JPH06263804A - 重合体スケール付着防止剤、及びそれを利用する重合体の製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤、及びそれを利用する重合体の製造方法

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JPH06263804A
JPH06263804A JP34755493A JP34755493A JPH06263804A JP H06263804 A JPH06263804 A JP H06263804A JP 34755493 A JP34755493 A JP 34755493A JP 34755493 A JP34755493 A JP 34755493A JP H06263804 A JPH06263804 A JP H06263804A
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/002Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts
    • C08F2/004Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts by a prior coating on the reactor walls

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (A-1) ヒドロキシル基、カルボキシル基及び
スルホン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有
するジアミノ芳香族化合物と(A-2) キノン化合物との縮
合生成物(A) 、並びに、(B) 無機コロイドを含有するア
ルカリ性液からなる、エチレン性不飽和二重結合を有す
る単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤。 【効果】 重合器内の液相部ばかりでなく気相部の液相
部との界面付近においても重合体スケールの付着を効果
的に防止することができる上、得られる製品重合体の成
形後のフィッシュアイが少なくなる。また、得られる製
品重合体の成形後初期着色が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性不飽和二重
結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
剤及びそれを使用する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン性不飽和二重結合を有す
る単量体の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合
法、溶液重合法、気相重合法、塊状重合法等が知られて
いる。これらの重合法においては、いずれの場合にも重
合器内壁、撹拌装置等の単量体が接触する部位に重合体
スケールの付着が起こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器の冷却能力等が低下するほか、このスケール
が剥離して製品中に混入し、製品の品位を低下させると
いう不利がもたらされ、また、付着した重合体スケール
を除去する作業には、過大な労力と時間を要するのみな
らず、この重合体スケール中に未反応の単量体が含まれ
ているので、近年きわめて重大な問題となっている単量
体による人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物からなる重合体スケール付着防止剤を塗布する方法、
又はそれらの化合物を水性媒体中に添加する方法が公知
である(特公昭45−30343号)。
【0005】しかし、これらの方法は5〜6バッチ程度
までの重合の繰り返しには重合体スケール付着防止効果
を示すが、該効果の持続性が劣るため重合バッチ数がそ
れよりも多くなると防止効果が低下するという不利があ
る。この点は、水溶性触媒を使用した場合に特に影響が
著しく、工業的には満足できるものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記化合物の欠点を克
服すべく、スケール付着防止剤として芳香族アミン化合
物と芳香族ニトロ化合物との縮合生成物(特公昭60−
30681号公報)、フェノール性化合物と芳香族アル
デヒドとの反応生成物(特開昭57−192414号公
報)、多価フェノールと脂肪族アルデヒドとの反応生成
物(特公表昭57−502169号公報)、1−ナフト
ールとホルムアルデヒドとの反応生成物(特公平01−
31523号公報)等が提案されている。これらの塗膜
を重合器壁等の単量体が接触する部位に形成すると、重
合を100〜200バッチ程度繰り返し行っても、重合
器内液相部への重合体スケールの付着は生じない。ま
た、水溶性触媒を使用した場合においても同様に液相部
での重合体スケールの付着は防止される。
【0007】しかし、上記の重合体スケール付着防止剤
には、重合器内の上層部に位置する気相部と液相部との
界面付近には重合体スケールが付着するという欠点があ
った。気相部と液相部との界面付近に一旦重合体スケー
ルが付着すると、重合を繰り返していくにしたがって付
着した重合体スケールが徐々に成長していき、ついには
剥離して、重合体中に混入することがある。このように
