JPH06244118A - マイクロ波プラズマcvd法により大面積の機能性堆積 膜を連続的に形成する方法及び装置 - Google Patents

マイクロ波プラズマcvd法により大面積の機能性堆積 膜を連続的に形成する方法及び装置

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JPH06244118A
JPH06244118A JP5051321A JP5132193A JPH06244118A JP H06244118 A JPH06244118 A JP H06244118A JP 5051321 A JP5051321 A JP 5051321A JP 5132193 A JP5132193 A JP 5132193A JP H06244118 A JPH06244118 A JP H06244118A
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forming
film
plasma
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JP5051321A
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Masahiro Kanai
正博 金井
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Canon Inc
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 大面積に亘って均一に、且つ高速で機能性堆
積膜を形成することを可能にするマイクロ波プラズマC
VD方法及び装置を提供すること。 【構成】 マイクロ波エネルギーをマイクロ波の進行方
向に対して平行な方向に放射させるようにしたマイクロ
波アプリケーター手段より放射されたマイクロ波の電界
方向と全面的に直交することはなく、前記マイクロ波の
進行方向に延在する複数の仕切り板で構成されるプラズ
マ制御手段を介して前記マイクロ波エネルギーを放射さ
せて、マイクロ波プラズマを成膜空間内で生起せしめる
構成を包含するマイクロ波プラズマCVD方法及び装
置。 【効果】 連続して安定に且つ均一にマイクロ波放電が
維持でき、それが故に長尺の帯状部材上に長時間連続し
て、安定した特性の機能性堆積膜を堆積形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大面積に亘って均
一なマイクロ波プラズマを生起させ、これにより引き起
こされるプラズマ反応により、原料ガスを分解、励起さ
せることによって大面積の機能性堆積膜を連続的に形成
する方法及び装置に関する。
【0002】更に詳しくは、前記原料ガスの利用効率を
飛躍的に高め、且つ高速で均一性の良い機能性堆積膜を
大面積に亘って連続的に形成することができる方法及び
装置であって、具体的には光起電力素子等の大面積薄膜
半導体デバイスの量産化を低コストで実現させ得るもの
である。
【0003】
【従来技術の説明】近年、全世界的に電力需要が急激に
増大し、そうした需要をまかなうべく電力生産が活発化
するに及んで環境汚染の問題が深刻化して来ている。因
に、火力発電に代替する発電方式として期待され、すで
に実用期に入ってきている原子力発電においては、チェ
ルノブイリ原子力発電所事故に代表されるように重大な
放射能汚染が人体に被害を与えると共に自然環境を侵す
事態が発生し、原子力発電の今後の普及が危ぶまれ、現
実に原子力発電所の新設を禁止する法令を定めた国さえ
出て来ている。
【0004】又、火力発電にしても増大する電力需要を
まかなう上から石炭、石油に代表される化石燃料の使用
量は増加の一途をたどり、それにつれて排出される二酸
化炭素の量が増大し、大気中の二酸化炭素等の温室効果
ガス濃度を上昇させ、地球温暖化現象を招き、地球の年
平均気温は確実に上昇の一途をたどっており、IEA
(International Energy Age
ncy)では2005年までに二酸化炭素の排出量を2
0%削減することを提言している。こうした背景のある
一方、開発途上国における人口増加、そして、それに伴
う電力需要の増大は必至であり、先進諸国における今後
更なる生活様式のエレクトロニクス化の促進による人口
一人当りの電力消費量の増大と相まって、電力供給問題
は地球規模で検討されねばならない状況になってきてい
る。
【0005】このような状況下で、太陽光を利用する太
陽電池による発電方式は、前述した放射能汚染や地球温
暖化などの問題を惹起することはなく、また、太陽光は
地球上至るところに降り注いでいるためエネルギー源の
偏在が少なく、さらには、複雑な大型の設備を必要とせ
ず比較的高い発電効率が得られる等、今後の電力需要の
増大に対しても、環境破壊を引き起こすことなく対応で
きるクリーンな発電方式として注目を集め、実用化に向
けて様々な研究開発がなされている。
【0006】ところで、太陽電池を用いる発電方式につ
いては、それを電力需要を賄うものとして確立させるた
めには、使用する太陽電池が、光電変換効率が十分に高
く、特性安定性に優れたものであり、且つ大量生産し得
るものであることが基本的に要求される。因に、一般的
な家庭において必要な電力を賄うには、一世帯あたり3
kW程度の出力の太陽電池が必要とされるところ、その
太陽電池の光電変換効率がたとえば10%程度であると
すると、必要な出力を得るための前記太陽電池の面積は
30m2程度となる。そして、例えば十万世帯の家庭に
おいて必要な電力を供給するには3,000,000m
2といった面積の太陽電池が必要となる。
【0007】こうしたことから、容易に入手できるシラ
ン等の気体状の原料ガスを使用し、これをグロー放電分
解して、ガラスや金属シート等の比較的安価な基板上に
アモルファスシリコン等の半導体薄膜を堆積させること
により作製できる太陽電池が、量産性に富み、単結晶シ
リコン等を用いて作製される太陽電池に比較して低コス
トで生産ができる可能性があるとして注目され、その製
造方法について各種の提案がなされている。
【0008】太陽電池を用いる発電方式にあっては、単
位モジュールを直列又は並列に接続し、ユニット化して
所望の電流、電圧を得る形式が採用されることが多く、
各モジュールにおいては断線やショートが生起しないこ
とが要求される。加えて、各モジュール間の出力電圧や
出力電流のばらつきのないことが重要である。こうした
ことから、少なくとも単位モジュールを作製する段階で
その最大の特性決定要素である半導体層そのものの特性
均一性確保されていることが要求される。そして、モジ
ュール設計をし易くし、且つモジュール組立工程の簡略
化できるようにする観点から大面積に亘って特性均一性
の優れた半導体堆積膜が提供されることが太陽電池の量
産性を高め、生産コストの大幅な低減を達成せしめるに
ついて要求される。
【0009】太陽電池については、その重要な構成要素
たる半導体層は、いわゆるpn接合、pin接合等の半
導体接合がなされている。それらの半導体接合は、導電
型の異なる半導体層を順次積層したり、一導電型の半導
体層中に異なる導電型のドーパントをイオン打込み法等
によって打込んだり、熱拡散によって拡散させたりする
ことにより達成される。この点を、前述した注目されて
いるアモルファスシリコン等の薄膜半導体を用いた太陽
電池についてみると、その作製においては、ホスフィン
(PH3),ジボラン(B26)等のドーパントとなる
元素を含む原料ガスを主原料ガスであるシラン等に混合
してグロー放電分解することにより所望の導電型を有す
る半導体膜が得られ、所望の基板上にこれらの半導体膜
を順次積層形成することによって容易に半導体接合が達
成できることが知られている。そしてこのことから、ア
モルファスシリコン系の太陽電池を作製するについて、
その各々の半導体層形成用の独立した成膜室を設け、該
成膜室にて各々の半導体層の形成を行う方法が提案され
ている。
【0010】因に、米国特許第4,400,409号明
細書には、ロール・ツー・ロール(Roll to R
oll)方式を採用した連続プラズマCVD装置が開示
されている。この装置によれば、複数のグロー放電領域
を設け、所望の幅の十分に長い可撓性の基板を、該基板
が前記各グロー放電領域を順次貫通する経路に沿って配
置し、前記各グロー放電領域において必要とされる導電
型の半導体層を堆積形成しつつ、前記基板をその長手方
向に連続的に搬送せしめることによって、半導体接合を
有する素子を連続形成することができるとされている。
なお、該明細書においては、各半導体層形成時に用いる
ドーパントガスが他のグロー放電領域へ拡散、混入する
のを防止するにはガスゲートが用いられている。具体的
には、前記各グロー放電領域同志を、スリット状の分離
通路によって相互に分離し、さらに該分離通路に例えば
Ar,H2等の掃気用ガスの流れを形成させる手段が採
用されている。こうしたことからこのロール・ツー・ロ
ール方式は、半導体素子の量産に適する方式であると言
えよう。
【0011】しかしながら、前記各半導体層の形成はR
F(ラジオ周波数)を用いたプラズマCVD法によって
行われるところ、連続的に形成される膜の特性を維持し
つつその膜堆積速度の向上を図るにはおのずと限界があ
る。即ち、例えば膜厚が高々5000Åの半導体層を形
成する場合であっても相当長尺で、大面積にわたって常
時所定のプラズマを生起し、且つ該プラズマを均一に維
持する必要がある。ところが、そのようにするについて
は可成りの熟練を必要とし、その為に関係する種々のプ
ラズマ制御パラメーターを一般化するのは困難である。
また、用いる成膜用原料ガスの分解効率及び利用効率は
高くはなく、生産コストを引き上げる要因の一つともな
っている。
【0012】また他に、特開昭61−288074号公
報には、改良されたロール・ツー・ロール方式を用いた
堆積膜形成装置が開示されている。この装置において
は、反応容器内に設置されたフレキシブルな連続シート
状基板の一部にホロ様たるみ部を形成し、この中に前記
反応容器とは異なる活性化空間にて生成された活性種及
び必要に応じて他の原料ガスを導入し熱エネルギーによ
り化学的相互作用をせしめ、前記ホロ様たるみ部を形成
しているシート状基板の内面に堆積膜を形成することを
特徴としている。このようにホロ様たるみ部の内面に堆
積を行うことにより、装置のコンパクト化が可能とな
る。さらに、あらかじめ活性化された活性種を用いるの
で、従来の堆積膜形成装置に比較して成膜速度を早める
ことができる。
【0013】ところが、この装置はあくまで熱エネルギ
ーの存在下での化学的相互作用による堆積膜形成反応を
利用したものであり、更なる成膜速度の向上を図るに
は、活性種の導入量及び熱エネルギーの供給量を増やす
ことが必要であるが、熱エネルギーを大量且つ均一に供
給する方法や、反応性の高い活性種を大量に発生させて
反応空間にロスなく導入する方法にも限界がある。
【0014】一方、最近注目されているのが、マイクロ
波を用いたプラズマプロセスである。マイクロ波は周波
数帯が短いため従来のRFを用いた場合よりもエネルギ
ー密度を高めることが可能であり、プラズマを効率良く
発生させ、持続させることに適している。例えば、米国
特許第4,517,223号明細書及び同第4,50
4,518号明細書には、低圧下でのマイクロ波グロー
放電プラズマ内で小面積の基体上に薄膜を堆積形成させ
る方法が開示されているが、該方法によれば、低圧下で
のプロセス故、膜特性の低下の原因となる活性種のポリ
マリゼーションを防ぎ高品質の堆積膜が得られるばかり
でなく、プラズマ中でのポリシラン等の粉末の発生を抑
え、且つ、堆積速度の飛躍的向上が図れるとされてはい
るものの、大面積に亘って均一な堆積膜形成を行うにあ
たっての具体的開示はなされていない。
【0015】米国特許第4,729,341号明細書に
は、一対の放射型導波管アプリケーターを用いた高パワ
ープロセスによって、大面積の円筒形基体上に光導電性
半導体薄膜を堆積形成させる低圧マイクロ波プラズマC
VD法及び装置が開示されているが、大面積基体として
は円筒形の基体、即ち、電子写真用光受容体としてのド
ラムに限られており、大面積且つ長尺の基体への適用は
なされていない。また、堆積膜の製造工程はバッチ式で
あって、一回の仕込みで形成される堆積膜の量は限られ
ており、大面積の基板上に大量に堆積膜を連続して形成
する方法に関する開示はない。
【0016】ところで、マイクロ波を用いたプラズマは
マイクロ波の波長が短いためエネルギーの不均一性が生
じやすく大面積化に対しては、解決されねばならない問
題点が種々残されている。例えば、マイクロ波エネルギ
ーの均一化に対する有効な手段として遅波回路の利用が
あるが、該遅波回路にはマイクロ波アプリケーターの横
方向への距離の増加に伴いプラズマへのマイクロ波結合
の急激な低下が生じるといった独特の問題点を有してい
る。
【0017】そこで、この問題点を解決する手段とし
て、被処理体と遅波回路との距離を変える基体の表面近
傍でのエネルギー密度を均一にする方法が試みられてい
る。例えば、米国特許第3,814,983号明細書及
び同第4,521,717号明細書には、そうした方法
が開示されている。そして前者においては、基体に対し
てある角度に遅波回路を傾斜させる必要性があることが
記載されているが、プラズマに対するマイクロ波エネル
ギーの伝達効率は満足のゆくものではない。また、後者
にあっては、基体とは平行な面内に、非平行に2つの遅
波回路を設けることが開示されている。即ち、マイクロ
波アプリケーターの中央に垂直な平面同志が、被処理基
板に平行な面内で、且つ基板の移動方向に対して直角な
直線上で互いに交わるように配置することが望ましいこ
と、そして2つのアプリケーター間の干渉を避けるた
め、アプリケーター同志を導波管のクロスバーの半分の
長さだけ基体の移動方向に対して横にずらして配設する
ことのそれぞれが開示されている。
【0018】また、プラズマの均一性(即ち、エネルギ
ーの均一性)を保持するようにするについての提案がい
くつかなされている。それらの提案は、例えば、ジャー
ナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジィー
(Journal of Vacuum Scienc
e Technology)B−4(1986年1月〜
2月)295頁−298頁及び同誌のB−4(1986
年1月〜2月)126頁−130頁に記載された報告に
見られる。これらの報告によれば、マイクロ波プラズマ
・ディスク・ソース(MPDS)と呼ばれるマイクロ波
リアクタが提案されている。即ち、プラズマは円板状あ
るいはタブレット状の形をなしていて、その直径はマイ
クロ波周波数の関数となっているとしている。そしてそ
れら報告は次のような内容を開示している。即ち、ま
ず、プラズマ・ディスク・ソースをマイクロ波周波数に
よって変化させることができるという点にある。ところ
が、2.45GHzで作動できるように設計したマイク
ロ波プラズマ・ディスク・ソースにおいては、プラズマ
の閉じ込め直径はたかだか10cm程度であり、プラズ
マ体積にしてもせいぜい118cm3程度であって、大
面積化とは到底言えない。また、前記報告は、915M
Hzという低い周波数で作動するように設計したシステ
ムでは、周波数を低くすることで約40cmのプラズマ
直径、及び2000cm3のプラズマ体積が与えられる
としている。前記報告は更に、より低い周波数、例え
ば、400MHzで作動させることにより1mを超える
直径まで放電を拡大できるとしている。ところがこの内
容を達成する装置となると極めて高価な特定のものが要
求される。
【0019】即ち、マイクロ波の周波数を低くすること
で、プラズマの大面積化は達成できるが、このような周
波数域での高出力のマイクロ波電源は一般化されてはい
なく、入手困難であり入手でき得たとしても極めて高価
である。そしてまた、周波数可変式の高出力のマイクロ
波電源は更に入手困難である。
【0020】同様に、マイクロ波を用いて高密度プラズ
マを効率的に生成する手段として、空胴共振器の周囲に
電磁石を配置し、ECR(電子サイクロトロン共鳴)条
件を成立させる方法が特開昭55−141729号公報
及び特開昭57−133636号公報等により提案され
ており、また学会等ではこの高密度プラズマを利用して
各種の半導体薄膜が形成されることが多数報告されてお
り、すでにこの種のマイクロ波ECRプラズマCVD装
置が市販されるに至っている。
【0021】ところが、これらのECRを用いた方法に
おいては、プラズマの制御に磁石を用いているため、マ
イクロ波の波長に起因するプラズマの不均一性に、更
に、磁界分布の不均一性も加わって、大面積の基板上に
均一な堆積膜を形成するのは技術的に困難とされてい
る。また、大面積化のため装置を大型化する場合には、
おのずと用いる電磁石も大型化し、それに伴う重量及び
スペースの増大、また、発熱対策や大電流の直流安定化
電源の必要性等実用化に対しては解決されねばならない
問題が種々残されている。
【0022】更に、形成される堆積膜についても、その
特性は従来のRFプラズマCVD法にて形成されるもの
と比較して同等と言えるレベルには至っておらず、ま
た、ECR条件の成立する空間で形成される堆積膜とE
CR条件外のいわゆる発散磁界空間で形成される堆積膜
とでは特性及び堆積速度が極端に異なるため、特に高品
質、均一性が強く要求される半導体デバイスの作製に適
している方法とは言えない。
【0023】前述の米国特許第4,517,223号明
細書及び同第4,729,341号明細書では、高密度
のプラズマを得るについては、非常に低い圧力を維持す
る必要性があることが開示されている。即ち、堆積速度
を早めたり、ガス利用効率を高めるためには低圧下での
プロセスが必要不可欠であるとしている。しかしなが
ら、高堆積速度、高ガス利用効率、高パワー密度及び低
圧の関係を維持するには、前述の特許に開示された遅波
回路及び電子サイクロトロン共鳴法のいずれをしても十
分とは言えないものである。
【0024】また、マイクロ波を用いた場合には、成膜
空間へのマイクロ波導入手段近傍に比較的強いプラズマ
領域が生成するため、該マイクロ波導入手段への堆積膜
の付着率が高く、そして付着量の増加とともに成膜空間
内へのマイクロ波の透過量の減衰が生じ、長時間安定し
て放電を維持し続けることが困難となることがしばしば
である。
【0025】この様な問題点解決の手段としての提案
が、特開平3−110798、3−111577、3−
122273等にされている。いずれも基本的な概念の
提案はあるものの実使用状態での条件の最適化はなされ
ておらず更なる検討が必要である。特に、低圧にて安定
してマイクロ波プラズマを維持させるための条件につい
