JPH06307851A - カンチレバーおよびこのカンチレバーを用いた微細加工装置 - Google Patents

カンチレバーおよびこのカンチレバーを用いた微細加工装置

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JPH06307851A
JPH06307851A JP10139393A JP10139393A JPH06307851A JP H06307851 A JPH06307851 A JP H06307851A JP 10139393 A JP10139393 A JP 10139393A JP 10139393 A JP10139393 A JP 10139393A JP H06307851 A JPH06307851 A JP H06307851A
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JP
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cantilever
lever
tip
chip
sample
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Application number
JP10139393A
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English (en)
Inventor
Yotaro Hatamura
洋太郎 畑村
Hiroshi Kuroda
浩史 黒田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料とチップ間に作用力が生じても、試料に
対しチップ角を所定角度に保持できるカンチレバーおよ
びそのカンチレバーを用いた微細加工装置の提供。 【構成】 ベース平板8aと一体的に設けられる上側レ
バー2と、ベース平板8bと一体的に設けられ中央部近
傍に空洞部12を有する下側レバー1と、これら2個の
レバーを平行に設置することにより形成されるレバー本
体14と、このレバー本体14の先端部近傍に支柱4を
介して支持される尖鋭なチップ3とから構成され、試料
とチップ3との間に作用力が生じた場合、下側レバー1
の空洞部12a,12b部を支点として両レバー1,2
がそれぞれ平行に2箇所で同一量だけ撓み、これにより
試料とチップ間に作用力が生じても、試料に対するチッ
プの角度を所定角に保つことができる。この角度保持機
能を利用し、チップ3により試料に対する加工を行うこ
ともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば原子間力顕微鏡
等に用いられるカンチレバー、および、尖鋭なチップに
よって試料表面を微細加工する微細加工装置に係り、特
に、平行平板によってレバー本体を形成したカンチレバ
ー、および、このカンチレバーを用いた微細加工装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のカンチレバーは原子間力
顕微鏡等に用いられ、例えば、特開平4−72504号
公報に開示されている。この従来技術によるカンチレバ
ーの概略構造を図12に示す。同図に示すように、カン
チレバー103は一枚の板からなるレバー本体100の
先端部近傍に尖鋭なチップ101を設けた構造となって
いる。そして、レバー本体100を取付けたステージ1
02によって、同図に示す直交3軸x,y,z方向へ動
作する。
【0003】このような構造からなるカンチレバー10
3を備えた原子間力顕微鏡では、ステージ102により
カンチレバー103を同図に示すz軸方向に移動させて
チップ101を試料10に接近させると、チップ101
と試料10との間には、両者の近接状況に応じた原子間
力が生じ、レバー本体100が変位する。このレバー本
体100の変位量は図示しない歪センサによって検出
し、レバー本体100の変位量が所定値になるようにス
テージ102をz軸方向に駆動し、このz軸方向移動量
を求めることにより、試料10表面の形状(凹凸)を検
出することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した単板
からなるカンチレバーでは、試料とチップとの間に生じ
る原子間力によって、レバー本体が一方向に撓み、試料
とチップとの相対角度が変化するため、試料に対するチ
ップ先端位置が変化する。これにより、試料上の測定箇
所が原子レベルの大きさでずれるため、必ずしも正確な
形状測定を行うことができない。
【0005】本発明はこのような従来技術の問題点に鑑
みてなされたもので、その目的は、試料とチップとの間
