JPH0625764A - フェロスクラップ中の銅の除去・回収方法 - Google Patents

フェロスクラップ中の銅の除去・回収方法

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JPH0625764A
JPH0625764A JP18125792A JP18125792A JPH0625764A JP H0625764 A JPH0625764 A JP H0625764A JP 18125792 A JP18125792 A JP 18125792A JP 18125792 A JP18125792 A JP 18125792A JP H0625764 A JPH0625764 A JP H0625764A
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copper
scrap
ammonia
leachate
crystallization
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JP18125792A
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Koukon Shiyuu
康根 周
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅を含有するフェロスクラップの工業的に実
用化可能な効率的な脱銅プロセスを開発する。 【構成】 水にNH3 とCO2 を吸収させる溶液調製工程
と、この溶液にスクラップを酸素の存在下で浸漬して、
スクラップ中の銅をアンミン錯体として溶解させ、脱銅
スクラップと浸出液を分離する溶解工程と、浸出液を加
熱してNH3 とCO2 を蒸発させ溶液調製にリサイクルし、
CuO を晶析させる工程と、晶析物の濾過・乾燥工程とか
らなり、溶解工程を回分操作で行い、得られた浸出液を
一旦貯蔵槽に貯蔵した後、連続操作で晶析処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェロスクラップを鋼
の溶製の原料としてリサイクルするために、銅を含有す
るフェロスクラップから銅を除去・回収する方法に関す
る。より具体的には、本発明は、アンモニアとアンモニ
ウム塩とを含むアンモニア性水溶液を用いて、銅を含有
するフェロスクラップから銅を選択的に溶解させて除去
することにより、リサイクルに適した純度の高いフェロ
スクラップを得ると同時に、銅分を酸化銅として回収利
用するフェロスクラップ中の銅の除去・回収方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フェロスクラップは、電線や導線として
使用される銅線や、他の銅または銅合金製部品の混入が
主な原因で、銅含有量が高くなっていることが多い。例
えば、廃自動車、廃電気製品、機械屑などがそうであ
る。
【0003】銅は、鉄鋼製品の機械的性質、加工性など
の性能に悪影響を及ぼす元素であり、銅が混入したフェ
ロスクラップを鋼溶製の原料として用いると、低級な品
質の鋼しか製造できない。そのため、銅をフェロスクラ
ップから除去することが望ましく、従来から様々な脱銅
方法が研究されている。フェロスクラップから銅を除去
するための代表的な脱銅方法を次に示す。
【0004】硫化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムを
主成分とするフラックスに銅を溶鉄から選択的に抽出す
る方法 (第122, 123回西山記念技術講座、pp.112-118,
日本鉄鋼協会) 、 スクラップを高温で溶融し、より低融点の銅を真空下
で蒸発させる方法 (CAMP-ISIJ, Vol. 1 (1988), pp.116
9-1172) 、 スクラップ中の銅を硫化した後、スクラップを圧縮ま
たは破砕し、脆化した硫化銅を機械的に分離・回収する
方法 (特開平2−285035号) 、 アルミニウム、マグネシウムまたはその合金の溶融物
中に銅を選択的に抽出する方法 (特開平3−199314号)
【0005】しかし、の方法は、高い脱銅率を得るに
はかなり大量のフラックスが必要であり、このフラック
