JPH06298621A - 歯科用充填組成物 - Google Patents
歯科用充填組成物Info
- Publication number
- JPH06298621A JPH06298621A JP5107179A JP10717993A JPH06298621A JP H06298621 A JPH06298621 A JP H06298621A JP 5107179 A JP5107179 A JP 5107179A JP 10717993 A JP10717993 A JP 10717993A JP H06298621 A JPH06298621 A JP H06298621A
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- JP
- Japan
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- protein
- filling composition
- dental filling
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- phosphate
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】 重量でα−リン酸3カルシウム及び/又は第
8リン酸カルシウム97〜50%及び水酸化アパタイト
3〜50%を含有する粉体部と、骨成形タンパク質を重
量で0.1〜5.0%含有する液部とを粉液比1〜3の割合
で練和混合して歯牙に充填剤として使用する。 【効果】 充填材の硬化は骨形成タンパク質が徐放さ
れ、従来の充填組成物のように、充填剤周囲に線維性組
織を形成したり、歯牙を損うような悪影響を及ぼすこと
がなく、良好な硬組織の再建を促し、早期に治癒効果を
現わす。
8リン酸カルシウム97〜50%及び水酸化アパタイト
3〜50%を含有する粉体部と、骨成形タンパク質を重
量で0.1〜5.0%含有する液部とを粉液比1〜3の割合
で練和混合して歯牙に充填剤として使用する。 【効果】 充填材の硬化は骨形成タンパク質が徐放さ
れ、従来の充填組成物のように、充填剤周囲に線維性組
織を形成したり、歯牙を損うような悪影響を及ぼすこと
がなく、良好な硬組織の再建を促し、早期に治癒効果を
現わす。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタンパク質徐放性歯科用
充填組成物に関するものであり、従来の歯の充填組成物
に比し、歯牙周囲組織に悪影響を及ぼすことがなく、早
期に治療効果を現わす歯科用充填組成物に関するもので
ある。
充填組成物に関するものであり、従来の歯の充填組成物
に比し、歯牙周囲組織に悪影響を及ぼすことがなく、早
期に治療効果を現わす歯科用充填組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の歯科用充填剤、特に根管充填材
は、ガッタパーチャーなどが使用されてきたが、根尖孔
からそれが溢出した場合など、根尖周囲組織に対して期
待したとは異なる症状を示す偽害作用を生じ、又それら
の材料が線維性組織によって被胞化され、生体の排除機
構により生体外に排出されたり、歯牙歯根部の吸収を惹
起したりすることがある。
は、ガッタパーチャーなどが使用されてきたが、根尖孔
からそれが溢出した場合など、根尖周囲組織に対して期
待したとは異なる症状を示す偽害作用を生じ、又それら
の材料が線維性組織によって被胞化され、生体の排除機
構により生体外に排出されたり、歯牙歯根部の吸収を惹
起したりすることがある。
【0003】また生活歯髄切断法の薬剤として使用され
ている水酸化カルシウム製剤は、強アルカリ性の薬剤
で、切断した歯髄に直接作用させると、薬剤周囲の歯髄
を壊死させることが知られており、この薬剤を使用した
場合には、壊死層の下部に生体の防御機構によるデンテ
ィンブリッジ(硬組織様組織)を形成することが知られ
ている。しかし、これらの水酸化カルシウム系の薬剤を
使用した際には、デンティンブリッジが形成された後に
おいても、再度歯髄炎症の起こることがしばしば観察さ
