JPH0630680U - 積層型エバポレータの素子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】平板部から隆起部を形成した２枚のチューブシ
ートを最中合せに重ねろう付けして、内部にＵ字形流路
を形成する積層型エバポレータの素子において、流路内
に冷媒の滞溜を生じないようにする。 【構成】縁部８ｂと中間隆条８ｃとにより素子２内にＵ
字形流路２ａ内を形成する。この流路内を補助隆条１
８、１９等により複数のＵ字形流路２４、２５等に区画
する。各小流路の流通抵抗を調整して小流路を通過する
冷媒量を同等にする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、例えば自動車の冷房装置に組込まれて、液化冷媒を内部で気化さ せ、外面に沿って流れる空気を冷却する積層型エバポレータの素子に関する。

【０００２】

【従来の技術】

積層型エバポレータは、縁部及び中間隆条を平板部から隆起させ、冷媒の出入 り口となる部分を設けた２枚のアルミニウム合金等の金属板のチューブシートを 最中合せに重ね、縁部、中間隆条、冷媒の出入口部をろう付けして扁平な素子を 造り、複数の素子をフィンを挟んで並べてタンクに結合し、タンクを介して素子 内に流入させた液化冷媒を素子内で気化させて素子の温度を低下させ、素子外面 に沿って流れる空気を冷却するものである。

【０００３】 図５〜図８は、積層型エバポレータの従来例を示す。図５は正面図、図６は底 面図、図７は図５のＡ−Ａ断面図、図８は素子を造るチューブシートの斜視図で ある。

【０００４】 エバポレータ１は、複数の素子２、２をフィン３を挟んで並べ、素子の冷媒口 ４、５をタンク６、７に接続し、全体をろう付けして造られる。

【０００５】 最中合せに重ねられて素子２を構成するチューブシート８は、図７、図８に見 るように、アルミニウム合金等の金属の平板をプレスして平板部８ａから縁部８ ｂ、中間隆条８ｃを隆起させ、冷媒を出入させる冷媒口４、５の半部４ａ、５ａ を半管状に形成する。隆起した各部の端部は、ろう付け面を広くするため折返さ れている。平板部８ａには、冷媒の流れを乱すための丸ビード８ｄ又は傾斜ビー ド８ｅ、楕円ビード８ｆが打起し形成される。

【０００６】 このチューブシート８の２枚を最中合せに重ねて各隆起部の端面をろう付けし 、冷媒口４、５にタンク６、７をろう付けして接続すると、図７に見るようなＵ 字形の冷媒流路２ａが形成される。一方のタンク７には、冷媒の入口管９、出口 管１０を接続し、両管９、１０の間を仕切板１１で仕切っている。そこで、入口 管９からタンク７に入った気液２相の冷媒は、図５の左半部において冷媒口５か ら素子内に入り、中間隆条８ｃによりＵ字形に形成された素子内の流路２ａを通 って冷媒口４から他のタンク６の左半部に入り、このタンク６の右半部に移り、 冷媒口４から右方の素子内に入り、冷媒口５を通ってタンク７の右半部から出口 管１０に入り排出される。このように多数の素子１内を流通する間に液化冷媒は 蒸発して温度低下し、素子１の外面及びフィン３に接触しつつ流れる空気を冷却 する。

【０００７】 素子１を構成するチューブシート８としては、図９のように、シート内に穿孔 したタンク部１２、１３を形成し、素子を並列させたときに隣り合うタンク部を 接触連通させてタンクの作用をさせるものもある。この構成において、一つのタ ンク部を穿孔しないでおけば、図５、図６の仕切板１１の作用をさせることがで きる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

このように素子１内にＵ字形の冷媒流路を形成し冷媒を流すと、図１０にハッ チングして示すような冷媒の動きの悪い部分（以下この部分を滞溜部という）１ ４〜１７を生じることが判った。このような滞溜を生じると、素子１の有効熱交 換面積が減少し、エバポレータの熱交換効率が低下する。本考案はこのような冷 媒の滯溜を生じない素子を得たものである。

【０００９】

【課題を解決する為の手段】

本考案者は上記のような冷媒の滞溜を生じるのは、比較的幅が広いＵ字形流路 を流れる冷媒が横方向に移動し易いため、流路が曲る部分において流速の大きな 主流が横移動してしまい、この主流を外れた流速の小さい部分に滞溜を生じるも のと考えた。この考えに基いて本考案は、Ｕ字形に形成される素子内の冷媒流路 ２ａを、複数の補助隆条により更に複数の幅の狭い小流路に区画し、且つ各小流 路を流れる冷媒の熱交換程度が等しくなるように、長い外周小流路の断面積を、 短い内周小流路の断面積より大きくして、各小流路の通路抵抗を調整するもので ある。

【００１０】

【作用】

素子内のＵ字形流路は、幅の狭い複数の小流路に区画され、この小流路内では 、冷媒の流れは横移動しないでほぼ一様に流通し滞溜を生じない。又、小流路の 長さは中心部では周縁部より短かく、冷媒が早く通過してしまうことになるが、 各小流路の抵抗を調整して、これを通過する冷媒量をほぼ同等にするから、空気 との熱交換を同等に行なわせることができる。

