JPH06306373A - 噴流床石炭ガス化炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉壁を流下する溶融スラグがバーナノズルへ
覆いかぶさりバーナからの燃料と空気の噴射を阻害する
ことを防いだ噴流床石炭ガス化炉を提供する。 【構成】 噴流床石炭ガス化炉の炉壁１の開口部にバー
ナノズル２が内部に突出して配置されている。バーナノ
ズル２の先端部には、その全周に鉢巻き状に水冷管３を
巻き付けてある。水冷管３には、バーナノズル２の下側
に設けた冷却水入口を経て冷却水が導かれ、バーナノズ
ル２の下側に設けた冷却水出口から流出される。バーナ
ノズル２から噴射された石炭等は炉内で高温で燃焼し、
灰分は溶融スラグとして炉壁面を流下する。流下した溶
融スラグ４は冷却管３に接触して急冷され細い粒状とな
って落下しバーナノズル部を閉塞しない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は事業用及び産業用の石炭
ガス化装置に適用される噴流床石炭ガス化炉に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来技術では、図９に示すように炉壁１
開口部に設置されるバーナノズル２は炉壁より突出して
配置されている。このような構造では、炉壁１を流下す
る溶融スラグ４がバーナノズル２へ覆いかぶさり、バー
ナノズルから噴射する低温媒体により冷却固化して、バ
ーナからの噴射を阻害する原因となる。この炉壁１は炉
壁管とフィンとを接合して構成しているものであって、
バーナノズル２部分は密閉されており炉内ガスの漏洩が
ないものとなっている。

【０００３】このように、炉壁を流下する溶融スラグ４
がバーナノズル２へ覆いかぶさり、バーナノズル２より
噴射する低温媒体により冷却固化することによって、バ
ーナからの燃料及び空気の噴射を阻害することになる
が、これは炉内での燃焼・ガス化性能を低下させる原因
となるばかりでなく、燃料供給系の閉塞の原因ともな
り、場合によっては逆火・爆発を誘発する可能性もあ
り、いずれにせよ炉の長時間運転の支障となるものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、炉壁面に設
置されたバーナから石炭を炉内に噴射して燃焼させ、同
石炭中の灰分を溶融スラグとして炉底部から排出する噴
流床石炭ガス化炉において、炉壁を流下する溶融スラグ
がバーナノズルへ覆いかぶさりバーナからの燃料と空気
の噴射が阻害されるのを防ぎ、炉内での燃焼・ガス化性
能を高く維持出来るようにした噴流床石炭ガス化炉を提
供することを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明による噴流床石炭ガス化炉においては、炉壁
面に設置され炉内に石炭を噴射するバーナの先端にひさ
し状の堰を設置する。ひさし状の堰はスラグの固着を防
止する為に水冷メタル構造とし、流下してくる溶融スラ
グがバーナノズルの噴射口を塞がない形状とする。ま
た、ひさし状の堰はバーナノズルと独立した構造として
もよいが、バーナノズル自体が水冷メタル構造である場
合には、これと一体構造にてひさし状の堰を形成しても
良い。

【０００６】

【作用】炉壁に沿って流下してくる溶融スラグは、バー
ナノズルに達するとこれに覆いかぶさる様に流れるが、
バーナの先端に設置されたひさし状の堰に遮ぎられ、バ
ーナノズルの先端へ向うことなくバーナノズルの側面よ
り下方へ流れ落ちる。また、ひさし状の堰は水冷メタル
構造でメタルの表面温度を低くしてあるので、ひさし状
の堰へのスラグの固着を防止できる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例による噴流床石炭ガス
化炉を図面に基づいて具体的に説明する。

【０００８】（第１実施例）まず、図１、図２に示す第
１実施例について説明する。本実施例による噴流床石炭
ガス化炉においては、旋回燃焼炉の場合など、溶融スラ
グの流れて来る方向が上方とは限らないことも考慮し
て、そのバーナノズル２の先端部全周に鉢巻き状に水冷
管３を巻き付けた構造としたものであって、冷却水入口
及び冷却水出口共にバーナノズル２の下側に設けられて
いる。水は冷却水入口を通して炉外より導き入れられ先
端下部より上方に巻き付けられた水冷管３内を流れ冷却
水出口から流出するようになっている。この水冷管３の
設置によりバーナノズル２の先端がスラグによって閉塞
するのを防がれる。

