JPH06303087A - 高周波回路用基板およびその製造方法ならびにそれを用いた高周波集積回路素子 - Google Patents

高周波回路用基板およびその製造方法ならびにそれを用いた高周波集積回路素子

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JPH06303087A
JPH06303087A JP8992593A JP8992593A JPH06303087A JP H06303087 A JPH06303087 A JP H06303087A JP 8992593 A JP8992593 A JP 8992593A JP 8992593 A JP8992593 A JP 8992593A JP H06303087 A JPH06303087 A JP H06303087A
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silicon film
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Mitsuhiko Goto
光彦 後藤
Masaaki Sugiyama
昌章 杉山
Takushi Okita
拓士 沖田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 一つのシリコン基板上に高周波増幅素子と表
面弾性波素子を作製する高周波集積回路素子にあって、
かつ、表面弾性波素子による表面弾性波の影響が同一基
板上に形成されている他の素子へ及ぶことのない高周波
回路用基板およびその製造方法ならびにそれを用いた高
周波集積回路素子を提供すること。 【構成】 シリコン基板1上に形成された下部に空間1
0を有するシリコン膜上に誘電体薄膜5が形成され、前
記空間によって隔てられた他の部分に半導体薄膜6が形
成されていることを特徴とする高周波回路用基板および
前記半導体薄膜に高周波増幅素子が形成され、前記誘電
体薄膜に表面弾性波素子が形成された高周波集積回路素
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波回路に用いる高
周波回路用基板およびその製造方法ならびにそれを用い
た高周波集積回路素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話、MCA(Multi Channel Acces
s)無線などの数百MHzから数GHzの高周波域で使用
する移動体無線の普及にともない、無線機器の小型化、
軽量化が求められており、必然的にこれら無線機器に用
いられる部品の小型、軽量化が望まれている。なかで
も、高周波域の信号を扱う高周波増幅回路やフィルタの
小型化は、通常の信号処理に用いられるLSI等と比較
すると、小型、計量化が進んでいるとはいえず、このよ
うは高周波域で用いられる部品の小型、軽量化が強く求
められているところである。
【0003】高周波用途部品の小型、軽量化を進める上
で、圧電体を利用した表面弾性波素子が注目されてい
る。これは、これまで用いられていた同軸フィルタやヘ
リカルフィルタと比較して小型、軽量にフィルタ素子を
製作することが可能となるためである。また、この表面
弾性波素子をフィルタ単体として用いるのではなく、高
周波増幅回路等がその一部分に形成された半導体基板上
に、窒化アルミニウムなどの誘電体薄膜を成膜し表面弾
性波フィルタを形成した高周波集積回路が開示されてい
る(例えばTsubouchi K;IEEE Trans.Sonics.Ultrason.
Vol.32, No.5, P634(1985)) 。
【0004】しかしながら、基板として単結晶シリコン
基板を用いシリコン基板面の一部に高周波増幅回路を形
成し、同一基板表面上に窒化アルミニウムを成膜して表
面弾性波フィルタを形成した場合には、数百MHzから
数GHzの高周波領域で使用する増幅回路としてシリコ
ンに形成した増幅回路は十分な特性を得ることは困難で
ある。通常、このような高周波領域の増幅回路として
