JPH06248518A - 生分解性複合繊維 - Google Patents

生分解性複合繊維

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JPH06248518A
JPH06248518A JP3553793A JP3553793A JPH06248518A JP H06248518 A JPH06248518 A JP H06248518A JP 3553793 A JP3553793 A JP 3553793A JP 3553793 A JP3553793 A JP 3553793A JP H06248518 A JPH06248518 A JP H06248518A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生分解性プラスチックからなる繊維並びに繊
維製品が、一定期間中はバクテリアや微生物の分解を受
けずその強度特性を維持し、一定期間後は速やかに生分
解に至る該繊維並びに繊維製品を得んとするもの。 【構成】 生分解性のポリマーからなる成分と、光分解
剤並びに抗菌剤を含有して光分解性並びに抗菌性とした
生分解性ポリマーからなる成分とが複合されてなる複合
繊維において、後者成分が繊維表面の少なくとも1/1
0以上を占めるように複合してなる生分解性複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自然崩壊性に優れた繊維
並びに繊維製品に関するものであり、それが使用中は十
分な繊維特性を有し、自然界に置かれたとき一定時間の
経過と共に速やかに崩壊し生分解する繊維並びに繊維製
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック類は、本来、天然素材が持
つさまざまな欠点を改良し克服するために主としてその
使用時、製造時の特性が改良されて、現在では、それら
は人々の生活を豊かなものとし、日常生活になくてはな
らないものになって来ている。しかしながらこれらプラ
スチック製品は天然物のように自然に返らないものであ
り、これまではその使用後の処理、特にそれが地球へ与
える悪影響についてはなおざりにされて来たと言わざる
を得ない。例えば、テグス、ロープ、網や漁網などの合
成繊維製品は、それが使用後そのまま海や山野に放置さ
れると鳥や海洋生物に絡み付き、それらを殺傷すること
となるのである。これら問題を解決するために、焼却や
埋め立て、さらには回収再生も行われているが、これら
の処理には多大の費用を要するため、またその使い捨て
製品の膨大な増加により、処理が追い付かず、また埋め
立て地がなく、地球環境に重大な影響を及ぼすところま
で来ている。このような状況下にあって、近年、自然環
境のなかでバクテリアや微生物によって分解されて自然
に返る高分子材料、すなわち生分解性プラスチックが急
速に注目されるようになって来た。
【0003】本発明は、この生分解性プラスチックをよ
り有効に利用する発明に関するものであり、繊維並びに
繊維製品の使用中は十分な特性を有し、使用廃棄後は自
然界で一定期間が過ぎると自然に崩壊し、生分解して環
境汚染を起こさない該繊維並びに繊維製品を得んとする
ものである。
【0004】ところで、自然に返すことを容易にするた
めに単に生分解性繊維を用いるのでは、その使用前ある
いは使用中から既に生分解が始まり、強力が低下してし
まうので、繊維製品としては不都合である。特に現在得
られている生分解性プラスチックからなる繊維は、産業
資材用途に用いられる繊維形成用ポリマーの如き高い機
械的特性を現在のところ持ちあわせておらず、したがっ
て使用前あるいは使用中での物性低下はより問題であ
る。即ち、この種繊維並びに繊維製品としては、少なく
とも使用中の一定期間までの間はバクテリアや微生物に
よる生分解を受けないように設計することが必要となる
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、この
種の生分解性プラスチックからなる繊維並びに繊維製品
が、一定期間中はバクテリアや微生物の分解を受けずそ
の強度特性を維持し、一定期間後は崩壊を始めてその形
