JPH06265682A - 監視対象の診断方法および装置 - Google Patents

監視対象の診断方法および装置

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JPH06265682A
JPH06265682A JP5053551A JP5355193A JPH06265682A JP H06265682 A JPH06265682 A JP H06265682A JP 5053551 A JP5053551 A JP 5053551A JP 5355193 A JP5355193 A JP 5355193A JP H06265682 A JPH06265682 A JP H06265682A
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JP
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monitoring target
disturbance
diagnosing
monitoring
power plant
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JP5053551A
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Inventor
Izumi Yamada
泉 山田
Haruo Fujimori
治男 藤森
Yuji Matsui
祐二 松井
Hiroshi Kamimura
上村  博
Shunsuke Uchida
俊介 内田
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、監視対象の大きな外乱を印加
して、その応答特性を解析し、その変化傾向を評価する
ことで的確な異常検出と、診断を行おうとするものであ
る。 【構成】本発明においては監視対象に外乱を与えて前記
監視対象を診断する方法において、前記監視対象の状態
量に影響を与える性質の異なる複数の操作量を前記監視
対象の状態量の変動を抑制するように互いに操作して前
記監視対象を診断するか、前記外乱を与える前に前記外
乱を与えたときの監視対象の状態量が許容範囲内である
ことを確認した後、前記外乱を与えるか、又は、前記外
乱に応答する機器が複数個あり、前記機器のうち特定の
機器を選択的に応答させることにより前記監視対象を診
断する。 【効果】監視対象を正確あるいは詳細に診断できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラントなどの監視対象
で使用される機器類や制御系等の稼働状態が正常である
か異常であるかの判定を行い、その要因究明を行う監視
対象の診断方法およびその装置に係わり、特にプラント
などの監視対象に外乱を与えてその応答を計測したデー
タを用いてその異常判別と診断を行う方式の監視対象の
診断方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の外乱を与えて監視対象を診断する
装置として、プラント等の実機供用中(出力を外部に提
供しない保守期間中)の監視診断を実現する調節弁監視
用の特公平3−6323 号がある。この調節弁監視では、1
本の配管に複数の弁を並列に設け、一つの弁にテスト信
号を与えているときには、他の弁がその配管の不足流量
を補って総流量が一定となるように制御する。これによ
り、実機供用中の弁の監視・診断が可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、系に
アクティブな外乱を与えてその応答を計測することで、
パッシブな監視すなわち単に弁の振動やその流量を単に
測定するよりも多くの情報を得て、プラント供用期間中
にも拘らず弁の状態をパッシブ法よりも詳細にかつ正確
にとらえて、弁の有効な監視に役立てている。しかし、
この従来方式をプラントの他の部分に適用しようとする
と、例えばタービンを複数台備えるとか、呼び系統がな
いと大きな外乱を与えることができず、その結果、監視
対象の応答も小さくなり十分に診断をすることできない
問題がある。つまり、従来技術は複数系統ある弁の監視