重合体スケールが重合体に混入すると、その重合体をシ
ート等の成形品に加工したとき、その成形品に多くのフ
イッシュアイが発生し、成形品の品質が著しく低下して
しまうことになる。
【0008】また、重合により得られる重合体には高い
白色性が求められる。即ち、重合体を着色剤を何ら添加
せずにシート等に成形しても、得られる成形物は通常多
少着色される。この着色は初期着色と称され、できる限
り少ないことが望まれる。ところが、前記の芳香族アミ
ン化合物の縮合生成物からなる塗膜が剥離ないしは溶解
して重合体に混入することがあるため、成形物の初期着
色性が悪化する。
【0009】本発明の目的は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体を重合する際に、重合器内の液相部ば
かりでなく気相部と液相部との界面付近においても効果
的に重合体スケールの付着を防止することができる上、
シート等に成形した場合にフィッシュアイが極めて少な
く、かつ、初期着色性が良好である成形物が得られる重
合体を製造することができる重合体スケール付着防止剤
及び該防止剤を利用する重合体の製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、上記目
的を達成するものとして、(A-1) ヒドロキシル基、カル
ボキシル基及びスルホン基からなる群から選ばれる少な
くとも1種を有するジアミノ芳香族化合物と(A-2) キノ
ン化合物との縮合生成物(A) 、並びに、(B) 無機コロイ
ドを含有するアルカリ性液からなる、エチレン性不飽和
二重結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着
防止剤を提供する。
【0011】また、本発明は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体の、重合器内における重合により重合
体を製造する方法であって、内壁面に上記の塗膜を有す
る重合器内で、前記重合を行う工程を有する重合体の製
造方法を提供する。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】(A) 縮合生成物 (A-1) ジアミノ芳香族化合物 ジアミノ芳香族化合物(A-1) は、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基及びスルホン基からなる群から選ばれる少な
くとも1種を有するジアミノ芳香族化合物であり、例え
ば、一般式(1):
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 は、同一でも異なってもよ
く、−OH,−COOH及び−SO3 Hからなる群から
選ばれる少なくとも1種であり、R2 は、同一でも異な
ってもよく、−H,−HN2 ,−Cl,−NO2 ,−C
OCH3 ,−OCH3 ,−N(CH3 2 及び炭素原子
数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれる少なくと
も1種であり、mは1〜4の整数である。)で表される
ジアミノベンゼン化合物、一般式(2):
【0016】
【化2】
【0017】(式中、R1 、R2 及びmは、前記のとお
りであり、nは0〜4の整数である。)で表されるジフ
ェニルアミン化合物、一般式(3):
【0018】
【化3】
【0019】(式中、R2 は前記のとおりであり、R3
は、同一でも異なってもよく、−OH,−COOH、−
CH2 COOH、−CH2 CH2 COOH及び−SO3
Hからなる群から選ばれる少なくとも1種である。ま
た、p及びqは、0〜3の整数であり、ただし、pとq
は同時に0とはならない。)で表されるジアミノナフタ
レン化合物等が挙げられる。
【0020】一般式(1)で表されるジアミノベンゼン
化合物の具体例としては、例えば、2,3−ジアミノ安
息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ
安息香酸、2,6−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミ
ノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、4,6−ジア
ミノイソフタル酸、2,5−ジアミノテレフタル酸、
2,6−ジアミノテレフタル酸、2,3−ジアミノベン
ゼンスルホン酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン
酸、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,6−ジ
アミノベンゼンスルホン酸、3,4−ジアミノベンゼン
スルホン酸、3,5−ジアミノベンゼンスルホン酸等が
挙げられる。
【0021】一般式(2)で表されるジフェニルアミン
化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ジアミノ
−2,2’−ジヒドロキシジフェニルアミン、4,4’
−ジアミノ−2,2’−ジスルホジフェニルアミン、
4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニ
ルアミン等が挙げられる。
【0022】一般式(3)で表されるジアミノナフタレ
ン化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジアミノ
−7−カルボキシナフタレン、1,5−ジアミノ−2−
カルボキシナフタレン、1,5−ジアミノ−4−カルボ
キシナフタレン、1,6−ジアミノ−4−カルボキシナ
フタレン、1,8−ジアミノ−4−カルボキシナフタレ
ン、1,2−ジアミノ−3−スルホナフタレン、1,2
−ジアミノ−4−スルホナフタレン、1,2−ジアミノ
−5−スルホナフタレン、1,2−ジアミノ−6−スル
ホナフタレン、1,2−ジアミノ−7−スルホナフタレ
ン、1,3−ジアミノ−5−スルホナフタレン、1,3
−ジアミノ−6−スルホナフタレン、1,4−ジアミノ
−2−スルホナフタレン、1,4−ジアミノ−7−スル
ホナフタレン、1,5−ジアミノ−2−スルホナフタレ
ン、1,5−ジアミノ−4−スルホナフタレン、1,5
−ジアミノ−7−スルホナフタレン、1,6−ジアミノ
−2−スルホナフタレン、1,6−ジアミノ−4−スル
ホナフタレン、1,6−ジアミノ−7−スルホナフタレ
ン、1,8−ジアミノ−4−スルホナフタレン、1,8
−ジアミノ−3,6−ジスルホナフタレン、1,8−ジ
アミノ−4,5−ジスルホナフタレン等が挙げられる。
【0023】(A-2) キノン化合物 キノン化合物(A-2) は、例えば、一般式(4)及び
(5):
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】(式中、R4 は、−H,−HN2 ,−C
l,−OH,−NO2 ,−COCH3 ,−OCH3 ,−
N(CH3 2 又は炭素原子数1〜3のアルキル基であ
り、R5は、−H,−HN2 ,−OH,−CH3 ,−C
OOH又は−SO3 Hである。)で表されるキノン化合
物、一般式(6)及び(7):
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】(式中、R4 及びR5 は前記のとおりであ
り、R6 は−H,−OH,−CH3 ,−Cl,−COC
3 ,−OCH3 ,−COOH又は−SO3 Hであ
る。)で表されるキノン化合物等が挙げられる。
【0030】一般式(4)及び(5)で表されるベンゾ
キノン化合物の具体例としては、例えば、o−もしくは
p−ベンゾキノン、オキシ−p−ベンゾキノン、クロロ
−p−ベンゾキノン、ブロモ−p−ベンゾキノン、ジュ
ロキノン、クロルアニル等が挙げられる。
【0031】一般式(6)及び(7)で表されるナフト
キノン化合物の具体例としては、例えば、6−メチル−
1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキ
ノン、ローソン、ユグロン、プルンパギン、α−ナフト
キノン、β−ナフトキノン等が挙げられる。
【0032】尚、上記のキノン化合物は、単独でも2種
以上の組合せであっても使用可能である。
【0033】縮合反応 縮合生成物(A) は、ジアミノ芳香族化合物(A-1) とキノ
ン化合物(A-2) を、適当な媒体中、必要に応じて触媒存
在下、通常、室温〜200℃で0.5〜100時間、好
ましくは室温〜150℃で3〜30時間反応させること
により製造される。尚、キノン化合物が縮合触媒として
も作用するので、通常、他の縮合触媒を添加する必要は
ない。
【0034】他の縮合触媒を添加する場合に使用可能な
縮合触媒としては、例えば、α,α′−アゾビスイソブ
チロニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチル
バレロニトリル等のアゾ化合物、ヨウ素、臭素、塩素、
フッ素等の元素ないし分子状の単体ハロゲン、過酸化水
素、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム等の無機過酸化物、過酢酸、ヘンゾイルパーオキ
サイド、キュメンハイドロパーオキサイド、過安息香
酸、p−メンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸
化物、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過
塩素酸ナトリウム等の酸素酸あるいは酸素酸塩、塩化第
一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅、塩化第一銅等の金属塩、ニ
トロベンゼン、o−,m−もしくはp−オキシニトロベ
ンゼン、o−,m−もしくはp−ニトロアニソール、o
−,m−もしくはp−クロロニトロベンゼン、o−,m
−もしくはp−ニトロ安息香酸、o−,m−もしくはp
−ニトロベンゼンスルホン酸等の芳香族ニトロ化合物等
が挙げられる。
【0035】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒
が挙げられ、その中でも、水と混和性を有する有機溶媒
を使用するのが好ましい。水と混和性を有する有機溶媒
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル
類が挙げられ、その中でも特にアルコール類が好まし
い。また、前記の水と混和性を有する有機溶媒と水との
混合溶媒を使用することも可能である。
【0036】上記縮合反応を行う媒体のpHは、通常1
〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用す
ることができる。
【0037】縮合反応に供されるジアミノ芳香族化合物