スの高温での取扱いが困難であり、かつフラックスのコ
ストが高い。の方法は、銅の蒸発速度を高めるには、
多量のエネルギーを要する高温・高真空条件が必要であ
り、しかも銅の回収が困難である。の方法は、硫化工
程で発生する硫黄酸化物を含有する廃ガスの処理が大き
な負担となる上、硫化した銅の機械的手段での分離で
は、銅を十分高い脱銅率で除去することが困難である。
の方法は、抽出剤として高価な金属Al、Mg、またはAl
−Mg合金が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の脱銅方法の欠点
を解消するため、本発明者は先に、アンモニアとアンモ
ニウム塩 (例、炭酸アンモニウム) とを含有するアンモ
ニア性水溶液を用いてフェロスクラップから銅を除去・
回収する方法を提案した (特願平3−297375号)(以下、
この方法を先願発明という) 。
【0007】酸素存在下でのアンモニア性水溶液中にお
いて、銅はアンモニアとアンミン錯体を生成し、容易に
溶解するのに対し、鉄は、銅よりイオン化傾向が大きい
にもかかわらず、不働態化するため全く溶解しない。先
願発明は、このような銅と鉄との性質を利用したもので
ある。即ち、銅を含有するフェロスクラップを酸素の存
在下でアンモニア性水溶液中により処理すると、下記
(1) 式に従ってスクラップ中の銅をアンミン銅(II)錯体
として選択的に溶解させることができ、脱銅された高品
位のフェロスクラップが得られる。同時に、スクラップ
から分離された銅を溶解したアンモニア性水溶液は、こ
れを加熱するとアンミン錯体が分解し、(2) 式に示す反
応により、アンモニアと炭酸ガスを発生しつつ酸化銅が
晶析する。従って、銅分を酸化銅として回収することが
でき、アンモニアとアンモニウム塩が再生される。
【0008】 Cu + 2NH3 + 2NH4 + + 1/2O2 = Cu(NH3)4 2+ + H2O (1) Cu(NH3)2 + + H2O = CuO↓ + 2NH3↑ + 2NH4 + (2) このように、先願発明の銅の除去・回収方法は、上記
(1) および(2) 式からもわかるように、反応に必要なア
ンモニアとアンモニウム塩を原理的には完全に回収して
処理水溶液を再生し、循環使用することができるので、
薬剤コストおよび廃水処理コストが少なくてすみ、経済
的である。また、フェロスクラップからの銅の除去・回
収率も高い。
【0009】このフェロスクラップの脱銅方法を工業的
に実施するためには、工業化に適したプロセスを開発す
る必要がある。本発明はこの必要性に鑑みてなされたも
のである。即ち、本発明の目的は、銅を含有するフェロ
スクラップを酸素の存在下でアンモニア性水溶液により
処理することからなるスクラップ中の銅の除去・回収を
工業的に実施するための方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による、銅を含有
するフェロスクラップ中の銅の除去・回収方法は、水に
アンモニアおよび炭酸ガスを吸収させてアンモニアおよ
び炭酸アンモニウムを含有するアンモニア性水溶液を調
製する工程と、該アンモニア性水溶液中に銅を含有す
るフェロスクラップを酸素の存在下で浸漬して、スクラ
ップ中の銅をアンミン銅錯体として選択的に溶解させ、
銅が除去されたフェロスクラップを、銅が溶解した浸出
液から分離し、水洗する溶解工程と、該浸出液からア
ンモニアおよび炭酸ガスを蒸発させて酸化銅を晶析させ
る工程と、晶析した酸化銅を濾過・乾燥する工程と
からなる、銅を含有するフェロスクラップ中の銅の除去
・回収方法であって、溶解工程を回分操作にて行い、
得られた浸出液を一旦貯蔵槽に貯蔵した後、晶析工程
において連続操作により晶析処理することを特徴とす
る。
【0011】晶析工程で発生するアンモニアおよび炭
酸ガスを有効利用するために、工程で発生したアンモ
ニアおよび炭酸ガスを回収し、溶液調製工程にリサイ
クルすることが好ましい。
【0012】溶解工程で分離されたフェロスクラップ
は、水洗してもアンモニアが残留していることがある。
アンモニアはその毒性と臭気により作業環境を悪化させ
るので、分離されたスクラップを水洗した後、さらに水
蒸気または100 ℃以上のガスで処理し、スクラップに付