に作用力が生じても、試料に対するチップの角度を所定
の設定角度に保つことができるカンチレバーの提供、お
よび、このカンチレバーを用いた微細加工装置を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、レバー本体
と、このレバー本体の先端近傍に設けられたチップとを
備え、前記チップが試料に接近したときに両者の間に生
じる作用力によって変位するカンチレバーに適用される
ものである。
【0007】そして、上記目的は、前記レバー本体を平
行に設けた複数枚の平板によって形成した平行平板構造
とすることによって達成される。
【0008】また、他の目的は、尖鋭なチップを有する
加工手段と、前記チップを直交する3軸方向に駆動する
駆動手段と、この駆動手段の動作を制御する制御手段と
を備えた微細加工装置において、前記加工手段を、複数
枚の平行な平板からなる平行平板構造を有するレバー本
体を備えたカンチレバーとすることにより達成される。
【0009】
【作用】本発明は上記のように構成されており、カンチ
レバーを形成するレバー本体の複数枚の平板がそれぞれ
チップを上下方向に対し支持しているため、チップによ
って一体化された平行平板構造となっている。このた
め、チップと試料とが接近し、チップに対し押付力が作
用すると、各平板は一端を支点として撓もうとする。と
ころが、各平板が平行に一方向に撓んだ場合には、上方
に設けられた平板と下方に設けられた平板とでは撓みに
よる曲率半径に差が生じ、各平板の長さに差が生ずるこ
とになる。このため、実際には、各平板が元の状態に戻
ろうとする反力が、チップへの押付力による撓みとは逆
方向へ撓ませるように作用し、前記各平板の支点近傍
と、チップへの押付力作用点近傍との2箇所で、それぞ
れ逆方向に撓みが生じる。その際、各箇所での変形量は
ほぼ等しくなるため、試料に対しチップは押付力が作用
する前の角度、すなわち、所定の設定角度を保持する。
【0010】また、このような平行平板構造を有するカ
ンチレバーを駆動手段によって試料に押し付けると、上
述した理由によりレバー本体がチップと試料との角度を
所定の設定角度に保持しながら撓む。これによりレバー
本体の長手方向の長さが短くなるが、制御手段によって
押付量に対応する長手方向への変位量を演算し、この演
算結果に基づき駆動手段を動作させカンチレバーを長手
方向に移動させることにより、チップを試料上の所定箇
所に保持しながら押し付けることができる。この状態
で、必要な方向にカンチレバーを移動させることによ
り、試料表面をこじることなく加工することができる。
【0011】したがって、本発明によれば、チップと試
料との間に作用力が生じても、試料に対しチップを所定
の設定角度に保持することができる。また、チップを試
料に押し付けた状態でカンチレバーを移動させても、所
定の設定角度の状態が保持されるため、試料表面をこじ
ることなく精度良く加工することができる。
【0012】
【実施例】以下、図に基づいて本発明の実施例を説明す
る。
【0013】図1〜図3は本発明のカンチレバーの第1
の実施例の説明図で、図1はこの実施例のカンチレバー
の斜視図、図2はカンチレバーを原子間力顕微鏡に適用
した際の要部側面図、図3はカンチレバーを試料に接近
させた状態を示す側面図である。
【0014】この第1の実施例におけるカンチレバー
は、図1に示すようにサンドイッチ部材7によって2枚
の平板が平行に一体化されたベース8と、一端が上側の
ベース平板8bと一体的に形成された上側レバー2およ
び一端が下側のベース平板8aと一体的に形成された下
側レバー1からなるレバー本体14と、このレバー本体
14のベース8側とは逆の他端近傍に設けられ上側レバ
ー2と下側レバー1によって支柱4を介して支持された
チップ3とから構成されている。そして、下側レバー1
には長方形状の空洞部12を設け、この空洞部12の四
隅近傍に4枚の変位検出手段、例えば半導体歪ゲージ5
a,5b,5c,5dが設けられている。また、チップ
3は支柱4を有し、上下のレバー2,1はこの支柱4を
支持するようになっている。
【0015】なお、例えば、上側ベース平板8bおよび
上側レバー2は酸化珪素によって、下側ベース平板8a
および下側レバー1は窒化珪素によって、サンドイッチ
部材7は硬化性樹脂であるPIQ樹脂によって形成さ
れ、化学エッジング処理によって生成される。また、半
導体歪ゲージ5a,5b,5c,5dはAu蒸着膜によ
る配線6によって接続され、サンドイッチ部材7および
上側ベース平板8bに図示しないコンタクトホールを設
けることにより外部に設けられる電源および信号処理部
と接続される。
【0016】一方、図2に示すように、ベース8は直交