(A-1) とキノン化合物(A-2) の割合は、使用する化合物
(A-1) ,(A-2) 及び溶媒の種類、反応温度、反応時間等
に影響されるが、ジアミノ芳香族化合物(A-1) 1重量部
当たり、キノン化合物(A-2)を0.01〜10重量部と
することが好ましく、更に0.1〜5重量部とすること
が好ましい。キノン化合物(A-2) が多すぎても少なすぎ
ても得られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効果
が低下する。
【0038】縮合生成物はそのまま溶媒で希釈して使用
することができる。また、縮合溶媒によっては縮合生成
物が容易に分離する場合がある。この場合には溶媒を除
去して縮合生成物を分離した後適当な溶媒に溶解して使
用することができる。
【0039】(B) 無機コロイド 無機コロイド(B) は、水を分散媒として分散又は凝縮す
ることによって得られるコロイドであり、コロイド粒子
の大きさは1〜500mμである。
【0040】無機コロイドとしては、具体的には、アル
ミニウム、トリウム、チタン、ジルコニウム、アンチモ
ン、スズ、鉄等の金属の酸化物又は水酸化物のコロイ
ド、タングステン酸、五酸化バナジウム、金及び銀のコ
ロイド、ヨウ化銀ゾル、セレン、イオウ、シリカ等のコ
ロイド等が例示される。これらの中で好ましいものは、
アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ及び鉄の酸
化物又は水酸化物のコロイド、及びコロイドシリカであ
る。
【0041】これらの無機コロイド(B) の添加量は、縮
合生成物(A) 1重量部当たり、通常0.01〜10重量
部、好ましくは0.05〜5重量部である。
【0042】重合体スケール付着防止剤 本発明の重合体スケール付着防止剤は、上記縮合生成物
(A) 及び無機コロイド(B) を含有するアルカリ性液から
なる。該重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面など
に塗布し、乾燥して塗膜を形成することにより重合器内
壁面などへの重合体スケールの付着を防止することがで
きる。
【0043】前記重合体スケール付着防止剤は、上記の
縮合反応により得られる縮合生成物(A) 及び無機コロイ
ド(B) を含有する溶液に、必要に応じて下記の溶媒を添
加し、pHをアルカリ性に調節することにより調製され
る。また、該重合体スケール付着防止剤は、前記縮合生
成物(A) の含有溶液を冷水に投入して縮合生成物(A)を
沈殿させた後、その沈殿物を濾別、乾燥したものに無機
コロイド(B) 及び下記の溶媒を添加し、pHをアルカリ
性に調節することにより調製してもよい。
【0044】本発明の重合体スケール付着防止剤は、上
記のようにアルカリ性としたことにより、縮合生成物
(A) の溶媒に対する溶解性が向上して溶液が均一となる
ため、重合器内壁面などに塗布する場合に重合体スケー
ル付着防止効果を向上させることができる。本発明の重
合体スケール付着防止剤は、pH7.5〜13.5であ
ることが好ましく、特に、pH8.0〜12.5である
ことが好ましい。pH調整に使用するアルカリ性化合物
としては、例えば、LiOH、NaOH、KOH、Na
2 CO3 、Na2 HPO4 等のアルカリ金属化合物、N
4 OH等のアンモニア化合物、エチレンジアミン、モ
ノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機ア
ミン化合物等が使用可能である。
【0045】重合体スケール付着防止剤の調製に使用す
る溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、2−
メチル−1−プロパノール、2−メチル−プロパノー
ル、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブ
タノール、2−ペンタノール等のアルコール系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン系溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステル系溶
剤;4−メチルジオキソラン、エチレングリコールジエ
チルエーテル等のエーテル系溶剤;フラン類;ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル
等の非プロトン系溶媒等が挙げられる。これらは適宜単
独で又は二種以上の混合溶媒として使用される。
【0046】上記溶媒の中で好ましいものは、水、及び
水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒である。
上記した有機溶媒の中で水と混和性を有する有機溶媒と
しては、メタノール、エタノール、プロパノール等のア
ルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶
剤が挙げられる。水と混和性を有する有機溶媒と水との
混合溶媒を使用する場合の有機溶媒の含有量は、引火、
爆発等の危険がなく、毒性等の取扱上の安全の問題がな
い量とするのが好ましく、具体的には、有機溶媒が50
重量%以下であることが好ましく、更に、30重量%以
下であることが好ましい。
【0047】上記アルカリ性液中の縮合生成物の濃度
は、後記の総塗布量が得られる限り、特に制限されなが
いが、通常0.001〜5重量%程度、好ましくは0.