は、ガリウム砒素などの化合物半導体に形成した増幅回
路が用いられる。これは、高周波を扱ううえで、シリコ
ンの増幅回路よりガリウム砒素に形成した増幅回路の方
が高速動作が可能なためである。
【0005】また、逆に、高周波増幅回路としての十分
な特性を得るためにガリウム砒素基板上の一部に高周波
増幅回路を形成し、同一基板表面上に窒化アルミニウム
を成膜して表面弾性波フィルタを形成した場合には、高
周波増幅回路としての特性は十分であるが、表面弾性波
フィルタとしての特性、特に表面弾性波の伝達速度が十
分ではない。これは、ガリウム砒素を伝わる表面弾性波
の速度が3000m/s以下と小さいため、ガリウム砒
素基板上に成膜された窒化アルミニウム上の表面弾性波
もその影響を受け、十分な速度が得られなくなるためで
ある。
【0006】本出願人は、上述のような、同一基板上に
高周波増幅回路と表面弾性波素子を集積した素子の問題
点を、図9に示すように、素子基板100表面の一部に
ガリウム砒素による半導体薄膜101と、同一基板10
0表面の別の部分に窒化アルミニウム薄膜102を成膜
した高周波回路用基板を開発し、また、この高周波回路
用基板の半導体薄膜101上に高周波増幅素子を、窒化
アルミニウム薄膜102上に表面弾性波素子を形成した
高周波回路素子によって解決できることを見出だした
(特願平3−3660691号)。
【0007】この高周波回路用基板およびそれを用いた
高周波回路素子は、上述したような高周波集積回路素子
としての問題点を解決し、初期の目的は達成したが、複
数の高周波増幅素子と表面弾性波素子を同一基板上に設
けた場合には、表面弾性波素子からの表面弾性波が同一
基板上の増幅回路素子などに伝わって、回路としての特
性が変わってしまうという、また、別の問題点があっ
た。特に、集積度を上げるために、増幅素子と表面弾性
波素子との距離を近付けた場合に顕著に生じるため、集
積度を上げるうえでその解決が望まれている。
【0008】従来、同一基板上に高周波増幅素子と表面
弾性波素子とを形成した場合に、表面弾性波の伝ぱんに
よる同一基板上の他の素子への影響を解決するために
は、表面弾性波素子を形成する誘電体薄膜の周囲に溝や
穴を形成し表面弾性波を散乱させたり、吸収材によって
表面弾性波を吸収させるなどの方法が開示されている
(実公昭57−50813号公報、特開平2−2510
4号公報、特開平3−145320号公報)。
【0009】しかしながら、表面弾性波を溝または穴な
どにより散乱させた場合には、表面弾性波が他の素子に
与える影響が必ずしもなくなるわけではなく、表面弾性
波の散乱によって、その他の素子へ影響が発生すること
になる。また、吸収材を用いる方法では、吸収材として
は、主に樹脂などを用いるので、半導体基板汚染の原因
になりやすい、半導体素子を作成するときには汚染は極
力避けるべきであり、吸収材を用いないで表面弾性波の
影響が他の素子へ及ばないようにすることが望まれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、一つのシリコン基板上に高周波増幅素子と表面弾性
波素子を作製する高周波集積回路素子にあって、各素子
としての特性に優れ、かつ、表面弾性波素子による表面
弾性波の影響が同一基板上に形成されている他の素子へ
及ぶことのない高周波回路用基板およびその製造方法な
らびにそれを用いた高周波集積回路素子を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記諸目的は、シリコン
基板上に形成された下部に空間を有するシリコン膜上に
誘電体薄膜が形成され、前記空間によって隔てられた他
の部分に半導体薄膜が形成されていることを特徴とする
高周波回路用基板により達成される。
【0012】また上記諸目的は、面方位(100)のn
型シリコン基板上にエピタキシャル成長法によりp型単
結晶シリコン膜を形成する工程と、該p型単結晶シリコ
ン膜上にエピタキシャル成長法によりn型単結晶シリコ
ン膜を形成する工程と、該n型単結晶シリコン膜の一部
に前記p型単結晶シリコン膜に達するp型層を形成する
