発生および水
中の酸素を考慮して、酸素と希釈ガスとの比が、酸化精
錬工程の第0(ゼロ)期では1/0、第1期では4/
1、第2期では2/1、第3期では1/2になるよう
に、上吹きランスから供給する酸素およびアルゴンガス
の流量を調節した。ただし、第0期では、排ガス中のCO
濃度が50%未満であったため、水の添加は行わなかっ
た。その他の工程では、排ガス中のCO濃度が50%以上と
なった時点で、水の吹込みを終了した。この酸化精錬お
よび還元精錬における操業条件を、表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】また、酸化精錬工程の第2および3期で
は、サブランスによる温度測定を適時行い、鋼浴温度を
1680±2℃に制御するために、表2の操業条件を基本
に、上吹き水流量を±10%の範囲で調節し、これに対応
して上吹き酸素とアルゴンガス流量を変更した。すなわ
ち、各々の工程において、水の分解生成物である酸素お
よび水素ガスもそれぞれ酸素およびアルゴンガスの代替
として考慮し、上吹き酸素とアルゴンガス流量は、これ
らガスの生成量分を減少し、上底吹き合計の送酸速度お
よび酸素ガスと希釈ガスとの比が、一定となるようにし
た。
【0035】さらに、操業中の副原料の添加は、酸化精
錬初期に生石灰を底吹き羽口から還元精錬終了時のスラ
グ塩基度が1.9 になるように行った。また、還元精錬初
期には、炉上から15 kg/t のFeSi合金を投入した。
【0036】以上の条件で行った操業は、酸化精錬に36
分間および還元精錬に5分間、合計41分間を要した。そ
して、酸化精錬中、特に第2および3期では、鋼浴温度
を1680±2℃の範囲に精度良く制御できた。また、スラ
グ中に移行した酸化クロムのメタル中への回収も行うこ
とができた。ここに、操業の各段階でのメタル成分組成
を、表3に示す。さらに、吹錬終了後の炉耐火物の溶損
量を調べたところ、炉底および炉腹における平均値で、
3mmであった。
【0037】
【表3】
【0038】(比較例1)上記実施例と同様の設備およ
び操業方法に従うが、上吹きランスからの水の添加を排
ガス中のCO濃度とは無関係とした、表4に示す条件で吹
錬を行った。なお、吹錬前の17%Crスクラップおよび含
クロム溶鉄の装入量は、実施例と同様である。その操業
結果を、表5に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】表3と表5との比較から明らかなように、
比較例によっても、本発明に従って得られたステンレス
鋼と同等の成分組成のステンレス鋼が得られるが、還元
精錬時のFeSi合金の原単位は、本発明の実施例で15 kg/
t であったのに対し、18 kg/t と3kg/tも余分に投入し
た。このFeSi合金の原単位の増加は、排ガス中のCO濃度
が50%未満になる場合でも、水を吹込んで冷却したこと
によるところが大きい。また、精錬時間は、酸化精錬に
38分間および還元精錬に5分間、合計43分間を要し、本
発明の実施例と比較して2分間の延長となった。さら
に、炉耐火物の溶損量は5mmと、本発明の実施例に対し
て2mmの増加を招いた。
【0042】上記の実施例および比較例とも、スクラッ
プ配合比を20%として操業を行ったが、比較例において
は水の吹込みを排ガス中のCO濃度と無関係に行ったた
め、前装入スクラップによる吹錬初期の温度上昇の阻害
に加え、水の吹込みによる冷却を行ったため、吹練初期
のクロム酸化が過度に増加した。そのため、酸化したク
ロムの還元が間に合わず、結果としてクロムの酸化損失
の増大、還元期におけるFeSi合金の原単位の増加、さら
には耐火物溶損量の増加をまねき、経済的な操業を行う
ことが困難になった。
【0043】これに対して本発明に従う実施例では、酸
化性ガスと溶鉄との衝突によって形成される火点中に、
排ガス中のCO濃度が50%以上となった時点で、水を供給
することにて、溶鉄の過冷却を防止し、クロムの酸化損
失の増加を招くことなしに、溶鉄を効果的に冷却するこ
とができ、所望の操業温度での吹錬が実現できた。この
結果、FeSi合金の原単位および耐火物溶損量の低減が可
能となった。
【0044】(比較例2)上記実施例と同様の設備およ
び操業方法に従うが、吹錬中には上吹きランスからの水
の添加を行わずにスクラップを投入しつつ、表6に示す
条件で吹錬を行った。なお、吹錬前の17%Crスクラップ
および含クロム溶鉄の装入量は、実施例と同様である。
その操業結果を、表7に示す。
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】表3と表7との比較から明らかなように、
比較例においては、酸化精錬工程における溶鉄温度の温
度上昇分を、スクラップ200kg とフェロクロム合金75kg
の添加により解消したため、吹き止め時点でのCr濃度の
低下を招いた。その結果として、還元精錬工程でのFeSi
原単位は、本発明の15kg/tに対し20kg/tと、5kg/t余分
に投入する必要が生じた。また、精錬時間は、酸化工程
において40分、還元精錬工程において5分、合計45分を
要した。この結果、本発明に対し4分の吹錬時間の延長
となった。しかも、酸化精錬工程における溶鉄温度の調
整は困難であり、吹き止め時点で1710℃に達した。以上
の吹錬時間の延長と溶鉄温度の上昇により耐火物の溶損
量は8mmと、本発明に対し5mmの増加を招いた。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、吹
錬前のスクラップの装入と吹錬中の上吹きランスからの
水の添加により、クロムの酸化抑制および鋼浴温度の制
御を同時に達成し、経済的な含クロム溶鉄の脱炭精錬を
実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる転炉設備の模式図である。
【図2】スクラップ配合比とクロム酸化損失との関係を
示すグラフである。
【図3】排ガス中のCO濃度とクロム酸化損失との関係を
示すグラフである。
【図4】上吹きランスの模式図である。
【符号の説明】
1 炉体 2 底吹き羽口 3 含クロム溶鉄 4 上吹きランス 5 フラックス 6 タンク 7 内管 8 外管 9 通路 10 酸素吹込みノズル 11 水吹込みノズル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上底吹き転炉内にスクラップを装入し、
    次いで、クロム鉱石を溶融還元して得た含クロム溶鉄を
    装入し、その後、酸化性ガスの上底吹きによる吹錬を行
    ってステンレス鋼を溶製するに当たり、スクラップの配
    合比率を30%以下に抑えるとともに、吹錬中は、排ガス
    中のCO濃度:CO/(CO+CO2 )が50%以上となる条件下
    で、上吹きランスから炉内へ水を供給して鋼浴温度を制
    御することを特徴とする、含クロム溶鉄の脱炭方法。
  2. 【請求項2】 主としてスクラップを用いる固体冷却材
    の装入は、吹錬中を除くその前段階のみとすることを特
    徴とする請求項1に記載の脱炭方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021073015A1 (zh) * 2019-10-16 2021-04-22 北京科技大学 转炉 co2-o2 混合喷吹冶炼方法和火点区温度动态控制方法

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US11788160B2 (en) 2019-10-16 2023-10-17 University Of Science And Technology Beijing Converter CO2—O2 mixed injection smelting method and method of dynamically controlling fire point area temperature

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