ては具体的開示はない。また、マイクロ波の電界方向と
フィンとが直交することが必須条件であるとしている
が、種々のマイクロ波モードを用いるにあたってはフィ
ンの工作精度やセッティングの精度にも限界があり、実
用化上の問題点は種々残されているのが現状である。
【0026】従って、上述したマイクロ波手段の持つ種
々の問題点を解決した新規なマイクロ波プラズマプロセ
スの早期提供が望まれている。
【0027】ところで、薄膜半導体は前述した太陽電池
用の用途の他にも、液晶ディスプレイの画素を駆動する
ための薄膜トランジスタ(TFT)や密着型イメージセ
ンサー用の光電変換素子及びスイッチング素子等大面積
又は長尺であることが必要な薄膜半導体デバイス作製用
にも好適に用いられ、前記画像入出力装置用のキーコン
ポーネントとして一部実用化されているが、均一性良く
高速で大面積化できる新規な堆積膜形成法の提供によっ
て、更に広く一般に普及されるようになることが期待さ
れている。
【0028】
【発明の目的】本発明は、上述のごとき従来の薄膜半導
体デバイス形成方法及び装置における諸問題を克服し
て、大面積に亘って均一に、且つ高速で機能性堆積膜を
形成する新規な方法及び装置を提供することを目的とす
るものである。本発明の他の目的は、帯状部材上に連続
して高品質の機能性堆積膜を形成する方法及び装置を提
供することにある。
【0029】本発明の更なる目的は、堆積膜形成用の原
料ガスの利用効率を飛躍的に高めると共に、薄膜半導体
デバイスの量産化を低コストで実現し得る方法及び装置
を提供することにある。本発明の更に別の目的は、大面
積、大容積に亘ってほぼ均一なマイクロ波プラズマを生
起させる方法及び装置を提供することにある。本発明の
更に別の目的は、マイクロ波アプリケーター手段近傍に
生起するマイクロ波プラズマを制御するための方法及び
装置を提供することにある。
【0030】本発明の更なる目的は、マイクロ波アプリ
ケーター手段に設けられたマイクロ波透過性部材への堆
積膜の付着量を減らすことで長時間安定してマイクロ波
放電を維持できる方法及び装置を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、比較的幅広で長尺の基板上に
連続して安定性良く、高効率で高い光電変換効率の光起
電力素子を形成するための新規な方法及び装置を提供す
るものである。
【0031】
【発明の構成・効果】本発明者らは、従来の薄膜半導体
デバイス形成装置における上述の諸問題を解決し、前記
本発明の目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、帯
状部材を湾曲開始端形成用の支持・搬送用ローラー湾曲
部形成用の支持・搬送用リング、及び湾曲終了端形成用
の支持・搬送用ローラーを介し、前記支持・搬送用ロー
ラー同志の間には隙間を残して湾曲させ、前記帯状部材
を側壁とした柱状の成膜室を形成し、前記成膜室の両端
面にはマイクロ波エネルギーをマイクロ波の進行方向に
対して平行な方向に放射させるようにしたマイクロ波ア
プリケーター手段を対向して一対配設し、更に、前記成
膜室内に堆積膜形成用の原料ガスを導入し、前記一対の
支持・搬送用ローラー同志の間に残された間隙より排気
して前記成膜室内の圧力を所定の減圧下に保持し、前記
マイクロ波アプリケーター手段よりマイクロ波エネルギ
ーを前記側壁とほぼ平行に放射せしめたところ、前記成
膜空間内において前記帯状部材の幅方向にほぼ均一なマ
イクロ波プラズマを生起できるという知見を得た。
【0032】本発明は、上述の知見に基づき更に検討を
重ねた結果完成に至ったものであり、下述するところを
骨子とするマイクロ波プラズマCVD法により大面積の
機能性堆積膜を連続的に形成する方法及び装置を包含す
る。
【0033】本発明の方法は、次のとおりのものであ
る。即ち、長手方向に帯状部材を連続的に移動せしめな
がら、その中途で前記移動する帯状部材を側壁とする柱
状の成膜空間を形成し、該成膜空間内にガス供給手段を
介して堆積膜形成用原料ガスを導入し、同時に、マイク
ロ波エネルギーをマイクロ波の進行方向に対して平行な
方向に放射させるようにしたマイクロ波アプリケーター
手段より、該マイクロ波アプリケーター手段に近接して
設けた、前記マイクロ波アプリケーター手段より放射さ
れたマイクロ波の電界方向と全面的に直交することはな
く、前記マイクロ波の進行方向に延在する複数の仕切り
板で構成されるプラズマ制御手段を介して前記マイクロ
波エネルギーを放射させて、マイクロ波プラズマを前記
成膜空間内で生起せしめ、前記マイクロ波プラズマに曝
される前記側壁を構成し連続的に移動する前記帯状部材
の表面上に堆積膜を形成せしめることを特徴とするマイ
クロ波プラズマCVD法により大面積の機能性堆積膜を
連続的に形成する方法である。
【0034】本発明の方法においては、前記移動する帯
状部材はその中途において、湾曲開始端形成手段と湾曲
終了端形成手段とを用いて、前記湾曲開始端形成手段と
前記湾曲終了端形成手段との間に前記帯状部材の長手方
向に間隙を残して該帯状部材を湾曲させて前記成膜空間
の側壁を成すようにされる。そして、前記帯状部材を側
壁として形成される柱状の成膜空間の両端面のうち、片
側又は両側に配設される、少なくとも1つ以上の前記マ
イクロ波アプリケーター手段及び該マイクロ波アプリケ
ーター手段に近接して設けたプラズマ制御手段を介し
て、前記マイクロ波エネルギーを前記成膜空間内に放射
させるようにする。
【0035】また、前記マイクロ波アプリケーター手段
及び前記プラズマ制御手段は前記端面に垂直方向に配設
し、前記マイクロ波エネルギーを前記側壁と平行な方向
に放射させるようにする。本発明の方法においては、前
記マイクロ波エネルギーを前記マイクロ波アプリケータ
ー手段の先端部分に設けられたマイクロ波透過性部材及
びマイクロ波透過性部材に近接して設けたプラズマ制御
手段を介して放射させるようにする。そして、前記マイ
クロ波透過性部材にて前記マイクロ波アプリケーター手
段と前記成膜空間との気密を保持させるようにする。更
に、前記プラズマ制御手段は30mTorr以下の圧力
にて使用される。また、本発明の方法においては、前記
プラズマ制御手段により、マイクロ波プラズマを前記マ
イクロ波透過性部材の近傍には生起させず、前記成膜空
間内のみに生起せしめるようにする。一方、前記マイク
ロ波透過性部材と前記プラズマ制御手段との近傍より補
助原料ガスを導入するようにするが、前記補助原料ガス
としては、それ自身では堆積膜を形成することのないガ
スを用いるようにする。
【0036】また、前記マイクロ波アプリケーター手段
を、前記両端面おいて互いに対向して配設させる場合に
は、一方のマイクロ波アプリケーター手段より放射され
るマイクロ波エネルギーが他方のマイクロ波アプリケー
ター手段にて受信されないように配置する。
【0037】本発明の方法において、前記柱状の成膜空
間内に放射されたマイクロ波エネルギーは、前記成膜空
間外へ漏洩しないようにする。また、前記成膜空間内に
導入された堆積膜形成用原料ガスは、前記湾曲開始端形
成手段と前記湾曲終了端形成手段との間で前記帯状部材
の長手方向に残された間隙より排気するようにする。
【0038】更には、本発明の装置は、連続して移動す
る帯状部材上にマイクロ波プラズマCVD法により機能
性堆積膜を連続的に形成する装置であって、前記帯状部
材をその長手方向に連続的に移動させながら、その中途
で湾曲させるための湾曲部形成手段を介して、前記帯状
部材を側壁にして形成され、その内部を実質的に真空に
保持し得る柱状の成膜室を有し、前記成膜室内にマイク
ロ波プラズマを生起させるための、マイクロ波エネルギ
ーをマイクロ波の進行方向に対して平行な方向に放射さ
せるようにしたマイクロ波アプリケーター手段と、該マ
イクロ波アプリケーター手段に近接して設けた、前記マ
イクロ波アプリケーター手段より放射されたマイクロ波
の電界方向と全面的に直交することはなく、前記マイク
ロ波の進行方向に延在する複数の仕切り板で構成される
プラズマ制御手段と、前記成膜室内を排気する排気手段
と、前記成膜室内に堆積膜形成用原料ガスを導入するた
めのガス供給手段と、前記帯状部材を加熱及び/又は冷
却するための温度制御手段とを備えていて、前記帯状部
材の前記マイクロ波プラズマに曝される側の表面上に、
連続して堆積膜を形成するようにしたことを特徴とする
大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する装置である。
【0039】本発明の装置において、前記湾曲部形成手
段は、少なくとも一組以上の、湾曲開始端形成手段と湾
曲終了端形成手段とで構成され、前記湾曲開始端形成手
段と前記湾曲終了端形成手段とを、前記帯状部材の長手
方向に間隙を残して配設される。なお、前記湾曲部形成
手段は、少なくとも一対の支持・搬送用ローラーと支持
・搬送用リングとで構成され、前記一対の支持・搬送用
ローラーは前記帯状部材の長手方向に間隙を残して平行
に配設される。
【0040】本発明の装置において、前記帯状部材を側
壁として形成される柱状の成膜室の両端面のうち片側又
は両側に、少なくとも1つ以上の前記マイクロ波アプリ
ケーター手段及び該マイクロ波アプリケーター手段に近
接して設けたプラズマ制御手段が配設される。そして、
前記マイクロ波アプリケーター手段及び前記プラズマ制
御手段は、前記端面に垂直方向に配設される。本発明の
装置において、前記マイクロ波アプリケーター手段の先
端部分には、前記成膜室と前記マイクロ波アプリケータ
ー手段との気密分離を行い、且つ、前記マイクロ波アプ
リケーターから放射されるマイクロ波エネルギーを前記
成膜室内へ透過せしめるマイクロ波透過性部材が配設さ
れる。
【0041】本発明の装置において、前記マイクロ波ア
プリケーター手段には方形及び/又は楕円導波管を介し
てマイクロ波エネルギーが伝送される。そして、前記マ
イクロ波アプリケーター手段を前記成膜室の両端面にお
いて互いに対向して配設させる場合には、前記マイクロ
波アプリケーター手段に接続される前記方形及び/又は
楕円導波管の長辺を含む面同志、長軸を含む面同志、又
は長辺を含む面と長軸を含む面同志が互いに平行となら
ないよう配設される。また、前記方形及び/又は楕円導
波管の長辺を含む面及び/又は長軸を含む面と、前記一
対の支持搬送用ローラーの中心軸を含む面とのなす角度
が垂直とならないよう配設される。
【0042】本発明の装置において、前記プラズマ制御
手段は導波管構造を成しており、前記導波管構造は、そ
の内部におけるマイクロ波の進行方向に平行に設けられ
た複数の仕切り板によって分割されている。
【0043】そして、前記複数の仕切り板の互いの距離
は等しいか、又は互いの距離の差が2倍以内であり、又
前記複数の仕切り板の互いの距離に対する、そのマイク
ロ波の進行方向の長さの比が20以上である。また、前
記マイクロ波アプリケーター手段と前記プラズマ制御手
段とに近接して設けるようにする。
【0044】以下、本発明者らが本発明を完成させるに
あたり行った実験について詳しく説明する。
【0045】
【実験】本発明の装置を用いて、帯状部材上に機能性堆
積膜を均一に形成するための、マイクロ波プラズマの生
起条件について種々実験を行ったので、以下に詳述す
る。
【0046】
【実験1】本実験例においては、後述する装置例2で示
す装置を用い、また、後述する製造例1で説明する手順
でマイクロ波プラズマを生起させ、一対の導波管11
1,112の取り付け角度の違いによるマイクロ波プラ
ズマの安定性及びマイクロ波の成膜室外への漏洩度等に
ついて検討を行った。なお、プラズマ制御手段として
は、表1に示すタイプNo.1の構成のものを用いた。
なお、アプリケーター手段107,108とプラズマ制
御手段117,118との距離は夫々5mmとした。図
9に方形導波管111,112の取り付け角度の説明用
の模式的断面概略図を示した。実線で示した方形導波管
111と点線で示した方形導波管とは成膜室116の両
端面に対向して配設されたマイクロ波アプリケーター
(不図示)に接続されており、例えば、方形導波管11
1は図面手前側、方形導波管112は奥側に配設されて
いる。Oは湾曲形状の中心であり、A−A′は支持・搬
送用ローラー102と103との中心軸を含む面を表わ
しており、これに垂直な面をH−H′とする。そして、
方形導波管111の長辺を含む面に平行な面B−B′と
H−H′とのなす角度をθとし、これを方形導波管11
1の取り付け角度とする。また、方形導波管112の長
辺を含む面に平行な面C−C′とH−H′とのなす角度
をθ2とし、これを方形導波管112の取り付け角度と
する。ここで、方形導波管111,112の取り付け角
度θ1,θ2が各々180°を超える場合には、180°
以下の場合のH−H′に対する対称配置となる故、その
配置関係は180°以下の場合と同等である。勿論、θ
1とθ2とは相互に入れ替えても、対向している故、やは
り配置関係は同等である。
【0047】本発明において、支持・搬送用ローラー1
02,103とで限定される帯状部材の湾曲端間距離を
間隙Lと定義する。表1に示すマイクロ波プラズマ放電
条件にて、表3に示す種々のθ1,θ2の組み合わせ条件
におけるマイクロ波プラズマの安定性等について実験、
評価を行った。
【0048】なお、マイクロ波の漏洩度は支持・搬送用
ローラー102,103の間隙部分より5cm程度離れ
た場所にマイクロ波検知器を設けて評価を行った。評価
結果は表3に示すとおりであった。
【0049】これらの結果から、マイクロ波アプリケー
ターへの方形導波管の取り付け角度を変えることによっ
て、マイクロ波プラズマの安定性及びマイクロ波の成膜
室外への漏洩度が大きく変化することが判った。具体的
には、θ1及び/又はθ2が0°の場合には、マイクロ波
の漏れ量が最も大きく、放電状態も不安定であり、15
°程度ではマイクロ波の漏れ量が小さくはなるものの、
放電状態は不安定である。また、30°以上では、マイ
クロ波の漏れは無くなり放電状態は安定した。ただし、
θ1とθ2とがなす角度が0°又は180°即ち、方形導
波管の長辺を含む面が互いに平行な配置となる場合に
は、マイクロ波の漏れ量にかかわらず、発振異常による
電源ノイズが大きくなり、放電が不安定になる。なお、
この放電実験においては帯状部材101を静止させた場
合及び1.2m/minの搬送スピードで搬送させた場
合とで行ったが、両者において放電の安定性については
特に差異は認められなかった。また、50時間以上の連
続放電後にもマイクロ波透過性部材の成膜室側の表面上
には堆積膜の形成はほとんど行われなかった。
【0050】更に、マイクロ波プラズマ放電条件のう
ち、原料ガスの種類及び流量、マイクロ波電力、湾曲形
状の内直径、成膜室内圧、及びプラズマ制御手段の構
成、寸法等種々変化させた場合においても方形導波管の
配置に起因するマイクロ波の漏れ量及び放電安定性等に
ついて特に差異は認められなかった。また、プラズマ制
御手段を表1、タイプNo.6のものに変えて同様の実
験を行ったところ、全く同様の結果が得られた。
【0051】
【実験例2】本実験例においては、実験例1と同様、装
置例2で示した装置、及び表1に示すタイプNo.2の
構成のプラズマ制御手段を用い、図9で示した支持・搬
送用ローラー102,103の間隙Lを変化させたとき
のマイクロ波プラズマの安定性及び膜厚分布への影響等
について検討を行った。なお、アプリケーター手段10
7,108とプラズマ制御手段117,118との距離
は夫々0mmとした。
【0052】間隙Lについては表4に示した範囲で種々
変化させて各々約10分間の放電を行った。その他のマ
イクロ波プラズマ放電条件については表2に示したのと
同様とし、方形導波管の取り付け角度θ1,θ2は共に4
5°に配置した。ただし、成膜室圧力の変化は、排気ポ
ンプの能力は特に調整せず、間隙Lを大きくすることに
よってコンダクタンスが大きくなったために生じたもの
である。なお、帯状部材101の表面温度が350℃と
なるように温度制御機構106a〜eを動作させ、帯状
部材の搬送速度は70cm/minとした。表4に、放
電状態、膜厚分布等を評価した結果を示した。
【0053】なお、放電状態は目視にて、膜厚分布につ
いては、針ステップ式膜厚計にて帯状部材の幅方向につ
いて10点ずつ、長手方向には20cmごとに測定し、
その分布を評価した。
【0054】これらの結果から、排気ポンプの能力調整
は行わず、間隙Lを変化させることによって、成膜室内
の圧力が変化し、それにともない形成される堆積膜の膜
厚分布が、特に帯状部材の幅方向について顕著に変化す
ることが判った。また、方形導波管の取り付け角度を実
験例1においてマイクロ波の漏れが起こらなかった配置
にしても、間隙Lを大きくしすぎた場合には、やはりマ
イクロ波漏れが生ずることが判った。そして、間隙Lか
らのマイクロ波漏れが少なくなるのは間隙Lの寸法をマ
イクロ波の波長の好ましくは1/2波長以下、より好ま
しくは1/4波長以下としたときであった。なお、帯状
部材の長手方向での膜厚分布は、帯状部材を搬送してい
る限り良好であった。
【0055】作製した試料の中で堆積速度が速く、膜厚
分布が良好であった試料No.4の堆積速度は約100
Å/secであった。また、用いた原料ガスの総流量に
対して、帯状部材上に堆積された膜の量より計算される
原料ガス利用効率は約95%であった。また、放電が安
定した試料No.3〜5の条件の場合には50時間の連
続放電後にも、マイクロ波透過性部材の成膜室側の表面
上に堆積膜の形成はほとんど行われなかった。更に、マ
イクロ波プラズマ放電条件のうち、マイクロ波電力、湾
曲形状の内直径、及びプラズマ制御手段の構成、寸法等
について種々変化させた場合においても、間隙Lの大き
さに起因する膜厚分布及び放電安定性等については特に
差異は認められなかった。
【0056】
【実験例3】本実験例においては、実験例1と同様、装
置例2で示した装置及び、表1に示すタイプNo.3の
構成のプラズマ制御手段を用い、形成される湾曲形状の
内直径を変化させたときのマイクロ波プラズマの安定
性、膜厚分布等について検討を行った。湾曲形状の内直
径については表5に示した範囲で種々変化させた以外
は、表2に示したマイクロ波プラズマ放電条件と同様と
し、また、方形導波管の取り付け角度θ1,θ2は共に4
5°に配置した。なお、アプリケーター手段107,1
08とプラズマ制御手段117,118との距離は夫々
20mmとした。また、放電時間は各々10分間とし、
帯状部材の表面温度は実験例2と同様350℃とした。
また、帯状部材の搬送速度は70cm/minとした。
表5に、放電状態、膜厚分布等を評価した結果を示し
た。
【0057】なお、放電状態は目視にて、膜厚分布につ
いては、針ステップ式膜厚計にて帯状部材の幅方向につ
いて10点ずつ、長手方向には20cmごとに測定し、
