JPH0632508Y2 - ワンウェイクラッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、スプラグ幅の大きいスプラグによるワンウェ
イクラッチに関する。

［従来の技術］ ワンウェイクラッチは、フリーホイールともよばれ、動
力を一方向にのみしか伝達しない作用を有する。

このワンウェイクラッチとしては、例えば第６図に示す
ように、スプラグ式のものがある。

第６図において、１はアウターレース、２はインナーレ
ース、３はリング状に形成されたアウターケージ、４は
リング状に形成されたインナーケージである。アウター
ケージ３とインナーケージ４の間にはスプラグ５が挿入
され、スプラグ５はリボンスプリング６により保持され
ている。

アウターレース１が時計回り方向に回転し、インナーレ
ース２が反時計回り方向に回転するとき、ワンウェイク
ラッチは空転の状態となり、アウターレース１が反時計
回り方向に回転し、インナーレース２が時計回り方向に
回転するとき、ワンウェイクラッチはスプラグ５を介し
てロックの状態となる。

ここで、第７図において、ａはスプラグ５のスプラグ幅
を、ｂはアウターケージ３およびインナーケージ４のケ
ージ幅を、それぞれ示す。アウターケージ３とインナー
ケージ４の挿入孔にスプラグ５を挿入して保持するよう
になっているため、ａとｂの関係はａ＜ｂとなるように
設定されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、このような従来のワンウェイクラッチに
あっては、スプラグ幅がケージ幅より小さいため、高ト
ルク容量にするにはスプラグ個数を増加しなければなら
ないという問題点があった。

また、部品点数はアウターケージ、インナーケージ、ス
プラグおよびリボンスプリングの４種類であるため、組
立工数がかかるという問題点もあった。

本考案は、このような従来の問題点に鑑みてなされたも
のであって、スプラグ幅をケージ幅より大きくすること
により高トルク容量とするとともに、組立て工数を低減
するようにしたワンウェイクラッチを提供することを目
的としている。

［課題を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案は、挿入孔を有する
１つのケージと、前記挿入孔に挿入され中央部に保持孔
と下半部側に前記ケージのケージ幅より大きい大径部を
有するスプラグと、前記保持孔に挿入されて前記スプラ
グを保持するコイルスプリングと、を備えたものであ
る。

［作用］ 本考案においては、挿入孔を有する１つのケージに対し
てケージ幅よりも大きなスプラグ幅をもつスプラグを挿
入するとともに、スプラグの中央部に形成した保持孔に
コイルスプリングを挿入して、ワンウェイクラッチを構
成するようにしたため、スプラグ幅をケージ幅より大き
くすることができるので、スプラグ個数を増加させなく
ても高トルク容量にすることができる。

また、部品点数をケージ、スプラグおよびコイルスプリ
ングの３種類とすることができるので、組立て工数を低
減することができる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図〜第５図は本考案の一実施例を示す図である。

まず、構成を説明すると、第１図において、１１はリン
グ状に形成されたケージであり、ケージ１１は、第２図
に示すように、周方向にスプラグ１２を挿入する挿入孔
１１Ａを有している。従来例ではインナーケージとアウ
ターケージの２つのケージを用意したが、本実施例にお
いては、１つのケージ１１を用意すれば良い。

ケージ１１の挿入孔１１Ａに挿入されるスプラグ１２
は、第３図に示すように、小径部１３と大径部１４とを
有し、中央部には第４図に示すようなコイルスプリング
１５が挿入される保持孔１６が形成されている。小径部
１３の幅はケージ１１の挿入孔１１Ａに入る大きさであ
り、大径部１４の幅はケージ１１のケージ幅より大きく
形成されている。

このワンウェイクラッチは、ケージ１１の挿入孔１１Ａ
にスプラグ１２の小径部１３を挿入し、保持孔１６にコ
イルスプリング１５を通してスプラグ１２を保持するこ
とにより製作される。

次に、作用を説明する。

第５図はアウターレース１７とインナーレース１８との
間に本考案のワンウェイクラッチを装着した断面図であ
る。

第５図において、ａはスプラグ１２のスプラグ幅を、ｂ
はケージ１１のケージ幅を、それぞれ示す。図から明ら
かなように、本考案においては、スプラグ幅ａ＞ケージ
幅ｂとすることができるので、スプラグ個数を増加させ
なくても高トルク容量とすることができる。

ここで、インナーレース１８側のヘルツ応力σＨｉは下
記式で求められる。

ただし、Ａ：スプラグの接触幅 Ｅ：弾性係数 ｍ：ポアソン数 Ｎｉ：接線力 ｒｉ：インナーレースの外径 ρｉ：スプラグの重心からインナーレースまでの距離 式より明らかなように、スプラグの接触幅Ａを大きく
すると、ヘルツ応力σＨｉは小さくなり、高トルク容量
とすることができる。すなわち、スプラグ幅ａはスプラ
グの接触幅Ａに比例するので、スプラグ幅ａを大きくす
ると、スプラグ個数を増加しなくても高トルク容量とす
ることができる。

また、本実施例においては、ケージ１１、スプラグ１
２、コイルスプリング１５の３種類の部品でワンウェイ
クラッチを構成することができるので、従来の４種類の
部品の場合に比較して組立て工数を低減することができ
る。

［考案の効果］ 以上説明してきたように、本考案によれば、ケージを１
つとしてケージ幅よりスプラグ幅を大きくなるようにし
たため、スプラグ個数を増加しなくても高トルク容量と
することができる。また、部品点数を減少することがで
きるので、組立て工数を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す図、 第２図はケージを示す図、 第３図はスプラグを示す図、 第４図はコイルスプリングを示す図、 第５図はワンウェイクラッチの断面図、 第６図は従来例の説明図、 第７図は従来例の断面図である。 図中、 １１……ケージ、 １１Ａ……挿入孔、 １２……スプラグ、 １３……小径部、 １４……大径部、 １５……コイルスプリング、 １６……保持孔、 １７……アウターレース、 １８……インナーレース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】挿入孔を有する１つのケージと、前記挿入
   孔に挿入され中央部に保持孔を有するスプラグと、前記
   保持孔に挿入されて前記スプラグを保持するコイルスプ
   リングを備えたワンウェイクラッチにおいて、 前記スプラグの下半部側に前記ケージのケージ幅より大
   きい大径部を形成したことを特徴とするワンウェイクラ
   ッチ。