JPH063040B2 - コンクリ−ト構造物 - Google Patents

コンクリ−ト構造物

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JPH063040B2
JPH063040B2 JP62121833A JP12183387A JPH063040B2 JP H063040 B2 JPH063040 B2 JP H063040B2 JP 62121833 A JP62121833 A JP 62121833A JP 12183387 A JP12183387 A JP 12183387A JP H063040 B2 JPH063040 B2 JP H063040B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、型枠内でコンクリートを固化させて、型枠
を永久型枠としてコンクリートと一体化させることによ
り構成した、強度,耐火性,耐久性に富むコンクリート
構造物に関する。
〔従来の技術〕
型枠とコンクリートとを一体化したコンクリート構造物
としては、鋼管内に鉄筋を配置したうえコンクリートを
打設してなる鋼管コンクリート構造物がある。これは、
永久型枠である鋼管を、型枠としての他に補強部材とし
て用いるものであって、その強度が鉄筋コンクリート、
鉄骨・鉄筋コンクリートに比較して極めて優れているた
め、土木構造物及び建築構造物として広く用いられてい
る。
また、近年においては、セメントの補強材として炭素繊
維を用いた永久型枠が新しい技術として開発されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、前記鋼管コンクリート構造物にあって
は、コンクリート構造物の表面に鋼管が表れていること
から、耐腐蝕性,耐火性に難点があるという問題点があ
った。
また、前記炭素繊維を補強材とする従来の永久型枠にお
いては、セメントの粒径と炭素繊維の直径との関係、セ
メントの粒径が炭素繊維の含有率に及ぼす影響について
は精密な研究がなされていないため、型枠組成体に対す
る炭素繊維の含有率は体積比で高々10%が限度であ
り、永久型枠の強度の点で必ずしも十分でない、という
問題があった。
そこで、この発明は、耐久性,耐火性,強度のいずれに
おいても優れた炭素繊維を補強材とする永久型枠と一体
化したコンクリート構造物を得ることを目的としてい
る。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明におけるコンクリート構造物は、型枠を構成す
る連続炭素繊維の直径が6.4〜8.0μmであって、
型枠に対する体積比で1〜30%含有し、水硬性無機微
粉体の平均粒径は連続炭素繊維の直径の20〜100%
であって、連続炭素繊維の直径より大きい粒径のものの
含有量を水硬性無機微粉体総量に対する体積比で60%
以下とした。
〔作用〕
この発明のコンクリート構造物は、型枠を構成する連続
炭素繊維の直径、水硬性無機微粉体の平均粒径と連続炭
素繊維の直径との比率及び水硬性無機微粉体の平均粒径
を超えるものの総量に対する含有量を所定の数値範囲に
規制したため、水硬性無機微粉体は各連続炭素繊維間に
回り込み、この水硬性微粉体の水和物が各連続炭素繊維
間を確実に連結し、連続炭素繊維の含有率が最大の30
%まで可能となるので、連続炭素繊維の強度とも相俟っ
て型枠の強度は高い。しかもコンクリートは水硬性微粉
体の一種であるから、型枠を構成する水硬性微粉体と内
部に充填されるコンクリートとの間の親和性に富み、型
枠とコンクリートとの結合が強固になされ、その結果、
型枠は永久型枠としてコンクリートと一体をなしたコン
クリート構造物を得ることができる。
また、このコンクリート構造物は表面に金属が表れない
から防錆処理をする必要もなく、また耐火性にも富み耐
火被膜を施す必要もない。さらに表面には水硬性微粉体
の硬化体が表れるから塗装その他の表面仕上げも容易に
なる。
〔実施例〕
以下に、水硬性微粉体としてポルトランドセメント,ア
ルミナセメント,耐硫酸塩セメント,高炉セメント又は
これらと潜在水硬性を有する超微粒子シリカとの混合物