その分布を評価した。これらの結果から、他の放電条件
は変えず、湾曲形状の内直径を変化させることによって
放電状態が変わり、形成される堆積膜の膜厚分布が、特
に帯状部材の幅方向について顕著に変化することが判っ
た。なお、帯状部材長手方向での膜厚分布は、帯状部材
を搬送している限り良好であった。また、放電が安定し
た試料No.10〜12の場合には、50時間の連続放
電後にも、マイクロ波透過性部材の成膜室側の表面上に
堆積膜の形成はほとんど行われなかった。
【0058】更に、マイクロ波プラズマ放電条件のう
ち、マイクロ波電力、成膜室内の圧力、及びプラズマ制
御手段の構成、寸法等について種々変化させた場合にお
いても、湾曲形状の内直径に起因する膜厚分布及び放電
安定性等については特に差異は認められなかった。
【0059】
【実験例4】本実験例においては、実験例1と同様、装
置例2で示した装置及び、表1に示すタイプNo.4の
構成のプラズマ制御手段を用い、成膜室内の圧力は一定
とし、原料ガス流量、マイクロ波電力を種々変化させた
ときのマイクロ波プラズマの安定性等について検討を行
った。なお、アプリケーター手段107,108とプラ
ズマ制御手段117,118との距離は30mmとし
た。成膜室圧力、原料ガス流量、及びマイクロ波電力に
ついては、表6に示した範囲で種々変化させた以外は、
表2に示したマイクロ波プラズマ放電条件と同様とし、
また、方形導波管の取り付け角度θ1,θ2は共に60
°、60°に配置した。表6に、放電状態を評価した結
果を示した。ここで、◎は放電安定、○は微小のチラツ
キはあるが、ほぼ放電安定、△はややチラツキはあるが
使用可能なレベルで放電安定の状態を表わしている。い
ずれの場合においても、マイクロ波電力を下げたり、成
膜室圧力を下げたり、原料ガスとしてのH2の流量を増
やしたりした場合には放電が不安定となるか、放電が生
起しなくなるほぼ限界値を表わしている。従って、逆に
マイクロ波電力を上げたり、成膜室圧力を上げたり、原
料ガスとしてのSiH4の流量を増やしたりした場合に
は放電はより安定な状態となることが判った。
【0060】なお、この放電実験においては帯状部材1
01を静止させた場合及び1.2m/minの搬送スピ
ードで搬送させた場合とで行ったが、両者において放電
の安定性等については特に差異は認められなかった。ま
た、放電状態が安定した夫々の条件にて、50時間の連
続放電を行った後においても、マイクロ波透過性部材の
成膜室側の表面上に堆積膜の形成はほとんど行われなか
った。また、プラズマ制御手段の構成を変えた場合には
正常な放電を維持できる成膜室圧力、原料ガス流量、及
びマイクロ波電力の範囲が変化したので、実験例6〜8
にて詳しく説明する。
【0061】
【実験例5】本実験例においては、実験例1と同様、装
置例2で示した装置及び、表1に示すタイプNo.5の
構成のプラズマ制御手段を用い、帯状部材の幅寸法を変
えたときの、マイクロ波プラズマの制御性、安定性及び
膜厚分布への影響等について検討を行った。帯状部材の
幅寸法については表7に示した範囲で種々変化させて、
各々10分間の放電を行った。その他のマイクロ波プラ
ズマ放電条件については表2に示したのと同様とし、方
形導波管の種類はEIAJ,WRI−32に変え、取り
付け角度θ1,θ2は共に60°、60°となるよう配置
した。そして、帯状部材の表面温度は実験例2と同様3
50℃とし、搬送速度は100cm/minとした。
【0062】なお、試料〓15〜17についてはマイク
ロ波アプリケーターは片側のみ、試料No.18〜21
については対向して一対配設した。表7に放電状態、膜
厚分布等を評価した結果を示した。評価方法は実験例2
と同様とした。また、プラズマ制御性については、後述
する実験例6と同様の評価を行った。これらの結果か
ら、帯状部材の幅寸法が変わることにより、マイクロ波
プラズマの制御性、安定性及び膜厚分布が変化すること
が判った。そして、片側からのマイクロ波電力の供給の
みではマイクロ波プラズマの安定性が欠けたり、膜厚分
布が大きくなる場合においても、マイクロ波アプリケー
ターを対向して一対設けることによっていずれも改善さ
れることが判った。また、放電状態が安定した夫々の条
件にて、50時間の連続放電を行った後においても、マ
イクロ波透過性部材の成膜室側の表面上に堆積膜の形成
はほとんど行われなかった。また、マイクロ波プラズマ
放電条件のうち、原料ガスの種類及び流量、マイクロ波
電力、成膜室内圧、及びプラズマ制御手段の構成、寸法
等種々変化させた場合においては、それぞれのパラメー
ター変化によってマイクロ波プラズマの制御性、安定性
及び膜厚分布が影響を受けることが判った。
【0063】
【実験例6】本実験例においては、後述する装置例7
(図6)で示す装置にて、表1に示したタイプNo.1
のプラズマ制御手段を用いその構成要素のうち、プラズ
マ制御手段の全長L、アプリケーター手段とプラズマ制
御手段との距離l及びプラズマ制御手段の内部の分割数
Nを変化させたときのマイクロ波プラズマ放電条件及び
プラズマの生起位置、制御性、安定性等について検討を
行った。方形導波管の取り付け角度θ1,θ2は共に45
°に配置し、帯状部材の表面温度は350℃とした。な
お、マイクロ波プラズマ放電条件範囲は表2に示した条
件を基準として、マイクロ波電力を増減させ、その時の
プラズマ状態を目視にて観察評価を行った。
【0064】表8に放電状態を評価した結果を示した。
ここで、◎は広いマイクロ波プラズマ放電条件範囲にて
アプリケーター手段近傍にはプラズマを生起させること
なく、成膜空間内のみにプラズマを生起させることがで
きた場合、○はある特定のマイクロプラズマ生起条件範
囲にてアプリケーター手段近傍にはプラズマを生起させ
ることなく、成膜空間内のみにプラズマを生起させるこ
とができた場合、△はアプリケーター手段近傍からプラ
ズマを離すことはできるがその状態は不安定であり、た
とえば放電がチラつく場合、×はどのプラズマ生起条件
にてもアプリケーター手段近傍からプラズマを離すこと
ができなかったり、全く放電が生起しなかった場合を表
わしている。
【0065】これらの結果から、プラズマ制御手段の全
長L、アプリケーター手段とプラズマ制御手段との距離
l及びプラズマ制御手段の内部の分割数Nの組合せが最
適化されることによって、アプリケーター手段近傍には
プラズマを生起させることなく、成膜空間内のみにプラ
ズマを生起させることができることがわかった。本放電
実験は帯状部材101を静止させた場合及び、1.2m
/minの搬送スピードで搬送させた場合とで行った
が、両者において放電の安定性等については特に差異は
認められなかった。また、放電状態が安定した夫々の条
件にて50時間の連続放電を行った後においても、マイ
クロ波透過性部材の成膜室側の表面上に堆積膜の形成は
行われなかった。
【0066】
【実験7】本実験例においては、実験例6での代表的条
件にて更に、成膜室内の圧力も変化させてマイクロ波プ
ラズマ条件及びプラズマの生起位置、制御性、安定性等
について検討を行った。
【0067】具体的には、表1に示すタイプNo.1の
プラズマ制御手段にて全長Lが122mm、分割数Nが
20のものを用い、距離lを10mmに設定し、成膜室
内の圧力を排気ポンプの排気コンダクタンスを変化させ
ることで0.5mTorrから100mTorrまで種
々変化させ、そして、所定の圧力においてアプリケータ
ー手段近傍にはプラズマを生起させることなく、成膜空
間内のみにプラズマを生起させることができる最小のマ
イクロ波電力の値(実際には、一対のマイクロ波アプリ
ケーターから同一のマイクロ波電力を導入させている
が、その片側から導入されるマイクロ波電力の値で表わ
すことにする。)を求め、これを放電維持最小マイクロ
波電力(W)と定めて縦軸にとり、横軸に成膜室内の圧
力(mTorr)をとってこれらの関係を図15に示し
た。
【0068】また、距離lを20mm、30mm及び4
0mmに変えて上述と同様の実験を行った結果も図15
中にまとめて示した。もちろん、マイクロ波電力を変化
させても放電そのものが生起しなかったり、アプリケー
ター近傍にはプラズマを生起させることなく、成膜空間
内のみにプラズマを生起させることができなかったり、
プラズマは生起しても不安定だったりした場合には、そ
れらの条件設定値は図15中には記載されていない。ま
た、成膜室内の圧力が100mTorrを越える場合に
は帯状部材上に形成される堆積膜の幅方向の膜厚分布が
大きく実用には適さないので検討は行わなかった。
【0069】これらの結果から、おおよそ次のことが判
った。すなわち、成膜室内の圧力を低くするにつれて所
望のプラズマ制御を行うのに必要なマイクロ波電力は増
加し、更に0.5mTorr程度まで圧力を低下させて
大電力を放射させると、プラズマ制御手段近傍で異常放
電等が発生し、プラズマは不安定となり、ついには電力
を導入しても放電は生起しなくなった。なお、アプリケ
ーター近傍にプラズマが生起するかしないかは、プラズ
マ制御手段の寸法及び設置位置等の条件によって変化し
た。一方、成膜室内の圧力を高くするにつれて所望のプ
ラズマ制御を行うのに必要なマイクロ波電力は減少する
ものの、比較的アプリケーター近傍にプラズマが生起し
易くなった。また、成膜室内の圧力が数10mTorr
程度と比較的高い場合には、放電維持最小電力の2〜3
倍以上の大電力を放射させた場合には、やはりプラズマ
制御手段近傍で異常放電が発生したり、所望のプラズマ
制御が行われなくなった。
【0070】本放電実験は帯状部材101を静止させた
場合及び、1.2m/minの搬送スピードで搬送させ
た場合とで行ったが、両者において放電の安定性等につ
いては特に差異は認められなかった。また、プラズマ制
御手段を全長Lが61mm,91.5mm及び152.
5mmのもの及びタイプNo.2,No.3の夫々に変
えた場合においても図15とほぼ同様の傾向が得られ
た。更に、放電状態が安定した夫々の条件にて50時間
の連続放電を行った後においても、マイクロ波透過性部
材の成膜室側の表面上に堆積膜の形成はほとんど行われ
なかった。
【0071】
【実験8】本実験例においては、実験例7にて更にプラ
ズマ制御手段の分割数Nを変化させた時の検討を行っ
た。具体的には、表1に示したタイプNo.1のプラズ
マ制御手段にて全長Lが122mmで、分割数Nを4か
ら24まで変化させたものを夫々用い距離lを10mm
に設定して、実験例7と同様のプラズマ生起条件の評価
を行った。
【0072】図16に得られた関係を示した。また他の
条件は変えず、距離lのみを20mm,30mm及び4
0mmに変えた場合、プラズマ制御手段の全長Lを61
mm,91.5mm及び152.5mmに変えた場合、
及びタイプNo.2,No.3の夫々に変えた場合にお
いても、ほぼ図16に示したのと同様の傾向が得られ
た。
【0073】これらの結果から、おおよそ次のことが判
った。すなわち、成膜室内の圧力を低くするにつれて所
望のプラズマ制御を行うのに必要なマイクロ波電力は増
加し、更に、0.5mTorr程度まで圧力を低下させ
て大電力を放射させると、プラズマ制御手段近傍で異常
放電等が発生し、プラズマは不安定となり、ついには電
力を導入しても放電は生起しなくなった。なお、アプリ
ケーター近傍にプラズマが生起するかしないかは、プラ
ズマ制御手段の寸法及び設置位置等の条件によって変化
した。一方、成膜室内の圧力を高くするにつれて所望の
プラズマ制御を行うのに必要なマイクロ波電力は減少す
るものの、比較的アプリケーター近傍にプラズマが生起
し易くなった。また、成膜室内の圧力が数10mTor
r程度と比較的高い場合には、放電維持最小電力の2〜
3倍以上の大電力を放射させた場合には、やはりプラズ
マ制御手段近傍で異常放電が発生したり、所望のプラズ
マ制御が行われなくなった。
【0074】本実験は帯状部材101を静止させた場
合、及び1.2m/minの搬送スピードで搬送させた
場合とで行ったが、両者において放電の安定性等につい
ては特に差異は認められなかった。また、放電状態が安
定した夫々の条件にて50時間の連続放電を行った後に
おいても、マイクロ波透過性部材の成膜室側の表面上に
堆積膜の形成はほとんど行われなかった。
【0075】
【実験結果の概要】本発明の方法及び装置において、マ
イクロ波プラズマの安定性、均一性、制御性等は、例え
ばマイクロ波アプリケーターの形状及びそれに接続され
る導波管の種類及び配置、成膜時の成膜室内の圧力、マ
イクロ波電力、マイクロ波プラズマの閉じ込めの程度、
放電空間の体積及び形状、そして用いるプラズマ制御手
段の構成、寸法等種々のパラメーターが複雑にからみ合
って維持されているので、単一のパラメーターのみで最
適条件を求めるのは困難であるが、本実験結果より、お
およそ次のような傾向及び条件範囲が判った。
【0076】成膜室の圧力に関しては、好ましくは1.
5mTorr乃至100mTorr、より好ましくは3
mTorr乃至50mTorrであることが判った。マ
イクロ波電力に関しては、好ましくは250×2W乃至
3000×2W、より好ましくは300×2W乃至10
00×2Wであることが判った。湾曲形状の内直径に関
しては、好ましくは7cm乃至45cm、より好ましく
は8cm乃至35cmであることが判った。また、帯状
部材の幅に関しては対向する一対のマイクロ波アプリケ
ーターを用いた場合には、好ましくは60cm程度、よ
り好ましくは50cm程度で幅方向の均一性が得られる
ことが判った。
【0077】また、マイクロ波プラズマ領域からのマイ
クロ波の漏れ量が大きくなるとマイクロ波プラズマの安
定性を欠くことが判り、帯状部材の湾曲端同志の間隙L
は好ましくはマイクロ波の1/2波長以下、より好まし
くは1/4波長以下に設定されることが望ましいことが
判った。
【0078】更に、本発明の方法及び装置において、マ
イクロ波プラズマをマイクロ波アプリケーターの先端部
分に設けられたマイクロ波透過性部材の近傍には生起さ
せず、成膜空間内のみに生起させるように制御するに
は、例えば表1に示した構成のプラズマ制御手段を前記
マイクロ波透過性部材の近傍0乃至50mmの位置に配
設し、所定のマイクロ波電力を導入すれば良い。そし
て、所望のプラズマ制御が行われない場合には、前記プ
ラズマ制御手段の構成のうち、全長L、分割数N、及び
距離l、また成膜室内の圧力、導入するマイクロ波電力
の値、マイクロ波アプリケーター間の距離等を適宜変化
させることで所望のプラズマ制御が行われる条件を設定
すれば良いことが判った。そして、プラズマ制御が良好
に行われた場合には前記マイクロ波透過性部材の成膜室
側の表面には、長時間の放電後にもほとんど堆積膜の形
成が行われないことが判った。
【0079】以下、前述の[実験]により判明した事実
をもとに本発明の方法及び装置について更に詳しく説明
する。
【0080】本発明の方法において、前記移動する帯状
部材の中途において、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端
形成手段とを用いて前記帯状部材を湾曲させて形成され
る柱状の成膜空間の側壁の大部分は、前記移動する帯状
部材で形成されるが、前記湾曲開始端形成手段と前記湾
曲終了端形成手段との間には前記帯状部材の長手方向に
間隙が残されるようにする。
【0081】そして、本発明の方法において、前記柱状
の成膜空間内にてマイクロ波プラズマを均一に生起させ
閉じ込めるには、前記帯状部材にて形成される側壁と平
行な方向に、前記成膜空間の両端面のうち片側又は両側
よりマイクロ波エネルギーを放射させ、前記成膜空間内
にマイクロ波エネルギーを閉じ込めるようにする。前記
帯状部材の幅が比較的狭い場合には、片側からマイクロ
波エネルギーを放射させるだけでも前記成膜空間内に生
起するマイクロ波プラズマの均一性は保たれるが、前記
帯状部材の幅が、例えばマイクロ波の波長の1波長を超
えるような場合には、両側からマイクロ波エネルギーを
放射させるのが、マイクロ波プラズマの均一性を保つ上
で好ましい。
【0082】もちろん、前記成膜空間内で生起するマイ
クロ波プラズマの均一性は、前記成膜空間内にマイクロ
波エネルギーが充分に伝送される必要があり、前記柱状
の成膜空間はいわゆる導波管に類する構造とされるのが
望ましい。また、堆積膜形成時にプラズマ電位を制御す
るためにバイアス電圧を印加する場合には、前記成膜空
間の内壁面は、所望の電流密度のバイアス電流が流れる
のに必要な導電性を有することが望ましい。そのために
はまず、前記帯状部材は導電性の材料で構成されること
が好ましいが、少なくとも前記成膜空間に向いている側
の面に導電処理が施されていることが必要である。
【0083】本発明の方法において、前記マイクロ波プ
ラズマのプラズマ電位を制御するには、バイアス印加手
段を前記成膜空間内に生起するプラズマに少なくともそ
の一部分が接するように配設するのが望ましい。前記バ
イアス印加手段は成膜空間内に堆積膜形成用原料ガスを
導入するためのガス供給手段を兼ねても良く、又、前記
ガス供給手段とは別に設けられた単数本又は複数本のバ
イアス棒であっても良い。前者の場合においては、バイ
アス電圧がガス供給手段を介して原料ガスボンベ、流量
制御系、配管等のいわゆるガス供給系に印加されて感
電、制御系の破損等の事故が発生しないように、該ガス
供給系とバイアス電圧の印加される前記ガス供給とはそ
の中途において絶縁分離されていることが望ましい。そ
して、その絶縁分離される位置は前記成膜空間に近接し
ていることが好ましい。
【0084】前記ガス供給手段を兼ねるバイアス印加手
段が前記マイクロ波プラズマに接する少なくとも一部に
は、前記バイアス電圧が印加されるように導電処理が施
されていることが望ましいが、プラズマ加熱等により変
形、破損、溶断等が発生しないようにその材質は配慮さ
れる必要がある。具体的には高融点金属又は高融点セラ
ミックスの上に高融点金属をコーティング処理して構成
するようにすることが望ましい。また、前記ガス供給手
段を兼ねるバイアス印加手段が前記成膜空間内に配設さ
れる位置は、前記マイクロ波プラズマがほぼ均一な導体
として作用しているが故、前記マイクロ波プラズマに接
して配設されている限り特に限定されないが、異常放電
の発生等を抑える上で前記帯状部材の内表面からは好ま
しくは10mm以上、より好ましくは20mm以上離し
て配設するのが望ましい。
【0085】一方、後者の場合においては、前記バイア
ス棒を構成する材質及びその配設される位置等について
は前述のバイアス印加手段がガス供給手段を兼ねる場合
と同様に配慮される。ただし、前記ガス供給手段は誘電
体で構成させることが、異常放電の発生の抑制や、均一
なプラズマ電位を前記成膜空間内で形成させる上で好ま
しいが、バイアス印加電圧が比較的低い場合等において
