JPH0625759Y2 - 血液浄化装置用ハウジング - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、血液浄化装置用ハウジングに関し、さらに詳
しくは、寸法安定性に優れるとともに結合時のシール性
に優れ、軽量化を達成することができるとともに良好な
操作性を有していて、たとえば血液回路に容易かつ液密
に脱着することのできる血液浄化装置用ハウジングに関
する。

［従来の技術及び考案が解決しようとする課題］ 血液浄化装置用ハウジングは、合成樹脂により円筒体に
形成され、その一端開口部における外周面には例えば透
析液を内部に導入する導入口を設けると共に他端開口部
における外周面は例えば透析液を外部に排出する排出口
を有している。そして、この血液浄化装置用ハウジング
はその円筒体内に中空糸束を開口部近傍にて硬化性樹脂
にて固定して収容し、円筒体の開口部それぞれには、血
液導入口あるいは血液排出口を有する血液導出入部材を
装着することにより、血液浄化装置が形成される。この
血液浄化装置は、血液を前記血液導出入口から中空糸に
導入すると共に、前記導入口から透析液を血液浄化装置
用ハウジング内に導入し、中空糸を介して透析液と血液
とを向流接触させ、血液中の例えば老廃物を透析液中に
中空糸で濾過透析し、透析された血液は血液導出入口か
ら排出すると共に透析後の透析液を排出口から排出する
ことにより、血液の浄化を行うことができるように形成
されている。

このような血液浄化装置においては、前記血液浄化装置
用ハウジングにおける導入口あるいは排出口は、透析液
ラインと結合される。この結合に際し、従来では、血液
回路の受け部材に入り子関係により結合することができ
るように、血液浄化装置用ハウジングにおける導入口お
よび排出口が形成されている。

ところで、血液浄化装置等の使い捨て可能な医療器具分
野で使用するのに適した継手として所謂ハンセン継手が
ある。

このハンセン継手は、所望の流体ライン接続を形成する
ように外側入れ子部材の開口内に内側入れ子部材がシー
ル嵌合する内側および外側入れ子部材を使用するもので
ある。そして、このハンセン継手においては、外側入れ
子部材の壁を通って突出し、内側入れ子部材の外周溝に
それを保持するために嵌合するいくつかの離れて配置さ
れた金属ボールによって接続が保たれる。金属ボールは
該ボールを内側へ加圧する、外側部材上に位置する外側
スリーブにより、それらの内側へ突出した保持位置に固
定される。継手を接続および外すため、外側スリーブは
金属ボールが外側へ後退し、自由になるように軸方向へ
移動し、その位置では、内側入れ子部材は外側部材内外
へスライドし得る。

このような構造のハンセン継手における内側入れ子部材
を、血液浄化装置用ハウジングにおける導入口および排
出口に転用する場合、その導入口および排出口は、血液
浄化装置ハウジング本体から突出すると共に、外側入れ
子における金属ボールが嵌り込む外周溝を備え、しかも
その外周溝の、導入口（および排出口）の突出方向にお
ける前後において肉厚に形成されている。

しかしながら、このような形状ないし構造を有する導入
口および排出口を有する血液浄化装置用ハウジングは合
成樹脂で成形されるので、成形時の加熱状態から冷却状
態へと温度変化を受ける際に導入口および排出口におけ
る肉厚部分にヘコミ等の変形を生じることが多い。

血液浄化装置用ハウジングにおける導入口や排出口に変
形部分があると、透析液ラインと接続した場合に、液密
にシールすることができないという問題点を発生させ
る。

そこでこのような成形による変形を生じないように、肉
厚部分に溝を形成してなるハンセン継手が提案されてい
る。すなわち、特開昭５４−１５２２２１号公報によ
り、入り子関係により外側入り子部材と内側入り子部材
とを備えた入り子型継手において、前記内側入り子部材
は、該周溝と内側部材の外側部材に関して前端との間に
その該表面上にくぼんだ部分を有し、そして前記くぼん
だ部分内に、係止手段が前記くぼんだ部分内に、前記係
止手段が前記くぼんだ部分内に突出することを防止する
ような位置に位置するリブ部材を備えていることを特徴
とする継手が提案されている。

この考案された入り子型継手はくぼみを有することによ
りその分、成形時の温度変化の影響を緩和し、寸法安定
性を向上させ、あわせて軽量化を実現し、シール性の安
全化を企図しようとするものである。

しかしながら、この筒状継手部材においては、環状突起
部に形成するくぼみが部分的であるために、くぼみを形
成しない部分すなわちリブ部材は依然として比較的に肉
厚であり、成形時の温度変化による寸法の狂いを完全に
除去するものではない。しかも、前記内側入り子部材と
外側入り子部材とに位置決め手段が特に設けられていな
いので、それらを装着する際に、前記くぼみに係止手段
（たとえば金属球）が嵌り込んでしまうことがあり、外
側入り子部材と内側入り子部材との装着を円滑に行なえ
ないことがある。