態を解体し、生分解に至る該繊維並びに繊維製品を得ん
とするものであり、したがって、そのための繊維として
はいかに設計するかにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題は以下のよう
に構成することによって達成される。すなわち、本発明
は、「生分解性のポリマーからなる成分と、抗菌剤を含
有する光分解性ポリマーからなる成分とが複合されてな
る複合繊維において、後者成分が繊維表面の少なくとも
1/10以上を占めるように複合してなる生分解性複合
繊維。」であり、また「抗菌剤を含有しない光分解性ポ
リマーが前者の生分解性ポリマーを実質的に100%覆
っている複合繊維」である。
【0007】即ち、このような構成とすることによっ
て、ポリマー成分(B)の光分解による一定期間後の崩
壊、脱落までは、ポリマー成分(A)の生分解を阻止ま
たは分解を遅らせ、ポリマー成分(B)の崩壊、脱落後
は、生分解性ポリマー成分(A)のみとなるので、これ
がバクテリアや微生物による生分解を受けやすくなるよ
うになしたものである。本発明においてポリマー成分
(A)の分解性コントロールはポリマー成分(B)に抗
菌剤を配合しておくことにより達成され、また、抗菌剤
を配合させておかなくても成分(A)が成分(B)によ
って実質的に覆われていることで達成され、特に優れた
機械的特性が要求される場合は後者の態様が望まれる。
【0008】図1は本発明の繊維の典型的な例を説明す
るための模式的な断面図であり、生分解性ポリマー成分
(A)1からなる芯成分の周りを、光分解性ポリマー成
分(B)2からなる鞘成分が取り囲んでいる芯鞘型複合
形態を示す。また図2は、本発明の繊維の他の複合構造
を説明するための模式的な断面図例であり、ここでは、
生分解性ポリマー成分(A)1とポリマー成分(B)2
とはその断面が芯鞘型形態とはならず、一種の張り合わ
せ構造(サイド・バイ・サイド構造)となった複合形態
を示す。図1、図2、いずれの形態においても、生分解
性ポリマー成分(A)1は、該生分解性ポリマー成分
(A)の生分解を妨げる作用を有するポリマー成分
(B)2が近接共存しているか、成分(B)により実質
的に覆われているので、該ポリマー成分(B)2の光分
解による崩壊、脱落が生ずるまでの一定期間は生分解性
ポリマー成分(A)の生分解が阻止され、該複合繊維は
その機械的特性が高く保たれ、該ポリマー成分(B)2
の崩壊、脱落に伴い抗菌剤が脱落すると、ポリマー成分
(A)1は急速に生分解が進むこととなるものである。
なお、図1、図2の断面形態は、要は、生分解性ポリマ
ー成分(A)1の生分解を妨げる作用を有する他のポリ
マー成分(B)2が近接共存しておればよいことを示す
ものであり、図1、図2の断面形状に限定されない。即
ち、繊維形状は円形断面に限られず、異形断面であって
もよく、またサイド・バイ・サイド構造の場合であって
もよいことは無論である。
【0009】生分解性プラスチックを得る手段として
は、現在大きく分けて3つの方法がある。すなわち、そ
の第1は微生物機能を利用する方法で、例えば、ポリヒ
ドロキシブチレートとバリレートとの共重合体や多糖類
からのポリマーがあり、その市販品としては、例えば、
製品名バイオポール(英国ICI社製)がある。またそ
の第2は化学合成法による方法であり、ポリカプロラク
トン、脂肪族系ポリエステル、ポリ−γ−メチルグルタ
メート、ポリ乳酸、ポリグリコリドなどがあり、その市
販品としては、例えば、製品名プラクセル(ダイセル化
学社製)、同ビオノーレ(昭和高分子社製)などがあ
る。またその第3は天然高分子を利用する方法であり、
例えば天然物を主体としたキトサンとセルロースとの混
合物、デンプンとポリビニルアルコールとの混合物、デ
ンプン主体のポリマーがあり、その市販品としては、例
えば、製品名マタービー(伊ノバモント社製)などがあ
る。本発明における生分解性のポリマー成分(A)、
(B)としては、これらいずれの方法によるポリマーを
も用いることが出来る。
【0010】この内でも特に、融点が比較的高い(50
〜130℃)数平均分子量が5,000以上の脂肪族ポ
リエステルが好ましく用いられる。このようなポリマー
