JPH06292950A - 金属薄帯の製造方法及び装置 - Google Patents
金属薄帯の製造方法及び装置Info
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- JPH06292950A JPH06292950A JP1175394A JP1175394A JPH06292950A JP H06292950 A JPH06292950 A JP H06292950A JP 1175394 A JP1175394 A JP 1175394A JP 1175394 A JP1175394 A JP 1175394A JP H06292950 A JPH06292950 A JP H06292950A
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Abstract
金属薄帯を単ロール冷却法により製造する。 【構成】冷却ロール2の溶融金属射出位置より上流の表
面周長Lが20〜100mmの位置にカーボンブレード
7を接触させ、その面にCO2 ガスノズル8からCO2
ガスを噴出し、溶融金属射出圧力を20〜90kPaと
し、ロール周速15〜27m/sで操業する。
Description
薄帯鋳造における、表面性状が優れ、厚さが35μm以
上の従来より厚い非晶質薄帯の製造方法および装置に関
するものである。
急冷法によって溶融金属から直接金属リボンを製造する
ことが行われている。このような直接製板技術における
重要な要件は板厚の均一性や表面性状などに関する製板
技術である。特に変圧器材料として用いられるアモルフ
ァス合金薄帯のように積層して用いる場合、表面性状の
優劣がトランスの特性(ここでは薄帯の占積率の低下に
よる変圧器の大型化)を左右する。
ルの回転に伴って冷却ロール表面に境界層が生じこの境
界層に乗って来た空気が冷却ロール上の溶融金属のパド
ルと冷却ロール間の間に入り、その空気がそのまま薄帯
に閉じ込められてしまったためである。空気がこの境界
層に入り込むメカニズムはパドルがある外力によって加
振され、冷却ロールとパドルとの濡れ角が変化し、入り
込みやすくなる度に周期的に空気の巻き込み部(空気ポ
ケット)ができる。これは薄帯に周期的な、一見魚の鱗
状の模様(フィッシュスケール)を形成する。この薄帯
表面性状を悪化させるパドル振動の種類は従来報告され
ている2つがあって、1つは空気がパドルにぶつかるこ
とによってパドル膜が振動する運動学的原因(キャピラ
リーウェーブ)のもの、もう1つは空気がパドルにぶつ
かり、溶鋼表面を不均一に酸化させ表面張力が不均一に
なった結果振動する化学反応的原因(マランゴニー・イ
フェクト)がある。
る技術として従来の考え方はパドルに衝突する空気を希
薄にするか、低密度の不活性ガスもしくは還元性ガスと
置換する等の方法をとることによって運動学的原因と化
学反応的原因の両方をなくそうとするものである。例え
ば、特開昭51−109221号公報の改良合金フィラ
メントの製造方法には減圧チャンバ内での製造方法が開
示されている。この製造方法は実験室的もしくは少量の
製造の場合には可能であるが大量生産に対しては設備及
びランニングコストの点で問題が多い。
帯鋳造装置及び方法には上記方法の設備的問題を解決し
た低密度かつ高温の不活性ガスを用いる方法が開示され
ている。この場合、効果のある低密度のヘリウム,クリ
プトン,キセノン等の不活性ガスは高価で、やはりラン
ニングコストの問題が残っていた。また、ロール表面と
溶融金属との間に巻き込まれた空気はロール表面の伝熱
抵抗を著しく増加し、溶融金属の冷却能力を低下させ
る。このため従来、薄帯厚みが35μm以上の非晶質薄
帯を鋳造するのは困難であった。
報では、COガスをロール上の溶融金属の上流で燃焼さ
せ、ロールの周りに生じたガス境界層のガス密度を低下
させ、かつ溶融金属の周りを還元性雰囲気にすることに
よって、溶融金属とロールの間の伝熱抵抗を減少し、従
来より厚い薄帯が得られることを示している。溶融金属
とロール間の伝熱抵抗を減じるためにCOガスを利用す
る方法では、COガスが毒性や爆発の危険を持つため、