れ、抜歯髄適応症となることがあり、ときには根尖歯周
炎を惹起することがある。
ている水酸化カルシウム製剤は、強アルカリ性の薬剤
で、切断した歯髄に直接作用させると、薬剤周囲の歯髄
を壊死させることが知られており、この薬剤を使用した
場合には、壊死層の下部に生体の防御機構によるデンテ
ィンブリッジ(硬組織様組織)を形成することが知られ
ている。しかし、これらの水酸化カルシウム系の薬剤を
使用した際には、デンティンブリッジが形成された後に
おいても、再度歯髄炎症の起こることがしばしば観察さ
れ、抜歯髄適応症となることがあり、ときには根尖歯周
炎を惹起することがある。
【0004】また偶発的に根管治療中に発生した穿孔部
位に対して、現在までアマルガム充填等の処置が施され
てきた。
位に対して、現在までアマルガム充填等の処置が施され
てきた。
【0005】近年、生体親和性の良いセラミックスの開
発により、水酸化アパタイトなどの、骨伝導能をもち生
体親和性の高いリン酸カルシウム化合物を基材とした歯
内療法材料が開発され、根管充填に応用された時、これ
らの材料が根尖部より溢出した場合でも、周囲組織に対
して比較的偽害作用を生ぜず良好な治療結果がえられる
ようになった。
発により、水酸化アパタイトなどの、骨伝導能をもち生
体親和性の高いリン酸カルシウム化合物を基材とした歯
内療法材料が開発され、根管充填に応用された時、これ
らの材料が根尖部より溢出した場合でも、周囲組織に対
して比較的偽害作用を生ぜず良好な治療結果がえられる
ようになった。
【0006】しかし、これらのリン酸カルシウム化合物
は、骨誘導能、即ち硬組織を形成させる働きをもつ細胞
の活性を高めて硬組織を再建させることができる能力を
持たないため、これらを充填材として用いた場合でも、
材料周囲に線維性組織が観察されることがあり、必ずし
も生体の瘢痕化機転による硬組織によって根端孔を閉鎖
することは期待できない。
は、骨誘導能、即ち硬組織を形成させる働きをもつ細胞
の活性を高めて硬組織を再建させることができる能力を
持たないため、これらを充填材として用いた場合でも、
材料周囲に線維性組織が観察されることがあり、必ずし
も生体の瘢痕化機転による硬組織によって根端孔を閉鎖
することは期待できない。
【0007】また、これらのリン酸カルシウム化合物
を、覆髄材として使用する場合、歯髄壊死を起こすこと
はないが、材料に接する部位の歯髄側では線維性組織が
増殖したり、材料自身が貧食される傾向にあり、これら
の覆髄材を使用した場合、多くの臨床例で歯髄が再度炎
症を起こし、必ずしも良い治療結果がえられておらず、
新たな材料・薬剤の開発が望まれている。
を、覆髄材として使用する場合、歯髄壊死を起こすこと
はないが、材料に接する部位の歯髄側では線維性組織が
増殖したり、材料自身が貧食される傾向にあり、これら
の覆髄材を使用した場合、多くの臨床例で歯髄が再度炎
症を起こし、必ずしも良い治療結果がえられておらず、
新たな材料・薬剤の開発が望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の歯科
用充填組成物に比し、歯牙周囲組織に対し偽害作用を生
ぜず、処置を施した部位において硬組織を形成させ、歯
牙を損うことなく治癒させる歯科用充填組成物を提供す
ることを課題としている。
用充填組成物に比し、歯牙周囲組織に対し偽害作用を生
ぜず、処置を施した部位において硬組織を形成させ、歯
牙を損うことなく治癒させる歯科用充填組成物を提供す
ることを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】α−リン酸3カ
ルシウム及び/又は第8リン酸カルシウムと、水酸化ア
パタイトとの粉末結晶を含有する歯科用充填組成物の結
晶中、若しくは結晶間隙中に、骨形成タンパク質を含有
させた歯科用充填組成物を使用することにより、その組
成物に、練和後初期に流動性を持たせることができ、か
つこれらのタンパク質を徐放するので、微小な歯牙部
位、例えば歯牙の根管内などにその流動性を利用して充
填できるとともに、これらタンパク質の徐放により根尖
孔のような微小部位をすみやかに硬組織により閉鎖でき
るとともに、偶発的に生じた穿孔部や露髄した部位等に