は、特にその材質については制限されることはない。
【0086】本発明の方法において、前記バイアス棒又
はガス供給手段を兼ねるバイアス印加手段が単数本配設
される場合には、バイアス電圧として直流、脈流及び交
流電圧を単独又は夫々を重畳させて印加させることが望
ましく、前記バイアス棒が複数本配設される場合には、
夫々に同電圧又は異なる電圧の直流電圧を印加させても
良く、又、直流、脈流及び交流電圧のそれぞれを単独又
は重畳させて印加させても良い。複数種のバイアス電圧
を印加させることにより、プラズマ電位の制御範囲が広
がるばかりでなく、プラズマの安定性、再現性及び膜特
性の向上、欠陥の発生の抑制等が図られる。
【0087】前記交流電圧としては、好ましくは正弦
波、方形波、三角波、パルス波、及びこれらを重畳させ
た波形等を挙げることができる。又、脈流電圧として
は、好ましくは前記交流電圧を半波整流又は全波整流し
た波形、及びランプ波等を挙げることができる。更に、
前記バイアス電圧の直流電圧又は最大振幅電圧は、形成
される堆積膜の諸特性及び欠陥の発生率等との兼ね合い
にて適宜設定されるが、プラズマの生起開始時から堆積
膜の形成開始及び終了時までの間において一定に保たれ
ていても良いが、形成される堆積膜の特性制御や欠陥発
生の抑制を図る上で連続的又は適宜の周期で変化させる
ことが好ましい。特に、スパーク等の異常放電が発生し
た場合には、バイアス電圧の急激な変動が起こるので、
電気的にこれを検知し、直ちにバイアス電圧を低下させ
るか、又は一時中断させて、再び所定のバイアス電圧に
復帰させることが、堆積膜の欠陥発生等を抑制する上で
好ましい。もちろん、これらの工程は手動にて行っても
良いが、自動制御回路をバイアス印加手段の制御回路中
に設けることが堆積膜の歩留り向上の上で好ましい。
【0088】本発明の方法において、前記バイアス印加
手段は前記帯状部材を兼ねても良い。この場合には、前
記成膜空間内に接地電極を設けるようにする。そして、
前記接地電極は前記ガス供給手段を兼ねても良い。
【0089】また、本発明の方法において、前記移動す
る帯状部材を前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成
手段とを用いて湾曲させて形成される柱状の成膜空間の
両端面の形成としては、前記成膜空間内に放射されたマ
イクロ波エネルギーがほぼ均一に前記成膜空間内に伝送
されるようにされるのが好ましく、円形状、楕円形状、
方形状、多角形状に類似する形であってほぼ対称な形で
比較的滑らかな湾曲形状であることが望ましい。もちろ
ん、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形成手段
との間に前記帯状部材の長手方向に残された間隙部分に
おいては、前記端面形状は不連続となる場合がある。
【0090】更には、本発明の方法において、前記成膜
空間内でのマイクロ波エネルギーの伝送を効率良く行う
とともに、マイクロ波プラズマを安定して生起、維持、
制御するためには、前記マイクロ波アプリケーター手段
中でのマイクロ波の伝送モードは単一モードであること
が望ましい。具体的には、TE10モード、TE11モー
ド、eH1モード、TM11モード、TM01モード等を挙
げることができるが、好ましくはTE10モード、TE11
モード、eH1モードが用いられる。これらの伝送モー
ドは単一でも、複数組み合わせて用いられても良い。ま
た、前記マイクロ波アプリケーター手段へは上述の伝送
モードが伝送可能な導波管を介してマイクロ波エネルギ
ーが伝送される。更に、前記マイクロ波エネルギーは、
前記マイクロ波アプリケーター手段の先端部分に設けら
れた気密性を有するマイクロ波透過性部材及び、該マイ
クロ波透過性部材に近接して設けたプラズマ制御手段を
介して前記成膜空間内へ放射される。
【0091】本発明の方法において、マイクロ波アプリ
ケーター手段中を進行するマイクロ波の電界方向と、プ
ラズマ制御手段中を進行するマイクロ波の電界方向とは
一致するようにプラズマ制御手段を配設するのが好まし
いが、一致しない場合でも適宜のプラズマ生起条件を選
択することによって所望のプラズマ制御を行うことがで
きる。
【0092】本発明の方法において、前記成膜空間には
前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段との間に
間隙が残されていて、該間隙から前記原料ガスが排気さ
れ、前記成膜空間内が所定の減圧状態に保持されるよう
にするが、前記間隙の寸法は充分な排気コンダクタンス
が得られると同時に、前記成膜空間内に放射されたマイ
クロ波エネルギーが前記成膜空間外へ漏洩しないように
特別配慮される必要がある。具体的には、マイクロ波ア
プリケーター手段及びプラズマ制御手段中を進行するマ
イクロ波の電界方向と、前記湾曲開始端形成手段として
の支持・搬送用ローラーの中心軸と前記湾曲終了端形成
手段としての支持・搬送用ローラーの中心軸とを含む面
とが互いに平行とならないように前記マイクロ波アプリ
ケーター手段を配設するようにする。
【0093】そして、複数個の前記マイクロ波アプリケ
ーター手段よりプラズマ制御手段を介して前記成膜空間
内にマイクロ波エネルギーを放射させる場合には、各々
のマイクロ波アプリケーター手段及びプラズマ制御手段
について前述のごとく配慮される必要がある。
【0094】更に、前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了
端形成手段との間に残された間隙の、前記帯状部材の長
手方向の開口幅の最大寸法はマイクロ波の波長の好まし
くは1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以下と
するのが望ましい。
【0095】本発明の方法において、複数個の前記マイ
クロ波アプリケーター手段及びプラズマ制御手段を互い
に対向させて配設させる場合には、一方のマイクロ波ア
プリケーター手段よりプラズマ制御手段を介して放射さ
れたマイクロ波エネルギーを、他方のマイクロ波アプリ
ケーター手段が受信し、受信されたマイクロ波エネルギ
ーが前記他方のマイクロ波アプリケーター手段に接続さ
れているマイクロ波電源にまで達して、該マイクロ波電
源に損傷を与えたり、マイクロ波の発振に異常を生ぜし
める等の悪影響を及ぼすことのないように特別配慮され
る必要がある。具体的には、前記マイクロ波アプリケー
ター手段及びプラズマ制御手段中を進行するマイクロ波
の電界方向同志が互いに平行とならないように前記マイ
クロ波アプリケーター及びプラズマ制御手段を配設する
ようにする。
【0096】特に、マイクロ波アプリケーター手段中を
進行するマイクロ波の電界方向とプラズマ制御手段中を
進行するマイクロ波の電界方向とが一致していない場合
には、プラズマ制御手段中を進行するマイクロ波の電界
方向同志が互いに平行とならないように、プラズマ制御
手段を配設するようにする。
【0097】本発明の方法において、前記成膜空間の両
端面のうち片側のみからマイクロ波エネルギーを放射さ
せる場合には、他方の端面からのマイクロ波エネルギー
の漏洩がないようにすることが必要であり、前記端面を
導電性部材で密封したり、穴径が用いるマイクロ波の波
長の好ましくは1/2波長以下、より好ましくは1/4
波長以下の金網、パンチングボードなどで覆うことが望
ましい。
【0098】本発明の方法において、前記成膜空間内に
放射されたマイクロ波エネルギーは、前記成膜空間内に
導入される原料ガスの種類にもよるが、前記成膜空間内
の圧力に強い相関を持ちながら、且つ、前記マイクロ波
アプリケーターの先端部分に設けられたマイクロ波透過
性部材からの距離の増大と共に著しく減少する傾向を示
す。従って、比較的幅広の帯状部材を用いた場合におい
て、幅方向に対して均一なマイクロ波プラズマを生起さ
せるには、前記成膜空間内の圧力を十分に低く保持し、
前記成膜空間の両端面より、少なくとも一対以上のマイ
クロ波アプリケーター手段を介してマイクロ波エネルギ
ーを前記成膜空間内に放射させるのが望ましい。
【0099】本発明の方法において、前記マイクロ波ア
プリケーター手段及びプラズマ制御手段は放射するマイ
クロ波エネルギーの進行方向が、前記帯状部材で形成さ
れる成膜空間の側壁に対してほぼ平行となるように、前
記成膜空間の端面に対して垂直に配設するのが望まし
い。また、前記マイクロ波アプリケーター手段及びプラ
ズマ制御手段は前記側壁からほぼ等距離の位置に配設さ
れるのが望ましいが、前記側壁の湾曲形状が非対称であ
る場合等においては特に配設される位置は制限されるこ
とはない。もちろん、複数のマイクロ波アプリケーター
手段及びプラズマ制御手段が対向して配設される場合に
おいてもそれらの中心軸は同一線上にあっても、なくて
も良い。
【0100】本発明の方法において、前記帯状部材にて
形成される湾曲形状は、その中で生起されるマイクロ波
プラズマの安定性、均一性を保つ上で常に一定の形状が
保たれることが好ましく、前記帯状部材は前記湾曲開始
端形成手段及び前記湾曲終了端形成手段によってシワ、
たるみ、横ずれ等が生ぜぬように支持されるのが望まし
い。そして、前記湾曲開始端形成手段及び前記湾曲終了
端形成手段に加えて、湾曲形状を保持するための支持手
段を設けても良い。具体的には前記湾曲した帯状部材の
内側又は外側に所望の湾曲形状を連続的に保持するため
の支持手段を設ければ良い。前記湾曲した帯状部材の内
側に前記支持手段を設ける場合には、堆積膜の形成され
る面に対して接触する部分をできるだけ少なくするよう
に配慮する。例えば、前記帯状部材の両端部分に前記支
持手段を設けるのが好ましい。
【0101】前記帯状部材としては、前記湾曲形状を連
続的に形成できる柔軟性を有するものを用い、湾曲開始
端、湾曲終了端及び中途の湾曲部分においては滑らかな
形状を形成させることが望ましい。前記成膜空間内にガ
ス供給手段により導入された堆積膜形成用原料ガスは、
効率良く前記成膜空間外に排気され前記成膜空間内は前
記マイクロ波プラズマが均一に生起される程度の圧力に
保たれるようにする。
【0102】本発明の方法において、マイクロ波プラズ
マをマイクロ波アプリケーターの先端部分に設けられた
マイクロ波透過性部材の近傍には生起させず、成膜空間
内のみに生起させるようにプラズマ制御手段を用いる。
該プラズマ制御手段の機能としては、マイクロ波アプリ
ケーターから放射されたマイクロ波エネルギーを、その
内部においては減衰量を最小限に留めつつ、効率良く成
膜空間内に伝播させ、且つ、その内部及び近接する空
間、特にマイクロ波アプリケーターとの間に残された空
間においてプラズマを生起させない程度にマイクロ波電
力を分割せしめることが望ましい。そのような具体的方
法としては、所定の長さの導波管の内部を、マイクロ波
の進行方向にほぼ平行に設けられた仕切り板にて数個の
導波路に分割したものを、前記マイクロ波透過性部材の
近傍、且つ成膜室との間に設けることが挙げられる。マ
イクロ波アプリケーター手段から放射されるマイクロ波
エネルギーを効率良くプラズマ制御手段へ伝播させるに
は、前記仕切り板の面が、マイクロ波アプリケーター手
段中を進行するマイクロ波の電界方向に対して垂直にな
るようにプラズマ制御手段を配設すれば良い。
【0103】前記導波管のマイクロ波の進行方向に対す
る垂直断面の形状としては円形、方形、楕円等を挙げる
ことができ、また、その口径サイズは用いるマイクロ波
アプリケーターの口径サイズにほぼ等しいことが望まし
い。プラズマ制御手段としての前記導波管の内部は前記
仕切り板によって数個の導波路に分割されるが、分割さ
れる数及びそれらの間隔は、用いる導波管の口径サイ
ズ、長さ及びその内部を伝播するマイクロ波電力、そし
て設置される位置等によって適宜調整される。これらの
パラメーターは有機的に結びついており、一概に最適条
件を定義することは困難である。しかし、前記導波管内
部に仕切り板によって形成された前記導波路内部におい
ては、マイクロ波プラズマが生起しない程度に充分にマ
イクロ波電力が分割されていることが必要であり、例え
ばマイクロ波アプリケーターより放射されるマイクロ波
エネルギーが比較的小さい場合には分割数は少なく、逆
に大きい場合には分割数は多く設定される。このように
前記導波管内部が分割されることで、形成される導波路
内でのプラズマ損失が大きくなり、又伝播するマイクロ
波電力も小さくなるのでプラズマは該導波路内部でより
維持されにくくなる。
【0104】本発明の方法において、前記導波管内に設
けられる前記仕切り板は前記アプリケーター手段内を進
行するマイクロ波の電界方向に対して夫々ほぼ垂直に、
且つ等間隔で配置されることが望ましいが、形成される
夫々の導波路の内部においてプラズマが生起したり、マ
イクロ波の伝播に減衰が生じたりしない範囲であれば間
隔は等しくなくとも良く、又互いに平行でなくとも良
い。しかし、それらの互いの距離の差は、2倍以内であ
ることが望ましい。本発明の方法において、マイクロ波
透過性部材の成膜室側の表面上に、更に堆積膜を形成し
にくくするには、前記マイクロ波透過性部材と前記プラ
ズマ制御との間に、それ自身では堆積膜を形成すること
がない補助原料ガスを導入することが好ましい。
【0105】前記補助原料ガスの具体例としては、H
e,Ar,Ne,Kr,Xe等の希ガス、H2,N2,O
2,HF,NH3,NO,N2O等のガスを挙げることが
でき、これらは1種類又は2種類以上混合して使用する
ことができる。中でもHe,Ar,H2等がより好適な
ものとして挙げることができる。本発明の方法におい
て、前記導波管を構成する材質としてはその内部でのマ
イクロ波エネルギーの伝播時の減衰量を最小限に留める
ために、導波管の表面でのオーム損失が小さいものが好
ましく用いられる。具体的には、Al,Ag,Au,真
ちゅう,ステンレススチール等の金属類及びそれらの合
金、又は石英,アルミナ,窒化ケイ素等のガラス又はセ
ラミックスの表面に前記金属類が鍍金,蒸着,溶射処理
等されたもの等が挙げられる。
【0106】本発明の方法において、プラズマ制御手段
とマイクロ波アプリケーター手段との中心軸は、マイク
ロ波アプリケーター手段から放射されるマイクロ波エネ
ルギーがプラズマ制御手段へ対称性、及び効率良く放射
され、更に該プラズマ制御手段を介して成膜室内へ均一
性、及び効率良く放射されるために、互いに一致してい
ることが望ましい。又、プラズマ制御手段とマイクロ波
アプリケーター手段とのマイクロ波の進行方向に垂直な
断面の形状及び面積が互いに類似していることが望まし
く、特にプラズマ制御手段の断面積がより大きいことが
望ましい。本発明の方法において用いられるプラズマ制
御手段の全長Lは、用いるマイクロ波の1/4波長以上
であれば所望の機能を生ぜしめることができるが、プラ
ズマ制御手段内でのマイクロ波エネルギーの減衰を最小
限に留めるため、仕切り板の互いの距離の好ましくは2
倍以上50倍以内、より好ましくは5倍以上30倍以内
であることが望ましい。
【0107】本発明の方法において用いられるプラズマ
制御手段は、好ましくは0.1mTorr〜500mT
orr、より好ましくは0.5mTorr〜100mT
orr、最適には1mTorr〜50mTorrにおい
て用いられる。本発明の方法において、プラズマ制御手
段を構成する仕切り板は、マイクロ波アプリケーター手
段より放射されたマイクロ波の電界方向とすべてが直交
して設置される必要はなく、部分的に直交していなくと
も充分にその機能を果たすことができる。すなわち、マ
イクロ波アプリケーターから放射されるマイクロ波の電
界がすべて平行である場合には一つのプラズマ制御手段
の内で仕切り板が湾曲していたり、仕切り板が平行であ
る場合にはプラズマ制御手段全体を傾斜させていても良
く、あるいは、マイクロ波の電界が湾曲している場合に
は、プラズマ制御手段の内で仕切り板がすべて平行であ
っても良い。
【0108】本発明の方法において、前記柱状の成膜空
間内においてマイクロ波プラズマを均一に安定して生
起、維持させるためには、前記成膜空間の形状及び容
積、前記成膜空間内に導入する原料ガスの種類及び流
量、前記成膜空間内の圧力、前記成膜空間内へ放射され
るマイクロ波エネルギー量、マイクロ波の整合、及びバ
イアス印加電圧等について各々最適な条件があるもの
の、これらのパラメーターは相互に有機的に結びついて
おり、一概に定義されるものではなく、適宜好ましい条
件を設定するのが望ましい。即ち、本発明の方法によれ
ば、帯状部材を側壁とした成膜空間を形成し、且つ、該
成膜空間の側壁を構成する前記帯状部材を連続的に移動
せしめると共に、前記成膜空間の側壁を構成する帯状部
材の幅方向に対してほぼ均一にマイクロ波エネルギーを
放射せしめるようにマイクロ波アプリケーター手段及び
プラズマ制御手段を配置し、マイクロ波プラズマの生起
・維持条件、及びバイアス印加条件を調整・最適化する
ことによって、大面積にわたって高品質の機能性堆積膜
を連続して、均一性及び再現性良く形成することができ
る。
【0109】本発明の方法が従来の堆積膜形成方法から
客観的に区別される点は、成膜空間を柱状とし、その側
壁が連続的に移動しつつも、構造材としての機能を果た
し、且つ、堆積膜形成用の基板又は支持体をも兼ねるよ
うにした点にある。ここで、構造材としての機能とは、
特に、成膜用の雰囲気空間すなわち成膜空間と成膜用に
は関与しない雰囲気空間とを物理的、化学的に隔離する
機能であって、具体的には、例えば、ガス組成及びその
状態の異なる雰囲気を形成したり、ガスの流れる方向を
制限したり、更には、圧力差の異なる雰囲気を形成した
りする機能を意味するものである。
【0110】即ち、本発明の方法は、前記帯状部材を湾
曲させて柱状の成膜空間の側壁を形成し、他の残された
壁面、すなわち両端面及び前記側壁の一部に残された間
隙のうちのいずれかの箇所より、堆積膜形成用の原料ガ
ス及びマイクロ波エネルギーを前記成膜空間内に供給
し、また、排気させることによって、マイクロ波プラズ
マを前記成膜空間内に閉じ込め、前記側壁を構成する帯
状部材上に機能性堆積膜を形成せしめるものであり、前
記帯状部材そのものが成膜空間を成膜用には関与しない
外部雰囲気空間から隔離するための構造材としての重要
な機能を果たしているとともに、堆積膜形成用の基板又
は支持体として用いることができる。従って、前記帯状
部材を側壁として構成される成膜空間の外部の雰囲気
は、前記成膜空間内とは、ガス組成及びその状態、圧力
等について相当異なる状態となっている。
【0111】一方、従来の堆積膜形成方法においては堆
積膜形成用の基板又は支持体は、堆積膜を形成するため
の成膜空間内に配設され、専ら、該成膜空間にて生成す
る例えば堆積膜形成用の前駆体等を堆積させる部材とし
てのみ機能するものであり、本発明の方法におけるよう
に前記成膜空間を構成する構造材として機能させるもの