の粉体、又はこれらを主成分とする微粉体を用い、且つ
連続炭素繊維として直径7μmのPAN系の炭素繊維を
用いて型枠を構成した実施例について説明する。炭素繊
維としてはPAN系炭素繊維の他にレーヨン系炭素繊維
又はピッチ系炭素繊維を使用することもでき、またその
直径を、例えば6.4又は8.0μmのように適宜選択
することができる。
炭素繊維である連続繊維は、型枠に体積比1〜30%の
間で選択されたいずれかの割合で含まれていて、その上
限値が高いため、多量の連続炭素繊維を含むことが可能
であるから、この型枠の強度は増大する。前記含有率が
1%未満の場合は、水硬性無機微粉体の硬化体の乾燥収
縮が通常のものより大きく、この収縮を拘束しきれない
ため型枠内部にひびわれ等を生じ易く、期待される強度
を得ることができない。また前記含有率が30%を超え
ると、含有率の高い連続炭素繊維の間に水硬性微粉体の
粒子が充分に回り込むことができないため、水硬性微粉
体と炭素繊維との結合が充分ではなくなって型枠の強度
が不充分になる。
また高体積比で連続炭素繊維を一次元配向しても、連続
炭素繊維の微視的な直線性と繊維1本1本の分散性が確
保される。
また、連続炭素繊維は、その弾性率が高いため屈曲に弱
い性質を有している。本発明の型枠の製法の1つである
繊維束連続含浸法において、水硬性無機微粉体スラリー
中に粒径の大きなものが存在すると、その部分で屈曲が
起こり、かつ高体積比で連続炭素繊維が存在する場合に
は、大きい粒子が動かすのにより大きな力を必要とし、
連続炭素繊維が折れるような力が作用する。連続炭素繊
維の一部の繊維が折れると、折れた繊維が含浸装置のガ
イド類に付いて次々と他の繊維を折り、ひいては連続炭
素繊維束全体を切断してしまう。マトリックスとなる水
硬性無機微粉体スラリーの粒径を連続炭素繊維の直径よ
り小さく制限することにより、連続炭素繊維束に水硬性
無機微粉体スラリーを初めて工業的規模の速度で連続的
に含浸することが可能となる。
以下に、本発明に用いる型枠について表−1のような成
分と配合例の一例を挙げて説明する。即ち型枠はこの表
のような成分と配合の配合物を基礎としており、これを
養生硬化させて得たものである。
はじめに表の配合物について説明すると、このまだ固ま
らない配合物の単位容積当りの重量は、1.85kgf/
である。ここでは、繊維補強効果を向上させるため、
直径7μmのPAN系(ポリアクリロニトリル)高強度
炭素繊維を用いいる。しかし、この炭素繊維は弾性率が
極めて高いため、単に前記配合物を混合すると炭素繊維
が折れることから、それを防止するために、炭素繊維を
連続繊維とし、これに弱い引っ張り力を加えた状態で水
硬性無機微粉体スラリー(セメントスラリー)を含浸さ
せる繊維束連続浸漬法により、炭素繊維の各単体の間に
セメント粒子を回り込ませることができ、また炭素繊維
の折損を防ぐことができた。
ここでのセメントはこの発明に用いる水硬性無機微粉体
として使用するものであり、超微粉末高炉系セメントを
用いている。このセメントの平均粒径は4μmである。
セメントの粒径が連続炭素繊維の直径7μmより大きい
と連続炭素繊維のまわりにセメントスラリーが回り込み
にくく、連続炭素繊維を損傷しやすく、連続炭素繊維の
性能を十分に発揮させることが難しいので好ましくな
い。前記連続炭素繊維の直径7μmより大きい直径の粒
子は前記セメント全体の10%とし、最大粒径を10μ
mとしたものを用いた。連続炭素繊維の直径より大きな
粒子の含有率は、セメント全体の60%までは、後に詳
述するように可能であるが、これを超えると、含有率の
高い連続炭素繊維の間に入り込んだときに連続炭素繊維
に曲げが発生して、組成体の硬化後の部材の強度や弾性
率が低下するおそれがあるので平均粒径を7μm以下に
する必要がある。而して、連続炭素繊維の含有率を向上
させ、且つ各連続炭素繊維間にセメント粒子を回り込ま
せて、各連続炭素繊維間での同繊維とセメント粒子との
結合力を確保するためには、連続炭素繊維の直径よりも
大きい直径のセメント粒子は、セメント全体の60%程
度以下であることが必要であり、この粒子は少ないほど
好適となる。
