JPH06261781A - 澱粉からの高濃度糖液の製法 - Google Patents
澱粉からの高濃度糖液の製法Info
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- JPH06261781A JPH06261781A JP7744093A JP7744093A JPH06261781A JP H06261781 A JPH06261781 A JP H06261781A JP 7744093 A JP7744093 A JP 7744093A JP 7744093 A JP7744093 A JP 7744093A JP H06261781 A JPH06261781 A JP H06261781A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 濃縮工程を要せずして、所望の濃度の高濃度
糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得することのでき
る澱粉からの高濃度糖液の製法を提供する。 【構成】 「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及び「澱粉
液化酵素が澱粉原料に作用可能であり、且つ、生成する
高濃度糖液の所望濃度に対応する量の水」を共存する共
存物を混練加熱処理した後、該処理物に澱粉糖化酵素を
作用せしめることにより、混練加熱処理によって高濃度
の澱粉液化酵素液を得ることができ、更に該高濃度の澱
粉液化酵素液に澱粉糖化酵素を添加して糖化する。 【効果】 濃縮工程を経過せず、エネルギ−の節減を図
り、用途別に最適な濃度を有する、所望の高濃度の澱粉
糖化液を取得できる
糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得することのでき
る澱粉からの高濃度糖液の製法を提供する。 【構成】 「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及び「澱粉
液化酵素が澱粉原料に作用可能であり、且つ、生成する
高濃度糖液の所望濃度に対応する量の水」を共存する共
存物を混練加熱処理した後、該処理物に澱粉糖化酵素を
作用せしめることにより、混練加熱処理によって高濃度
の澱粉液化酵素液を得ることができ、更に該高濃度の澱
粉液化酵素液に澱粉糖化酵素を添加して糖化する。 【効果】 濃縮工程を経過せず、エネルギ−の節減を図
り、用途別に最適な濃度を有する、所望の高濃度の澱粉
糖化液を取得できる
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は澱粉からの高濃度糖液の
製法、さらに詳しくは、高濃度糖液に対する要望が高い
にも拘らず、従来、生成糖液の濃縮工程が必須とされ、
直接には製造困難であった、所望の濃度を有する高濃度
糖液を連続する工程により製造する方法に関する。
製法、さらに詳しくは、高濃度糖液に対する要望が高い
にも拘らず、従来、生成糖液の濃縮工程が必須とされ、
直接には製造困難であった、所望の濃度を有する高濃度
糖液を連続する工程により製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉原料を糖化して糖液を製造する工業
的な方法としては、澱粉原料に強酸または酵素を作用せ
しめ、加水分解糖化する方法が実施されてきた。また、
今日では工程の便宜上あるいは生成物の後処理の便宜上
から、酵素による糖化方法が一般化している。
的な方法としては、澱粉原料に強酸または酵素を作用せ
しめ、加水分解糖化する方法が実施されてきた。また、
今日では工程の便宜上あるいは生成物の後処理の便宜上
から、酵素による糖化方法が一般化している。
【0003】この場合、澱粉原料を水に懸濁して乳化液
を製造する工程、乳化液に澱粉液化酵素を作用せしめ液
化澱粉液を製造する工程、次いで液化澱粉液に澱粉糖化
酵素を作用せしめ糖液を製造する工程の3工程を必須と
し、さらに要望の高い高濃度糖液を取得するためには、
生成する糖液の濃縮工程が必要である。図2は従来の澱
粉糖化方法の工程を示す説明図である。
を製造する工程、乳化液に澱粉液化酵素を作用せしめ液
化澱粉液を製造する工程、次いで液化澱粉液に澱粉糖化
酵素を作用せしめ糖液を製造する工程の3工程を必須と
し、さらに要望の高い高濃度糖液を取得するためには、
生成する糖液の濃縮工程が必要である。図2は従来の澱
粉糖化方法の工程を示す説明図である。
【0004】図に示す通り、攪拌手段を有した澱粉乳化
槽(11)内に澱粉原料及び水を供給して懸濁して乳化液を
次の澱粉液化酵素添加槽(12)内に移送し、澱粉液化酵素
液を供給する。更にこれを、澱粉液化槽(13)に移送し、
加熱蒸気を供給しながら攪拌して所定の温度で処理液を
液化する。液化処理した処理液を次の澱粉糖化槽(14)に
移送し、そこで澱粉糖化酵素を添加して所定時間攪拌し
て澱粉を糖化して糖液を得る。その後、糖液濃縮塔(15)
で不要の水分を除いて、所望の高濃度糖液を得る。
槽(11)内に澱粉原料及び水を供給して懸濁して乳化液を
次の澱粉液化酵素添加槽(12)内に移送し、澱粉液化酵素
液を供給する。更にこれを、澱粉液化槽(13)に移送し、
加熱蒸気を供給しながら攪拌して所定の温度で処理液を
液化する。液化処理した処理液を次の澱粉糖化槽(14)に
移送し、そこで澱粉糖化酵素を添加して所定時間攪拌し
て澱粉を糖化して糖液を得る。その後、糖液濃縮塔(15)
で不要の水分を除いて、所望の高濃度糖液を得る。
【0005】また、酵素による糖化方法では、乳化液あ
るいは液化澱粉液の粘度の上昇があるため、乳化処理あ
るいは液化処理を円滑に進行せしめるには、必然的に乳
化液中の澱粉原料を低濃度に保たねばならず、生成する
糖液の濃度も亦、最高35〜45%が限度であり、これ
以下の低濃度とならざるを得ない。
