JPH06305143A - 液体吐出方法、液体吐出ユニットおよびインクジェット記録装置 - Google Patents

液体吐出方法、液体吐出ユニットおよびインクジェット記録装置

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JPH06305143A
JPH06305143A JP5097781A JP9778193A JPH06305143A JP H06305143 A JPH06305143 A JP H06305143A JP 5097781 A JP5097781 A JP 5097781A JP 9778193 A JP9778193 A JP 9778193A JP H06305143 A JPH06305143 A JP H06305143A
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liquid
foaming
ejection
interface
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Application number
JP5097781A
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English (en)
Inventor
Hideki Tanaka
秀樹 田中
Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Masayoshi Tachihara
昌義 立原
Katsuhiro Shirota
勝浩 城田
Genji Inada
源次 稲田
Tsunesuke Yamamoto
恒介 山本
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱エネルギーによる気泡の生成によって液体
を吐出する吐出方法において、発泡の効率化および熱エ
ネルギーの吐出媒体に対する影響の排除を図る。 【構成】 吐出媒体1103と発泡媒体1104とをそ
れぞれの目的に適した異なる性質の媒体で構成し、これ
らを、液路1101において界面1105を介して分離
した状態で保持する。吐出動作に伴なって移動する界面
1105の位置を、液路1111,1112および流路
1113,1114を流れる媒体流によって制御し、気
泡生成時には常に発熱素子1102より前方にあるよう
にする。これにより、気泡生成は、発泡媒体1104に
おいてのみ行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液体吐出方法、該方法
を用いた液体吐出ヘッドおよびインクジェット記録装置
に関し、詳しくは、熱エネルギーの作用によって発生す
る気泡により液体を吐出する方法、該方法を用いた液体
吐出ユニットおよびインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体吐出方式を用いる分野として、イン
クジェット記録ヘッドやこれを用いたインクジェット記
録装置が広く知られている。インクジェット記録方式
は、種々の記録方式の中でも低騒音,低消費電力等を特
徴とするものである。
【0003】このインクジェット記録方式の代表的なも
のとして、圧電素子を用いる方式および熱エネルギーを
利用する方式が知られている。
【0004】圧電素子を用いる方式は、圧電素子の振動
をインクに伝えることにより吐出を行う方式である。例
えば特公昭51−39495号公報に示されるごとく、
貯液槽とオリフィスと(吐出口)の間の導管に電気音響
変換器を取付け、この変換器に電気パルスを与えてイン
クを吐出する方式や、特公昭53−45698号公報に
示されるごとく、液室が二室に分かれており、そのうち
の内室に圧電素子を用いた圧力発生手段が連絡し、外室
に吐出口が形成され、圧力発生手段により内室の圧力を
増加させることで吐出を行う方式等が知られている。
【0005】しかし、上記方式は、圧電素子や導管のサ
イズの極小化に限界があるため、記録画像の分解能に相
対的な高密度化が困難であるという課題を有している。
【0006】これに対し、発熱ヒータが発生する熱エネ
ルギーをインクに付与して気泡を生成し、生成時の圧力
でインクの吐出を行う方式は記録ヘッドを半導体プロセ
スで製作することができ高密度化が可能である等の利点
を有する。
【0007】しかし、このような熱エネルギーを利用す
る吐出方式にも以下に示すような各観点で改善すべき課
題が存在することが従来より知られ、また、これを解決
すべき種々の提案がなされている。
【0008】1)発熱ヒータ上の析出物 発熱ヒータによりインクを直接加熱するため、インク中
に不純物として多量の多価金属イオンが混入されていた
り、色材として使用する染料の耐熱温度が低い場合に
は、発熱ヒータ上に異物が析出することがある。このよ
うな場合には、精製によりインク中の多価金属イオンを
取り除く必要があり、また、耐熱性の高い染料を使用し
なければならない。このため、インクについて、余分な
処理を必要としたり、染料選択の幅が限られているとい
った課題が存在する場合がある。
【0009】このような課題を解決するため、例えば特
公昭61−58312号公報に示されるように、供給源
から吐出口に導いた被加熱液体を記録信号により加熱気
化し吐出させるとともに、吐出流の流速に対応した負圧
で吐出口近傍に導いた記録用液体を吸引して吐出口から
液滴として吐出させる方式が知られている。この方式に
よれば、低沸点の液体を被加熱液体として用いることが
できるので、省電力化できるとともに記録用液体を直接
加熱しないため、インクの変質を防止できるとしてい
る。
【0010】2)記録画像の印字品位および記録媒体の
定着性 水系インクを用いる場合には、インク中の水分が蒸発し
てインクの組成が変化すると、粘度が増加し吐出不良を
発生させることがある。これを改善する手段として、ジ
エチレングリコール,グリセリン等の低蒸気圧溶剤をイ
ンク中に添加する方法が一般的にとられている。しか
し、このような溶剤の添加量の増加に伴なって、コピー
用紙等のいわゆる普通紙に印字した場合の印字品位が低
下する(記録ドットのにじみ)といった問題が発生す
る。
【0011】また、水系インクを用いてコピー用紙等の
いわゆる普通紙に記録した場合、その普通紙の種類によ
っては、吐出されたインクが紙の繊維内部に浸透するま
でに時間を要し、定着時間が比較的長くなり、場合によ
っては、排紙等に伴なってプリンタのカバー等で印字が
擦れて汚れたり、ユーザーの手等をインクで汚す場合が
あるといった定着性の問題を生じる。
【0012】この問題に対して、表面張力等、インクの
物性を調整して浸透を促進させることでこのような問題
を解決することが考えられるが、記録ドットがにじんだ
り、印字物の濃度を低下させるなどの問題を生じること
があった。このうち、印字物のにじみに関しては、イン
ク中に樹脂等のバインダ類を添加してにじみの発生を抑
える手段が考慮されるが、その効果が認められる程度の
量を添加すると、インク粘度の増大を招き、その結果吐
出特性に影響を与えたり、場合によっては不吐出になっ
たりすることがある。
【0013】以上のような印字品位および定着性の問題
に関しては、本願人が特願平3−249217号におい
て提案した常温で固体のインクを用いることで改善する
ことができる。
【0014】3)記録に必要なエネルギー 従来の熱エネルギーを用いる記録方法では、1ドットを
記録するのに数μJから10μJ程度のエネルギーを必
要とする。また、1つの液滴を吐出させるために数10
0mAの電流を必要とする。このような電流値等の大き
さは電源等の仕様に関与し、電流値が小さければ小さい
ほど程記録装置のコストやサイズを低下させることがで
きる。従って、吐出に要するエネルギーや電流値の減少
は、記録装置のコンパクト化や低コスト化にとって有利
となる。
【0015】記録液の吐出に必要なエネルギーを減少さ
せるための工夫としては、例えば、特開平4−1071
48号公報において示されるように、記録液中に含まれ
る水分を電気分解し、水素と酸素の合成気体を瞬間的に
燃焼させて水蒸気からなる気泡を発生させ、この気泡の
体積膨張により吐出する方法が知られている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上挙げた各観点につ
いての問題を解決するための提案については、しかしな
がら、さらに以下に示すような課題がある。
【0017】1)特公昭61−58312号公報による
記録方法において、被加熱液体の流速によって定まる負
圧によって記録用液体を吸引するため、流速が変化する
と、吸引量も変化し、ひいては吐出する記録用液体の量
が変化して画像の濃度が変化することがある。また、被
加熱液体が加熱気化して記録用液体とともに吐出される
ため、記録紙上でにじみが生じ、画像品位が落ちる場合
がある。
【0018】2)特願平3−249217号において提
案した常温で固体のインクを用いる方法においては、通
常良く知られている常温で固体のパラフィンワックス,
カルナバワックス,キャンデリラワックス等の多くのワ
ックス類が熱エネルギーを吐出エネルギーへと変換する
特性に劣り単独では使用することができないため、上記
変換特性を促進するような媒体との併用が必要であり、
そのような固体インクについての新たな技術開発が必要
となる。
【0019】3)特開平4−107148号公報に示す
水素と酸素の混合気体の燃焼により熱エネルギーを得る
方法では、発泡媒体と記録媒体は同一のものであるた
め、色材が酸性染料,直接染料、あるいは塩基性染料等
の一般的な水溶性染料である場合は、電気分解に用いる
陽極または陰極に染料自体が析出し、これが電極上に付
着して電気分解が行われなくなるという問題を有してい
