JPH06305486A

JPH06305486A - 翼形状の船の帆

Info

Publication number: JPH06305486A
Application number: JP5135722A
Authority: JP
Inventors: Shinichi Inabe; 信一稲部
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1993-04-27
Filing date: 1993-04-27
Publication date: 1994-11-01

Abstract

(57)【要約】【目的】従来、帆船に使用している帆の横断面形状は
平板にして単に円弧状に湾曲したものであり、流体力学
的に極めて低性能である。その欠点を解消するため、従
来の帆に代えて理論的に完成された現用の航空機に使用
している対象流線型をした翼を船の帆として船上に立設
し、風力を効果的に利用することを目的にした帆及びそ
の装置を提供する。【構成】帆の横断面が対象流線型を呈した本体（１）
と、該本体の前縁（Ｄ）に近設した隙間帆（２）と、該
本休上部の後縁（Ｅ）に係合した補助帆（３）とから成
る翼形状の帆を受台（４）に締結し、主軸（５）を介し
て船上に立設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、風力の直接作用により
推進される船の帆及びその帆の性能向上を図る装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来の布状の帆は平板にしてその断面は
円弧状に湾曲させたものであり、流体力学的に極めて低
能率である。また、張帆する場合マスト及びブーム並び
に各種ステー等を必要とし、それらはすべて風の抵抗と
なっている。効率よく風力を利用するための帆走方法
は、船の進行方向と風のつくりだす角度が与えられ、そ
の角度内で帆の角度を適当に選び、推進力が最大となる
ように操船するわけであるが、特に方向の変更をする場
合、帆の回転が左右のステーに支障されその操作は高度
の技術を必要とする。また、従来の帆は風の抵抗が極め
て大きいため風速によっては、操縦性の限界があり船体
の傾きが大きく危険を伴う。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、帆は布地類
を張設するという従来の概念を根底から覆し、空気力学
的に大きい揚力が得られる流線型状の断面を有する容体
的な帆を船上に立設し、かつ、性能向上を補完する隙間
帆を設け、空気対抗となるマスト及びブーム並びに各種
ステー等を無くして外装は平滑とし、操縦性容易にして
安全に航行できるようにすることを課題として成され
た。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の帆本体（１）を３６０°回転可能な受台
（４）に主軸（５）を介して立設する。また、主軸
（５）の中間に係合したクラッチ（６）を配置する。本
体（１）の前縁（Ｄ）に隙間帆の保持金具（７）を蝶着
し水平方向に回動できるようにする。該保持金具の枠内
前縁中心に隙間帆（２）の前縁を蝶着し本体（１）と縦
方向平行に設置する。また、本体（１）の上部の後縁
（Ｅ）に、該本体の流線型断面の一部となる補助帆
（３）を、該本体に対して水平方向に回動できるよう切
接し蝶着する。

【０００５】

【作用】翼形状の船の帆について第３図により説明す
る。帆が風に対して仰角（ａ）があるとき、帆面に沿流
する気流は遷移点（Ｗ）にて層流境界層（Ｌ）と乱流境
界層（Ｔ）に分かれ、乱流境界層が大きいほど揚力が減
少する。このさい、高揚力装置の隙間帆（２）と本体
（１）の隙間（Ｃ）を適宜調節するため保持金具（７）
をクランク（８）で最良の角度まで回動すると、隙間帆
（２）は本休（１）の前縁の負圧を利用して自動的に隙
聞をつくる。該隙間の気流は付勢されて円滑な流れとな
り、遷移点（Ｗ）は後方へ移動して揚力の逓減を防止す
る。隙間（Ｃ）の調節を第４図及び第５図に示す如く中
立を越え反対の位置まで広範に行なうことにより、風方
向及び風速に適合した船速を対応することが出来る。ま
た、クラッチ（６）を開放することにより帆を風見鶏の
状態にし、強風による帆の保全又は船の減速、停止等の
操船を行なう。補助帆（３）は、船体と風向きの一定範
囲において、本体（１）に対して適当な角度を与えるこ
とにより、船のローリングを防止する働きを有する。

【０００６】

【実施例】第１図において、横断面が対象流線型を呈し
た本体（１）と、該本体の前縁（Ｄ）に近設した隙間帆
（２）と、該本体上部の後縁（Ｅ）に係合した補助帆
（３）とから成る翼形状の船の帆を受け台（４）に固定
し主軸（５）を介して船上に立設する。また、乗員の省
力化を図るため帆の操縦を自動化とする実施も出来る。
さらに、帆の構成する材料は、ハイテクの新素材その他
種々の応用材を使用する。

【０００７】

【発明の効果】

（イ）帆の空力特性のうち最大揚抗比は、従来の５に対
して本発明の帆は約２４〜３０あり５〜６倍近い性能向
上となる。（ロ）風速が１１ｍ／ｓ前後になると従来の帆船は船体
が約３５度も傾斜して水抵抗が増大するため、船速は風
速が増してもある限界点で急激に落ちる。本発明の帆の
空気抵抗は従来の帆の約１／１８と極めて小さいため、
船体の傾斜が少なく、約２０ｍ／ｓまでの風力の利用が
可能であるる。（ハ）本発明の帆は当初の設計製作の段階で、大きさ、
断面形状等が決定しており帆を展張するためのマスト及
びブーム並びに各種ステー等がなく、それらを調整する
複雑な作業を必要とせず経験の浅い人でも容易に操縦で
きる。（ニ）帆の風圧中心は船体の回転中心の鉛直線上に近接
できるため、船の直進性がよく、また、主軸を中心に３
６０度回転できるので、望みの舷に帆を転換しコースを
変更することが容易である。（ホ）従来の帆船は、帆走中急旋回すると船体の傾斜が
大きくなり転覆する危険もあるが、本発明はクラッチを
切ることにより帆は自由状態となり風向きと平行にな
る。このため風に対する抵抗が激減し船を危険から保全
する。（ヘ）隙間帆（２）を作動させることによって、本体
（１）の層流境界層（Ｌ）が多くなり揚力も増大する。（ト）補助帆（３）の働きにより船のローリングを制御
でき、風向きに対して一定の範囲において鉛直姿勢の維
持が可能である。（チ）風力を効率よく利用するので省エネルギーの効果
が大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例図

【図２】第１図のＡ−Ａ断面図

【図３】第１図のＢ−Ｂ断面図

【図４】第３図の隙間帆（２）が中立の位置に在る図

【図５】第３図の隙間帆（２）が反対の位置に在る図

【符号の説明】

１本体２隙間帆３補助帆４受台５主軸６クラッチ７，７ａ，７ｂ保持金具（隙間帆）８クランク９鋼索１０滑車Ｃ隙間Ｄ前縁Ｅ後縁Ｌ層流境界層Ｔ乱流境界層Ｗ遷移点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】横断面が対象流線型を呈した本体（１）
と、該本体の前縁（Ｄ）に近設した隙間帆（２）と、該
本体上部の後縁（Ｅ）に係合した補助帆（３）とから成
る風力による推進体を船上に立設した翼形状の船の帆。
【請求項２】隙間帆（２）を本体の前緑（Ｄ）に近設
して取り付けた請求項１の翼形状の船の帆。
【請求項３】補助帆（３）を本体の後縁（Ｅ）に係合
して取り付けた請求項１の翼形状の船の帆。
【請求項４】翼形状の船の帆を立設している主軸
（５）の中間に係合したクラッチ（６）を取り付けた請
求項１の翼形状の船の帆。