るいは液化澱粉液の粘度の上昇があるため、乳化処理あ
るいは液化処理を円滑に進行せしめるには、必然的に乳
化液中の澱粉原料を低濃度に保たねばならず、生成する
糖液の濃度も亦、最高35〜45%が限度であり、これ
以下の低濃度とならざるを得ない。
【0006】一方、生成する低濃度糖液をそのまま、各
種の製造加工原料として、例えば、食品加工用,水飴製
造用,清涼飲料水製造用,異性化糖製造用,各種甘味料
製造用,酒類醸造用,調味料醸造用、並びにアミノ酸発
酵,核酸発酵,アルコール発酵、或いは酵母等菌体生産
発酵など各種の発酵原料として供給するには困難がある
ので、低濃度糖液の濃縮工程を設け、供給目的別仕様に
合わせ、例えば55〜80%濃度の糖液に濃縮してい
る。このため、工程は複雑化し、多大の設備投資ならび
に濃縮用熱源あるいは低濃度糖液の移送に要するエネル
ギー費用の負担を強いられている。
種の製造加工原料として、例えば、食品加工用,水飴製
造用,清涼飲料水製造用,異性化糖製造用,各種甘味料
製造用,酒類醸造用,調味料醸造用、並びにアミノ酸発
酵,核酸発酵,アルコール発酵、或いは酵母等菌体生産
発酵など各種の発酵原料として供給するには困難がある
ので、低濃度糖液の濃縮工程を設け、供給目的別仕様に
合わせ、例えば55〜80%濃度の糖液に濃縮してい
る。このため、工程は複雑化し、多大の設備投資ならび
に濃縮用熱源あるいは低濃度糖液の移送に要するエネル
ギー費用の負担を強いられている。
【0007】なお、白糠などの澱粉原料を二段階の加熱
混練処理、すなわち、先ず澱粉原料のα化を行い、次い
で澱粉液化酵素処理により糊化した液化澱粉液を取得
後、別工程に移行せしめ、比較的長時間、澱粉糖化酵素
を作用せしめ、発酵用糖液原料または醸造用糖液原料を
取得する試験例の報告[早川功ほか3名、『日本食品工
業学会誌』 第38巻、945〜953頁(199
1)]がある。
混練処理、すなわち、先ず澱粉原料のα化を行い、次い
で澱粉液化酵素処理により糊化した液化澱粉液を取得
後、別工程に移行せしめ、比較的長時間、澱粉糖化酵素
を作用せしめ、発酵用糖液原料または醸造用糖液原料を
取得する試験例の報告[早川功ほか3名、『日本食品工
業学会誌』 第38巻、945〜953頁(199
1)]がある。
【0008】尚、本報告は二段階の加熱混練処理及び別
工程による澱粉糖化処理に関するものであって、澱粉原
料より所望の濃度を有する高濃度糖液を連続的に製造す
る方法ではない。
工程による澱粉糖化処理に関するものであって、澱粉原
料より所望の濃度を有する高濃度糖液を連続的に製造す
る方法ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来法
の難点、問題点であった濃縮工程を経過することなく、
所望の濃度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に
取得する手段に関し、鋭意、検討の結果、液化澱粉液を
製造する工程に、従来法では、予想できなかった新たな
方法を適用することにより、所望の濃度の高濃度糖液を
澱粉原料から直接、連続的に取得できることを見出し
て、本発明の製法を得るに至った。
の難点、問題点であった濃縮工程を経過することなく、
所望の濃度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に
取得する手段に関し、鋭意、検討の結果、液化澱粉液を
製造する工程に、従来法では、予想できなかった新たな
方法を適用することにより、所望の濃度の高濃度糖液を
澱粉原料から直接、連続的に取得できることを見出し
て、本発明の製法を得るに至った。
【0010】本発明は、濃縮工程を要せずして、所望の
濃度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得す
ることのできる澱粉からの高濃度糖液の製法を提供する
ものである。
濃度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得す
ることのできる澱粉からの高濃度糖液の製法を提供する
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本請求項1に係る澱粉か
らの高濃度糖液の製法では、「澱粉原料」、「澱粉液化
酵素」及び「澱粉液化酵素が澱粉原料に作用可能であ
り、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃度に対応する量
の水」を共存する共存物を混練加熱処理した後、該処理
物に澱粉糖化酵素を作用せしめる方法である。
らの高濃度糖液の製法では、「澱粉原料」、「澱粉液化
酵素」及び「澱粉液化酵素が澱粉原料に作用可能であ
り、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃度に対応する量
の水」を共存する共存物を混練加熱処理した後、該処理
物に澱粉糖化酵素を作用せしめる方法である。
【0012】また、本請求項2に係る澱粉からの高濃度
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理が押し出し混練加熱処理であるものであ
る。
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理が押し出し混練加熱処理であるものであ
る。
【0013】更に、本請求項3に係る澱粉からの高濃度
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理後の処理物を一時滞留せしめた後、該処理
物に澱粉糖化酵素を作用せしめるものである。
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理後の処理物を一時滞留せしめた後、該処理
物に澱粉糖化酵素を作用せしめるものである。
【0014】また、本請求項4に係る澱粉からの高濃度