る。
【0020】本発明は、上記の各課題に鑑みてなされた
ものであり、その目的は定着性と品位の優れた画像を得
ることができる液体吐出方法,液体吐出ユニットおよび
インクジェット記録装置を提供することにある。
【0021】本発明の他の目的は、発熱ヒータ上の析出
物を生じさせず、長期に安定した記録を行うことができ
る液体吐出方法,液体吐出ユニットおよびインクジェッ
ト記録装置を提供することにある。
【0022】本発明のさらに他の目的は、できる限り少
ないエネルギーで液体を吐出できる液体吐出方法,液体
吐出ユニットおよびインクジェット記録装置を提供する
ことにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
熱エネルギーによる気泡の生成によって液体を吐出する
ための液体吐出方法において、前記液体として吐出され
る吐出媒体と前記気泡の発泡の媒体となる発泡媒体と
を、当該2つの相が実質的に分離した状態で用意し、前
記発泡媒体に熱エネルギーを付与して気泡を生成し、当
該気泡の生成によって生じる圧力を前記吐出媒体に作用
させて当該吐出媒体を吐出させる、各ステップを有した
ことを特徴とする。
【0024】また、熱エネルギーによる気泡の生成によ
って液体を吐出するための液体吐出ユニットにおいて、
前記液体として吐出される吐出媒体と前記気泡の発泡の
媒体となる発泡媒体とを、当該2つの相が実質的に分離
した状態で保持するための液路と、前記発泡媒体に熱エ
ネルギーを付与して気泡を生成し、当該気泡の生成によ
って生じる圧力を前記吐出媒体に作用させて当該吐出媒
体を吐出させるための熱エネルギー付与手段と、を具え
たことを特徴とする。
【0025】より好適には、熱エネルギーによる気泡の
生成によって液体を吐出するための液体吐出ユニットに
おいて、前記気泡の発泡の媒体となる発泡媒体を保持す
る液路と、該液路に保持される発泡媒体に熱エネルギー
を付与し当該発泡媒体中に気泡を生成させるための熱エ
ネルギー付与手段と、前記液体として吐出される吐出媒
体を、少なくとも前記熱エネルギー付与手段が当該付与
を行うときに前記液路に保持させる吐出媒体供給手段
と、該吐出媒体供給手段により前記液路が保持する前記
吐出媒体の量を定める媒体量制御手段と、を具え、前記
熱エネルギーの付与によって当該発泡媒体中に生成する
気泡の圧力によって前記吐出媒体を吐出させることを特
徴とする。
【0026】さらに、熱エネルギーによる気泡の生成に
よって液体を吐出し、当該吐出液体により被記録材に記
録を行う液体噴射記録装置において、前記気泡の発泡の
媒体となる発泡媒体を保持する液路と、該液路に保持さ
れる発泡媒体に熱エネルギーを付与し当該発泡媒体中に
気泡を生成させるための熱エネルギー付与手段と、前記
液体として吐出される吐出媒体を、少なくとも前記熱エ
ネルギー付与手段が当該付与を行うときに前記液路に保
持させる吐出媒体供給手段と、該吐出媒体供給手段によ
り前記液路が保持する前記吐出媒体の量を定める媒体量
制御手段と、を具え、前記熱エネルギーの付与によって
当該発泡媒体中に生成する気泡の圧力によって前記吐出
媒体を吐出させることを特徴とする。
【0027】
【作用】以上の構成によれば、発泡のための媒体と吐
出媒体(記録媒体)とを分離し、発泡媒体と吐出媒体
とは液路内で直に接して界面を形成し、発泡媒体中に
発生する気泡の圧力を液路内の発泡媒体および上記界面
を介して吐出媒体に伝えるとともに、液体吐出ヘッド
内で発泡媒体と直に接する部分の吐出媒体の量、好まし
くは、上記界面の位置を制御でき、さらに吐出オリフ
ィスから吐出媒体のみを吐出させることができる。これ
により比較的安定した吐出が可能となる。
【0028】さらに詳しく述べれば、特に、上記,
の作用によって、吐出のための気泡の発生および成長
を、専ら発泡効率の高い発泡媒体において行うことがで
きるため、エネルギー損失の少ない状態で、熱エネルギ
ーから発泡エネルギーへの変換および気泡圧力の吐出媒
体への伝達を行うことができる。
【0029】また、特に、上記,の作用によって、
前述のように特公昭61−58312号公報で示される
構成によっては不可能であった、吐出媒体量の安定化を
達成できる。
【0030】さらに、上記の作用によって、吐出媒体
の増粘特性等を考慮せずに、発泡媒体、すなわち被加熱
媒体として低沸点の溶媒を用いることができ、これによ
り省電力化できるとともに、インク変質を防止できる。
【0031】加えて、液路内の吐出媒体の量を制御する
手段を有することにより、吐出される吐出媒体の量を一
定にすることができる。
【0032】さらに、上記の作用により、専ら被記録
材における記録媒体(吐出媒体)の浸透性等を考慮して
記録媒体を選択できるため、記録画像のにじみ,記録媒
体の飛び散り等のない鮮明でかつ定着性に優れた記録画
像を得ることができる。
【0033】さらに加えて、固体インク等を吐出媒体と
して用い、熱エネルギーを吐出エネルギーに変換する特
性に優れた別の発泡媒体を用いることも可能なので、固
体インクの定着性に関する利点を有効に発揮できる。
【0034】さらに加えて、吐出媒体が発泡する必要が
ないので、記録媒体として蒸発しにくい媒体を選ぶ自由
度が増し、粘度増加による吐出不良を有効に防止でき
る。
【0035】上記の作用を奏するために、以下の各実
施例で示す如く、a)発泡媒体および/または吐出媒体
の流れによる界面位置制御、b)発泡媒体および吐出媒
体の供給圧の制御、c)ぬれ姓の違いによる制御、d)
圧電素子の振動による制御、e)記録動作中に発泡媒体
の供給手段を閉じる制御等を用いることができる。
【0036】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0037】発泡媒体および吐出媒体(記録媒体) 最初に、本発明の実施例で用いることが可能な発泡媒体
および吐出媒体について説明する。本発明では発泡媒体
および吐出媒体の2種類の液媒体を用いるが、それらの
媒体の特徴を以下に説明する。
【0038】本発明で用いる発泡媒体とは、染料,顔料
等のいわゆる色材を含まず、吐出ヘッド内に配置され上
記熱エネルギー作用部1を構成する例えば電気熱変換素
子による熱エネルギーの付与によって急激な体積の増大
を伴なう状態変化を起こし、この状態変化に基づく発泡
力をヘッド先端部側に位置する吐出媒体に作用するもの
である。このような熱エネルギーを発泡エネルギーへと
変換する媒体として、水、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアル
コール、2−ブチルアルコール等のアルコール類、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、プロピレング
リコール、1,3−プロパンジオール、ヘキサントリオ
ール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、γブチ
ロラクトン、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチル
プロピオンアミド等の含窒素化合物、プロピレンカーボ
ネート、エチレンカーボネート等の環状エーテル化合
物、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエー
テル等のグリコールエーテル類等を好ましく用いること
ができる。
【0039】ここに挙げた以外の物質でも、熱エネルギ
ーの付与によって得られる発泡パワーの大きな物質は本
発明の発泡媒体の構成成分として用いることができる。
特に、双極子モーメントの大きな物質、好ましい範囲と
しては、1.0D以上、さらに好ましくは1.4D以上
のもの、あるいは、蒸気圧の高い物質、好ましい範囲と
しては、常温(25℃)における値が5mmHg以上、
さらに好ましくは10mmHg以上のものは熱エネルギ
ーを発泡エネルギーへと変換する機能に優れ、好ましい
ものである。
【0040】これら発泡成分として用いられる物質は、
単独もしくは数種類のものを混合して用いることができ
る。また、エチレンカーボネート、アセトアミドのよう
に常温で固体の物質も液体物質との併用、または吐出ヘ
ッドの加熱等の手段により液体物質と同様に使用するこ
とができる。
【0041】このような発泡パワーの大きな物質を少な
くとも1種類含有して作成した発泡媒体の好ましい処方
例を以下に示す。
【0042】 (処方例1−1) 純水 70% ジエチレングリコール 30% (処方例1−2) エチレンカーボネート 90% 純水 10% (処方例1−3) プロピレンカーボネート 30% 1−ブチルアルコール 70% (処方例1−4) エチレングリコール 30% エチレンカーボネート 50% 純水 20% (処方例1−5) プロピレンカーボネート 70% エチルアルコール 30% (処方例1−6) アセトアミド 40% エチレンカーボネート 50% 1,3−プロパンジオール 10% (処方例1−7) ラウリン酸 30% n−ペンチルアルコール 70% (処方例1−8) 純水 100% 次に、本発明で用いられるもう一つの液媒体、すなわち
吐出媒体について説明する。
【0043】本発明の吐出媒体は、以下の各実施例で示
すように、記録装置における記録液(インク)であり、
染料,顔料等の色材を含有し、被記録材上に付着して画
像形成に用いられる。
【0044】本発明では、この色材を含有する吐出媒体
(記録媒体)を発泡させる必要がなく、従って前述の発
泡媒体の選択および駆動方法(パルス電圧の印加方法)
の最適化等と、記録媒体の定着性、印字品位等とをそれ
ぞれ独立に考慮することができ、例えばヘッド駆動等の
吐出特性の面で問題のあった記録媒体でも吐出ヘッドよ
り吐出させて良好な記録画像を形成することが可能とな