する3軸x,y,z方向に駆動可能な駆動手段、例えば
3次元ステージ9に固定されている。また、この3次元
ステージ9がフレーム11に固定されていて、チップ
3、支柱4、ベース8およびレバー本体14より成るカ
ンチレバー15は3次元ステージ9によって3軸方向に
動作するようになっている。
【0017】このように構成された第1の実施例による
カンチレバー15を、図3に示すように3次元ステージ
9によってz軸方向に移動させ試料10と接近させる
と、チップ3と試料10との間には原子間力が生じ、カ
ンチレバー15に対しz軸方向へ押付力が作用し、この
押付力によってカンチレバー15が変形する。その際、
この第1の実施例では、下側レバー1に空洞部12を設
けているため、空洞部12のベース8側端部12aを支
点としてレバー本体14が上方に変形し、空洞部12の
他方の端部12bを支点として下方に変形する。これ
は、端部12a,12bで下側レバー1の幅方向の厚み
が急激に薄くなるため、この部分に応力が集中するため
である。すなわち、z軸方向への押付力により端部12
aを支点としてレバー本体14が撓むが、上側レバー2
と下側レバー1とはチップ3によって一体化されている
ため、曲率半径の相違により両レバーの撓み反力に差が
生じ、特に上側レバー2の反力が大きくなる。この反力
による応力が端部12bに集中し、端部12bを支点と
して、端部12aにおける撓み方向とは逆の方向に撓
む。その際、端部12aでの上向きの撓み量と、端部1
2bでの下向きの撓み量とはほぼ等しくなるために、チ
ップ3と試料10間に原子間力が作用したときでも、試
料10に対するチップ3の角度は所定の設定角度に保持
される。
【0018】そして、空洞部12の四隅に設けた4枚の
半導体歪ゲージ5a〜5dによって検出される歪量が予
め設定した所定値となるように、3次元ステージ9をz
軸方向に駆動し、そのときの3次元ステージ9のz軸方
向移動量を測定することにより、その位置における試料
10の表面状態(表面の凹凸)を検出できる。さらに、
3次元ステージ9によりx,y軸方向に走査させなが
ら、半導体歪ゲージ5a〜5dにより検出される歪量が
一定となるz軸方向の移動量を測定していくことによ
り、試料10の表面全体、あるいは、所定範囲内の表面
形状を検出することができる。なお、当然のことなが
ら、x,y軸方向に走査し、各測定箇所での原子間力に
差が生じた場合でも、上記した理由によりチップ3は試
料10に対し所定の設定角度に保持される。
【0019】したがって、この第1の実施例によれば、
原子間力の大小によらずチップ3が試料10に対し常に
垂直に保持されるため、精度良く試料10の表面形状を
検出することができる。さらに、この第1の実施例によ
るカンチレバー15は、平行平板構造とすることにより
カンチレバー15の剛性が高くなり、高速で移動させて
も位置決めが容易に行えるという特徴も有している。
【0020】図4はカンチレバーの第2の実施例の説明
図で、カンチレバー15の構成を示す。図1と同一部分
には同一の符号を付しており、その説明は省略する。こ
の第2の実施例によるカンチレバー15は、ベース部8
に対し、複数のレバー本体14l,14m,14nを設
けている。そして、それぞれチップ3l,3m,3nを
有している。
【0021】このように構成した第2の実施例によるカ
ンチレバー15では、1度に複数箇所の試料表面とチッ
プ3l,3m,3nとの作用力、あるいは、試料の表面
形状を測定でき、測定時間を短縮することができる。
【0022】また、これらの実施例によるカンチレバー
15は、例えばチップ3を試料10表面に押付けても、
チップ3を試料10に対し垂直に保持することができる
ため、表面形状の測定だけではなく、例えば高密度メモ
リ作製等の微細加工にも適用することができる。
【0023】このような微細加工に際し、例えば前述し
た従来技術による単板からなるカンチレバーを微細加工
手段として用いた場合には、次のような問題がある。す
なわち、図13に示すように、試料10にカンチレバー
103のチップ101を所定の力で押し付けると、レバ
ー本体100が一方向に撓み、試料10に対するチップ
101の接触角度が変化し、常時一定角度で押し付ける
ことができなくなる。これに伴い、チップ101の先端
によって試料10がこじられるため、この状態で例えば
同図y方向に移動させると、試料10はこじられた状態
で加工され、こじられた痕がそのまま加工面に残り加工
精度の悪いものとなる。
【0024】また、尖鋭なチップの位置を制御し、試料
表面を微細に加工する微細加工システムが、電子顕微鏡
による3次元超微細加工システム(応用機械工学:19
92、VOL.33、NO.6、117〜123頁)に
開示されている。この微細加工システムは、ロボットの