工程と、前記n型シリコン基板を水酸化カリウム水溶液
に浸漬し、該水酸化カリウム水溶液の電位を基準とし
て、−1V以上の電位を前記n型シリコン基板に、−1
V以下の電位を前記p型単結晶シリコン膜にそれぞれ与
えて、前記p型層部分とそれにつながる前記p型単結晶
シリコン膜の一部をエッチングする工程と、該エッチン
グ工程により形成された空間上に位置する前記n型単結
晶シリコン膜上に誘電体薄膜を形成する工程と、該誘電
体膜を形成したn型単結晶シリコン膜部分から前記エッ
チング工程によりエッチングされた空間により隔てられ
た位置に半導体薄膜を形成する工程とを有することを特
徴とする高周波回路用基板の製造方法により達成され
る。
【0013】さらに上記諸目的は、シリコン基板上に形
成された下部に空間を有するシリコン膜上に誘電体薄膜
が形成され、前記空間によって隔てられた他の部分に半
導体薄膜が形成されている高周波回路用基板の前記半導
体薄膜に少なくとも一つの高周波素子が形成され、かつ
前記誘電体薄膜に少なくとも一つの表面弾性波素子が形
成されていることを特徴とする高周波集積回路素子によ
り達成される。
【0014】
【作用】本発明の高周波回路用基板は、その下部に空間
を設けて形成されたシリコン基板上のシリコン膜上に、
表面弾性波素子が形成される誘電体薄膜を形成すること
により、表面弾性波素子によって発生する表面弾性波を
同一基板上に形成される半導体薄膜上の素子に伝達され
るのを防止することができる。
【0015】本発明の高周波回路用基板の製造方法は、
p型とn型の単結晶シリコン膜を順次エピタキシャル成
長法により成膜する。このエピタキシャル成長法による
単結晶膜は、成長させるシリコン基板の面方位に一致し
た結晶成長が行われる。この後、表面のn型単結晶シリ
コン膜の一部にp型層をp型単結晶シリコン膜に達する
ように形成し、n型単結晶シリコン膜に水酸化カリウム
水溶液の電位を基準として−1V以上の電位を、前記p
型単結晶シリコン膜に水酸化カリウム水溶液の電位を基
準として−1V以下の電位を与えて、水酸化カリウム水
溶液に浸漬する電気化学的エッチングによって、p型層
とそれにつらなるp型単結晶シリコン膜の一部をエッチ
ングする。このエッチングは、電気化学的エッチングに
よってp型層のみがエッチングされ、かつ、KOHによ
る異方性エッチングである。このため、p型部分のみが
エッチングされ、かつエッチングされるp型単結晶シリ
コンは上述したように、基板と同じ結晶方位となってい
るので、n型単結晶シリコン膜の下にエッチング面とし
て(111)面が現れたところで停止した空間が形成さ
れる。このようにして形成された下部に空間を有するシ
リコン膜上に誘電体薄膜を形成し、空間を形成するため
のに用いられたエッチングによって除去されたp型層部
分の空間を介して半導体薄膜を形成するものである。
【0016】本発明の高周波集積回路素子は、空間によ
って、他の部分と隔てられたシリコン膜上に誘電体薄膜
を形成し、他の部分に半導体薄膜が形成された高周波回
路用基板を用い、他の部分から空間によって隔てられた
誘電体薄膜に表面弾性波素子を形成することで、表面弾
性波素子が発する高周波による影響が他の素子へ及ぶこ
とを防止し、高周波増幅素子と表面弾性波素子を高集積
化したものである。
【0017】
【実施例】以下、本発明を添付した図面を参照しながら
説明する。
【0018】初めに、本発明の高周波回路用基板の製造
方法について説明する。まず、図1aに示すように、
(100)方位のn型単結晶シリコン基板1の表面に、
エピタキシャル成長法によりp型単結晶シリコン膜2を
形成し、その上にn型単結晶シリコン膜3を形成する。
p型単結晶シリコン膜2の膜厚は、1〜300μm程度
が好ましく、n型単結晶シリコン膜3の膜厚は、3〜3
00μm程度が好ましい。これは、p型単結晶シリコン
膜は、後に、異方性エッチングされてn型単結晶シリコ
ン膜の下に空間を形成するのに必要な膜厚があれば良
く、1μm以下では、この空間をエッチングにより形成
する際に、エッチング液の回りが悪くなる可能性があ
