JP2004161224A - 風力推進装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大きく傾いたり、縦長のキールの先に重りを付けたり、船体を特殊な形状にして復元力を高め、24時間操帆とそのための操船をするといった特別な負担をかけずに風力を推進力として利用する方法を提供する。
【解決手段】横滑りが少ない車又は船1の上に大きな主帆3を立て、その上方に主帆3と左右反対に揚力が発生するように小さな補助帆4を設ける。このことによりホッケースティックで船を押すように推進することができ基本的に傾かない。マスト回転軸5の中心軸線近くに、大きな主帆3を設け、小さな補助帆4をマスト回転軸5の中心軸線と離して、しかも主帆3と左右反対に揚力が発生するように設ける。マスト2の縦棒部は非対称翼形前縁側の形に近似した断面とし、これに翼形反転軸6を介して取り付ける帆7は断面が非対称翼形の残りの形とする。
【選択図】 図4
【解決手段】横滑りが少ない車又は船1の上に大きな主帆3を立て、その上方に主帆3と左右反対に揚力が発生するように小さな補助帆4を設ける。このことによりホッケースティックで船を押すように推進することができ基本的に傾かない。マスト回転軸5の中心軸線近くに、大きな主帆3を設け、小さな補助帆4をマスト回転軸5の中心軸線と離して、しかも主帆3と左右反対に揚力が発生するように設ける。マスト2の縦棒部は非対称翼形前縁側の形に近似した断面とし、これに翼形反転軸6を介して取り付ける帆7は断面が非対称翼形の残りの形とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、風力を利用して移動する車または船に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、帆を使って風を受け、傾きながら進む帆船やヨットはあった。また艇内の重りとマストが傾き船体を大きく傾斜させないヨットの帆装構造はあった(例えば、特願平7−6698参照)。 また傾いた帆を持ち揚力を斜め上に受けるため、傾く必要がないヨットはあった(例えば、特公平7−88199参照)。 またコンピュータと別動力を使い操帆する装置はあった(例えば、特願平08−018957参照)。また対称翼形をした帆で前後の補助翼を動かして翼形を反転させるものはあった(例えば、特願平05−135722、特願平04−248765参照)。また帆布に風を受けて自動的に翼形を反転する普通の帆はあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(イ)風を受けて傾くときに発生する復元力の分だけ風を受ける構造のため、傾くと危険であったり不快となる船には不向きであった。また縦長いキールの先に付けた重りや推進力を復元力に変換する斜めの船腹などのため、客船・フェリー・貨物船・タンカー・漁船などの経済効率を重んじる普通の船では風力を利用できなかった。
(ロ)傾いた帆により斜め上に揚力を発生させたり凧に引かせたりすれば船が傾く必要は無いが、船の中心線からずれた位置に帆や凧があり、風の変化で上下左右に力がかかり、大きな回転モーメントが発生する。このため波に当たるまたは水に落ちるなどして壊れる、進行速度や進行方向が急に変わるなどの問題点があった。
【0004】
(ハ)コンピュータと別動力を使って操帆を行うと構造が複雑で割高となった。(ニ)ロープで繰帆を行うと24時間人が付いていなければならなかった。
(ホ)一般に低速で効率が良いとされる翼形は、翼形の平均線が円弧を描き後縁付近だけわずかにS字カーブを描くという特徴を持つが、左右対称翼の前後の補助翼だけを動かして翼形を反転させると、これとかけ離れた翼形となり効率が悪くなった。
(ヘ)普通の帆の様に膜に風を受けて風下側に湾曲し翼形を反転させる方法だと迎角が小さいときに裏帆を打つため、ある程度以上風上に切り上げて進めずそのときの速度も裏帆を打つ角度に制限され、大型船の実用的な速度が出せずレジャーや競技用に用途が限られてしまった。
本発明は、以上の欠点を解決するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