011〜1重量%程度である。
【0048】塗膜の形成 上記のようにして調製される縮合生成物(A) 及び無機コ
ロイド(B) を含有するアルカリ性液からなる重合体スケ
ール付着防止剤を用いて重合器内壁面に塗膜を形成する
には、まず、該防止剤を重合器内壁面に塗布し、次い
で、例えば室温から100℃までの温度範囲で充分に乾
燥させた後、さらに必要に応じて水洗する。
【0049】また、前記塗膜は、重合器内壁面だけでな
く、重合中に単量体が接触する他の部位にも塗布するこ
とが好ましい。例えば、撹拌翼、撹拌軸、バッフル、コ
ンデンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等が
挙げられる。さらに好ましくは、前記防止剤は重合中に
単量体が接触する部位以外であっても、重合体スケール
が付着する恐れのある部位、例えば未反応単量体の回収
系統の機器及び配管の内面等には、前記塗膜を形成した
方がよい。具体的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、
モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0050】なお、前記防止剤を重合器内壁面に塗布す
る方法は、特に限定されず、例えばハケ塗り、スプレー
塗布、前記防止剤で重合器を満たした後に抜き出す方法
等を始めとして、そのほか特開昭57−61001号、
同55−36288号、特公昭56−501116号、
同56−501117号、特開昭59−11303号等
に記載の自動塗布方法を用いることもできる。
【0051】また、前記防止剤が塗布されたことによ
り、濡れた状態の表面を乾燥する方法も限定されること
はなく、例えば次のような方法を使用することができ
る。すなわち、前記防止剤の塗布後、適当に昇温した温
風を塗布面に当てる方法、あるいは前記防止剤を塗布す
べき重合器内壁面及びその他の表面を予め、例えば30
〜80℃に加熱しておき、その加熱した表面に前記防止
剤を直接塗布する方法等を使用することができる。そし
て塗布面の乾燥後は、その塗布面を必要に応じて水洗す
る。
【0052】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、0.001〜5g/m2 、特に0.
05〜2g/m2 であることが好ましい。以上の塗布作
業は、1〜十数バッチの重合ごとに行えばよい。形成さ
れた塗膜は高い耐久性を有し、重合体スケールの付着防
止作用が持続するので、必ずしも1バッチの重合ごとに
行う必要はないため、生産性が向上する。
【0053】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有する単量
体及び重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等
の重合媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、ア
ニオン性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法に
より重合を行う。
【0054】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、
塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタク
リル酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フ
マル酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエ
ン、クロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;ス
チレン、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニリデン、ビ
ニルエーテル等が挙げられる。
【0055】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。以下、懸濁重合及び乳化
重合の場合を例に挙げて、一般的な重合方法を具体的に
説明する。
【0056】まず、水及び分散剤を重合器に仕込み、そ
の後、重合開始剤を仕込む。次に、重合器内を排気して
0.1〜760mmHgに減圧した後、単量体を仕込み
(この時、重合器の内圧は、通常0.5〜30kgf/
cm2 ・Gになる)、その後、30〜150℃の反応温
度で重合する。重合中には、必要に応じて、水、分散剤
及び重合開始剤の一種又は二種以上を添加する。また、
重合時の反応温度は、重合される単量体の種類によって
異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合には30〜8
0℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50〜1
50℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に
装備されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入
口温度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち
重合反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判
断される。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開
始剤は、通常、単量体100重量部に対して、水20〜
500重量部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始
剤0.01〜5重量部である。
【0057】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重合につ
いての重合条件と同様である。
【0058】塊状重合の場合には、重合器内を約0.0
1〜760mmHgの圧力に排気した後、その重合器内
に単量体及び重合開始剤を仕込み、−10〜250℃の
