JPH06275204A - カラー陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 防振ワイヤーにより発生する蛍光面上の影を
低減または皆無として高画質の画像表示を得る。 【構成】 シャドウマスク構体７は一対のマスクフレー
ム9a,9bと、このマスクフレームを平行に支持する支持
フレーム10a(10b)と、マスクフレーム間に架張されたス
ロット型シャドウマスク８とから構成され、スロット型
シャドウマスクは一対のマスクフレーム間に張力をもっ
て架張された多数のグリル8aと、このグリルの所々に隣
接するグリルを繋ぐブリッジ8bを有し、ブリッジ部分に
重畳して複数のグリルを横断して張架した防振ワイヤー
12を備えた。枠状のフレームにスロット型シャドウマス
クの周囲４辺を溶接したものについても同様に防振ワイ
ヤーをブリッジ部分に重畳すれば同様の効果がある。 【効果】 ブリッジ部分に重畳した防振ワイヤーは、電
子ビームの進路を妨害することが低減もしくが解消す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、カラー陰極線管に係
り、特にスロット型シャドウマスクを備えたカラー陰極
線管に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在広く普及しているカラー陰極線管
は、所謂シャドウマスク型カラー陰極線管である。上記
カラー陰極線管に備えるシャドウマスクは、電子銃から
発射された３本の電子ビームをパネル内面に区分して塗
布された蛍光面の赤，緑，青の３色の蛍光体のそれぞれ
に分担して射突するように各電子ビームの進路を選択制
御することにある。

【０００３】この種のシャドウマスクは、一般に鉄また
は熱膨張係数の小さな鉄・ニッケル合金の薄い板に丸穴
あるいは長方形、もしくはすだれ状の電子ビーム通過孔
を有し、パネル内面には、このシャドウマスクの電子ビ
ーム通過孔形状に対応した形状で蛍光体が上記のように
区分されて形成される。そして、丸穴をもつシャドウマ
スクをドット型シャドウマスク、長方形をもつシャドウ
マスクをスロット型シャドウマスク、すだれ状電子ビー
ム通過孔をもつものをグリル型シャドウマスクと称する
ことにする。

【０００４】スロット型シャドウマスクはグリル型シャ
ドウマスクの並列するグリルの所々に隣接するグリルを
連結するブリッジを有する構造と考えることもできる。
一般に、ドット型シャドウマスクとスロット型シャドウ
マスクは球面状に成形されることが多く、グリル型シャ
ドウマスクは上下に張力をかけてシリンダー状に保持さ
れる。しかし、スロット型シャドウマスクも上記グリル
型シャドウマスクと同様に張力をかけてシリンダー状に
保持するようにしたカラー陰極線管も提案されている。

【０００５】シャドウマスクは陰極線管の動作中に電子
ビームの衝突によって温度が上がり、熱膨張し、その電
子ビーム通過孔と蛍光体との位置関係がずれてしまうと
いう問題がある。近年の陰極線管は高精細度表示の要求
が強まっており、画像表示の精度が上がるにつれ、シャ
ドウマスクの熱膨張に起因する当該電子ビーム通過孔の
変位による蛍光面上での電子ビームのランディング位置
のずれを高度に抑制する必要性がますます強くなってき
た。

【０００６】上記熱膨張を低減させるために、ドット型
シャドウマスクとスロット型シャドウマスクは、その構
成材料として熱膨張係数の小さい高価な鉄・ニッケル合
金を用いて球面状に形成され、グリル型シャドウマスク
あるいはスロット型シャドウマスクはグリルを張力をか
けてマスクフレームに張架保持することが行われてい
る。

【０００７】なお、上記のシャドウマスクに関する従来
技術を開示したものとしては、例えば米国特許第４９７
３２８３号明細書を挙げることができる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】グリル型シャドウマス
クもスロット型シャドウマスクも本来の機能である色選
択の機能を果たす部分はグリル部分である。スロット型
シャドウマスクの場合にはグリル型シャドウマスクの製
作過程においてグリルが相互に絡み合って取扱いが大変
不便であるという欠点を解消するために、並列する隣接
グリルを相互に機械的に連結するように所々にグリル同
士を繋ぐブリッジがある構成と考えることもできる。

【０００９】スロット型シャドウマスクは、グリル型シ
ャドウマスクと同様にその上下方向に張力をかけてシリ
ンドリカルに保持した場合、外部から振動が加わると共
振を起こして振動することがある。スロット型シャドウ
マスクは、グリル相互間にブリッジが存在する構造をも
つため、グリル型シャドウマスクのようにグリルの１本
１本が弦のようになって個別に振動することはないが、
シャドウマスクが面として振動することは避けられな
い。