る。
【0045】本発明で好ましく使用される記録媒体とし
ての処方例としては、以下のものを挙げることができ
る。
【0046】 (処方例2−1) C.I.ソルバント ブラック 3 10% カルナバワックス 70% ラウリン酸 20% (処方例2−2) C.I.ソルバント ブラック 3 8% キャンデリラワックス 68% 1−オクタノール 24% (処方例2−3) カーボンブラック 9% 紺青 3% ギルソナイト・鉱油ワニス 12% 石油樹脂ワニス 9% 鉱油 67% (処方例2−4) C.I.ピグメント レッド 122 10% 炭酸カルシウム 11% ニトロセルロース 8% マレイン酸樹脂 15% フタル酸ジオククチル 3% イソプロピルアルコール 40% 酢酸エチル 10% トルエン 5% ポリエチレンワックス 1% (処方例2−5) C.I.フード ブラック 2 5% ジエチレングリコール 18% エチルアルコール 6% ヘキサグリセリルジステアレート 0.3% 純水 70.7% 上記の処方例のうち、処方例2−1および2−2は常温
で固体であるため、記録ヘドに設けられた所定の加熱ヒ
ータにより液化して吐出させる必要があるが、被記録材
上で液体から固体への相変化が瞬時に進行するため、印
字品位、定着性ともに良好であり好ましい。
【0047】処方例2−3,2−4は常温で液体である
ため、記録媒体の定着、乾燥は主に被記録材への浸透に
より進行する。そのため、被記録材としては紙等の吸収
性のあるものが好ましい。
【0048】上記の他にも、以下に示した手段により定
着性を改善した記録媒体を本発明の記録媒体として使用
することができる。
【0049】・紫外線硬化型インク 紫外線照射によって起こるビヒクルの重合反応によって
定着するインク ・赤外線乾燥型インク 赤外線照射によって被記録材上で高粘度成分、低粘度成
分の分離が生じ、その結果低粘度成分が選択的に被記録
材中に浸透して定着が完了するインク ・電子線硬化型(EB)インク 高エネルギーの電子線照射によって瞬時に硬化、乾燥す
るインク・スチーム(モイスチャー)セット型インク ・スチーム(モイスチャー)セット型インク 印字後、水蒸気を吹きかけることで樹脂が析出、沈殿し
定着するインク 本発明の吐出方法は、吐出ヘッド中で発泡媒体と吐出媒
体とが接する箇所があり、そこで界面が形成されるた
め、両媒体が互いに混じりあず、実質上不溶であること
が望ましい。このような条件を満たすには、発泡媒体と
吐出媒体との間の界面張力が10dyne/cm以上、
好ましくは15dyne/cm以上になるよう、各媒体
を選択するのが好ましい。
【0050】(実施例1)図1および図2は本発明の第
1の実施例を表す図であり、図1は本発明の実施例1に
おける記録ヘッドの模式的断面図、図2(A)〜(D)
はインク吐出の状態を説明するための記録ヘッドの模式
的断面図である。
【0051】図1において、液路9101は吐出方向に
延在し、その先端に吐出口(オリフィス)9106を開
口している。液路9101は図1の紙面と垂直方向に複
数形成されている。発熱素子(電気熱変換素子)910
2は抵抗体等により形成され液路9101の底部に設け
られる。インク9103は吐出されて被記録材に着弾し
画像や文字等を形成するための記録媒体(吐出媒体)で
あり、液路の前方に充填されている。発熱媒体9104
は発熱素子9102による加熱により容易に発泡を生じ
る液体であり、液路の後方に充填されている。上記2つ
の発泡媒体9104および記録媒体9103は発熱素子
9102の前方で界面9105を形成する。
【0052】記録媒体9103は供給液路9111を介
して液路9101に供給され、また、流路9112を介
して流出できる。同様に、発泡媒体9104は供給液路
9113を介して液路9101に供給され、また、流路
9114を介して流出できる。
【0053】本例の記録ヘッドは、シリコンウェハの基
板上に発熱抵抗体および発熱抵抗体への配線パターン
(不図示)等を形成し、さらに保護膜等を形成し、これ
らにより発熱素子9102が形成される。また、樹脂等
により、液路9101、供給路9111,9113およ
び流路9112,9114が形成される。記録媒体供給
流路9111および発泡媒体供給流路9113は各々の
供給タンク(不図示)に通じており、これらを介して媒
体9103および9104がそれぞれ液路9101に供
給される。同様に、記録媒体流路9112および発泡媒
体流路9114は、上記各々の供給タンクに通じてお
り、これにより、それぞれの媒体9103および910
4が循環される。
【0054】ここで、記録媒体9103は例えば上記で
示した処方例2−1であり、被記録材に着弾したときに
形成される画像や文字などが、その品位や、耐候性およ
び耐水性等すなわち画像の堅牢性に優れたものが選択さ
れている。また、発泡媒体9104は例えば上記で示し
た処方例1−1であり、記録ヘッドの液路9101内で
発熱素子9102の温度上昇によって容易に発泡現象が
引き起こされる媒体であって、常に安定した発泡を生
じ、かつ発泡後の消泡時の衝撃が小さく、衝撃による発
熱素子の破損を防止でき、さらに不純物による発熱素子
のこげを起こさないような媒体が選択される。また、発
泡媒体9104は記録媒体9103とは異なり染料など
を含んでおらず透明である。
【0055】以上のように、いずれの媒体も各々の機能
に適したものが選択されている。
【0056】上記2つの記録媒体9103および発泡媒
体9104は、液路9101内において界面9105を
形成し、その界面9105での界面張力は10dyne
/cm以上に保たれる。記録媒体流路9112および発
泡媒体流路9114から、各々循環される各媒体は記録
ヘッド内で一時的に混合することもあるが他の流路や供
給タンクが個々に設けられそれぞれの媒体は分離した状
態にある。
【0057】次に、図2(A)〜(D)を参照して、本
例の記録ヘッドにおける一連の吐出動作を説明する。
【0058】図2(A)は発熱の直前の状態を示し、こ
のとき、発熱素子9102には電気パルスは印加されて
いない。ここで両媒体の界面9105は流路9111,
9112と流路9113,9114との間に位置してい
る。ここで、発熱素子9102に発泡が必要なパルスが
印加される。この印加パルスは、発熱素子9102の温
度上昇が発泡に必要なエネルギーを供給できるものであ
り、電圧とそのパルス幅等で規定することができる。な
お、発泡に必要なエネルギーを効率よく発生させる方法
として、発泡の前に発泡しない程度のプレパルスを加え
る方法もある。
【0059】こうして発熱素子9102に発泡に必要な
電気エネルギーを有するパルスが印加されると、図2
(B)に示すように、発泡媒体9104の発熱素子91
02に接している部分より沸騰現象が生じてその気泡が
成長し、同時に、この気泡の成長に伴ない記録媒体91
03のメニスカスは吐出口9106の前方に突出する。
ここで両媒体の界面は発泡に伴ない前方に移動し、図に
示すように流路9111,9112よりも前方に位置す
る。
【0060】次に、図2(C)に示すごとく、パルスの
印加が終了するとともに発泡した気泡は消泡する。この
消泡に伴なって突出していた記録媒体9103は、2つ
に分離し前方の部分は記録インク液滴9201となって
前方に飛翔する。また、分離した他方の記録媒体910
3は消泡時の負圧によりその、メニスカスが液路内部後
方に後退する。また、界面9105は、メニスカスの後
退とともに液路内部後方に後退し、図2(A)に示すの
と同様両媒体の流路の間に位置する。
【0061】次に、この図2(C)に示す状態から、記
録媒体9103がリフィルされてメニスカスは液路先端
の吐出口9106の近傍へ移動する。この移動は、液路
9101の先端近傍の毛管力によって行われ、このとき
メニスカスが液路先端の吐出口近傍に安定的に位置でき
るよう、供給タンクの圧力は多少の負圧になるように設
定されている。すなわち、図2(C)に示す状態から
は、自然と記録媒体9103および発泡媒体9104の
両方が各流路より供給されることになる。しかしなが
ら、この状態で液路内部は各媒体でリフィルされている
が両媒体の界面の位置は不定な状態にある。
【0062】そこで、図2(D)の矢印で示すごとく、
各媒体供給流路9111および9113からそれぞれ流
路9112および9114に向う各媒体の流れを作り出
す。これにより両媒体の界面を両流路の間に位置するよ
うに制御する。この流れによる制御は、始めに記録媒体
の流路から加圧を行い、多少遅れて発泡媒体の流路を加
圧することにより行われる。なお、これらの加圧は例え
ば供給タンクから吐出ヘッドに配設される各供給流路の
途中に設けられるポンプ等、公知の手段によって行うこ
とができる。この流れ制御によって図2(A)に示す状
態に戻り再び吐出が可能な状態となる。
【0063】上記図2(A)から(D)の動作を繰り返
すことにより、被記録材上に対して吐出を行うことによ
り画素を形成していく。
【0064】ところで上記説明においては、図2(C)
の状態でインクタンクの負圧によるリフィルを行ってか
ら加圧媒体流による両媒体界面の位置制御を行ったが、
吐出が行われた直後、すなわち、電気パルス印加終了後
直ちに加圧による制御を行っても、同様の効果が得られ
ることはいうまでもない。また、記録媒体が染料等を含
んでおり不透明であるのに対して発泡媒体は透明である
ので、例えば両流路9112および9114の先に光セ
ンサを設け、これを検知する光量によっていずれの媒体
があるのかを知ることができ、これにより界面位置の制
御がより安定したものとなる。
【0065】上記構成では、記録媒体9103および発
泡媒体9104を液体の流れによって界面の位置を制御
することにより、発泡は常に発泡媒体の内部において起
こり、かつ吐出されるのは常に記録媒体となる。
