JPH06245670A - トランスジェニック動物 - Google Patents

トランスジェニック動物

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JPH06245670A
JPH06245670A JP5055240A JP5524093A JPH06245670A JP H06245670 A JPH06245670 A JP H06245670A JP 5055240 A JP5055240 A JP 5055240A JP 5524093 A JP5524093 A JP 5524093A JP H06245670 A JPH06245670 A JP H06245670A
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animal
gene
cells
cell
embryo
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JP5055240A
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English (en)
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Kiyotsugu Tanaka
亀代次 田中
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】色素性乾皮症遺伝子が機能しないように改変さ
れたホモ接合体の改変色素性乾皮症遺伝子を有すること
を特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動物、およ
びトランスジェニック非ヒト哺乳動物の作成方法におい
て、ES細胞の動物胚への注入が、8細胞期胚に透明帯
を除去せずに行うことを特徴とするトランスジェニック
非ヒト哺乳動物の作成方法。 【効果】本発明のトランスジェニック動物は、遺伝子異
常に起因する実際のヒトの病気を反映した発ガンモデル
動物として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は相同組換えにより破壊さ
れた改変色素性乾皮症遺伝子を有するトランスジェニッ
ク動物、その動物又はその動物由来の体細胞を用いた変
異原物質、発ガン物質または制ガン物質の試験方法、そ
の動物にガンを発生させたヒト疾患モデル動物、その動
物に遺伝子疾患を発生させた遺伝子治療の実験モデル動
物および該トランスジェニック動物の作成方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】従来の変
異原物質、発ガン物質および制ガン物質に関する試験方
法としては、一般に以下のようなものが知られている。 (i)細胞レベルの評価系 Amesおよび共同研究者ら(Amesら、Mut. Res.,
31, 347-364 (1975))は、化学物質を肝抽出物とインキ
ュベートした後、その化学物質でSalmonella typhimuri
um菌を処理することにより、制限条件下でのみ生育でき
る細菌の復帰変異頻度をアッセイすればその化学物質の
変異原性を解析することができることを報告している。
【0003】また、変異原物質または発ガン物質を検出
するために現在用いられている他の方法には、培養中の
哺乳動物細胞における突然変異を選択する方法がある。
Hsieらは、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CH
O細胞)を変異原物質で処理し、特異誘発を適当な培地
で選択して、変異原性および発ガン性の指標としている
(Hsieら、in Strategies for Short-Term Testing
for Mutagens/Carcinogens, Butterworth編、CRC Pres
s, FL (1979)) 。
【0004】しかしながら、生体における発ガンが、イ
ニシエーション・プロモーションと呼ばれている多段階
のステップによって形成されることを考えると(フォウ
ルズ(L. Foulds), Cancer Res, 14,327 (1954); Neopl
astic Development (Academic press, New York, 196
9); ペト(R. Peto), in Origines of human cancer, H.
H. Hiatt, J. D. Watson, J. A. Winsten, Eds. (Cold
Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY,
1977), pp1403-1428; ヌッドソン(A. G. Knudson, J
r., ibid., pp45-52.) 、これらの方法では生体におけ
る変異原性、発ガン性を真に見きわめることは困難であ
る。
【0005】現在、最も典型的な制ガン剤の評価系とし
ては、Leukemia L1210, Sarcoma180などの腫瘍細胞を用
いて、その細胞の増殖抑制を評価する方法が知られてい
る。しかしながら、これらの系においては、自然に発症