手段としては有効であるが、必ずしもプラント一般の監
視・診断という観点に欠けていた。
【0004】従って、本発明の目的は与えた外乱吸収の
ために多重系を持たない場合においても、監視対象に大
きな外乱を与えることができ、正確あるいは詳細な監視
対象系統の情報を得て異常監視・診断を行う方法および
装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては監視対象に外乱を与えて前記監視
対象を診断する方法において、前記監視対象の状態量に
影響を与える性質の異なる複数の操作量を前記監視対象
の状態量の変動を抑制するように互いに操作して前記監
視対象を診断する。
【0006】また、上記目的を達成するため、本発明に
おいては監視対象に外乱を与えて前記監視対象を診断す
る方法において、前記外乱を与える前に前記外乱を与え
たときの監視対象の状態量が許容範囲内であることを確
認した後、前記外乱を与える。
【0007】更に、上記目的を達成するため、本発明に
おいては監視対象に外乱を与えて前記監視対象を診断す
る方法において、前記外乱に応答する機器が複数個あ
り、前記機器のうち特定の機器を選択的に応答させるこ
とにより前記監視対象を診断する。
【0008】
【作用】第1の方法においては、たとえ多重系がなくて
も、監視対象の状態量に影響を与える性質の異なる複数
の操作量を互いに補正するように外乱を印加すること
で、大きな外乱を与えることができ、外乱を与えた機器
の診断を正確あるいは詳細に行うことができる。
【0009】第2の方法においては、前記外乱を与える
前に前記外乱を与えたときの監視対象の状態量が許容範
囲内であることを確認した後、前記外乱を与えること
で、監視対象の運転に差し支えない外乱の程度を評価で
き、その結果、可能な限り大きな外乱を印加できる。
【0010】更に、第3の方法においては、外乱に応答
する機器が複数個ある場合、その応答を特定の機器に集
約させることにより、その機器の応答が大きくなり、そ
の特定機器の診断を正確あるいは詳細に行うことができ
る。
【0011】
【実施例】以下本発明の一実施例を図1により説明す
る。図1は、本発明のアクティブ監視・診断装置を沸騰
水型軽水炉発電プラントに適用した例である。
【0012】図1において、対象監視プラントの運転状
態を把握して外乱印加が可能かどうかを判断して、可能
ならばプラントの監視対象系統に外乱を印加しその系統
の応答特性評価を実施する機能を有するアクティブ監視
・診断装置1は、監視対象である沸騰水型軽水炉発電プ
ラント9から運転状態に関する信号を受取,外乱を印加
できる構成となっている。また、運転状態に関する信号
のほとんどは、外乱印加に対する応答特性の評価にも使
える。
【0013】図2は本発明のアクティブ監視・診断装置
1の構成を示したものである。アクティブ監視・診断装
置1は、アクティブ試験の実施が可能であることを確認
するためのプラント状態監視部50,監視対象系統へ外
乱を印加するための外乱印加制御部40,外乱とその応
答から系統特性を評価するための系統特性評価部20,
応答データおよび評価結果を記憶する評価データ収納部
30,監視診断結果を表示する警報表示部60、これら
の手段を有機的に結び付けるとともに診断処理を行う監
視・診断部10からなる。図3は、監視対象プラントで
ある沸騰水型軽水炉発電プラント9と、アクティブ監視
・診断装置1の接続状態を示す図である。
【0014】監視対象プラントの運転状態を確認するプ
ラント監視部50と、プラントに外乱を与える外乱監視
制御部40は、図3に示すようにプラントの制御系や、
計測系と接続されている。ここで、図3の監視対象プラ
ントである沸騰型軽水炉を有する原子力発電プラントの
構成を説明する。原子炉70は、内部には炉心71,中
性子計装72,ジェットポンプ73,制御棒74等があ
る。給水配管87により導かれた給水は炉心73で加熱
され、蒸気となって主蒸気配管88を通る。蒸気は主蒸
気圧力を一定圧制御するための加減弁92を通り、ター
ビン94を回し発電機96で発電する。タービン94を
回した蒸気は復水器939で水になり、給水加熱器8
6,給水ポンプ85,給水配管87を通って再び原子炉
70に送られる。圧力制御系93は圧力系90の測定値