反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重合の場合
には30〜80℃で、スチレンの重合の場合には50〜
150℃で実施される。
【0059】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等が重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0060】また、重合系に添加されるものは、何ら制
約なく使用することができる。すなわち、例えば、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチル
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパー
オキサイドネオデカノエート、クメンハイドロパーオキ
サイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パ
ーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイ
ルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,
α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ペ
ルオキソ二硫酸カリウム、ぺルオキソ二硫酸アンモニウ
ム、p−メンタンハイドロパーオキサイド等の重合開始
剤;部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、酢酸ビニルと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼ
ラチン等の天然又は合成高分子化合物等の懸濁剤;リン
酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の固体分散剤;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳
化剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナト
リウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニ
オン性乳化剤;炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填
剤;三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチ
ルすずジラウレート、ジオクチルすずメルカプチド等の
安定剤;ライスワックス、ステアリン酸、セチルアルコ
ール等の滑剤;DDP;DBP等の可塑剤;t−ドデシ
ルメルカプタン等のメルカプタン類、トリクロロエチレ
ン等の連鎖移動剤;pH調節剤等が存在する重合系にお
いても、本発明の方法は重合体スケールの付着を効果的
に防止することができる。
【0061】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによってスケール防
止効果を向上させることもできる。その場合、重合体ス
ケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000ppm程度が適当である。添
加に際しては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の
得られる重合体の品質に影響を与えないように配慮す
る。
【0062】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明する。なお、以下の各表において、*印を付け
た実験No.は比較例であり、それ以外の実験No.は本発
明の実施例である。
【0063】縮合生成物No.1の製造 還流冷却器、温度計、撹拌機を備えた1リットルの三ツ
口セパラブルフラスコに水0.5kg、メタノール0.4
kg、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸((A-1) 成
分)70g、α−ナフトキノン((A-2) 成分)30g、
及びNaOH 20gを入れた。このとき、(A-1) +(A
-2) の合計濃度は10重量%、(A-1) と(A-2) との重量
比は100:43であった。次に、前記フラスコを油浴
で70℃に加熱しながら、フラスコ内の反応混合物を2
0時間撹拌して反応を行った。反応終了後、冷却し、縮
合生成物No.1を含む溶液を得た。
【0064】縮合生成物No.2〜8の製造 各製造において、表1に示すジアミノ芳香族化合物(A-
1) 及びキノン化合物(A-2) を用い、表1に示す条件
((A-1) :(A-2) の重量比、(A-1) +(A-2) の合計濃
度、NaOHの濃度、反応温度及び反応時間)を採用し
た以外は、縮合生成物No.1の製造と同様にして縮合反
応に供し、縮合生成物を含む溶液を得た。
【0065】
【表1】
【0066】実施例1(実験No.101〜108) 各実験において、内容積1000リットルの撹拌機付ス
テンレス製重合器を用いて次のようにして重合を行っ
た。使用した縮合生成物(A) 、無機コロイド(B)、アル
カリ性化合物及び溶媒を表2に示す。使用した無機コロ
イドは表3に示すとおりである。まず、縮合生成物(A)
及び無機コロイド(B) を、表2に示す(A):(B) の重量
比でかつ(A) +(B) の合計濃度となるように溶媒に添加
し、次に表2に示したpHになるようにアルカリ性化合
物を添加して塗布液を調製した。これら塗布液を重合器
の内壁及び撹拌軸、撹拌翼その他重合中の単量体が接触
する部分に塗布し、40℃で15分間加熱し、乾燥して
塗膜を形成後、水洗した。ただし、表2の*印を付した
No.102及び103の実験は、本発明の条件を満たさ
ない塗布液を塗布した比較例である。
【0067】その後、このように塗布処理して塗膜を形
成された重合器中に、水400kg、塩化ビニル200
kg、部分ケン化ポリビニルアルコール250g、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース25g及び3,5,5
−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド70gを仕込