前記大きな粒子が60%程度以上存在すると、前記セメ
ントペーストを含浸させる段階で連続炭素繊維を屈曲す
るような力が作用するため、連続炭素繊維の一部が折
れ、この折れた繊維が、配合物の含浸法である繊維束連
続浸漬法に使用される装置のガイド類(ローラ等)に付
着して、ここを通過する連続炭素繊維が次々に折れるこ
とがあり、すると最終的には連続炭素繊維の束全体が破
断してしまって組成体の連続生産が不可能になることも
あるから、前記大きな粒子の含有率が前記60%程度を
超えないように制御すべきである。特に、連続炭素繊維
含有量が1〜5%未満の場合は60%以下、連続炭素繊
維の含有量が5〜10%未満の場合は40%以下、連続
炭素繊維含有量が10〜20%未満の場合は20%以
下、連続炭素繊維含有量が20〜30%の場合には10
%以下のすると、さらに好適である。
フィラメントワインディング法やプルプレッシング法で
水硬性硬化体内に、体積比で10%程度の炭素繊維を含
有させた例が報告されているが、調合や方法等の詳細が
明らかにされておらず、従来技術では炭素繊維が含浸工
程で折れることにより連続的に含浸させるのが困難であ
ったと推測される。発明者らの調査によれば、上記の方
法やプリプレグ法でこの発明のように体積比で1〜30
%の連続炭素繊維を混入した配合物が大量に製造された
という事実は存在しない。
逆に、前記セメントの粒子に細かいものが多すぎると、
混練水の含有率が高くなりすぎてマトリックスとしての
力学特性が低下する。このため、前記セメント粒子の平
均粒径は前記連続炭素繊維の直径の20〜100%の範
囲にあることが必要であり、この実施例では平均粒径が
前記のように4μmであるから、これは連続炭素繊維の
直径の約57%である。
従来は細かいセメント粒子を用いてはいるが、それでも
最大粒径が数10μmと大きいため、前記のような連続
生産において連続炭素繊維の折れを防止し、且つ連続炭
素繊維の含有率を全体の体積比10%以下とすることは
困難であったが、この実施例ではセメント粒子の径を前
記の条件にしたために、連続炭素繊維の含有率を組成体
全体の体積比30%まで可能になった。
なお、この配合物に用いる前記超微粉末セメントは、水
中に均一な状態で分散させることが難しいことから、こ
れを改良し、また混練水を減少させることにより硬化後
の部材の強度向上や乾燥収縮の低減等のように諸物性を
改良するために、高性能減水剤(ナフタレンスルホン酸
/ホルムアルデヒド縮合体,精製リグニンスルホン酸塩
又はメラミンスルホン酸塩あるいはこれらの混合物、と
りわけナフタレンスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合体
のアルカリ及びアルカリ土類,金属塩からなる種類が特
に効果があり、市販製品では商品名マイティとよばれて
いる。)を添加する手段を採ってもよい。しかし、高性
能減水剤を大量に添加したスラリーは、粘稠な液状を呈
し且つセメント粒子が分離する傾向が強いが、この分離
のおそれが高い場合には分離防止剤を用いればよい。
分離防止剤としては粒径2.0〜0.1μmの超微粒子
シリカを前記の表の通りに用いた。この超微粒子シリカ
により、含浸工程で充分な分離防止効果を出すためには
セメント重量の6〜7%程度以上を用いることが必要に
なるが、同30%程度以上になると混練水の増加などを
もたらすため好ましくない。この実施例では超微粒子シ
リカをセメント重量の約20%としている。またこの超
微粒子シリカの添加は、セメント粒子間の空隙にある水
の部分を部分的に超微粒子シリカで埋めて、セメント粒
子と連続炭素繊維との間の結合力を増加する作用もある
が、主たる目的は含浸法で連続炭素繊維の折れるのを防
止し、連続生産を可能にするためである。
また、この表−1では小さい粒径のセメントを使用した
うえ水の含有量を極端に減少させていない。水/水硬性
無機微粉体(潜在水硬性無機微粉体を含む)総量比は3
0〜60%であることが好ましい。30%以下の場合は
含浸性が低下し、60%以上の場合は硬化物の空隙が多
くなり強度が低下する傾向がある。このためこの配合物
を硬化させてなる部材は、マトリックスであるセメント