先端近傍に圧電アクチュエータによって駆動されるチッ
プを設け、SEM(電子顕微鏡)内にロボットの先端部
と試料とを設置し、SEM像によって試料とチップ先端
との位置関係を観察しながら、試料表面を加工するもの
である。この微細加工システムによれば、SEM像によ
って極めて微小な領域を拡大モニタし、試料とチップと
の位置関係を正確に把握できるため、精度良く微細加工
を行うことができる。しかし、この文献に開示される微
細加工システムによっても、試料に対しチップを垂直に
押し付けた状態で平面内を移動させると、反力によって
チップ自身が変形する恐れがあり、上記同様の問題を包
含している。
【0025】これに対し、上述した各実施例によるカン
チレバー15は、平行平板構造によって試料10に対し
チップ3が垂直に保持されるため、上記従来技術による
不具合が解消される。
【0026】以下、図5〜図11を用い、さきの実施例
に示したカンチレバーを微細加工装置に適用した実施例
を説明する。図5はチップを試料に押し付けたときの状
況を示す側面図、図6はチップに加わる荷重と各半導体
歪ゲージの変形状態の対応を示す斜視図、図7は半導体
歪ゲージの状態を説明する図、図8は移動に伴うチップ
への作用力による変形の一例を示す斜視図、図9は微細
加工装置の制御回路を示すブロック図、図10はカンチ
レバーの初期位置決め時の処理の流れを示すフローチャ
ート、図11は加工時の処理の流れを示すフローチャー
トである。なお、上記カンチレバーの実施例の構成を示
す図1と対応する部分には同一の符号を付しており、そ
の説明を省略する。この実施例による微細加工装置は、
図5に示すようにカンチレバー15およびこのカンチレ
バー15を駆動するための3次元ステージ9について
は、上記したカンチレバーの第1の実施例と同様の構成
となっている。そして、3次元ステージ9は、図9に示
す制御回路20によってその動作が制御される。
【0027】この制御回路20は、押付力設定用キーボ
ード32からの信号を入力し、試料10の表面を加工す
る際の押付力を記憶する押付力記憶部21と、この押付
力をカンチレバー15の目標となる歪量δz0に変換する
歪量変換回路22と、各半導体歪ゲージ5a〜5dから
の信号を入力し実際のカンチレバー15のy,z軸方向
の歪量δy,δzを検出する歪検出回路29と、この歪検
出回路29により検出された実際の歪量δzと上記した
目標となる歪量δz0とを比較する比較回路23と、この
比較回路23からの信号△δz0に応じて3次元ステージ
9のz軸方向の移動量を算出する補正回路24と、加工
を行う際、実際の歪量δy,δzおよび目標となる歪量δ
z0とを入力し3次元ステージ9の補正量△y,△zを演
算する歪補正演算回路30と、3次元ステージ9のx,
y軸方向の移動軌跡を設定する軌跡設定用キーボード3
5からの信号を入力し、この軌跡を記憶する軌跡記憶部
28と、加工時に軌跡記憶部28より順次目標位置(x
0,y0)を読み込む目標位置読込み回路26と、この目
標位置(x0,y0)と補正量△y,△zとを入力し、3
次元ステージ9の各移動速度を算出する目標位置演算回
路27と、加工前の初期位置決め時には補正回路24か
らの信号に基づき、一方、加工時には目標位置演算回路
からの信号に基づき3次元ステージ9の各移動速度v
x,vy,vzを算出し、結果を3次元ステージ9に出力
する3次元ステージ駆動回路25と、実際のz方向の歪
量δzを押付力に変換する歪押付力変換回路31とを備
えている。
【0028】なお、初期位置決め制御はスイッチ33か
らの信号によって開始され、加工はスイッチ34からの
信号により開始される。また、歪押付力変換回路31に
よって変換されたz方向の押付力はモニタ36に表示さ
れる。
【0029】以上のように構成された微細加工装置で
は、図5に示すように試料10に対しチップ3を押付け
るとカンチレバー15のレバー本体14が変形する。こ
の変形に際しては、上記カンチレバーの実施例で説明し
た理由によりチップ3は試料10に対し垂直状態を保持
する。この状態で、例えば3次元ステージ9をy軸方向
に駆動すると、図6に示すようにチップ3にはz軸方向
の力イと、y軸方向の力ロまたはハが作用する。そし
て、例えばイの方向(z軸方向)にのみ力が作用した場
合には、カンチレバーの第1の実施例で説明したように
下側レバー1の空洞部12の端部12aおよび12bを
支点として2箇所で撓み、図7の下方に示す表「イ」の
ように、半導体歪ゲージ5a,5cが伸び、半導体歪ゲ
ージ5b,5dが縮む。
【0030】また、「ロ」の方向(y軸負方向)に荷重
が作用すると、図8に示すように変形する。すなわち、
ロ方向の力によって、下側レバー1の板幅方向の中心を