を基に加減弁92やバイパス弁91を調整して主蒸気圧
力を一定に保つ。給水制御系は流量計84で測定した給
水流量,液位計76で測定した原子炉水位,流量計89
で測定した主蒸気流量の値から給水すべき流量を算出し
て、給水ポンプ85の流量制御を行っている。再循環ポ
ンプ速度制御部77は、現在の発電電力の値から再循環
すべき流量を算出し、周波数可変電源78,モータ7
9,再循環ポンプ80を制御して再循環配管75の流量
を制御する。制御棒駆動機構75は制御棒74の位置を
上下に動かすことで原子炉出力を調整するものである。
再循環ポンプ81もまたその流量の変化により、原子炉
出力を制御できる。外乱印加部40では、これら炉出力
の制御機能を有する部分に接続し、外乱として炉出力変
動を原子炉に与えられるようにしてある。
【0015】次に、図2に示したアクティブ監視・診断
装置主要部のそれぞれの機能について説明する。
【0016】アクティブ試験は定期的に実施する場合
と、何らかの手段で異常が検出されたときに検出結果の
確認を含む診断の場合に実施する。プラント状態監視部
50の機能実現のためのフローを図4に示す。プラント
状態監視部50は監視・診断制御部10から送られる監
視対象系統名と定期監視/診断のモード情報を受け取
る。アクティブ試験実施のためのプラント状態把握を行
い、診断の場合には条件が満たされていなければプラン
トの運転員に判断を仰ぐ機能がある。試験のためのプラ
ント条件は、表などの形式で知識としてあらかじめ持っ
ている。これらと、プラント監視対象系統のプラントデ
ータと比較して、一致していれば次にプラントが過渡的
な状態でないかどうかを、主要なプラントデータの変化
率等から判定する。運転条件があらかじめ想定したアク
テイブ診断の条件と一致し、かつプラントの運転が過渡
的な運転状態でないことが確認できたならば、アクティ
ブ試験実行可能としてアクティブ試験実行可能を、監視
・診断制御部10に報告する。そして、プラント状態監
視処理を終える。もし、条件の一部でも満足してない場
合でかつ診断モードのときは、監視・診断制御部10に
報告する。監視・診断制御部10では、運転制御用プロ
セスコンピュータにその内容を報告する。プロセスコン
ピュータは、運転員に対してこのメッセージをディスプ
レィ上に表示するとともに、運転員の判断を要求する。
運転員は(1)アクティブ試験中止、(2)プラント条件を
変更した後実施、(3)問題はあるがこの状態で実施のい
ずれかを回答する。監視・診断制御部10はプロセスコ
ンピュータから報告された運転員の回答によりそれぞれ
次のような対処をする。(1)の場合は、アクティブ試験
を中止し、次のアクティブ試験条件タイミングまで待
つ。(2)の場合は、運転員がプロセスコンピュータを介
して送るプラント条件変更終了メッセージがくるまで待
つ。(3)の場合は、監視・診断制御部10がプラント状
態監視部50にプラント状態監視打ち切りの指示を出
し、これに対してプラント状態監視部50は監視・診断
制御部10プラント条件設定完了を報告して処理を終了
する。また、アクテイブ試験条件が成立しない場合でか
つ定期試験モードのときは、条件一致待ちタスクを起動
して条件成立まで待ってから過渡状態チェックを実施す
る。このタスクは、プラント状態監視部50の特殊なも
ので、条件一致待ちをしている場合でも、新たなアクテ
イブ試験実施の評価が可能な構成として有る。このよう
に、プラント状態の把握は監視・診断制御部10や運転
員等と協調して実施する。
【0017】外乱印加制御部40の外乱印加制御動作に
ついて図5を用いて説明する。外乱印加制御部40は、
監視・診断制御部10から送られる監視対象系統名を受
け取る。試験系統毎にあらかじめ設定してある、外乱印
加点,補償外乱印加点,必要外乱レベル,対応する補償
外乱レベルを試験系統のシミュレータに印加し、その動
作の安定性や妥当な印加外乱レベル,補償外乱レベル等
を算出し、外乱レベルを算出する。次に、あらかじめ用
意してある各種設定情報を読みだしながら、対象外乱印
加点のルートを動作可能状態とし、外乱波形を設定し、
外乱強度や補償外乱強度を設定する。実行開始を、監視
・診断制御部10と系統特性評価部20に報告する。引
き続いて、アクティブ試験を実行した後、処理を終了す