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理後の処理物にセルラーゼを作用せしめた
後、該処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめるものであ
る。
糖液の製法では、請求項1に記載の製法において、前記
混練加熱処理後の処理物にセルラーゼを作用せしめた
後、該処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめるものであ
る。
【0015】
【作用】本発明は、「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及
び「澱粉液化酵素が澱粉原料に作用可能であり、且つ、
生成する高濃度糖液の所望濃度に対応する量の水」を共
存する共存物を混練加熱処理した後、該処理物に澱粉糖
化酵素を作用せしめる方法であるため、混練加熱処理に
よって高濃度の澱粉液化酵素液を得ることができ、更に
該高濃度の澱粉液化酵素液に澱粉糖化酵素を添加して糖
化することによって、濃縮工程を要せずして、所望の濃
度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得する
ことができる。
び「澱粉液化酵素が澱粉原料に作用可能であり、且つ、
生成する高濃度糖液の所望濃度に対応する量の水」を共
存する共存物を混練加熱処理した後、該処理物に澱粉糖
化酵素を作用せしめる方法であるため、混練加熱処理に
よって高濃度の澱粉液化酵素液を得ることができ、更に
該高濃度の澱粉液化酵素液に澱粉糖化酵素を添加して糖
化することによって、濃縮工程を要せずして、所望の濃
度の高濃度糖液を澱粉原料から直接、連続的に取得する
ことができる。
【0016】尚、本発明において使用する澱粉原料と
は、乾燥状態または可及的少量の水の共存する状態にあ
る澱粉原料であればよく、例えば粉状澱粉、粒状澱粉又
は湿潤澱粉等が含まれる。
は、乾燥状態または可及的少量の水の共存する状態にあ
る澱粉原料であればよく、例えば粉状澱粉、粒状澱粉又
は湿潤澱粉等が含まれる。
【0017】また、多量の水の共存する澱粉原料、例え
ば希釈した澱粉乳、希釈した(部分)液化澱粉を用いる
場合には、他の乾燥状態または可及的少量の水の共存す
る状態にある澱粉原料と共存せしめ、全体として乾燥状
態または可及的少量の水の共存する状態に調整後、使用
する。粉状澱粉は澱粉植物体より分離、精製した乾燥澱
粉であり、粒状澱粉は(半)乾燥後、粗砕した乾燥澱粉
あるいは(半)湿潤澱粉である。湿潤澱粉には分離後、
脱水した澱粉ケ−キを含む。
ば希釈した澱粉乳、希釈した(部分)液化澱粉を用いる
場合には、他の乾燥状態または可及的少量の水の共存す
る状態にある澱粉原料と共存せしめ、全体として乾燥状
態または可及的少量の水の共存する状態に調整後、使用
する。粉状澱粉は澱粉植物体より分離、精製した乾燥澱
粉であり、粒状澱粉は(半)乾燥後、粗砕した乾燥澱粉
あるいは(半)湿潤澱粉である。湿潤澱粉には分離後、
脱水した澱粉ケ−キを含む。
【0018】また、澱粉原料としては、通常使用されて
いる澱粉原料であれば、殆どの品種の澱粉が使用でき
る。即ち、例えば、米,小麦,大麦,ソバ,ヒエ,ア
ワ,トウモロコシ,ジヤガイモ,サツマイモ,サトイ
モ,エンドウ,インゲンマメ,アズキ,マング・ビーン
ズ,カボチャ,キャサバ(タピオカ),コウリャン(マ
イロ),サゴ,デーツなどの澱粉である。
いる澱粉原料であれば、殆どの品種の澱粉が使用でき
る。即ち、例えば、米,小麦,大麦,ソバ,ヒエ,ア
ワ,トウモロコシ,ジヤガイモ,サツマイモ,サトイ
モ,エンドウ,インゲンマメ,アズキ,マング・ビーン
ズ,カボチャ,キャサバ(タピオカ),コウリャン(マ
イロ),サゴ,デーツなどの澱粉である。
【0019】更に、澱粉原料には精製した澱粉に加え
て、各種の未精製澱粉原料が使用できる。例えば、意図
して破砕した米,加水後乾燥により破砕した米粉,搗精
時に副生する砕米,清酒醸造時に副生する白糠,コーン
・グリッツ,生芋または煮熟芋を薄片状に切断乾燥した
切干し芋,生芋または煮熟芋を薄片状に切断・凍結・乾
燥した凍結切干し芋,タピオカ芋を薄片状に切断乾燥
後,粗砕したタピオカ・チップ,同品を加工したタピオ
カ・ペレットなどである。
て、各種の未精製澱粉原料が使用できる。例えば、意図
して破砕した米,加水後乾燥により破砕した米粉,搗精
時に副生する砕米,清酒醸造時に副生する白糠,コーン
・グリッツ,生芋または煮熟芋を薄片状に切断乾燥した
切干し芋,生芋または煮熟芋を薄片状に切断・凍結・乾
燥した凍結切干し芋,タピオカ芋を薄片状に切断乾燥
後,粗砕したタピオカ・チップ,同品を加工したタピオ
カ・ペレットなどである。
【0020】さらに、澱粉を主成分とする各種の食品、
例えば麺類の製造時に副生する破損品なども使用でき
る。なお、これらの各種の澱粉原料は単品で使用する他
に、適宜、混合しても使用できる。
例えば麺類の製造時に副生する破損品なども使用でき
る。なお、これらの各種の澱粉原料は単品で使用する他
に、適宜、混合しても使用できる。
【0021】なお、上述の通り、澱粉原料は澱粉を主成
分とする物品であれば、どの様なものであってもよい
が、目的とする高濃度糖液の品質を一定基準に保つ必要
から、澱粉以外の成分、例えば非発酵性糖質、蛋白質あ
るいは脂質を多量に含有する澱粉原料ならびに澱粉液化
酵素あるいは澱粉糖化酵素の阻害物質を有害量含有する
澱粉原料は、回避すべきである。また、供給先における
高濃度糖液の使用時にあって、色素、タンニンなどの適
当でない共存物が残存し、あるいは処理工程で生成する
ような澱粉原料も亦、回避すべきである。
分とする物品であれば、どの様なものであってもよい
が、目的とする高濃度糖液の品質を一定基準に保つ必要
から、澱粉以外の成分、例えば非発酵性糖質、蛋白質あ
るいは脂質を多量に含有する澱粉原料ならびに澱粉液化