するガンに対して試験物質の制ガン効果を評価している
ものではなく、この点からさらに適切な制ガン剤の評価
系が望まれている。
【0006】(ii)トランスジェニック動物を用いた評
価系 最近、トランスジェニック動物を用いて、発ガン物質を
検出する方法が報告されている。即ち、既に活性化され
た腫瘍遺伝子を有するトランスジェニック動物を用いる
もの(レダーとステュアート,特開昭61−81743
号公報)およびヒトガン遺伝子を導入したトランスジェ
ニックマウスを用いるもの(勝木、特開平3−1873
77号公報)等が報告されている。トランスジェニック
マウスを利用した発ガンの研究に関してはハナハンの総
説に詳しく報告されている(ハナハン(D. Hanahann),
Science, 246, 1265 (1989))。しかしながら、これらの
例は、動物に導入した遺伝子が発現して機能することを
利用したものであり、実際のヒトの病気を反映したモデ
ル動物ではない。
【0007】以上まとめると、変異原物質、発ガン物
質、および制ガン物質に関する従来の細胞レベルの評価
系では、ガンの多段階発現の観点から問題がある。ま
た、トランスジェニック動物を用いた評価系では活性化
された外来遺伝子を利用するものであり、実際のヒトの
病気を反映した発ガンモデル動物とはなっていないとい
う問題がある。このようなことから、変異原性、発ガン
性または、制ガン活性を試験するための有用な評価系の
確立は、産業上極めて重要な課題となっている。
【0008】ところで、実際のヒトの病気を反映した発
ガンモデル動物として利用するために、発ガンに関連す
る遺伝子を破壊して不活性化する事を利用した例とし
て、ガン抑制遺伝子の発現を欠如させたトランスジェニ
ックマウスに関する記載(ウエン−ホウア、特表平3−
505675号公報)がある。しかしながら、この報告
は網膜芽細胞腫(Retinoblastoma) のガン抑制遺伝子の
発現を抑制するものであり、それによって発ガンする部
位は網膜等に限定される可能性があり、それ以外の部位
のガンの発ガン性、制ガン活性を広く評価することは困
難である。
【0009】一方、色素性乾皮症(Xeroderma Pigmento
sa:XP)は、DNA修復機構に異常を持つ常染色体劣性
遺伝病で、4万人〜25万人に1人の割合で発症する。
本疾病では、紫外線露出部位に正常人よりも数千倍の高
頻度で皮膚ガンを発生する。皮膚ガン以外の臓器ガン
も、正常人に比べ10〜20倍高頻度に発生し、また進
行性の知能低下、小頭症、神経性難聴、小脳性運動失
調、神経原性筋萎縮等種々の精神神経症状を臨床的特徴
とする。従って、色素性乾皮症遺伝子の機能が抑制され
たトランスジェニック動物を提供することができれば、
実際のヒトの病気を反映した発ガンモデル動物としてき
わめて有用であり、皮膚ガンをはじめ、それ以外の部位
のガンの発ガン性、制ガン活性等の評価に利用すること
が可能となる。さらに、進行性の知能低下、小頭症、神
経性難聴、小脳性運動失調、神経原性筋萎縮等種々の精
神神経症状の治療のためのスクリーニング研究等に利用
することが可能となる。
【0010】XPはDNA修復の初期ステップに異常を
持つことが示唆されていた。しかし、長らく原因となる
遺伝子のクローニングは成功せず、その分子レベルでの
異常は不明のままであった。しかも、細胞融合を用いた
遺伝的相補性テストにより、XPにはA〜G群それにバ
リアントと呼ばれる計8つの相補性群が知られており、
それぞれに対応するXP遺伝子が存在すると考えられて
いる。XPは、XP遺伝子が機能しないためDNA修復
のタンパクが発現せず、そのため色素性乾皮症を発症す
ると考えられる。XP患者の大部分はA,C,D群に属
するが、日本ではA群、欧米ではC群が多い。最近にな
り、本発明者らによりA群のXP遺伝子(XPAC遺伝
子)が単離された(田中ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA., 86, 5512 (1989))。また、Weeda らにより、B群
のXP遺伝子も報告されている(Weedaら、Cell, 62, 77
7 (1990)) 。
【0011】色素性乾皮症遺伝子の機能が抑制されたト
ランスジェニック動物を作成する試みは、本発明者らに
よりその初期的な報告が既になされている。即ち、本発
明者らは、XPのA群の遺伝子(XPAC遺伝子)のク
ローニングを行い、遺伝子標的導入によるA群XPモデ
ルマウスを作成するために、マウスゲノムの第3から第
4エクソンの領域にMClneoとHSV−tkを含む
ターゲッティングベクターを構築し、これをマウス胚盤
胞由来の胚幹(ES)細胞に電気穿孔法で導入した。そ
して選択薬剤としてG418とGANCを用いた二重選
択法により、XPAC遺伝子における相同組換え体を取
得し、これを8細胞期胚に注入して生殖系列のキメラマ
ウスの作成を試みていることを既に報告している(第3
6回日本人類遺伝学会大会、1991年;第14回分子
生物学会年会、1991年)。しかしながら、生殖系列
のキメラマウスの作成は常法による操作では極めて困難
であり、目的とするトランスジェニック動物の作成は成
功するに至っていないのが実情であった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。即