多くの安全対策を必要とする。従って、工業的に使用す
る場合、ガスの取り扱いが困難であり、コストアップの
問題があった。
鋳造を真空中で行うことによって、ロール周りのガスが
溶融金属に侵入する問題を解決する技術を示している。
真空中で鋳造を行うことは、工業規模の設備では装置が
巨大かつ複雑となり、コストアップの問題が生じる。ま
た、プラズマアークを溶融金属近傍のロールへ向けて射
出し、ロール周りのガスを加熱することによって、ガス
の溶融金属への侵入を低減する技術も知られている。
(例えばInternational Journal
of Rapid Solidification,
1991, Vol.6 pp285〜295参
照)。プラズマアークを利用する方法においても、複雑
な装置を必要とし、コストアップの問題がある。
に噴射することによって、ガス巻き込みが低減されるこ
とも開示されている(Materials Scien
ceand Engineering, A133
(1991)pp657〜661参照)。CO2 ガスを
ロール上の溶融金属に噴射する方法では、溶融金属を射
出するノズルがCO2 ガスの衝突による強冷却を免れな
いため、ノズル温度低下が発生し、ノズル詰りが生じる
という問題があった。さらに、CO2 ガス噴流に周囲の
空気が混入しやすいため、CO2 ガスの効果を安定して
再現することが難しいという問題がある。
6046A1号は、CO2 ガスを溶融金属の湯溜まり
(パドル)に吹き付けることによって、溶融金属とロー
ルとの間に巻き込まれるガスの量を大きく低減すること
を示している。しかし、この特許の実施例に示されてい
る、溶融金属の射出ノズル前後からフラットノズルによ
ってCO2 を吹き付ける方法では、特に薄帯の幅が50
mmを越える広幅になった場合、薄帯の中央と端部とで
ガス巻き込み低減効果に差が生じ、幅方向に均一な薄帯
は得られない。
には、溶融金属が射出される部分をチャンバーで被覆
し、CO2 雰囲気にする方法が示されているが、単ロー
ル法においては、溶融金属の射出ノズルとロール表面と
の隙間を厳密に制御する必要があり、該隙間の観測を妨
げるチャンバーの使用は、鋳造装置の制御系を複雑化す
るという問題がある。
る方法として、特開昭57−159247号公報には、
ロール表面に近接配置した保護遮蔽壁を用いる方法が示
されている。しかし、遮蔽壁と溶融金属の間の極めて短
距離でも空気流が再形成されるため、空気流を完全に除
去できず、この遮蔽壁のみでは十分な薄帯表面のガス巻
き込み低減効果は得られない。
かつ安全な方法によりコストアップの問題を低減し、ロ
ールと溶融金属との間へのガス巻き込みを低減し、ロー
ルと溶融金属との間の伝熱抵抗を減らし、従来よりも厚
い非晶質合金を鋳造する技術、また表面粗さを低減し、
薄帯品質を向上する技術を提供することにある。
によるコストアップや制御性の低下を避けた、簡易な装
置を提供することにある。
するものであって、その第1の方法発明は、単一の冷却
ロールを用いて金属薄帯を製造する方法において、溶融
金属の射出位置よりロール回転方向上流側にカーボンブ
レードをロール表面の母線と接触させて配置し、このカ
ーボンブレードの溶融金属側の表面に沿ってロール表面
に向かってCO 2 ガスを噴出して溶融金属の射出位置よ
り上流側のロール面近傍をCO2 ガス雰囲気に保つこと
を特徴とする金属薄帯の製造方法を提供する。
法発明にさらに、この溶融金属を20kPa以上90k
Pa以下の圧力でロール上に射出し、ロール周速を15
m/s以上27m/s以下とする要件を付加し、厚さ3
5μm以上100μm以下の非晶質薄帯を製造すること
を特徴とする金属薄帯の製造方法である。また本発明の
第3の方法発明は、単一の冷却ロールを用いて金属薄帯
を製造する方法において、冷却ロール上に射出された溶
融金属のパドルにノズルを用いて500℃〜800℃に
加熱したCO2 ガスを吹き付け、パドル周辺のCO2 ガ
ス濃度を35%以上にすることを特徴とする金属薄帯の
製造方法である。
おいて、CO2 ガスとして500℃以上800℃以下に
加熱したCO2 を用い、パドル周辺のCO2 ガス濃度を
35%以上にすると好適である。本発明の第4の方法発