酵素あるいは澱粉糖化酵素の阻害物質を有害量含有する
澱粉原料は、回避すべきである。また、供給先における
高濃度糖液の使用時にあって、色素、タンニンなどの適
当でない共存物が残存し、あるいは処理工程で生成する
ような澱粉原料も亦、回避すべきである。
【0022】尚、本発明の方法にあって使用する澱粉液
化酵素とは、好ましくはα−アミラーゼであって、より
好ましくは澱粉分子中のグルコ−ス鎖を中央より切断す
るエンド型アミラーゼである。更に、澱粉液化工程は、
後述のごとく、混練加熱処理下に実施されるので、使用
する澱粉液化酵素は高温下でも活性を維持するα−アミ
ラーゼ、即ち、耐熱性α−アミラーゼが適当である。ま
た、α−アミラーゼは微生物の生産するアミラーゼ、例
えば細菌、バチルス・ステアロサーモファシエンス(Ba
cillus steatrothermofaciens),バチルス・リヘニフォ
ルミス(Bacillus licheniformis)の培養物より取得す
る。
化酵素とは、好ましくはα−アミラーゼであって、より
好ましくは澱粉分子中のグルコ−ス鎖を中央より切断す
るエンド型アミラーゼである。更に、澱粉液化工程は、
後述のごとく、混練加熱処理下に実施されるので、使用
する澱粉液化酵素は高温下でも活性を維持するα−アミ
ラーゼ、即ち、耐熱性α−アミラーゼが適当である。ま
た、α−アミラーゼは微生物の生産するアミラーゼ、例
えば細菌、バチルス・ステアロサーモファシエンス(Ba
cillus steatrothermofaciens),バチルス・リヘニフォ
ルミス(Bacillus licheniformis)の培養物より取得す
る。
【0023】反応系に共存せしめる水、即ち、「澱粉原
料、澱粉液化酵素および澱粉液化酵素が澱粉原料に作用
可能であり、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃度に対
応する量の水」は、澱粉原料に含まれる水,澱粉液化酵
素と共存する水,澱粉糖化酵素と共存する水,生成する
高濃度糖液の所望濃度を維持するに足る水,及び処理工
程中で水蒸気等の形で散逸する水の各水分量を勘案し
て、予め設定する。
料、澱粉液化酵素および澱粉液化酵素が澱粉原料に作用
可能であり、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃度に対
応する量の水」は、澱粉原料に含まれる水,澱粉液化酵
素と共存する水,澱粉糖化酵素と共存する水,生成する
高濃度糖液の所望濃度を維持するに足る水,及び処理工
程中で水蒸気等の形で散逸する水の各水分量を勘案し
て、予め設定する。
【0024】其の水分量は、反応系に存在する全量に対
し、30重量%以上150重量%以下が適当である。便
宜的には、生成する高濃度糖液の所望濃度を維持するに
足る水の50重量%以上120重量%以下を予め設定す
る。あるいは、混練加熱処理すべき澱粉原料に対し、乾
物重量比10重量%以上150重量%以下の水を加え、
あるいは加水しつつ混練加熱処理処理工程に導入する。
なお、この水は澱粉液化酵素を溶存している水であって
も良い。
し、30重量%以上150重量%以下が適当である。便
宜的には、生成する高濃度糖液の所望濃度を維持するに
足る水の50重量%以上120重量%以下を予め設定す
る。あるいは、混練加熱処理すべき澱粉原料に対し、乾
物重量比10重量%以上150重量%以下の水を加え、
あるいは加水しつつ混練加熱処理処理工程に導入する。
なお、この水は澱粉液化酵素を溶存している水であって
も良い。
【0025】上記の範囲以下の水分量で処理する時は、
澱粉液化酵素反応および澱粉糖化酵素反応の何れもが進
行しないばかりではなく、混練加熱処理系内で「こげつ
き」,「閉塞」などの移送障害が発生する。また、上記
の範囲以上の水分量で処理する時は、混練加熱処理を充
分に行い得ず、従って澱粉液化酵素反応および澱粉糖化
酵素反応の何れもが不完全となる。
澱粉液化酵素反応および澱粉糖化酵素反応の何れもが進
行しないばかりではなく、混練加熱処理系内で「こげつ
き」,「閉塞」などの移送障害が発生する。また、上記
の範囲以上の水分量で処理する時は、混練加熱処理を充
分に行い得ず、従って澱粉液化酵素反応および澱粉糖化
酵素反応の何れもが不完全となる。
【0026】また、本発明における混練加熱処理として
は、好ましくは押出し混練加熱処理である。従って、本
処理により押出し混練加熱処理装置に導入された澱粉原
料は前述の澱粉液化酵素及び加熱によって、速やかに液
化し、糊状態を経由して、透明あるいは半透明の液化澱
粉に変化する。
は、好ましくは押出し混練加熱処理である。従って、本
処理により押出し混練加熱処理装置に導入された澱粉原
料は前述の澱粉液化酵素及び加熱によって、速やかに液
化し、糊状態を経由して、透明あるいは半透明の液化澱
粉に変化する。
【0027】好ましい押出し混練加熱処理装置として
は、例えば、エクストルーダー,ニーダー,パドルミキ
サー,或いはオーガースクリュー等が使用され、特に何
れの装置にあっても二軸型の装置が適当である。また、
これらの押出し混練加熱処理装置は何れの装置にあって
も連続式の装置が適当であるが、少量の澱粉原料を処理
する場合には加熱および撹拌の機構を具備する回分式の
装置を使用することもできる。
は、例えば、エクストルーダー,ニーダー,パドルミキ
サー,或いはオーガースクリュー等が使用され、特に何
れの装置にあっても二軸型の装置が適当である。また、
これらの押出し混練加熱処理装置は何れの装置にあって
も連続式の装置が適当であるが、少量の澱粉原料を処理
する場合には加熱および撹拌の機構を具備する回分式の
装置を使用することもできる。
【0028】ところで、本発明においては、α−アミラ
ーゼを混練加熱処理下に澱粉原料に作用せしめる。この
際の作用温度は55℃以上120℃以下である。澱粉原
料は混練するだけで相当量の熱が発生するので、使用す
るα−アミラーゼは、高温下でも活性を維持する必要が