【００１０】この振動が起きると、スロットの位置が変
化し、蛍光体に対する電子ビームのランディング位置が
変わり、色純度が低下するという問題があった。この問
題を低減するために、従来からグリルの延在方向と交差
する方向（水平方向）に張力をかけた防振ワイヤー（ダ
ンパー線）を接触配置してシャドウマスクの振動エネル
ギーを吸収することが行われているが、この防振ワイヤ
ーはブリッジの位置を考慮することなくグリルを横断し
て配置されるものであるため、略々全てのスロット上に
防振ワイヤーが存在し、これに電子ビームが衝突して当
該防振ワイヤーに対応する蛍光体に電子ビームが届か
ず、蛍光面に影ができて画質を低下させてしまうという
問題があった。

【００１１】本発明の目的は、上記従来技術の問題を解
消し、防振ワイヤーを備えたシャドウマスクにおける当
該防振ワイヤーにより発生する蛍光面上の影を低減また
は皆無として高画質の画像表示を得ることのできるカラ
ー陰極線管を提供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、蛍光体を内面に形成したパネルと、電子
銃を収容するネックと、パネルとネックとを連接するフ
ァンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内に
懸架されたスロット型シャドウマスクをもつシャドウマ
スク構体を少なくとも有するカラー陰極線管において、
前記シャドウマスク構体はフレームと、上記フレームに
架張されたスロット型シャドウマスクとから構成され、
上記スロット型シャドウマスクは上記フレームに張力を
もって架張された多数のグリルと、このグリルの所々に
隣接するグリルを繋ぐブリッジを有し、上記ブリッジ部
分に重畳して上記複数のグリルを横断して張架した防振
ワイヤーを備えたことを特徴とする。

【００１３】

【作用】上記構成としたことにより、ブリッジ部分に重
畳した防振ワイヤーは、電子ビームの進路を妨害するこ
とが低減もしくは解消され、蛍光面上に当該防振ワイヤ
ーの影が生じておこる画質の劣化を低減もしくは解消さ
せる。なお、ブリッジが防振ワイヤーの配置方向に連続
して配置された形式のシャドウマスクでは、蛍光面に上
記防振ワイヤーの影は全く生じないが、ブリッジを例え
ば千鳥状等に配置したものでは、一部のスロットにおい
て防振ワイヤーが電子ビームの進路を遮るが、この影は
全スロットに生じるものではないので、たとえ影が生じ
ても画質劣化に与える影響がそれ程大きくはならない。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。 実施例１ 図１は本発明のカラー陰極線管の１実施例を説明する概
略断面図であって、１はパネル、２はファンネル、３は
ネック、４は電子銃、５は偏向ヨーク、６は蛍光面、７
はシャドウマスク構体、８はスロット型シャドウマス
ク、９ａ，９ｂはマスクフレーム、１０ａ（１０ｂは図
示せず）は支持フレーム、１１ｂ（１１ａ）はワイヤー
支持体、１２は防振ワイヤーである。

【００１５】同図において、シャドウマスク構体７は一
対の支持フレーム１０ａ（１０ｂ）で所定の間隔で固定
されたマスクフレーム９ａ，９ｂに張力をかけてスロッ
ト型シャドウマスク８を固定してなる。この構成におい
て、電子銃４から発射された３本の電子ビームＲ，Ｇ，
Ｂは偏向ヨーク５により水平（左右方向）と垂直（上下
方向）の２方向に偏向され、シャドウマスク構体７のス
ロット型シャドウマスク８に設けた電子ビーム通過孔で
あるスロットで色選択を受け、蛍光面６を構成する所定
の蛍光体に射突する。

【００１６】各電子ビームＲ，Ｇ，Ｂは、電子銃を構成
する制御電極に与えられる駆動信号で駆動され、３本の
電子ビームの所定の電流比で所定の色彩画像を表現す
る。なお、シャドウマスク構体７はパネル１の側壁に設
けたスプリング懸架機構（図示せず）により懸架支持さ
れている。図２は上記本発明のカラー陰極線管１実施例
に装着されるシャドウマスク構体の１例を説明する斜視
図である。

【００１７】このシャドウマスク構体７は、一対の支持
フレーム１０ａ，１０ｂで所定の間隔で固定されたマス
クフレーム９ａ，９ｂに張力をかけて固着されたスロッ
ト型シャドウマスク８からなる。このスロット型シャド
ウマスク８は、上下方向に延在するグリル８ａと隣接す
るグリル８ａ間を連結するブリッジ８ｂを有し、グリル
８ａとブリッジ８ｂで区画される開口が電子ビーム通過
孔（スロット）を形成し、上下方向両端部でマスクフレ
ーム９ａ，９ｂに張力を印加して溶接固定される。