ではない。また、従来法であるRFプラズマCVD法、
スパッタリング法等においては、前記堆積膜形成用の基
板又は支持体は放電の生起、維持のための電極を兼ねる
ことはあるがプラズマの閉じ込めは不充分であり、成膜
用には関与しない外部雰囲気空間との隔離は不充分であ
って、構造材として機能しているとは言い難い。
【0112】一方、本発明の方法は、機能性堆積膜形成
用の基板又は支持体として機能し得る帯状部材を前記成
膜空間の側壁として用い、前記構造材としての機能を発
揮せしめると共に、前記帯状部材上への機能性堆積膜の
連続形成をも可能にするものである。本発明の方法にお
いて、前記帯状部材を用いて柱状空間の側壁を形成し、
該柱状空間内にマイクロ波エネルギーを前記帯状部材の
幅方向にほぼ均一に放射させて、前記柱状空間内にマイ
クロ波を閉じ込めることによって、マイクロ波エネルギ
ーは効率良く前記柱状空間内で消費されて、均一なマイ
クロ波プラズマが生起され、形成される堆積膜の均一性
も高まる。更には、前記マイクロ波プラズマに曝される
側壁を構成する帯状部材を絶えず連続的に移動させ、前
記成膜空間外へ排出させることによって、前記帯状部材
上に、その移動方向に対して均一性の高い堆積膜を形成
することができる。
【0113】本発明の方法においては、前記帯状部材で
成膜空間を形成し、該成膜空間内でのみ堆積膜を形成せ
しめるように、前記成膜空間外におけるガス組成及びそ
の状態は前記成膜空間内とは異なるように条件設定す
る。例えば、前記成膜空間外のガス組成については、堆
積膜形成には直接関与しないようなガス雰囲気としても
良いし、前記成膜空間から排出される原料ガスを含んだ
雰囲気であっても良い。また、前記成膜空間内にはマイ
クロ波プラズマが閉じ込められているのはもちろんであ
るが、前記成膜空間の外部には前記マイクロ波プラズマ
が漏洩しないようにすることが、プラズマの安定性、再
現性の向上や不要な箇所への膜堆積を防ぐ上でも有効で
ある。具体的には前記成膜空間の内外で圧力差をつけた
り、電離断面積の小さいいわゆる不活性ガス、H2ガス
等の雰囲気を形成したり、あるいは、積極的に前記成膜
空間内からマイクロ波の漏洩が起こらないような手段を
設けることが有効である。マイクロ波の漏洩防止手段と
しては、前記成膜空間の内外を結ぶ間隙部分を導電性部
材で密封したり、穴径が好ましくは用いるマイクロ波の
1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以下の金
網、パンチングボードで覆っても良く、また、前記成膜
空間の内外を結ぶ間隙の最大寸法がマイクロ波の波長の
好ましくは1/2波長以下、より好ましくは1/4波長
以下とするのが望ましい。また、前記成膜空間の外での
圧力を前記成膜空間内の圧力に比較して非常に低く設定
するか又は逆に高く設定することによっても、前記成膜
空間外でマイクロ波プラズマが生起しないような条件設
定ができる。
【0114】このように、前記帯状部材に成膜空間を構
成する構造材としての機能をもたせることに、本発明の
方法の特徴があり、従来の堆積膜形成方法とは区別さ
れ、更に多大な効果をもたらす。
【0115】以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD
装置の構成及び特徴点について更に詳細に順を追って記
載する。
【0116】本発明の装置によれば、マイクロ波プラズ
マ領域を移動しつつある帯状部材で閉じ込めることによ
り、前記マイクロ波プラズマ領域内で生成した堆積膜形
成に寄与する前駆体を高い収率で基板上に捕獲し、更に
は堆積膜を連続して帯状部材上に形成できるため、堆積
膜形成用原料ガスの利用効率を飛躍的に高めることがで
きる。更には、本発明のマイクロ波アプリケーター手段
及びプラズマ制御手段を介して、前記成膜空間内に均一
なマイクロ波プラズマが生起されるため、前記帯状部材
の幅方向に形成される堆積膜の均一性が優れているのは
もちろんのこと、前記帯状部材を前記マイクロ波アプリ
ケーター手段の長手方向に対してほぼ垂直方向に連続的
に搬送することにより、前記帯状基体の長手方向に形成
される堆積膜の均一性にも優れたものとなる。また、本
発明の装置によれば、長時間の連続放電においてもマイ
クロ波導入手段を構成するマイクロ波透過性部材上に堆
積膜が形成されず、従ってマイクロ波の透過量に変化、
減衰が生ずることがなくなるため、連続して安定に均一
性良くマイクロ波放電が維持できるため、長尺の帯状部
材上に長時間連続して、安定した特性の機能性堆積膜を
堆積形成でき、また、界面特性の優れた積層デバイスを
作製することができる。
【0117】本発明の装置において好適に用いられる帯
状部材の材質としては、マイクロ波プラズマCVD法に
よる機能性堆積膜形成時に必要とされる温度において変
形、歪みが少なく、所望の強度を有し、また、導電性を
有するものであることが好ましく、具体的には、ステン
レススチール、アルミニウム及びその合金、鉄及びその
合金、銅及びその合金等の金属の薄板及びその複合体、
及びそれらの表面に異種材質の金属薄膜をスパッタ法、
蒸着法、鍍金法等により表面コーティング処理を行った
もの。又、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレ
フタレート、エポキシ等の耐熱性樹脂性シート又はこれ
らとガラスファイバー、カーボンファイバー、ホウ素フ
ァイバー、金属繊維等との複合体の表面に金属単体又は
合金、及び透明導電性酸化物(TCO)等を鍍金、蒸
着、スパッタ、塗布等の方法で導電性処理を行ったもの
が挙げられる。また、前述の構成の帯状部材の導電性処
理面上にSiO2,Si34,Al23,AlN、及び
前述の耐熱性樹脂等の絶縁性薄膜を一部形成させたもの
を用いることもできる。
【0118】また、前記帯状部材の厚さとしては、前記
搬送手段による搬送時に形成される湾曲形状が維持され
る強度を発揮する範囲内であれば、コスト、収納スペー
ス等を考慮して可能な限り薄い方が望ましい。具体的に
は、好ましくは0.01mm乃至5mm、より好ましく
は0.02mm乃至2mm、最適には0.05mm乃至
1mmであることが望ましいが、比較的金属等の薄板を
用いた方が厚さを薄くしても所望の強度が得られやす
い。また、前記帯状部材の幅寸法については、前記マイ
クロ波アプリケーター手段を用いた場合においてその長
手方向に対するマイクロ波プラズマの均一性が保たれ、
且つ、前記湾曲形状が維持される程度であることが好ま
しく、具体的には好ましくは5cm乃至10cm、より
好ましくは10cm乃至80cmであることが望まし
い。
【0119】更に、前記帯状部材の長さについては、特
に制限されることはなく、ロール状に巻き取られる程度
の長さであっても良く、長尺のものを溶接等によって更
に長尺化したものであっても良い。
【0120】本発明の装置において、前記帯状部材を連
続的に湾曲させながら支持・搬送する手段としては、搬
送時に前記帯状部材がたるみ、シワ、横ズレ等を生ずる
ことなく、その湾曲した形状を一定に保つことが必要で
ある。例えば、所望の湾曲形状を有する支持・搬送用リ
ングを少なくとも一対設け、該支持・搬送用リングにて
前記帯状部材の好ましくは両端を支持し、またその形状
に沿わせて湾曲させ、更に前記帯状部材の長手方向に設
けられた少なくとも一対の湾曲開始端形成手段及び湾曲
終了端形成手段としての支持・搬送用ローラーにて絞り
込み、ほぼ柱状に湾曲させ、更に前記支持・搬送用リン
グ及び支持・搬送用ローラーの少なくとも一方に駆動力
を与えて、湾曲形状を維持しつつ前記帯状部材をその長
手方向に搬送せしめる。なお、前記支持・搬送用リング
にて前記帯状部材を支持・搬送する方法としては単なる
滑り摩擦のみによっても良いし、あるいは前記帯状部材
にスプロケット穴等の加工を施し、又前記支持・搬送用
リングについてもその周囲に鋸刃状の突起を設けたいわ
ゆるギア状のものも用いたりしても良い。
【0121】前記支持・搬送用リングの形状について
は、湾曲形状を形成するにあたり、好ましくは円形状で
あることが望ましいが、楕円状、方形状、多角形状であ
っても連続的に一定してその形状を保つ機構を有するも
のであれば特に支障はない。搬送速度を一定に保つこと
が、前記湾曲形状にたるみ、シワ、横ズレ等を生ぜしめ
ることなく搬送する上で重要なポイントとなる。従っ
て、前記支持・搬送機構には前記帯状部材の搬送速度の
検出機構及びそれによるフィードバックのかけられた搬
送速度調整機構が設けられることが望ましい。また、こ
れらの機構は半導体デバイスを作製する上での膜厚制御
に対しても多大な効果をもたらす。
【0122】また、前記支持・搬送用リングはその目的
上プラズマに曝される程度の差はあれ、マイクロ波プラ
ズマ領域内に配設されることとなる。従って、マイクロ
波プラズマに対して耐え得る材質、すなわち耐熱性、耐
腐食性等に優れたものであることが望ましく、又、その
表面には堆積膜が付着し、長時間の堆積操作時には該付
着膜が剥離、飛散し、形成しつつある堆積膜上に付着し
て、堆積膜のピンホール等の欠陥発生の原因となり、結
果的には作製される半導体デバイスの特性悪化や歩留り
低下の原因となるので、前記堆積膜の付着係数が低い材
質もしくは付着しても相当の膜厚まで強い付着力を保持
し得る材質及び表面形状のもので構成されることが望ま
しい。具体的材質としては、ステンレススチール、ニッ
ケル、チタン、バナジウム、タングステン、モリブデ
ン、ニオブ及びその合金を用いて加工されたもの、また
はその表面にアルミナ、石英、マグネシア、ジルコニ
ア、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等のセ
ラミックス材料を溶射法、蒸着法、スパッタ法、イオン
プレーティング法、CVD法等によりコーティング処理
したもの、または前記セラミックス材料の単体もしくは
複合体で成形加工したもの等を挙げることができる。ま
た、表面形状としては鏡面加工、凹凸加工等堆積される
膜の応力等を考慮して適宜選択される。
【0123】前記支持・搬送用リングに付着した堆積膜
は剥離、飛散等が発生する以前に除去されることが好ま
しく、真空中にてドライエッチング又は分解後ウェット
エッチング、ビーズブラスト等の化学的、物理的手法に
よって除去されることが望ましい。前記支持・搬送用ロ
ーラーは、前記支持・搬送用リングに比較して前記帯状
部材に接触する面積は大きく設計されるので、前記帯状
部材との熱交換率は大きい。従って、該支持・搬送用ロ
ーラーで前記帯状部材の温度が極端に上昇又は低下する
ことのないように適宜温度調整がなされる機構を有する
ものであることが望ましい。しかるに、少なくとも一対
以上設けられる支持・搬送用ローラーの設定温度が異な
るということもあり得る。更に、前記支持・搬送用ロー
ラーには前記帯状部材の搬送張力検出機構が内蔵される
ことも搬送速度を一定に保持する上で効果的である。
【0124】更に、前記支持・搬送用ローラーには前記
帯状部材の搬送時のたわみ、ねじれ、横ずれ等を防ぐた
めにクラウン機構が設けられることが好ましい。本発明
において形成される湾曲形状は、前記アプリケーター手
段の先端部分を一部包含するように柱状に形成される。
前記帯状部材を側壁として形成される柱状の成膜室の両
端面の形状としては、ほぼ円形状、楕円状、方形状、多
角形状等であって、且つ前記マイクロ波アプリケーター
手段及びプラズマ制御手段が配設される位置は、ほぼ前
記形状の中心付近であることが、前記成膜室内に均一に
マイクロ波プラズマを生起せしめ、形成される堆積膜の
均一性を高める上で望ましい。
【0125】また、前記湾曲部分の端面の内径はマイク
ロ波の伝送モード及びマイクロ波プラズマ領域の体積を
決定し、実質的には前記帯状部材が搬送中に前記マイク
ロ波プラズマ領域に曝される時間と相関して形成される
堆積膜の膜厚が決定され、且つ、前記帯状部材の幅寸法
と相関して前記成膜室の内表面積に対する前記側壁の面
積比が決まり堆積膜形成用原料ガスの利用効率が決定さ
れる。そして、前記マイクロ波プラズマ領域において、
安定したマイクロ波プラズマを維持するためのマイクロ
波電力密度(W/cm3)は用いられる原料ガスの種類
及び流量、圧力、マイクロ波アプリケーターのマイクロ
波の放射、伝達能力、プラズマ制御手段の形状及び配設
位置、マイクロ波プラズマ領域の絶対体積等の相関によ
って決まり、一概に定義することは困難である。
【0126】本発明の装置において、前記成膜室内で堆
積される膜の膜厚を制御する方法としては、堆積速度を
変化させたり、帯状部材の搬送速度を変化させる以外
に、前記側壁の一部分を覆い隠すような基板カバーを挿
入しても良い。前記帯状部材を太陽電池用の基板として
用いる場合には、該帯状部材が金属等の電気導電性であ
る場合には直接電流取り出し用の電極としても良いし、
合成樹脂等の電気絶縁性である場合には堆積膜の形成さ
れる側の表面にAl,Ag,Pt,Au,Ni,Ti,
Mo,W,Fe,V,Cr,Cu,ステンレス,真ちゅ
う,ニクロム,SnO2,In23,ZnO,SnO2
In23(ITO)等のいわゆる金属単体又は合金、及
び透明導電性酸化物(TCO)を鍍金、蒸着、スパッタ
等の方法であらかじめ表面処理を行って電流取り出し用
の電極を形成しておくことが望ましい。また、素子分離
の工程を容易にさせる目的で、一部絶縁膜を形成させて
おいても良い。
【0127】もちろん、前記帯状部材が金属等の電気導
電性のものであっても、長波長光の基板表面上での反射
率を向上させたり、基板材質と堆積膜との間での構成元
素の相互拡散を防止したり短絡防止用の干渉層とする等
の目的で異種の金属層等を前記基板上の堆積膜が形成さ
れる側に設けても良い。又、前記帯状部材が比較的透明
であって、該帯状部材の側から光入射を行う層構成の太
陽電池とする場合には前記透明導電性酸化物や金属薄膜
等の導電性薄膜をあらかじめ堆積形成しておくことが望
ましい。
【0128】また、前記帯状部材の表面性としてはいわ
ゆる平滑面であっても、微小の凹凸面であっても良い。
微小の凹凸面とする場合にはその凹凸形状は球状、円錐
状、角錐状等であって、且つその最大高さ(Rmax)は
好ましくは500Å乃至5000Åとすることにより、
該表面での光反射が乱反射となり、該表面での反射光の
光路長の増大をもたらす。
【0129】本発明の装置におけるマイクロ波アプリケ
ーター手段は、マイクロ波電源より供給されるマイクロ
波エネルギーを前記成膜室内に放射して、前記ガス導入
手段から導入される堆積膜形成用原料ガスをプラズマ化
し維持させることができる構造を有するものである。具
体的には、マイクロ波伝送用導波管の先端部分に前記マ
イクロ波透過性部材を、気密保持が可能な状態に取り付
けたものが好ましく用いられる。そして前記マイクロ波
アプリケーター手段は前記マイクロ波伝送用導波管と同
一規格のものであっても良いし、他の規格のものであっ
ても良い。また、前記マイクロ波アプリケーター手段中
でのマイクロ波の伝送モードは、前記成膜室内でのマイ
クロ波エネルギーの伝送を効率良く行わせしめ、且つ、
マイクロ波プラズマを安定して生起・維持・制御せしめ
る上で、単一モードとなるように前記マイクロ波アプリ
ケーターの寸法・形状等が設計されるのが望ましい。但
し、複数モードが伝送されるようなものであっても、使
用する原料ガス、圧力、マイクロ波電力等のマイクロ波
プラズマ生起条件を適宜選択することによって使用する
こともできる。単一モードとなるように設計される場合
の伝送モードとしては、例えばTE10モード、TE11
ード、eH1モード、TM11モード、TM01モード等を
挙げることができるが、好ましくはTE10モード、TE
11モード、eH1モードが選択される。そして、前記マ
イクロ波アプリケーター手段には、上述の伝送モードが
伝送可能な導波管が接続され、好ましくは該導波管中の
伝送モードと前記マイクロ波アプリケーター手段中の伝
送モードとは一致させるのが望ましい。
【0130】前記導波管の種類としては、使用されるマ
イクロ波の周波数帯(バンド)及びモードによって適宜
選択され、少なくともそのカットオフ周波数は使用され
る周波数よりも小さいものであることが好ましく、具体
的にはJIS,EIAJ,IEC,JAN等の規格の方
形導波管、円形導波管、又は楕円導波管等の他、2.4
5GHzのマイクロ波用の自社規格として、方形の断面
の内径で幅96mm×高さ27mmのもの等を挙げるこ
とができる。
【0131】前記マイクロ波透過性部材は前記マイクロ
波アプリケーター手段の先端部分に設けられ、前記成膜
室内の真空雰囲気と前記マイクロ波アプリケーター手段
の設置されている外気とを分離し、その内外間に存在し
ている圧力差に耐え得るような構造に設計される。具体
的には、そのマイクロ波の進行方向に対する断面形状が
好ましくは円形、方形、楕円形の平板、ベルジャー状、
ダブレット状、円錐状とされるのが望ましい。
【0132】また、前記マイクロ波透過性部材のマイク
ロ波の進行方向に対する厚さは、ここでのマイクロ波の
反射が最小に抑えられるように用いる材質の誘電率を考
慮して、設計されるのが望ましく、例えば平板状である
ならばマイクロ波の波長の1/2波長にほぼ等しくされ
るのが好ましい。更に、その材質としては、マイクロ波
アプリケーター手段から放射されるマイクロ波エネルギ
ーを最小の損失で前記成膜室内へ透過させることがで
き、また、前記成膜室内への大気の流入が生じない気密
性の優れたものが好ましく、具体的には石英、アルミ
ナ、窒化ケイ素、ベリリア、マグネシア、ジルコニア、
窒化ホウ素、炭化ケイ素等のガラス又はファインセラミ
ックス等が挙げられる。また、前記マイクロ波透過性部
材はマイクロ波エネルギー及び/又はプラズマエネルギ
ーによる加熱によって熱劣化(ヒビ割れ、破壊)等を起
こすことを防止するため均一に冷却されることが好まし
い。
【0133】具体的な冷却手段としては、前記マイクロ
波透過性部材の大気側の面に向けて吹きつけられる冷却
空気流であってもよいし、前記マイクロ波アプリケータ
ー手段そのものを冷却空気、水、オイル、フレオン等の
冷却媒体にて冷却し、前記マイクロ波アプリケーター手
段に接する部分を介して前記マイクロ波透過性部材を冷
却しても良い。前記マイクロ波透過性部材を充分に低い
温度まで冷却することで、比較的高いパワーのマイクロ
波エネルギーを前記成膜室内へ導入しても、発生する熱
によって前記マイクロ波透過性部材にひび割れ等の破壊
を生じさせることなく、高電子密度のプラズマを生起す
ることができる。
【0134】本発明の装置において、マイクロ波アプリ
ケーター手段の先端部分に設けられたマイクロ波透過性
部材近傍でプラズマを生起させることなく、且つ成膜空
間内にマイクロ波エネルギーを効率良く放射し、均一な
マイクロ波プラズマを該成膜空間内に生起せしめるため