ある。さらに、澱粉液化酵素反応は高温下で速やかに進
行することが知られているので、特に耐熱性のα−アミ
ラーゼを選択して使用する。好ましくは、例えば、液化
反応条件が100℃以上110℃以下で使用される超高
温α−アミラーゼを使用する。
ーゼを混練加熱処理下に澱粉原料に作用せしめる。この
際の作用温度は55℃以上120℃以下である。澱粉原
料は混練するだけで相当量の熱が発生するので、使用す
るα−アミラーゼは、高温下でも活性を維持する必要が
ある。さらに、澱粉液化酵素反応は高温下で速やかに進
行することが知られているので、特に耐熱性のα−アミ
ラーゼを選択して使用する。好ましくは、例えば、液化
反応条件が100℃以上110℃以下で使用される超高
温α−アミラーゼを使用する。
【0029】また、本発明において使用する澱粉糖化酵
素は、液化した澱粉を糖まで分解する酵素であればよ
く、好ましくはグルコアミラーゼであって、液化した澱
粉分子を末端から、グルコ−ス単位に切断するエクソ型
アミラーゼある。また、グルコアミラーゼは微生物由来
の、特に糸状菌、リゾープス(Rhizopus) 属あるいはア
スペルギルス(Aspergillus)属に属する糸状菌ならびに
細菌、バチルス(Bacillus) 属に属する細菌の培養物か
ら取得するのが適当である。
素は、液化した澱粉を糖まで分解する酵素であればよ
く、好ましくはグルコアミラーゼであって、液化した澱
粉分子を末端から、グルコ−ス単位に切断するエクソ型
アミラーゼある。また、グルコアミラーゼは微生物由来
の、特に糸状菌、リゾープス(Rhizopus) 属あるいはア
スペルギルス(Aspergillus)属に属する糸状菌ならびに
細菌、バチルス(Bacillus) 属に属する細菌の培養物か
ら取得するのが適当である。
【0030】なお、グルコアミラーゼは耐熱性である必
要はないが、高温下での澱粉糖化反応は速やかに進行す
ること並びに高温下では雑菌による汚染を容易に回避で
きること等の利点を考慮すると、耐熱性のグルコアミラ
ーゼを使用することが望ましい。澱粉糖化酵素の作用温
度は35℃以上80℃以下である。特に、45℃以上7
0℃以下の温度範囲が適当である。
要はないが、高温下での澱粉糖化反応は速やかに進行す
ること並びに高温下では雑菌による汚染を容易に回避で
きること等の利点を考慮すると、耐熱性のグルコアミラ
ーゼを使用することが望ましい。澱粉糖化酵素の作用温
度は35℃以上80℃以下である。特に、45℃以上7
0℃以下の温度範囲が適当である。
【0031】近年、遺伝子組換え法により改質、育成し
た微生物の中には耐熱性のグルコアミラーゼを生産する
菌があるので、該菌の培養物より取得する耐熱性のグル
コアミラーゼを本発明の方法で効果的に利用できる。も
し、前述の混練加熱処理の温度に耐えられるのであれ
ば、「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及び「水」と一緒
に添加しても何ら差し支えない。
た微生物の中には耐熱性のグルコアミラーゼを生産する
菌があるので、該菌の培養物より取得する耐熱性のグル
コアミラーゼを本発明の方法で効果的に利用できる。も
し、前述の混練加熱処理の温度に耐えられるのであれ
ば、「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及び「水」と一緒
に添加しても何ら差し支えない。
【0032】ところで、混練加熱処理後の液化澱粉は、
直ちに澱粉糖化工程に回付することも可能であるが、混
練加熱処理後の液化澱粉を一時滞留せしめた後に、澱粉
糖化工程に回付する方が好ましい。これは、澱粉液化工
程および澱粉糖化工程における各反応の最適温度または
実施温度に差があるために温度の調整を行うこと、或い
は、液化処理物の物性および温度を均一化することか
ら、一時滞留せしめることが好ましい。
直ちに澱粉糖化工程に回付することも可能であるが、混
練加熱処理後の液化澱粉を一時滞留せしめた後に、澱粉
糖化工程に回付する方が好ましい。これは、澱粉液化工
程および澱粉糖化工程における各反応の最適温度または
実施温度に差があるために温度の調整を行うこと、或い
は、液化処理物の物性および温度を均一化することか
ら、一時滞留せしめることが好ましい。
【0033】一時滞留せしめるには、液化処理物を、澱
粉糖化工程の前に設置した、例えば槽状装置内に収容、
保持することで充分に目的を達することができる。この
一時滞留せしめる保持温度は、80℃以上110℃以下
の範囲であり、また、保持時間は5分以上1時間以下の
範囲が適当であって、該温度範囲および該時間範囲の組
み合わせにより適宜選択する。
粉糖化工程の前に設置した、例えば槽状装置内に収容、
保持することで充分に目的を達することができる。この
一時滞留せしめる保持温度は、80℃以上110℃以下
の範囲であり、また、保持時間は5分以上1時間以下の
範囲が適当であって、該温度範囲および該時間範囲の組
み合わせにより適宜選択する。
【0034】上記の温度範囲および時間範囲を著しく越
えて液化澱粉処理物を保持するときは、澱粉の老化、離
水会合あるいは部分的難水溶化が発生し、澱粉糖化工程
に障害を生ずることがある。
えて液化澱粉処理物を保持するときは、澱粉の老化、離
水会合あるいは部分的難水溶化が発生し、澱粉糖化工程
に障害を生ずることがある。
【0035】また、生成した高濃度糖液は、そのまま、
あるいは濾過、清澄化処理後、各種の製造加工原料とし
て供給することができる。生成した高濃度糖液は予め設
定した濃度を維持しているので濃縮する必要はない。設
定した濃度が特に高濃度である場合には、糖液の温度の
低下とともに糖分の結晶、析出が発生することもあるの
で、必要により保温する。
あるいは濾過、清澄化処理後、各種の製造加工原料とし
て供給することができる。生成した高濃度糖液は予め設
定した濃度を維持しているので濃縮する必要はない。設
定した濃度が特に高濃度である場合には、糖液の温度の