明は、単一の冷却ロールを用いて金属薄帯を製造する方
法において、溶融金属の射出位置よりロール回転上流側
にロール表面の母線と平行に、ロールに沿った部分の厚
さが2mm以上100mm以下の遮蔽壁をロール表面と
の隙間が0.05mm以上2mm以下になるように配置
し、っこの遮蔽壁の溶融金属側の表面に沿って、ロール
表面に向かってCO2 ガスを噴出して溶融金属の射出位
置より上流側のロール面近傍をCO2 ガス雰囲気に保
ち、溶融金属を20kPa以上90kPa以下の圧力で
ロール上に射出し、ロール周速を15m/s以上27m
/s以下とし、厚さ35μm以上100μm以下の非晶
質薄帯を製造することを特徴とする金属薄帯の製造方法
である。
法発明においてCO2 ガスとして500℃〜800℃に
加熱したCO2 ガス用い、パドル周辺のCO2 濃度を3
5%以上にする技術手段を付加することによって厚さ3
5μm以上100μm以下の非晶質薄帯を製造すること
を特徴とする金属薄帯の製造方法である。上記方法発明
を実施するための第1の装置発明は、単一の冷却ロール
を用いて金属薄帯を製造する装置において、溶融金属の
射出ノズル孔の中心線とロール表面との交差点からロー
ルの回転方向上流側に、ロール表面の母線と接触するカ
ーボンブレードと、このカーボンブレードの溶融金属側
の表面に沿ってロール表面に向かってCO2 ガスを噴出
するCO2 ガス噴出ノズルとを備えたことを特徴とする
金属薄帯の製造装置である。
置発明のカーボンブレードを溶融金属射出ノズル孔の中
心線とロール表面との交差点からロールの回転方向上流
側にロール表面周長で20mm以上100mm以下の距
離に備えたことを特徴とする金属薄帯の製造装置であ
る。また、上記第1の装置発明又は第2の装置発明にお
いて、ロール表面に向かって噴出するCO2 ガスを50
0℃以上800℃以下に加熱する装置を備えると好適で
ある。
ノズル孔の中心線とロール表面との交差点からロールの
回転方向上流側にロール表面周長で20mm以上100
mm以下の長さでロール表面の母線と平行に0.05m
m以上2mm以下の隙間を持ったロールに沿った部分の
厚さが2mm以上100mm以下の遮蔽壁と、この遮蔽
壁の溶融金属側の表面に沿ってロール表面に向かってC
O2 ガスを噴出するCO2 ガス噴出ノズルとを備えたこ
とを特徴とする金属薄帯の製造装置である。
冷却ロール2が矢印6の方向に回転するとロール2の表
面近傍に空気境界層3が生じる。この境界層の空気はノ
ズル1から噴射された溶融金属4とロール表面2の表面
との間に巻き込まれ、巻込み空気5を生成する。この巻
込み空気5は冷却ロール2と溶融金属4との間で厚み
0.1〜5μm程度のギャップを作り、大きな伝熱抵抗
となる。このギャップは、製板されたリボン表面に転写
される。
CO2 ガス分圧が98%以上の容器内で小型単ロール鋳
造機を用いて、非晶質薄帯を鋳造した。その結果、冷却
ロールと溶融金属の間にガス層の混入がなく、伝熱抵抗
が著しく低下したために、厚み35μm以上の非晶質薄
帯を再現性よく製造することができた。Ar、N2 、O
2 などのCO2 以外のガスがロールと溶融金属の界面に
30vol%以上在存すると、ガスによるギャップが発
生した。CO2 であると、ギャップが発生しないという
原因は、明らかになっていない。この知見から、大気中
でロール周りにCO2 ガス境界層を形成させる方法が適
すると判断し、CO2 ガス流入方法、鋳造条件を多数変
更して実験した結果、本発明を完成した。
囲みCO2 雰囲気にするには、シール等にコストがかか
るが、本発明では、これを必要としない。図1は本発明
の実施例の説明図である。大気中で単一の冷却ロール2
を矢印6の方向に回転させ、このロール2にノズル1か
ら溶融金属4を射出する。ノズル1の中心線11がロー
ル2の表面と交差する点からロール回転方向の上流側に
Lだけ離れた位置にカーボンブレード7を接触させて配
置する。このカーボンブレードは、ロール表面に付着し
て回り込んでくるガスを遮断するものである。カーボン
ブレード7はロール2の表面に接触している。このカー
ボンブレード7の表面にロール2とのCO2 ガスノズル