る。上記の動作において、外乱波形としてステップ信
号,M系列信号,正弦波信号,白色雑音信号,ステップ
信号等を用意している。また、外乱補償動作とは、一方
の制御棒を抜くときそれとほぼ同等の反応度を有する他
の領域の制御棒を挿入するような外乱制御をさす。
【0018】系統特性評価部20では、微小外乱信号と
それに対する監視対象の応答信号を入力として、応答解
析,異常指標算出,異常判別を行う。図6にその動作手
順を示す。入力した微小外乱信号と応答データを用いて
応答解析を行う。応答解析には、自己回帰モデルあては
めによる方法で伝達関数を求め、応答特性として伝達関
数と自己回帰モデル係数の双方を適宜用いている。その
ほかにも、応答特性として系統の遅れ時間,ヒステリス
特性等系統にあった応答特性の評価指標を用いてその特
性変化が把握できるようになっている。
【0019】異常検出においては、制御系や計測回路系
の特性のように本来変化しないものと、原子炉内の核特
性やフィルタ差圧のように本来特性変化するものをそれ
ぞれ考慮しなければならない。よって、特性変化があっ
たら異常だと決めつけることはできない。そこで、これ
らのことを総合的に勘案して以下の異常検出法を採用し
ている。すなわち、本来特性変化する監視対象について
はその変化傾向を監視し、本来は特性が変化しない監視
対象についてはトレンドに変化傾向があるかどうかを監
視し、さらに突発的変化を監視するため、トレンドの変
化傾向から現特性が統計的に有為な変化と見なせるかど
うかを監視する。これにより、監視対象特性が従来正常
の範囲と考えられていた小さな変化も知ることができ
る。図6において、異常指標A1は応答特性のトレンド
の変化傾向の有無を示す指標であり、A2はトレンドの
変化傾向の大きさを示す指標であり、A3は現在の応答
特性測定結果が過去の応答特性解析結果のトレンドから
見て統計的に有意かどうかを示す指標である。異常判別
処理においてはA1,A2,A3の異常指標を用いて異
常かどうかを監視対象毎にあらかじめ定めた方式で判別
する。判別結果を監視・診断制御部10に報告するとと
もに応答解析結果や評価指標を評価データ収納部30に
送る。異常を検出した場合は引き続いて、監視・制御部
1で異常診断を行うことになる。判別結果を監視・診断
制御部10に報告するとともに応答解析結果や評価指標
を評価データ収納部30に送る。異常診断においては、
あらかじめ用意した系の特性の変化内容と異常要因との
判別のための知識を利用して診断を行う。
【0020】評価データ収納部30の主な機能は、デー
タ収納であり各種の手法によるデータ圧縮技法を用いて
必要履歴を保存し、監視・診断制御部10からアクセス
されたときは、圧縮データを元データに変換して提示で
きる機能を有する。
【0021】警報表示部60はいわゆる通常プラント情
報表示に用いられるところのディスプレイ,プリンタ等
を備えた一般的なものである。
【0022】監視・診断制御部10は、アクティブ監視
・診断のスケジューリングの管理,プロセスコンピュー
タとの情報交換,アクティブ監視・診断装置1全体の制
御,アクティブ監視・診断装置1で検出した異常の診
断、他の個別異常監視システムで検出した異常について
の確認と診断機能を有する。アクティブ監視・診断のス
ケジューリングは、あらかじめ定められた手順と時間間
隔で実施するアクティブ監視・診断装置で検出した異常
については、あらかじめ投入してある診断知識とルール
を用いて実施する。個別監視装置からの異常検知結果の
確認もあらかじめ定められた手順と、知識を用いて行
う。
【0023】次に、個別異常監視部で異常を検出した場
合の、監視・診断制御部の動作を、図7により説明す
る。異常発生した監視系統の診断ルールを探索し、その
ルールを起動して系統診断(前期)を行う。この際、す
でに評価データ収納部に収納されている過去のデータも
診断に用いる。原因が十分突き止められない場合は、ア
クティブ試験の必要性を判定して、必要があれば定期以
外のアクティブ試験を実施し、ほかに参照したい知識が
用意されて無ければプロセスコンピュータを介して運転
員に必要知識を提示して要求する。不明という回答も含
めて、可能な情報がすべて集まった時点で再度系統診断
(後期)を実施して、その結果を表示して処理を終え