図1及び図4に示すように、横滑りが少ない車又は船(1)にほぼ垂直なマスト回転軸(5)を設けその上に後方に傾いたL字形をしたマスト(2)を立て、その下部が大きな主帆(3)となるように翼形反転軸(6)と帆(7)の組み合わせを複数設ける。その上部に主帆(3)と左右反対に揚力が発生する小さな補助帆(4)となるように翼形反転軸(6)と帆(7)の組み合わせをを設ける。
図2に示すように、L字形をしたマスト(2)の傾きと取り付け位置を調整することによりマスト回転軸(5)の中心軸線近くに大きな主帆(3)を設け、小さな補助帆(4)をマスト回転軸(5)の中心軸線と離して、しかも主帆(3)と左右反対に揚力が発生するように設けたことになるようにする。
【0006】
図3に示すように、上記のL字形をしたマスト(2)の縦棒部は非対称翼形前縁側の形に近似した断面とし、これに翼形反転軸(6)を介して取り付ける帆(7)は断面が非対称翼形の残りの形とする。
図4及び図5に示すように、L字形をしたマスト(2)の角に設けた風向回転軸(8)と翼形反転軸(6)にワイヤー(9)を掛け、風向回転軸(8)にピニオン(10)を設け、タッキングやジャイビングのときに噛み合うように横滑りが少ない車又は船(1)のマスト回転軸(5)前の位置にラック(11)を設ける。
本発明は、以上の構成よりなる風力推進装置である。
【0007】
【作用】
上記の欠点を解決するためには、ほとんどの回転モーメントが吹き流し状態で釣り合いがとれることと、裏帆を打たない反りがきつい翼形を持つ帆が風向きに合わせて自動的に反転すること。これらが実現出来れば全て解決すると思われるので、以下にすべての回転軸についてと裏帆を打たない翼形反転帆ならびに自動的に翼形を反転させる方法をのべる。
【0008】
進行方向の回転軸については、図1に示すように見かけの風向きの回転軸に対して主帆(3)と補助帆(4)が左右反対に揚力を受け回転させようとし、船底のキールが補助帆(4)と同じ方向に力を受け回転を止めようとする。図6に示すように見かけの風向きの回転軸に対して回転モーメントが釣り合うようにすると進行方向の回転軸と見かけの風向きの回転軸とのずれの分が推進力となる。また推進力が船の加速や抵抗と釣り合えば、進行方向および見かけの風向きの回転軸について傾かずに釣り合う。ただし帆が受ける空気抵抗があるので見かけの風下側に傾く。斜め後ろから風を受けて船が進み、見かけの風向きが真横になった場合空気抵抗が船を横転させようとする力となるが、帆の揚抗比がより高く艇速もより速い効率の良ものになればなるほど横転させようとする力は小さくなる。
たとえば、グライダーのようにわずかな上昇気流だけで飛び続けられるほどその揚抗比は高くできる。
【0009】
上下方向の回転軸については、図2に示すように揚力が大きい主帆(3)の揚力中心をほぼ垂直なマスト回転軸(5)の近くに、揚力が小さい補助帆(4)の揚力中心をマスト回転軸(5)と離すことによって回転モーメントが釣り合うようにする。
【0010】
図6に示すように左右方向の回転軸については、見かけの風向きが前よりの場合、帆が受ける空気抵抗により舳先を上に上げる方向にわずかに傾き、後ろよりの風の場合マスト回転軸(5)の回転範囲を制限し帆掛け船のようにするので舳先を下に下げる方向に傾く。 なお、ここで言う揚力とは翼形の説明で使われる用語で飛行機の場合上向きに働くので揚力であり、帆船の場合は横向きに働く、また見かけの風向きは車や船の速度が増すと進行方向よりとなること、さらに船は前後方向に傾きにくいことは言うまでもない。
【0011】
裏帆を打たない反転帆については、図3に示すように平均線が円弧を描く低速小迎角用翼形が理想で、膜構造ではないので当然裏帆は打たない。翼形の前縁付近は丸くしかも迎角の分、角度が変わって見られるので対称形のままでも非対称翼形の一部と見なしうる。そこでこの部分をマスト(2)とした。また、空気抵抗が小さく、迎角が大きいと空気がはがれ易い乱流翼を採用し乱流をおこすきっかけとなる継ぎ目を活かして、マスト(2)に翼形反転軸(6)をほぼ直角に取り付けこれを介して帆(7)を取り付けることにより翼形をほぼ理想形のまま反転できるようにした。