【0066】(実施例1の変形例1)図3は上記実施例
1の第1の変形例を示す記録ヘッドの模式的断面図であ
る。図1,図2で示した要素と同様の要素には同一の番
号を付し実施例1と相違する部分についてのみ説明す
る。
【0067】図3に示すように、本例では、実施例1に
示す構成から発泡媒体供給流路9113および9114
が除かれ、発泡媒体9104は液路9101の後方より
供給される。また、本実施例において記録媒体9103
および発泡媒体9104は上記実施例1で示したものと
同じものを用いる。
【0068】本実施例では記録媒体9103で吐出した
後、液路9101の後方および記録媒体流路9111,
9112よりリフィルが行われるが、吐出直後のメニス
カスが後退している間に、すなわち、両媒体の界面が記
録媒体流路より後方に位置している間に、記録媒体供給
流路より記録媒体9103に加圧を行い流れを作り出
し、この流れで両媒体の界面の位置を制御する。なお、
本実施例においても上記実施例1と同様に、記録媒体流
路9112の先に光センサなどを設けておくことにより
界面の制御が適切に行われているか否かの確認が可能で
ある。
【0069】(実施例1の変形例2)図4は実施例1の
第2変形例を示す記録ヘッドの模式的断面図である。
【0070】本実施例では、発熱素子9102が、吐出
口9106に対向する位置に設けられており、その他は
上記実施例1と同様の構造である。また、本実施例にお
いて記録媒体9103および発泡媒体9104も実施例
1で用いられたものと同じものを用いる。なお、本例の
記録ヘッドは、図に示す構造が同図に対して垂直方向に
複数繰返される構成である。
【0071】(実施例1の変形例3)図5は上記変形例
1のさらに変形例を示す記録ヘッドの模式的断面図であ
る。
【0072】本実施例においても、図4の実施例同様発
熱素子9102は吐出口9106に対向する位置に設け
られており、その他は変形例1と同様の構造である。ま
た、本実施例において記録媒体9103および発泡媒体
9104も変形例1で示したものと同じものを用いる。
【0073】(実施例2)上記実施例1とその変形例で
は、媒体流によって界面位置を制御する構成を示した
が、以下の実施例では、液路等を構成する部材の各媒体
に対する濡れ性の差異等によって界面位置を制御する構
成を示す。
【0074】図6は本発明の実施例2にかかる記録ヘッ
ドの分解斜視図である。
【0075】図6に示す記録ヘッドは、3つのプレート
部材を積層することによって形成される。第1のプレー
ト部材において、ヒータ基板2101上には、上記で示
した発熱素子(以下、ヒータともいう)2102および
ヒータに電気信号を供給するための電極配線(図示せ
ず)、発泡媒体の供給口2106,記録媒体の第1の供
給口2107が形成されており、これに隔壁部材210
3を接合することにより発泡媒体のための第1の液室2
105および作用室2104が形成される。
【0076】第2のプレート部材においては、液路基板
2108上に記録媒体のための第2の供給口2110,
液路2111が形成され、これに隔壁部材2109を接
合することで記録媒体のための第2の液室2112が形
成される。
【0077】第3のプレート部材は、オリフィスプレー
ト2113に記録媒体を液滴として吐出するための吐出
口(以下、オリフィスともいう)2114が設けられて
いる。
【0078】これら第1,2,3のプレート部材を図7
に示すように順次積層することで本実施例の記録ヘッド
が形成される。
【0079】図7は図6のB−B断面を示す断面図であ
る。
【0080】発泡媒体2204は第1の供給源(図示せ
ず)に接続された第1の供給口から第1の液室2105
を介してヒータ2102が配置された作用室2104に
供給される。また記録媒体2203は第2の供給源(図
示せず)に接続された供給口2107,2110から第
2の液室2112を介してオリフィス2114付近まで
供給されメニスカス2115を形成する。
【0081】発泡媒体2204は気泡を形成できる程度
にヒータ2102上を覆っておればよく、また記録媒体
2203が流れる部分の流抵抗は、高速記録のためリフ
ィルが速やかに行われるよう小さいことが望ましい。従
って、記録ヘッドの小型化のために各隔壁部材により作
られる空間の厚さh1,h2は、h1<h2であること
が好ましい。
【0082】液路2111では記録媒体2203と発泡
媒体2204との界面2205が形成される。本実施例
では、発泡媒体2204および記録媒体2203とし
て、それぞれ上記処方例1−2の媒体および上記処方例
2−1の媒体を用いる。
【0083】図8は図7に示した液路2111付近の詳
細な構造を示す図である。
【0084】液路基板2108の第2の液室側の面22
10(以下、上面)と液路2111内はフッ素樹脂がコ
ーティングされはっ水化されている。また、各々の供給
源に接続された記録ヘッド内の記録媒体および発泡媒体
は、少なくとも静止状態でともに負圧状態に保たれてい
る。
【0085】これにより、発泡媒体と記録媒体それぞれ
の液路基板の面に対する濡れ性の差により、水性の発泡
媒体は液路2111の第1の液室2104の開口部分に
とどまり、油性の記録媒体は液路2111内を満たし、
第1の液室2104の開口部付近で発泡媒体と界面22
05を形成する。
【0086】図9(A)〜(C)は図6のA−A断面を
示し、上記構成の記録ヘッドによる記録媒体の吐出を説
明するための断面図である。
【0087】停止状態(図9(A))で、ヒータ210
2に電気信号が印加されるとヒータ2102の発熱によ
って発泡媒体2204に気泡2116が形成される。こ
のときの気泡の圧力が液路2111を介して記録媒体2
203に伝播し、オリフィス2114より記録媒体のメ
ニスカス2115が吐出し(図9(B))、さらにこれ
が液滴として分離し飛翔する。その後、オリフィス21
14から液室側に後退したメニスカス2115は、第2
の供給口からの記録媒体の供給によりオリフィス211
4に向かい前進し(図9(C))、再びオリフィス21
14近傍にメニスカス2115を形成して液滴吐出に伴
なう一連の動作を終了する。
【0088】本実施例の構成によれば、液路内部、液路
基板の上面の一部または全部をはっ水性の樹脂の塗布に
よりはっ水化することで、特別な機構を用いずに液路部
分に記録媒体と発泡媒体の界面を形成かつ保持し、この
結果、記録ヘッド内に導入する記録媒体および発泡媒体
の量を所定の値に制御することができる。
【0089】また、液路基板上での大きな濡れ性の差を
得るために、例えば図8に示す液路基板2108の作用
室2104側の面(以下、下面)をプラズマO3 処理等
により親水化してもよい。さらに、液路2111での記
録媒体と発泡媒体の確実な分離のために、液路2111
内をテフロン(商品名)樹脂のコーティング等により、
はっ水およびはっ油化してもよい。
【0090】また、記録媒体、発泡媒体をそれぞれ油性
液体、水性液体としない場合は、液路、液路基板の上面
の一部または全部を、疎発泡媒体化や親記録媒体化のた
めの処理をし、あるいは、液路基板の下面の一部または
全部を、疎記録媒体化や親発泡媒体化してもよい。
【0091】(実施例3)本実施例では液路の形状を適
切に定めることによって、記録媒体と発泡媒体との界面
を液路の所定箇所に形成する。
【0092】図10は、本発明の第3実施例に関し、図
6に示す構造と同様の構造を有する記録ヘッドにおける
液路付近の構造を示す図である。
【0093】液路基板3108は樹脂部材の表面にNi
薄膜が蒸着されて形成されている。なお、液路基板31
08は電鋳工程によりNi等の金属単体で形成してもよ
い。液路部には図に示すように、角度βのテーパ状開口
が設けられている。
【0094】角度βは次のように定めることができる。
図11のように、仮りに、少なくとも表面の材質が液路
基板と同じNi基板3617の表面に発泡媒体の滴36
18を置き、滴3618の周囲3619を記録媒体で満
たすとする。このとき、発泡媒体のNiに対する濡れ
性、記録媒体と発泡媒体との界面張力のバランスによ
り、滴3618と基板3617の接触角αが定まる。こ
の角度αと次式に基づきテーパ角度βが定められる。
【0095】
【数3】β>π−2α 本例の記録ヘッドにおいて、各々の供給源に接続された
記録媒体および発泡媒体は、静止状態でともに負圧状態
に保たれており、また両者の保持圧力はほぼ等しい。こ
の結果、発泡媒体および記録媒体の液路基板の面に対す
る濡れ性の違いおよび液路のテーパ形状により、記録媒
体と発泡媒体は図10に示すように液路3111内にお
いて界面3205を形成する。
【0096】本実施例の構成によれば、液路の開口部の
形状を、発泡媒体、記録媒体、液路基板の面の材質によ
り適切に決めることにより、特別な機構を用いずに液路
部分に、記録媒体と発泡媒体との界面の位置を安定的に
定めることができ、発泡媒体と記録媒体の機能を確実に
分離することが可能となる。
【0097】(実施例4)本例は、記録ヘッド内の記録
媒体および発泡媒体の各々の静水頭を制御することによ
り、記録媒体と発泡媒体との界面位置を液路の所定箇所
に形成する構成を示すものである。
【0098】図12(A)〜(E)は、本実施例により
各々の媒体の静水頭を変化させた場合の液路付近での界
面の状態を示す図である。
【0099】すなわち、各々の供給源に接続された発泡
媒体4204および記録媒体4203の水頭圧を各々P
1,P2とすると、記録ヘッドにおいて液滴吐出を安定
に行うために、P1,P2はともに負であることが望ま
しい。さらに、P1,P2の大小関係により静止状態で
の両媒体の界面4205は図12(A)〜(E)に示す
ように形成される。媒体の供給圧力を利用する方法で
は、両媒体の圧力の静的なバランスにより界面が安定に
保持される。この場合、界面を安定に形成し、保持しや
