JPH063305A - 圧電素子のマイクロクラックの非破壊的検査法 - Google Patents

圧電素子のマイクロクラックの非破壊的検査法

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JPH063305A
JPH063305A JP16486192A JP16486192A JPH063305A JP H063305 A JPH063305 A JP H063305A JP 16486192 A JP16486192 A JP 16486192A JP 16486192 A JP16486192 A JP 16486192A JP H063305 A JPH063305 A JP H063305A
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piezoelectric element
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resonance
phase angle
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JP16486192A
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English (en)
Inventor
Yukio Senda
幸雄 千田
Kuniharu Arai
邦晴 荒井
Hitoshi Aihara
仁志 相原
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Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧電セラミックのマイクロクラックの有無
を、迅速かつ高精度に、自動判定する圧電素子のマイク
ロクラックの非破壊的検査法を提供する。 【構成】 圧電素子のインピーダンスの周波数特性及び
/又は電圧と電流との位相差(位相角)の周波数特性を
測定し、この周波数特性を示す曲線パターンを基準とな
る素子の曲線パターンと比較し、両曲線パターンが異な
る場合、当該圧電素子にマイクロクラックが存在すると
判定する。 【効果】 自動判定が可能であるため、短時間で判定す
ることができ、大量処理化が可能な上に、目視による判
定ではないため、検査精度が著しく高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧電セラミック中のマイ
クロクラックの有無を、当該圧電セラミックを破壊する
ことなく検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電セラミックに限らず、一般的
なセラミックスなどの内部欠陥を、当該セラミックスを
破壊することなく、即ち、非破壊的に検出する方法とし
ては、X線透過によるもの、或いは、超音波を照射する
方法などが一般的である。
【0003】X線を透過させて内部の状態を検出する方
法は、X線が被検査物を透過する度合いが、当該被検体
物質の種類、厚さ及び密度によって変化することを利用
し、透過してきたX線強度の変化を計測することによ
り、内部の欠陥を調べる方法である。
【0004】一方、超音波を用いる方法としては、被検
査物を水中に入れて超音波を照射したときの、被検体物
質の種類によって異なる音響インピーダンスの違いによ
る反射、或いは音速の違いを利用し、被検査物中の材質
の違い、及び位置の違いによる超音波の反射量及び反射
時間を計測することにより、内部の欠陥を調べることが
通常行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の非破壊的検
査方法は、いずれも大型で高価な装置が必要である上
に、処理時間も比較的長く、大量処理するには不適当で
ある。また、得られた測定画像から微少な欠陥を識別す
るには、これを拡大して人間が目視で判断するか、コン
ピュータによる画像解析などを行なう必要があり、いず
れの場合も、自動化を行なって大量に処理するには適当
ではないという欠点もあった。
【0006】特に、圧電セラミック中の欠陥の検出の場
合には、このような欠点は極めて重大な問題となる。即
ち、圧電セラミックは、大量に処理する必要があり、し
かも短時間に、信頼性の高い検査結果を得る必要がある