る。
【0024】次により具体的な動作について説明する。
本アクティブ監視・診断装置1においては定期的もしく
は運転条件がアクティブ試験条件になったとき、異常監
視のためのアクティブ試験により系統特性評価を行い、
評価結果を基にして異常判別する。また、アクティブ試
験により異常検出した場合や他の監視装置例えば炉出力
分布監視装置等の個別監視装置により異常検出した場合
には、診断のためのアクティブ試験や評価データ収納部
30に蓄積した系統特性評価データを参照して原因同定
を行う。
【0025】再循環流量制御系統の特性評価を例にとっ
て、異常判別のための動作を説明する。図8は原子炉7
0の一部と再循環流量制御系統を示した図である。外乱
印加制御部40により2系統ある再循環流量制御系のう
ちA系統の再循環ポンプ速度制御器771に系統試験の
ための外乱が印加される。周波数可変電源(MGセッ
ト)78は、すくい管操作器781,モータ782,流
体継手783,発電機784,速度センサ785からな
る。再循環ポンプ速度制御器771の一方の入力である
速度制御信号は短時間ではほとんど変化しないため、再
循環ポンプ速度制御器771の出力である速度制御信号
は印加外乱に応じて変動し、すくい管操作器781に入
力される。すくい管操作器781は、モータ782と発
電器784の回転軸の結合力を調節するための流体継手7
83内部にあるすくい管の位置を印加外乱に応じて変動
させ、モータ782の回転と発電機784の回転の間の
すべりを印加外乱に応じて変動させ、結果的に発電機7
84の回転数が印加外乱に応じて変動する。速度センサ
784は、発電機785の回転数を再循環速度制御器7
71にフィードバックする。印加外乱に応じて周波数変
化する発電機784の電気出力は、誘導式のポンプ駆動
モータ79に入力されており、ポンプ駆動モータ79の
回転数も印加外乱に応じて変動する。当然のことながら
ポンプ駆動用モータ79に直結した再循環ポンプ80の
回転数も印加外乱に応じて変動し、再循環流量もまた、
同様に変動する。さらに、再循環流量の変動に応じて原
子炉70内の流量が変動するため、何もしなければ原子
炉出力も印加外乱に応じて変動する。しかし、原子炉出
力(核出力)の変動が大きすぎると場合によっては原子
炉出力の警報設定点に到達して、原子炉70が自動停止
する事も有り得る。そこで、本実施例においては、印加
外乱の変動による原子炉出力の変動を抑制するために、
制御棒駆動機構75に補償外乱信号を印加し、制御棒位
置を印加外乱と逆位相で操作している。操作制御棒は、
A系統の再循環流に影響の大きい位置にあるものを複数
本選択して核出力の空間分布をできるだけ小さくなるよ
うにしている。これにより、再循環系の印加外乱のレベ
ルの設定を、原子炉出力や圧力制御系等状態に大きく制
限されないようになり、適正なレベルの外乱印加が可能
となり系統特性の測定精度向上が可能となる。図示して
ないが、印加外乱によるプラントデータの変動は系統特
性評価部20に入力されており、それぞれの入出力関係
から制御系や機器の特性を評価する。図4で示したアク
ティブ試験においては、再循環ポンプ速度制御器771
の特性,すくい管操作器781の特性等の再循環流量制
御に関わる機器特性の把握が可能となる。すくい管位置
は速度制御器の出力と比例しない領域があるため、評価
特性が線形となる領域にわけてアクティブ試験を実施す
るのはもちろんである。この場合、原子炉70において
は通常100%もしくはその近傍の出力を維持した運転
がほとんどとなる。そのため、それ以外の運転状態にお
ける運転条件の系統評価はしにくい。しかし、原子炉燃
料が燃えてくると、ときどき短時間ではあるが制御棒位
置を変更して燃料の燃やす位置を変える制御棒パターン
変化を実施する。このときは、70%程度までいったん
出力を下げるため、この時点から100%出力に変化さ
せるまでにアクティブ試験を行えば運転条件の違う系統
評価データを得ることができる。図9に、応答特性解析
結果の例を示す。監視対象系統の入力である外乱と出力
の関連を自己回帰モデルに当てはめ、周波数応答解析し
て伝達関数で表現した結果である。横軸が周波数で縦軸
が監視対象の利得と位相を示す。利得は、応答とゲイン
を示しており、220は利得特性のピークを示してい