【0012】
翼形を自動的に反転する方法については、図4及び図5に示すようにタッキングやジャイビングのさいにマスト(2)と帆(7)がマスト回転軸(5)で回転し、舳先を向いたときマスト(2)の風向回転軸(8)に設けたピニオン(10)と横滑りが少ない車又は船(1)に設けたラック(11)とが噛み合い自動的に反転する。風が弱すぎて反転させる力もない場合も考えられるが、その場合は反転させる必要もない。
【0013】
本発明を使用するときは、空気と水面または空気と地面が相対的に動いているとき、つまり風があるときに船や車などの横滑りし難く前後に軽く動くものの上に立てて使用する。
【0014】
見かけの風向が風上真っ直ぐから限界切り上げ角までは有効に機能しない。
見かけの風向が限界切り上げ角からほぼ真横までは主帆(3)が常に進行方向側に揚力を発生し、補助帆(4)が反対向きに主帆(3)より小さい揚力を発生させる。この揚力の差が推進力のもととなる。垂直軸の回転モーメントについては、回転軸の近くに主帆(3)が有り、遠くに補助帆(4)があるため釣り合う。
見かけの風向がほぼ真横から真後ろまでは、帆掛け船と同じであり、横滑りが少ない車又は船(1)が速度を増すと見かけの風向きは前よりとなるので前述の範囲に入っていく。
【0015】
どの場合でも繰船や繰帆の必要が無く船もほぼ傾かない。大型船が別の動力を使い、すでに実用的な速度で動いている場合でもほとんどの風向において推進力となる。風力を推進力に変えるエネルギー変換効率は、逆向きの帆の分一見悪そうに思えるが、ホッケースティックのようにして横滑りが少ない車又は船(1)を直接加速しており全体としては高くなる。
また経済効率は非常に高い。風には費用が掛からないし海上ではいくらでも吹いている、操船や操帆の費用も必要ない、有害な傾きや揺れもない、設備費と燃費の節約分との比較で設備費が割安であれば全ての船に採用される可能性があり産業上の利用価値は計り知れない。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例をのべる。
船、車など前後に移動しやすく横滑りし難いものの中心線付近で横滑りに対する抗力の中心より少し前にほぼ垂直なマスト回転軸(5)設け、すこし舳先よりにラック(11)を設けて本発明を使用する。
右後ろからの風の中で発信した場合を例に取り以下説明する。
【0017】
前を向いていた本発明の主要部は右後ろからの風をうけ時計回りに回転しマスト回転軸(5)の回転範囲の限界である右やや後方に向いて止まる。前を向いていた時、帆(7)は水平の位置にありピニオン(10)とラック(11)は噛み合った状態である。右後ろからの風を受け本発明の主要部が回転すると帆(7)は後ろから見て右に回転して左に揚力が発生する向きで止まる。右後ろからの風の内、前向きの分力だけを帆掛け船のように受け、前やや右よりに力を受ける。この力が推進力と舳先を下げる力とになり、加速度と復元力とに釣り合う。
【0018】
加速して右後ろからの風の内、前向きの部分の速度を越えると真横から右斜め前の角度で風を受けるようになる。本発明の主要部は回転範囲の限界を離れ吹き流し状態となる。それにも関わらず主帆(3)の迎角は反対向きに揚力が発生する補助帆(4)により保たれ、補助帆(4)の迎角は反対向きに揚力が発生する主帆(3)により保たれる。主帆(3)は前やや左向きに揚力を発生させ、補助帆(4)は後ろやや右向きに揚力を発生させる。この二つの力によりホッケースティックで押すように推進するので船は傾かない、その分抵抗が少ない船にすることができ、もしそのような船ならさらに加速する。やがて限界切り上げ角が近づき加速できなくなり一定速度となる。
【0019】
【発明の効果】
イ.本発明を使用することによって無料で幾らでも吹いている風から、ほとんど船を傾かせず安定して推進力を得ることができる。
ロ.縦長のキールの先に重りを付けたり、船体を特殊な形状にしたりしなくてよいので、ほとんどの船にそのまま採用でき接岸できる岸壁の問題も含め経済性が良い。
ハ.燃料代の節約になり、環境にも優しくイメージアップにもつながる。