境として、下側レバー1の部分1a側はz軸正側に撓む
変形(図4と同様の変形)と、y軸負側へのせん断変形
が合成された変形となる。表面に設けた各半導体歪ゲー
ジ5a〜5dはせん断変形には感知しないため、半導体
歪ゲージ5aが伸び、半導体歪ゲージ5bが縮む。同様
に、下側レバー1の部分1b側はz軸負側に撓む変形
と、y軸負側へのせん断変形が合成された変形となり、
半導体歪ゲージ5cは縮み、半導体歪ゲージ5dは伸び
る。このように、各半導体歪ゲージ5a〜5dの各歪量
を検出することによって、チップ3に作用する力の方向
を検出することができる。検出する力の方向が「ハ」の
場合も「ロ」の場合に準じる。
【0031】なお、上述したz軸方向の力のみがチップ
3に作用した場合、x軸方向およびy軸方向に対称な位
置に半導体ゲージ5a〜5dをそれぞれ設けているの
で、各半導体歪ゲージ5a〜5dの歪量の絶対値は全て
等しくなり、力の作用方向に応じて符号が異なるだけと
なる。このため、z軸方向の力とy軸方向の力が同時に
作用した場合でも、各半導体歪ゲージ5a〜5dによる
検出値に基づきz軸方向の力とy軸方向の力とを分離算
出することができる。また、上述のような方向の力がチ
ップ3に作用した場合でも、試料10に対しチップ3が
垂直を保持することはいうまでもない。
【0032】以下、図10、図11により微細加工装置
の制御処理内容について説明する。図10は、加工前の
チップ3の位置決め制御に関するフローチャートで、歪
補正演算回路30は手順S1により位置決め制御開始を
指示するスイッチ33からの信号を入力すると、次のス
テップS2で加工時のカンチレバー15の目標となる歪
量δz0を、歪量変換回路22より読み込む。次に、手順
S3に移行し、歪検出回路29からその時点でのカンチ
レバー15の歪量δzを読み込む。
【0033】手順S4では、目標となる歪量δz0と実際
の歪量δzとの差を求め、この差の絶対値が△δz0以下
かどうかを判定する。もし、差の絶対値が△δz0よりも
大きい場合には、カンチレバー15の変形に伴う縮小量
に応じたx軸方向の補正移動量△xと、目標となる歪量
δz0を達成するためのz軸方向の移動量△zを、それぞ
れ手順S5,S6によって算出する。
【0034】次に、目標位置演算回路30は手順S7に
よりx軸方向の補正量△xおよびz軸方向の補正量△z
に応じた3次元ステージ9のx軸およびy軸方向の移動
速度vx,vyを演算する。3次元ステージ移動回路25
は、次の手順S8で、速度信号vx,vyをこれに応じた
電流信号ix,iyに変換し、3次元ステージ9に出力
し、手順S3に移行する。
【0035】このような処理を実行することにより、カ
ンチレバー15の歪量δzが目標となる歪量δz0に近づ
き、その差が手順S4によって、△δz0以下となったと
き、この位置決め制御が終了し、加工時の軌跡制御に移
行する。
【0036】図11は加工時の軌跡制御を行う際のフロ
ーチャートであり、目標位置読込み回路26は最初に加
工開始を指示するスイッチ34からの信号が入力される
と、手順S10で軌跡記憶部28から目標となる位置
(x0,y0)を読み込む。
【0037】歪補正演算回路30は、スイッチ34から
の信号を入力すると、手順S11により、歪検出回路2
9からカンチレバー15の歪量を読み込み、目標となる
歪量δz0との差に基づき補正すべき移動量△y,△zを
算出する。
【0038】次に、目標位置演算回路27は手順S12
で、補正すべき移動量が所定値△M以下かどうかを判別
し、Yesの場合には手順S16に、Noの場合には手
順S13に移行する。手順S12の結果がNoの場合、
手順S13では、目標位置(x0,y0)および補正量△
y,△zに基づき3次元ステージ9の移動速度vx,v
y,vzを演算し、3次元ステージ駆動回路25は次の手
順S14により速度信号を電流信号ix,iy,izに変
換し、手順S15によって3次元ステージ9に出力し、
手順S11に戻る。
【0039】一方、目標位置演算回路27は手順S12
でyおよびz軸方向の補正量△y,△zが所定量△M以
下と判定された場合には、手順S16により、目標位置
(x0,y0)が最終目標位置(xn,yn)かどうか判別
する。もし、この手順S16の判別結果がYesの場合
には移動速度を0にして軌跡制御を終了し、3次元ステ
ージ駆動回路25に対し手順S17でカンチレバー15
をz軸方向に移動させる指令を出力し加工を終了する。
逆に、手順S16での判別結果がNoの場合、手順S1
0に移行し、上述の処理を再度実行する。
【0040】したがって、この実施例によれば、加工時
にチップ3を試料10に押し付けた状態でx,y方向に
移動させても、チップ3を試料10に対し所定の設定角