に設けられるプラズマ制御手段は、前記マイクロ波透過
性部材の成膜空間側の面に近接して配設される。
【0135】以下、図面を用いてその形状及び配設位置
等についての具体例を説明するが、本発明の装置におけ
るプラズマ制御手段はこれらに限定されるわけではな
い。
【0136】図3乃至図5に本発明の装置におけるマイ
クロ波アプリケーター手段とプラズマ制御手段との配置
関係及びプラズマ制御手段の形状を示す模式的概略図を
示した。なお、図3及び図5ではアプリケーター手段は
省略されている。図3乃至図5に示す例は、プラズマ制
御手段の外観が夫々、ほぼ円柱状、角柱状及び楕円柱状
である場合の典型例であり、図中の同じ番号の部材は同
じ機能をもつものを表わしている。マイクロ波アプリケ
ーター306の外筒307の先端部分に設けられたマイ
クロ波透過性部材308の成膜空間側の面に近接して、
距離lにて長さLのプラズマ制御手段301が夫々配置
されている。
【0137】プラズマ制御手段301は、夫々側壁30
2及び複数枚の仕切り板303にて構成される、一種の
導波管構造を成している。すなわち、複数の仕切り板3
03にて複数の導波路304が形成されている。また、
マイクロ波透過性部材308とプラズマ制御手段301
との間には補助原料ガス供給パイプ305が挿入されて
おり、不図示のガス供給手段よりHe,Ar,Ne,K
r,Xe等の希ガス、H2,N2,O2,HF,NH3,N
O,N2O等のそれ単独では堆積膜を形成することがな
いガスが一種類又は複数種類混合されて導入される。
【0138】仕切り板303はアプリケーター手段30
6中を進行するマイクロ波の電界方向に対して夫々ほぼ
直交して配置されることが望ましく、更に、互いの間隔
は等しいことが望ましいが、個々の導波路304内にお
いてプラズマが生起したり、マイクロ波の伝播に減衰が
生じたりしない範囲であれば特に制限されることはな
い。また、複数の仕切り板303にて分割されて形成さ
れる導波路の個数Nは個々の導波路内においてプラズマ
が生起したり、マイクロ波の伝送に減衰が生じたりしな
い範囲において適宜決定される。
【0139】プラズマ制御手段301とマイクロ波アプ
リケーター手段306とはマイクロ波の進行方向におけ
る中心軸が互いに一致し、またマイクロ波の進行方向に
垂直な断面の形状及び面積が互いに類似していること
が、マイクロ波アプリケーター手段からマイクロ波エネ
ルギーがプラズマ制御手段へ対称性、及び効率良く放射
され、該プラズマ制御手段を介して更に成膜空間内に均
一性、及び効率良くマイクロ波エネルギーが放射される
上で好ましい。ただし、前記中心軸のズレが多少生じて
も所望のプラズマ制御を行うことはできる。プラズマ制
御手段の長さLは、用いるマイクロ波の1/4波長以上
であれば特に制限はないがプラズマ制御手段内でのマイ
クロ波の減衰を最小限に留め、又装置の全体構成を省ス
ペース化する点で、用いるマイクロ波の好ましくは2波
長以下、より好ましくは1波長以下であることが望まし
い。
【0140】また、マイクロ波アプリケーター手段30
6の先端部からプラズマ制御手段301までの距離l
は、マイクロ波アプリケーター手段から放射されるマイ
クロ波エネルギーをプラズマ制御手段へ効率よく導き、
またこの間でプラズマが生起しない条件にて決定される
が、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm
以下に設定される。そして、この最適条件はプラズマ制
御手段の長さL、プラズマ制御手段内の導波路の個数
N、成膜空間内の圧力及びマイクロ波の投入電力等に相
関して決定される。
【0141】本発明の装置において用いられるプラズマ
制御手段を構成する材質としては、比較的耐熱性があっ
て、温度上昇時に変形、歪みが少なく、導電性を有する
ものであることが好ましく、具体的にはAl,Ni,T
i,V,W,Mo,Nb,Fe,Cr,Ag,Au,P
t,ステンレススチール,真ちゅう等のいわゆる金属単
体又は合金、あるいは石英、アルミナ、窒化ケイ素、ベ
リリア、マグネシア、ジルコニア、窒化ホウ素、炭化ケ
イ素等のガラス又はセラミックス等の表面に前記金属単
体又は合金をコーティングしたものが挙げられる。ま
た、これらの材料の板厚はその断面でのマイクロ波の反
射を抑え、かつプラズマ制御手段が空間的に占める割合
を最小限に留めるために可能な限り薄い方が良い。
【0142】本発明の装置において、マイクロ波電源よ
り供給されるマイクロ波エネルギーは、前記マイクロ波
アプリケーター手段を介して効率良く前記成膜室内へ放
射されるため、いわゆるマイクロ波アプリケーターに起
因する反射波に関する問題は回避しやすく、マイクロ波
回路においてはスリースタブチューナー又はE−Hチュ
ーナー等のマイクロ波整合回路を用いなくとも比較的安
定した放電を維持することが可能であるが、放電開始前
や放電開始後でも異常放電等により強い反射波を生ずる
ような場合にはマイクロ波電源の保護のために前記マイ
クロ波整合回路を設けることが望ましい。
【0143】本発明の装置において、前記成膜室には前
記湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段との間に間
隙が残されていて、該間隙から前記原料ガスを排気し、
前記成膜室内が所定の減圧状態に保持されるようにする
が、前記間隙の寸法は充分な排気コンダクタンスが得ら
れると同時に、前記成膜室内に放射されたマイクロ波エ
ネルギーが前記成膜室外へ漏洩しないように設計される
必要がある。具体的には、マイクロ波アプリケーター手
段及びプラズマ制御手段中を進行するマイクロ波の電界
方向と、前記湾曲開始端形成手段としての支持・搬送用
ローラーの中心軸と前記湾曲終了端形成手段としての支
持・搬送用ローラーの中心軸とを含む面とが互いに平行
とならないように前記マイクロ波アプリケーター手段及
びプラズマ制御手段を配設する。すなわち、前記マイク
ロ波アプリケーター手段に接続される前記導波管の長辺
又は長軸を含む面と前記一対の支持・搬送用ローラーの
中心軸を含む面とが平行とならないように、前記導波管
を配設させる。
【0144】そして、複数個の前記マイクロ波アプリケ
ーター手段及びプラズマ制御手段を介して前記成膜室内
にマイクロ波エネルギーを放射させる場合には、各々の
マイクロ波アプリケーター手段について前述のごとく配
設されることが必要である。また、マイクロ波アプリケ
ーター手段中を進行するマイクロ波の電界方向とプラズ
マ制御手段中を進行するマイクロ波の電界方向Lが一致
していない場合には、プラズマ制御手段中を進行するマ
イクロ波の電界方向同志が互いに平行とならないよう
に、プラズマ制御手段を配設するようにする。
【0145】更に、前記湾曲開始端形成手段と湾曲終了
端形成手段との間に残された間隙の、前記帯状部材の長
手方向の開口幅の最大寸法は該間隙からのマイクロ波エ
ネルギーの漏洩を防止する上で、マイクロ波の波長の好
ましくは1/2波長以下、より好ましくは1/4波長以
下とするのが望ましい。
【0146】本発明の装置において、複数個の前記マイ
クロ波アプリケーター手段及びプラズマ制御手段を互い
に対向させて配設させる場合には、一方のマイクロ波ア
プリケーター手段及びプラズマ制御手段より放射された
マイクロ波エネルギーを、他方のマイクロ波アプリケー
ター手段及びプラズマ制御手段が受信し、受信されたマ
イクロ波エネルギーが前記他方のマイクロ波アプリケー
ター手段に接続されているマイクロ波電源にまで達し
て、該マイクロ波電源に損傷を与えたり、マイクロ波の
発振に異常を生ぜしめる等の悪影響を及ぼすことのない
ように配置する必要がある。具体的には、前記マイクロ
波アプリケーター手段中を進行するマイクロ波の電界方
向同志が互いに平行とならないように前記マイクロ波ア
プリケーター手段を配設する。すなわち、前記マイクロ
波アプリケーター手段に接続される前記導波管の長辺又
は長軸を含む面とが互いに平行とならないように前記導
波管を配設する。
【0147】本発明の装置において、前記成膜室の両端
面のうち片側のみからマイクロ波エネルギーを放射させ
る場合には、他方の端面からのマイクロ波エネルギーの
漏洩がないようにすることが必要であり、前記端面を導
電性部材で密封したり、穴径が用いるマイクロ波の波長
の好ましくは1/2波長以下、より好ましくは1/4波
長以下の金網、パンチングボードなどで覆うことが望ま
しい。
【0148】本発明の装置において用いられるマイクロ
波電源から供給されるマイクロ波周波数は、好ましくは
民生用に用いられている2.45GHzが挙げられる
が、他の周波数帯のものであっても比較的入手し易いも
のであれば用いることができる。また、安定した放電を
得るには発振様式はいわゆる連続発振であることが望ま
しく、そのリップル幅が、使用出力領域において、好ま
しくは30%以内、より好ましくは10%以内であるこ
とが望ましい。本発明の方法及び装置において連続形成
される機能性堆積膜としては非晶質、結晶質を問わず、
Si,Ge,C等いわゆるIV族半導体薄膜、SiG
e,SiC,SiSn等いわゆるIV族合金半導体薄
膜、GaAs,GaP,GaSb,InP,InAs等
いわゆるIII−V族化合物半導体薄膜、及びZnS
e,ZnS,ZnTe,CdS,CdSe,CdTe等
いわゆるII−VI族化合物半導体薄膜等が挙げられ
る。
【0149】本発明の方法及び装置において用いられる
前記機能性堆積膜形成用原料ガスとしては、上述した各
種半導体薄膜の構成元素の水素化物、ハロゲン化物、有
機金属化合物等で前記成膜室内へ好ましくは気体状態で
導入できるものが選ばれ使用される。もちろん、これら
の原料化合物は1種のみならず、2種以上混合して使用
することもできる。又、これらの原料化合物はHe,N
e,Ar,Kr,Xe,Rn等の希ガス、及びH2,H
F,HCl等の希釈ガスと混合して導入されても良い。
また、連続形成される前記半導体薄膜は価電子制御及び
禁制帯幅制御を行うことができる。具体的には価電子制
御剤又は禁制帯幅制御剤となる元素を含む原料化合物を
単独で、又は前記堆積膜形成用原料ガス又は前記希釈ガ
スに混合して前記成膜室内へ導入してやれば良い。
【0150】
【装置例】以下、図面を用いて本発明の具体的装置例を
挙げて説明するが、本発明はこれらの装置例によって何
ら限定されるものではない。
【0151】
【装置例1】図1に本発明のマイクロ波プラズマCVD
装置の模式的透視概略図を示した。101は帯状部材で
あり、支持・搬送用ローラー102,103及び支持・
搬送用リング104,105によって円柱状に湾曲した
形状を保ちながら、図中矢印(→)方向に搬送され成膜
室116を連続的に形成する。106a乃至106eは
帯状部材101を加熱又は冷却するための温度制御機構
であり、各々独立に温度制御がなされる。本装置例にお
いて、マイクロ波アプリケーター107,108及びプ
ラズマ制御手段117,118は各々一対ずつ対向して
設けられており、マイクロ波アプリケーター107,1
08の先端部分にはマイクロ波透過性部材109,11
0が各々設けられていて、また、方形導波管111,1
12が各々支持・搬送用ローラーの中心軸を含む面に対
してその長辺を含む面が垂直とならぬよう、且つ、お互
いに長辺を含む面が平行とならぬように配設されてい
る。また、仕切り板119,120が夫々方形導波管1
11,112の取り付け角度と同じ角度となるようにプ
ラズマ制御手段117,118が配設されている。なお
図1において、説明のためにマイクロ波アプリケーター
107、プラズマ制御手段117、及びガス導入管12
1は支持・搬送用リング104から切り離した状態を示
してあるが、堆積膜形成時には、図中矢印方向に配設さ
れる。
【0152】113は堆積膜形成用原料ガス導入管、1
21,122は補助原料ガス導入管、114は排気管で
あり不図示の排気ポンプに接続されている。115a,
115bは隔離通路であり、本発明の装置を他の成膜手
段を含む容器等との接続を行うときに設けられる。支持
・搬送用ローラー102,103には、搬送送度検出機
構、張力検出調整機構(いずれも不図示)が内蔵され、
帯状部材101の搬送送度を一定に保たれるとともに、
その湾曲形状が一定に保たれる。導波管111,112
には不図示のマイクロ波電源が接続されている。
【0153】図2にマイクロ波アプリケーター手段10
7,108を具体的に説明するための断面模式図を示し
た。200はマイクロ波アプリケーターであり、図中左
側矢印方向から不図示のマイクロ波電源より方形導波管
208を介してマイクロ波が伝送される。
【0154】201,202はマイクロ波透過性部材で
あり、メタルシール212及び固定用リング206を用
いて、内筒204、外筒205に固定されており、真空
シールがされている。また内筒204と外筒205との
間には冷却媒体209が流れるようになっており、一方
の端はOリング210でシールされていて、マイクロ波
アプリケーター200全体を均一に冷却するようになっ
ている。冷却媒体209としては、水、フレオン、オイ
ル、冷却空気等が好ましく用いられる。マイクロ波透過
性部材201にはマイクロ波整合用円板203a,20
3bが固定されている。外筒205には溝211の加工
されたチョークフランジ207が接続されている。ま
た、213,214は冷却空気の導入孔、及び/又は排
出孔であり、アプリケーター内部を冷却するために用い
られる。
【0155】本装置例において、内筒204の内側の形
状は円筒状であり、その内直径及びマイクロ波の進行方
向の長さは導波管としての機能を果たすように設計され
る。すなわち、その内直径は、カットオフ周波数が用い
るマイクロ波の周波数よりも小さく、且つ、複数モード
が立たない範囲で可能な限り大きく、また、長さについ
ては好ましくはその内部において定在波がたたないよう
な長さに設計されるのが望ましい。もちろん、前記内筒
204の内側の形状は角柱状であっても良い。
【0156】なお、本装置例では図3に示した構成のプ
ラズマ制御手段を具備しているが、もちろん図4又は図
5に示した構成のいずれのプラズマ制御手段を具備して
も良い。
【0157】
【装置例2】本装置例では、装置例1で示した装置を隔
離容器中に配設した場合を挙げることができる(不図
示)。隔離容器の形状としては、装置例1で示した各構
成治具を内蔵できるものであれば、特に制限はないが、
立方体状、直方体状の他円筒状等のものが好適に用いら
れる。また、成膜室116と隔離容器との間に残された
空間には補助ガス導入管が設けられ、該空間での放電防
止用の圧力調整用の希ガス、H2ガス等が導入される。
また、前記空間は成膜室116の排気用ポンプで同時に
排気されても良く、また、独立の排気ポンプが接続され
ていても良い。
【0158】
【装置例3】本装置例では、装置例1において、マイク
ロ波アプリケーターを角柱状のものに変え、プラズマ制
御手段を図4に示したものに変えた以外は同様の構成の
ものを挙げることができる。角柱状のマイクロ波アプリ
ケーターの断面寸法は、用いる導波管の寸法と同じでも
良いし、異なっていても良い。また、用いるマイクロ波
の周波数に対して、複数モードが立たない範囲で可能な
限り大きくするのが望ましい。
【0159】
【装置例4】本装置例では、装置例2において、装置例
3で用いた角柱状のマイクロ波アプリケーター手段を用
いた以外は同様の構成としたものを挙げることができ
る。
【0160】
【装置例5,6】本装置例では、装置例1及び2におい
て、円筒状マイクロ波アプリケーター手段のかわりに、
楕円柱状マイクロ波アプリケーター手段を用いた以外は
同様の構成としたものを挙げることができる。
【0161】
【装置例7】本装置例では、図6に示したごとく、装置
例2で示した堆積膜形成用のマイクロ波プラズマCVD
装置に帯状部材101の送り出し及び巻き取り用の真空
容器401及び402をガスゲート421及び422を
用いて接続した装置を挙げることができる。
【0162】なお、本装置例では図3に示した構成のプ
ラズマ制御手段を具備しているが、もちろん図4又は図
5に示した構成のいずれのプラズマ制御手段を具備して
も良い。400は隔離容器、403は帯状部材の送り出
し用ボビン、404は帯状部材の巻き取り用ボビンであ
り、図中矢印方向に帯状部材が搬送される。もちろんこ
れは逆転させて搬送することもできる。また、真空容器
401,402中には帯状部材の表面保護用に用いられ
る合紙の巻き取り、及び送り込み手段を配設しても良
い。前記合紙の材質としては、耐熱性樹脂であるポリイ
ミド系、テフロン系、ポリエステル系、ポリエチレン
系、及びグラスウール等、又はこれらの表面に金属をコ
ーティングしたものが好ましく用いられる。406,4
07は張力調整及び帯状部材の位置出しを兼ねた搬送用
ローラーである。412,413は帯状部材の予備加熱
又は冷却用に用いられる温度調整機構である。407,
408,409は排気量調整用のスロットルバルブ、4
10,411,420は排気管であり、それぞれ不図示
の排気ポンプに接続されている。414,415は圧力
計、又、416,417はゲートガス導入管、418,
419はゲートガス排気管であり、不図示の排気ポンプ
によりゲートガス及び/又は堆積膜形成用原料ガスが排
気される。
【0163】
【装置例8】本装置例では、図7に示したごとく、装置
例7で示した装置に、更に2台の本発明のマイクロ波プ
ラズマCVD法による堆積膜形成装置の内蔵された隔離
容器400−a,400−bを両側に接続して、積層型
デバイスを作製できるように構成したものを挙げること
ができる。なお、本装置例においては隔離容器400,
400a,400b中には図3に示した構成のプラズマ
制御手段を具備した例を示したが、各々の隔離容器中に
は図4又は図5に示した構成のいずれのプラズマ制御印
加手段を具備しても良い。
【0164】図中a及びbの符号をつけたものは、基本
的には隔離容器400中で用いられたものと同様の効果
を有する機構である。501,502,503,504
は各々ガスゲート、505,506,507,508は
各々ゲートガス導入管、509,510,511,51
2は各々ゲートガス排気管、513はガス導入管であ
る。
【0165】
【装置例9,10】装置例7及び8においてマイクロ波
アプリケーター201を装置例3又は4で用いた角柱状
のマイクロ波アプリケーターに変えた以外は同様の構成
としたものを挙げることができる。
【0166】
【装置例11,12】装置例7及び8においてマイクロ
波アプリケーターを装置例5又は6で用いた楕円柱状の
マイクロ波アプリケーターに変えた以外は同様の構成と
したものを挙げることができる。
【0167】
【装置例13】本装置例では図8に示したごとく、装置
例7で示した装置に、更に2台の従来法であるRFプラ
ズマCVD装置を両側に接続して、積層型デバイスを作