すくするため、好ましくは、界面を保持する領域におい
ては、液路4111のように絞り形状を有する部分を設
けることが望ましい。
【0100】本実施例においては、少なくとも図12
(B)〜(D)の状態のいずれかを得るように負の水頭
圧P1,P2の値あるいは水頭差P1−P2を所定範囲
に制御することにより、記録媒体と発泡媒体の界面42
05を液路4111の近傍に保持し両媒体を分離するこ
とが可能となる。
【0101】すなわち、界面4205を保持すべき液路
4111の断面積をS、また液路4111における媒体
の濡れ長さに相当する液路壁と接触する界面の周囲差を
L、記録媒体と発泡媒体との間の界面張力をγとすると
き、発泡媒体および記録媒体の供給圧P1,P2を次の
関係を満たすように制御すればよい。
【0102】
【数4】 |P1−P2|<γ×L/S …(1) 例えば図6において、発泡媒体および記録媒体の界面を
保持すべき液路2111が円形断面を有する場合、液路
径をdとすれば、発泡媒体および記録媒体の供給圧P
1,P2を次の関係を満たすように制御すればよい。
【0103】
【数5】 |P1−P2|<γ×4/d …(2) またオリフィス2114においてメニスカスを安定に保
持し、オリフィス面への記録媒体のしみだしを防ぐた
め、記録媒体の供給圧P2を大気圧に対し負圧に保持す
ることが好ましい。
【0104】本実施例の構成によれば、特別な機構を用
いずに液路部分の所定の領域に記録媒体と発泡媒体との
界面を形成かつ保持することができる。
【0105】なお、上記実施例2,3においても、両媒
体の界面近傍において、上記の式(1),(2)を満た
すように供給圧P1,P2を定めることは好ましいこと
である。
【0106】以上、実施例2,3および4で説明したよ
うに、液路材料の濡れ性、形状等に応じて記録媒体およ
び発泡媒体の供給圧を制御することで、記録ヘッド内に
導入する記録媒体および発泡媒体との界面位置の制御が
可能となる。
【0107】また、液滴の吐出時の流動により記録ヘッ
ド内で両媒体が界面を保持する領域の周辺で両媒体が一
時的に撹拌された場合も、供給圧が適切に制御されてい
るため、その後の液滴吐出までの時間に、再び界面を所
定位置に復帰させることができる。
【0108】さらに、以上の実施例2,3および4で
は、記録媒体と発泡媒体の界面を液路内あるいはその開
口部分に保持したが、記録媒体と発泡媒体を実質的に分
離し、オリフィス付近を記録媒体で満たしかつヒータ上
を発泡媒体で満たすことができるのであれば必ずしも両
者の界面を液路近傍に保持する必要はない。しかし、界
面をより安定に保持するためには、上記の各実施例のよ
うに、界面を保持する位置においては図6に示す液路2
111のような絞り形状を有する部分すなわち液路断面
積が極小となる部分を設けることが望ましい。
【0109】さらに、実施例3および4において、液路
基板の上面あるいはテーパ面を疎発泡媒体化や親記録媒
体化のための処理あるいは材料で構成したり、液路基板
の下面を疎記録媒体化や親発泡媒体化のための処理ある
いは材料で構成してもよい。
【0110】(実施例5)図13は本発明の第5実施例
にかかる記録ヘッドの模式的断面図である。
【0111】図において、5001は記録媒体の供給
口、5103は記録媒体、5114は吐出口を示し、ま
た、5104は発泡媒体を示し、不図示の供給口より供
給される。さらに、5011はオリフィスプレート、5
012は記録媒体流路の側壁、5013は記録媒体と発
泡媒体との間の隔壁、5014は発泡媒体液室の側壁、
5015は基板である。
【0112】基板5015上には、電気分解のための陽
極5021が円環状に配設され、隔壁5013の下面に
は陰極5022が同様に円環状に配設されている。これ
ら電極は白金により形成される。両電極5021,50
22の表面積は0.00005cm2 であり、電極間距
離は0.002cmである。基板5015にはさらに放
電用の1対の電極5023が相互に10ミクロンの間隔
で配設されている。
【0113】本実施例は、水を主成分として染料などの
色材を含まない発泡媒体を電気分解して水素を燃焼さ
せ、その反応熱による水素気泡の体積膨張により、発泡
媒体とは異なる記録媒体を吐出するものである。
【0114】発泡媒体5104は水酸化カリウム(KO
H)の0.9%水溶液であり、電気導電度は0.02S
/cmであるので、電極間の電気抵抗値は2000Ωで
ある。両電極5021,5022間に、250マイクロ
秒の間2Vの電位差を与えると1ミリアンペアの電流が
流れる。この間、0.25E−6クーロンの電荷が消費
され2.6E−12モルの水素が陰極間に、1.3E−
12モルの酸素が陽極側に発生し図中1031のように
合体する。この時点ではほぼ常温常圧なので、この混合
気体の体積はおよそ87E−12リットルである。この
直後に放電用電極5023に25ボルト程度の電圧をか
けて放電を生じさせると、瞬間的にこの混合気体が燃焼
する。この燃焼による水蒸気の生成熱は水蒸気1モルあ
たり約58kcalであるので、この反応によって1.
5E−7 calの熱エネルギー(0.63マイクロジ
ュール)が発生する。このエネルギーによって水蒸気は
昇温、昇圧し、気泡は成長して記録媒体を押し出して吐
出口5114より吐出する。後の動作は前記各実施例と
同様である。
【0115】なお、発泡媒体としては、KOHのほかに
NaOHやH2 SO4 の水溶液でも良い。発泡媒体の電
気電動度は、これが低すぎる場合、電気分解に時間を要
し、記録速度を低下させることになるほか、電気分解中
に生じた気泡がその最中に発泡媒体に溶解してしまうの
で、0.1S/cm以上であることが望ましい。
【0116】本実施例での消費電力は、電気分解時にお
いて通常の気泡による吐出方式の記録ヘッドの場合の1
%以下であり、放電時も消費電力は僅かである。したが
って駆動回路の負担が軽くなり、記録装置全体のコスト
ダウンを図ることができる。
【0117】(実施例6)図14は本発明の第6実施例
にかかる記録ヘッドの模式的断面図である。
【0118】本例の記録ヘッドは、液路6101の後方
から発泡媒体6104が供給され、また、記録媒体とし
てのインク6103は供給口6111を介して、上方か
ら供給される。本例の記録ヘッドは48個の吐出口を有
し、従って図14に示す少なくとも液路等の構造を図の
紙面と垂直に48本具える。
【0119】発泡媒体6104(処方例1−4よりな
る)は、ヒータ6102への通電によって気泡を形成し
吐出圧力を発生する。この液体は、チューブ6201を
介して不図示のタンクから送られ、液体貯め6202を
経て、液路6101に毛細管力を利用して供給される。
液体貯め6202の上部には、圧電素子6203が設け
られ、その通電により30μmの振幅で10kHzの振
動を行う。振動板6204は、圧電素子6203の底面
に接着させる。この振動板6204は、液体貯め620
2の周辺部に接着固定される。また、圧電素子6203
の上面には押え板6205が押圧した状態で設けられ
る。これらの構成により、圧電素子6203の振動で振
動板6204はたわみ、これにより、発泡媒体6104
は10kHzの周波数で振動する。この振動は液路61
01の発泡媒体6104を介してインク6103に伝達
され、そのメニスカスを図のA面とB面との間で振動さ
せることができる。
【0120】固体インクハウジング6301は記録ヘッ
ドの上部に設けられる。固体インクハウジング6301
の内部には固体インク6302が収納される。すなわ
ち、固体インク6302は粉体状であり、インク保持材
6303の内部に格納される。このインクとしては上記
処方例2−2を用い、このインクがなくなった差異には
インク保持材6303ごと交換する。固体インクが収納
される部位の下方にはサーマルヘッド6304が設けら
れる。サーマルヘッド6304は図15に示すように、
48本の液路に対応した48個の穴部6341を具え、
各穴6341の周辺上面に加熱層6342が設けられて
いる。記録信号に応じてこの加熱層6342に選択的に
パルス通電することにより、穴部に接した固体インク6
302を一定量溶融することができる。固体インクをサ
ーマルヘッド6304に押し付けるため、サーマルヘッ
ド6304の反対側においてピストン6305がインク
保持材6303に嵌入さればね6306により付勢され
るよう構成される。インク交換時は固体インクハウジン
グ6301に不図示のビスで固定される蓋6307を取
外し固体インクが充填された新しいインク保持材630
3を挿入し、蓋6307を再固定する。サーマルヘッド
の穴部6341に対応して、固体インクハウジングには
インク供給穴6308が存在し、さらにこの穴はヘッド
に設けられる48本のインク供給口6111に接続して
いる。サーマルヘッドの穴部における通電によって、溶
融されたインクは、重量によりインク供給穴6308,
インク供給口6111を通過して液路6101内に供給
される。なお、インクがすみやかに供給されるよう、イ
ンク供給穴6308およびインク供給口6111の内壁
ははっ水処理される。
【0121】次に、以上のように構成された装置の吐出
動作について説明する。
【0122】図16(A)〜(D)は時間軸を横軸にと
って吐出信号や液路内圧力を示す波形図であり、図17
(A)〜(E)はこれに対応した液路の状態を示す図で
ある。
【0123】図16(A)に示すt1までは圧電素子6
203は負の電位に保たれる。この時液路6101内は
発泡媒体6104で満たされ、図17(A)の状態にあ
る。
【0124】次に、図16(A)に示すt1でパルスを
印加すると、圧電素子6203は撓み、振動板6204
が図14の下方に撓む。これに伴ない、t1から一定の
反応時間を経過し、図16(B)のt2で液路内圧力が
最大となる。この時メニスカスは図17(B)のように