低下とともに糖分の結晶、析出が発生することもあるの
で、必要により保温する。
【0036】更に本発明では、上記の方法により工業的
に容易、且つ、簡便に所望の濃度の高濃度糖液を取得で
きるが、混練加熱処理後の処理物の粘度が特に高粘度を
有し、そのため澱粉糖化工程以降の各工程にあって取扱
い上、困難を来すことが予想される場合には、必要に応
じて混練加熱処理後の処理物にセルラーゼを作用せし
め、粘度の低下を図った後に澱粉糖化工程に付す。
に容易、且つ、簡便に所望の濃度の高濃度糖液を取得で
きるが、混練加熱処理後の処理物の粘度が特に高粘度を
有し、そのため澱粉糖化工程以降の各工程にあって取扱
い上、困難を来すことが予想される場合には、必要に応
じて混練加熱処理後の処理物にセルラーゼを作用せし
め、粘度の低下を図った後に澱粉糖化工程に付す。
【0037】この際、使用するセルラーゼは、セルロー
ス及び/又はヘミセルロースを加水分解する活性を有す
る酵素であれば特に限定はないが、混練加熱処理後の処
理物が高温を保持している場合が多いので、必要に応じ
てセルラーゼの作用温度まで温度調整する。また、必要
により、pHの調整も行う。混練加熱処理後の処理物が
高温を保持している場合が多いことに鑑み、耐熱性のセ
ルラーゼを使用すると好結果を得る。
ス及び/又はヘミセルロースを加水分解する活性を有す
る酵素であれば特に限定はないが、混練加熱処理後の処
理物が高温を保持している場合が多いので、必要に応じ
てセルラーゼの作用温度まで温度調整する。また、必要
により、pHの調整も行う。混練加熱処理後の処理物が
高温を保持している場合が多いことに鑑み、耐熱性のセ
ルラーゼを使用すると好結果を得る。
【0038】上記に説明した工業的に容易、且つ、簡便
な方法により、各種の澱粉原料に生成する糖液の所望濃
度に主として対応する量の水および澱粉液化酵素の共存
下に、混練加熱処理後、澱粉糖化酵素を作用せしめると
きは、所望の濃度の高濃度糖液を、濃縮工程を要せず省
エネルギー条件下に取得できる。
な方法により、各種の澱粉原料に生成する糖液の所望濃
度に主として対応する量の水および澱粉液化酵素の共存
下に、混練加熱処理後、澱粉糖化酵素を作用せしめると
きは、所望の濃度の高濃度糖液を、濃縮工程を要せず省
エネルギー条件下に取得できる。
【0039】
【実施例】図1は本発明の一実施例の工程を示す説明図
である。図に示す通り、供給口より、澱粉原料,澱粉液
化酵素および水を投入し、混練加熱処理手段(1) で混練
加熱処理を行って、滞留槽(2) で所定の時間保持させ、
更に、攪拌機を備えた澱粉糖化槽(3) 内に移動させた処
理液に澱粉糖化酵素を供給して、処理液を糖化し高濃度
糖液を得る。以下、実施例により本発明を具体的に説明
する。
である。図に示す通り、供給口より、澱粉原料,澱粉液
化酵素および水を投入し、混練加熱処理手段(1) で混練
加熱処理を行って、滞留槽(2) で所定の時間保持させ、
更に、攪拌機を備えた澱粉糖化槽(3) 内に移動させた処
理液に澱粉糖化酵素を供給して、処理液を糖化し高濃度
糖液を得る。以下、実施例により本発明を具体的に説明
する。
【0040】実施例1(タピオカ澱粉のエクストルーダー処理 ) 精製乾燥タピオカ澱粉10Kg及びクライスターゼT−
5[大和化成(株)製品]を7g/l溶存する耐熱性α
−アミラーゼ水溶液7.5Kgを同時に二軸エクストル
ーダー[日本精鋼(株)製品](混練加熱処理手段)
(1) に供給し、この二軸エクストルーダー(1) 処理部位
の中央における品温を102〜107℃に維持しつつ、
混練加熱処理した。
5[大和化成(株)製品]を7g/l溶存する耐熱性α
−アミラーゼ水溶液7.5Kgを同時に二軸エクストル
ーダー[日本精鋼(株)製品](混練加熱処理手段)
(1) に供給し、この二軸エクストルーダー(1) 処理部位
の中央における品温を102〜107℃に維持しつつ、
混練加熱処理した。
【0041】液化処理物を滞留槽(2) 中、85℃に30
分間保持した。得られた液化処理物を澱粉糖化装置(3)
に移動せしめ、液温を55℃にpHを4.5に調整後、
グルクザイムNL4.2[天野製薬(株)製品]」7g
/lを溶存するグルコアミラーゼ水溶液を供給し、撹拌
下55℃に48時間反応せしめて、高濃度糖液9.5K
gを取得した。
分間保持した。得られた液化処理物を澱粉糖化装置(3)
に移動せしめ、液温を55℃にpHを4.5に調整後、
グルクザイムNL4.2[天野製薬(株)製品]」7g
/lを溶存するグルコアミラーゼ水溶液を供給し、撹拌
下55℃に48時間反応せしめて、高濃度糖液9.5K
gを取得した。
【0042】また、比較例として前述の図2に示す従来
の澱粉糖化方法により、同一の澱粉原料、同一の澱粉液
化耐熱性α−アミラーゼ水溶液及びグルコアミラーゼ水
溶液を使用して、従来の澱粉乳化工程を有する澱粉糖化
方法で糖化を行った。
の澱粉糖化方法により、同一の澱粉原料、同一の澱粉液
化耐熱性α−アミラーゼ水溶液及びグルコアミラーゼ水
溶液を使用して、従来の澱粉乳化工程を有する澱粉糖化
方法で糖化を行った。
【0043】表1に、実施例1により取得した高濃度糖
液および従来法により製造した糖液濃縮塔に導入する
前、即ち濃縮処理前の糖液について、糖濃度および糖化
率を測定した結果を示す。
液および従来法により製造した糖液濃縮塔に導入する
前、即ち濃縮処理前の糖液について、糖濃度および糖化
率を測定した結果を示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、本発明の方法では従来
法に比較して、1.7倍濃度の高濃度糖液を濃縮工程を
経過することなく、取得できることが確認された。尚、
表1中の糖濃度は還元糖の公定定量法であるフェーリン
グ・レーマン・ショール(Fehling Lehmann Schorl)法
(全日本糖化工業会、日本糖化工業会、澱粉糖技術部会
編 『澱粉糖関連工業分析法』13−14頁、平成3年