【００１１】

【実施例】

図１〜図４は本考案の実施例を示し、図１はチューブシートの内面図、図２は 図１の右方から見た側面図、図３、図４はチューブシートの別例を示す内面図で ある。前記の従来例と同等部分は同符号で示すと共に説明を省略して、次にこれ を説明する。

【００１２】 図１、図２において、金属のチューブシート８は平板部８ａから縁部８ｂ、中 間隆条８ｃを隆起させて形成し、冷媒口の半部４ａ、５ａを形成することは従来 と同様である。

【００１３】 この実施例においては、縁部８ｂと中間隆条８ｃとが形成するＵ字形流路２ａ とほぼ平行な６個の補助隆条１８〜２３を中央の中間隆条８ｃと同様に隆起させ てＵ字形に形成する。補助隆条１８〜２３は左右対称に形成されるから、２個の チューブシート８を最中合せにしてろう付けすると、各隆条１８〜２３は縁部８ ｂ、中央の隆条８ｃと同様にろう付けされて補助隔壁を形成し、各隔壁の間に狭 いＵ字形の小流路２４〜２９が形成される。

【００１４】 最中合せに重ねられた２枚のチューブシート８の半部４ａが形成する冷媒口４ から素子内に流入した冷媒は、各小流路２４〜２９を通り、半部５ａが形成する 冷媒口５から流出する。小流路２４〜２９は、幅が狭く、冷媒の流れが大きく横 移動することがないから、小流路の曲る部分において滞溜を生じることがない。

【００１５】 更に、小流路２４〜２９は、チューブシートの中心に近いもの程、長さが短い ので、素子の外面を流れる空気と熱交換する時間が短かくなり、外周側の小通路 １８、１９を通って長い時間をかけて熱交換した冷媒との間で温度差を生じる。 このように冷媒温度に差ができると、エバポレータの熱交換効率が悪くなる。

【００１６】 熱交換効率を良くするために、この考案では、各小流路の通路抵抗を調整して 、冷媒が小流路を通過する冷媒量を同等にしている。小流路の通路抵抗を調整す るには、小流路の幅を、中央寄りのもの程小さくして通路抵抗を大きくする。 小流路内にビードを打出し、その数、高さにより通路抵抗を変える。等の手段 が有効である。

【００１７】 図３は、補助隆条１８〜２３の入口部の形状を変えると共に、これらの間隔を 、中間隆条８ｃに近くなるに従って狭くして、小流路の通路抵抗を調整する例を 示す。

【００１８】 図４は、冷媒の流入する冷媒口４に近く開口する小流路には冷媒が入り易く、 冷媒口４から離れた小流路には冷媒が入り難いことから、何れの小流路にも冷媒 が入り易いように、図３の構造において補助隆条の入口の配列を変えた例を示す 。

【００１９】 図４の例は、補助隆条１８〜２１の先端を冷媒口４に対してＶ字形に配列した ものである。このように配列した上で、更に前記の通路抵抗の調整を行なう。冷 媒の出口部分では、隆条の先端をこのように配列する必要はないが、同形のチュ ーブシートを最中合せにするため、各隆条、冷媒口等は左右対称に形成するから 、出口部分でも同様のＶ字形配列とする。

【００２０】

【考案の効果】

(1) 素子内に形成される冷媒の流路を複数の小流路に区画し、各小流路の幅を小 さくしたから、冷媒の横移動を抑えて、曲り部分にも冷媒の滞溜を生じさせない 。

【００２１】 (2) 小流路の通路抵抗を調整することにより、各小流路を通る冷媒の熱交換程度 を同等にして、エバポレータ全体としての熱交換効率を良くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すチューブシートの内面
図。

【図２】同チューブシートの側面図。

【図３】本考案の別の実施例を示すチューブシートの内
面図。

【図４】本考案の更に別の実施例を示すチューブシート
の内面図。

【図５】積層型エバポレータを例示する側面図。

【図６】これの底面図。

【図７】図５のＡ−Ａ断面図。

【図８】素子を造る従来のチューブシートの内面斜視
図。

【図９】従来のチューブシートの別例の内面図。

【図１０】素子内での冷媒の滞溜状態を示すチューブシ
ートの内面図。

【符号の説明】

１ エバポレータ ２ 素子 ２ａ 流路 ３ フィン ４、５ 冷媒口 ４ａ、５ａ 半部 ６、７ タンク ８ チューブシート ８ａ 平板部 ８ｂ 縁部 ８ｃ 中間隆条 ８ｄ 丸ビード ８ｅ 傾斜ビード ８ｆ 楕円ビード ９ 入口管 １０ 出口管 １１ 仕切板 １２、１３ タンク部 １４、１５、１６、１７ 滞溜部 １８、１９、２０、２１、２２、２３ 補助隆条 ２４、２５、２６、２７、２８、２９ 小流路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属板から縁部（８ｂ）、中間隆条（８
   ｃ）を隆起させた２枚のチューブシート（８）を最中合
   せに重ねてろう付けし、中間隆条（８ｃ）の両側に冷媒
   口（４）（５）を設けた積層型エバポレータの素子にお
   いて、素子内に形成されるＵ字形の冷媒流路内に複数の
   補助隆条を形成して上記Ｕ字形流路内を複数の小流路に
   区画すると共に、各小流路を通過する冷媒量をほぼ同等
   にする通路抵抗調整を行なった積層型エバポレータの素
   子。