JPH06285012A - トロカール用グリツピングデバイス - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 抜けに対する抵効力を増大する。 【構成】 内視鏡下手術用トロカールの套管針管が挿通
可能な内径を有し、略円筒形をなす刺入部とトロカール
との固定装置とを備え、上記刺入部の外表面には、刺入
部先端近傍から３周以下の螺旋状の凸部と、凸部以後５
〜５０ｍｍ幅の平滑な外周面を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内視鏡下手術において
体腔内に皮膚を通して刺入され、体外から内視鏡や様々
な処置具を挿入するために用いられるトロカールが、手
術操作中に自然抜去する欠点を防止するトロカール用グ
リツピングデバイスの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】内視鏡下手術においては、体腔内の処置
を行うべき部位に接近するためトロカールが皮膚を通し
て刺入され、内視鏡および処置具を挿入する管路が確保
される。しかし、トロカールの挿入部である套管針管の
外径は滑らかな円筒状となつている為、内視鏡および処
置具を操作することにより加わる外力や、術野を確保す
る目的で体腔内部を炭酸ガス等で膨張させることによる
圧力差によつて、術中、トロカールが自然抜去してしま
うことがあつた。

【０００３】この問題を解決する為トロカール用グリツ
ピングデバイスが使用されている。従来のトロカール用
グリツピングデバイスは、図４に示すように、略円筒形
をなす刺入部とトロカールとの固定装置とから構成さ
れ、刺入部にはほぼ全長にわたり螺旋状の凸部が形成さ
れており、このグリツピングデバイスをトロカールに固
定した後、一体的にねじ込み式に刺入してトロカールの
「抜け」に対する抵抗力を増し、自然抜去を防止しよう
というものであつた。

【０００４】しかし、従来のグリツピングデバイスは螺
旋状の凸部がほぼ全長にわたつている為、体腔壁断面に
対し常に凸部が当接するので接触面積が小さく、「抜
け」に対する抵抗力の向上という目的が満足されるにい
たつていない。さらに、図５に示すように、体腔壁断面
に対し常に凸部が当接していることは、術中、トロカー
ル及びグリツピングデバイスに外力が加わる度に体腔壁
断面を刺激し、体腔壁断面を乱雑にし、出血や縫合後の
皮下気腫の原因となるなどの重大な問題があつた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、従来トロカールの自然抜去防止の為使用されてい
るトロカール用グリツピングデバイスが、「抜け」に対
する抵抗力が不十分であり、術中の出血や縫合後の皮下
気腫を起こす原因となつていることである。

【０００６】

【課題を解決する為の手段】本発明のトロカール用グリ
ツピングデバイスは、グリツピングデバイスの刺入部外
周面において、刺入部先端近傍から３周以下の螺旋状の
凸部を設け、凸部以後５〜５０ｍｍ幅の平滑な外周面を
備えたものである。

【０００７】

【作用】まず、体腔内に刺入するトロカールに本発明の
グリツピングデバイスを装着し、この状態で尖端を持つ
トロカールの内針により体腔壁を切開しつつトロカール
套管針管先端が体腔内に到達するまで穿刺し、トロカー
ル套管針管を体腔内に残して内針を抜去する。次にトロ
カールと本発明のグリツピングデバイスの両者を同時に
回転させながら本発明のグリツピングデバイスの螺旋状
凸部が完全に体腔内に到達するまでねじ込み式に挿入す
る。このとき螺旋状凸部を挿入する際のガイドとして使
用するのであるが、、スムースな挿入の為には刺入部先
端近傍から少なくとも１周以上の螺旋状凸部が必要であ
る。しかし螺旋状凸部のねじ込み長さが長くなるとそれ
だけ体腔壁断面を刺激し出血や皮下気腫の原因となる可
能性が高く、本発明の目的に反する。従つて螺旋状凸部
は３周以下の程度に止めるのが好ましい。凸部が完全に
体腔内へ到達すると、体腔壁断面は本グリツピングデバ
イスの平滑な外周面に弾性的に密着するので、螺旋状凸
部が「抜け」に対し大きな抵抗となり自然抜去を防ぐと
共に、平滑な外周面によるトロカール刺入時の体腔壁断
面からの出血に対する圧迫的止血作用も期待できる。
尚、体腔壁断面は手術操作中凸部により刺激されないの
で、術中の出血及び皮下気腫の防止にも有効である。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。

【０００９】図１はこの発明の第１の実施例によるトロ
カール用グリツピングデバイス１の全体図、図２は図１
のグリツピングデバイス１をトロカール２に装着した状
態を示す説明図である。

【００１０】図１において、本発明のグリツピングデバ
イス１は、刺入部３とトロカール套管針管との固定装置
４とから構成されている。刺入部３には螺旋状凸部５と
平滑な外周面６が設けられている。

【００１１】ここで螺旋状凸部５は、山の高さが１〜３
ｍｍ、ピツチが５〜８ｍｍで刺入部先端近傍から３周以
下にわたつて設けることが望ましい。また螺旋状凸部５
以後フランジ部７までの間は、例えば腹壁の厚さなど穿
刺部位を想定して、５〜３０ｍｍの幅をもつ平滑な外周
面６とするのが良い。第１の実施例である図１及び図２
には、山の高さ約３ｍｍピツチ約６.５ｍｍで２周の螺
旋状凸部５と、約２０ｍｍ幅の平滑な外周面６を設けた
例を示す。