り、好ましくない。一方n型単結晶シリコン膜は、その
上に形成される表面弾性波素子が十分機能するために3
μm程度以上が好ましい。
【0019】また、p型単結晶シリコン膜2およびn型
単結晶シリコン膜3とも、極端に厚くすると、膜の形成
およびエッチングに長い時間がかかるため、不必要に厚
くすることは好ましくない。p型単結晶シリコン膜2お
よびn型単結晶シリコン膜3とも、300μm程度もあ
れば本発明の効果は発揮できるので、厚くても300μ
m程度以下であることが好ましい。
【0020】次に、図1bに示すように、n型単結晶シ
リコン膜3にp型単結晶シリコン膜2に達するp型層4
を形成する。このp型層4は、シリコン基板1の(11
0)面の方向に対して斜め方向に、図2aまたは図2b
に示すように、長方形または長方形を複数形成するか、
または図2cに示すように、コの字形に形成する。シリ
コン基板1の(110)面の方向に対して斜め方向に形
成するのは、以後の工程である異方性エッチング工程の
際に説明するが、エッチングは、(111)面が露出し
た時点で停止するため、(110)方向に平行にp型層
4を形成した場合には、その下に繋がるp型単結晶シリ
コン膜内までエッチングが進行せず、n型単結晶シリコ
ン膜の下部に空間を形成することができないためであ
る。なお、p型層4の形成には、レジストをフォトリソ
グラフィーによりパターニングしてマスクを形成してイ
オン注入法により形成しても、p型不純物を含むポリシ
リコン膜やボロンガラス膜などを成膜後これらをパター
ニングして熱拡散法により形成してもよく、特に限定さ
れるものではない。
【0021】次に、p型層4とそれに連なるp型単結晶
シリコン膜2の一部を電気化学的に異方性エッチングを
行う。まず、電気化学的異方性エッチングの装置概要を
説明すると、図6に示すように、水酸化カリウム水溶液
を入れ、エッチングを行うエッチング槽20、電圧およ
び電流を制御するためのポテンショスタット22、電流
値および電流値をモニターするマイクロコンピュータ2
6よりなり、エッチング槽20内には、エッチング液内
の電圧を知る参照電極(RE)23、エッチングするシ
リコン基板に設けられる2つの試料電極(WE1)24
a、(WE2)24bおよび対向電極(CE)25が設
置され、エッチング槽20内には水酸化カリウム水溶液
内に溶けている酸素を除去するための窒素バブリング装
置(図示せず)が設けられている。なお、REとしては
飽和カロメル電極(SCE)を用い、以下説明において
用いられる電圧値は、このREを基準とした値である。
【0022】エッチングを行うには、その一部にp型層
4を形成したn型単結晶シリコン膜3とp型単結晶シリ
コン膜2を有する単結晶シリコン基板1に電圧を印加す
るための2つの試料電極24a、24bをそれぞれ基板
1のn型部分とp型部分に半田付けなどにより設け、電
極部分を水酸化カリウム水溶液から保護するため電極部
分にコーティング用樹脂を塗布し、エッチング槽内の6
0℃、40%水酸化カリウム水溶液中に浸漬し、水酸化
カリウム水溶液に対して(REに対して)n型部分に−
1V以上、p型部分に−1V以下の電位となるように電
圧を印加する。これにより、図1cに示すように、n型
単結晶シリコン膜3に形成されたp型層4とp型単結晶
シリコン膜2の一部がエッチングされて、n型層3の下
部に空間10が形成される。
【0023】なお、n型部分およびp型部分に試料電極
を設けるには、n型部分は、基板の表面に形成されてい
るn型単結晶シリコン膜3上とn型単結晶基板1裏面
に、また、p型部分は、前記p型層4形成の際に、集積
回路形成の際に邪魔にならない部分(基板外周近傍な
ど)にあらかじめp型層4と同じp型単結晶シリコン膜
2に達するp型層を形成しておき、そこに試料電極24
aおよび24bを上述したように半田付けなどにより設
ける。
【0024】p型単結晶シリコン膜3のエッチングは、
図3に示すように、面方位が(111)の面が露出した
ところで、(111)面のエッチング速度が他の面方位
に比べ極めて遅いため略停止し、n型単結晶シリコン膜
3の下に空間10が形成される。なお、図示する場合に