本考案は前記事情に基いてなされたものである。

本考案の目的は、寸法安定性に優れ、透析液ライン等と
の結合時におけるシール性に優れ、かつ軽量化を実現す
ることができるとともに、透析液ライン等への装着を円
滑に行なうことのできる、操作性に優れた導入口あるい
は排出口を備えた血液浄化装置用ハウジングを提供する
ことにある。

［課題を解決するための手段］ 前記問題点を解決するために本考案は、血液浄化装置用
ハウジング本体の内部に中空糸束を装填すると共に両端
開口部近傍の周側面に設けられた導入口と排出口とを備
え、合成樹脂で一体成形されてなる血液浄化装置用ハウ
ジングにおいて、前記導入口および排出口それぞれが、
筒状体に形成されると共に、その筒状体の先端部外周に
その先端部外周を一周し、かつ傾斜面または円弧面から
なる環状溝を有する環状突起部を備え、前記導入口およ
び排出口を受け部材の開口部に挿入した場合に、受け部
材の抜け防止部材を保持する保持面と、受け部材の開口
部内に設けられたシール部材に密接するシール面とを前
記環状突起部に形成してなることを特徴とする血液浄化
装置用ハウジングである。

第１図に本考案の血液浄化装置用ハウジングの導入口の
一例を示す。なお、血液浄化装置用ハウジングにおける
導入口と排出口とは共に同じ形状を有するので、両者を
合わせて導出入口と称する。

第１図に示すように、本考案の血液浄化装置用ハウジン
グは、両端を開口する筒状体（図示せず）の両端近傍の
周側面にそれぞれ突設して設けられた導出入口５は、筒
状体１に、筒状体１の端部外周を一周する環状突設部２
を有する。そして、この環状突起部２には、環状突起部
２の外周を一周する環状溝３が形成されている。

前記筒状体１と環状突起部２とは、通常、樹脂の一体成
形により形成される。さらに詳しくは、円筒体とその外
周面に突設形成されると共に前記環状突起部２を有する
前記筒状体１とは、通常、樹脂の一体成形により形成さ
れる。

前記樹脂については特に制限がなく、従来より用いられ
ている樹脂の中から用途に応じて適宜に選択して用いら
れる。たとえば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポ
リメチルメタクリレート、ＡＢＳ樹脂、ＡＳ樹脂などが
好適に用いられる。

本考案の血液浄化装置用ハウジングは、前記構造の導出
入口を有するので、導出入口である筒状体の前記環状突
起部を、透析液ラインの端部に装着された受け部材の開
口部に挿入することにより、入り子関係によって受け部
材と相互に結合される。

したがって、前記環状突起部の外径は受け部材の開口部
に挿入可能な大きさである。具体的には、本考案の血液
浄化装置用ハウジングを用いて形成された血液浄化装置
を結合する透析液ラインに装着された受け部材の開口部
の内径に応じて適宜に決定すれば良い。

本考案において重要な点の一つは、前記環状突起が、前
記環状突起の外周を一周するとともに傾斜面または円弧
面よりなる環状溝を有することにある。

前記環状溝は、受け部材の開口部内に備えられている例
えば金属球などの係止手段がこの環状溝の表面を円滑に
通過させるとともに、この環状突起の軽量化を達成する
作用乃至機能を有する。

前記作用乃至機能を発揮させるためには、たとえば第１
図に示すように、前記環状溝３は中心部から両周側面に
向かう二つの傾斜面４ａ、４ｂにより構成しても良い
し、第２図に示すように、円弧面４′により構成しても
良い。

前記環状溝を傾斜面または円弧面で構成することによ
り、本考案の血液浄化装置用ハウジングと透析液ライン
とを装着するに際する良好な操作性を実現することがで
きる。

すなわち、前記環状溝を傾斜面または円弧面で構成する
と、受け部材に設けた係止手段が傾斜面または円弧面に
沿って円滑に移動することができる。

また、前記血液浄化装置用ハウジングにおける導出入口
を受け部材に装着した場合に、前記環状突起は、受け部
材に備えらえた係止部材と係合して、血液浄化装置用ハ
ウジングにおける前記導出入口が受け部材から離脱不可
能にする作用乃至機能を有する。

前記受け部材としては、外側入り子部材と内側入り子部
材とからなる「ハンセン継手」として周知の入り子型継
手の外側継手を好適に挙げることができる。

本発明の血液浄化装置用ハウジングには、前記環状突起
部に、前記導入口および排出口を受け部材の開口部に挿
入した場合に、受け部材の抜け防止部材を保持する保持
面と、受け部材の開口部内に設けられたシール部材に密
接するシール面とが形成される。