ことから、上記従来法のように、短時間での大量処理が
困難で、しかも、目視、画像処理などの視覚による欠陥
識別判定のために、見落としや検査実施者間の違いによ
る判定誤差の可能性が大きく、信頼性の高い検査結果が
得られない方法では、圧電セラミックの検査方法として
不適当である。
【0007】本発明は、上記従来の問題点を解決し、圧
電セラミックの内部欠陥、即ちマイクロクラックの有無
を、迅速にかつ高精度に、しかも自動判定にて検査する
ことができる圧電素子のマイクロクラックの非破壊的検
査法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の圧電素子のマ
イクロクラックの非破壊的検査法は、交番的な電圧の印
加に伴って振動する圧電素子の共振周波数ないし反共振
周波数近傍の周波数帯において、一定の幅で段階的に周
波数を変化させた一定電圧を、被検圧電素子とマイクロ
クラックのない基準圧電素子とのそれぞれに印加し、各
圧電素子のインピーダンスの周波数特性及び/又は電圧
と電流との位相差(位相角)の周波数特性を測定し、当
該周波数特性を示す曲線パターンを得、被検圧電素子の
曲線パターンと基準圧電素子の曲線パターンとを比較
し、両曲線パターンが異なる場合に、該被検圧電素子内
部にマイクロクラックが存在すると判定することを特徴
とする。
【0009】請求項2の圧電素子のマイクロクラックの
非破壊的検査法は、交番的な電圧の印加に伴って振動す
る圧電素子の共振周波数ないし反共振周波数近傍の周波
数帯において、一定の幅で段階的に周波数を変化させた
一定電圧を、被検圧電素子に印加し、該圧電素子電圧と
電流との位相差(位相角)の周波数特性を測定し、当該
周波数特性を示す曲線の曲率を示すパターンについて、
あるしきい値(TL)を超えるピークの数を調べ、測定
開始周波数から共振周波数より当該共振周波数の3〜1
0%高い周波数までの周波数帯(以下「第1領域」と称
す。)と、反共振周波数より当該反共振周波数の3〜1
0%低い周波数から測定終了周波数までの周波数帯(以
下「第2領域」と称す。)と、この第1領域と第2領域
との間になる、共振周波数より当該共振周波数の3〜1
0%高い周波数から反共振周波数より当該反共振周波数
の3〜10%低い周波数までの周波数帯(以下「中間領
域」と称す。)とにおいて、第1領域及び第2領域では
前記ピーク数が1又は2個、中間領域においては前記ピ
ーク数が0個であることを基準とし、この基準のピーク
数とは異なるピーク数を示す曲率パターンを持つ被検圧
電素子について、マイクロクラックが存在すると判定す
ることを特徴とする。
【0010】請求項3の圧電素子のマイクロクラックの
非破壊的検査法は、請求項2の方法において、電流と電
圧の位相差(位相角)の各測定値の移動平均によって得
られた数値から、該位相差(位相角)の周波数特性を示
す曲線パターンの曲率を求めることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の圧電素子のマイクロクラックの非破壊
的検査法は、自動判定が可能であるため、短時間で判定
することができ、大量処理化が可能な上に、目視による
判定ではないため、検査精度が著しく高い。
【0012】以下、図面を参照して本発明による検査機
構について詳細に説明する。
【0013】図1は、基準となる、即ち内部にマイクロ
クラックなどのない正常な円板状の圧電素子(正常素
子)のインピーダンスと、電流と電圧の位相差(位相
角)の周波数特性を示す線図である。この共振は、円板
の広がり振動の一次共振である。図1に示すように、イ
ンピーダンスの周波数特性は極小値と極大値をそれぞれ
一つずつ持つ。インピーダンスが極小となる周波数を共
振周波数(共振点)、極大となる周波数を反共振周波数
(反共振点)と呼ぶ。共振点、反共振点は素子の大き
さ、材質が決まれば一義的に決まるが、通常、形状のば
らつき、素子特性のばらつきに応じて変動する。一方、
位相角は共振周波数より低い周波数では、電流が電圧よ
り約90°(即ち、−90°)遅れており、共振周波数
から反共振周波数の間では、逆に約90°(即ち、+9
0°)進み、また、反共振周波数より高い周波数ではま
た約90°遅れの位相に戻る。即ち、位相角の共振点近
傍の周波数特性を示す曲線は、共振点と反共振点との間
に一つの山を持つのみである。
【0014】図2は基準となる圧電素子と同形状、同材