着したアンモニアを完全に除去するのが好ましい。
【0013】晶析工程は、蒸留塔を含む晶析装置を用
いて、浸出液に加熱水蒸気を直接吹き込むことにより行
うことが好ましい。
【0014】
【作用】本発明の方法の工程図を図1に示す。図1に示
すように、本発明のフェロスクラップの処理方法は、処
理溶液として用いるアンモニア性水溶液の調製工程、
処理溶液へのスクラップの浸漬によりスクラップ中の銅
を溶解させ、脱銅されたスクラップを分離・水洗する溶
解工程、銅が溶解した浸出液から酸化銅を晶析させる
晶析工程、および酸化銅の濾過・乾燥工程からな
り、溶解工程を回分操作で、晶析工程を連続操作に
より行う点に主要な特徴がある。
【0015】従来の金属・化学工業における浸出処理、
例えば、鉱石からの有価金属の浸出においては、浸出原
料(鉱石)は大部分が粉末状で処理されるので、粉体搬
送またはスラリー搬送等の手段により原料を反応器(浸
出槽)に連続的に供給および抜取ることが容易である。
しかし、本発明の処理原料であるスクラップは、連続供
給に適した粒径に粉砕するのが困難である。形が不規則
で、寸法の大きいスクラップを連続的に反応器に出し入
れすることは、不可能ではないが、装置の巨大化を招
き、設備コストを著しく増大させる。そのため、本発明
の方法では、スクラップを処理する溶解工程は回分操作
とする。
【0016】しかし、晶析工程は、回分操作で実施した
場合には、浸出液を晶析器に装入し、加熱してアンモニ
アを蒸発させ、晶析完了後に生成したスラリーを冷却
し、スラリーを晶析器から取り出すという操作を1回の
晶析ごとに反復しなければならない。これは、操作が煩
雑で不安定になるだけでなく、加熱と冷却を繰り返すこ
とになるから、エネルギーの損失も大きい。また、この
操作回数を減らそうとすると、大型の晶析器が必要とな
り、設備コストが増大する。従って、本発明の方法で
は、晶析工程は、晶析を安定して効率よく行うことがで
き、エネルギー損失の少ない連続操作を採用する。
【0017】溶解工程と晶析工程で操作方式が異なるの
を調和させるために、溶解工程でスクラップから分離さ
れた浸出液を、一旦貯蔵槽に貯蔵した後、晶析工程に少
しづつ連続的に送って、連続晶析させる。こうして、溶
解と晶析の両工程を、いずれも最適の方式で効率よく実
施することができる。
【0018】次に、図1を参照しながら本発明の方法に
ついて説明する。本発明の方法で処理の対象となる、銅
を含有するフェススクラップの例としては、上述した廃
自動車、廃電気製品、機械屑などが例示される。必要で
あれば、本発明の方法により処理する前に、スクラップ
を裁断して処理に適した寸法にしておくことが望まし
い。また、モーターコイルの導線のように、スクラップ
中の銅に有機被覆 (例、エナメル被覆) が施されている
場合には、有機被覆を除去してから脱銅処理することが
好ましい。この有機被覆の除去は、スクラップを 400〜
1000℃に加熱して有機被覆を焼却することにより実施す
ることができる。
【0019】溶液調製工程においては、適当な容器内
で水にアンモニアと炭酸ガスを吸収させて、アンモニア
および炭酸アンモニウムを含有するアンモニア性水溶液
を調製する。後述するように、原料となるアンモニアお
よび炭酸ガスの大部分は、晶析工程で発生したアンモニ
アおよび炭酸ガスのリサイクルにより供給することがで
きるので、新たに補給するアンモニアおよび炭酸ガスは
必要ないか、ごく少量でよい。この水溶液には、アンモ
ニアと炭酸アンモニウムのほかに、溶解工程での浸出生
成物であるアンミン銅(II)錯体を反応促進剤として含有
させてもよい。処理溶液の濃度としては、アンモニア濃
度が 0.2〜2M、炭酸アンモニウム濃度が 0.1〜1M程
度が好ましい。
【0020】こうして調製されたアンモニア性水溶液
を、溶解工程で用いる適当な反応器に必要量だけ装入
し、この水溶液中に銅を含むフェロスクラップを酸素の
存在下で浸漬して、回分式で銅の浸出処理を行う。この
浸漬により、スクラップ中の銅は、上記(1) 式に示すよ
うに、アンモニア性水溶液および酸素と反応して、アン
ミン銅(II)錯体として選択的に溶解する。一方、スクラ
ップの主体をなす鉄は不働態化されるため、鉄の溶解は