み、撹拌しながら66℃で6時間重合した。重合終了
後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合器内を
水洗して残存レジンを除去した。
【0068】以後、塗布作業は行わないで、原料等の仕
込みから重合を経て重合器内壁の水に至るまでの操作を
1バッチとして、同じ操作を表2に示したバッチ数繰り
返し、最終バッチ終了後に重合器内壁の液相部と、気相
部と液相部との界面付近のスケール付着量を下記の方法
で求めた。その結果を表2に示す。また、各実験で得ら
れた重合体をシートに成形した場合のフィッシュアイ
を、下記の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0069】・重合体スケール付着量の測定 重合器内壁の所定箇所の10cm四方の区域に付着した
スケールをへらで掻き落として、天秤で計量した。その
計量値を100倍して、1m2 当たりのスケール付着量
を求めた。
【0070】・フィッシュアイの測定 重合体100重量部、ジオクチルフタレート(DOP)
50重量部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セチ
ルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カ
ーボンブラック0.05重量部の配合割合で調製した混
合物を6インチロールを用いて150℃で7分間混練し
た後、厚さ0.2mmのシートに成形し、得られたシー
ト100cm2 当たりに含まれるフィッシュアイの個数
を光透過法により調べた。更に、各実験で得られた重合
体をシートに成形した場合の明度指数(L値)の測定を
下記の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0071】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体100重量部、安定剤(昭島化学社製、
TS−101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C−
100J)0.5重量部及び可塑剤としてDOP50重
量部を2本ロールミルを用いて160℃で5分間混練し
た後、厚さ1mmのシートに成形する。次に成形したシ
ートを4×4×1.5cmの型枠に入れ、160℃、6
5〜70kgf/cm2 で0.2時間加熱、加圧成形し
て測定用試料を作製する。この試料について、JIS
Z 8730(1980)に記載のハンターの色差式に
おける明度指数Lを求め、L値が大きい程白色度が高
い、即ち、初期着色が低いと評価した。
【0072】L値は次のようにして求める。JIS Z
8722の記載に従って、標準光C、光電色彩計(日
本電色工業株式会社製、Z−1001 DP型測色色差
計)を用い、刺激値直読方法により、XYZ表色系の刺
激値Yを求める。照明及び受光の幾何学的条件として
は、JIS Z 8722の4.3.1項に記載の条件
dを採用した。求められた刺激値Yから、JIS Z
8730(1980)に記載の式:L=10Y1/2 によ
り、L値が算出される。
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】実施例2(実験No.201〜207) 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を使
用して次のようにして重合を行った。各実験において、
表4に示した縮合生成物、アルカリ性化合物及び溶媒を
用いて同表に示したpH及び濃度になるように塗布液を
調製した。これら塗布液を実施例1と同様に重合器の内
壁及び撹拌軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する
部分に塗布し、塗膜を形成して水洗した。ただし、表4
の*印を付したNo.202及び203の実験は、本発明
の条件を満たさない塗布液を塗布した比較例である。
【0076】次に、このように塗布処理した重合器中
に、水9kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
225g、t−ドデシルメルカプタン12g及びペルオ
キソ二硫酸カリウム13gを仕込み、窒素ガス置換した
後、スチレン1.3kg、ブタジエン3.8kgを仕込
んで50℃で20時間重合した。重合終了後、生成重合
体及び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存
レジンを除去した。
【0077】以後、塗布作業は行わないで、原料等の仕
込から重合を経て重合器内壁の水洗に至るまでの操作を
1バッチとして、同じ操作を表4に示したバッチ数繰り
返し、最終バッチ終了後に重合器内液相部のスケール付
着量、及び気相部と液相部との界面付近のスケール付着
量を実施例1と同様の方法で求めた。その結果を表4に
示す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形し
た場合の明度指数(L値)の測定を下記の方法で測定し
た。その結果を表4に示す。
【0078】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体1kgに2%硫酸マグネシウム溶液を1
kgを加えて、凝集沈殿を行った後、沈殿物を濾別す
る。濾別した沈殿物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗
浄した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥し
て樹脂を得た。得られた樹脂を9×9cm、厚さ0.1
cmの型枠に入れ、195℃、50〜60kgf/cm
2 で0.2時間加熱し、最終圧力80kgf/cm2
加圧成形して測定用試料を作製した。この試料につい
て、前記と同様にして明度指数L値を求めた。
【0079】
【表4】
【0080】実施例3 内容積100リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を
用いて次のようにして重合を行った。実験No.101で
使用した塗布液を重合器の内壁及び撹拌軸、撹拌翼その