は、図3aは、前記p型層4形成において長方形状とし
た場合であり、図3bは長方形を複数形成した場合であ
り、図3cはコの字形に形成した場合である。
【0025】また、図3dに示すように、長方形状のp
型層4の角の部分に一部p型層の三角すい形状の部分4
1が残る。これは、表面からの異方性エッチングのため
にp型層4の(111)面が露出した部分でエッチング
が停止するために残るものであり、p型層4の厚さ、す
なわちn型単結晶シリコン膜3の厚さの約0.7倍の長
さだけ水平方向に出っ張る。仮に、p型層4の厚さ、す
ななわn型単結晶シリコン基板膜3の厚さが10μmと
すると、約7μm横に出っ張ることになる。p型層4の
形成領域が大きければ、この出っ張りは問題とならない
し、また、p型層4の形成領域が小さい場合には、あら
かじめこの出っ張りの分だけ、大きめにp型層4を形成
しておけば、この出っ張りの影響はない。
【0026】この様に、n型単結晶シリコン膜3の下に
形成される空間10の大きさは、前記p型層4の形成の
際の形によって決まる。したがって、空間10部分をよ
り大きくとりたい場合には、p型層4を(110)方向
に対しての角度αを45°にとると空間10部分をその
下に有するn型単結晶シリコン膜3の領域を大きくとる
ことができる。
【0027】次に、図4dに示すように、n型単結晶シ
リコン膜3の下部に空間10を形成した領域に誘電体薄
膜5、例えば窒化アルミニウム、酸化亜鉛、タンタル酸
リチウム、チタン酸ジルコン酸鉛などをスパッタ法また
はCVD法により形成する。
【0028】次に、図4eに示すように、誘電体薄膜5
を形成した領域からp型層4が形成されていてエッチン
グにより除去された部分を挟んで対峙する部分に半導体
薄膜6、例えばガリウム砒素(GaAs)等の化合物半
導体薄膜をCVD法により形成することにより、本発明
の高周波回路用基板が製造される。
【0029】誘電体薄膜5と半導体薄膜6の形成は、p
型層4を形成したときの形状により、それぞれ長方形状
に形成した場合には、図5aに示すように、誘電体薄膜
5を空間10が形成されたシリコン膜3領域に形成し、
半導体薄膜6を空間10によって隔てられた部分に形成
する。また、長方形状のp型層4を複数形成した場合に
は、図5bに示すように空間10に挟まれたシリコン膜
3の領域に誘電体薄膜5を形成し、他の部分に半導体薄
膜6を形成する。また、p型層4をコの字形に形成した
場合には、図5cに示すように空間10に三方が囲まれ
た下部に空間10を有するシリコン膜3の領域に誘電体
薄膜5を形成し、他の部分に半導体薄膜(図示せず)を
形成する。なお、誘電体薄膜5および半導体薄膜6の大
きさや配置は、あくまでも一例にすぎず、この様な大き
さや配置に限定されるものではなく、所望する任意の大
きさでよい。また、図示する場合には、p型層4部分は
エッチングにより除去されておりp型層は存在しない
が、説明のためこの付号を付してある。
【0030】上述した製造方法により形成された本発明
の高周波回路用基板は、表面弾性波素子などを形成する
誘電体薄膜5が空間10が形成された領域のn型単結晶
シリコン膜3上にあり、高周波増幅素子や回路が形成さ
れる半導体薄膜6は、この空間10によって隔てられた
他の部分に形成されていることにより、誘電体薄膜5上
に形成される表面弾性波素子が発する表面弾性波が基板
を伝わって高周波素子や回路に悪影響を及ぼすことを防
止するものである。
【0031】次に、本発明の高周波集積回路素子につい
て説明する。図7は本発明の高周波集積回路素子の一実
施例を説明するための図面である。また、図8は図7に
示した高周波集積回路素子の回路図である。この高周波
集積回路素子は、誘電体薄膜6上に形成された表面弾性
波素子による送信用バンドパスフィルタ14、同じく表
面弾性波素子による受信用バンドパスフィルタ15、同
じく表面弾性波素子による受信用段間フィルタ16およ
び半導体薄膜5上に形成された高周波増幅素子による受
信用RFアンプ17が集積化され、各フィルタ14,1
5,16およびアンプ17を接続する金属膜やポリシリ