ち、本発明の要旨は、(1)色素性乾皮症遺伝子が機能
しないように改変されたホモ接合体の改変色素性乾皮症
遺伝子を有することを特徴とするトランスジェニック非
ヒト哺乳動物、(2)前記(1)記載の動物由来の体細
胞、(3)前記(1)記載の動物よりなる、又は該動物
に色素性乾皮症遺伝子の欠損に基づく遺伝子疾患を発生
させてなることを特徴とする、色素性乾皮症遺伝子の欠
損に基づく疾患の治療の実験モデル動物、(4)前記
(1)記載の動物よりなる、又は該動物にガンを発生さ
せてなることを特徴とするヒト疾患モデル動物、並びに
(5)色素性乾皮症(XP)遺伝子を特異的に破壊する
ターゲッティングベクターをES細胞に導入する工程、
相同組換えによりXP遺伝子が破壊された改変遺伝子を
有するES細胞を単離する工程、単離されたES細胞を
動物胚へ注入し仮親の子宮に移植して生殖系列のキメラ
動物を得る工程、及び該キメラ動物を正常な動物と交配
させてヘテロ接合体を得、該ヘテロ接合体同士を交配さ
せてホモ接合体を得る工程を有するトランスジェニック
非ヒト哺乳動物の作成方法において、該ES細胞の動物
胚への注入が、8細胞期胚に透明帯を除去せずに行うこ
とを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動物の作
成方法に関する。
【0013】本明細書において、トランスジェニック動
物とは、生殖系に導入された外来遺伝子を含有するヒト
以外の哺乳動物をいう。このような動物としてはマウ
ス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ブタ等が挙
げられマウス、ラット等のゲッ歯動物が好ましい。生殖
系列のキメラ動物とは、精子あるいは卵子においてキメ
ラ形成の認められる動物を意味する。また、本発明にお
いて改変色素性乾皮症遺伝子とは、色素性乾皮症遺伝子
の一部が外来遺伝子の挿入により破壊され、色素性乾皮
症遺伝子が機能しないように改変された遺伝子をいい、
ホモ接合体の改変色素性乾皮症遺伝子とは、両方の対立
遺伝子がそのような破壊された改変遺伝子であることを
意味する。このような色素性乾皮症遺伝子の破壊は、タ
ーゲッティングベクターによる相同組換えにより行うこ
とができ、挿入される遺伝子としてはネオマイシン耐性
遺伝子、ハイグロマイシンB耐性遺伝子等が好適に使用
される。このような遺伝子の色素性乾皮症遺伝子上の挿
入部位は、挿入により色素性乾皮症遺伝子の機能が破壊
される部位が選択される。本発明において対象とされる
色素性乾皮症遺伝子としては、前記のような8つの相補
性群のいずれでもよいが、A群XP患者の臨床症状が他
の相補性群XPに比して強いこと、A群XP遺伝子の発
現が全くなくても患者は致死的ではないことから、例え
ばA群のXP遺伝子(XPAC遺伝子)が好適な例とし
て挙げられる。
【0014】本発明の改変色素性乾皮症遺伝子を有する
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を作成するには、次
のステップが必要である。 (1)まず、色素性乾皮症遺伝子(XP遺伝子)を同定
しクローニングする。 (2)この遺伝子の機能を抑制するためにその遺伝子を
特異的に破壊した改変遺伝子を含むターゲッティング機
能ベクターを構築する。 (3)このターゲッティングベクターを発生学的に全能
性をもつ未分化な細胞であるES細胞に導入する。 (4)相同組換えによりXP遺伝子が破壊された改変遺
伝子を有するES細胞を単離する。 (5)単離されたES細胞を動物胚へ注入し、仮親の子
宮に移植して生殖系列のキメラ動物を得る。このキメラ
動物を正常な動物と交配させるとヘテロ接合体動物(+
/−)が得られ、ヘテロ接合体同士を交配させるとホモ
接合体動物(−/−)すなわちXP対立遺伝子が双方と
も破壊された改変色素性乾皮症遺伝子を有する目的のト
ランスジェニック動物を得ることができる。
【0015】以上のステップのうちで、まず第1のステ
ップである色素性乾皮症遺伝子の同定、単離という困難
な課題は、前述のように、本発明者らが世界に先駆けて
成功を収めた。わが国で最も多くみられる色素性乾皮症
A群の遺伝子(XPAC遺伝子)は本発明者らによって
1989年に単離されている(Proc. Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 86, 5512 (1989))。その方法は、A群XP遺伝
子をクローニングする目的で、A群XP細胞に正常マウ
スのゲノムDNAをトランスフェクションし、UV抵抗
性のXPトランスフェクタントを選別し、マウス特異的
繰り返し配列をプローブとしてマウスDNAがゲノムに
取り込まれたことを確認したのち、このトランスフェク
タントのゲノムDNAよりコスミッドライブラリー、フ
ァージライブラリー等を作成し、すべてのトランスフェ
クタントに共通するマウスDNAを同定する。さらにこ
の遺伝子から転写されるmRNAを検出し、対応するc
DNAもクローニングする。このcDNAクローンはX
P細胞のDNA修復能を正常化できる。
【0016】第2のステップであるターゲッティングベ
クターの構築は、以下のように行うことができる。ター
ゲッティングベクターの目的は、相同組換えにより標的