11月1日発行、(株)食品化学新聞社刊)により測定
した値であり、糖化率は取得した全糖量を澱粉原料中の
実澱粉量で除した値をパ−セントで表示してある。
法に比較して、1.7倍濃度の高濃度糖液を濃縮工程を
経過することなく、取得できることが確認された。尚、
表1中の糖濃度は還元糖の公定定量法であるフェーリン
グ・レーマン・ショール(Fehling Lehmann Schorl)法
(全日本糖化工業会、日本糖化工業会、澱粉糖技術部会
編 『澱粉糖関連工業分析法』13−14頁、平成3年
11月1日発行、(株)食品化学新聞社刊)により測定
した値であり、糖化率は取得した全糖量を澱粉原料中の
実澱粉量で除した値をパ−セントで表示してある。
【0046】実施例2(トウモロコシ澱粉のエクストルーダー処理 ) 澱粉原料として、トウモロコシ澱粉を用いて、実施例1
と同一の処理条件下、同一の澱粉液化耐熱性α−アミラ
ーゼ水溶液及びグルコアミラーゼ水溶液を使用して、高
濃度糖液を取得した。また、同一の澱粉原料より従来法
により糖液を製造した。表2に、実施例2により取得し
た高濃度糖液および従来法により製造した濃縮処理前の
糖液について、糖濃度および糖化率を測定した結果を示
す。
と同一の処理条件下、同一の澱粉液化耐熱性α−アミラ
ーゼ水溶液及びグルコアミラーゼ水溶液を使用して、高
濃度糖液を取得した。また、同一の澱粉原料より従来法
により糖液を製造した。表2に、実施例2により取得し
た高濃度糖液および従来法により製造した濃縮処理前の
糖液について、糖濃度および糖化率を測定した結果を示
す。
【0047】
【表2】
【0048】表2に示すように、本発明の方法では従来
法に比較して、1.7倍濃度の高濃度糖液を、濃縮工程
を経過することなく、取得できる。尚、表2中の糖濃度
の測定および糖化率は表1中の表示と同じである。
法に比較して、1.7倍濃度の高濃度糖液を、濃縮工程
を経過することなく、取得できる。尚、表2中の糖濃度
の測定および糖化率は表1中の表示と同じである。
【0049】実施例3(タピオカ澱粉のエクストルーダー処理 ) 澱粉原料としてタピオカ澱粉を用いて、実施例1と同一
の処理条件下、加水率を変化せしめ、精製タピオカ澱粉
に実施例1と同一の澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ水溶
液およびグルコアミラーゼ水溶液を使用して、高濃度糖
液を取得した。尚、加水率は精製タピオカ澱粉の重量に
対する澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ水溶液重量の比を
パーセントで表示する。
の処理条件下、加水率を変化せしめ、精製タピオカ澱粉
に実施例1と同一の澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ水溶
液およびグルコアミラーゼ水溶液を使用して、高濃度糖
液を取得した。尚、加水率は精製タピオカ澱粉の重量に
対する澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ水溶液重量の比を
パーセントで表示する。
【0050】
【表3】
【0051】表3に示すように、加水率を変化せしめる
ことにより、所望の濃度の高濃度糖液を取得できること
を示す。尚、表3中の糖濃度の測定は表1中の表示と同
じである。
ことにより、所望の濃度の高濃度糖液を取得できること
を示す。尚、表3中の糖濃度の測定は表1中の表示と同
じである。
【0052】実施例4(タピオカ澱粉のニーダー処理) 二軸ニーダー[栗本鉄工所(株)製品 ]により、ニー
ダージャケットの温度を変化せしめ、乾燥精製タピオカ
澱粉に実施例1と同一の澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ
水溶液を作用せしめ取得した液化澱粉溶液を90℃に1
5分滞留後、実施例1と同一のグルコアミラーゼ水溶液
を同一条件下に作用せしめた。表3に処理時のニーダー
ジャケットの温度および同温度で処理、取得した高濃度
糖液の濃度を示す。尚、表4中の糖濃度の測定は表1中
の表示に同じである。
ダージャケットの温度を変化せしめ、乾燥精製タピオカ
澱粉に実施例1と同一の澱粉液化耐熱性α−アミラーゼ
水溶液を作用せしめ取得した液化澱粉溶液を90℃に1
5分滞留後、実施例1と同一のグルコアミラーゼ水溶液
を同一条件下に作用せしめた。表3に処理時のニーダー
ジャケットの温度および同温度で処理、取得した高濃度
糖液の濃度を示す。尚、表4中の糖濃度の測定は表1中
の表示に同じである。
【0053】
【表4】
【0054】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明は、「澱粉原
料」、「澱粉液化酵素」及び「澱粉液化酵素が澱粉原料
に作用可能であり、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃
度に対応する量の水」を共存する共存物を混練加熱処理
した後、該処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめる方法で
あるため、混練加熱処理によって高濃度の澱粉液化酵素
液を得ることができ、更に該高濃度の澱粉液化酵素液に
澱粉糖化酵素を添加して糖化することによって、濃縮工
程を要せずして、所望の濃度の高濃度糖液を澱粉原料か
ら直接、連続的に取得することができる。従って、各種
の澱粉原料より所望の濃度を有する高濃度糖液を、濃縮
工程を要することなく、省エネルギー条件下に、工業的
に容易に取得できる。
料」、「澱粉液化酵素」及び「澱粉液化酵素が澱粉原料
に作用可能であり、且つ、生成する高濃度糖液の所望濃
度に対応する量の水」を共存する共存物を混練加熱処理
した後、該処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめる方法で