コンなどによる線路配線18および整合回路(図示せ
ず)などからなる集積回路素子である。なお、集積回路
上には、アンテナ接続端子31、送信パワーアンプ接続
端子32、ミキサ回路接続端子33およびアンプ電源用
端子(図示せず)等が設けられている。
【0032】この高周波集積回路素子は、表面弾性波素
子による各フィルタ3個と高周波増幅素子によるアンプ
1個が同一基板上に形成されているが、3個のフィルタ
14,15,16は、下部に空間を有するシリコン膜上
に形成され、それぞれが空間によって他の素子を分離さ
れているため、フィルタが発する表面弾性波が基板上の
他の素子に伝わり悪影響を及ぼすことなく、複数の各種
素子が集積化されたものである。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の高周波回
路用基板は、空間によって隔てられたシリコン膜上に表
面弾性波素子が作製される誘電体薄膜を形成し、他の素
子が形成される半導体薄膜が形成される部分と分離して
いることにより、表面弾性波素子が発する表面弾性波な
どの高周波による同一基板上の他の素子への悪影響を防
止することができる高周波回路用基板である。そして、
この高周波回路用基板は、高周波の伝達を防止するため
に、吸収材などを用いていないため、表面弾性波素子と
高周波増幅素子や回路などを集積化した高周波集積回路
の各素子作製の際に、吸収材による汚染を引き起こすこ
とがない。また、表面弾性波素子が発する高周波などの
影響を防止するための空間は、表面弾性波素子が作製さ
れる誘電体薄膜を形成するシリコン膜の下にまで達して
いるので、基板を伝ぱんする高周波を確実に遮断するこ
とができる。
【0034】本発明の高周波回路用基板の製造方法は、
電気化学的異方性エッチングを利用して、n型単結晶シ
リコン膜の下に、空間を形成しているため、誘電体薄膜
が作製される領域の下を任意に所望する領域の空間を形
成することが可能である。
【0035】また、形成する空間の寸法は、p型および
n型の単結晶シリコン膜の厚さと、n型単結晶シリコン
膜に形成されるp型層の大きさで決定されるが、これら
はIC−LSI微細加工技術であるエピタキシャル成長
とリソグラフィーによるパターニングによって行われる
ので、制御性が高い。
【0036】さらに、空間の形成は、電気化学的異方性
エッチングを用いているので、同一基板に複数個の空間
を形成する場合に、エッチング速度のばらつきがあって
も、(111)面の露出や、n型層の露出によりエッチ
ングが正確に停止するため、均一な形状、大きさの空間
を形成することができる。したがって、本発明の高周波
回路用基板の製造方法によれば、基板全体にわたって、
n型単結晶シリコン膜の下の空間の形状や大きさを制御
性よく、かつ、均一に形成することができる。これによ
り、表面弾性波素子よりの弾性波の遮断特性の均一な、
つまり弾性波を確実に遮断できる高周波回路用基板およ
び高周波回路素子を提供できる。
【0037】本発明の高周波集積回路素子は、表面弾性
波素子が作製されている誘電体薄膜が、その下部に空間
を有するシリコン膜上に形成され、集積回路の他の素子
と空間によって隔てられているため、同一基板上にある
他の素子が表面弾性波素子が発する高周波によって影響
されることなく複数の素子が集積化されたものである。
そして、表面弾性波素子が作製されている誘電体薄膜
を形成したシリコン膜がその下部に空間が形成されてい
ることにより、シリコン膜が薄くなっているので、表面
弾性波素子から半導体薄膜上に作製される素子への、ま
た、半導体薄膜上に作製される素子から表面弾性波素子
への電気的ノイズが伝わりにくくなるという効果があ
る。また、半導体薄膜上の素子の発熱が誘電体薄膜上の
表面弾性波素子に伝達されず、誘電体薄膜の温度変化が
起きにくくなるため表面弾性波素子の特性が安定すると
いう効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高周波回路用基板製造方法を説明す
るための断面図である。
【図2】 本発明の高周波回路用基板製造方法を説明す