製できるように構成したものを挙げることができる。な
お、本装置例では隔離容器400中には図3に示した構
成のプラズマ制御手段を具備しているが、もちろん図4
又は図5に示した構成のいずれのプラズマ制御手段を具
備しても良い。
【0168】ここで、601,602は真空容器、60
3,604はRF印加用カソード電極、605,606
はガス導入管兼ヒーター、607,608は基板加熱用
ハロゲンランプ、609,610はアノード電極、61
1,612は排気管である。
【0169】
【装置例14,15】本装置例では、装置例1及び2で
示した装置において、比較的幅の狭い帯状部材を用いた
場合として、マイクロ波アプリケーターを成膜室の片側
一方の端面のみに配設したものを挙げることができる。
ただし、この場合にはもう一方の端面にはマイクロ波漏
洩防止用の金網、パンチングボード、金属薄板等が設け
られる。
【0170】
【その他の装置例】例えば、装置例8において、堆積膜
形成用の隔離容器400,400−a,400−b中
に、上述した種々の形状のマイクロ波アプリケーターを
組み合わせて取り付けた装置。また、装置例8で示した
装置を2連又は3連接続した装置、及び前述のRFプラ
ズマCVD法による堆積膜形成手段を混在させて接続し
た装置等を挙げることができる。
【0171】また、装置例1又は2で示した装置におい
て、成膜室の両端面に2対又はそれ以上のマイクロ波ア
プリケーターを配設し、より大きなマイクロ波プラズマ
領域を形成させ、帯状部材の搬送送度は変えず、比較的
厚膜の機能性堆積膜を形成できるようにした装置等を挙
げることができる。
【0172】本発明の方法及び装置によって好適に製造
される半導体デバイスの一例として太陽電池が挙げられ
る。その層構成として、典型的な例を模式的に示す図を
図11乃至図14に示す。図11に示す例は、支持体9
01上に下部電極902、n型半導体層903、i型半
導体層904、p型半導体層905、透明電極906及
び集電電極907をこの順に堆積形成した光起電力素子
900である。なお、本光起電力素子では透明電極90
6の側より光の入射が行われることを前提としている。
【0173】図12に示す例は、透光性の支持体901
上に透明電極906、p型半導体層905、i型半導体
層904、n型半導体層903及び下部電極902をこ
の順に堆積形成した光起電力素子900eである。本光
起電力素子では透光性の支持体901の側より光の入射
が行われることを前提としている。
【0174】図13に示す例は、バンドギャップ及び/
又は層厚の異なる2種の半導体層をi層として用いたp
in接合型光起電力素子911,912を2素子積層し
て構成されたいわゆるダブル型光起電力素子913であ
る。901は支持体であり、下部電極902、n型半導
体層903、i型半導体層904、p型半導体層90
5、n型半導体層908、i型半導体層909、p型半
導体層910、透明電極906及び集電電極907がこ
の順に積層形成され、本光起電力素子では透明電極90
6の側より光の入射が行われることを前提としている。
【0175】図14に示す例は、バンドギャップ及び/
又は層厚の異なる3種の半導体層をi層として用いたp
in接合型光起電力素子920,921,923を3素
子積層して構成された、いわゆるトリプル型光起電力素
子924である。901は支持体であり、下部電極90
2、n型半導体層903、i型半導体層904、p型半
導体層905、n型半導体層914、i型半導体層91
5、p型半導体層916、n型半導体層917、i型半
導体層918、p型半導体層919、透明電極906及
び集電電極907がこの順に積層形成され、本光起電力
素子では透明電極906の側より光の入射が行われるこ
とを前提としている。なお、いずれの光起電力素子にお
いてもn型半導体層とp型半導体層とは目的に応じて各
層の積層順を入れ変えて使用することもできる。
【0176】
【製造例】以下、本発明のマイクロ波プラズマCVD装
置を用いての具体的製造例を示すが、本発明はこれらの
製造例によって何ら限定されるものではない。
【0177】
【製造例1】装置例7で示した連続式マイクロ波プラズ
マCVD装置(図6)を用い、アモルファスシリコン膜
の連続堆積を行った。まず、基板送り出し機構を有する
真空容器401に、充分に脱脂、洗浄を行ったSUS4
30BA製帯状基板(幅45cm×長さ700m×厚さ
0.127mm)の巻きつけられたボビン403をセッ
トし、該基板101をガスゲート421及び隔離容器4
00中の搬送機構を介して、更にガスゲート422を介
し、基板巻き取り機構を有する真空容器402まで通
し、たるみのない程度に張力調整を行った。
【0178】そこで、各真空容器401,402及び隔
離容器400を不図示のロータリポンプで荒引きし、次
いで不図示のメカニカルブースターポンプを起動させ1
-3Torr付近まで真空引きした後、更に温度制御機
構106a,106bを用いて、帯状部材101の表面
温度を350℃に保持しつつ、不図示の油拡散ポンプ
(バリアン製HS−32)にて5×10-6Torr以下
まで真空引きした。なお、マイクロ波アプリケーターの
形状、プラズマ制御手段及び湾曲形状等の条件を表9に
示した。
【0179】十分に脱ガスが行われた時点で、ニッケル
製のガス導入管113より、SiH4380sccm,
SiF44sccm,H2300sccmを導入し、前記
油拡散ポンプに取り付けられたスロットルバルブの開度
を調整して隔離容器400内の圧力を5mTorrに保
持した。圧力が安定したところで、不図示の2.45G
Hz仕様のマイクロ波電源より、実効パワーで0.6k
W×2のマイクロ波を対向して一対設けられたアプリケ
ーター107,108より成膜室内に放射させた。直ち
に、導入された原料ガスはプラズマ化し、プラズマ領域
を形成し、該プラズマ領域は支持・搬送用ローラー10
2,103の間隙より隔離容器側に漏れ出ることはなか
った。また、マイクロ波の漏れも検出されなかった。
【0180】そこで、支持・搬送用ローラー102,1
03及び支持・搬送用リング104,105(いずれも
駆動機構は不図示)を起動し、前記基板101の搬送ス
ピードが80cm/minとなるように制御した。搬送
を開始してもプラズマは安定しており、バイアス電圧、
電流ともに変化はなかった。なお、ガスゲート421,
422はゲートガス導入管416,417よりゲートガ
スとしてH2ガスを400sccm流し、排気孔41
8,418より不図示の油拡散ポンプで排気し、ガスゲ
ート内圧は2mTorrとなるように制御した。
【0181】搬送を開始してから30分間、連続して堆
積膜の形成を行った。なお、長尺の基板を用いているた
め、本製造例の終了後、引き続き他の堆積膜の形成を実
施し、すべての堆積終了後、基板を冷却して取り出し、
本製造例において形成された帯状部材上の堆積膜膜厚分
布を幅方向及び長手方向について測定したところ5%以
内に納まっており、堆積速度は平均95Å/secであ
った。また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキ
ン・エルマー社製1720X)を用い反射法により赤外
吸収スペクトルを測定したところ、2000cm-1及び
630cm-1に吸収が認められ、a−Si:H:F膜に
特有の吸収パターンであった。更に、RHEED(JE
M−100SX、日本電子製)により膜の結晶性を評価
したところ、ハローで、非晶質であることが判った。ま
た、金属中水素分析計(EMGA−1100、堀場製作
所製)を用いて膜中水素量を定量したところ20±2a
tomic%であった。
【0182】更に、帯状部材上に堆積形成されたアモル
ファスシリコン膜を約5cm2の領域にわたって機械的
に剥離させてその体積を測定し、ひき続き、ESR装置
(JES−RE2X、日本電子製)にてスピン密度を測
定したところ、3×1015spins/cm3であり、
欠陥の少ない膜であることが判った。また、前記帯状部
材の他の部分より1cm×1cmの試料片を任意に5ヶ
所切り出し、反応性スパッタリング装置(自社内製品)
にセットしてアモルファスシリコン膜の堆積された面上
に1500ÅのITO(In23+SnO2)膜を堆積
した。そして、この試料片をCPM(Constant
Photocurrent Method)装置(自
社内製装置)にセットし、ITO膜側から光入射を行っ
てアーバック裾(Urbach Tail)の傾きを測
定したところ、46±1meVで、欠陥の少ない膜であ
ることが判った。
【0183】
【製造例2】製造例1において実施した堆積膜形成工程
にひき続き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器4
00の内圧を5×10-6Torr以下まで真空引きした
後、ガス導入管113より、SiH4260sccm,
GeH4140sccm,SiF46sccm,H260
0sccmを導入し、内圧を7mTorrに保持し、マ
イクロ波電力を0.9kW×2とし、搬送速度を50c
m/minとした以外は同様の堆積膜形成条件でアモル
ファスシリコンゲルマニウム膜の連続堆積を行った。
【0184】本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷
却して取り出し、本製造例において形成された堆積膜の
膜厚分布を幅方向及び長手方向について測定したとこ
ろ、5%以内に納まっており、堆積速度は平均101Å
/secであった。また、その一部を切り出し、FT−
IR(パーキン・エルマー社製1720X)を用い反射
法により赤外吸収スペクトルを測定したところ、200
0cm-1、1880cm-1及び630cm-1に吸収が認
められ、a−SiGe:H:F膜に特有の吸収パターン
であった。更に、RHEED(JEM−100SX、日
本電子製)により膜の結晶性を評価したところ、ハロー
で、非晶質であることが判った。また、金属中水素分析
計(EMGA−1100、堀場製作所製)を用いて膜中
水素量を定量したところ13±2atomic%であっ
た。更に、帯状部材上に堆積形成されたアモルファスシ
リコンゲルマニウム膜を約5cm2の領域にわたって機
械的に剥離させてその体積を測定し、ひき続き、ESR
装置(JES−RE2X、日本電子製)にてスピン密度
を測定したところ5×1015spins/cm3であ
り、欠陥の少ない膜であることが判った。
【0185】また、前記帯状部材の他の部分より1cm
×1cmの試料片を任意に5ヶ所切り出し、反応性スパ
ッタリング装置(自社内製品)にセットしてアモルファ
スシリコンゲルマニウム膜の堆積された面上に1500
ÅのITO(In23+SnO2)膜を堆積した。そし
て、この試料片をCPM(Constant Phot
ocurrent Method)装置(自社内製装
置)にセットし、ITO膜側から光入射を行ってアーバ
ック裾(Urbach Tail)の傾きを測定したと
ころ55±1meVで、欠陥の少ない膜であることが判
った。
【0186】
【製造例3】製造例2において実施した堆積膜形成工程
にひき続き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器4
00の内圧を5×10-6Torr以下まで真空引きした
後、ガス導入管113より、SiH4300sccm,
CH440sccm,SiF47sccm,H2600s
ccmを導入し、内圧を22mTorrに保持し、マイ
クロ波電力を1.5kW×2とした以外は製造例1と同
様の堆積膜形成条件でアモルファスシリコンカーバイド
膜の連続堆積を行った。
【0187】本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷
却して取り出し、本製造例において形成された堆積膜の
膜厚分布を幅方向及び長手方向について測定したとこ
ろ、5%以内に納まっており、堆積速度は平均80Å/
secであった。
【0188】また、その一部を切り出し、FT−IR
(パーキン・エルマー社製1720X)を用い、反射法
により赤外吸収スペクトルを測定したところ、2080
cm-1,1250cm-1,960cm-1,777cm-1
及び660cm-1に吸収が認められ、a−SiC:H:
F膜に特有の吸収パターンであった。更に、RHEED
(JEM−100SX、日本電子製)により膜の結晶性
を評価したところ、ハローで、非晶質であることが判っ
た。また、金属中水素分析計(EMGA−1100、堀
場製作所製)を用いて膜中水素量を定量したところ15
±2atomic%であった。
【0189】更に、帯状部材上に堆積形成されたアモル
ファスシリコンカーバイド膜を約5cm2の領域にわた
って機械的に剥離させてその体積を測定し、ひき続き、
ESR装置(JES−RE2X、日本電子製)にてスピ
ン密度を測定したところ7.8×1015spins/c
3であり、欠陥の少ない膜であることが判った。ま
た、前記帯状部材の他の部分より1cm×1cmの試料
片を任意に5ヶ所切り出し、反応性スパッタリング装置
(自社内製品)にセットしてアモルファスシリコンカー
バイド膜の堆積された面上に1500ÅのITO(In
23+SnO2)膜を堆積した。そして、この試料片を
CPM(Constant Photocurrent
Method)装置(自社内製装置)にセットし、I
TO膜側から光入射を行ってアーバック裾(Urbac
h Tail)の傾きを測定したところ56±1meV
で、欠陥の少ない膜であることが判った。
【0190】
【製造例4】製造例3において実施した堆積膜形成工程
にひき続き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器4
00の内圧を5×10-6Torr以下まで真空引きした
後、ガス導入管113より、SiH4160sccm,
BF3(1%H2希釈)20sccm,SiF415sc
cm,H2500sccmを導入し、内圧を7mTor
rに保持し、マイクロ波電力を1.0kW×2とした以
外は製造例1と同様の堆積膜形成条件でp型の微結晶シ
リコン膜の連続堆積を行った。
【0191】本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷
却して取り出し、本製造例において形成された堆積膜の
膜厚分布を幅方向及び長手方向について測定したとこ
ろ、5%以内に納まっており、堆積速度は平均40Å/
secであった。また、その一部を切り出し、FT−I
R(パーキン・エルマー社製1720X)を用い反射法
により赤外吸収スペクトルを測定したところ、2100
cm-1及び630cm-1に吸収が認められ、μC−S
i:H:F膜に特有の吸収パターンであった。更に、R
HEED(JEM−100SX、日本電子製)により膜
の結晶性を評価したところ、リング状で、無配向の多結
晶質であることが判った。また、金属中水素分析計(E
MGA−1100、堀場製作所製)を用いて膜中水素量
を定量したところ4.2±1atomic%であった。
更に、帯状部材上に堆積形成された膜について、5mm
×5mmの試料片を任意に5ヶ所切り出し、その表面状
態を超高分解能、低加速FE−SEM(日立製作所S−
900型)にて観察したところ、膜表面は平滑であり、
異常突起の発生はほとんど認められなかった。
【0192】
【製造例5】製造例4において実施した堆積膜形成工程
にひき続き、用いた原料ガスの導入を止め、隔離容器4
00の内圧を5×10-6Torr以下まで真空引きした
後、ガス導入管113より、SiH4250sccm,
PH3(1%H 2希釈)20sccm,SiF43scc
m,H2120sccmを導入し、内圧を6.5mTo
rrに保持し、マイクロ波電力を0.7kW×2とした
以外は製造例1と同様の堆積膜形成条件でn型のアモル
ファスシリコン膜の連続堆積を行った。
【0193】本製造例及び他の製造例終了後、基板を冷
却して取り出し、本製造例において形成された堆積膜の
膜厚分布を幅方向及び長手方向について測定したとこ
ろ、5%以内に納まっており、堆積速度は平均58Å/
secであった。また、その一部を切り出し、FT−I
R(パーキン・エルマー社製1720X)を用い反射法
により赤外吸収スペクトルを測定したところ、2000
cm-1及び630cm-1に吸収が認められ、a−Si:
H:F膜に特有の吸収パターンであった。更に、RHE
ED(JEM−100SX、日本電子製)により膜の結
晶性を評価したところ、ハローで、非晶質であることが
判った。また、金属中水素分析計(EMGA−110
0、堀場製作所製)を用いて膜中水素量を定量したとこ
ろ20±2atomic%であった。
【0194】更に、帯状部材上に堆積形成された膜につ
いて、5mm×5mmの試料片を任意に5ヶ所切り出
し、その表面状態を超高分解能、低加速FE−SEM
(日立製作所S−900型)にて観察したところ、膜表
面は平滑であり、異常突起の発生はほとんど認められな
かった。製造例5までの成膜工程の終了後、プラズマ制
御手段を取り外し、マイクロ波アプリケーターの成膜室
側のマイクロ波透過性部材(アルミナセラミックス)の
表面を観察したところ、ほとんど堆積膜の付着は認めら
れなかった。また、すべての成膜工程を通してプラズマ
は安定して生起、維持されていた。
【0195】
【製造例6】製造例1において、SUS430BA製帯
状基板のかわりに、堆積膜の形成される側の面にAl膜
を2μm蒸着した(うち、その一部には巾70μm、長
さ10mmのくし型ギャップを幅及び長手方向に20c
mごとに形成した。)PET(ポリエチレンテレフタレ
ート)製帯状基板(幅45cm×長さ100m×厚さ
0.9mm)を用い、基板表面温度を200℃とした以
外は、全く同様の操作にてアモルファスシリコン膜の連
続堆積を行った。
【0196】基板を冷却後取り出し、まず、膜厚分布を
幅方向及び長手方向について測定したところ5%以内に
納まっており、堆積速度は平均95Å/secであっ
た。また、その一部を切り出し、FT−IR(パーキン
・エルマー社製1720X)を用い、リファレンス透過
法により赤外吸収スペクトルを測定したところ、200
0cm-1及び630cm-1に吸収が認められ、a−S
i:H:F膜に特有の吸収パターンであった。また、2
000cm-1付近のSi−Hに帰属される吸収から膜中
水素量を定量したところ、23±2atomic%であ
った。更に、RHEED(JEM−100SX、日本電
子製)により、膜の結晶性を評価したところ、ハロー
で、非晶質であることが判った。
【0197】また、あらかじめ形成してあるギャップ電
極のうち20箇所をランダムに切り出し、それぞれにつ
いてAM−1光(100mW/cm2)照射下での光電
流値、及び暗中での暗電流値をHP4140Bを用いて
測定し、明導電率σp(S/cm)、及び暗導電率σd
(S/cm)を求めたところ、それぞれ(3.6±0.