遺伝子たるXP遺伝子に遺伝子断片を導入して、XP遺
伝子を破壊して改変することにある。ここに相同組換え
とは、導入した遺伝子断片と染色体上の対応する遺伝子
の間で塩基配列の相同性に基づいて起こる組換えであ
る。この相同組換えにより、改変を加えたい標的遺伝子
の一部と同じ塩基配列の領域(相同領域)を外来遺伝子
に持たせることにより、その同じ塩基配列の部分相互間
で組換えが生じて外来遺伝子が狙った部位に挿入され標
的遺伝子を破壊することが可能となる。ただし、現実に
は相同組換えよりもランダム組換えの方が高頻度で生ず
るため、目的の相同組換えが生じたものを容易に選別で
きるようにターゲッティングベクターを構築する必要が
ある。そこで以下のような手法が用いられる。
【0017】XP遺伝子のフラグメントをpUC19等
の適当なプラスミッドに組み込み、そのXP遺伝子フラ
グメントに例えばpMClneo poly(A)
- (Stratagene) の1.1Kb XhoI−BamHI
neomycin(neo)カセットを挿入する。こ
うして得られるターゲッティングベクターはneoの両
側にXP遺伝子との相同部位を有するため、相同組換え
により標的XP遺伝子にneoが導入され標的遺伝子が
破壊される。組換えが生じたことはネオマイシン耐性の
獲得により判定が可能となる。ネオマイシン耐性遺伝子
の代わりにハイグロマイシンB耐性等の他の薬剤耐性遺
伝子を用いることも可能である。さらにランダム組換え
体を除くため、ポジティブ−ネガティブ選別が可能とな
るように相同部位の外側にHSV−tk遺伝子を導入す
る。こうして得られるターゲッティングベクターはラン
ダム組換えによりHSV−tk遺伝子をも取り込むとG
ANC感受性となる。したがって、ポジティブ−ネガテ
ィブ選別を行うことにより相同組換え体のみを効率的に
取得することが可能となる。相同組換え体の確認はPC
R法またはサザンハイブリダイゼーション法により行
う。
【0018】第3のステップである動物のES細胞への
ターゲッティングベクターの導入は、エレクトロポレー
ション法またはマイクロインジェクション法等を用いて
常法に従って行うことができる。ES細胞とは動物胚盤
胞の内部細胞塊より樹立された発生学的全能性を持つ未
分化な細胞であり、初期胚に戻してやると宿主胚の細胞
と渾然一体となり発生を続けるという性質を有する。
【0019】ES細胞にターゲッティングベクターを導
入するには、ES細胞を生殖細胞への分化能を保つよう
に未分化の状態で培養維持する必要がある。そのために
は、培地に適当な栄養細胞をフィーダーとして加え、ま
たヒトLIF(Leukemia Inhibitory Factor) を添加
し、さらに牛胎児血清、ヌクレオシド、非必須アミノ
酸、2−メルカプトエタノール等を添加して培養するこ
とを要する。栄養細胞としてはSTO細胞かマウス胎仔
線維芽細胞が適当である。栄養細胞の添加濃度は、約1
×106 細胞/35mm培養皿が好ましい。ヒトLIF
は、ヒトLIFcDNAをCHO細胞で発現させたその
培養上清を用いることもできる。ES細胞の培養条件と
して、ヒトLIFの添加濃度は、103 ユニット/ml
が好ましいがそれ以上でもよい。牛胎児血清の添加濃度
は15〜20%、ヌクレオシドの添加濃度は10〜30
nMが好ましい。非必須アミノ酸としては、Gibco
社製の非必須アミノ酸溶液が好ましく、その濃度は各
0.1mMが好ましい。2−メルカプトエタノールの濃
度は0.1mMが好ましい。
【0020】エレクトロポレーション法でES細胞にタ
ーゲッティングベクターを挿入するには、ES細胞を一
定の濃度になるように緩衝液に浮遊させ、適当な制限酵
素で処理して線状化したターゲッティングベクターを添
加し、Bio Radジーンパルサー等の適当なエレク
トロポレーション用装置を用い280〜350V/0.
4cm、500μFDでエレクトロポレーションを行う
ことが好ましい。ES細胞の濃度は約1×107 個/m
lが好ましい。緩衝液としてはPBS(CaCl2 0.
1mM添加)等を用いてpHを7.0に調整するのが好
ましい。制限酵素はターゲッティングベクターの制限酵
素部位を考慮して選択する。
【0021】また、マイクロインジェクション法でES
細胞にターゲッティングベクターを導入することもでき
る。
【0022】ターゲッティングベクターを導入した後、
ES細胞を上記の培地で48時間培養し、その後150
〜200μg/mlのG418、及び2μMのGanc
yclovir(GANC)を含む培地と交換する。1
〜2日毎にフレッシュなG418、GANC添加培地と
交換し、7〜10日間培養を続ける。
【0023】第4のステップでは、ターゲッティングベ
クターを導入して得られたG418およびGANCのい
ずれにも抵抗性のクローンを拾い上げ、相同組換え体を
単離し、確認を行う。まず、上記の薬剤耐性ES細胞を
増殖させ、その一部からDNAを抽出する。相同組換え
体の検出はまずPCR法で行う。プライマーとしては、
ターゲッティングベクター由来のDNAフラグメントを
用いる。増幅されたDNA断片をサザンハイブリダイゼ
ーション法により確認する。一方、薬剤耐性ES細胞の
ゲノムDNAを抽出後、制限酵素処理を行い、アガロー
スゲル電気泳動を行った後、XP遺伝子cDNAをプロ