実質的に全く起こらない。
【0021】この溶解工程は、例えば、図2に示すよ
うな反応器1を用いて回分式で実施することができる。
銅を含有するフェロスクラップ4は、必要であれば適当
な寸法に細断してから、液流通性のかご2 (図示例では
網かご) に収容して、反応器1に装入する。それによ
り、スクラップの装入と取り出しが短時間で容易に実施
できる。次いで、処理溶液として、溶液調製工程で調製
したアンモニア性水溶液3を、溶液入口13から反応器1
に所定の量だけ注入する。同時に、貯蔵槽に貯蔵されて
いる浸出液の一部を浸出液返送口12から反応器に戻すこ
とが好ましい。浸出液は銅の溶解反応で生じたアンミン
銅(II)錯体を含有しており、こうして浸出液の一部を反
応器に戻すことにより、銅溶解の反応促進剤として作用
するアンミン銅(II)錯体を処理溶液に添加することがで
きる。
【0022】反応器1には、銅の酸化溶解に必要な酸化
剤として酸素含有ガス (純酸素、空気など) を供給する
が、図示のように液の攪拌を兼ねて、ガス吹込み器5か
ら水溶液中にバブリングさせるのが望ましい。液の攪拌
は、銅の溶解反応の促進に有効である。このバブリング
には、大量のガスを必要とするので、酸素含有ガスは過
剰に吹き込み、反応器の上部空間から未反応酸素を含有
するガスを回収し、回収された酸素含有ガスをポンプ9
によりガス吹込み器5に送給することで、ガスを循環使
用することが好ましい。
【0023】酸化剤が純酸素ガスの場合には、図示のよ
うに、回収されたガスの全量を循環使用することがで
き、銅の溶解で消費された分の酸素を酸素入口10から補
給するだけで銅の溶解反応を続けることができる。従っ
て、アンモニアの揮発ロスは全く生じない。酸化剤が空
気の場合には、消費された酸素に見合う量の空気を補給
すると同時に、この補給空気中の酸素以外のガス量に相
当する量の循環ガスを系外に排出して、循環ガス量をほ
ぼ一定に保持することが望ましい。
【0024】アンモニア性水溶液中へのスクラップの浸
漬は、室温〜70℃程度の温度で行うことが望ましい。温
度が高くなりすぎると、アンモニアの揮発が激しくな
る。加熱する場合の熱源は製鉄所内の排熱を利用でき
る。この浸漬処理は、銅の溶解が実質的に完了するまで
続けることが好ましい。処理時間は、スクラップの寸
法、温度、攪拌の有無、反応促進剤であるアンミン銅錯
体の水溶液中の濃度などにより大きく変動するが、数十
分〜数時間程度である。
【0025】銅の溶解が完了したら、銅が除去されたス
クラップと、銅が溶解した浸出液とを分離する。この分
離は、例えば、反応器の底部から浸出液(銅が溶解した
溶液3)を抜き取って、必要に応じて濾過した後、貯蔵
槽に移送することにより実施できる。図2に示した反応
器1では、切替バルブ6の操作により、浸出液を浸出液
出口8を経て貯蔵槽(図示せず)に移送する。それによ
り、反応器1にはスクラップが残るので、網かご2を引
き上げれば、脱銅されたスクラップを回収することがで
きる。
【0026】しかし、このスクラップには、浸出液であ
るアンモニア性水溶液が付着しており、これをそのまま
反応器から取り出すと、付着した水溶液からアンモニア
が揮発し、周囲環境に拡散する。アンモニアガスは有毒
であり、その臭気により作業環境を悪化させる原因とな
る。そのため、浸出液から分離されたスクラップを、反
応器から取り出す前に水洗して、付着したアンモニア分
を除去する。この水洗は、洗浄水貯蔵槽 (図1参照) か
ら供給される水を、図2の反応器1に設けた洗浄水入口
11から注入することにより実施できる。次いで、アンモ
ニアを含む洗浄水を反応器底部から洗浄水出口7を経て
抜き取って洗浄水貯蔵槽に戻した後、網かごを引き上げ
て、水洗されたスクラップを反応器から取り出す。こう
して得られたスクラップは、銅含有量が著しく低下し、
高品質の鋼溶製原料となる。
【0027】図1に示すように、洗浄水貯蔵槽内の洗浄
水は、溶液調製工程においてアンモニアおよび炭酸ガ
スを吸収させる水として利用することが好ましい。それ
により、洗浄水に含まれるアンモニア分をスクラップの
処理に有効利用することができる。洗浄水貯蔵槽には、
抜取り量に相当する量の水を補給する。
【0028】水洗だけではスクラップに付着したアンモ