ニ.風がない場合の速力が遅くても構わなければディーゼル機関を小型に出来、その設備費が浮いた分と燃料費の節約分より安く本発明が作れそうなので産業上大きな貢献が出きる。
ホ.操帆やそれに伴う操船の必要がなく台風のときに帆を下ろす程度の手間ですむので大幅に人件費の節約になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を後ろから見た図とその説明
【図2】本発明を上から見た図とその説明
【図3】反転する翼形の断面図とその説明
【図4】本発明の側面図
【図5】タッキングしている状態を示す分解斜視図
【図6】本発明の斜視図とその説明
【符号の説明】
1 横滑りが少ない車又は船
2 マスト
3 主帆
4 補助帆
5 マスト回転軸
6 翼形反転軸
7 帆
8 風向回転軸
9 ワイヤー
10 ピニオン
11 ラック
【産業上の利用分野】
この発明は、風力を利用して移動する車または船に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、帆を使って風を受け、傾きながら進む帆船やヨットはあった。また艇内の重りとマストが傾き船体を大きく傾斜させないヨットの帆装構造はあった(例えば、特願平7−6698参照)。 また傾いた帆を持ち揚力を斜め上に受けるため、傾く必要がないヨットはあった(例えば、特公平7−88199参照)。 またコンピュータと別動力を使い操帆する装置はあった(例えば、特願平08−018957参照)。また対称翼形をした帆で前後の補助翼を動かして翼形を反転させるものはあった(例えば、特願平05−135722、特願平04−248765参照)。また帆布に風を受けて自動的に翼形を反転する普通の帆はあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(イ)風を受けて傾くときに発生する復元力の分だけ風を受ける構造のため、傾くと危険であったり不快となる船には不向きであった。また縦長いキールの先に付けた重りや推進力を復元力に変換する斜めの船腹などのため、客船・フェリー・貨物船・タンカー・漁船などの経済効率を重んじる普通の船では風力を利用できなかった。
(ロ)傾いた帆により斜め上に揚力を発生させたり凧に引かせたりすれば船が傾く必要は無いが、船の中心線からずれた位置に帆や凧があり、風の変化で上下左右に力がかかり、大きな回転モーメントが発生する。このため波に当たるまたは水に落ちるなどして壊れる、進行速度や進行方向が急に変わるなどの問題点があった。
【0004】
(ハ)コンピュータと別動力を使って操帆を行うと構造が複雑で割高となった。(ニ)ロープで繰帆を行うと24時間人が付いていなければならなかった。
(ホ)一般に低速で効率が良いとされる翼形は、翼形の平均線が円弧を描き後縁付近だけわずかにS字カーブを描くという特徴を持つが、左右対称翼の前後の補助翼だけを動かして翼形を反転させると、これとかけ離れた翼形となり効率が悪くなった。
(ヘ)普通の帆の様に膜に風を受けて風下側に湾曲し翼形を反転させる方法だと迎角が小さいときに裏帆を打つため、ある程度以上風上に切り上げて進めずそのときの速度も裏帆を打つ角度に制限され、大型船の実用的な速度が出せずレジャーや競技用に用途が限られてしまった。
本発明は、以上の欠点を解決するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
図1及び図4に示すように、横滑りが少ない車又は船(1)にほぼ垂直なマスト回転軸(5)を設けその上に後方に傾いたL字形をしたマスト(2)を立て、その下部が大きな主帆(3)となるように翼形反転軸(6)と帆(7)の組み合わせを複数設ける。その上部に主帆(3)と左右反対に揚力が発生する小さな補助帆(4)となるように翼形反転軸(6)と帆(7)の組み合わせをを設ける。
図2に示すように、L字形をしたマスト(2)の傾きと取り付け位置を調整することによりマスト回転軸(5)の中心軸線近くに大きな主帆(3)を設け、小さな補助帆(4)をマスト回転軸(5)の中心軸線と離して、しかも主帆(3)と左右反対に揚力が発生するように設けたことになるようにする。