硬化体が比較的軟らかく、引っ張り歪みを、従来炭素繊
維のマトリックスとして用いられている水/セメント比
の小さいセメント硬化体の1.5〜2倍程度許容してい
る。その結果、この型枠の力学特性が向上した。また、
発明者らの実験によれば、許容する引っ張り歪みをさら
に大にするためには、アニオン系のアクリル系ポリマー
ディスパージョンや乾燥収縮低減剤および膨張材の添加
等が効果的であることも分かった。
さらに、前記型枠に使用したセメント以外には、水硬性
無機微粉体の粒径が連続炭素繊維の直径を超えるものを
殆ど含まないようにして、高性能減水剤を添加すること
なしに、カチオン系のアクリル系ポリマーディスパージ
ョンを添加しても同様に許容引っ張り歪みを大きくする
ことができた。その添加量は、配合物が硬化してなる部
材の不燃性を損なわない程度の量としては、全体の体積
比で3%程度以下である。しかしこれを超えた量を添加
すると不燃性は失われるが、許容する歪みは添加量の増
加に伴って増大することが分かったが、その添加量の上
限は全体の体積比で20%程度までである。その結果、
前記ポリマーディスパージョンの添加量は、配合物が硬
化して得られる部材の用途に対応して、不燃性を求める
か、或いはこれを無視して許容引っ張り歪みの大きさを
求めるか決定されるべきである。
かくして形成される配合物を、セメント製品に通常行わ
れている養生や高圧水蒸気養生等の手段により養生,硬
化させて、この発明の型枠を形成する。
かくして構成された型枠では、最も直径の大きいものの
大部分が連続炭素繊維であり、セメントの水和物の径は
それよりも大部分が小さく、またシリカヒュームの水和
物もセメントの水和物の間に混入される。前記の表にお
ける含有水分は一部が水和に利用され、一部が吸着水と
して残っているが、大体10%程度が蒸発しその分の体
積は気孔となっている。
これにより得られた型枠は、セメント等の水和物と連続
炭素繊維の結合が強固であり且つ連続炭素繊維の含有量
を大きくすることが可能になったため高強度の物体とな
り、またこの物体の性状は、軽量であり、且つ耐腐蝕
性,不燃性,耐アルカリ性,自己調湿性,透湿性,導電
性等に富む。
従って、前記型枠はコンクリート構造物の用途に応じた
形状とすることによって、その特性を生かして、後述の
ような各種の用途に対応することができる。なお、コン
クリート構造物の用途や形状に対応して、連続炭素繊維
を層状に重ねること、及びこの場合の各層における連続
炭素繊維の連続方向を変えた状態とすることによって必
要な強度を確保することもできる。
前記の型枠の性能を確認するために、前記型枠と同様に
して構成した試験片について以下の実験を行った。
まず第1図に示す耐火試験に用いた試験片Aは、表−1
の配合の組成体を養生硬化(50℃水中2日)させた板
材で、厚み2mm,幅20mm,長さ260mmの寸法をも
ち、この試験片Aの両端から10mmの位置を下から支持
したうえ、中央部上面に1.5kgの重錘Pを3等分2点
載荷し、中央部下面から1000℃で20分間加熱した
ところ、試験片Aの形態に撓みは見られず充分に耐火性
があることが明らかになった。なお、このとき、試験片
Aは450kg/cm2の応力度となっている。
また前記試験片Aについて力学的特性を試験したとこ
ろ、引張強度は38kgf/mm2,曲げ強度は40kgf/mm2
剪断強度は2kgf/mm2であり、連続炭素繊維の方向を部
材の力学的性状に合わせて配向して型枠を設計すること
により剪断力に対抗させれば、鋼に匹敵する力学的性状
を持たせることができる。
第2図は圧縮試験についての説明図であり、同図(a)は
試験片Bの斜視図であって、この試験片Bは型枠Cにコ
ンクリートDを充填固化して一体化したコンクリート構
造物である。型枠Cは、外径150mm,長さ300mm,
厚さ9mmの円筒形をなし、且つ前記第1図の試験片Aと
同一の素材からなる(但し連続炭素繊維の混入率は体積
比において12%である)。
かかる試験片Bに対して軸方向からの圧縮力Pを次第に
増加させたところ、第2図(b)に実線で示すような耐圧
縮力があることが分かった。破線で示すものは前記試験
片Bと同一寸法のコンクリート硬化体の結果であり、圧