ニアの除去が不完全な場合には、水洗後に、さらに水蒸
気または100 ℃以上のガスを反応器内のスクラップに吹
き込み、アンモニアを完全に除去することができる。ア
ンモニア除去に用いる水蒸気またはガスは、例えば、製
鉄所から発生する水蒸気または排ガス (例、転炉排ガ
ス、高炉排ガスなど) を用いることが経済的である。こ
の水蒸気またはガスは、水蒸気入口14から反応器1に吹
き込むことができる。こうして、銅含有量が著しく低減
し、アンモニア臭のないスクラップを回収することがで
きる。このガス吹込みに伴って水蒸気出口15を経て反応
器から排出されたアンモニア含有ガスは、溶液調製工程
にリサイクルして、ガス中のアンモニア分を回収しても
よい。このように反応器内においてスクラップに付着し
たアンモニアを除去すると、スクラップの出し入れに伴
うアンモニアの揮発ロスがほとんどなくなる。
【0029】反応器から抜き取られたアンミン銅(II)錯
体を含むアンモニア性水溶液からなる浸出液は、次いで
連続処理するために、浸出液の貯蔵槽に一旦貯蔵し、次
の晶析工程に連続供給する。前述したように、貯蔵槽
内の浸出液の一部は、溶解工程での回分操作の処理開始
時に、処理溶液の一部として反応器に返送することが好
ましい。
【0030】晶析工程においては、浸出液を適当な連
続晶析装置内で加熱および/または減圧処理することに
より、アンモニアおよび炭酸ガスを蒸発させて、上記
(2) 式に示すように、アンミン銅(II)錯体を分解し、酸
化銅の結晶を析出させる。こうして生成したスラリーを
晶析装置から連続的に抜き取って、次の酸化銅の濾過・
乾燥工程に送る。
【0031】連続晶析は、一般には加熱により行うが、
フラッシュ蒸留のように減圧を利用した方法で行うこと
もでき、それにより短時間で晶析が完了するという利点
が得られる。加熱による晶析は、公知の各種の晶析装置
を用いて行うことができるが、多量のアンモニアおよび
炭酸ガスが蒸発するので、発生ガスの排出が可能な装置
を用いる必要がある。好ましい加熱手段は、水蒸気を浸
出液に直接吹き込んで加熱することである。それによ
り、製鉄所内などで発生した余剰熱を利用でき、経済的
である。
【0032】本発明の晶析工程で用いるのに適した好ま
しい連続晶析装置が、塩基性炭酸亜鉛の晶析装置として
特開平1−38045 号、同1−38046 号、同1−38047
号、同1−38048 号、同1−38049 号の各公報に記載さ
れている。これらの連続晶析装置は、いずれも蒸留塔を
含み、溶液に加熱水蒸気を直接吹き込んで晶析を行うと
いう共通の特徴を有する。蒸留塔は好ましくは複数の多
孔板またはスリット付きの棚段を有する段塔である。蒸
留塔のみで晶析を行うこともできるが、蒸留塔内で急激
に多量の晶析が起こると、晶析した酸化銅結晶が棚段に
付着して蒸留塔が閉塞することがある。そのような場合
には、特開平1−38049 号に記載されているように、蒸
留塔の前に1基以上の晶析槽を設けて、晶析のかなりの
部分を前段の晶析槽で行うことが望ましい。その場合、
最初の晶析槽に浸出液を連続供給し、加熱水蒸気は蒸留
塔の下部に直接吹き込む。蒸留塔で発生した蒸気は順次
前段の晶析槽に吹き込むようにして、浸出液と蒸気とを
向流接触させることが好ましい。こうすると、蒸留塔内
で起こる晶析量が減るので、晶析槽で晶析した結晶が蒸
留塔内に持ち込まれても、棚段を目詰まりを起こさずに
円滑に蒸留塔を運転することができる。蒸留塔の底部か
らは、酸化銅の結晶を含むスラリーが連続的に抜き出さ
れ、次の酸化銅の濾過・乾燥工程に送られる。
【0033】晶析工程では、多量のアンモニアおよび炭
酸ガスが発生する。本発明の方法の省資源化を行うため
には、晶析工程で発生したアンモニアおよび炭酸ガスを
含有する蒸気を、処理溶液の調製工程にリサイクル
し、水に吸収させることにより、溶解工程で有効利用
することが好ましい。それにより、スクラップの処理過
程でロスしたわずかな量のアンモニアおよび炭酸ガスを
必要に応じて補給するだけで、繰り返しスクラップの処
理を続けることができ、材料コストが少なくてすむ。
【0034】晶析工程から得られた酸化銅の結晶を含む
スラリーは、濾過・乾燥工程で、適当な装置により濾
過され、酸化銅の結晶を回収する。回収された酸化銅の