吐出口6106から少し膨張するが、液滴は吐出しな
い。換言すると、吐出しないように圧電素子6203の
変位量と液路6101の管抵抗を設定する。その後、図
16(A)のt3で電圧を負の初期状態に戻すと、液路
6101内は、図16(B)のt4で最大負圧を示す。
さらにt5で発泡媒体6104は液路6101の奥側最
大点まで引き込まれる。このとき、常住Tのおよそ図1
6(D)のt4のタイミングでサーマルヘッド6304
に通電すると、発泡媒体6104が充填されていない液
路6101の先端部には図17(C)のように溶融した
インク6103が供給される。次に、図16(C)のt
5で吐出ヒータにパルスを入力すると、気泡が生成し、
図17(D)から(E)のようにインクが吐出され、こ
れとともに発泡媒体は吐出口直前まで移動するが吐出せ
ずに留まり、気泡6107の収縮に伴なって液路610
1の奥側に引き込まれる。その後、図17(A)の状態
に戻り、以後は上記と同様の動作を繰返す。
【0125】このようにして、48個の吐出口から選択
的にインク滴を吐出できる。
【0126】本実施例では、固体インクを使用するた
め、記録紙上のインクは瞬時に固化し、液体インクより
定着性に優れた記録を実現できる。しかも、従来の固体
インク中の発泡材を発泡させて吐出する方法と比較し
て、固体インクの成分中に発泡成分を含む必要がないの
で、以下のような利点を有する。
【0127】1)従来の、圧電素子や吐出ヒータで固体
インクを吐出する方法では液路内のインクをすべて溶融
しておく必要があるため、記録ヘッドおよびタンクから
ヘッドに至る経路をインク融点以上に熱しておく必要が
ある。そのため、大型の加熱ヒータが必要になるととも
に、消費電力も増大する。本発明では選択的にインク溶
融するため、消費電力が小さくなる。
【0128】2)本発明では選択的にインクを溶融する
ので、従来のように、インク溶媒が蒸発して粘度が上が
り吐出不良を起こすことがない。
【0129】3)従来の常温で固体の発泡材は水に比較
して発泡パワーが小さい。そのため従来の方法で固体イ
ンクを溶融したものを吐出するには、吐出ヒータに数発
のプレヒートパルスを印加した後、吐出パルスを印加し
ないと、吐出を行えない場合が多い。その結果、ヒータ
表面の温度が高くなり、インク染料がヒータ表面にコゲ
として残り、吐出不可能になることがある。
【0130】また、プレヒートパルスが多く必要な場合
には、吐出周波数が低くなってしまう欠点がある。これ
に対し本例では、発泡材として、融点の低い水などを使
うことができ、しかも発泡材は染料と別に単独に存在す
るため、コゲが起こることがない。また、水自体の発泡
パワーが大きいため、プレヒートパルスが必要なく、吐
出周波数を向上させることができ、記録速度を増すこと
ができる。
【0131】4)本実施例では溶融したインクだけが吐
出し、発泡媒体は液路内に留まるので、記録紙上でイン
クのにじみが生ぜず、画像品位の高い記録が可能とな
る。
【0132】(実施例7)本発明の第7実施例で用いる
インクは以下のように構成される。
【0133】イソブチレンと無水マレイン酸との1:1
共重合体(クラレ社:イソバン−10)10gを5wt
%水酸化ナトリウム溶液1000部に添加し、80℃に
て撹拌することによって作製した溶液に、3.5wt%
ペクチン水溶液200部を添加し、20wt%硫酸にて
PHを5に調整する。この発泡媒体相に、上記処方例2
−3に記載する記録媒体を500部添加し、ホモジナイ
ザーにて20000rpm、10分間乳化することによ
って記録媒体と発泡媒体とから構成される乳化液を作製
する。この乳化液を5μmメッシュのフィルタによって
フィルタリングし本例のインクを得ることができる。
【0134】以上のようにして得たインクは図18に示
す構成からなる記録ヘッドに充填される。図18におい
て、電気熱変換素子7002は基板7001上に薄膜形
成法によって形成されており、電気熱変換素子7002
には、導電性材料で形成された配線パターン(図示せ
ず)を介して駆動用電気信号が付与される。基板700
1上には複数の吐出口7005に対応して液路7003
が形成されまた、液路7003のそれぞれに共通に連通
する液室が形成されている。インクはインク供給孔70
04より液室に導入され、液路7003を流れて電気熱
変換素子上に導かれる。記録信号に対応した電気信号が
付与された電気熱変換素子は、上記乳化液よりなるイン
クを急激に加熱し、水相中の水を発泡させることによっ
て吐出口7005よりインクを吐出する。
【0135】上記インクを上記記録ヘッドに導入して記
録を行ったところ、水系インクと同等の駆動条件にて良
好な吐出が可能であり、また印字品位も極めて良好であ
った。
【0136】他のインク例1 分散系インクの主なる問題は、水相中に溶解させる分散
保持材料が加熱されることによって生成する電気熱変換
素子上のコゲである。本例ではメタクリル系樹脂を分散
保持材料として使用することによってコゲを防止するも
のである。メタクリル系樹脂は熱分解によってモノマー
単位までに分解して飛散することから、加熱してもコゲ
等の蓄積物が残存することはない。具体的には以下のよ
うに作製する。
【0137】ポリメチルメタクリレート(大宮化成社:
エルバサイト2002)10部を濃硫酸100部中にて
3日を要して溶解し、次いでこの溶液を脱イオン水10
00部に投入し樹脂を回収する。5wt%の水酸化ナト
リウム溶液100部に上記樹脂を3部溶解し、前記イン
ク処方例2−3に記載する記録成分50部を投入し、ホ
モジナイザーにて20000rpm,10分間乳化せし
めることによって乳化液を作製する。そのまま5μmの
フィルタによってフィルタリングを行って本例のインク
を得ることができる。
【0138】上記実施例7と同一の構成からなる記録ヘ
ッドに上述のインクを導入し、記録を行ったところ、水
系インクと同一の条件にて吐出が可能であり、また良好
な印字品位の記録が可能であった。また、実施例7に比
べ、電気熱変換素子上の蓄積物も観測されなかった。
【0139】他のインク例2 本例のインクは、記録媒体中に発泡媒体を乳化せしめ
(W/O乳化)、印字品位の向上を図るものである。W
/O乳化したインクをそのまま導入し吐出を行った場
合、電気熱変換素子表面には記録媒体が存在することと
なる。このような弊害を防止するためには、液路におい
ては分散液は安定して存在し、電気熱変換素子表面にお
いてのみ分散が破壊される構成を採る必要がある。分散
が破壊された場合、WおよびO相の比重差、電気熱変換
素子材料あるいはこの素子上に形成される保護膜材料と
の親和性の差によって電気熱変換素子上に発泡成分を充
分な状態とすることが可能となる。
【0140】このように液路において分散が安定であ
り、電気熱変換素子上にて乳化が破壊される構成とする
ためには、記録媒体および発泡媒体と液路を形成する部
材の眼系表面張力γc1が、記録媒体および発泡媒体の
表面張力γ1,γ2より小さく、また電気熱変換素子あ
るいはその素子表面に形成される保護膜材料の限界表面
張力γc2が前記γ1,γ2より大きい必要がる。限界
表面張力とは固体表面の物性値であり、種々の表面張力
の液体と固体表面の接触角を測定し、表面張力と接触角
(Cosθ)との関係をプロットして接触角0度(Co
sθ=1)を実現する表面張力を示すものである。すな
わち、限界表面張力より高い表面張力の液体をこの固体
表面に接触させても、液体は十分に固体表面を濡らすこ
とができないことを示す。
【0141】記録媒体および発泡媒体の表面張力をそれ
ぞれγ1,γ2とした場合、液路を形成する材料の限界
表面張力をこれら表面張力より低いものとしておけば、
乳化されたインクは安定に存在することができる。一
方、電気熱変換素子あるいは電気熱変換素子上に形成さ
れた保護膜材料の限界表面張力をγ1,γ2より高いも
のとしておけば、乳化されたインクの分散は破壊されそ
の材料表面を被覆することが可能となる。
【0142】上記インク処方例2−3から構成される記
録媒体200部にHLBが12の界面活性剤を1部添加
した脱イオン水100部を混合し、ホモジナイサーに
て、20000rpmで10分間乳化せしめることによ
って記録媒体と発泡媒体とから構成されるW/O乳化液
を作製する。この乳化液を5μmのフィルタによってフ
ィルタリングしてインクを作製する。なお、インク処方
例2−3に示す記録媒体の表面張力は35、界面活性剤
を添加した脱イオン水の表面張力は43である。
【0143】図18に示す記録ヘッドにおいて液路70
03をポリスチレン(限界表面張力33)にて形成し、
また電気熱変換素子7002は二酸化シリコンにて保護
膜を形成した後、この保護膜上に限界表面張力110の
酸化チタン膜を形成する。
【0144】上記インクをこの構成の記録ヘッドに導入
して記録を行ったところ、水系インクと同様の駆動条件
(電圧およびパルス幅)にて導出が可能であった。一
方、記録媒体のみを記録ヘッドに導入して記録を行った
場合は、上記駆動条件よりも電圧を1.5倍高めたにも
係わらず吐出液滴の速度は1/3であった。このこと
は、電気熱変換素子表面にて乳化されたエマルジョンが
破壊され発泡媒体がこの表面を被覆したことを示唆する
ものである。
【0145】他のインク例3 本例のインクは記録媒体をマイクロカプセル化して発泡
媒体との界面を形成するものである。本例においては、
記録媒体をマイクロカプセル化するため、乳化したエマ
ルジョン系インクよりも保存安定性を格段に向上するこ
とが可能である。
【0146】上記実施例7にて作製した乳化液に、アニ
オン性界面活性剤(三洋化成社:サンデットBL)を5
部添加し、さらに尿素32部、レゾルシン8部、硫酸ア
ンモニウム8部を添加し、さらに20wt%硫酸を滴下
し、PHを3に調整した。この乳化液を撹拌しながらホ