度を保持させることができ、さらに、下側レバー1に設
けた半導体歪ゲージ5a〜5dによって押付力を所定値
に制御できるため、こじり等を生じることがなく精度良
く試料10表面を加工することができる。さらに、カン
チレバーの第1の実施例に述べたように、カンチレバー
15の剛性が高くなるため高速に移動させることがで
き、単板からなる従来のカンチレバーを用いた場合に比
べると加工時間を短縮することができる。
【0041】なお、上記各実施例では、本発明によるカ
ンチレバー15を原子力間顕微鏡に適用した例と微細加
工装置に適用した例を示したが、この2つに限定される
ものではなく、例えば、試料表面の摩擦特性を検出する
摩擦力顕微鏡等に適用することもできる。また、例えば
歪一定の制御を行わず、一方向の移動に伴う歪出力変化
のみを記録することにより表面形状を測定することもで
きる。さらに、各実施例では変位検出手段として半導体
歪ゲージ5a〜5dを用いたが、これに限定されるもの
ではなく、他に主として銅・ニッケル合金を用いた珀歪
ゲージや線歪ゲージ、あるいは、静電容量型変位計、レ
ーザ変位計等を用いても良い。
【0042】また、上記各実施例ではカンチレバーを3
次元ステージ9に1個だけ設けた構成としたが、3次元
ステージに対し複数個設ける構成としても良く、これに
より測定あるいは加工時間を短縮することができる。
【0043】また、3次元ステージ9に対しカンチレバ
ー15を着脱可能に設けることにより、チップ3先端の
摩耗時、容易に交換することができ、加工精度のさらな
る向上、加工時間の短縮をはかることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、尖鋭なチップと試料間
に作用力が生じても、平行平板構造により試料に対しチ
ップを所定の設定角度に保持させることができるため、
この作用力を精度良く検出できる。また、カンチレバー
の剛性が高くなるため、高速で動作させることができ
る。さらに、ベース部に対しレバー本体を複数個設ける
ことにより、一度に複数箇所測定することができ測定時
間を短縮することができる。
【0045】また、このカンチレバーを微細加工装置に
適用することにより、x,y,z方向の作用力を制御で
き、常時試料に対しチップが所定の設定角度に保持され
るため、精度良く加工することができる。さらに、カン
チレバーを高速で動かすことができるため、従来技術に
よるカンチレバーを用いた場合よりも加工時間を短縮す
ることができる。さらに、駆動手段に対しカンチレバー
を複数設けることにより、さらに加工時間を短縮でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るカンチレバーの斜
視図である。
【図2】図1に示すカンチレバーを原子間力顕微鏡に適
用した際の要部側面図である。
【図3】図1に示すカンチレバーを試料に接近させた状
態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係るカンチレバーの斜
視図である。
【図5】本発明の実施例に係る微細加工装置の加工状態
の側面図である。
【図6】図5に示すカンチレバーの斜視図である。
【図7】図6に示す各半導体歪ゲージの変形状態の説明
図である。
【図8】図1に示す下側レバーの変形の一例を示す斜視
図である。
【図9】図5に示す微細加工装置の制御回路を示すブロ
ック図である。
【図10】図5に示す微細加工装置のカンチレバーの初
期位置決め時の処理の流れを示すフローチャートであ
る。
【図11】図5に示す微細加工装置の加工時の処理の流
れを示すフローチャートである。
【図12】従来のカンチレバーの側面図である。
【図13】従来のカンチレバーの側面図である。
【符号の説明】
1 下側レバー(平板) 2 上側レバー(平板) 3 チップ 5a,5b,5c,5d 半導体歪ゲージ(歪検出手
段) 9 3次元ステージ(駆動手段) 10 試料 12 空洞部 14 レバー本体 15 カンチレバー 20 制御回路(制御手段)

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レバー本体と、このレバー本体の先端近
    傍に設けられたチップとを備え、前記チップが試料に接
    近したときに両者の間に生じる作用力によって変位する
    カンチレバーにおいて、前記レバー本体は平行に設けら
    れた複数枚の平板からなる平行平板構造であることを特
    徴とするカンチレバー。
  2. 【請求項2】 前記カンチレバーは、レバー本体を形成
    する複数枚の平板を一体化するベース部を有することを
    特徴とする請求項1に記載のカンチレバー。
  3. 【請求項3】 前記レバー本体を形成する複数枚の平板