縮力Pが約50tに達したところで破壊された。
第3図は曲げ剪断試験についての説明図であり、同図
(a)に示すように、縦横各250mm,長さ1000mm,
肉厚9mmの中空の四角柱状をした型枠内に鉄筋を配した
うえコンクリートを充填固化して一体化した試験片Eと
し、これを横にして両端を下から支持し、軸方向に15
tの圧縮力を負荷するとともに、中央上部に荷重Qを負
荷し、このときの荷重Qと変形量δとの関係を測定し
た。この実験に用いた前記型枠も、前記第1図の試験点
と同一の素材からなるが、連続炭素繊維の混入率は体積
比において12%である。この試験の結果が第3図(b)
に実線で示される。同図において点線で表されるものは
試験片Eと同一の寸法をもつ従来の鉄筋コンクリート梁
の場合である。
第4図も曲げ剪断試験についての結果が示される。この
試験片は長さが2000mmである他は、第3図に示した
試験片Eと同一の試験片を用い、軸方向に40tの圧縮
力を負荷するとともに、第3図の試験と同様に試験片中
央上部に荷重Qを負荷してこの荷重Qと変形量δとの関
係を測定したのが実線であり、点線は同一寸法をもつ従
来の鉄筋コンクリート梁の場合である。
而して、型枠の耐火性及び力学的特性に優れる利点と、
型枠とコンクリートとの親和性に基づくコンクリート構
造物の一体性によって、建築,土木等の各種技術分野に
この発明のコンクリート構造物を適用することができ
る。
第5図以下は、コンクリート構造物の具体例である。第
5図(a)〜(e)は、型枠1の形状を、コンクリート構造物
の用途に応じて任意に設定することができることの例示
であり、(a)は断面長方形の中空角柱状、(b)は断面コ字
状、(c)は中空の円柱状、(d)は中空の円錐形状、(e)は
中空の断面弧状に夫々形成した例である。
第6図(a)〜(e)は、型枠1に鉄筋コンクリート,プレス
トレストコンクリート,鉄骨・鉄筋コンクリート,鉄骨
コンクリート,発泡コンクリート,軽量コンクリート,
ファイバーコンクリート等のコンクリートを、必要によ
り断熱材を組合せて充填固化させたコンクリート構造物
を示している。即ち、同図(a)は型枠1内に鉄筋2を配
したうえコンクリート3を充填固化したものであり、同
図(b)は鉄筋に代えて鉄骨4を用いたものであり、同図
(c)はコンクリート3として発泡コンクリートを用いた
ものであり、同図(d)は型枠1の形状を平板状にしたも
のであり、同図(e)は型枠1の形状を波板状にするとと
もにコンクリート3として軽量コンクリートを用いた例
である。
第7図(a)〜(f)は、建築物のラーメン構法,フラットプ
レート構法,フラットスラブ構法にこの発明のコンクリ
ート構造物を適用した例であって、同図(a)は建築物の
スラブ5と梁6と柱7との関係を示す説明図であり、こ
のうちの柱7は同図(b)(c)に示されており、この柱7に
は第6図(a)に示したコンクリート構造物を用い、上下
のスラブ5や梁6等との連結のために鉄筋2を突出させ
ている。同図(d)にはスラブ5と梁6とが示され、ここ
ではスラブ5を鉄筋コンクリートで構成するとともに、
梁6の上向きの断面コ字状型枠の上端開口部をスラブ5
で閉塞したうえ、型枠内部にコンクリートを充填して両
者を一体に構成している。同図(e)にはスラブ5と柱7
との関係が示され、また同図(f)には同図(e)のスラブ5
の下面に台形の構造物8が介在していることを示してい
る。この構造物8もこの発明のコンクリート構造物の一
例である。
第8図(a)〜(d)は、プレキャスト工法にこの発明のコン
クリート構造物を適用した例であって、夫々ブレキャス
トコンクリート構造物を示している。特に同図(b)のコ
ンクリート3は断熱性の高いコンクリートを使用してコ
ンクリート部材に断熱機能を与えている。また同図(c)
(d)には建築物の構造物として柱と梁とを兼ねる部材が
示される。
第9図(a)(b)は、海洋構造物の構造部材としてこの発明
のコンクリート構造物を適用した例であり、海底に設置
する基盤9上に設置され且つ上部の台10を支持する脚
11にこの発明のコンクリート構造物を適用している。
台10は海面上に表れている部分であり、その上面には