ルマリン130部を添加し、そのまま室温にて24時間
撹拌を継続する。次いで乳化液を60℃に昇温し5時間
撹拌を行った後、5000部の脱イオン水を投入し5μ
mのフィルタにてフィルタリングを行う。このようにし
て得たマイクロカプセル液を2000rpmにて5分間
遠心分離を行い、固形分を回収した後、同様の操作を2
回行ってマイクロカプセルの洗浄を行った。
【0147】他のインク例1にて作製したメチルメタク
リレートの加水分解物溶液を10倍に希釈した発泡成分
100部に上記操作にて作製したマイクロカプセル10
0部を添加し、そのまま撹拌して均一分散液を作製す
る。
【0148】図18に示す構成の液体噴射記録ヘッドに
上記インクを導入して記録を行ったところ、水系インク
と同様の駆動条件にて記録が可能であった。なお、本記
録においては、記録材料がカプセル化されたまま被記録
部材上に乗るため、圧力等を付与して定着を完全なもの
とする必要がある。
【0149】(実施例8)図19は、記録媒体と発泡媒
体との界面位置の制御を発泡媒体の供給を制御すること
によって行う構成を説明するための図である。
【0150】発泡媒体と吐出媒体とは、互いに分離しや
すいので、すなわち界面張力が高いので、その界面の面
積が最小の時に力学的に安定な状態となる。従って、図
19に示すように、液路8002に両媒体8004およ
び8005が存在する場合、その界面8006は液路の
長手方向に垂直な面となる。なお、一般に熱エネルギー
作用部8001と吐出口8003との距離が所定距離以
上あれば、熱エネルギーによって発生する気泡に対して
吐出される媒体の量に一定の限界があることから、熱エ
ネルギー作用部8001と吐出口8003との間に存在
する吐出媒体8004のうち、所定の位置より前側(吐
出口8003側)の吐出媒体のみが吐出される。この位
置は、通常、熱エネルギー作用部8001と吐出口80
03とを1:1に内分する点から1:2に内分する点の
間にある。いずれにしろ、この所定の位置に対して吐出
口と反対側にある媒体は吐出されない。
【0151】従って、上記界面8006の位置を上記所
定の位置よりも後方(吐出口8003から遠い側)に保
てば、発泡媒体8005が吐出されることはない。吐出
動作中に発泡媒体の供給力が作用しないような状態、例
えば、所定の供給源から液路8002に発泡媒体800
5が供給されないようにその供給路を閉じた状態とする
と、吐出媒体が吐出されることによって空いた部分は吐
出媒体のみによって再充填されることになる。従って、
何らかの理由で界面3006の位置が上記所定の位置よ
りも前にあっても、何回かの吐出動作のうちに界面80
06は後退し、上記所定の位置よりも後方に移動し、吐
出媒体8004のみが吐出されるようになる。この場合
においても界面8006は、上記界面張力により吐出方
向に対して垂直な面になる。
【0152】吐出動作中に発泡媒体の供給路を閉じる位
置としては、熱エネルギー作用部8001よりも後方
(吐出口から遠い側)であることは言うまでもないが、
熱エネルギー作用部8001に近い場合、発泡した気泡
の収縮、消滅に比較的時間を要することになり、このよ
うな場合吐出周波数が低いものになる。そこで、この閉
じる位置は、より後方の液室8007に設けられる供給
路8008の供給口にあることが望ましい。閉じるため
の手段としては弁8009を用いる。なお、その弁80
09はヘッド内のクリーニングのために供給路8008
を開閉するのに用いることができる。また、上記吐出動
作中の供給力作用の阻止に関して液室8007の負圧を
保つために、液室8007に別途弁8011を設けて圧
力調整できるようにすることもできる。
【0153】なお、上記各実施例では、吐出媒体が記録
に用いられるものとして本発明を説明したが、吐出され
る媒体としては記録に用いられないものであってもよ
く、本発明の適用が記録の分野に限られず、広く液体を
吐出する構成に適用され得ることは勿論である。
【0154】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、低沸点の液体を発泡媒体として使用しても目
詰まりの心配がなく、省電力化できるとともに、吐出媒
体としてのインク変質を防止でき、加えて、液路内の吐
出媒体の量を制御する手段を持つことにより、吐出する
媒体の量をも一定にすることができる。
【0155】さらに、吐出媒体が発泡する必要がないの
で、記録媒体として蒸発しにくい媒体を選ぶ自由度が増
し、粘度増加による不吐出を防止でき、また、定着性を
向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1にかかる記録ヘッドの要部を
示す模式的断面図である。
【図2】上記実施例1の吐出動作を説明する図である。
【図3】上記実施例1の変形例にかかる記録ヘッドの模
式的断面図である。
【図4】上記実施例1の他の変形例にかかる記録ヘッド
の模式的断面図である。
【図5】上記実施例1のさらに他の変形例にかかる記録
ヘッドの模式的断面図である。
【図6】本発明の実施例2にかかる記録ヘッドの分解斜
視図である。
【図7】図6のB−B線断面を示す断面図である。
【図8】図6に示す記録ヘッドの液路近傍の詳細を示す
断面図である。
【図9】(A)〜(C)は上記実施例の記録ヘッドにお
ける一連の吐出動作を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例3にかかる記録ヘッドの液路
構造を示す断面図である。
【図11】上記実施例3の液路構造を説明するための図
である。
【図12】(A)〜(E)は本発明の実施例4にかかる
2つの媒体の界面位置制御を説明する図である。
【図13】本発明の実施例5にかかる記録ヘッドを示す
模式的断面図である。
【図14】本発明の実施例6にかかる記録ヘッドを示す
模式的断面図である。
【図15】上記実施例6で用いられる固体インク溶融の
ためのサーマルヘッドを示す斜視図である。
【図16】(A)〜(D)は上記実施例6の記録ヘッド
における吐出動作を説明するための波形図である。
【図17】(A)〜(E)は上記吐出動作における一連
の液路状態を示す断面図である。
【図18】本発明の実施例7にかかる記録ヘッドの斜視
図である。
【図19】本発明の実施例8にかかる記録ヘッドの模式
的断面図である。
【符号の説明】
1101,2111,3111,4111,5111,
6101,7003,8002 液路 1102,2102,6102,7002,8001
発熱素子(ヒータ) 1103,2203,4203,5103,6103,
8004 記録媒体(吐出媒体) 1104,2204,4204,5104,6104,
8005 発泡媒体 1105,2205,3205,4205,5105,
8006 界面 1106,2114,5114,6106,7005,
8003 吐出口(オリフィス) 1111,1113 媒体供給流路 1112,1114 媒体流路 5021,5022 電極 5023 放電電極 6203 圧電素子 6204 振動板 6302 固体インク 6304 サーマルヘッド 8009 弁 8011 圧力調整弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城田 勝浩 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 稲田 源次 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山本 恒介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱エネルギーによる気泡の生成によって
    液体を吐出するための液体吐出方法において、 前記液体として吐出される吐出媒体と前記気泡の発泡の
    媒体となる発泡媒体とを、当該2つの相が実質的に分離
    した状態で用意し、 前記発泡媒体に熱エネルギーを付与して気泡を生成し、
    当該気泡の生成によって生じる圧力を前記吐出媒体に作
    用させて当該吐出媒体を吐出させる、 各ステップを有したことを特徴とする液体吐出方法。
  2. 【請求項2】 熱エネルギーによる気泡の生成によって
    液体を吐出するための液体吐出ユニットにおいて、 前記液体として吐出される吐出媒体と前記気泡の発泡の
    媒体となる発泡媒体とを、当該2つの相が実質的に分離
    した状態で保持するための液路と、 前記発泡媒体に熱エネルギーを付与して気泡を生成し、
    当該気泡の生成によって生じる圧力を前記吐出媒体に作
    用させて当該吐出媒体を吐出させるための熱エネルギー
    付与手段と、 を具えたことを特徴とする液体吐出ユニット。
  3. 【請求項3】 熱エネルギーによる気泡の生成によって
    液体を吐出するための液体吐出ユニットにおいて、 前記気泡の発泡の媒体となる発泡媒体を保持する液路
    と、 該液路に保持される発泡媒体に熱エネルギーを付与し当
    該発泡媒体中に気泡を生成させるための熱エネルギー付
    与手段と、 前記液体として吐出される吐出媒体を、少なくとも前記
    熱エネルギー付与手段が当該付与を行うときに前記液路
    に保持させる吐出媒体供給手段と、 該吐出媒体供給手段により前記液路が保持する前記吐出
    媒体の量を定める媒体量制御手段と、 を具え、前記熱エネルギーの付与によって当該発泡媒体
    中に生成する気泡の圧力によって前記吐出媒体を吐出さ
    せることを特徴とする液体吐出ユニット。
  4. 【請求項4】 前記吐出媒体には色材が含まれ、当該吐
    出された液体は被記録材上に付着して記録に用いられる
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の液体吐出ユ