るための平面図である。
【図3】 本発明の高周波回路用基板製造方法を説明す
るための図面で、図3a〜cは平面図であり、図3dは
一部分の拡大斜視図である。
【図4】 本発明の高周波回路用基板製造方法を説明す
るための図1に続く断面図である。
【図5】 本発明の高周波回路用基板製造方法を説明す
るための平面図である。
【図6】 電気化学的異方性エッチングの装置概要を説
明するための図面である。
【図7】 本発明の高周波集積回路素子を説明するため
の斜視図である。
【図8】 本発明の高周波集積回路素子の回路図であ
る。
【図9】 従来の高周波回路用基板の断面図である。
【符号の説明】
1…シリコン基板、 2…p型
単結晶シリコン膜3…n型単結晶シリコン膜、
4…p型層、5…誘電体薄膜、
6…半導体薄膜、10…空間、
14…送信用バンドパスフィル
タ、15…受信用バンドパスフィルタ、 16…
受信用段間フィルタ、17…受信用RFアンプ、
18…線路配線、20…エッチング槽、
22…ポテンショスタット、23
…参照電極、 24a、24
b…試料電極、25…対向電極、
26…マイクロコンピュータ。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年6月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】携帯電話、MCA(Multi Channel Acces
s)無線などの数百MHzから数GHzの高周波域で使用
する移動体無線の普及にともない、無線機器の小型化、
軽量化が求められており、必然的にこれら無線機器に用
いられる部品の小型、軽量化が望まれている。なかで
も、高周波域の信号を扱う高周波増幅回路やフィルタの
小型化は、通常の信号処理に用いられるLSI等と比較
すると、小型、量化が進んでいるとはいえず、このよ
うは高周波域で用いられる部品の小型、軽量化が強く求
められているところである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】また上記諸目的は、面方位(100)のn
型シリコン基板上にエピタキシャル成長法によりp型単
結晶シリコン膜を形成する工程と、該p型単結晶シリコ
ン膜上にエピタキシャル成長法によりn型単結晶シリコ
ン膜を形成する工程と、該n型単結晶シリコン膜の一部
に前記p型単結晶シリコン膜に達するp型層を形成する
工程と、前記n型シリコン基板を水酸化カリウム水溶液
に浸漬し、該水酸化カリウム水溶液の電位を基準とし
て、−1V以上の電位を前記n型シリコン基板および前
記n型単結晶シリコン膜に、−1V以下の電位を前記p
型単結晶シリコン膜にそれぞれ与えて、前記p型層部分
とそれにつながる前記p型単結晶シリコン膜の一部をエ
ッチングする工程と、該エッチング工程により形成され
た空間上に位置する前記n型単結晶シリコン膜上に誘電
体薄膜を形成する工程と、該誘電体膜を形成したn型単
結晶シリコン膜部分から前記エッチング工程によりエッ
チングされた空間により隔てられた位置に半導体薄膜を
形成する工程とを有することを特徴とする高周波回路用
基板の製造方法により達成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明の高周波回路用基板の製造方法は、
p型とn型の単結晶シリコン膜を順次エピタキシャル成
長法により成膜する。このエピタキシャル成長法による
単結晶膜は、成長させるシリコン基板の面方位に一致し
た結晶成長が行われる。この後、表面のn型単結晶シリ
コン膜の一部にp型層をp型単結晶シリコン膜に達する
ように形成し、n型シリコン基板およびn型単結晶シリ
コン膜に水酸化カリウム水溶液の電位を基準として−1
V以上の電位を、前記p型単結晶シリコン膜に水酸化カ
リウム水溶液の電位を基準として−1V以下の電位を与
えて、水酸化カリウム水溶液に浸漬する電気化学的エッ
チングによって、p型層とそれにつらなるp型単結晶シ
リコン膜の一部をエッチングする。このエッチングは、
電気化学的エッチングによってp型層のみがエッチング