質で内部にマイクロクラックを持つ圧電素子(異常素
子)の、インピーダンスと、電流と電圧の位相差(位相
角)の図1と同様の円板の広がり振動の一次共振点〜反
共振点近傍の周波数帯における周波数特性を示す線図で
ある。図2に示すように、インピーダンスと位相角の周
波数特性は、図1のものに比べて、非常に乱れた形を示
す。即ち、インピーダンスの周波数特性を示す曲線は、
多くの、極小値と極大値を持ち、また、位相角の周波数
特性は多数の山を持っていることを示し、基準となる図
1の各周波数依存性とは明らかに大きく異なり、従っ
て、この違いから異常を判別できる。
【0015】本発明において、このような判定に用いる
共振は、高次の共振を用いても同様な判定は可能である
が、インピーダンスの変化、或いは位相角の変化が小さ
くなること、また不要振動の混入など、正確な判定がで
きない場合があるので、一次の基本共振を用いることが
好ましい。
【0016】また、共振周波数は素子の形状と、使用す
る振動モードによって異なるが、判定に用いる振動は、
形状によって規定される振動が、最も明瞭に、かつ、大
きくなる振動モードを用いることが同様な理由で好まし
い。例えば、円板形状の素子であれば、円板の広がり振
動、棒状形状の素子であれば、棒の縦振動などが用いら
れる。
【0017】また、測定範囲は必要とする共振点と反共
振点が一組のみ、測定範囲内に入っていれば、どの範囲
で測定してもかまわないが、通常、測定効率の面から、
測定開始周波数は、共振周波数より、当該共振周波数の
3〜10%低い周波数とし、測定終了周波数は、反共振
周波数より、当該反共振周波数の3〜10%高い周波数
とするのが好ましい。
【0018】圧電素子のインピーダンス及び位相角の周
波数特性を測定するには、通常、インピーダンスアナラ
イザーが用いられるのが一般的である。この装置を用い
て、一定の周波数を段階的に変化させる幅としては、よ
り細かい幅で変化させることが滑らかな曲線を得る上で
は好ましいが、測定効率、或いは測定装置仕様の制約の
面から、通常0.05〜1kHzの幅で変化させるのが
実用的である。また、印加される電圧の大きさは、通常
1Vが使われる。
【0019】本発明の方法は、その他、アドミッタンス
を用いても同様に実施できる。但し、アドミッタンスの
周波数特性はアドミッタンスがインピーダンスの逆数で
あることから、上記とは逆に、共振点でアドミッタンス
は極大となり、反共振点で極小となることのみ相違する
が、基準となるパターンを同様に比較すれば判別は可能
である。
【0020】次に、本発明を自動判定にて実施する方法
について詳細に説明する。
【0021】インピーダンスアナライザーを用いる場
合、信号をデジタル処理する必要から、測定する周波数
はステップワイズに変化させ、各周波数での圧電素子の
インピーダンス、位相角をそれぞれ測定し、目的の周波
数まで順次増加させる。即ち、測定を開始する周波数を
0 とし、周波数の増加分をΔxとすれば、i番目の周
波数x(i)は x(i)=x0 +(i−1)・Δx で表せられる。また、各x(i)における位相角の測定
値をy(i)とすれば、測定値として(x(i),y
(i))なる組み合わせのデータが、測定周波数帯と周
波数の増加分に対応した数だけ得られる。このようにし
て得られたy(i)のデータは観測ノイズを含むので、
この観測ノイズの影響を除去するために次に示すような
移動平均処理を行なう。各y(i)に対して得られる移
動平均値をy’(i)とすれば、y’(i)は y’(i)={y(i)+y(i+1)+…+y(i+L−1)}/L なる式によって計算できる。この時、移動平均に用い
る、データの数Lの値は、人間による判定と自動判定が
良く一致するように、状況に応じ適宜決められるが、本
実施例では通常は3〜7個、好ましくは5〜7個が用い
られる。このデータの数が3個より少ないと観測ノイズ
の影響を除去できず、正常素子が異常素子と判定される
量が増え、歩留りの低下を来たす。但し、この場合は安
全サイドで、異常素子の除去の面については問題ない。
また、データの数が5個より多ければ、正答率はほぼ1
00%となる。一方、データの数が7個より多いと逆に
異常品が正常品と判定される場合が起き、好ましくな
い。
【0022】次にこの移動平均値によって得られた曲線
に対し、各部分の曲率を計算する。連続する3点、即ち
i=j−1,j,j+1(j≧2)において{x(j−
1),y’(j−1)},{x(j),y’(j)},