この保持面は、例えば第１図においては、傾斜面４ａと
は反対側の傾斜面であり、前記シール面は傾斜面４ｂと
は反対側の傾斜面である。第２図においては、環状溝と
は反対側の血液浄化装置用ハウジング本体に向かう面が
保持面であり、環状溝とは反対側の導入口または排出口
の先端部に向かう面がシール面である。

この保持面は、導入口または排出口を受け部材に装着し
た場合、受け部材の係止手段が当接し、前記シール面に
は受け部材におけるシール部材が密着する。

［作用］ 本考案の血液浄化装置用ハウジングは、環状溝を有する
環状突起部を備えた導出入口を有するので、透析液ライ
ンの端部に装着された受け部材に前記導出入口を挿入す
ると、受け部材に備えられた係止手段が前記環状突起の
表面によって円滑に接触し、かつ案内されるので、前記
導出入口の受け部材への装着が円滑になる。

また、血液浄化装置用ハウジングにおける導入口または
排出口を受け部材の開口部に所定位置にまで挿入する
と、前記係止手段が環状突起における保持面に当接する
と共に前記シール面に受け部材におけるシール部材が密
着することにより、導入口または排出口と受け部材との
結合が確実になると共に液密になる。

［実施例］ 本考案の一実施例について図面を参照しながら説明する
ことにより、本考案を具体的に説明する。なお、本考案
は以下の実施例に限定されるものではなく、本考案の範
囲内で適宜に変形して実施することができる。

本考案の一実施例である血液浄化装置用ハウジングを使
用した中空糸型血液浄化装置を第３図に示す。

第３図に示すように、中空糸型血液浄化装置５０におけ
るケーシング５３は、両端を開口する円筒状に形成され
た血液浄化装置用ハウジングと血液浄化装置用ハウジン
グの両端開口部に装着されたところの、血液導入口５４
を有する血液導入用蓋部材および血液排出口５５を有す
る血液排出用蓋部材とを有する。

この血液浄化装置用ハウジングは、また、その両端開口
部近傍の外周面に、透析液の導入口５１となる導出入口
５および透析液の排出口５２となる導出入口５を備え
る。

ここで、導出入口５は、血液浄化装置用ハウジングと一
体に形成されている。

血液浄化装置用ハウジング、血液導入蓋部材及び血液排
出用蓋部材の材質としては、中空糸型血液浄化装置５０
の製造工程においてケーシング５３が加圧下または減圧
下に置かれることから、耐圧強度を考慮して適宜に決定
される。そのような材質としては、たとえば、ポリカー
ボネート、ポリスチレ、ポリメチルメタクリレート、Ａ
ＢＳ樹脂、ＡＳ樹脂が好適である。さらに用途に応じ
て、他の高分子材料、金属材料を適宜に採用することも
できる。

このケーシング５３内には中空繊維束６０が装填してあ
る。なお、５６は前記中空繊維束６０を前記ケーシング
５３内で固定してこれを保持するためのスペーサであ
る。

導出入口５は、第４図に示すような構造を有する。

すなわち、導出入口５は、血液浄化装置用ハウジングに
おける円筒体の外周面における両端開口部近傍におい
て、円筒体の外周面から突出するように形成された筒状
体の先端部外周に環状突起部２を有する。

環状突起部２の外周面には、前記環状突起部２を一巡す
る凹状の円弧面からなる環状溝３が形成されている。

一方、受け部材１０は透析液ラインを形成する透析液流
通管（図示せず。）の端部において第４図に示すように
構成されている。

すなわち、この受け部材１０は、外周面における開口部
の径がボールの径よりも大きくて内周面における開口部
の径よりも小さく形成され複数のボール出没孔１１を周
側面に備えた内側円筒体１２と、前記ボール出没孔１１
に配置されたボール１３と前記内側円筒体１２の外側で
軸方向に沿って往復動可能に構成された外側円筒体１４
とを備え、その内周面で前記内側円筒体１２における内
周面に強制的に押出し、その内周面が移動して前記ボー
ル出没孔１１から退避する場合には前記ボール出没孔１
１内のボール１３が前記外周面の開口部から退避するこ
とができるようになっている。前記外側円筒体１４は、
付勢部材１５たとえばコイルスプリングにより、この外
側円筒体１４の内周面により前記ボール１３が前記ボー
ル出没孔１１からその一部を押し出すように、付勢され
ている。さらにまた、この受け部材１０は、内側円筒体
の内部にシール部材としてＯリングを装着している。