【００１８】スロット型シャドウマスク８に印加される
張力は、マスクフレーム９ａ，９ｂを所定の間隔で支持
する支持フレーム１０ａ，１０ｂで支えられる。このス
ロット型シャドウマスク８をマスクフレーム９ａ，９ｂ
に張力を与えて架張した後、その水平方向に防振ワイヤ
ー１２を架張し、スロット型シャドウマスク８の振動エ
ネルギーを吸収する構成としている。

【００１９】防振ワイヤー１２は、支持フレーム１０ａ
（１０ｂ）に取り付けた弾性材からなるワイヤー支持体
１１ａと１１ｂに支持され、スロット型シャドウマスク
８をそのブリッジ８ｂ部分に重畳する位置で面方向から
弾性的に押圧する構造とされている。この防振ワイヤー
１２により、スロット型シャドウマスク８は外部から印
加される衝撃や振動による面振動が抑制され、蛍光体に
対する電子ビームのランディングずれは起きない。

【００２０】図３は上記本発明のカラー陰極線管の１実
施例に装着されるシャドウマスク構体の要部平面図、図
４は図３のＡ−Ａ断面図である。同図に示したように、
スロット型シャドウマスク８は多数のグリル８ａ間をブ
リッジ８ｂで連結し、これらグリル８ａとブリッジ８ｂ
とで区画されるスロット８ｃを有している。

【００２１】図４に示したように、電子ビーム１３は防
振ワイヤー１２に遮られることなく蛍光面側に進行す
る。スロット８ｃは隣接するスロット間で長さ方向に１
／２ずれた位置に形成されており、横方向に位置するス
ロット上に重畳して配置されている。したがって、ブリ
ッジ８ｂが上記した長さ方向に１／２ずれた位置にある
スロットについては、防振ワイヤー１２は電子ビームの
進路上に存在することになるが、同図のごとくスロット
配列されたシャドウマスクでは全スロットを通過する電
子ビームの影響を与える従来の構成に比較して、蛍光面
上に生じる影が１／２に低減されることになる。なお、
隣接するスロットのずれが１／２以外のものでも、防振
ワイヤー１２の位置をブリッジ８ｂに意識的に重畳配置
することで相応の効果を得ることができる。

【００２２】図２に戻って、本実施例のスロット型シャ
ドウマスクの具体的サイズの１例と構成方法を説明す
る。このスロット型シャドウマスク８は、上下方向（垂
直方向）サイズが３００ｍｍ、左右方向（水平方向）サ
イズが４００ｍｍ、板厚が０．０２５ｍｍの鉄板に幅
０．０７５ｍｍ、長さ０．９ｍｍの長方形の穴（スロッ
ト）を、その上下方向ピッチ１．０ｍｍ、水平方向ピッ
チ０．３ｍｍで上下方向に２８０ｍｍ、左右方向に３８
０ｍｍで形成されている。

【００２３】言い換えれば、幅０．２２５ｍｍ、長さ２
８０ｍｍのグリルが厚さ０．０２５ｍｍ、幅０．１ｍ
ｍ、ピッチ１．０ｍｍのブリッジで連結されてなり、隣
接するグリルで半ピッチずつずれ、１本おきには横方向
で同じ位置にブリッジがある構成とされている。なお、
フレーム９ａ，９ｂは１３クローム鋼で形成され、その
断面の厚さは３．５ｍｍ、一辺の長さが８ｍｍのＬ字状
部材からなり、このフレーム９ａ，９ｂを同材質の８ｍ
ｍ角のコ字状支持フレーム１０ａ，１０ｂで平行に支え
てマスクフレームを構成している。

【００２４】スロット型シャドウマスクをマスクフレー
ムに架張する際、フレーム９ａ，９ｂの上下辺を、その
中心部で相互に０．５ｍｍ近づくように圧縮して保持
し、スロットシャドウマスク８を１５０度セルシウスま
で加熱してレーザー光で溶接する。溶接後、室温に戻る
と、スロット型シャドウマスク８に張力がかかった状態
となる。

【００２５】上記において、フレーム９ａ，９ｂの上下
辺を、その中心部で相互に０．５ｍｍ近づくように圧縮
して保持するのは、スロット型シャドウマスク８に張力
がかかったときにフレーム９ａ，９ｂが変形する量を見
込んだものであり、上記張力によってフレーム９ａ，９
ｂが部分的に緩むのを阻止するためである。スロット型
シャドウマスク８を溶接固定した後、直径が０．０１５
ｍｍのタングステン線からなる防振ワイヤー１２を、支
持フレーム１０ａ，１０ｂに取り付けた厚さ０．２５ｍ
ｍ，長さ１５ｍｍ，幅３ｍｍの弾性材からなるワイヤー
支持体１１ａと１１ｂに溶接する。このとき、ワイヤー
支持体１１ａと１１ｂは溶接前に互いに内側に撓めてお
き、防振ワイヤー１２を溶接後、上記撓みを開放するこ
とにより、防振ワイヤー１２はスロット型シャドウマス
ク８に圧力をもって接触する。