ーブにサザンハイブリダイゼーションを行う。こうし
て、ターゲッティングベクターの断片を検出できれば、
そのES細胞は標的XP遺伝子の一方の対立遺伝子がタ
ーゲッティングベクターと相同組換えを起こしたクロー
ンであることが証明されたことになる。
【0024】第5のステップである生殖系列のキメラ動
物およびXP遺伝子の破壊された改変遺伝子を有するト
ランスジェニック動物の作成は、前記のように従来より
本発明者を含め、何人も成功することができなかったも
のである。本発明者は、ES細胞へのターゲッティング
ベクターの導入方法、得られたヘテロ接合体ES細胞の
動物胚への注入方法等について詳細な検討を加えた結
果、生殖系列のキメラ動物を作成することに成功し、本
発明を完成させるに至ったものである。
【0025】まず、動物の胚にヘテロ接合体ES細胞を
注入し、24時間、in vitroで培養した後、仮
親の子宮に移植する。ここで、動物の胚は、8細胞期胚
〜胚盤胞が用いられる。キメラの形成に好適であるから
である。注入方法としては、従来より一般に用いられて
いた注入法も用いられるが、本発明者が新たに開発した
後述の改良集合法が好ましい。注入法においては、ES
細胞を内部細胞塊にとり込ませることで、あたかも構成
細胞のごとくに発生し続けるという現象を利用したもの
であり、マイクロマニュピュレーターを用いてES細胞
を胚盤胞内へ注入する。
【0026】本発明において、目的の生殖系列のキメラ
動物を得るためには、かかる注入処理後にもES細胞が
生殖細胞分化能を有していなければならず、ES細胞の
生殖細胞分化能に影響を与えない注入方法の選択が本発
明方法のポイントとなる。本発明者は、上記の従来法を
用いて注入を試みたが、生殖系列のキメラ動物を得るこ
とは困難であった。そこで、従来法と異なる改良集合法
とも呼ぶべき方法を用いることにより、高率に生殖系列
のキメラ動物を作成しうるに至った。即ち、本発明にお
いては、動物の8細胞期胚の透明帯を除去せず、一部に
切れ目を入れてヘテロ接合体のES細胞を注入し、透明
帯の圧力を利用して効率的に注入を行うと良好な結果を
得ることができる。より具体的には次の方法による。す
なわち、ES細胞は8細胞期胚(割球)への接着性が低
い。したがって、フィトヘマグルチニンを使っても、一
時的には接着するが暫くすると解離してしまい集合胚は
得られ難い。そこで予め8細胞期胚の透明帯の一部をカ
ットし、そのスリットから囲卵腔にES細胞を注入す
る。この方法では初期の段階でES細胞と割球の間に直
接的な細胞接着がなくても、両者の集合状態を維持する
ことができる。透明帯カットはガラス針で行うのが好ま
しい。ES細胞は通常10〜15個の細胞塊として塊の
まま囲卵腔にそっと注入する。こうして、ES細胞を注
入された8細胞期胚は前述のように24時間in vi
troで培養したのち仮親の子宮に移植する。このin
vitroの培養は、通常、M16液(「マウス胚の
操作マニュアル」p252,1989,Brigid
Hoganら著,山内一也ら訳,近代出版)に10%F
CS(牛胎児血清)を添加した培養液を用いて行う。
【0027】上記の方法によって妊娠した仮親から生ま
れた子のうちキメラ動物の占める割合は極めて高い。そ
して、キメラの寄与率の高いキメラ動物は生殖系列のキ
メラ動物である可能性が高いが全てのキメラ動物を正常
動物と交配させることにより、生殖系列のキメラ動物で
あることの確認が可能である。このようにして生殖系列
のキメラ動物であるヘテロ接合体動物が得られ、ヘテロ
接合体同士の交配によりXP対立遺伝子の両方がターゲ
ッティングベクターにより破壊されたホモ接合体動物を
得ることができる。
【0028】このようにして得られたホモ接合体動物で
あるトランスジェニック動物のDNA修復能は低下して
いる。DNA修復能の低下は紫外線感受性(Do;37
%紫外線致死量)を調べ、正常動物細胞やヘテロ接合体
動物細胞と比較することにより明確にすることができ
る。例えば後述の実施例において、ホモ接合体動物では
A群色素性乾皮症細胞と同程度の紫外線高感受性を示し
ている。一方、紫外線と同種類のDNA障害を惹起する
化学発ガン剤である7,12−ジメチルベンズアントラ
センを剃毛した動物の背に塗布したところ、ホモ接合体
動物にのみ全ての個体に潰瘍形成及び乳頭腫が認められ
ている。
【0029】これらの結果から、ホモ接合体動物は、個
体レベルでも化学発ガン剤に対して高感受性であり、腫
瘍も高率に誘発されることがわかる。これらのことは、
本発明によって得られたトランスジェニック動物は、色
素性乾皮症(XP)のモデル動物となることを示すもの
である。さらに、この動物そのものを又はこの動物にガ
ンを発生させることによりヒト疾患モデル動物として、
あるいはこの動物そのものを又はこの動物に色素性乾皮
症遺伝子の欠損に基づく遺伝子疾患を発生させて色素性
乾皮症遺伝子の欠損に基づく疾患の治療の実験モデル動
物としても利用することができる。即ち、ヒトの色素性
乾皮症遺伝子では進行性の知能低下、小頭症、神経性難
聴、小脳性運動失調、神経原性筋萎縮等種々の精神神経
症状を引き起こすが、本発明のトランスジェニック動物
は、これらの症状の改善のためのスクリーニング研究の
モデル動物になる。また、新しく遺伝子を導入して、治