結晶は、通常は水洗された後、乾燥され、成品となる。
濾過により結晶から分離された水は、廃水として処理す
る。
【0035】
【実施例】実施例1 廃自動車をシュレッダーにより細断した、銅含有率0.5
重量%のフェロスクラップ (シュレッダースクラップ)
を、図1に示すプロセスによって処理した。
【0036】溶液調製工程には内容積1m3のステンレス
鋼製の容器を使用し、溶解工程には内容積1.5 m3のステ
ンレス鋼製の反応器を使用した。洗浄水および浸出液の
各貯蔵槽は、それぞれ内容積1m3のステンレス鋼製容器
であった。晶析工程には、直径150 mm、高さ4500 mm の
多孔板型の棚段蒸留塔を使用した。
【0037】溶解工程に用いた反応器は、図2に示すよ
うに、反応を促進させるため、酸化剤として用いた酸素
ガスを循環させて、底部から吹き込み、バブリングによ
り溶液を攪拌することができるようになっている。溶解
工程では、毎回0.5 トンの重量のシュレッダースクラッ
プを網かごに入れて反応器に装入し、回分操作により処
理した。溶解工程の処理手順は、反応器へのスクラップ
の装入→反応器への処理溶液の注入→酸素のバブリング
による銅の溶解→反応器から貯蔵槽への浸出液の移送→
スクラップの水洗→反応器への水蒸気の吹き込みによる
スクラップからのアンモニア除去からなり、1バッチの
所要時間がおよそ2時間であった。
【0038】溶液調製工程においては、洗浄液貯蔵槽か
ら供給された洗浄水に、晶析工程からリサイクルされた
アンモニアおよび炭酸ガスを含むガスを吸収させて、NH
3 濃度4.0 M、(NH4)2CO3 濃度2.0 Mのアンモニア性水
溶液を調製した。このアンモニア性水溶液を反応器に注
入し、同時に浸出液貯蔵槽から浸出液の一部を反応器に
返送することによって、反応器内の処理溶液 (約1m3)
は、NH3 濃度1.0 M、(NH4)2CO3 濃度0.5 M、Cu(NH3)4
CO3 濃度約1.5 Mとなるように調整した。スクラップの
処理は、溶液温度50℃、循環酸素流量1m3/minの条件下
で1.4 時間行って、スクラップから銅を溶解させた。
【0039】銅の溶解処理後、浸出液を浸出液貯蔵槽に
移送することによりスクラップから分離し、反応器内に
残ったスクラップを1m3の洗浄水で水洗した後、スクラ
ップに付着した残留アンモニアを完全に除去するため
に、温度110 ℃前後の水蒸気を流量20 kg/hrで15分間吹
き込んだ。その後、網かごを引き上げて、脱銅および洗
浄されたスクラップを回収した。このスクラップ中の銅
含有率は0.07重量%以下に低下していた (脱銅率86%以
上) 。
【0040】銅が溶解した浸出液は、浸出液貯蔵槽に一
旦貯蔵し、その一部は、前記のように、反応促進剤であ
るアンミン銅(II)錯体を処理溶液に供給するために、次
回のスクラップの処理時に反応器に返送するのに使用し
た。残りの浸出液は、貯蔵槽から15 l/hr の流量で連続
的に晶析工程に送り、上記の棚段蒸留塔を用いて、アン
モニアおよび炭酸ガスを蒸発させ、酸化銅を晶析させ
た。蒸留塔の底部から熱源として約110 ℃に加熱された
水蒸気を流量20 kg/hrで吹き込み、蒸留塔の塔頂から留
出したアンモニアおよび炭酸ガスを含む蒸気は、溶液調
製工程を経由して溶解工程にリサイクルした。蒸留塔の
塔底からは、酸化銅結晶を含むスラリーを、蒸留塔内の
液面を一定に保持するような流量で連続的に抜取って濾
過機に移送し、濾過により分離された酸化銅は、水洗お
よび乾燥後に回収した。
【0041】この方法によれば、脱銅処理されたスクラ
ップの浸出液からの分離と水洗および脱アンモニア処理
をいずれも反応器内で行うため、その間のスクラップの
出し入れがなく、アンモニアの揮発ロスが避けられた。
その上、晶析工程で発生したアンモニアおよび炭酸ガス
を完全にリサイクルすることから、アンモニアおよび炭
酸ガスを全く補給せずに、回分操作の溶解工程で40チャ
ージ分のスクラップから銅を除去することができた。
【0042】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の方法に
よれば、溶解工程をスクラップ処理に適した回分操作で
行い、得られた浸出液を一旦貯蔵槽に貯蔵してから晶析