【0006】
図3に示すように、上記のL字形をしたマスト(2)の縦棒部は非対称翼形前縁側の形に近似した断面とし、これに翼形反転軸(6)を介して取り付ける帆(7)は断面が非対称翼形の残りの形とする。
図4及び図5に示すように、L字形をしたマスト(2)の角に設けた風向回転軸(8)と翼形反転軸(6)にワイヤー(9)を掛け、風向回転軸(8)にピニオン(10)を設け、タッキングやジャイビングのときに噛み合うように横滑りが少ない車又は船(1)のマスト回転軸(5)前の位置にラック(11)を設ける。
本発明は、以上の構成よりなる風力推進装置である。
【0007】
【作用】
上記の欠点を解決するためには、ほとんどの回転モーメントが吹き流し状態で釣り合いがとれることと、裏帆を打たない反りがきつい翼形を持つ帆が風向きに合わせて自動的に反転すること。これらが実現出来れば全て解決すると思われるので、以下にすべての回転軸についてと裏帆を打たない翼形反転帆ならびに自動的に翼形を反転させる方法をのべる。
【0008】
進行方向の回転軸については、図1に示すように見かけの風向きの回転軸に対して主帆(3)と補助帆(4)が左右反対に揚力を受け回転させようとし、船底のキールが補助帆(4)と同じ方向に力を受け回転を止めようとする。図6に示すように見かけの風向きの回転軸に対して回転モーメントが釣り合うようにすると進行方向の回転軸と見かけの風向きの回転軸とのずれの分が推進力となる。また推進力が船の加速や抵抗と釣り合えば、進行方向および見かけの風向きの回転軸について傾かずに釣り合う。ただし帆が受ける空気抵抗があるので見かけの風下側に傾く。斜め後ろから風を受けて船が進み、見かけの風向きが真横になった場合空気抵抗が船を横転させようとする力となるが、帆の揚抗比がより高く艇速もより速い効率の良ものになればなるほど横転させようとする力は小さくなる。
たとえば、グライダーのようにわずかな上昇気流だけで飛び続けられるほどその揚抗比は高くできる。
【0009】
上下方向の回転軸については、図2に示すように揚力が大きい主帆(3)の揚力中心をほぼ垂直なマスト回転軸(5)の近くに、揚力が小さい補助帆(4)の揚力中心をマスト回転軸(5)と離すことによって回転モーメントが釣り合うようにする。
【0010】
図6に示すように左右方向の回転軸については、見かけの風向きが前よりの場合、帆が受ける空気抵抗により舳先を上に上げる方向にわずかに傾き、後ろよりの風の場合マスト回転軸(5)の回転範囲を制限し帆掛け船のようにするので舳先を下に下げる方向に傾く。 なお、ここで言う揚力とは翼形の説明で使われる用語で飛行機の場合上向きに働くので揚力であり、帆船の場合は横向きに働く、また見かけの風向きは車や船の速度が増すと進行方向よりとなること、さらに船は前後方向に傾きにくいことは言うまでもない。
【0011】
裏帆を打たない反転帆については、図3に示すように平均線が円弧を描く低速小迎角用翼形が理想で、膜構造ではないので当然裏帆は打たない。翼形の前縁付近は丸くしかも迎角の分、角度が変わって見られるので対称形のままでも非対称翼形の一部と見なしうる。そこでこの部分をマスト(2)とした。また、空気抵抗が小さく、迎角が大きいと空気がはがれ易い乱流翼を採用し乱流をおこすきっかけとなる継ぎ目を活かして、マスト(2)に翼形反転軸(6)をほぼ直角に取り付けこれを介して帆(7)を取り付けることにより翼形をほぼ理想形のまま反転できるようにした。
【0012】
翼形を自動的に反転する方法については、図4及び図5に示すようにタッキングやジャイビングのさいにマスト(2)と帆(7)がマスト回転軸(5)で回転し、舳先を向いたときマスト(2)の風向回転軸(8)に設けたピニオン(10)と横滑りが少ない車又は船(1)に設けたラック(11)とが噛み合い自動的に反転する。風が弱すぎて反転させる力もない場合も考えられるが、その場合は反転させる必要もない。
【0013】
本発明を使用するときは、空気と水面または空気と地面が相対的に動いているとき、つまり風があるときに船や車などの横滑りし難く前後に軽く動くものの上に立てて使用する。
【0014】