8を設け、CO2 ガス9をカーボンブレード7の表面に
ロール2の表面方向に向けて噴射する。CO2 ガスはロ
ール2の表面に沿って流れ、溶融金属4とロール2との
界面がCO2 高濃度雰囲気になるのでガスによるギャッ
プが生じず、伝熱抵抗が小さい。
ずに鋳造を行うことが可能なため、コストアップの問題
はなく、また、ノズル1の横方向およびロール回転下流
側は開放状態であるので、ノズル1とロールの隙間など
を容易に観測・制御することができる利点がある。従来
のCOガス雰囲気を用いる技術では、次式 CO + 1/2 O2 → CO2 + ΔH のガス燃焼による発熱ΔHにより希薄ガスとするもので
ある。これに対して、本発明のCO2 ガス雰囲気は、 CO2 + Δh → CO + 1/2 O2 (O)+(Fe,Si,B)→(Fe2 SiO4 ,Si
O2 ,B2 O3 ) によるものでCO2 にヒータや溶鋼など外熱によって熱
量を与え、加熱によりガス分解反応を起し、この分解し
たガス中の溶融金属酸化膜を均一に形成させている。
きい、すなわちガス体の温度が高いものが適しており、
中でも効果の大きいのがCO2 ガスである。その結果、
パドルに衝突するCO2 ガスを500℃〜800℃の高
温にして希薄にし、さらに、Pco2 %を35%以上に
制御しパドルでの分解反応によって表面酸化させれば大
きな効果が得られる。
運ばれるため、ノズル1へのCO2ガスの衝突流による
強制冷却が発生しない。従って、ノズル詰りの問題を回
避することができる。カーボンブレード7を使用するの
は、ロールとの潤滑性がよく、ロールに疵をつけないた
めである。
ロール表面の交点から上流側へ20mm以上離さない
と、溶融金属射出開始時に飛散する微小な溶融金属のス
プラッシュがブレードとロールの間に噛み込むため、ロ
ールに疵を付けてしまう。周長で100mmを超えてブ
レードを離すと、ロール上の溶融金属へ流れるCO2 ガ
ス中への空気混入が多くなるため、溶融金属とロールの
界面にギャップが発生する。
沿ってロール上へ流すため、層流化されることによって
周囲の空気の混入が低減される。35μm以上の厚みの
非晶質薄帯を安定して鋳造するには、溶融金属の射出圧
力は20kPa以上、ロール周速は27m/s以下でな
ければならない。射出圧力が20kPa未満では溶融金
属とロールの接触力が弱く、熱伝達不十分のため、非晶
質化しなくなる。さらにロールを27m/sを越えるロ
ール周速で回転させると、薄帯厚みを35μm以上にす
るため溶融金属流量を増加しなければならず、溶融金属
は乱流化し、表面性状の悪い薄帯となる。一方、溶融金
属の射出圧力が90kPa以上ではロール回転方向と逆
方向に溶融金属流れが生じ、安定した鋳造は不可能であ
る。また、ロール周速が15m/s未満では、薄帯厚み
は増加するが、溶融金属の冷却速度が減少し、非晶質の
薄帯が得られない。
みが35μm以上100μm以下の非晶質合金が再現性
よく得られる。さらに、噴出するCO2 の温度は500
℃以上に加熱するのが好ましい。これは通常2mm以下
の間隔しかないスリット状のノズル1を保温し、凝固に
よるノズル詰りを防止するため500℃以上とすること
が必要である。ただし、CO2ガスを800℃を超えて
加熱するのは、加熱装置が大型化し、必要な熱量も増大
するので好ましくないので800℃を上限とした。
と、ガス巻き込みを防止することはできない。35%未
満では薄帯の表面粗さが0.8μm以上でトランス用ア
モルファス金属として特性が悪く、その効果が得られな
い。また、50%以上では表面粗さ0.4μm前後で大
きな変化がなく、その効果に差が少ないため、コスト面
からは50%以下が好ましい。
う場合は、カーボンブレードをロール表面に接触させて
いると、徐々にカーボンブレードとロール表面の間に微
細な粉塵や薄帯片が入り込み、ロール表面を損傷させる
恐れがある。これを防止するためには、ロールに接触せ
ず、しかも表面の空気流を遮蔽する装置が必要になる。
そのためにはカーボンブレードの代わりに、図8に示す
ような遮蔽壁12を、ロール2の表面への最近接部分の
円周方向寸法13が2mm以上100mm以下、ロール
表面との隙間14が0.05mm以上2mm以下に配置