{x(j+1),y’(j+1)}の3点に対し二次曲
線を当てはめる。即ち (X−a)2 +(Y−b)2 =r2 で表される円の半径rの逆数1/rがこの3点によって
作られる曲線の曲率である。この式から曲率ρ(j)を
求めると以下のようになる。
【0023】 a={(x1 2−x2 2)(y1 −y2 )−(x1 2−x3 2)(y1 −y2 )} /2{(x1 −x2 )(y1 −y3 )−(x1 −x3 )(y1 −y3 )} b={(x1 2−x2 2)−2a(x1 −x2 )}/2(y1 −y2 ) ρ(j)=1/r=1/√{(x2 −a)2 +(y2 −b)2 } ただし、x1 =x(j−1),x2 =x(j),x3
x(j+1) y1 =y’(j−1),y2 =y’(j),y3 =y’
(j+1)である。
【0024】次に(x(j),ρ(j))によって得ら
れた曲線の曲率を表す曲線パターンのピークの数を求め
る。この時、測定周波数帯を次の複数の領域に分割しそ
れぞれの領域における曲率を示すパータンのピークの数
を求める。
【0025】複数の領域は、基本的には、測定開始周波
数から共振周波数前後の位相角が遅れ位相から進み位相
に変化し、進み位相で安定するまでの第1の領域と、反
共振周波数前後の位相角が進み位相から再び遅れ位相に
戻り、元の遅れ位相で安定してから測定終了周波数まで
の第2の領域と、これら第1及び第2の領域の間の周波
数帯の中間領域とである。具体的には、測定開始周波数
から共振周波数よりも当該共振周波数の3〜10%高い
周波数帯までの周波数帯(第1領域)、反共振周波数よ
りも当該反共振周波数の3〜10%低い周波数から測定
終了周波数までの周波数帯(第2領域)、及びこの2つ
の間に相当する、共振周波数よりも当該共振周波数の3
〜10%高い周波数から反共振周波数よりも当該反共振
周波数よりも3〜10%低い周波数までの周波数帯(中
間領域)の3つの領域に大別される。
【0026】上記中間領域は更に細かく分割させても良
い。この分割数が多ければ判定精度の向上が期待される
だけでなく、例えば、異常がどの周波数帯で多く発生し
ているかなどの情報を得ることもできる。
【0027】ただし、必須なのは上記第1領域と第2領
域であり、中間領域を設けなくても良い。例えば、中間
領域を無くし、全体を第1と第2の2つに分割しても良
い。中間領域を更に細かく分割するか、或いは、中間領
域を省略するかは、測定後のデータ処理上の必要性から
適宜決定される。
【0028】ピークの数は、あるしきい値(TL)を超
えたピークのみを数えて求める。しきい値(TL)を超
えたピークの数は、基準となる、即ち、マイクロクラッ
クなどが無い正常な素子の場合、第1及び第2の領域で
は1又は2個のピークを持ち、中間領域ではピークは持
たない。これ以外のピークの数を持つ場合は、クラック
などが有るという異常素子として判定される。
【0029】ここで、あるしきい値とは、移動平均に用
いるデータの数Lと同様に、人間による判定と自動判定
が良く一致するように、状況に応じて適宜決められる
が、本発明では、得られた全ρ(j)の値の平均値、即
【0030】
【数1】
【0031】で計算される値の50〜100%、好まし
くは70〜100%をTLとするのが好適である。この
全ρ(i)の平均値の50%より小さい値をTLとした
場合、観測データのノイズの影響を拾い易く判定精度の
低下を来たす。しかしこの場合は、正常素子を異常素子
と判定するだけであるので、安全サイドで異常素子の除
去には問題がない。全ρ(i)の平均値の70%より大
きい値をTLとすれば正答率はほぼ100%となる。一
方、TLが全ρ(i)の平均値の100%より大きい
と、逆に異常品が正常品と判定され、好ましくない。
【0032】
【実施例】次に具体的な実施例を挙げて、本発明をより
詳細に説明する。
【0033】実施例1 直径17mm、厚さ0.5mmでPb,Zr,Tiの酸
化物を主成分とする圧電素子を用い、マイクロクラック
の検出を行なった。電極は電極部分が直径15mmとな
るように、銀ペーストを印刷、乾燥後、600℃で焼き
付け、70℃で1000Vを印加して分極し、圧電体と
した。また、素子の周波数依存性はインピーダンスアナ
ライザー(YHP4192A)を用いて測定した。測定
周波数は109kHzから146kHzで、0.3kH
zステップで測定した。得られた素子のインピーダンス