【００２６】上記防振ワイヤー１２はグリル８ａの１本
置きは横方向で同じ位置にあるブリッジ８ｂ上に重なり
合うように配置する。これによって、図４に示したよう
に、電子ビーム１３は防振ワイヤー１２に遮られること
がない。なお、防振ワイヤー１２をスロット型シャドウ
マスク８の上下方向中心部に架張する場合はブリッジ８
ｂの中心に位置させればよい。しかし、防振ワイヤー１
２はスロット型シャドウマスク８の上下方向中心部より
もある程度ずれた位置に架張すれば、その振動効果をさ
らに向上させることができる場合がある。

【００２７】防振ワイヤー１２をスロット型シャドウマ
スク８の上下方向中心部からずらした位置に架張する場
合には電子ビーム１３の入射角を考慮して当該ブリッジ
の陰になる部分に位置させればよい。 実施例２ 図５は本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウマ
スク構体の他の例を説明する要部平面図である。

【００２８】この例では、ブリッジ８ｂは左右方向に１
列に連続配列されており、防振ワイヤー１２はこのブリ
ッジ８ｂ上に位置される。この例によれば、防振ワイヤ
ー１２は電子ビームの進路に全く影響を与えないため、
表示画像に防振ワイヤー１２の影が生じて画質を劣化さ
せることは全くない。

【００２９】実施例３ また、マスクフレームとして、上記と同様の１３クロー
ム鋼を用い、断面が８ｍｍ角の角材を長方形に折り曲げ
て両端を溶接した枠状に形成し、このマスクフレームに
上記と同様の方法でスロット型シャドウマスクの周囲４
辺を溶接し、その後防振ワイヤー１２を張架してシャド
ウマスク構体とすることもできる。

【００３０】なお、防振ワイヤー１２は上記いずれの例
においても１本に限るものではなく、２本あるいはそれ
以上を設けてもよい。上記本発明の実施例によれば、ス
ロット型シャドウマスクの振動を防止すると共に、防振
ワイヤーによる画質低下を低減あるいは皆無とし、高品
質のカラー陰極線管を提供できる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スロット型シャドウマスクに張力をかけてシリンドリカ
ルに固定し、張力をかけた防振ワイヤーを接触配置する
ことにより当該シャドウマスクの振動エネルギーを上記
防振ワイヤーで吸収するものにおいて、防振ワイヤーの
架張位置をブリッジ部分に重畳配置することにより、電
子ビームの影が表示画像の画質に与える影響を低減もし
くは解消することができ、高品質のカラー陰極線管を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のカラー陰極線管の１実施例を説明する
概略断面図である。

【図２】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の斜視図である。

【図３】本発明のカラー陰極線管の１実施例に装着され
るシャドウマスク構体の要部平面図である。

【図４】本発明のカラー陰極線管の１実施例に装着され
るシャドウマスク構体を説明する図３のＡ−Ａ断面図で
ある。

【図５】本発明のカラー陰極線管に装着されるシャドウ
マスク構体の他の実施例を説明する要部平面図である。

【符号の説明】

１ パネル ２ ファンネル ３ ネック ４ 電子銃 ５ 偏向ヨーク ６ 蛍光面 ７ シャドウマスク構体 ８ スロット型シャドウマスク ９ａ，９ｂ マスクフレーム １０ａ，１０ｂ 支持フレーム。 １１ａ，１１ｂ ワイヤー支持体 １２ 防振ワイヤー １３ 電子ビーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蛍光体を内面に形成したパネルと、電子銃
   を収容するネックと、パネルとネックとを連接するファ
   ンネルとからなる真空外囲器を備え、上記パネル内に懸
   架されたスロット型シャドウマスクをもつシャドウマス
   ク構体を少なくとも有するカラー陰極線管において、 前記シャドウマスク構体はフレームと、上記フレームに
   架張されたスロット型シャドウマスクとから構成され、
   上記スロット型シャドウマスクは上記フレームに張力を
   もって架張された多数のグリルと、このグリルの所々に
   隣接するグリルを繋ぐブリッジを有し、上記ブリッジ部
   分に重畳して上記複数のグリルを横断して張架した防振
   ワイヤーを備えたことを特徴とするカラー陰極線管。