あるため、混練加熱処理によって高濃度の澱粉液化酵素
液を得ることができ、更に該高濃度の澱粉液化酵素液に
澱粉糖化酵素を添加して糖化することによって、濃縮工
程を要せずして、所望の濃度の高濃度糖液を澱粉原料か
ら直接、連続的に取得することができる。従って、各種
の澱粉原料より所望の濃度を有する高濃度糖液を、濃縮
工程を要することなく、省エネルギー条件下に、工業的
に容易に取得できる。
【図1】本発明の一実施例の工程を示す説明図である。
【図2】従来の澱粉糖化方法の工程を示す説明図であ
る。
る。
(1) …混練加熱処理手段、 (2) …滞留槽、 (3) …澱粉糖化槽、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 忠雄 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社生産技術研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 「澱粉原料」、「澱粉液化酵素」及び
「澱粉液化酵素が澱粉原料に作用可能であり、且つ、生
成する高濃度糖液の所望濃度に対応する量の水」を共存
する共存物を混練加熱処理した後、該処理物に澱粉糖化
酵素を作用せしめることを特徴とする澱粉からの高濃度
糖液の製法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の製法において、 前記混練加熱処理が押し出し混練加熱処理であることを
特徴とする澱粉からの高濃度糖液の製法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の製法において、 前記混練加熱処理後の処理物を一時滞留せしめた後、該
処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめることを特徴とする
澱粉からの高濃度糖液の製法。 - 【請求項4】 請求項1に記載の製法において、 前記混練加熱処理後の処理物にセルラーゼを作用せしめ
た後、該処理物に澱粉糖化酵素を作用せしめることを特
徴とする澱粉からの高濃度糖液の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7744093A JPH06261781A (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 澱粉からの高濃度糖液の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7744093A JPH06261781A (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 澱粉からの高濃度糖液の製法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06261781A true JPH06261781A (ja) | 1994-09-20 |
Family
ID=13634092
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7744093A Pending JPH06261781A (ja) | 1993-03-12 | 1993-03-12 | 澱粉からの高濃度糖液の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06261781A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008000100A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | 新規糖化物、およびその製造方法 |
JP2011177036A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Uha Mikakuto Co Ltd | グミキャンディ |
CN102417918A (zh) * | 2011-11-08 | 2012-04-18 | 中粮生物化学(安徽)股份有限公司 | 一种提高玉米湿法制糖工艺制得的糖液质量的方法 |
CN111212916A (zh) * | 2017-11-20 | 2020-05-29 | 龟甲万株式会社 | 着色小的糖液及其制造方法 |
-
1993
- 1993-03-12 JP JP7744093A patent/JPH06261781A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008000100A (ja) * | 2006-06-26 | 2008-01-10 | Gun Ei Chem Ind Co Ltd | 新規糖化物、およびその製造方法 |
JP2011177036A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Uha Mikakuto Co Ltd | グミキャンディ |
CN102417918A (zh) * | 2011-11-08 | 2012-04-18 | 中粮生物化学(安徽)股份有限公司 | 一种提高玉米湿法制糖工艺制得的糖液质量的方法 |
CN111212916A (zh) * | 2017-11-20 | 2020-05-29 | 龟甲万株式会社 | 着色小的糖液及其制造方法 |
JPWO2019098221A1 (ja) * | 2017-11-20 | 2020-11-26 | キッコーマン株式会社 | 着色が小さい糖液及びその製造方法 |
CN111212916B (zh) * | 2017-11-20 | 2024-07-09 | 龟甲万株式会社 | 着色小的糖液及其制造方法 |
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