    ニット。
  5. 【請求項5】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体と
    前記吐出媒体とが前記液路において形成する界面の位置
    を制御することによって前記吐出媒体の量を定めること
    を特徴とする請求項3または4に記載の液体吐出ユニッ
    ト。
  6. 【請求項6】 前記界面の位置の制御は、前記吐出媒体
    の前記液路内における流れによって行うことを特徴とす
    る請求項5に記載の液体吐出ユニット。
  7. 【請求項7】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒体
    および前記吐出媒体に対する前記液路の疎媒体性または
    親媒体性の差によって行うことを特徴とする請求項5に
    記載の液体吐出ユニット。
  8. 【請求項8】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒体
    および前記吐出媒体に対する前記液路の形状によって行
    うことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ユニッ
    ト。
  9. 【請求項9】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒体
    および前記吐出媒体のそれぞれに作用する圧力によって
    行うことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出ユニッ
    ト。
  10. 【請求項10】 前記発泡媒体は前記液路に供給される
    ものであり、前記界面の位置の制御は前記発泡媒体の供
    給路を断つことによって行うことを特徴とする請求項5
    に記載の液体吐出ユニット。
  11. 【請求項11】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体
    を前記液路において振動させることにより、前記吐出媒
    体の量を定めることを特徴とする請求項3または4に記
    載の液体吐出ユニット。
  12. 【請求項12】 前記発泡媒体および前記吐出媒体それ
    ぞれに作用する圧力P1およびP2は、 前記液路の断面積をS、 前記界面と前記液路の壁との接触周囲長L、 前記記録媒体と前記吐出媒体により定まる界面張力γ、
    とするとき、 【数1】|P1−P2|<γ×L/S なる関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の液
    体吐出ユニット。
  13. 【請求項13】 前記熱エネルギー付与手段は、当該熱
    エネルギーの付与を、前記発泡媒体中の水分を電気分解
    して水素と酸素の混合気体を生成し該混合気体を瞬間的
    に燃焼させることによって行い、該反応熱により水蒸気
    を膨張させて前記気泡を生成することを特徴とする請求
    項4に記載の液体吐出ユニット。
  14. 【請求項14】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体
    および前記吐出媒体のそれぞれの分散比率を制御するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項4に記載の液体吐
    出ユニット。
  15. 【請求項15】 前記発泡媒体は前記吐出媒体中に乳化
    分散されて界面を形成されたインクであり、前記媒体量
    制御手段は、前記発泡媒体と前記吐出媒体との量比を変
    えることによって当該吐出媒体の量を制御するととも
    に、前記発泡媒体の表面張力γ1、前記吐出媒体の表面
    張力γ2とした場合、前記熱エネルギー付与手段を構成
    する発熱素子の界面表面張力γc1、液路を形成する材
    料の限界表面張力γc2の関係は、γc2<γ2、γ1
    <γc1であることを特徴とする請求項4に記載の液体
    吐出ユニット。
  16. 【請求項16】 前記媒体量制御手段は、着色剤を含有
    するマイクロカプセルを前記吐出媒体とし、該吐出媒体
    を前記発泡媒体中に分散せしめ、当該吐出媒体の濃度を
    変えることによって制御することを特徴とする請求項3
    に記載の液体吐出ユニット。
  17. 【請求項17】 熱エネルギーによる気泡の生成によっ
    て液体を吐出し、当該吐出液体により被記録材に記録を
    行う液体噴射記録装置において、 前記気泡の発泡の媒体となる発泡媒体を保持する液路
    と、 該液路に保持される発泡媒体に熱エネルギーを付与し当
    該発泡媒体中に気泡を生成させるための熱エネルギー付
    与手段と、 前記液体として吐出される吐出媒体を、少なくとも前記
    熱エネルギー付与手段が当該付与を行うときに前記液路
    に保持させる吐出媒体供給手段と、 該吐出媒体供給手段により前記液路が保持する前記吐出
    媒体の量を定める媒体量制御手段と、 を具え、前記熱エネルギーの付与によって当該発泡媒体
    中に生成する気泡の圧力によって前記吐出媒体を吐出さ
    せることを特徴とする液体噴射記録装置。
  18. 【請求項18】 前記吐出媒体には色材が含まれ、当該
    吐出された液体は被記録材上に付着して記録に用いられ
    ることを特徴とする請求項17に記載の液体噴射記録装
    置。
  19. 【請求項19】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体
    と前記吐出媒体とが前記液路において形成する界面の位
    置を制御することによって前記吐出媒体の量を定めるこ
    とを特徴とする請求項17または18に記載の液体噴射
    記録装置。
  20. 【請求項20】 前記界面の位置の制御は、前記吐出媒
    体の前記液路内における流れによって行うことを特徴と
    する請求項19に記載の液体噴射記録装置。
  21. 【請求項21】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒
    体および前記吐出媒体に対する前記液路の疎媒体性また
    は親媒体性の差によって行うことを特徴とする請求項1
    9に記載の液体噴射記録装置。
  22. 【請求項22】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒
    体および前記吐出媒体に対する前記液路の形状によって
    行うことを特徴とする請求項19に記載の液体噴射記録
    装置。
  23. 【請求項23】 前記界面の位置の制御は、前記発泡媒
    体および前記吐出媒体のそれぞれに作用する圧力によっ
    て行うことを特徴とする請求項19に記載の液体噴射記
    録装置。
  24. 【請求項24】 前記発泡媒体は前記液路に供給される
    ものであり、前記界面の位置の制御は前記発泡媒体の供
    給路を断つことによって行うことを特徴とする請求項1
    9に記載の液体噴射記録装置。
  25. 【請求項25】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体
    を前記液路において振動させることにより、前記吐出媒
    体の量を定めることを特徴とする請求項17または18
    に記載の液体噴射記録装置。
  26. 【請求項26】 前記発泡媒体および前記吐出媒体それ
    ぞれに作用する圧力P1およびP2は、 前記液路の断面積をS、 前記界面と前記液路の壁との接触周囲長L、 前記記録媒体と前記吐出媒体により定まる界面張力γ、
    とするとき、 【数2】|P1−P2|<γ×L/S なる関係を満たすことを特徴とする請求項23に記載の
    液体噴射記録装置。
  27. 【請求項27】 前記熱エネルギー付与手段は、当該熱
    エネルギーの付与を、前記発泡媒体中の水分を電気分解
    して水素と酸素の混合気体を生成し該混合気体を瞬間的
    に燃焼させることによって行い、該反応熱により水蒸気
    を膨張させて前記気泡を生成することを特徴とする請求
    項18に記載の液体噴射記録装置。
  28. 【請求項28】 前記媒体量制御手段は、前記発泡媒体
    および前記吐出媒体のそれぞれの分散比率を制御するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項18に記載の液体
    噴射記録装置。
  29. 【請求項29】 前記発泡媒体は前記吐出媒体中に乳化
    分散されて界面を形成されたインクであり、前記媒体量
    制御手段は、前記発泡媒体と前記吐出媒体との量比を変
    えることによって当該吐出媒体の量を制御するととも
    に、前記発泡媒体の表面張力γ1、前記吐出媒体の表面
    張力γ2とした場合、前記熱エネルギー付与手段を構成
    する発熱素子の界面表面張力γc1、液路を形成する材
    料の限界表面張力γc2の関係はγc2<γ2、γ1<
    γc1であることを特徴とする請求項18に記載の液体
    噴射記録装置。
  30. 【請求項30】 前記媒体量制御手段は、着色剤を含有
    するマイクロカプセルを前記吐出媒体とし、該吐出媒体
    を前記発泡媒体中に分散せしめ、当該吐出媒体の濃度を
    変えることによって制御することを特徴とする請求項1
    7に記載の液体噴射記録装置。
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