することが効果的である。これはロール2と遮蔽壁12
との間の小さく長い隙間を通る間に空気流の流速が減衰
するようにするためである。
には、遮蔽壁12のロール表面への最近接部分の円周方
向寸法13は2mm以上、ロール表面との隙間は2mm
以下とする必要がある。遮蔽壁12のロール2との最近
接部分の円周方向寸法13が100mmを超えると、ロ
ール回転に伴って生ずる空気流が遮蔽壁を引張る力が増
大し、僅かな流れなどにより遮蔽壁12がロール表面と
接触する恐れが生じる。また、ロール表面との隙間14
が0.05mm未満では粉塵や薄帯片が通過できず、遮
蔽壁との間の隙間に噛み込み、ロール表面を傷つける恐
れがある。
はなく、図9に示すように、ロール軸方向に延びる矩形
状または鋸状断面をもつ溝15を設けると、空気を遮断
する効果が増大して好適である。また、図10に示すよ
うに、遮蔽壁12の底面に開口するガス孔16を設け、
このガス孔16からCO2 ガスをロール2の表面に噴出
すると、空気流を遮断する効果が増大して好適である。
た。実験条件は次のとおりである 冷却ロール:直径300mm、幅70mm、銅合金製 溶融金属:Fe−3wt%B−5.3wt%Si 溶融金属用射出ノズル: スリット間隔:0.7mm スリット幅:10mm ロールノズル間ギャップ:0.25mm (1)CO2 ガスの噴出方式として、図1、図3、図
4、図5、図6に示す5つの方式で実験した。図1は実
施例、図3〜図6はCO2 ガス噴出ノズル8及びCO2
ガス流9の位置方向を変化させたものである。溶融金属
に対して図3は後方から、図4は前方から、図5は両側
方から、図6は後方及び前方から、それぞれCO2 ガス
を吹付けたものである。図中の参照番号は図1と同様で
ある。ロール周速は21m/s、CO2 ガス噴出はφ1
0mmのノズルより、圧力400kPaで25リットル
/minで行った。その結果得られた薄帯の脆化率はそ
れぞれ、図1では0%、図3では60%、図4では55
%、図5では70%、図6では10%であった。
ル表面と交差する点からカーボンブレードの接触点まで
のロールの周長Lを5mm〜110mmまで変更し、ロ
ール周速21m/s、CO2 をφ10mmノズルで40
0KPa,25リットル/minで噴出した。Lが5m
m以上20mm未満では初期に発生する溶融金属の微小
なスプラッシュがカーボンブレード7とロール2の間に
噛み込み、ロール2に疵が生じ、その位置に対応する薄
帯面には凹が生じた。
は薄帯が10〜15%の割合で脆化した。Lが20mm
以上100mmまででは、脆化のない非晶質薄帯が得ら
れた。特に安定していたのはL=30〜50mmであっ
た。 (3)図1において、L=40mm、CO2 ガスをφ1
0mmのノズルで400kPa,25リットル/min
で噴出し、溶融金属の射出圧力を10kPa〜100k
Pa、ロール周速を10m/s〜30m/sで実験し
た。その結果を図7に示す。図7中の記号は次の通りで
ある。
い厚み35〜80μmの非晶質薄帯を作製できた。 Δ:ロール回転方向と逆方向へ溶融金属が流出した。 ●:薄帯厚み35μm以上では脆化を生じている。 ×:薄帯の厚みが35μm未満となった。
s,溶融金属射出圧力24kPa、CO2 ガスをφ10
mmで400KPa,25リットル/minで噴出し鋳
造した薄帯と、大気中で、カーボンブレードやCO2 ガ
スノズルを用いることなく従来の方法で鋳造した薄帯と
について、ロール面側の中心線平均粗度Raを測定比較
したところ、従来法ではRa=1.0〜1.2μmであ
ったが、実施例ではRa=0.3〜0.4μmであっ
た。 実施例−2 次に、大型機によって幅の広い薄帯を長時間製造する実
験を行った。実験条件は次の通り。
mm、銅合金製、内部水冷式 溶融金属:Fe−3wt%B−5.3wt%Si 溶融金属用射出ノズル: スリット間隔:0.7mm スリット幅:200mm ロールノズル間ギャップ:0.25mm (1)CO2 ガスを図1、図6に示すように噴出して薄
帯製造した。ロール周速は21m/s、CO2 ガスは2
40mm幅のスリットノズルより噴出した。その結果得
られた薄帯の脆化率はそれぞれ、図1では0%、図6で