    のうちの少なくとも1枚に変位検出手段を設け、前記チ
    ップへの作用力を検出することを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のカンチレバー。
  4. 【請求項4】 前記レバー本体を形成する複数枚の平板
    のうち少なくとも1枚の平板に空洞部を少なくとも1個
    設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    のカンチレバー。
  5. 【請求項5】 変位検出手段を、前記空洞部の端部近傍
    に設けたことを特徴とする請求項4に記載のカンチレバ
    ー。
  6. 【請求項6】 前記カンチレバーは、レバー本体がベー
    ス部に対し複数設けられることを特徴とする請求項2〜
    5のいずれかに記載のカンチレバー。
  7. 【請求項7】 前記変位検出手段が歪ゲージであること
    を特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のカンチレ
    バー。
  8. 【請求項8】 前記変位検出手段が静電容量形変位計で
    あることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の
    カンチレバー。
  9. 【請求項9】 尖鋭なチップを有する加工手段と、前記
    チップを直交する3軸方向に駆動する駆動手段と、この
    駆動手段の動作を制御する制御手段とを備えた微細加工
    装置において、前記加工手段は、平行に設けられた複数
    枚の平板からなる平行平板構造を有するレバー本体を備
    えたカンチレバーであることを特徴とするカンチレバー
    を用いた微細加工装置。
  10. 【請求項10】 前記カンチレバーは、レバー本体を形
    成する複数枚の平板を一体化するベース部を有すること
    を特徴とする請求項9に記載のカンチレバーを用いた微
    細加工装置。
  11. 【請求項11】 前記レバー本体を形成する複数枚の平
    板のうちの少なくとも1枚に変位検出手段を設け、前記
    制御手段は前記変位検出手段からの変位信号を入力し、
    この変位信号に応じて前記チップの移動量および移動方
    向を演算出力することを特徴とする請求項9または10
    に記載のカンチレバーを用いた微細加工装置。
  12. 【請求項12】 前記レバー本体を形成する複数枚の平
    板のうち少なくとも1枚の平板に空洞部を少なくとも1
    個設けたことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに
    記載のカンチレバーを用いた微細加工装置。
  13. 【請求項13】 変位検出手段を、前記空洞部の端部近
    傍に設けたことを特徴とする請求項12に記載のカンチ
    レバー。
  14. 【請求項14】 前記カンチレバーが、前記駆動手段に
    対し着脱可能に設けられることを特徴とする請求項9〜
    13のいずれかに記載のカンチレバーを用いた微細加工
    装置。
  15. 【請求項15】 前記カンチレバーが、前記駆動手段に
    対し複数設けられることを特徴とする請求項9〜14の
    いずれかに記載の微細加工装置。
  16. 【請求項16】 前記カンチレバーは、レバー本体がベ
    ース部に対し複数設けられることを特徴とする請求項1
    0〜14のいずれかに記載の微細加工装置。
  17. 【請求項17】 前記変位検出手段が歪ゲージであるこ
    とを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のカ
    ンチレバー。
  18. 【請求項18】 前記変位検出手段が静電容量形変位計
    であることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに
    記載のカンチレバー。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007532916A (ja) * 2004-04-14 2007-11-15 ビーコ インストルメンツ インコーポレイテッド プローブベース機器を用いて定量的測定を獲得する方法および装置
JP2009125898A (ja) * 2007-11-27 2009-06-11 Seiko Instruments Inc 微小加工装置用プローブおよび微小加工装置

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