され、かつ、KOHによる異方性エッチングである。こ
のため、p型部分のみがエッチングされ、かつエッチン
グされるp型単結晶シリコンは上述したように、基板と
同じ結晶方位となっているので、n型単結晶シリコン膜
の下にエッチング面として(111)面が現れたところ
で停止した空間が形成される。このようにして形成され
た下部に空間を有するシリコン膜上に誘電体薄膜と形成
し、空間を形成するためのに用いられたエッチングによ
って除去されたp型層部分の空間を介して半導体薄膜を
形成するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】次に、p型層4とそれに連なるp型単結晶
シリコン膜2の一部を電気化学的に異方性エッチングを
行う。まず、電気化学的異方性エッチングの装置概要を
説明すると、図6に示すように、水酸化カリウム水溶液
を入れ、エッチングを行うエッチング槽20、電圧およ
び電流を制御するためのポテンショスタット22、電
値および電流値をモニターするマイクロコンピュータ2
6よりなり、エッチング槽20内には、エッチング液内
の電圧を知る参照電極(RE)23、エッチングするシ
リコン基板に設けられる2つの試料電極(WE1)24
a、(WE2)24bおよび対向電極(CE)25が設
置され、エッチング槽20内には水酸化カリウム水溶液
内に溶けている酸素を除去するための窒素バブリング装
置(図示せず)が設けられている。なお、REとしては
飽和カロメル電極(SCE)を用い、以下説明において
用いられる電圧値は、このREを基準とした値である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板上に形成された下部に空間
    を有するシリコン膜上に誘電体薄膜が形成され、前記空
    間によって隔てられた他の部分に半導体薄膜が形成され
    ていることを特徴とする高周波回路用基板。
  2. 【請求項2】 面方位(100)のn型シリコン基板上
    にエピタキシャル成長法によりp型単結晶シリコン膜を
    形成する工程と、 該p型単結晶シリコン膜上にエピタキシャル成長法によ
    りn型単結晶シリコン膜を形成する工程と、 該n型単結晶シリコン膜の一部に前記p型単結晶シリコ
    ン膜に達するp型層を形成する工程と、 前記n型シリコン基板を水酸化カリウム水溶液に浸漬
    し、該水酸化カリウム水溶液の電位を基準として、−1
    V以上の電位を前記n型シリコン基板に、−1V以下の
    電位を前記p型単結晶シリコン膜にそれぞれ与えて、前
    記p型層部分とそれにつながる前記p型単結晶シリコン
    膜の一部をエッチングする工程と、 該エッチング工程により形成された空間上に位置する前
    記n型単結晶シリコン膜上に誘電体薄膜を形成する工程
    と、 該誘電体膜を形成したn型単結晶シリコン膜部分から前
    記エッチング工程によりエッチングされた空間により隔
    てられた位置に半導体薄膜を形成する工程とを有するこ
    とを特徴とする高周波回路用基板の製造方法。
  3. 【請求項3】 シリコン基板上に形成された下部に空間
    を有するシリコン膜上に誘電体薄膜が形成され、前記空
    間によって隔てられた他の部分に半導体薄膜が形成され
    ている高周波回路用基板の前記半導体薄膜に少なくとも
    一つの高周波素子が形成され、かつ前記誘電体薄膜に少
    なくとも一つの表面弾性波素子が形成されていることを
    特徴とする高周波集積回路素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007263781A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Hitachi Ltd 力学量測定装置
JP4697004B2 (ja) * 2006-03-29 2011-06-08 株式会社日立製作所 力学量測定装置

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