見かけの風向が風上真っ直ぐから限界切り上げ角までは有効に機能しない。
見かけの風向が限界切り上げ角からほぼ真横までは主帆(3)が常に進行方向側に揚力を発生し、補助帆(4)が反対向きに主帆(3)より小さい揚力を発生させる。この揚力の差が推進力のもととなる。垂直軸の回転モーメントについては、回転軸の近くに主帆(3)が有り、遠くに補助帆(4)があるため釣り合う。
見かけの風向がほぼ真横から真後ろまでは、帆掛け船と同じであり、横滑りが少ない車又は船(1)が速度を増すと見かけの風向きは前よりとなるので前述の範囲に入っていく。
【0015】
どの場合でも繰船や繰帆の必要が無く船もほぼ傾かない。大型船が別の動力を使い、すでに実用的な速度で動いている場合でもほとんどの風向において推進力となる。風力を推進力に変えるエネルギー変換効率は、逆向きの帆の分一見悪そうに思えるが、ホッケースティックのようにして横滑りが少ない車又は船(1)を直接加速しており全体としては高くなる。
また経済効率は非常に高い。風には費用が掛からないし海上ではいくらでも吹いている、操船や操帆の費用も必要ない、有害な傾きや揺れもない、設備費と燃費の節約分との比較で設備費が割安であれば全ての船に採用される可能性があり産業上の利用価値は計り知れない。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例をのべる。
船、車など前後に移動しやすく横滑りし難いものの中心線付近で横滑りに対する抗力の中心より少し前にほぼ垂直なマスト回転軸(5)設け、すこし舳先よりにラック(11)を設けて本発明を使用する。
右後ろからの風の中で発信した場合を例に取り以下説明する。
【0017】
前を向いていた本発明の主要部は右後ろからの風をうけ時計回りに回転しマスト回転軸(5)の回転範囲の限界である右やや後方に向いて止まる。前を向いていた時、帆(7)は水平の位置にありピニオン(10)とラック(11)は噛み合った状態である。右後ろからの風を受け本発明の主要部が回転すると帆(7)は後ろから見て右に回転して左に揚力が発生する向きで止まる。右後ろからの風の内、前向きの分力だけを帆掛け船のように受け、前やや右よりに力を受ける。この力が推進力と舳先を下げる力とになり、加速度と復元力とに釣り合う。
【0018】
加速して右後ろからの風の内、前向きの部分の速度を越えると真横から右斜め前の角度で風を受けるようになる。本発明の主要部は回転範囲の限界を離れ吹き流し状態となる。それにも関わらず主帆(3)の迎角は反対向きに揚力が発生する補助帆(4)により保たれ、補助帆(4)の迎角は反対向きに揚力が発生する主帆(3)により保たれる。主帆(3)は前やや左向きに揚力を発生させ、補助帆(4)は後ろやや右向きに揚力を発生させる。この二つの力によりホッケースティックで押すように推進するので船は傾かない、その分抵抗が少ない船にすることができ、もしそのような船ならさらに加速する。やがて限界切り上げ角が近づき加速できなくなり一定速度となる。
【0019】
【発明の効果】
イ.本発明を使用することによって無料で幾らでも吹いている風から、ほとんど船を傾かせず安定して推進力を得ることができる。
ロ.縦長のキールの先に重りを付けたり、船体を特殊な形状にしたりしなくてよいので、ほとんどの船にそのまま採用でき接岸できる岸壁の問題も含め経済性が良い。
ハ.燃料代の節約になり、環境にも優しくイメージアップにもつながる。
ニ.風がない場合の速力が遅くても構わなければディーゼル機関を小型に出来、その設備費が浮いた分と燃料費の節約分より安く本発明が作れそうなので産業上大きな貢献が出きる。
ホ.操帆やそれに伴う操船の必要がなく台風のときに帆を下ろす程度の手間ですむので大幅に人件費の節約になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を後ろから見た図とその説明
【図2】本発明を上から見た図とその説明
【図3】反転する翼形の断面図とその説明
【図4】本発明の側面図
【図5】タッキングしている状態を示す分解斜視図
【図6】本発明の斜視図とその説明
【符号の説明】
1 横滑りが少ない車又は船
2 マスト
3 主帆