【０００９】（第２実施例）次に、図３、図４に示す第
２実施例について説明する。この第２実施例では溶融ス
ラグ４が上方より流下する場合、図の如く、バーナノズ
ル２の前面へ溶融スラグが覆いかぶさらないように冷却
管３の冷却水入口及び出口共にバーナノズル２の上側の
炉外より導き入れられ先端上部にのみひさし状の堰を設
置している。

【００１０】（第３実施例）図５、図６に第３実施例が
示してある。炉壁１は炉壁管とフィンにてパネル状に形
成してあり、バーナノズル２の貫通部は炉壁管を折曲さ
せていてフィンにて密閉されている。本実施例の場合は
火炉外側にシールボックスやガイドパイプ等が取付けら
れ、また、炉壁１は多少傾斜している。冷却管３は火炉
外側より火炉内のバーナノズル２の下側に導き入れられ
ていて、先端部を２重に鉢巻き状に巻き付け堰を形成し
た後、バーナノズル２の下側より火炉外側へ出ているも
のである。冷却管３の２重巻部には乱れ止め金物やスト
ッパーを付けてバーナノズル２先端部より脱落しないよ
うにしている。

【００１１】（第４実施例）図７に本発明の第４実施例
を示す。バーナノズル２が図のような水冷二重管構造と
なっている場合には、この先端部に図の如きひさし状の
堰３を形成し、バーナノズル２の噴射口へ溶融スラグが
かぶさらない構造とすることが出来る。

【００１２】前述の各実施例において、火炉内にバーナ
ノズル２より噴射された石炭等は媒体にて１４００℃〜
１８００℃の高温にて燃焼し、灰分は溶融スラグとして
炉壁１面に付着しつつ流下する。このときの溶融スラグ
の温度は１４００℃〜１８００℃となっているが、比較
的低温の流体が流れている炉壁１に接触することによっ
て、サーマルショックで一部固化し落下するため、炉壁
には付着した状態にならずたえず流下する。また、上方
より流下した溶融スラグ４は、冷却管３に接触して、急
冷されて細かい粒状となり落下する。

【００１３】この冷却管３には４０℃〜１００℃の冷却
水又は常温〜３７０℃程度の缶水の冷却水等を流してい
るために、溶融スラグは、バーナノズル２の近くで急冷
されることになる。以上、本発明を図示した実施例に基
づいて具体的に説明したが、本発明がこれらの実施例に
限定されず特許請求の範囲に示す本発明の範囲内で、そ
の形状、構造に種々の変更を加えてよいことはいうまで
もない。

【００１４】

【発明の効果】以上具体的に説明したように、本発明に
よればバーナ先端に設けた水冷メタル構造のひさし状の
堰によって炉壁を流下する溶融スラグが図８の（ａ）に
示す従来のもののようにバーナノズルに覆いかぶさり、
固化することが図８の（ｂ）のように避けられる為に、
バーナからの燃料及び空気の噴射を阻害することがなく
なる。これにより炉内での燃焼・ガス化性能を高く維持
出来るとともに燃料供給系の閉塞や逆火・爆発等の危険
も取り除くことが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る噴流床石炭ガス化炉
におけるバーナノズル部の断面図。

【図２】図１に示したバーナノズル部の正面図。

【図３】本発明の第２実施例に係る噴流床石炭ガス化炉
におけるバーナノズル部の断面図。

【図４】図３に示したバーナノズル部の正面図。

【図５】本発明の第３実施例に係る噴流床石炭ガス化炉
におけるバーナノズル部の断面図。

【図６】図５に示したバーナノズル部の正面図。

【図７】本発明の第４実施例に係る噴流床石炭ガス化炉
におけるバーナノズル部の断面図。

【図８】本発明によるガス化炉における効果を説明する
ための斜視図で（ａ）は従来の炉で採用しているバーナ
ノズル部、（ｂ）は本発明による炉で採用するバーナノ
ズル部を示している。

【図９】従来の噴流床ガス化炉におけるバーナノズル部
を示す断面図。

【符号の説明】

１ 炉壁（炉壁管） ２ バーナノズル ３ ひさし状の堰（水冷管） ４ 溶融スラグ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 光治 長崎市飽の浦町１番１号 三菱重工業株式 会社長崎造船所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉壁面に設置されたバーナから石炭を炉
   内に噴射して燃焼させ、同石炭中の灰分を溶融スラグと
   して炉底部から排出する噴流床石炭ガス化炉において、
   前記バーナの先端に水冷メタル構造のひさし状の堰を設
   置したことを特徴とする噴流床石炭ガス化炉。