としては、炭素数が4〜10である脂肪族ジカルボン酸
と炭素数が2〜6であるジオールから重縮合して得られ
るポリエステルや、これらのポリエステルにジイソシア
ネートを反応させて得られるポリマーである。該脂肪族
ポリエステルは、その適当な強度を有する繊維とするた
めには、その数平均分子量が5,000以上のものが必
要であるが、より好ましくは10,000以上、さらに
は40,000以上がより好ましい。
【0011】ポリマー成分(B)は、光分解性を有して
いればポリマーに光分解性を配合したものやポリマー自
身が光分解性であるものなど、特に限定されない。
【0012】ポリマー成分(B)は、溶融紡糸が可能で
繊維形成性を有する通常の公知のポリマーを用いること
が出来る。そのようなポリマーとは、例えば、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リヘキサメチレンテレフタレートなどの炭素数が2〜8
のアルキレン基を有するポリアルキレンテレフタレート
やこれらにイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノール類のア
ルキレンオキシド付加物あるいはその縮合物などを共重
合したポリアルキレンテレフタレート共重合などのポリ
エステル、6−ナイロン、66−ナイロン、610−ナ
イロン、109−ナイロン、11−ナイロン、12−ナ
イロン、などのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、エチレン共重合体などのポリオレフィンなど、熱
可塑性重合体を挙げることが出来、これら重合体の1種
類または2種類以上のそれを適宜組み合わせて使用する
ことが出来る。但し、これらを使用する場合は後述の光
分解剤を配合する必要がある。一方、ポリジヒドロフラ
ンなど光により自己崩壊性を呈すポリマーは分解剤を配
合しないで使用できる。また、抗菌剤が配合されるので
あればポリマー(B)が生分解性を有していてもよい。
【0013】光分解性あるいは光劣化性とするための光
分解剤としては、二酸化チタンや酸化亜鉛などの無機物
やポリエチレングリコールやその誘導体などの有機化合
物があるが、これに限定されるものではない。
【0014】ここで、ポリマー成分(B)としてポリエ
ステル系ポリマーを使用し該成分(B)を光分解性とす
る場合について、より詳しく説明する。この場合、ま
ず、ポリエステルとしては、ジエチレングリコール、ポ
リアルキレングリコールなどをポリエステル主鎖中に導
入したものを用いるとその分解性を向上させることがで
き、該ポリエステルの主鎖を形成するエーテル結合の数
がエステル結合の数の10%以上、さらには20%以上
含有されているようにすることが好ましい。また該ポリ
エステル系ポリマーの光分解を促進させるための分解
剤、即ち紫外線を吸収して活性化される無機物の具体例
としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸
化ジルコニウムなどが挙げられ、その内でも二酸化チタ
ン、酸化亜鉛がより好ましい。これら光分解剤はポリエ
ステルポリマーに対して、金属換算で2重量%以上含有
させることが好ましく、より好ましくは4重量%以上で
ある。
【0015】芯鞘型複合形態とする場合、ポリマー成分
(B)の繊維断面での厚みは0.5〜30μm程度が好
ましい。0.5μm未満ではその被覆層としての厚みが
不十分で、一定期間繊維としての良好な機械的特性を維
持させるためには好ましくない。また逆に30μmを越
える厚みとなるとポリマー成分(B)のスムーズな崩
壊、脱落を遅くあるいは困難とすることとなるので好ま
しくない。1〜10μmがより好ましい。
【0016】なおここで、繊維がその機械的特性を十分
に維持する本明細書で言う“一定期間”とは、その繊維
用途によってその使用すべき時間(期間)に大きく巾が
あるので一概には規定できないが、例えば農業用資材分
野の用途では、その使用(即ち太陽光照射を受ける期
間)は少なくとも6カ月程度十分に強度維持が出来れば
よく、また作業用手袋などの用途では、使用から廃棄に
至るまでの太陽光による直接照射時間は永くなく、せい