【００１２】符号７は穿刺深さを規制するフランジ部で
ある。

【００１３】以上のように構成されたグリツピングデバ
イス１にトロカール２を挿通した状態を図２に示す。図
２において、符号８はグリツピングデバイス１をトロカ
ールの套管針管９に固定する為の固定装置４を構成する
締め付け部で、ここでは締め付け用ネジ部材から成る。
締め付け及び固定方法は、信頼性が有ればどんな方式で
も良く、提示した方法に限らないことはいうまでもな
い。符号１０はトロカールの套管針管の手元側把持部で
套管針管９と一体に形成されている。符号１１はトロカ
ール内針、符号１２はトロカール内針と一体に形成され
ているトロカール内針の手元側把持部で、套管針管９お
よび１０に対し挿脱自在に装着されている。

【００１４】上記本発明のグリツピングデバイス１及び
トロカール２は、まず図２の状態で尖端を持つトロカー
ル内針により体腔壁を切開しつつトロカール套管針管９
の一部が目的の体腔内に突出するまで穿刺され、次にト
ロカール套管針管９とグリツピングデバイス１を残して
内針８および１０が抜去される。その後、トロカール套
管針管９とグリツピングデバイス１を一体的に回転させ
ながら、グリツピングデバイス１の螺旋状凸部が完全に
体腔内に突出するまでねじ込み式に刺入される。螺旋状
凸部５が完全に体腔内に挿入されたかどうかはねじ込む
抵抗の変化で識別可能である。

【００１５】刺入後の状態を図３に示す。

【００１６】図３において、体腔壁断面１３は自身の弾
性によりグリツピングデバイス１の平滑な外周面６に密
着しているので、螺旋状凸部５が術中の「抜け」に対し
て大きな抵抗となる。また螺旋状凸部５が体腔壁断面１
３に当接していないので、グリツピングデバイス１およ
びトロカール２に外力が加わつても体腔壁断面１３が乱
れることがなく、出血および皮下気腫を起こす危険が少
ない。

【００１７】術後は、挿入時と逆方向に回転させながら
引くことにより、容易に抜去することができる。

【００１８】比較の為、従来のグリツピングデバイス
１′の使用例を図５に示す。図において、螺旋状凸部
５′はグリツピングデバイス１′の刺入部３′のほぼ全
長にわたつて設けられている為、体腔壁断面１３′が螺
旋状凸部５′と当接しており、術中の「抜け」に対する
抵抗力は小さく、体腔壁断面１３′を乱雑にする可能性
が高い。

【００１９】本発明の第１の実施例と従来のグリツピン
グデバイスとの引き抜き強さの測定結果を表１に示す。
人間の皮膚に近いとされているスチーブンス膜（ポリウ
レタン膜、厚さ０.３ｍｍ）に各グリツピングデバイス
を刺入し、引き抜き力量を測定した。表１より、引き抜
き強さが約２倍（当社比）に改善されていることが解
る。

【００２０】

【表１】 本発明の第２の実施例によるグリツピングデバイス１４
を図６に示す。グリツピングデバイス１４の刺入部１５
は、刺入部先端側が小、トロカールとの固定装置側が大
なるテーパー状の外径を有し、刺入部先端近傍から約２
周にわたる螺旋状の凸部１６と凸部以後約２０ｍｍ幅の
平滑な外周面１７を備えている。テーパー状の外径の
為、体腔壁刺入後トロカールの動きをより強固に規制す
ることができる。

【００２１】本発明の第３の実施例によるトロカール１
８を図７に示す。トロカール１８の套管針管１９の外周
に一体的にグリツピングデバイス２０を設けた。グリツ
ピングデバイス２０は、刺入部先端近傍から１.５週に
わたる螺旋状の凸部２１と凸部以後約１５ｍｍ幅の平滑
な外周面２２を備えている。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように本発明のトロカール用
グリツピングデバイスは、刺入部外周面において、刺入
部先端近傍から３周以下の螺旋状の凸部を設け、凸部以
後５〜５０ｍｍ幅の平滑な外周面を備えたものである。
従つて、本考案のグリツピングデバイスは、螺旋状凸部
が「抜け」に対し大きな抵抗となり、自然抜去を防ぐこ
とができる。尚、体腔壁断面は術中凸部により刺激され
ないので、出血及び皮下気腫の防止にも有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例の全体図。

【図２】本発明の第１の実施例をトロカールに装着した
状態を示す説明図。

【図３】本発明の第１の実施例の挿入後の使用状態を示
す説明図。

【図４】従来のグリツピングデバイスの全体図。

【図５】従来のグリツピングデバイスの挿入後の使用状
態を示す説明図。

【図６】本発明の第２の実施例を示す全体図。

【図７】本発明の第３の実施例を示す全体図。

【符号の説明】 １ グリツピングデバイス ２ トロカール ３ 穿刺部 ４ トロカールとの固定装置 ５ 螺旋状凸部 ６ 平滑な円筒部 ７ フランジ部 ８ 締め付け部 ９ 套管針管 １０ 套管針管の手元側把持部 １１ 内針 １２ 内針の手元側把持部 １３ 体腔壁断面

フロントページの続き (72)発明者 浅原 智彦 東京都大田区西蒲田５−25−８ サニーク レスト蒲田

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内視鏡下手術用トロカールの套管針管が
   挿通可能な内径を有し、略円筒形をなす刺入部とトロカ
   ールとの固定装置とを備え、上記刺入部の外表面には、
   刺入部先端近傍から３周以下の螺旋状の凸部と、凸部以
   後５〜５０ｍｍ幅の平滑な外周面を備えたことを特徴と
   するトロカール用グリツピングデバイス。
2. 【請求項２】 上記刺入部において、刺入部先端部側が
   小、固定装置側が大なるテーパ状の径を有する請求項１
   に記載のトロカール用グリツピングデバイス。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のグリツピングデバイス
   を套管針管の外周に一体的に設けたことを特徴とする内
   視鏡下手術用トロカール。