療するためのモデル動物となる。本発明のトランスジェ
ニック動物にガンや遺伝子疾患を発生させるには、特に
限定されることはなく例えば紫外線、発ガン剤などによ
って、発ガン、突然変異、細胞死をおこさせることがで
きる。
【0030】また、この動物由来の体細胞はXP患者の
体細胞と同様の性質を示すものである。従って、これら
の動物又はその動物由来の体細胞を利用し、変異原性、
発ガン性、また制ガン活性を示す物質の評価が可能とな
る。即ち、変異原物質、発ガン物質、制ガン物質を試験
するための動物として有用である。変異原性または発ガ
ン性の試験方法としては、常法により行うことができ
る。例えば剃毛した動物の皮膚に供試化合物を適当なビ
ーイクルと混合して塗布し、潰瘍、腫瘍の発生頻度を調
べる方法、供試化合物を腹腔内に、静脈内に、脳脊髄液
内に、あるいは経口的に投与して各組織における腫瘍の
発生頻度を調べる方法、等が利用できる。また、供試化
合物の制ガン効果を調べる方法としては、例えば供試化
合物を腹腔内に、静脈内に、脳脊髄液内に、あるいは経
口的に投与してガン組織の重量測定、病理組織学的観
察、腫瘍マーカーの解析、延命効果等の判定等を行う方
法が利用できる。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらによって制限されるものでは
ない。
【0032】実施例1 XPAC遺伝子の破壊されたト
ランスジェニックマウスの作成 (1)マウスXPAC遺伝子の単離 色素性乾皮症(Xeroderma Pigmento
sum;XP)細胞は、DNA修復能に異常をもち、そ
のために紫外線(UV)に高感受性を示す。細胞融合法
により、XPにはAからGそれにバリアントの計8つの
遺伝的相補性群が存在する。A群が日本では最も多く、
臨床症状も重い。A群XP遺伝子をクローニングする目
的で、A群XP細胞に正常マウスのゲノムDNAをリン
酸カルシウム法でトランスフェクションし、UV抵抗性
のXPトランスフェクタントを選別した(XR13とX
R49)。マウス特異的繰り返し配列(MIF,Bam
5,B1,R)をプローブにし、BamHIで消化した
XR13、XR49および親A群XP細胞(XP2OS
SV)のゲノムDNAを用いたサザンブロット解析によ
り、これらのトランスフェクタントには沢山のマウスD
NAがゲノムに取りこまれていることが明らかになっ
た。そこで、XR13とXR49のゲノムDNAを抽出
し、それを再びXP2OSSV細胞にトランスフェクシ
ョンし、UV抵抗性のXPトランスフェクタントを選別
した(第2次トランスフェクション)。その結果UV抵
抗性の第2次トランスフェクタントが1つとれた(XR
II130)。マウス繰り返し配列をプローブにしたサザ
ンブロット解析で、XRII130には僅かのマウスDN
Aが保持されていることが明らかになった。
【0033】このマウスDNAの中に、A群XP細胞の
DNA修復能を正常化する遺伝子が保持されていると考
えられたので、XRII130のゲノムDNAよりコスミ
ッド(pHC79)およびファージ(EMBL3)ライ
ブラリーを作成し、マウス繰り返し配列をプローブにし
て、XRII130に保持されているマウスDNAをクロ
ーニングした(図1)。その結果、XR13、XR49
およびXRII130には、約50kbの共通したマウス
DNAが保持されていることがわかった。この領域は、
2つのコスミッドおよび2つのファージクローンにより
クローニングされたが、2つのファージクローン(EM
BL3/24BとEMBL3/60A)DNAをA群X
P細胞にトランスフェクションすると、高率にUV抵抗
性のA群XP細胞が得られ、この部分にA群XP細胞の
DNA修復能を正常化するDNA修復遺伝子が存在する
ことが明らかになった。
【0034】この遺伝子から転写されるmRNAも検出
し、対応するcDNAも、マウス繊維芽細胞より作成し
たpcD2 発現cDNAライブラリーよりクローニング
した。このcDNAクローンはA群であればすべてのX
P細胞のDNA修復能を正常化できるが、他の相補性群
には無効であり、この遺伝子をXPAC(Xerode
rma Pigmentosum group A C
omplementing)遺伝子と名付けた。マウス
XPACcDNAは、272個のアミノ酸からなり、
Znフィンガーモチーフを有する親水性蛋白をコードす
る。マウスXPACゲノムは約25kbの大きさをも
ち、6つのエクソンからなる。
【0035】(2)ターゲッティングベクターの構築 ファージEMBL3/24Bの、エクソン3と4を含む
5.7kbのBamHIフラグメントをpUC19プラ
スミッドにサブクローニングした。ついで、pMC1n
eo poly(A)- (Stratagene)の
1.1kb Xho I−BamHI neomyci
n(neo)カセットをエクソン4のEcoNI部位に
挿入した。従って、neoはポリオーマのエンハンサー
とHSVのチミジンキナーゼ(tk)プロモーターによ
って発現する。ポジティブ−ネガティブ選別を行うた
め、HSV−tk遺伝子(PTK4の2.0kb Pv
uIIフラグメントにSalIリンカーをつけたもの)を
pUC19のSalI部位に挿入した。このようにして
構築したターゲッティングベクターをpNeoXP5.