4 補助帆
5 マスト回転軸
6 翼形反転軸
7 帆
8 風向回転軸
9 ワイヤー
10 ピニオン
11 ラック
Claims (4)
- 横滑りが少ない車又は船(1)の上に大きな主帆(3)を立て、主帆(3)のさらに上方に主帆(3)と左右反対に揚力が発生するように小さな補助帆(4)を設けることを特徴とする風力推進装置。
- ほぼ垂直なマスト回転軸(5)の中心軸線近くに、大きな主帆(3)を設け、マスト回転軸(5)の中心軸線と離して小さな補助帆(4)を、しかも主帆(3)と左右反対に揚力が発生するように取り付けることを特徴とする自動操帆装置。
- 非対称翼形前縁側の形に近似した断面をもつマスト(2)に翼形反転軸(6)を設け、翼形反転軸(6)に断面が非対称翼形の残りの形をした帆(7)を設けることを特徴とする翼形反転装置。
- 請求項3の翼形反転軸(6)と風向回転軸(8)にワイヤー(9)を掛け、風向回転軸(8)にピニオン(10)を設け、横滑りが少ない車又は船(1)にラック(11)をタッキングやジャイビングのときに噛み合うように設けることを特徴とする自動翼形反転装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002363095A JP2004161224A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 風力推進装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002363095A JP2004161224A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 風力推進装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004161224A true JP2004161224A (ja) | 2004-06-10 |
Family
ID=32809803
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002363095A Withdrawn JP2004161224A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 風力推進装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004161224A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014218097A (ja) * | 2013-05-01 | 2014-11-20 | 矢継 正信 | 回転翼帆 |
JP2015530314A (ja) * | 2012-10-05 | 2015-10-15 | ソーラー セイラー ピーティーワイ リミテッドSolar Sailor Pty Ltd | 拡開剛性翼 |
CN109070974A (zh) * | 2016-04-13 | 2018-12-21 | 斯特拉姆巴有限责任公司 | 用于航海设备的桅装置 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002363095A patent/JP2004161224A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015530314A (ja) * | 2012-10-05 | 2015-10-15 | ソーラー セイラー ピーティーワイ リミテッドSolar Sailor Pty Ltd | 拡開剛性翼 |
JP2014218097A (ja) * | 2013-05-01 | 2014-11-20 | 矢継 正信 | 回転翼帆 |
CN109070974A (zh) * | 2016-04-13 | 2018-12-21 | 斯特拉姆巴有限责任公司 | 用于航海设备的桅装置 |
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