ぜい200時間程度特性維持が出来ればよい。即ち本発
明においては、その繊維用途によって特性の維持期間も
異なってくるので、その用途にしたがってポリマー素材
の選定、繊維構造並びに上記(被覆層)厚み等を適宜選
択すべきである。
【0017】本発明においては、抗菌剤を練り込んだポ
リマー成分(B)が繊維表面の少なくとも1/10以上
を占めるように複合させればよいことを見いだしたもの
であるが、ポリマー成分(B)が繊維表面の少なくとも
1/10未満では、含有する抗菌剤のポリマー成分
(A)のバクテリアや微生物による分解を阻止できず好
ましくない。好ましくは1/5以上、より好ましくは1
/4以上がよい。但し、ポリマー成分(B)がポリマー
成分(A)を実質的に被覆するような形態においてはポ
リマー成分(B)に必ずしも抗菌剤が配合されている必
要はない。
【0018】ポリマー成分(B)に練り込む抗菌剤は、
これも特に限定されるものではない。例えば、第4級ア
ンモニウム塩、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾ
ール、N(フルオルジクロルメチルチオ)−フタルイミ
ド、プレベントールA−4(バイエル社)などの農薬や
抗菌剤などが使用でき、また、銀、銅、アルミニウム、
亜鉛、鉄、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、タ
リウムなどから選ばれた1種以上の金属またはその化合
物粒子も用いることが出来るが、安全性を十分考慮して
選択することが肝要である。抗菌作用を効率的かつ長期
的に持続させるために、前記金属の2種以上の使用は互
いにそのイオン化傾向の異なるものを用いることが好ま
しい。また前記金属をゼオライト、アルミナ、コージラ
イト、シリカゲルなどのセラミック系微粒子にイオン交
換させた該金属イオン担持微粒子を用いることも出来
る。
【0019】これら金属粒子あるいは該金属イオン担持
セラミック系微粒子は、ポリマー中への練り込みのため
には、いずれもその平均粒子径が0.05〜5μm程度
に粉砕されたものを用いることが好ましい。粒径が大き
いものは、紡糸時にフィルター詰まりや毛羽、断糸を起
こし易く、また延伸時の糸切れも多くなるので好ましく
ない。従って平均粒子径は3μm以下のものを用いるこ
とがより好ましい。
【0020】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに具体的に
説明する。 実施例1、実施例2: 《ポリマー(A)の製造》酸成分としてコハク酸を、グ
リコール成分としてブタンジオール1.4を用い、常法
によりエステル化並びに重縮合を行ってポリエステルを
合成し、さらにこれにヘキサメチレンジイソシアナート
を反応させて数平均分子量48、700、融点約120
℃の高分子量化された脂肪族ポリエステルを得た。 《ポリマー(B)の製造》エチレンテレフタレートにイ
ソフタール酸を加えて、常法により、後者が15モル%
共重合した固有粘度[η]=0.55の共重合ポリエス
テルを得た。
【0021】《繊維並びに布帛の製造》芯成分には上記
脂肪族ポリエステルのチップを用い、また鞘成分として
は上記共重合ポリエステルに光分解剤としての二酸化チ
タンを3%混合したチップを用い、これらを2系統の溶
融系を持つ芯鞘型複合紡糸機を用いて、複合比1:1、
紡糸温度190℃、巻取速度700m/分で溶融紡糸を
行った。次いでこの紡出糸条を延伸温度50℃で4倍に
延伸し、繊度3d、強度3g/d、伸度25%の芯鞘型
複合繊維からなるフィラメント繊維を得た。この繊維の
鞘成分の厚みは2μmであった。また上記延伸糸に捲縮
を付与し、熱固定を行い、さらに繊維長51mmに切断
してステープル繊維を作った。またこのステープル繊維
を用いて常法により目付け50g/m2の平織物を作っ
た。
【0022】《繊維並びに布帛形態での崩壊速度の実
験》上記フィラメント繊維と、上記平織物とを用い、こ
れからなる多数の試料を用意して各々夏季に農耕地上に
放置し、その間視観察と共に、一定期間ごとでの各々の
強力保持率を測定した。(前者使用の場合を実施例1、
後者使用の場合を実施例2とする。) 実施例1の場合、一部試料を2カ月後でその強力保持率