る。このピークがある程度大きくなると、系統の特性は
不安定になる。また、周波数による利得の変化や位相特
性も系統の遅れや周波数毎の感度を示しており、この特
性の時間変化を知ることで、監視対象系統の特性把握が
可能となる。系統特性を正確に評価するためには、でき
るだけ小さな系に分割して評価した方がよい。このた
め、測定可能なできるだけ小さい範囲にまで分割して応
答特性を求めており、例えば周波数可変電源の入出力に
ついても応答特性を解析している。定期的に実施するこ
れらの応答解析の結果を系統特性評価部20に収録して
あるため、応答特性解析結果のトレンドから、その特性
の変化傾向や変化の大きさについても知ることができ、
従来のパッシブな監視法に比較して異常原因の究明や、
的確な診断が可能となる。パッシブな監視においては、
監視周波数の帯域がプラント内で自然に発生する帯域に
限られるが、アクティブ監視においては外乱の印加周波
数帯域も制御できるため、特に異常徴候の現れ易い高域
の周波数における変化もとらえ易い。
【0026】以上説明したように、本実施例で外乱を再
循環流量制御系に限って与えることで、運転上の制約と
なっている原子炉出力制限に影響されずにアクティブ試
験が可能となること、非線形特性を有する系の特性把握
が可能となること、外乱印加による応答予測により運転
に影響を与えにくいアクティブ試験の運用が可能である
ことを示した。
【0027】次に、圧力制御系へのアクティブ試験の適
用例について図3により説明する。外乱は制御棒位置の
変動による原子炉出力変化として与える。原子炉出力が
変化すれば、発生蒸気量が変化し圧力制御系93が動作
して加減弁92やバイパス弁90の開度に変化が生じ
る。この場合、バイパス弁90と加減弁92により原子
炉出力変動を吸収することになるため、特に補償外乱は
印加しない。この圧力制御系は主蒸気配管4本それぞれ
に接続されており、アクティブ試験においてはそれぞれ
の系統を2系統ずつ組にしてそれぞれ試験する。2系統
ずつ組にする理由は、バイパス弁90と加減弁92の開
度変化を少ない出力変動でも大きくなるようにするため
の工夫である。つまり、2系統の圧力制御系93の加減
弁92の操作ゲインをを小さくし逆に他の2系統のバイ
パス弁90の操作ゲインを小さくし、前者はバイパス弁
90の開度が大きく変動するようにし、他方の系は加減
弁92の開度が大きくなるようにする。これにより、試
験対象系統の外乱による応答を大きくして、精度良くそ
の特性を計測できるようになる。
【0028】本実施例の特有の効果として下記の事項が
あげられる。
【0029】(1)診断精度向上により、定期検査で検査
すべき項目を減らすことができるため、経済性向上が可
能となる。
【0030】(2)診断結果が素早く得られるようにな
り、プラント停止期間が短くなるため経済性が向上す
る。
【0031】(3)アクティブな監視・診断により診断精
度が向上するため、監視・診断装置の性能向上の効果が
ある。
【0032】(4)時系列の応答解析結果が得られるた
め、各系統の使用中の変化傾向が明瞭となり、系統の改
善点が明確になるため、系統の信頼性向上、ひいてはプ
ラントの信頼性を向上できる。
【0033】(5)プラント状態監視部では、警報にどの
ぐらい現状の運転条件が近いかを判断することになるた
め、監視の目が行き届くことになり、運転信頼性向上に
寄与する。
【0034】(6)以上説明したアクティブ監視・診断装
置1は、従来プラントの計装系に付加して運用すれば、
特にプラント状態監視部50の従来計装との共用化が図
れるので経済性向上の効果がある。
【0035】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば。監
視対象に大きな外乱を入力でき、正確あるいは詳細に監
視対象を診断できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】沸騰水型軽水炉発電プラントに本発明のアクテ
ィブ監視・診断装置を適用した場合の構成図。
【図2】本発明のアクティブ監視・診断装置の構成図。
【図3】沸騰水型軽水炉発電プラントとアクティブ監視
・診断装置の接続図。
【図4】プラント状態監視手順図。
【図5】外乱の印加手順図。