作用させることにより、従来の薬剤に比し早期に治癒さ
せることができることを認めた。
ルシウム及び/又は第8リン酸カルシウムと、水酸化ア
パタイトとの粉末結晶を含有する歯科用充填組成物の結
晶中、若しくは結晶間隙中に、骨形成タンパク質を含有
させた歯科用充填組成物を使用することにより、その組
成物に、練和後初期に流動性を持たせることができ、か
つこれらのタンパク質を徐放するので、微小な歯牙部
位、例えば歯牙の根管内などにその流動性を利用して充
填できるとともに、これらタンパク質の徐放により根尖
孔のような微小部位をすみやかに硬組織により閉鎖でき
るとともに、偶発的に生じた穿孔部や露髄した部位等に
作用させることにより、従来の薬剤に比し早期に治癒さ
せることができることを認めた。
【0010】即ち、本発明は、α−リン酸3カルシウム
及び/又は第8リン酸カルシウムと、水酸化アパタイト
とを含む粉末結晶を粉部とし、液部は、水、生理食塩
水、又はコラーゲン等の生体に対し偽害作用を示さない
水溶液に、骨形成タンパク質を含有させ、練和混合して
歯牙に使用することを目的とした歯科用充填組成物を提
供するものである。
及び/又は第8リン酸カルシウムと、水酸化アパタイト
とを含む粉末結晶を粉部とし、液部は、水、生理食塩
水、又はコラーゲン等の生体に対し偽害作用を示さない
水溶液に、骨形成タンパク質を含有させ、練和混合して
歯牙に使用することを目的とした歯科用充填組成物を提
供するものである。
【0011】α−リン酸3カルシウム、第8リン酸カル
シウム及び水酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム
は、骨伝導能、即ち材料自体が硬組織の一部として置き
換わることのできる能力を有する材料として知られてお
り、骨形成タンパク質は、骨誘導能を有する材料として
知られている。
シウム及び水酸化アパタイトなどのリン酸カルシウム
は、骨伝導能、即ち材料自体が硬組織の一部として置き
換わることのできる能力を有する材料として知られてお
り、骨形成タンパク質は、骨誘導能を有する材料として
知られている。
【0012】このα−リン酸3カルシウム及び/又は第
8リン酸カルシウムと、水酸化アパタイトとを含む粉末
を粉部とし、液部に骨形成タンパク質を含有させ、これ
らを練和混合することにより、α−リン酸3カルシウム
や第8リン酸カルシウムと水酸化アパタイトとが硬化し
て硬化体となる。この際、結晶中もしくは結晶間隙中に
骨形成タンパク質を含有するため、この硬化体がこれら
のタンパク質を徐放し、骨伝導能と骨誘導能の両作用を
示すことができるので、材料周囲に線維性組織が形成さ
れることなく、良好な硬組織再建を促す作用を有してい
る。
8リン酸カルシウムと、水酸化アパタイトとを含む粉末
を粉部とし、液部に骨形成タンパク質を含有させ、これ
らを練和混合することにより、α−リン酸3カルシウム
や第8リン酸カルシウムと水酸化アパタイトとが硬化し
て硬化体となる。この際、結晶中もしくは結晶間隙中に
骨形成タンパク質を含有するため、この硬化体がこれら
のタンパク質を徐放し、骨伝導能と骨誘導能の両作用を
示すことができるので、材料周囲に線維性組織が形成さ
れることなく、良好な硬組織再建を促す作用を有してい
る。
【0013】歯内療法材料として応用した場合、根尖孔
の硬組織による閉鎖、また穿孔した部位についても同様
に硬組織形成により根管内を閉鎖することができ、また
直接覆髄材として応用した場合には、歯髄に偽害作用が
なく、硬組織による閉鎖と歯髄の保存ができる。
の硬組織による閉鎖、また穿孔した部位についても同様
に硬組織形成により根管内を閉鎖することができ、また
直接覆髄材として応用した場合には、歯髄に偽害作用が
なく、硬組織による閉鎖と歯髄の保存ができる。
【0014】この歯科用充填組成物の基材であるα−リ
ン酸3カルシウム、第8リン酸カルシウムは、水酸化ア
パタイトとの硬化時に結晶変化を起こして水酸化アパタ
イトとなるため、生体硬組織と同一な化学組成となり、
生体内において安定で、骨形成タンパク質の存在により
硬組織形成がすみやかに行われるため、偽害性の点でも
問題を生じることはない。