を測定したところ、強力保持率は95%とその低下があ
まり認められなかった。他のそのままにしておいた試料
は、ほぼ4カ月前後でそのフィラメント表面の崩壊が始
まり、実験開始から8カ月後での強力保持率は30〜4
0%となり、すでに芯成分のバクテリアや微生物による
分解が始まっていることが観測された。また実施例2の
場合も、一部試料の2カ月後での強力利用率は90%で
当初からの低下はあまり認められなかった。しかし他の
そのままにしておいた試料の表面側は同じくほぼ4カ月
前後で繊維表面の崩壊が始まり、実験開始から8カ月後
では、裏面側(地面側)の崩壊が表面側のそれより若干
遅いと観測されるものの、強力保持率は10〜30%と
なった。
【0023】実施例3: 《ポリマー(A)の製造》実施例1、2で作った前記ポ
リマーを用いた。 《ポリマー(B)の製造》これも上記実施例1、2で作
った共重合体ポリエステルを用い、これに前記二酸化チ
タン3%と、さらに本例の場合抗菌剤としての銀イオン
担持ゼオライト微粒子(平均粒子径1μm)を混入した
ポリエステルとして用いた。
【0024】《繊維並びに布帛(作業用手袋)の製造》
上記脂肪族ポリエステル(A)のチップと、また上記共
重合ポリエステル(B)のチップとを用い、これらを2
系統の溶融糸を持つ複合紡糸機を用いて、複合比1:
0.3、紡糸温度190℃、巻取速度650m/分で、
図2(a)で示される断面形状のサイド・バイ・サイド
型複合繊維の溶融紡糸を行った。次いでこの紡出糸条を
延伸温度50℃で4倍に延伸し、捲縮を付与し、熱固定
を行ない、さらに繊維長51mmに切断して、繊度2
d、強度3g/d、伸度20%の上記サイド・バイ・サ
イド型ステープル繊維を作った。またこのステープル繊
維からなる紡績糸を用いて常法により作業用手袋を作っ
た。
【0025】《作業用手袋の崩壊速度の実験》試料とし
ての上記作業用手袋の多数を用意して各に夏季に農耕地
上に放置し、その間目視観測と共に、一定期間ごとでの
各々の強力保持率を測定した。一部試料を2カ月後でそ
の強力保持率を測定したところ、強力保持率は90%と
その低下があまり認められなかった。他のそのままにし
ておいた試料の表面側はほぼ4カ月前後で繊維表面の崩
壊が始まり、実験開始から8カ月後では、表面側(地面
側)の崩壊が表面側のそれより若干遅いと観測されるも
のの、強力保持率は40〜50%となった。
【0026】実施例4、実施例5: 《ポリマーの製造》実施例1、2で作った前記ポリマー
を用いた。
【0027】《繊維並びに布帛の製造》芯・鞘両成分に
は共に上記脂肪族ポリエステルのチップを用いるが、鞘
成分には更に光分解剤としての二酸化チタンを4%と、
抗菌剤としての銀イオン担持ゼオライト微粒子(平均粒
子径1μm)1%とを混合したチップとし、これらを2
系統の溶融系を持つ芯鞘型複合紡糸機を用いて、複合比
1:1、紡糸温度185℃、巻取速度650m/分で溶
融紡糸を行った。次いでこの紡出糸条を延伸温度60℃
で3.9倍に延伸し、繊度3.5d、強度3.3g/
d、伸度23%の芯鞘型複合繊維からなるフィラメント
繊維を得た。この繊維の鞘成分の厚みは1.5μmであ
った。また上記延伸糸に捲縮を付与し、熱固定を行な
い、さらに繊維長51mmに切断してステープル繊維を
作った。またこのステープル繊維を用いて常法により紡
績糸を得、常法により目付け100g/m2の平織物を
作った。
【0028】《繊維並びに布帛形態での崩壊速度の実
験》上記フィラメント繊維と、上記平織物とを用い、こ
れらからなる多数の試料を用意して各々夏季に農耕地上
に放置し、その間目視観察と共に、一定期間ごとでの各
々の強力保持率を測定した。(前者使用の場合を実施例
4、後者使用の場合を実施例5とする。) 実施例4の場合、一部試料を2カ月後でその強力保持率
を測定したところ、強力保持率は90%とその低下があ
まり認められなかった。他のそのままにしておいた試料
は、ほぼ4カ月前後でそのフィラメント表面の崩壊が始
まり、実験開始から8カ月後での強力保持率は0〜40
%となり、すでに芯成分のバクテリアや微生物による分
解が始まっていることが観測された。また実施例5の場