と位相角の周波数特性を、図1に示す。測定された共振
及び反共振周波数は各素子によって若干異なるが、それ
ぞれ111〜115kHz(最頻値113kHz)、1
39〜143kHz(最頻値141kHz)であり、ま
た、この周波数の範囲外に共振点、反共振点を持つ素子
は除外した。図1は基準となる、マイクロクラックなど
が無い正常な素子の測定例であり、図2はマイクロクラ
ックなどがあると考えられる異常素子の測定例である。
図3に、故意にクラックを入れた素子の測定例を示す。
図2と図3は同様な周波数特性のパターンを示し、図2
の異常素子中にクラックが入っていることを示してい
る。
【0034】表1にこの様にして、マイクロクラックが
あると判定された異常素子と、正常と判定された素子の
曲げ強さを測定した結果を示す。曲げ強さは、インピー
ダンス、位相角の周波数特性を測定した後の素子を、3
点曲げ強度試験機に置き、素子の中央部を折り曲げ、そ
の時の荷重の値を曲げ強さとして求めた。表1からも明
らかなように、マイクロクラック有りと判定された異常
素子は、正常と判定された素子の約半分の強度しか持た
ず、本検査法の妥当性を示している。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 実施例1で行なった判定を自動で行なうために、前述し
たアルゴリズムに基き、プログラムを作成し、インピー
ダンス及び位相角の測定と自動判定を行なった。測定装
置としては、インピーダンス/ゲインフェイズアナライ
ザー(YHP4194A)を用い、測定条件としては実
施例1に用いた同じ形状、材質の素子を用い、110〜
150kHz、0.03kHzステップで周波数を変化
させた。
【0037】移動平均に用いたデータ数はL=5個、し
きい値(TL)は曲率の全平均値(即ち全(ρ)iの平
均値の100%)とし、また全測定領域を次のように4
つに分割した。
【0038】 第1領域 :110〜120kHz 第1中間領域:120〜130kHz 第2中間領域:130〜140kHz 第2領域 :140〜150kHz 共振周波数、反共振周波数(最頻値)はそれぞれ11
4,144kHzであった。図4に測定したインピーダ
ンス及び位相角の周波数特性を示す原パターンを、図5
には図4に示した位相角の周波数特性から計算された曲
率の周波数特性を示すパターンをそれぞれ示す。図4に
示す例は、図中矢印Aの部分がわずかにへこんでいる。
このへこみは、人間の目でやっと判定できる程度の非常
に小さい変化であるが、本発明に係る自動判定法で行な
うと、図5中の矢印Bに示すように明瞭なピークとなり
容易に検知される。
【0039】正常と判定する基準は、前述の如く、TL
を超えたピークの数が、第1、第1中間、第2中間、第
2領域の各領域に、それぞれ、1又は2個、0個、0
個、1又は2個である。
【0040】次に、実施例1で判定を実施した素子、即
ち人間が周波数特性のパターンを基準となる正常な素子
のパターンと見比べて判定して、正常と判定した素子1
00枚と、異常と判定した素子100枚の自動判定を実
施した結果を表2,3に示す。
【0041】なお、表2,3中、※は判定が一致したも
のである。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】表2,3から明らかなように、正答率は正
常素子では99%であり、異常素子では100%である
ことが判り、本自動判定の妥当性が示されている。
【0045】但し、正答率とは、人間が正常/異常と判
定した素子各100枚を本方法で自動判定し、人間の判
定を正しいとした場合、人間の判定と自動判定とが一致
したときを正答とした。
【0046】実施例3〜5 実施例2で使用した、各100枚の正常、異常素子を用
い、自動判定を行なう際に用いたパラメータのうち、移
動平均に用いたデータの数をL=2(実施例3)、4
(実施例4)、8(実施例5)とし、しきい値TLを曲
率の全平均値の100%にして、他のパラメータは実施
例2と同じにして自動判定を行なった結果を表4に示
す。
【0047】実施例6〜8 実施例2で使用した、各100枚の正常、異常素子を用
い、自動判定を行なう際に用いたパラメータのうち、移
動平均に用いたデータの数をL=5とし、しきい値TL
を曲率の全平均値の110(実施例6)、70(実施例
7)、50(実施例8)%にして、他のパラメータは実
施例2と同じにして自動判定を行なった結果を表4に示