7−TKと名付けた(図2)
【0036】(3)F1/1ES細胞へのターゲッティ
ングベクターのエレクトロポレーション F1/1は、CBA系雄マウスとC57BL/6系雌マ
ウスのF1の胚盤胞から樹立された胚性幹細胞(ES細
胞)である。F1/1細胞(農林水産省畜産試験場より
入手)、pSV2neoで形質転換したSTO細胞をフ
ィーダーにし(1×106 細胞/35mmプラスチック
皿)、ヒトLIF(GeneticsInstitut
eより分与されたヒトLIFcDNAをCMVエンハン
サーを用いてCHO細胞で強制発現させたその培養上
清)を添加(103 U/ml)し、20%牛胎児血清、
ヌクレオシド、非必須アミノ酸、2−メルカプトエタノ
ールを含むダルベッコ改変培地(実験医学vol7,1
587−1592,1989)で培養した。8×106
のF1/1細胞を800μlのPBS(CaCl20.
1mmol添加)(pH7.0)に浮遊させ、SspI
で消化し線状化したpNeoXP5.7−TKを添加
(20μg/ml)し、Bio Radジーンパルサー
を用い、280V/0.4cm、500μFDでエレク
トロポレーションした。エレクトロポレーション後、4
8時間上記の培地で培養し、その後、150μg/ml
のG418、2μMのGancyclovir(GAN
C)を含む培地と交換した。1〜2日毎にフレッシュな
G418、GANC添加培地と交換し、10〜12日間
培養をつづけた。
【0037】(4)相同組換え体の同定 G418、GANC抵抗性のクローンをピックアップ
し、60mm培養皿に一杯になるまで増殖させた。半分
を液体窒素中で凍結保存し、残りの半分よりDNAを抽
出した。相同組換え体の検出はまずPCR法で行った。
プライマー(A1、B2)は、センス鎖はpMClne
o由来の5’−GCGGCGAATGGGCTGACC
GC−3’を用いた。アンチセンス鎖は、5’−GCA
TCTTCCAGAGCTTCCTG−3’を用いた。
94℃1分、55℃2分、72℃3分のサイクルを35
回繰り返した後、増幅されたフラグメントをアガロース
ゲル電気泳動し、ナイロンメンブランにブロッティング
した後、XPACゲノムのイントロン4の一部をプロー
ブにしてサザンハイブリダイゼーションを行った。相同
組換え体では1.3kbのPCRフラグメントが検出さ
れるはずであるが、G418とGANC抵抗性細胞の約
1/7で1.3kbフラグメントが認められ、これらは
相同組換え体であることが示唆された。
【0038】一方、G418とGANC抵抗性細胞のゲ
ノムDNAを抽出後、BamHI消化し、アガロースゲ
ル電気泳動を行い、XPACcDNAをプローブにサザ
ンハイブリダイゼーションを行った。野生型の対立遺伝
子では、エクソン3と4を含む5.7kbのBamHI
フラグメント(ターゲッティングベクターに用いられた
BamHIフラグメント)が認められたが、PCR陽性
クローンでは、5.7kbの他に、pMClneo p
oly(A)- の1.1kbフラグメントがエクソン4
に挿入された6.8kbのBamHIフラグメントも認
められ(図3)、これらは確かに一方の対立遺伝子で、
ターゲッティングベクターと相同組換えをおこしたクロ
ーンであることが証明された。
【0039】(5)キメラマウスおよびXPAC破壊マ
ウスの作成 上述のようなターゲッティングにより、一方のXPAC
対立遺伝子が破壊されたF1/1細胞をICR系マウス
の8細胞期胚に透明帯を除去せずに注入し、1日間in
vitroで培養後、仮親の子宮に移植した。ここ
で、F1/1細胞の注入操作は、10〜15個の塊のま
まカットした透明帯のスリットから囲卵腔に注入する方
法により行った。また、in vitroでの培養は、
10%FCS添加したM16液中で24時間37℃で行
った。その結果、305個の胚を22匹の仮親に移植
し、16匹の仮親が妊娠し、74匹の子を得た。毛色か
ら、そのうちの8匹がキメラマウスであった(♂7匹、
♀1匹)。キメラマウスの♂とICRの♀マウスを交配
したところ、キメラの寄与率が最も高かった♂で生殖系
列のキメラが確認され、一方のXPAC対立遺伝子がタ
ーゲッティングにより破壊されたヘテロ接合体マウスを
得た。ヘテロ接合体の♂と♀を交配したところ、その子
孫の1/4が両方の対立遺伝子が破壊されたホモ接合体
マウス(XPAC- /XPAC- )、1/2がヘテロ接
合体マウス(XPAC- /+)そして1/4が正常マウ
ス(+/+)であった。
【0040】実施例2 ホモ接合体(XPAC- /XP
AC- )マウスのDNA修復能試験 マウスより線維芽細胞を樹立し、その紫外線(254n
m)感受性をコロニー形成能により調べたところ、正常
マウスおよび実施例1で作成したヘテロ接合体マウス細
胞ではDo=3J/m2 であったのに対し、実施例1で
作成したホモ接合体マウスではDo=0.4〜0.5J
/m2 であった。即ち、ホモ接合体マウスは、A群色素
性乾皮症細胞と同程度の紫外線高感受性を示した。これ