に適した連続操作により晶析処理に付すので、溶解と晶
析のいずれをも効率的に実施することができる。また、
回分操作で晶析する場合のエネルギー損失や操業の不安
定さが解消され、晶析開始および終了時の煩雑な操作も
不要となる。処理溶液の調製に用いるアンモニアおよび
炭酸ガスはいずれも安価な材料であり、特に炭酸ガスは
製鉄所内の排ガスに多量に含まれているものを利用でき
る。
【0043】さらに、本発明の好適態様によれば、熱源
としては、製鉄所内などで発生する水蒸気を利用でき
る。また、銅の溶解処理後にスクラップを反応器内で浸
出液から分離し、水洗および脱アンモニアすることによ
って、スクラップの出し入れに伴うアンモニアの揮発ロ
スが解消され、アンモニア臭のないスクラップを回収す
ることができる。その上、晶析工程で発生したアンモニ
アおよび炭酸ガスをリサイクルすることにより、反応成
分の補給をほとんど必要とせずに、スクラップの処理を
続けることができる。
【0044】従って、本発明の方法は非常に効率的、経
済的かつ実用的であって、これによりアンモニア性水溶
液によるスクラップの脱銅処理が実用化に向けて推進さ
れるものと期待される。その結果、スクラップのリサイ
クルが促進され、同時に銅資源も有効利用されるため、
本発明は省資源に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱銅プロセスの1例を示す工程図であ
る。
【図2】本発明の方法に使用しうる脱銅装置の1例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1:反応器 2:網かご
3:処理水溶液 4:スクラップ 5:ガス吹込み器
6:切替えバルブ 7:洗浄水出口 8:浸出液出口
9:ポンプ 10:酸素入口 11:洗浄水入口 1
2:浸出液返送口 13:処理水溶液入口 14:水蒸気入口 1
5:水蒸気出口

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水にアンモニアおよび炭酸ガスを吸収さ
    せてアンモニアおよび炭酸アンモニウムを含有するアン
    モニア性水溶液を調製する工程と、該アンモニア性水
    溶液中に銅を含有するフェロスクラップを酸素の存在下
    で浸漬して、スクラップ中の銅をアンミン銅錯体として
    選択的に溶解させ、銅が除去されたフェロスクラップ
    を、銅が溶解した浸出液から分離し、水洗する溶解工程
    と、該浸出液からアンモニアおよび炭酸ガスを蒸発さ
    せて酸化銅を晶析させる工程と、晶析した酸化銅を濾
    過・乾燥する工程とからなる、銅を含有するフェロス
    クラップ中の銅の除去・回収方法であって、溶解工程
    を回分操作にて行い、得られた浸出液を一旦貯蔵槽に貯
    蔵した後、晶析工程において連続操作により晶析処理
    することを特徴とする、フェロスクラップ中の銅の除去
    ・回収方法。
  2. 【請求項2】 晶析工程で発生したアンモニアおよび
    炭酸ガスを回収し、水溶液調製工程にリサイクルする
    ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 溶解工程において、分離されたフェロ
    スクラップを水洗後、水蒸気または100 ℃以上のガスで
    処理して、スクラップに付着したアンモニアを除去する
    ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 晶析工程を、蒸留塔を含む晶析装置を
    用いて、浸出液に加熱水蒸気を直接吹き込むことにより
    行うことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに
    記載の方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008279552A (ja) * 2007-05-11 2008-11-20 Agc Seimi Chemical Co Ltd 希土類元素の回収方法

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