ン酸3カルシウム、第8リン酸カルシウムは、水酸化ア
パタイトとの硬化時に結晶変化を起こして水酸化アパタ
イトとなるため、生体硬組織と同一な化学組成となり、
生体内において安定で、骨形成タンパク質の存在により
硬組織形成がすみやかに行われるため、偽害性の点でも
問題を生じることはない。
【0015】本発明で粉部に使用されるα−リン酸3カ
ルシウム及び/又は第8リン酸カルシウム、及び水酸化
アパタイトの比率は特に限定されず、適宜の比率で使用
可能であるが、一般には97〜50%:3〜50%(重
量で)の範囲で使用するのが好ましく、骨形成タンパク
質としては、TGF−βスーパーファミリー(TransGro
thforming Factor-β)に属するタンパク質であるBM
P群が好ましく、液部におけるその含量は、好ましくは
0.1〜5.0%(重量)である。又、使用する粉液の比率
は一般的に1.5〜3.0程度であり、2付近が好ましい。
ルシウム及び/又は第8リン酸カルシウム、及び水酸化
アパタイトの比率は特に限定されず、適宜の比率で使用
可能であるが、一般には97〜50%:3〜50%(重
量で)の範囲で使用するのが好ましく、骨形成タンパク
質としては、TGF−βスーパーファミリー(TransGro
thforming Factor-β)に属するタンパク質であるBM
P群が好ましく、液部におけるその含量は、好ましくは
0.1〜5.0%(重量)である。又、使用する粉液の比率
は一般的に1.5〜3.0程度であり、2付近が好ましい。
【0016】
【実施例1】 歯科用充填組成物の調製 水酸化アパタイト(以下HAP)、α−リン酸3カルシ
ウム(以下α−TCP)、第8リン酸カルシウム(以下
OCP)、コラーゲン水溶液、骨形成タンパク質として
Crude-BMP、又はBMP-2 を用いて歯科用充填組成物を表
1のように調製し、実施例2〜4のような動物実験を行
なった。
ウム(以下α−TCP)、第8リン酸カルシウム(以下
OCP)、コラーゲン水溶液、骨形成タンパク質として
Crude-BMP、又はBMP-2 を用いて歯科用充填組成物を表
1のように調製し、実施例2〜4のような動物実験を行
なった。
【0017】
【表1】
【0018】
【実施例2】 根管充填応用例 生後1年6ヵ月の雄ビーグル犬を用い麻酔下にて左右下
顎臼歯部を抜髄、根管治療、根管形成後、実施例1に示
した組成の各試料(1−1)〜(1−12)について粉
液比2.0の条件で20秒間練和混合し、形成した根管内
にレンツロを用い充填した。充填物はストッピングとア
マルガムにて封鎖した。なお比較対象群としてα−TC
P及びOCPを粉部とし、液部は生理食塩水としたもの
を練和混合して使用した。また現在汎用されているガッ
タパーチャー/シーラー併用群も比較対象とした。術後
4週目に麻酔薬にて被験動物を屠殺後、処置を施した歯
牙とその周囲組織を取り出し、ホルマリン固定後に薄切
し、H.E.染色を施して顕微鏡にて観察した。試験の
結果、α−TCP/HAP+Crude −BMP群、α−T
CP/HAP+BMP−2群、OCP/HAP+Crude
−BMP群、及びOCP/HAP+BMP−2群では、
全ての試験例で根尖孔周囲に軟骨または骨の形成が観察
され良好なる結果が得られた。また比較対象群では、α
−TCP及びOCPを粉部とした試験群において根尖孔
より溢出した材料周囲に線維性組織の形成が観察され、
ガッタパーチャー/シーラー併用群において根尖孔より
溢出した材料周囲に炎症細胞の浸潤が観察された。これ
ら比較対象群では、いずれも4週例でまだ硬組織の形成
は観察されなかった。
顎臼歯部を抜髄、根管治療、根管形成後、実施例1に示
した組成の各試料(1−1)〜(1−12)について粉
液比2.0の条件で20秒間練和混合し、形成した根管内
にレンツロを用い充填した。充填物はストッピングとア
マルガムにて封鎖した。なお比較対象群としてα−TC
P及びOCPを粉部とし、液部は生理食塩水としたもの
を練和混合して使用した。また現在汎用されているガッ
タパーチャー/シーラー併用群も比較対象とした。術後
4週目に麻酔薬にて被験動物を屠殺後、処置を施した歯
牙とその周囲組織を取り出し、ホルマリン固定後に薄切