により紫外線照射後のDNA修復合成は、ヘテロ接合体
マウス細胞では正常レベルであったが、ホモ接合体マウ
ス細胞ではバックグラウンドレベルであり、ホモ接合体
マウスのDNA修復能の欠損が確認された。
【0041】一方、紫外線と同種類のDNA障害を惹起
する化学発ガン剤7,12−ジメチルベンズアントラセ
ン100μgを、剃毛したマウス(ホモ接合体マウス1
5匹、正常マウス14匹)の背に塗布したところ、10
日目にホモ接合体マウスにのみ全ての個体に潰瘍形成が
認められた。さらに1カ月目にホモ接合体マウスの背の
塗布部位に乳頭腫が出現した。一方、正常マウスにはな
んら変化はみられなかった。このことからホモ接合体マ
ウスは個体レベルでも化学発ガン剤に対して高感受性で
あり、腫瘍も高率に誘発されることが立証された。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によって得られる本発明の
トランスジェニック動物は、遺伝子異常に起因する実際
のヒトの病気を反映した発ガンモデル動物として有用で
ある。また、本発明の動物またはその動物由来の体細胞
を用いて、化学物質の変異原性、発ガン性あるいは制ガ
ン活性を評価することが可能であり、さらに色素性乾皮
症遺伝子の欠損に基づく疾患の治療の実験モデル動物と
しても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、紫外線抵抗性XP細胞に取り込まれた
マウスDNAの制限酵素地図を表す。
【図2】図2は、XPAC遺伝子の破壊に用いられるタ
ーゲッティングベクターを示す図である。
【図3】図3は、ジーンターゲッティングによるXPA
C遺伝子の破壊の状態を表す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色素性乾皮症遺伝子が機能しないように
    改変されたホモ接合体の改変色素性乾皮症遺伝子を有す
    ることを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動
    物。
  2. 【請求項2】 色素性乾皮症遺伝子がA群の遺伝子であ
    る請求項1記載のトランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  3. 【請求項3】 動物がゲッ歯動物である請求項1又は2
    記載の動物。
  4. 【請求項4】 ゲッ歯動物がマウスである請求項3記載
    の動物。
  5. 【請求項5】 変異原物質、発ガン物質または制ガン物
    質を試験するための請求項1〜4いずれか記載の動物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4いずれか記載の動物由来の
    体細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4いずれか記載の動物よりな
    る、又は該動物に色素性乾皮症遺伝子の欠損に基づく遺
    伝子疾患を発生させてなることを特徴とする、色素性乾
    皮症遺伝子の欠損に基づく疾患の治療の実験モデル動
    物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4いずれか記載の動物よりな
    る、又は該動物にガンを発生させてなることを特徴とす
    るヒト疾患モデル動物。
  9. 【請求項9】 色素性乾皮症(XP)遺伝子を特異的に
    破壊するターゲッティングベクターをES細胞に導入す
    る工程、相同組換えによりXP遺伝子が破壊された改変
    遺伝子を有するES細胞を単離する工程、単離されたE
    S細胞を動物胚へ注入し仮親の子宮に移植して生殖系列
    のキメラ動物を得る工程、及び該キメラ動物を正常な動
    物と交配させてヘテロ接合体を得、該ヘテロ接合体同士
    を交配させてホモ接合体を得る工程を有するトランスジ
    ェニック非ヒト哺乳動物の作成方法において、該ES細
    胞の動物胚への注入が、8細胞期胚に透明帯を除去せず
    に行うことを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳
    動物の作成方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009532020A (ja) * 2006-03-03 2009-09-10 セ・イ・エ・エメ・ア・テ 紫外線に過敏な移植されたヒト皮膚を含むマウスモデル

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JP2009532020A (ja) * 2006-03-03 2009-09-10 セ・イ・エ・エメ・ア・テ 紫外線に過敏な移植されたヒト皮膚を含むマウスモデル

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