他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、50℃で1
5分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗した。
【0081】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に水40kg、不均化ロジン酸カリウ
ム500g、ポリブタジエンラテックス(固形分45
%)13kg、スチレン単量体9kg、アクリロニトリ
ル単量体5kg、t−ドデシルメルカプタン40g、及
びクメンハイドロパーオキサイド140gを仕込み、重
合器内温47℃でブドウ糖200g、硫酸第1鉄2g及
びピロリン酸ナトリウム100gを仕込み、撹拌しなが
ら65℃で4時間重合した。重合終了後、生成重合体及
び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジ
ンを除去した。
【0082】以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を60バッチ繰り
返し、60バッチ後の重合器内液相部の重合体スケール
付着量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体スケ
ール付着量を実施例1と同様に測定した。その結果、液
相部の重合体スケール付着量は0g/m2 であり気相部
と液相部との界面付近の重合体スケール付着量は28g
/m2 であった。
【0083】実施例4 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。実験No.201で使
用した塗布液を重合器の内壁及び撹拌軸、撹拌翼その他
重合中に単量体が接触する部分に塗布し、50℃で15
分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗した。
【0084】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に水4.0kg、及びドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム6gを仕込み、撹拌しながら6
0℃に昇温した。次に重合器内気相部を窒素ガスで置換
した後、アクリル酸n−ブチル94g、メタクリル酸メ
チル220g、アクリル酸5g及びメタクリル酸5gを
仕込み、続いて過硫酸アンモニウム1g及びヒドロ亜硫
酸ナトリウム1gを仕込んで20分間撹拌した。
【0085】更に、前記重合器に混合モノマー(アクリ
ル酸n−ブチル2.1kg、メタクリル酸メチル4.8
kg、アクリル酸100g及びメタクリル酸100gを
混合したもの)、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液5
00g、1重量%ヒドロ亜硫酸ナトリウム水溶液500
g及び25重量%ポリオキシエチレンノニルフェニルエ
ーテル水溶液2.0kgを3時間かけて均一に添加し
た。添加終了後、前記重合器を70℃に昇温して2時間
重合した。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を
回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除去した。
【0086】以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を60バッチ繰り
返し、60バッチ後の重合器内壁の液相部の重合体スケ
ール付着量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体
スケール付着量を実施例1と同様に測定した。その結
果、液相部の重合体スケール付着量は0g/m2 であり
気相部と液相部との界面付近のスケール付着量は44g
/m2 であった。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部の液相部との界面付近においても重合体
スケールの付着を効果的に防止することができる上、得
られる製品重合体の成形後のフィッシュアイが少なくな
る。更に、本発明により重合器内壁面に形成された塗膜
は、重合中に剥離したり、重合系に溶解したりすること
がないため、製品重合体の成形後の白色度が高く、初期
着色が少ない。また、本発明によれば、塗膜の形成に使
用する塗布液は、溶媒として水を主とすることができる
ため、有機溶媒は引火、爆発等の危険が少なく、また、
毒性等も問題にならない範囲で抑えることができる。更
に、本発明を適用して重合を行った場合には、重合体ス
ケールの除去作業を、重合ごとに行う必要がなく、それ
によって生産性が向上する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A-1) ヒドロキシル基、カルボキシル基
    及びスルホン基からなる群から選ばれる少なくとも1種
    を有するジアミノ芳香族化合物と(A-2) キノン化合物と
    の縮合生成物(A) 、並びに、(B) 無機コロイドを含有す
    るアルカリ性液からなる、エチレン性不飽和二重結合を
    有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】 エチレン性不飽和二重結合を有する単量
    体の重合器内における重合による重合体の製造方法であ
    って、内壁面に、(A-1) ヒドロキシル基、カルボキシル
    基及びスチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1
    種を有するジアミノジフェニル化合物と(A-2) キノン化
    合物との縮合生成物(A) 、並びに、(B) 無機コロイドを
    含有するアルカリ性液を塗布し、乾燥して形成された塗
    膜を有する重合器内で前記重合を行う工程を有し、これ
    により重合体スケールの付着が防止される製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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