クレーン12が設置されている。この脚11には第5図
(d)に示した型枠1が使用され、これの内部に鉄筋コン
クリートが充填固化される。鉄筋2は、台10と脚11
との連結のために上端から突出している。
これら図示した例の他に、この発明のコンクリート構造
物は建築物の大スパンの梁,橋桁,橋脚等の各種構造物
に適用することができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明のコンクリート構造物に
用いる型枠においては、連続炭素繊維の直径、水硬性無
機微粉体の平均粒径と連続炭素繊維の直径との比率及び
水硬性無機微粉体の平均粒径を超えるものの総量に対す
る含有量を所定の数値範囲に規制したため、水硬性無機
微粉体が各連続炭素繊維間に回り込み、この水硬性微粉
体の水和物が各連続炭素繊維間を確実に連結し、連続炭
素繊維の含有率の上限値が30%という高率にまで達す
るので、連続炭素繊維の強度とも相俟って型枠の強度は
高い。しかもコンクリートは水硬性微粉体の一種である
から、型枠を構成する水硬性微粉体と内部に充填される
コンクリートとの間の親和性に富み、型枠とコンクリー
トとの結合が強固になされ、その結果、型枠は永久型枠
としてコンクリートと一体をなしたコンクリート構造物
を得ることができる。このように、この発明のコンクリ
ート構造物の高強度性に基づいて、この構造物に付随す
る帯筋,肋筋等の剪断補強筋を不要とすることもでき
る。また、このコンクリート構造物は表面に金属が表れ
ないから防錆処理をする必要もなく、また耐火性にも富
むから耐火被膜を施す必要もない。さらに表面には水硬
性微粉体の硬化体が表れるから塗装その他の表面仕上げ
も容易になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に用いる型枠の耐火試験の説明図、第
2図(a)は同圧縮試験の試験片の斜視図、第2図(b)は圧
縮試験の結果を示すグラフ、第3図(a)はこの発明の曲
げ剪断試験の説明図、第3図(b)は同図(a)の試験の結果
を示すグラフ、第4図は曲げ剪断試験の他の結果を示す
グラフ、第5図(a)乃至同図(e)は型枠の各種形状の例を
示す斜視図、第6図(a)乃至同図(e)はコンクリート構造
物の各種形状の例を示す斜視図、第7図(a)乃至同図(f)
は建築構造物の例を示す説明図、第8図(a)乃至同図(d)
はプレキャスト製品の例を示す説明図、第9図(a)及び
同図(b)は海洋構造物の例を示す斜視図である。 1・・・型枠、2・・・鉄筋、3・・・コンクリート、
4・・・鉄骨

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水和された水硬性無機微粉体で連続炭素繊
    維を固めてなる型枠と、前記型枠内に充填固化されて前
    記型枠と一体化したコンクリートとからなるコンクリー
    ト構造物において、記型枠枠を構成する連続炭素繊維の
    直径は6.4〜8.0μmであって、型枠に対する体積
    比で1〜30%含有し、水硬性無機微粉体の平均粒径は
    連続炭素繊維の直径の20〜100%であって、連続炭
    素繊維の直径より大きい粒径のものの含有量を水硬性無
    機微粉体総量に対する体積比で60%以下としたことを
    特徴とするコンクリート構造物。
  2. 【請求項2】型枠の材料である水硬性無機微粉体が、ポ
    ルトランドセメント,高炉セネント,アルミナセメン
    ト,耐硫酸塩セメントの少なくともいずれかの微粉体又
    はこれらの少なくともいずれかを主成分とする微粉体で
    ある特許請求の範囲第1項記載のコンクリート構造物。
  3. 【請求項3】型枠内に充填固化されたコンクリートは、
    鉄筋コンクリート,プレストレストコンクリート,鉄筋
    ・鉄骨コンクリート,鉄骨コンクリート,発砲コンクリ
    ート,軽量コンクリート,ファイバーコンクリートのい
    ずれかである特許請求の範囲第1項記載のコンクリート
    構造物。
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