は50%であり、特に図6の薄帯端部において脆化が大
きかった。
合、溶融金属射出ノズルが詰まって、部分的に薄帯が形
成されず、薄帯の割れが生じることがあったが、吹き付
けるCO2 ガスの温度を500℃〜750℃に加熱した
場合はノズルの詰まりが生じることはなかった。CO2
ガスの温度が300〜490℃の場合、常温のCO2を
吹き付けるよりは頻度が下がったものの、ノズル詰まり
を完全に防止するには至らなかった。
合、薄帯製造継続時間が10分を超えると、薄帯のロー
ル面に長手方向に連続した疵が生じることがあった。こ
れはカーボンブレートとロールの間に異物が噛み込んだ
ため、ロール表面が損傷し、この疵が薄帯に転写された
ものと判明した。これに対して、図8に示すように遮蔽
壁12を設けCO2 ガスを噴出した場合は、薄帯製造継
続時間が10分を超え、30分に至っても、ロール表面
に疵は生じず、安定した製造実験が可能であった。遮蔽
壁12の円周方向寸法13を10〜60mmとし、遮蔽
壁12とロール2との隙間14を0.03〜5mmの間
で変えながら実験したところ、間隙14が0.05〜2
mmの条件で安定して脆化率0%の非晶質合金薄帯が得
られた。一方、遮蔽壁12とロール2との隙間14を
0.2〜1mmの条件で、遮蔽壁12の円周方向13を
0.5〜180mmの条件で実験を行ったところ、遮蔽
壁12の円周方向寸法13が2mm未満では脆化率が0
%の薄帯は得られず、遮蔽壁12の円周方向寸法13が
100mmを越えると遮蔽壁12に振動が生じて、ロー
ルと接触し、安定した薄帯の製造はできなかった。
及び図8でL=40mm、円周方向寸法13を20m
m、遮蔽壁12とロール2との隙間14を3mmとした
場合において、CO2 ガスの噴出流量を調整して、パド
ル周辺のCO2 濃度を変えながら製造した薄帯のロール
接触面の表面粗さ(Ra)を示す。CO2 濃度35%以
上の領域では薄帯の表面粗さが0.8μmより小さくな
り、大気雰囲気(CO2濃度0%)よりも表面性状の優
れた薄帯が製造できる。
ノズル1から回転する冷却ロール2上に溶湯を射出して
薄帯23を製造する。24はエアナイフである。供給さ
れた溶湯のパドル22に雰囲気ガスノズル25からCO
2 ガス28を吹付ける。CO2 ガス28はガス加熱器2
7で加熱される。雰囲気カバー26はパドル22の周囲
を包囲している。
を行った。 溶融金属;Fe80B10Si9 CI (at%) 溶融温度;1300℃ 注湯ノズル;200mm幅スリット 冷却ロール;水冷銅合金製1m外径 冷却ロール周速;25m/sec 雰囲気ガスとしては500℃の二酸化炭素ガスを各種ノ
ズル25を用いて、流量を変化させ、パドル22の後方
から供給し、薄帯23を作製し、その表面粗さを測定し
た。雰囲気ガスノズルの形状として、図14〜図17に
示すものを用いた。図14は(a)の正面図に示すよう
に細いスリットを多数平行に設けたガスノズル25で、
(b)は側面図である。スリットは例えば長さ20m
m、幅0.7mmのものを38本設けた。図15は
(a)の正面図、(b)側面図に示すような25mmφ
の丸孔のガスノズル25である。図16は広口のガスノ
ズル25で、正面図(a)の中央の開口は25mm×8
0mmで、その側面図は(b)に示すようにノズル先端
部が円筒状である。図17は細スリット形で開口は幅1
mm×長さ175mmのガスノズル25である。図11
にその結果を示した。特に二酸化炭素ガス流量が80m
3 /hでかつ図15の25mmφの丸ノズルが有効であ
った。トランス用アモルファス材料として必要な表面粗
さRaが0.8μm以下の条件を満たすのはPco2 %
が35%以上である。
を図12に示す。図12から明らかなように、鋳造まま
(as cast)で必要な鉄損、W15/50(50
Hz,1.5T)=0.4W/kg以下が得られるのは
CO2 濃度%が35%以上である。本発明によれば、表
面性状良好な薄帯を効果的にかつ安価に製造することが
でき、大量商業生産が可能となる。この効果はトランス
用アモルファス合金を提供し、これにより大幅な省エネ
ルギーを図ることができ、産業上の有用性が極めて大で
ある。
減少するようにしてロール上の溶融金属へ流れるように