し、H.E.染色を施して顕微鏡にて観察した。試験の
結果、α−TCP/HAP+Crude −BMP群、α−T
CP/HAP+BMP−2群、OCP/HAP+Crude
−BMP群、及びOCP/HAP+BMP−2群では、
全ての試験例で根尖孔周囲に軟骨または骨の形成が観察
され良好なる結果が得られた。また比較対象群では、α
−TCP及びOCPを粉部とした試験群において根尖孔
より溢出した材料周囲に線維性組織の形成が観察され、
ガッタパーチャー/シーラー併用群において根尖孔より
溢出した材料周囲に炎症細胞の浸潤が観察された。これ
ら比較対象群では、いずれも4週例でまだ硬組織の形成
は観察されなかった。
【0019】
【実施例3】 穿孔部応用例 生後1年6ヵ月の雄ビーグル犬を用い麻酔下にて左右下
顎臼歯部を抜髄、根管治療、根管形成後、髄床底に歯槽
骨まで穿通するように窩洞形成を施し、実施例1に示し
た組成の各試料(1−1)〜(1−12)について粉液
比2.0の条件で20秒間練和混合し、形成した窩洞と根
管内にレンツロを用い充填した。充填物はストッピング
とアマルガムにて封鎖した。なお比較対象群としてα−
TCP及びOCPを粉部とし、液部を生理食塩水とした
試料を使用した。また現在汎用されているアマルガムも
比較対象とした。なお比較対象群の根管はガッタパーチ
ャー/シーラーにて封鎖した。術後4週目に麻酔薬にて
被験動物を屠殺後、処置を施した歯牙とその周囲組織を
取り出し、ホルマリン固定後に薄切し、H.E.染色を
施し顕微鏡にて観察した。試験の結果、α−TCP/H
AP+Crude −BMP群、α−TCP/HAP+BMP
−2群、OCP/HAP+Crude −BMP群、及びOC
P/HAP+BMP−2群では、全ての試験例で穿通し
た窩洞の歯槽骨側に軟骨または骨の形成が観察され良好
なる結果が得られた。また比較対象群では、α−TCP
及びOCPを粉部とした試験群において歯槽骨側の材料
周囲に線維性組織の形成と硬組織様組織の形成が観察さ
れ、アマルガム群において歯槽骨側の材料周囲に炎症細
胞が観察された。これら比較対象群では、いずれも硬組
織の形成は観察されなかった。
顎臼歯部を抜髄、根管治療、根管形成後、髄床底に歯槽
骨まで穿通するように窩洞形成を施し、実施例1に示し
た組成の各試料(1−1)〜(1−12)について粉液
比2.0の条件で20秒間練和混合し、形成した窩洞と根
管内にレンツロを用い充填した。充填物はストッピング
とアマルガムにて封鎖した。なお比較対象群としてα−
TCP及びOCPを粉部とし、液部を生理食塩水とした
試料を使用した。また現在汎用されているアマルガムも
比較対象とした。なお比較対象群の根管はガッタパーチ
ャー/シーラーにて封鎖した。術後4週目に麻酔薬にて
被験動物を屠殺後、処置を施した歯牙とその周囲組織を
取り出し、ホルマリン固定後に薄切し、H.E.染色を
施し顕微鏡にて観察した。試験の結果、α−TCP/H
AP+Crude −BMP群、α−TCP/HAP+BMP
−2群、OCP/HAP+Crude −BMP群、及びOC
P/HAP+BMP−2群では、全ての試験例で穿通し
た窩洞の歯槽骨側に軟骨または骨の形成が観察され良好
なる結果が得られた。また比較対象群では、α−TCP
及びOCPを粉部とした試験群において歯槽骨側の材料
周囲に線維性組織の形成と硬組織様組織の形成が観察さ
れ、アマルガム群において歯槽骨側の材料周囲に炎症細
胞が観察された。これら比較対象群では、いずれも硬組
織の形成は観察されなかった。
【0020】
【実施例4】 直接覆髄応用例 生後1年6ヵ月の雄ビーグル犬を用い、麻酔下にて左右
下顎臼歯部をダイヤモンドバーにて窩洞形成を施し露髄
させ、実施例1に示した組成の各試料(1−1)〜(1
−12)について粉液比2.0の条件で20秒間練和混合
し、形成した窩洞内にレンツロを用い充填した。充填物
はストッピングとアマルガムにて封鎖した。なお比較対
象群としてα−TCP及びOCPを粉部とし液部は生理
食塩水とした試料を使用した。また現在汎用されている
水酸化カルシウム製剤も比較対象とした。術後4週目に
麻酔薬にて被験動物を屠殺後、処置を施した歯牙とその
周囲組織を取り出し、ホルマリン固定後に薄切し、H.