本実施例の中空糸型血液浄化装置を使用するにあたって
は、ケーシング５３に形成してある血液導入口５４およ
び血液排出口５５に血液流通管を接続するとともに導入
口５１および排出口５２に透析液流通管を接続する。な
お、この透析液流通管の先端には、前述の受け部材１０
が設けてある。

受け部材１０に導出入口５を装着する場合、先ず、受け
部材１０における外側円筒体１４を付勢部材１５の付勢
力に抗して第３図矢示方向に移動させ。これによって、
ボール１３は、ボール出没孔１１における内側円筒体１
２における内周面の開口部を出没可能となる。

この状態で、導出入口５を、前記開口部２１に所定位置
まで挿入すると、その挿入とともに、ボール１３は導出
入口５の筒状体１の外壁に接触しつつ環状溝３を乗り越
えて案内される。このとき、環状溝３は凹状の円弧面に
形成してあるので、ボール１３は滑らかに回転しつつ環
状溝３を乗り越えて案内されることになる。挿入を完了
すると、前記ボール１３は環状突起部２の外周に形成し
た環状溝３の導出入口５の端部とは反対側に向かう面で
ある環状突起部２の環状傾斜面（保持面）で係止され
る。そして、前記外側円筒面１４を前記付勢部材１５の
付勢力に従って、第３図矢示方向とは反対側に移動させ
ると、前記外側円筒体１４の内周面が前記ボール１３を
押圧して、前記ボール１３は、ボール出没孔１１におけ
る内側円筒体１２における内周面の開口部を出没不可能
になる。そして、前記ボール１３が前記環状突起２によ
り係止され、受け部材１０と導出入口５とが脱離不可能
に結合されることになる。

また、この受け部材１０に導出入口５を装着した場合、
環状突起２における先端面（シール面）が受け部材１０
における内側円筒体１２の内部に装着されたＯリングと
密着するので、導出入口５とこの受け部材１０との結合
状態における液密性が保持される。

受け部材１０と導出入口５との結合を解除するには、前
記動作とは逆の動作を行なうことにより、受け部材１０
の開口部２１から導出入口５を引き抜けば良い。

このとき、ボール１３は環状溝３の傾斜面または円弧面
から筒状体１の端部に向かって導出入口５の外壁に接触
しつつ滑らかに回転する。したがって、良好な操作性が
実現する。

［考案の効果］ 本考案によると、 (1)筒状体の外周を一周する環状突起部が環状溝を有す
るので、環状突起部を従来に比較して肉薄にすることが
できる、 (2)したがって、軽量化を達成することができるととも
に成形時の温度変化に伴う反りや変形の発生を抑制する
ことができるので、寸法安定性に優れて、結合時のシー
ル性が向上する、 (3)また、環状溝を傾斜面または円弧面により構成する
ので、係止手段の円滑な案内移動を実現することができ
て操作性に優れ、かつ結合時のガタツキがない、 (4)さらに、従来品のように環状突起部と環状溝とを筒
状体における別の部位に形成するものではないので、構
造が簡潔であり、小型化に適する、 (5)血液浄化装置用ハウジング本体の周側面に突出して
設けた導入口および排出口には、環状溝を有すると共に
保持面およびシール面を有する環状突起部を有するの
で、受け部材との装着に際し、保持面で受け部材におけ
る係止手段を係止し、シール面で受け部材におけるシー
ル部材を密着当接するので、導入口および排出口と受け
部材との結合を強固確実にすると共にそれら結合状態に
おける液密性を確実にすることができる、 等の種々の利点を有する筒状継手部材を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の血液浄化装置用ハウジングにおける導
入口もしくは排出口の一例を示す断面図であり、第２図
は同じく他の一例を示す断面図であり、第３図は本考案
の血液浄化装置用ハウジングを用いた血液浄化装置の一
例を示す断面説明図、第４図は本考案の血液浄化装置用
ハウジングにおける導入口あるいは排出口の使用状態の
一例を示す断面説明図である。 １…筒状体、２…環状突起部、 ３…環状溝、４ａ、４ｂ…傾斜面、 ４′…円弧面、５…筒状継手部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】血液浄化装置用ハウジング本体の内部に中
   空糸束を装填すると共に両端開口部近傍の周側面に設け
   られた導入口と排出口とを備え、合成樹脂で一体成形さ
   れてなる血液浄化装置用ハウジングにおいて、前記導入
   口および排出口それぞれが、筒状体に形成されると共
   に、その筒状体の先端部外周にその先端部外周を一周
   し、かつ傾斜面または円弧面からなる環状溝を有する環
   状突起部を備え、前記導入口および排出口を受け部材の
   開口部に装入した場合に、受け部材の抜け防止部材を保
   持する保持面と、受け部材の開口部内に設けられたシー
   ル部材に密接するシール面とを前記環状突起部に形成し
   てなることを特徴とする血液浄化装置用ハウジング。