【図6】系統特性評価手順図。
【図7】異常発生時の診断手順図。
【図8】外乱印加時の制御系の詳細構成図。
【図9】外乱対象系統の応答解析結果の例である。
【符号の説明】
1…アクティブ監視・診断装置、9…沸騰水型軽水炉発
電プラント、10…監視・診断制御部、20…系統特性
評価部、30…評価データ収納部、40…外乱印加制御
部、50…プラント状態監視部、60…警報・表示部、
70…制御棒駆動機構、77…速度制御器、78…周波
数可変電源、79…モータ、80…再循環ポンプ、89
…流量計、90…圧力計、91…バイパス弁、92…加
減弁、93…圧力制御系、781…すくい管操作器、7
82…モータ、783…流体継手、784…発電機、7
85…速度センサ。
フロントページの続き (72)発明者 上村 博 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 内田 俊介 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を診
    断する方法において、前記監視対象の状態量に影響を与
    える性質の異なる複数の操作量を前記監視対象の状態量
    の変動を抑制するように互いに操作して前記監視対象を
    診断することを特徴とする監視対象の診断方法。
  2. 【請求項2】前記監視対象の状態量は前記監視対象の出
    力であることを特徴とする請求項1に記載の監視対象の
    診断方法。
  3. 【請求項3】監視対象である原子力プラントに外乱を与
    えて前記監視対象を診断する方法において、前記原子力
    プラントの状態量に影響を与える性質の異なる複数の操
    作量を前記原子力プラントの状態量の変動が減少するよ
    うに操作して前記原子力プラントを構成する機器を診断
    することを特徴とする監視対象の診断方法。
  4. 【請求項4】前記状態量は原子力プラントの出力であ
    り、前記操作量は再循環流量と制御棒挿入量であること
    を特徴とする請求項3に記載の監視対象の診断方法。
  5. 【請求項5】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を診
    断する方法において、前記外乱を与える前に前記外乱を
    与えたときの監視対象の状態量が許容範囲内であること
    を確認した後、前記外乱を与えることを特徴とする監視
    対象の診断方法。
  6. 【請求項6】前記確認する方法はシミュレーションで行
    うことを特徴とする請求項5に記載の監視対象の診断方
    法。
  7. 【請求項7】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を診
    断する方法において、前記外乱に応答する機器が複数個
    あり、前記機器のうち特定の機器を選択的に応答させる
    ことにより前記監視対象を診断することを特徴とする監
    視対象の診断方法。
  8. 【請求項8】監視対象は原子力プラントであることを特
    徴とする請求項7に記載の監視対象の診断方法。
  9. 【請求項9】前記外乱は原子力プラントを構成する圧力
    制御系に影響を与えるものであり、前記応答する複数の
    機器は、圧力制御系を構成するバイパス弁と加減弁であ
    ることを特徴とする請求項8に記載の監視対象の診断方
    法。
  10. 【請求項10】監視対象の状態が予め定められた範囲内
    であることを確認するステップと、系統に加えた外乱と
    その系統の応答から応答解析した結果が所定の正常範囲
    内か範囲外かを評価するステップと、範囲外の時に系統
    に異常が発生したと判断するステップとを有することを
    特徴とする監視対象の診断方法。
  11. 【請求項11】前記診断の結果、異常検出したときにあ
    らかじめ定めたルールにより異常原因究明をすることを
    特徴とする請求項1,3,5又は7に記載の監視対象の
    診断方法。
  12. 【請求項12】前記異常原因究明は、過去の応答解析結
    果の時間変化から行うことを特徴とする請求項11に記
    載の監視対象の診断方法。