E.染色を施し顕微鏡にて観察した。試験の結果、α−
TCP/HAP+Crude −BMP群、α−TCP/HA
P+BMP−2群、OCP/HAP+Crude −BMP
群、及びOCP/HAP+BMP−2群では、全ての試
験例で歯髄の炎症は観察されず、材料周囲では硬組織の
形成が観察され良好なる結果が得られた。比較対象群で
は、α−TCP及びOCPを粉部とした試験群において
露髄部の材料周囲に線維性組織の形成が、材料の一部で
は多核巨細胞による貧食が観察され、水酸化カルシウム
製剤群において材料周囲の歯髄が壊死しているのが観察
された。これら比較対象群では、いずれも硬組織の形成
は観察されなかった。
下顎臼歯部をダイヤモンドバーにて窩洞形成を施し露髄
させ、実施例1に示した組成の各試料(1−1)〜(1
−12)について粉液比2.0の条件で20秒間練和混合
し、形成した窩洞内にレンツロを用い充填した。充填物
はストッピングとアマルガムにて封鎖した。なお比較対
象群としてα−TCP及びOCPを粉部とし液部は生理
食塩水とした試料を使用した。また現在汎用されている
水酸化カルシウム製剤も比較対象とした。術後4週目に
麻酔薬にて被験動物を屠殺後、処置を施した歯牙とその
周囲組織を取り出し、ホルマリン固定後に薄切し、H.
E.染色を施し顕微鏡にて観察した。試験の結果、α−
TCP/HAP+Crude −BMP群、α−TCP/HA
P+BMP−2群、OCP/HAP+Crude −BMP
群、及びOCP/HAP+BMP−2群では、全ての試
験例で歯髄の炎症は観察されず、材料周囲では硬組織の
形成が観察され良好なる結果が得られた。比較対象群で
は、α−TCP及びOCPを粉部とした試験群において
露髄部の材料周囲に線維性組織の形成が、材料の一部で
は多核巨細胞による貧食が観察され、水酸化カルシウム
製剤群において材料周囲の歯髄が壊死しているのが観察
された。これら比較対象群では、いずれも硬組織の形成
は観察されなかった。
【0021】
【発明の効果】本発明の歯科用充填組成物は、従来の歯
科用充填組成物のように、偽害性を生ぜず、且つ、歯牙
周囲組織を損うことがなく、早期に治療効果を現わすす
ぐれた歯科用充填組成物である。
科用充填組成物のように、偽害性を生ぜず、且つ、歯牙
周囲組織を損うことがなく、早期に治療効果を現わすす
ぐれた歯科用充填組成物である。
Claims (3)
- 【請求項1】 α−リン酸3カルシウム及び/又は第8
リン酸カルシウムと水酸化アパタイトとを含む粉体部及
び骨形成タンパク質を含む液部とよりなることを特徴と
するタンパク質徐放性歯科用充填組成物。 - 【請求項2】 粉体部が、α−リン酸3カルシウム及び
/又は第8リン酸カルシウムを重量で97〜50%及び
水酸化アパタイトを3〜50%含み、液部が骨形成タン
パク質を重量で0.1〜5.0%含有する請求項1の充填組
成物。 - 【請求項3】 粉液比が、重量で1〜3.0である請求項
1又は2の充填組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5107179A JPH06298621A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 歯科用充填組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5107179A JPH06298621A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 歯科用充填組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06298621A true JPH06298621A (ja) | 1994-10-25 |
Family
ID=14452478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5107179A Pending JPH06298621A (ja) | 1993-04-12 | 1993-04-12 | 歯科用充填組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06298621A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0754699A4 (ja) * | 1995-02-02 | 1997-02-26 | ||
JP2008247763A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-16 | Kuraray Medical Inc | 歯髄覆罩材 |
-
1993
- 1993-04-12 JP JP5107179A patent/JPH06298621A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0754699A4 (ja) * | 1995-02-02 | 1997-02-26 | ||
JP2008247763A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-16 | Kuraray Medical Inc | 歯髄覆罩材 |
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