5)×10-5S/cm及び(1.1±0.5)×10
-11S/cmの範囲内に納まっていた。また、この試料
片をCPM(Constant Photocurre
nt Method)装置(自社内製装置)にセット
し、ITO膜から光入射を行ってアーバック裾(Urb
ach Tail)の傾きを測定したところ48±1m
eVで、欠陥の少ない膜であることが判った。
【0198】
【製造例7】本製造例においては、図11の断面模式図
に示す層構成のpin型光起電力素子を装置例8で示し
た図7の連続堆積膜形成装置を用いて作製した。該光起
電力素子は、基板901上に下部電極902、n型半導
体層903、i型半導体層904、p型半導体層90
5、透明電極906及び集電電極907をこの順に堆積
形成した光起電力素子900である。なお、本光起電力
素子では透明電極906の側より光の入射が行われるこ
とを前提としている。まず、製造例1で用いたのと同様
のSUS430BA製帯状基板を連続スパッタ装置にセ
ットし、Ag(99.99%)電極をターゲットとして
用いて4000ÅのAg薄膜を、また連続してZnO
(99.99%)電極をターゲットとして用いて0.9
μmのZnO薄膜をスパッタ蒸着し、下部電極902を
形成した。
【0199】ひき続き、該下部電極902の形成された
帯状基板を装置例8(図6)で示した連続堆積膜形成装
置にセットした。この時の隔離容器400内における基
板の湾曲形状等の条件を表10に示す。また、隔離容器
400−a,400−bにおいては、表11に示す堆積
膜形成条件でn型a−Si:H:F膜及びp+型μc−
Si:H:F膜の形成を行った。まず、各々の成膜室内
でマイクロ波プラズマを生起させ、放電等が安定したと
ころで帯状部材101を搬送スピード80cm/min
で図中左側から右側方向へ搬送させ、連続して、n,
i,p型半導体層を積層形成した。
【0200】帯状部材101の全長に亘って半導体層を
積層形成した後、冷却後取り出し、更に、連続モジュー
ル化装置にて35cm×70cmの太陽電池モジュール
を連続作製した。作製した太陽電池モジュールについ
て、AM1.5(100mW/cm2)光照射下にて特
性評価を行ったところ、光電変換効率で8.4%以上が
得られ、更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内
に納まっていた。また、AM1.5(100mW/cm
2)光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値
に対する変化率を測定したところ9.5%以内に納まっ
た。更に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御
手段を用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比
較したところ、50%以上向上していた。これらのモジ
ュールを接続して3kWの電力供給システムを作製する
ことができた。
【0201】
【製造例8】本製造例では、製造例7で作製したpin
型光起電力素子において、i型半導体層としてのa−S
i:H:F膜のかわりにa−SiGe:H:F膜を用い
た例を示す。a−SiGe:H:F膜の形成は、搬送速
度を125cm/min、帯状部材の表面温度を380
℃とした以外は製造例2で行ったのと同様の操作及び方
法で行い、他の半導体層形成及びモジュール化工程は製
造例7と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジュー
ルを作製した。作製した太陽電池モジュールについて、
AM1.5(100mW/cm2)光照射下にて特性評
価を行ったところ、光電変換効率で7.5%以上が得ら
れ、更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内に納
まっていた。
【0202】また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ9.5%以内に納まった。
更に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御手段
を用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較し
たところ、50%以上向上していた。これらのモジュー
ルを接続して3kWの電力供給システムを作製すること
ができた。
【0203】
【製造例9】本製造例では、製造例7で作製したpin
型光起電力素子において、i型半導体層としてのa−S
i:H:F膜のかわりにa−SiC:H:F膜を用いた
例を示す。a−SiC:H:F膜の形成は、搬送速度を
70cm/min、帯状部材の表面温度を330℃、と
した以外は製造例3で行ったのと同様の操作及び方法で
行い、他の半導体層形成及びモジュール化工程は製造例
7と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジュールを
作製した。作製した太陽電池モジュールについて、AM
1.5(100mW/cm2)光照射下にて特性評価を
行ったところ、光電変換効率で6.5%以上が得られ、
更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内に納まっ
ていた。
【0204】また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ9.5%以内に納まった。
更に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御手段
を用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較し
たところ、50%以上向上していた。これらのモジュー
ルを接続して3kWの電力供給システムを作製すること
ができた。
【0205】
【製造例10】本製造例では、図13に示す層構成の光
起電力素子を作製した。作製にあたっては、図7に示す
装置において隔離容器400−a,400,400−b
と同様の構成の隔離容器400−a′,400′,40
0−b′をこの順でガスゲートを介して更に接続させた
装置(不図示)を用いた。なお、帯状部材としては製造
例1で用いたのと同様の材質及び処理を行ったものを用
い、下部素子は製造例8で、上部素子は製造例7で作製
したのと同様の層構成とし、各半導体層の堆積膜作製条
件は表12及び表13に示した。モジュール化工程は製
造例7と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジュー
ルを作製した。
【0206】作製した太陽電池モジュールについて、A
M1.5(100mW/cm2)光照射下にて特性評価
を行ったところ、光電変換効率で10.5%以上が得ら
れ、更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内に納
まっていた。また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ9%以内に納まった。更
に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御手段を
用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較した
ところ、50%以上向上していた。これらのモジュール
を接続して3kWの電力供給システムを作製することが
できた。
【0207】
【製造例11】本製造例では、図13に示す層構成の光
起電力素子を作製した。作製にあたっては、図7に示す
装置において隔離容器400−a,400,400−b
と同様の構成の隔離容器400−a′,400′,40
0−b′をこの順でガスゲートを介して更に接続させた
装置(不図示)を用いた。なお、帯状部材としては製造
例1で用いたのと同様の材質及び処理を行ったものを用
い、下部素子は製造例7で、上部素子は製造例9で作製
したのと同様の層構成とし、各半導体層の堆積膜作製条
件は表14及び表15に示した。モジュール化工程は製
造例7と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジュー
ルを作製した。
【0208】作製した太陽電池モジュールについて、A
M1.5(100mW/cm2)光照射下にて特性評価
を行ったところ、光電変換効率で10.2%以上が得ら
れ、更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内に納
まっていた。また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ9%以内に納まった。更
に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御手段を
用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較した
ところ、50%以上向上していた。これらのモジュール
を接続して3kWの電力供給システムを作製することが
できた。
【0209】
【製造例12】本製造例では、図14に示す層構成の光
起電力素子を作製した。作製にあたっては、図7に示す
装置において隔離容器400−a,400,400−b
と同様の構成の隔離容器400−a′,400′,40
0−b′,400−a″,400″,400−b″をこ
の順でガスゲートを介して更に接続させた装置(不図
示)を用いた。なお、帯状部材としては製造例1で用い
たのと同様の材質及び処理を行ったものを用い、下部素
子は製造例8で、中間素子は製造例7、上部素子は製造
例9で作製したのと同様の層構成とし、各半導体層の堆
積膜作製条件は表16乃至表18に示した。モジュール
化工程は製造例7と同様の操作及び方法で行い、太陽電
池モジュールを作製した。作製した太陽電池モジュール
について、AM1.5(100mW/cm2)光照射下
にて特性評価を行ったところ、光電変換効率で11.5
%以上が得られ、更にモジュール間の特性のバラツキは
5%以内に納まっていた。
【0210】また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ8.5%以内に納まった。
更に、ショート等による欠陥発生率をプラズマ制御手段
を用いずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較し
たところ、50%以上向上していた。これらのモジュー
ルを接続して3kWの電力供給システムを作製すること
ができた。
【0211】
【製造例13】本製造例では、図14に示す層構成の光
起電力素子を作製した。作製にあたっては、図8に示す
装置において隔離容器601,400,602と同様の
構成の成膜用の真空容器及び隔離容器601′,40
0′,602′,601″,400″,602″をこの
順でガスゲートを介して更に接続させた装置(不図示)
を用いた。なお、ガスゲート内の基板面とガスゲート内
面とのギャップは1mmとなるような構造とした。な
お、帯状部材としては製造例1で用いたのと同様の材質
及び処理を行ったものを用い、下部素子は製造例8で、
中間素子は製造例7、上部素子は製造例9で作製したの
と同様の層構成とし、各半導体層の堆積膜作製条件は表
19乃至表21に示した。モジュール化工程は製造例7
と同様の操作及び方法で行い、太陽電池モジュールを作
製した。
【0212】作製した太陽電池モジュールについて、A
M1.5(100mW/cm2)光照射下にて特性評価
を行ったところ、光電変換効率で11.5%以上が得ら
れ、更にモジュール間の特性のバラツキは5%以内に納
まっていた。また、AM1.5(100mW/cm2
光の500時間連続照射後の光電変換効率の初期値に対
する変化率を測定したところ8.5%以内に納まった。
更に、ショート等による欠陥発生率をバイアス電圧を印
加させずに形成した太陽電池モジュールの場合と比較し
たところ、50%以上向上していた。これらのモジュー
ルを接続して3kWの電力供給システムを作製すること
ができた。
【0213】
【表1】
【0214】
【表2】
【0215】
【表3】
【0216】
【表4】
【0217】
【表5】
【0218】
【表6】
【0219】
【表7】
【0220】
【表8】
【0221】
【表9】
【0222】
【表10】
【0223】
【表11】
【0224】
【表12】
【0225】
【表13】
【0226】
【表14】
【0227】
【表15】
【0228】
【表16】
【0229】
【表17】
【0230】
【表18】
【0231】
【表19】
【0232】
【表20】
【0233】
【表21】
【0234】
【発明の効果の概要】本発明の方法によれば、成膜空間
の側壁を構成する帯状部材を連続的に移動せしめると共
に、前記成膜空間の側壁を構成する帯状部材の幅方向、
且つマイクロ波の進行方向に対して平行な方向にマイク
ロ波エネルギーを放射せしめるマイクロ波アプリケータ
ー手段を具備させ、前記成膜空間内にマイクロ波プラズ
マを閉じ込めることによって、大面積の機能性堆積膜を
連続して、均一性良く形成することができる。また、本
発明の方法によれば、プラズマの生起する位置を適宜制
御することによって、所望の特性を有し、欠陥の少ない
高品質の機能性堆積膜を長時間連続して効率良く高い歩
留りで形成することができる。
【0235】本発明の方法及び装置により、マイクロ波
プラズマを前記成膜空間内に閉じ込めることにより、マ
イクロ波プラズマの安定性、再現性が向上すると共に堆
積膜形成用原料ガスの利用効率を飛躍的に高めることが
できる。更に、前記帯状部材を連続して搬送させること
によって、湾曲の形状、長さ、及び搬送スピードを種々
変化させることによって任意の膜厚の堆積膜を大面積に
亘り均一性良く、連続して堆積形成できる。本発明の方
法及び装置によれば、比較的幅広で、且つ長尺の帯状部
材の表面上に連続して均一性良く機能性堆積膜を形成で
きる。従って、特に大面積太陽電池の量産機として好適
に用いることができる。また、放電を止めることなく、
連続して堆積膜が形成できるため、積層型デバイス等を
作製するときには良好な界面特性が得られる。また、低
圧下での堆積膜形成が可能となり、ポリシラン粉の発生
を抑えられ、また、活性種のポリマリゼーション等も抑
えられるので欠陥の減少及び、膜特性の向上、膜特性の
安定性の向上等が図れる。
【0236】従って、稼動率、歩留りの向上が図れ、安
価で高効率の太陽電池を量産化することが可能となる。
更に、本発明の方法及び装置によって作製された太陽電
池は光電変換効率が高く、且つ、長期に亘って特性劣化
の少ないものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のマイクロ波プラズマCVD装
置の模式的概略図である。
【図2】図2は、本発明におけるマイクロ波アプリケー
ター手段の概略図である。
【図3】図3は、本発明におけるプラズマ制御手段とマ
イクロ波アプリケーター手段との配置関係を示す模式的
説明図である。
【図4】図4は、本発明におけるプラズマ制御手段の一
例を示す模式的説明図である。
【図5】図5は、本発明におけるプラズマ制御手段の他
の例を示す模式的説明図である。
【図6】図6は、本発明の連続式マイクロ波プラズマC
VD装置の一例の全体概略図である。
【図7】図7は、本発明の連続式マイクロ波プラズマC
VD装置の他の例の全体概略図である。
【図8】図8は、本発明の連続式マイクロ波プラズマC
VD装置の更なる例の全体概略図である。
【図9】図9は、本発明における方形導波管の取り付け
角度を説明するための断面模式図である。
【図10】図10は、本発明により作製できるショット
キー接合型ダイオードの断面模式図である。
【図11】図11は、本発明により作製できるシングル
セルタイプのpin型光起電力素子の断面模式図であ
る。
【図12】図12は、本発明により作製できるシングル
セルタイプのpin型光起電力素子の断面模式図であ
る。
【図13】図13は、本発明により作製できるダブルセ
ルタイプのpin型光起電力素子の断面模式図である。
【図14】図14は、本発明により作製できるトリプル
セルタイプのpin型光起電力素子の断面模式図であ
る。
【図15】図15は、実験例7において得られた結果か
らする放電維持最小マイクロ波電力と成膜室内の圧力と
の関係を示すグラフである。
【図16】図16は、実験例8において得られた結果を
グラフ化して示したものである。
【符号の説明】
101,1101 帯状部材 102,103,1102 搬送用ローラー 104,105 搬送用リング 106a〜e 温度制御機構 107,108 マイクロ波アプリケーター 109,110 マイクロ波透過性部材 111,112 方形導波管 113,1103 ガス導入管を兼ねるバイアス印加管 114 排気管 115a,b 隔離通路 116 成膜室 117,1109 絶縁性継手 118,1110 ガス供給管 119,1107,1108 バイアス印加用電源 120 導線 200 マイクロ波アプリケーター 201,202 マイクロ波透過性部材 203a,b マイクロ波整合用円板 204 内筒 205 外筒 206 固定用リング 207 チョークフランジ 208 方形導波管 209 冷却媒体 210 Oリング 211 溝 212 メタルシール 213,214 冷却空気導入・排出孔 301 プラズマ制御手段 302 側壁 303 仕切り板 304 導波路 305 補助原料ガス供給パイプ 306 マイクロ波アプリケーター 307 外筒 308 マイクロ波透過性部材 401,402,601,602 真空容器 403 送り出し用ボビン 404 巻き取り用ボビン 405,406 搬送用ローラー 407,408,409 スロットルバルブ 410,411,418,419,420 排気孔 412,413 温度調整機構 414,415 圧力計 416,417,505,506,507,508 ゲ
ートガス導入管 421,422,501,502,503,504 ガ
スゲート 509,510,511,512 ゲートガス排気管 413 ガス導入管 603,604 カソード電極 605,606 ガス導入管 607,608 ハロゲンランプ 609,610 アノード電極 611,612 排気管 801,901 支持体 802,902 下部電極 803,903,908,914,917 n型半導体
層 804,904,909,915,918 i型半導体
層 805 金属層 806,807 電流取り出し用端子 900,900′,911,912,920,921,
923 pin接合型光 起電力素子 905,910,916,919 p型半導体層 906 上部電極 907 集電電極 913 ダブル型光起電力素子 924 トリプル型光起電力素子

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に帯状部材を連続的に移動せし
    めながら、その中途で前記移動する帯状部材を側壁とす
    る柱状の成膜空間を形成し、 該成膜空間内にガス供給手段を介して堆積膜形成用原料
    ガスを導入し、同時に、マイクロ波エネルギーをマイク
    ロ波の進行方向に対して平行な方向に放射させるように
    したマイクロ波アプリケーター手段より、該マイクロ波
    アプリケーター手段に近接して設けた、前記マイクロ波
    アプリケーター手段より放射されたマイクロ波の電界方
    向と全面的に直交することはなく、前記マイクロ波の進
    行方向に延在する複数の仕切り板で構成されるプラズマ
    制御手段を介して前記マイクロ波エネルギーを放射させ
    て、マイクロ波プラズマを前記成膜空間内で生起せし
    め、前記マイクロ波プラズマに曝される前記側壁を構成
    し連続的に移動する前記帯状部材の表面上に堆積膜を形
    成せしめることを特徴とするマイクロ波プラズマCVD
    法により大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方
    法。
  2. 【請求項2】 前記移動する帯状部材の中途において、
    湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段とを用いて、
    前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形成手段との
    間に前記帯状部材の長手方向に間隙を残して該帯状部材
    を湾曲させて前記成膜空間の側壁を形成する請求項1に
    記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方法。
  3. 【請求項3】 前記帯状部材を側壁として形成される柱
    状の成膜空間の両端面のうち、片側又は両側に配設され
    る、少なくとも1つ以上の前記マイクロ波アプリケータ
    ー手段及び該マイクロ波アプリケーター手段に近接して
    設けたプラズマ制御手段を介して、前記マイクロ波エネ
    ルギーを前記成膜空間内に放射させる請求項1に記載の
    大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方法。
  4. 【請求項4】 前記マイクロ波アプリケーター手段及び
    前記プラズマ制御手段を前記端面に垂直方向に配設し、
    前記マイクロ波エネルギーを前記側壁と平行な方向に放
    射させる請求項3に記載の大面積の機能性堆積膜を連続
    的に形成する方法。
  5. 【請求項5】 前記マイクロ波エネルギーを前記マイク
    ロ波アプリケーター手段の先端部分に設けられたマイク
    ロ波透過性部材及び該マイクロ波透過性部材に近接して
    設けたプラズマ制御手段を介して放射させるようにする
    請求項1に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成
    する方法。
  6. 【請求項6】 前記マイクロ波透過性部材にて、前記マ
    イクロ波アプリケーター手段と、前記成膜空間との気密
    を保持させるようにする請求項5に記載の大面積の機能
    性堆積膜を連続的に形成する方法。
  7. 【請求項7】 前記プラズマ制御手段は30mTorr
    以下の圧力にて使用される請求項5に記載の大面積の機
    能性堆積膜を連続的に形成する方法。
  8. 【請求項8】 前記プラズマ制御手段により、マイクロ
    波プラズマを前記マイクロ波透過性部材の近傍には生起
    させず、前記成膜空間内にのみ生起せしめるようにする
    請求項5に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成
    する方法。
  9. 【請求項9】 前記マイクロ波透過性部材と前記プラズ
    マ制御手段との近傍より補助原料ガスを導入するように
    する請求項5に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に
    形成する方法。
  10. 【請求項10】 前記補助原料ガスとしては、それ自身
    では堆積膜を形成することのないガスを用いるようにす
    る請求項9に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形
    成する方法。
  11. 【請求項11】 前記マイクロ波アプリケーター手段
    を、前記両端面において互いに対向して配設させる場合
    には、一方のマイクロ波アプリケーター手段より放射さ
    れるマイクロ波エネルギーが他方のマイクロ波アプリケ
    ーター手段にて受信されないように配置する請求項5に
    記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する方法。
  12. 【請求項12】 前記柱状の成膜空間内に放射されたマ
    イクロ波エネルギーが、前記成膜空間外へ漏洩しないよ
    うにする請求項1に記載の大面積の機能性堆積膜を連続
    的に形成する方法。
  13. 【請求項13】 前記成膜空間内に導入された堆積膜形
    成用原料ガスを、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終
    了端形成手段との間で前記帯状部材の長手方向に残され
    た間隙より排気するようにする請求項1に記載の大面積
    の機能性堆積膜を連続的に形成する方法。
  14. 【請求項14】 連続して移動する帯状部材上にマイク
    ロ波プラズマCVD法により機能性堆積膜を連続的に形
    成する装置であって、前記帯状部材をその長手方向に連
    続的に移動させながら、その中途で湾曲させるための湾
    曲部形成手段を介して、前記帯状部材を側壁にして形成
    され、その内部を実質的に真空に保持し得る柱状の成膜
    室を有し、前記成膜室内にマイクロ波プラズマを生起さ
    せるための、マイクロ波エネルギーをマイクロ波の進行
    方向に対して平行な方向に放射させるようにしたマイク
    ロ波アプリケーター手段と、該マイクロ波アプリケータ
    ー手段に近接して設けた、前記マイクロ波アプリケータ
    ー手段より放射されたマイクロ波の電界方向と全面的に
    直交することはなく、前記マイクロ波の進行方向に延在
    する複数の仕切り板で構成されるプラズマ制御手段と、
    前記成膜室内を排気する排気手段と、前記成膜室内に堆
    積膜形成用原料ガスを導入するためのガス供給手段と、
    前記帯状部材を加熱及び/又は冷却するための温度制御
    手段とを備えていて、前記帯状部材の前記マイクロ波プ
    ラズマに曝される側の表面上に、連続して堆積膜を形成
    するようにしたことを特徴とする大面積の機能性堆積膜
    を連続的に形成する装置。
  15. 【請求項15】 前記湾曲部形成手段を、少なくとも一
    組以上の、湾曲開始端形成手段と湾曲終了端形成手段と
    で構成し、前記湾曲開始端形成手段と前記湾曲終了端形
    成手段とを、前記帯状部材の長手方向に間隙を残して配
    設する請求項14に記載の大面積の機能性堆積膜を連続
    的に形成する装置。
  16. 【請求項16】 前記湾曲部形成手段が、少なくとも一
    対の支持・搬送用ローラーと支持・搬送用リングとで構
    成され、前記一対の支持・搬送用ローラーは前記帯状部
    材の長手方向に間隙を残して平行に配設されている請求
    項15に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成す
    る装置。
  17. 【請求項17】 前記帯状部材を側壁として形成される
    柱状の成膜室の両端面のうち片側又は両側に、少なくと
    も1つ以上の前記マイクロ波アプリケーター手段及び該
    マイクロ波アプリケーター手段に近接して設けたプラズ
    マ制御手段を配設する請求項14に記載の機能性堆積膜
    を連続的に形成する装置。
  18. 【請求項18】 前記マイクロ波アプリケーター手段及
    び前記プラズマ制御手段を前記端面に垂直方向に配設す
    る請求項17に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に
    形成する装置。
  19. 【請求項19】 前記マイクロ波アプリケーター手段の
    先端部分には、前記成膜室と前記マイクロ波アプリケー
    ター手段との気密分離を行い、且つ、前記マイクロ波ア
    プリケーターから放射されるマイクロ波エネルギーを前
    記成膜室内へ透過せしめるマイクロ波透過性部材が配設
    される請求項14に記載の大面積の機能性堆積膜を連続
    的に形成する装置。
  20. 【請求項20】 前記マイクロ波アプリケーター手段に
    は方形及び/又は楕円導波管を介してマイクロ波エネル
    ギーが伝送される請求項17に記載の大面積の機能性堆
    積膜を連続的に形成する装置。
  21. 【請求項21】 前記マイクロ波アプリケーター手段を
    前記成膜室の両端面において互いに対向して配設させる
    場合には、前記マイクロ波アプリケーター手段に接続さ
    れる前記方形及び/又は楕円導波管の長辺を含む面同
    志、長軸を含む面同志、又は長辺を含む面と長軸を含む
    面同志が互いに平行とならないよう配設する請求項20
    に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する装
    置。
  22. 【請求項22】 前記方形及び/又は楕円導波管の長辺
    を含む面及び/又は長軸を含む面と、前記一対の支持・
    搬送用ローラーの中心軸を含む面とのなす角度が垂直と
    ならないよう配設する請求項21に記載の大面積の機能
    性堆積膜を連続的に形成する装置。
  23. 【請求項23】 前記プラズマ制御手段は導波管構造を
    成している請求項14に記載の大面積の機能性堆積膜を
    連続的に形成する装置。
  24. 【請求項24】 前記導波管構造は、その内部における
    マイクロ波の進行方向に平行に設けられた複数の仕切り
    板によって分割されている請求項23に記載の大面積の
    機能性堆積膜を連続的に形成する装置。
  25. 【請求項25】 前記複数の仕切り板の互いの距離は等
    しいか、又は互いの距離の差が2倍以内である請求項2
    4に記載の大面積の機能性堆積膜を連続的に形成する装
    置。
  26. 【請求項26】 前記複数の仕切り板の互いの距離に対
    する、そのマイクロ波の進行方向の長さの比が5乃至3
    0である請求項24に記載の大面積の機能性堆積膜を連
    続的に形成する装置。
  27. 【請求項27】 前記マイクロ波アプリケーター手段と
    前記プラズマ制御手段とに近接して、補助原料ガス供給
    手段を設けた請求項14に記載の大面積の機能性堆積膜
    を連続的に形成する装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006157043A (ja) * 1995-12-28 2006-06-15 Kyocera Corp 耐食性部材

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