したため、ロールと溶融金属の界面にガスによるギャッ
プが発生せず、かつ、鋳造条件を最適化したため、溶融
金属とロールの伝熱抵抗が小さくなり、伝熱が向上し、
従来より厚い非晶質薄帯を再現よく製造することができ
るようになった。また、ロールと溶融金属の界面で発生
するガスによるギャップのリボン表面への転写が低減さ
れたので薄帯表面粗さを低減する効果もある。
る。
る。
る。
る。
る。
脆化、鋳造不安定の関係を示すグラフである
る。
グラフである。
ある。
ノズル 9 CO2 ガス流 11 ノズル孔の
中心線 12 遮蔽壁 13 円周方向寸
法 14 隙間 15 溝 16 ガス孔 22 パドル 23 薄帯 24 エアナイフ 25 ガスノズル 26 雰囲気カバ
ー 27 ガス加熱器 28 CO2 ガス
Claims (9)
- 【請求項1】 単一の冷却ロールを用いて金属薄帯を製
造する方法において、溶融金属の射出位置よりロール回
転方向上流側にカーボンブレードをロール表面の母線と
接触させて配置し、該カーボンブレードの溶融金属側の
表面に沿ってロール表面に向かってCO2 ガスを噴出し
て溶融金属の射出位置より上流側のロール面近傍をCO
2 ガス雰囲気に保つことを特徴とする金属薄帯の製造方
法。 - 【請求項2】 さらに、溶融金属を20kPa以上90
kPa以下の圧力でロール上に射出し、ロール周速を1
5m/s以上27m/s以下とし、厚さ35μm以上1
00μm以下の非晶質薄帯を製造することを特徴とする
請求項1記載の金属薄帯の製造方法。 - 【請求項3】 単一の冷却ロールを用いて金属薄帯を製
造する方法において、冷却ロール上に射出された溶融金
属のパドルにノズルを用いて500℃〜800℃に加熱
したCO2 ガスを吹き付け、パドル周辺のCO2 ガス濃
度をPco2%で35%以上にすることを特徴とする金
属薄帯の製造方法。 - 【請求項4】 500℃以上800℃以下に加熱したC
O2 を噴出し、パドル周辺のCO2 ガス濃度をPco2
%で35%以上にすることを特徴とする請求項1又は2
記載の金属薄帯の製造方法。 - 【請求項5】 上記カーボンブレードに代えて、ロール
に沿った部分の厚さが2mm以上100mm以下の遮蔽
壁をロール表面との隙間0.05mm以上2mm以下に
なるように配置することを特徴とする請求項1、2又は
4のいずれか記載の金属薄帯の製造方法。 - 【請求項6】 単一の冷却ロールを備えた金属薄帯製造
装置において、溶融金属の射出ノズル孔の中心線とロー
ル表面との交差点からロールの回転方向上流側に、ロー
ル表面の母線と接触するカーボンブレードと、該カーボ
ンブレードの溶融金属側の表面に沿ってロール表面に向
かってCO2 ガスを噴出するCO2 ガス噴出ノズルとを
備えたことを特徴とする金属薄帯の製造装置。 - 【請求項7】 カーボンブレードがロールの回転方向上
流側にロール表面周長で20mm以上100mm以下の
距離に位置することを特徴とする請求項6記載の金属薄
帯の製造装置。 - 【請求項8】 単一の冷却ロールを備えた金属薄帯鋳造
装置において、ロール表面に向かって噴出するCO2 ガ
スを500℃以上800℃以下に加熱する装置を備えた
ことを特徴とする請求項6又は7記載の金属薄帯の製造
装置。 - 【請求項9】 カーボンブレードに代えて、ロールの回
転方向上流側にロール表面の母線と平行に0.05mm
以上2mm以下の隙間を持ち、ロールに沿った部分の厚
さが2mm以上100mm以下の遮蔽壁とを備えたこと
を特徴とする請求項6、7及び8のいずれかに記載の金
属薄帯の製造装置。
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Cited By (3)
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-
1994
- 1994-02-03 JP JP01175394A patent/JP3266404B2/ja not_active Expired - Fee Related
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