合も、一部試料の2カ月後での強力利用率は90%で当
初からの低下はあまり認められなかった。しかし他のそ
のままにしておいた試料の表面側は同じくほぼ4カ月前
後で繊維表面の崩壊が始まり、実験開始から8カ月後で
は、裏面側(地面側)の崩壊が表面側のそれより若干遅
いと観測されるものの、強力保持率は30〜40%とな
った。
【0029】実施例6: 《ポリマーの製造》実施例4、5で作った前記ポリマー
を用いた。 《繊維並びに布帛(作業用手袋)の製造》実施例4、5
で作った脂肪族ポリエステルの両チップを用い、これら
を2系統の溶融系を持つ複合紡糸機を用いて、複合比
1:0.3、紡糸温度190℃、巻取速度640m/分
で、図2の(a)で示される断面形状のサイド・バイ・
サイド型複合繊維の溶融紡糸を行なった。次いでこの紡
出糸条を延伸温度45℃で4倍に延伸し、捲縮を付与
し、熱固定を行ない、さらに繊維長51mmに切断し
て、繊度3d、強度2.5g/d、伸度23%の上記サ
イド・バイ・サイド型ステープル繊維を作った。またこ
のステープル繊維からなる紡績糸を用いて常法により作
業用手袋作った。
【0030】《作業用手袋の崩壊速度の実験》試料とし
ての上記作業用手袋の多数を用意して各々夏季に農耕地
上に放置し、その間目視観察と共に一定期間ごとでの、
各々の強力保持率を測定した。一部試料を2カ月後でそ
の強力保持率を測定したところ、強力保持率は95%と
その低下があまり認められなかった。他のそのままにし
ておいた試料の表面側はほぼ4カ月前後で繊維表面の崩
壊が始まり、実験開始から8カ月後では、裏面側(地面
側)の崩壊が表面側のそれより若干遅いと観測されるも
のの、強力保持率は30〜40%となった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、生分解
性のポリマー成分(A)を、特定のポリマー成分(B)
で少なくとも一部を被覆した複合繊維とすることによ
り、使用中の一定期間まではその機械的特性を十分に維
持して使用でき、しかし一定期間が経過すると、複合の
一成分(B)が光照射による分解を受け、崩壊し、脱落
に至り、それにより生分解性のポリマー成分(A)は以
後バクテリアや微生物による分解を容易に受け、繊維と
して急速に崩壊、分解を受けることとなるものである。
従って本発明の繊維並びにこれからなる繊維製品は、自
然界に放置されたとき、一定期間後にはその形態を崩壊
させ、かつ最終的にも生分解されるものであるので、そ
の繊維あるいは繊維製品の形態、特性がいつまでも残る
ことによる自然界への悪影響が回避できるものである。
このような本発明の繊維並びに繊維製品は、タバコフィ
ルター材、種まきシート、防草シート、作業用シート、
ベタガケ材、食品用トレーや簡易弁当箱、食品包装材、
車輌用シート、天井材、衛材等の用途に用いるのに極め
て好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明複合繊維の模式的な断面図例である。
【図2】本発明複合繊維の他の複合形態を示す模式的な
断面図例である。
【符号の説明】
1 生分解性ポリマー成分(A) 2 光分解性ポリマー成分(B)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 6/62 306 V 7199−3B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生分解性のポリマーからなる成分と、抗菌
    剤を含有する光分解性ポリマーからなる成分とが複合さ
    れてなる複合繊維において、後者成分が繊維表面の少な
    くとも1/10以上を占めるように複合してなる生分解
    性複合繊維。
  2. 【請求項2】光分解性ポリマーが抗菌剤を含有しておら
    ず、かつ実質的に繊維表面の100%を占有している請
    求項1に記載の複合繊維。
  3. 【請求項3】光分解性ポリマーが生分解性を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合繊維。
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