  13. 【請求項13】前記診断に用いる所定の正常範囲を応答
    解析結果の時間変化の有無と、時間変化傾向の大きさ
    と、時間変化傾向の統計的性質から定めるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1,3,5,7又は10に記載の
    監視対象の診断方法。
  14. 【請求項14】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を
    診断する装置において、前記監視対象の状態量に影響を
    与える性質の異なる複数の操作量を前記監視対象の状態
    量の変動を抑制するように互いに操作して前記外乱を印
    加する手段と、前記監視対象の応答に基づいて前記監視
    対象を診断する手段とを有していることを特徴とする監
    視対象の診断装置。
  15. 【請求項15】前記監視対象の状態量は前記監視対象の
    出力であることを特徴とする請求項14に記載の監視対
    象の診断装置。
  16. 【請求項16】監視対象である原子力プラントに外乱を
    与えて前記監視対象を診断する装置において、前記原子
    力プラントの状態量に影響を与える性質の異なる複数の
    操作量を前記原子力プラントの状態量の変動が減少する
    ように操作して前記外乱を印加する手段と、前記原子力
    プラントの応答に基づいて原子力プラントを構成する機
    器を診断することを特徴とする監視対象の診断装置。
  17. 【請求項17】前記状態量は原子力プラントの出力であ
    り、前記操作量は再循環流量と制御棒挿入量であること
    を特徴とする請求項16に記載の監視対象の診断装置。
  18. 【請求項18】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を
    診断する装置において、前記外乱を与えたときの監視対
    象の状態量が許容範囲内であることを確認する手段と、
    前記手段に基づいて前記外乱を与える手段とを有するこ
    とを特徴とする監視対象の診断装置。
  19. 【請求項19】前記確認する手段はシミュレーションで
    あることを特徴とする請求項18に記載の監視対象の診
    断装置。
  20. 【請求項20】監視対象に外乱を与えて前記監視対象を
    診断する装置において、前記監視対象は前記外乱に応答
    する複数の機器を具備し、前記機器のうち特定の機器を
    選択的に応答させる手段と、前記手段の応答に基づいて
    前記監視対象を診断する手段とを有することを特徴とす
    る監視対象の診断装置。
  21. 【請求項21】監視対象は原子力プラントであることを
    特徴とする請求項20に記載の監視対象の診断装置。
  22. 【請求項22】前記外乱は原子力プラントを構成する圧
    力制御系に影響を与えるものであり、前記応答する複数
    の機器は、圧力制御系を構成するバイパス弁と加減弁で
    あることを特徴とする請求項21に記載の監視対象の診
    断装置。
  23. 【請求項23】監視対象の状態が予め定められた状態の
    範囲内であることを確認する手段と、確認した系統に外
    乱を加える手段と、印加した外乱と系統の応答から応答
    解析した結果が所定の正常範囲内か範囲外かを判別する
    手段と、少なくとも前記3つの手段を定期的にかつ順に
    動作させる手段を有していることを特徴とする監視対象
    の診断装置。
  24. 【請求項24】前記診断の結果、異常検出したときにあ
    らかじめ定めたルールにより異常原因究明をすることを
    特徴とする請求項14,16,18,20又は23に記
    載の監視対象の診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015219033A (ja) * 2014-05-14 2015-12-07 株式会社日立製作所 制御棒操作監視システムおよび制御棒個別制御部ならびに制御棒操作監視システムの試験方法

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