す。
【0048】なお、表4には、実施例2の結果をあわせ
て記す。
【0049】
【表4】
【0050】表4より、Lは3〜7、特に5〜7が、T
Lは曲率の全平均値の50〜100%、特に70〜10
0%が好ましいことが明らかである。
【0051】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の圧電素子の
マイクロクラックの非破壊的検査法によれば、圧電素子
のマイクロクラックの有無を、短時間で容易かつ効率的
に、しかも高精度に自動判定することができ、容易に大
量処理することが可能とされる。
【0052】特に、請求項2、とりわけ請求項3の方法
によれば、自動判定を容易に実施して、精度の良い結果
を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基準となる正常素子のインピーダンス及び位相
角の周波数依存性を示す線図である。
【図2】マイクロクラックがあると判定された異常素子
のインピーダンス及び位相角の周波数依存性を示す線図
である。
【図3】正常な素子に故意にクラックを入れた素子のイ
ンピーダンス及び位相角の周波数依存性を示す線図であ
る。
【図4】自動判定に使用したインピーダンスと位相角の
周波数依存性を示す原パターン線図である。
【図5】原パターンを用いて計算された、位相角曲線の
曲率を示すパターン線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 相原 仁志 神奈川県小田原市成田1060番地 化成オプ トニクス株式会社小田原工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交番的な電圧の印加に伴って振動する圧
    電素子の共振周波数ないし反共振周波数近傍の周波数帯
    において、一定の幅で段階的に周波数を変化させた一定
    電圧を、被検圧電素子とマイクロクラックのない基準圧
    電素子とのそれぞれに印加し、各圧電素子のインピーダ
    ンスの周波数特性及び/又は電圧と電流との位相差(位
    相角)の周波数特性を測定し、当該周波数特性を示す曲
    線パターンを得、被検圧電素子の曲線パターンと基準圧
    電素子の曲線パターンとを比較し、両曲線パターンが異
    なる場合に、該被検圧電素子内部にマイクロクラックが
    存在すると判定することを特徴とする圧電素子のマイク
    ロクラックの非破壊的検査法。
  2. 【請求項2】 交番的な電圧の印加に伴って振動する圧
    電素子の共振周波数ないし反共振周波数近傍の周波数帯
    において、一定の幅で段階的に周波数を変化させた一定
    電圧を、被検圧電素子に印加し、該圧電素子電圧と電流
    との位相差(位相角)の周波数特性を測定し、当該周波
    数特性を示す曲線の曲率を示すパターンについて、ある
    しきい値(TL)を超えるピークの数を調べ、測定開始
    周波数から共振周波数より当該共振周波数の3〜10%
    高い周波数までの周波数帯(以下「第1領域」と称
    す。)と、反共振周波数より当該反共振周波数の3〜1
    0%低い周波数から測定終了周波数までの周波数帯(以
    下「第2領域」と称す。)と、この第1領域と第2領域
    との間になる、共振周波数より当該共振周波数の3〜1
    0%高い周波数から反共振周波数より当該反共振周波数
    の3〜10%低い周波数までの周波数帯(以下「中間領
    域」と称す。)とにおいて、 第1領域及び第2領域では前記ピーク数が1又は2個、
    中間領域においては前記ピーク数が0個であることを基
    準とし、 この基準のピーク数とは異なるピーク数を示す曲率パタ
    ーンを持つ被検圧電素子について、マイクロクラックが
    存在すると判定することを特徴とする圧電素子のマイク
    ロクラックの非破壊的検査法。
  3. 【請求項3】 電流と電圧の位相差(位相角)の各測定
    値の移動平均によって得られた数値から、該位相差(位
    相角)の周波数特性を示す曲線パターンの曲率を求める
    ことを特徴とする請求項2に記載の圧電素子のマイクロ
    クラックの非破壊的検査法。
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